放射線検査をしないコメが市場に流通──不安視される食品業界のタブー構造

【サイゾーpremiumより】
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『食品業界は今日も、やりたい放題』
(三五館)
──福島県産農作物が売れているという。  原発事故の影響で、首都圏ではスーパーなどの小売店で福島県産農作物を見る機会はほとんどない。当然出荷量もガタ落ちのはず……と思いきや、日経新聞などの報道では2011年度のコメの出荷量は、例年の7割程度を確保しているという。店頭では見かけることがないのに、いったいどこに出荷しているのだろうか? 「福島県産米は、主に首都圏の外食店やせんべいなどの加工食品メーカーで使用されているんです」 と話すのは、ジャーナリストの吾妻博勝氏。『コメほど汚い世界はない』(宝島社)を執筆したコメ流通のエキスパートだ。  いまや日本では、手軽で安価な食品が氾濫している。オペレーションシステムの改善や人件費の削減などの企業努力で、1円でも商品の原価を切り詰め価格競争に立ち向かう食品産業にとって、味自体は問題がなく、値段も割安となった福島県産農作物は、まさに渡りに船。消費者としても、11年にはサンプリング調査だった放射性物質の検査が、全袋検査へと移行し、しっかりとした検査を行っているんだから大丈夫だと安心する向きもあるが、吾妻氏は「あれだけ検査の様子が報道されれば、すべてのコメが検査されていると〝誤解〟する方も多いのではないでしょうか」と話す。 「今年度米で全袋検査をしたのは、8月に収穫した早場米の一部だけ。さらに、9月下旬から収穫が始まる米で全袋検査されるのは、主としてJA経由の流通米のみです。農家が業者に直接販売する米は全体の5割以上にも上り、それらは検査もされずに流通するものが多い。業者が農家にトラックを横付けして直接買い取り、そのまま激安居酒屋や、加工食品業界へ出荷されるんです」(吾妻氏)と、非正規のルートでコメや農作物が流通しているというのだ。中間マージンを削るため、農家と直接契約を謳っている企業も多い。 「食の安全」が叫ばれて久しいが、O-157など頻発する食中毒や発がん性物質の混入など、消費者は食に対して疑心暗鬼にならざるを得ない状況が続いている。特に「デフレ食品」とさえ呼べる一連の激安フードは、その安さと引き換えに、こうした安全性が不透明な製品も使用されている。  例えば、かねてから発がん性物質などの危険性が指摘されている食品添加物は、激安フードにとってなくてはならない存在。ハムやベーコン、そしてハンバーグなどの加工食肉には保存料をふんだんに使用することで、流通経費や廃棄リスクを抑制し、合成着色料で新鮮な見た目を演出、化学調味料で味を調えている。合成甘味料のズルチンや合成保存料のフリルフラマイドなど、即座に健康に被害が及ぶものに対しては、厚生労働省も規制を行なってきたが、”ただちに健康に被害がない”ものには、審査も甘い。長期的に摂取し続けた場合や、ほかの添加物と混ぜ合わせた場合のリスクに関しては、安全性が疑問視されるデータが民間の機関から出ていても、そのままにされているものが多い。  また、いまだに安全性が疑問視される遺伝子組み換え農作物も、激安価格を実現するためには欠かせない。通常の作物よりも生命力が強靭で、収穫量も高いことから価格が安いのだが、その不信感は根強く、一部からはアレルギー、臓器異常、不妊、発がん性などの可能性も指摘されている。  遺伝子組み換え作物については、アメリカの農薬会社モンサントの日本進出が話題となっている。同社はすでに茨城県に実験農場を建設している。内部で見たことを口外しないという誓約書を書かされた上で、この農場を見学した人物は、その内部の様子を振り返った。 「周囲から完全に隔離された施設の内部には遺伝子組み換えの作物と、普通の作物が並んでいました。除草剤の効果で、普通の作物はほとんど枯れているのに対し、遺伝子組み換えのほうはピンピンしていた。『どうですか?』と自信満々に聞かれましたが、正直気持ちが悪かった」  作物が枯れてしまうほど強力な農薬が残っているかもしれないのに、本当に人体にとっても安全なのか、十分に議論・検証する必要があるだろう。また、現段階ではその多くに使用表示の義務があるので、日本人が直接口にすることは少ないように思えるが、実は、牛や豚などの家畜飼料として、大量に輸入されており、これらは表示義務がない。結果、我々も間接的にそれらを摂取しているのだ。 ■デフレ食品批判映画が圧力で潰された!?  こうした「安さのヒミツ」は、一部の書籍や雑誌などで報道される程度にとどまっている。自らも製薬会社・食品メーカーで添加物の研究や食品の開発にかかわりながら、『食品業界は今日も、やりたい放題』(三五館)などの著書もある小薮浩二郎氏は、業界からの圧力を指摘する。 「味の素などの大手食品メーカーが加盟する『日本食品添加物協会』は、食品企業幹部や国立大教授などの退職後の受け皿として機能しています。食品添加物に否定的な書籍や記述に対しては強固に反論を行うんです。かつて、食品に関するある書籍が爆発的にヒットした際、同協会から相当強いクレームが飛んだことがあります」  大企業や食品会社を後ろ盾に持つ同協会は、厚生労働省や消費者庁にさえ抗議を行い、その力は「消費者庁が潰れても、添加物協会は潰れないと言われている」(同)ほど。そして、同協会に対して尻尾を振っているのが、添加物を監視・監督する立場にある厚労省だという。特に食品業界に対しては、国は消費者よりもメーカー保護の立場。森永ヒ素ミルク中毒事件やカネミ油症事件くらい重大なトラブルが起きない限り、国の機関でも添加物に対してネガティブな研究は行っていないのだという。  では、自由に研究ができそうな大学機関などでの研究は進んでいるのだろうか? 「現在、大学には『産学協同』の風潮があり、企業の論理にのっとった研究が奨励される傾向にあります。一方、製品の欠陥について研究すると、学生の就職に如実に影響があるので、理系大学生の就職先の多くを占める食品メーカーにとって不利益となる研究は、積極的には行いません」(同)  このように産学官に守られ、食品会社は今日も我々に添加物満載の食品を提供しているのだ。  また、「食の安全」を脅かす彼らを無視し、自主規制を行うメディア側の弱腰姿勢も浮かび上がってくる。 『ありあまるごちそう』など、食の安全をテーマにしたドキュメンタリーを配給するアンプラグド代表取締役の加藤武史氏が『フード・インク』のキャンペーンの際に直面した事件は、この態度を端的に象徴したものだったという。 「普段エコやナチュラルフードを推進している、あるラジオ局に『フード・インク』のキャンペーンを手伝ってほしいという話を持っていったところ、DJの方々は非常に興味を持ってくれたのですが、局側は『一方的であり、応援をすることはもちろん、扱うこともできない』と激怒され、即却下されました。後日知ったところによると、この放送局の一番のスポンサーはコンビニとハンバーガーチェーンだった(笑)」  映画『スーパーサイズ・ミー』などでも描かれたように、マクドナルドやコカ・コーラには、人体に影響する物質が入っているなどとし、その安全性が疑問視されている。それらの企業が、安全でも割高になるナチュラルフードを推奨する映画に協力できないのは、なるほどと思うところがあるだろう。11年に食品業界がマスコミにばらまいた宣伝広告費は2660億円と、日本の広告費用における1割を占めている(電通「日本の広告費」)。大手食品メーカーの広告宣伝費にがんじがらめとなっている大手メディアもまた、食品業界の闇を告発することなどするはずもないだろう。  このような状況に「食品を取り巻く組織が硬直化している」と憤る加藤氏は、農林水産省から受けたある「圧力」も明かした。 「08年から農水省が主導した食料自給率アップを目指した『フード・アクション・ニッポン』というキャンペーンがあり、そのHP上に『フード・インク』の公開情報を掲載してもらうよう掛け合いました。運営を受託する電通とやりとりをし、情報を掲載してもらったのですが、その途端、農水省から『一方的で好ましくない』という圧力がかかり、ホームページから映画の情報を削除されそうになりました」  結局、この件は電通によって削除されずに済んだが、食に対して真摯に向き合ったドキュメンタリーを「好ましくない」の一言で排除する農水省の姿勢は、この国にはびこる食品事情を象徴している。 「食品の裏側を知ると、モノが売れなくなるという恐怖が、メーカー、小売店、外食チェーンにはあるのでしょう。冷静に考えたら、値段が安すぎる食品は多いし、お寿司やサラダが3日も日持ちするのもおかしい。そのような疑問の芽を、食品を取り巻く組織は必死で摘んでいくんです。『食品について何も考えるな』『黙って買え』というのが、彼らの本音ではないでしょうか」(加藤氏)  我々にとって身近な存在だからこそ、触れづらい食品業界。自主規制を撤廃し、不当な圧力を打ち消すといった努力がなされなければ、「食の安全」など、空虚なスローガンにすぎないのだろう。 (取材・文/萩原雄太) 【明日から食事をするのが怖くなる!? 「サイゾーpremium」では食品業界の闇に迫った記事が満載!】観たら外食ができなくなる? 食の安全を追求する海外傑作ドキュメンタリー味の素や牛角に直撃!! “激安食品”にまつわる怪しい噂は本当か?郡司和夫氏が食品添加物から分析──ラーメンの"うま味"調味料が怖い
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放射線検査をしないコメが市場に流通──不安視される食品業界のタブー構造

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──福島県産農作物が売れているという。  原発事故の影響で、首都圏ではスーパーなどの小売店で福島県産農作物を見る機会はほとんどない。当然出荷量もガタ落ちのはず……と思いきや、日経新聞などの報道では2011年度のコメの出荷量は、例年の7割程度を確保しているという。店頭では見かけることがないのに、いったいどこに出荷しているのだろうか? 「福島県産米は、主に首都圏の外食店やせんべいなどの加工食品メーカーで使用されているんです」 と話すのは、ジャーナリストの吾妻博勝氏。『コメほど汚い世界はない』(宝島社)を執筆したコメ流通のエキスパートだ。  いまや日本では、手軽で安価な食品が氾濫している。オペレーションシステムの改善や人件費の削減などの企業努力で、1円でも商品の原価を切り詰め価格競争に立ち向かう食品産業にとって、味自体は問題がなく、値段も割安となった福島県産農作物は、まさに渡りに船。消費者としても、11年にはサンプリング調査だった放射性物質の検査が、全袋検査へと移行し、しっかりとした検査を行っているんだから大丈夫だと安心する向きもあるが、吾妻氏は「あれだけ検査の様子が報道されれば、すべてのコメが検査されていると〝誤解〟する方も多いのではないでしょうか」と話す。 「今年度米で全袋検査をしたのは、8月に収穫した早場米の一部だけ。さらに、9月下旬から収穫が始まる米で全袋検査されるのは、主としてJA経由の流通米のみです。農家が業者に直接販売する米は全体の5割以上にも上り、それらは検査もされずに流通するものが多い。業者が農家にトラックを横付けして直接買い取り、そのまま激安居酒屋や、加工食品業界へ出荷されるんです」(吾妻氏)と、非正規のルートでコメや農作物が流通しているというのだ。中間マージンを削るため、農家と直接契約を謳っている企業も多い。 「食の安全」が叫ばれて久しいが、O-157など頻発する食中毒や発がん性物質の混入など、消費者は食に対して疑心暗鬼にならざるを得ない状況が続いている。特に「デフレ食品」とさえ呼べる一連の激安フードは、その安さと引き換えに、こうした安全性が不透明な製品も使用されている。  例えば、かねてから発がん性物質などの危険性が指摘されている食品添加物は、激安フードにとってなくてはならない存在。ハムやベーコン、そしてハンバーグなどの加工食肉には保存料をふんだんに使用することで、流通経費や廃棄リスクを抑制し、合成着色料で新鮮な見た目を演出、化学調味料で味を調えている。合成甘味料のズルチンや合成保存料のフリルフラマイドなど、即座に健康に被害が及ぶものに対しては、厚生労働省も規制を行なってきたが、”ただちに健康に被害がない”ものには、審査も甘い。長期的に摂取し続けた場合や、ほかの添加物と混ぜ合わせた場合のリスクに関しては、安全性が疑問視されるデータが民間の機関から出ていても、そのままにされているものが多い。  また、いまだに安全性が疑問視される遺伝子組み換え農作物も、激安価格を実現するためには欠かせない。通常の作物よりも生命力が強靭で、収穫量も高いことから価格が安いのだが、その不信感は根強く、一部からはアレルギー、臓器異常、不妊、発がん性などの可能性も指摘されている。  遺伝子組み換え作物については、アメリカの農薬会社モンサントの日本進出が話題となっている。同社はすでに茨城県に実験農場を建設している。内部で見たことを口外しないという誓約書を書かされた上で、この農場を見学した人物は、その内部の様子を振り返った。 「周囲から完全に隔離された施設の内部には遺伝子組み換えの作物と、普通の作物が並んでいました。除草剤の効果で、普通の作物はほとんど枯れているのに対し、遺伝子組み換えのほうはピンピンしていた。『どうですか?』と自信満々に聞かれましたが、正直気持ちが悪かった」  作物が枯れてしまうほど強力な農薬が残っているかもしれないのに、本当に人体にとっても安全なのか、十分に議論・検証する必要があるだろう。また、現段階ではその多くに使用表示の義務があるので、日本人が直接口にすることは少ないように思えるが、実は、牛や豚などの家畜飼料として、大量に輸入されており、これらは表示義務がない。結果、我々も間接的にそれらを摂取しているのだ。 ■デフレ食品批判映画が圧力で潰された!?  こうした「安さのヒミツ」は、一部の書籍や雑誌などで報道される程度にとどまっている。自らも製薬会社・食品メーカーで添加物の研究や食品の開発にかかわりながら、『食品業界は今日も、やりたい放題』(三五館)などの著書もある小薮浩二郎氏は、業界からの圧力を指摘する。 「味の素などの大手食品メーカーが加盟する『日本食品添加物協会』は、食品企業幹部や国立大教授などの退職後の受け皿として機能しています。食品添加物に否定的な書籍や記述に対しては強固に反論を行うんです。かつて、食品に関するある書籍が爆発的にヒットした際、同協会から相当強いクレームが飛んだことがあります」  大企業や食品会社を後ろ盾に持つ同協会は、厚生労働省や消費者庁にさえ抗議を行い、その力は「消費者庁が潰れても、添加物協会は潰れないと言われている」(同)ほど。そして、同協会に対して尻尾を振っているのが、添加物を監視・監督する立場にある厚労省だという。特に食品業界に対しては、国は消費者よりもメーカー保護の立場。森永ヒ素ミルク中毒事件やカネミ油症事件くらい重大なトラブルが起きない限り、国の機関でも添加物に対してネガティブな研究は行っていないのだという。  では、自由に研究ができそうな大学機関などでの研究は進んでいるのだろうか? 「現在、大学には『産学協同』の風潮があり、企業の論理にのっとった研究が奨励される傾向にあります。一方、製品の欠陥について研究すると、学生の就職に如実に影響があるので、理系大学生の就職先の多くを占める食品メーカーにとって不利益となる研究は、積極的には行いません」(同)  このように産学官に守られ、食品会社は今日も我々に添加物満載の食品を提供しているのだ。  また、「食の安全」を脅かす彼らを無視し、自主規制を行うメディア側の弱腰姿勢も浮かび上がってくる。 『ありあまるごちそう』など、食の安全をテーマにしたドキュメンタリーを配給するアンプラグド代表取締役の加藤武史氏が『フード・インク』のキャンペーンの際に直面した事件は、この態度を端的に象徴したものだったという。 「普段エコやナチュラルフードを推進している、あるラジオ局に『フード・インク』のキャンペーンを手伝ってほしいという話を持っていったところ、DJの方々は非常に興味を持ってくれたのですが、局側は『一方的であり、応援をすることはもちろん、扱うこともできない』と激怒され、即却下されました。後日知ったところによると、この放送局の一番のスポンサーはコンビニとハンバーガーチェーンだった(笑)」  映画『スーパーサイズ・ミー』などでも描かれたように、マクドナルドやコカ・コーラには、人体に影響する物質が入っているなどとし、その安全性が疑問視されている。それらの企業が、安全でも割高になるナチュラルフードを推奨する映画に協力できないのは、なるほどと思うところがあるだろう。11年に食品業界がマスコミにばらまいた宣伝広告費は2660億円と、日本の広告費用における1割を占めている(電通「日本の広告費」)。大手食品メーカーの広告宣伝費にがんじがらめとなっている大手メディアもまた、食品業界の闇を告発することなどするはずもないだろう。  このような状況に「食品を取り巻く組織が硬直化している」と憤る加藤氏は、農林水産省から受けたある「圧力」も明かした。 「08年から農水省が主導した食料自給率アップを目指した『フード・アクション・ニッポン』というキャンペーンがあり、そのHP上に『フード・インク』の公開情報を掲載してもらうよう掛け合いました。運営を受託する電通とやりとりをし、情報を掲載してもらったのですが、その途端、農水省から『一方的で好ましくない』という圧力がかかり、ホームページから映画の情報を削除されそうになりました」  結局、この件は電通によって削除されずに済んだが、食に対して真摯に向き合ったドキュメンタリーを「好ましくない」の一言で排除する農水省の姿勢は、この国にはびこる食品事情を象徴している。 「食品の裏側を知ると、モノが売れなくなるという恐怖が、メーカー、小売店、外食チェーンにはあるのでしょう。冷静に考えたら、値段が安すぎる食品は多いし、お寿司やサラダが3日も日持ちするのもおかしい。そのような疑問の芽を、食品を取り巻く組織は必死で摘んでいくんです。『食品について何も考えるな』『黙って買え』というのが、彼らの本音ではないでしょうか」(加藤氏)  我々にとって身近な存在だからこそ、触れづらい食品業界。自主規制を撤廃し、不当な圧力を打ち消すといった努力がなされなければ、「食の安全」など、空虚なスローガンにすぎないのだろう。 (取材・文/萩原雄太) 【明日から食事をするのが怖くなる!? 「サイゾーpremium」では食品業界の闇に迫った記事が満載!】観たら外食ができなくなる? 食の安全を追求する海外傑作ドキュメンタリー味の素や牛角に直撃!! “激安食品”にまつわる怪しい噂は本当か?郡司和夫氏が食品添加物から分析──ラーメンの"うま味"調味料が怖い
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不祥事で人気声優が移籍!? アニメ誌が絶対書かない、隠されたオタク業界の”闇”

【サイゾーpremiumより】  日本を代表する文化であるアニメ、ゲームといった”オタク”文化だが、これらオタク業界のゴシップやタブーといった話題がメディアの俎上に上ることはそう多くない。業界内で封殺されることも多いというオタク界隈のタブーを、関係各所に聞いて集めてみた――。
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シリーズ初のMMO(大人数同時参加型オンライン)
RPGとして、今夏発売された『ドラゴンクエストX』。
"ダイス賭博"といった微妙な問題も取り沙汰され
たが、業界内外では評判も高い。
 アニメ、声優、ゲームといったオタク文化が、日本を代表する文化と呼ばれるようになって久しい。  テレビアニメ『けいおん!!』の主題歌CDが2010年8月16日付のオリコン週間ランキング2位を獲得するなど、アニメや声優のCDがチャート上位を席巻することは、もはや珍しくない。『NHK紅白歌合戦』にも3回連続出場している人気声優・水樹奈々は、10年に声優として史上初のオリコンシングルチャート1位を獲得。さらに11年末、東京ドームで2日間にわたるコンサートを成功させた。  その勢いは映画業界にも及んでいる。現在公開中のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』は公開1カ月で興行収入30億円を突破。12年の映画の年間興行成績ランキングでトップ10入りするのはほぼ確実視されている。さらに、ハリウッドでは『メタルギアソリッド』『ワンダと巨像』など、国産ゲームを題材とした実写映画が続々と製作決定している状況だ。  また、今年8月には、国民的RPGの『ドラゴンクエストX』がシリーズ初のオンラインゲームとして発売され、わずか3週間で50万本以上を売り上げた。同記録はパッケージでのソフト販売を行うオンラインゲームとしては異例の数字で、コアユーザー向けと思われていたオンラインゲームを一般層に普及させることで、ゲーム業界のさらなる鉱脈を切り開くことが期待されている。  そのほか、『らき☆すた』の埼玉県久喜市鷲宮や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の同県秩父市などを筆頭に、アニメの舞台となった街が「聖地」として観光PRに利用されるなど、オタク文化の一般社会への貢献は著しいものとなってきた。  そんな華やかなニュースが続くオタク業界だが、同業界のゴシップやタブーに触れた話は、広告を入れてもらい、宣材や取材を取り計らってもらう立場であるアニメ誌やゲーム誌といった専門誌で書かれることは当然ない。せいぜい信ぴょう性の薄いネットでの流言をお目にかかるぐらいだろう。だが、不況下で好調を呈し、産業として巨大化しているのならば、表に出てこない黒い噂のひとつや2つあってもおかしくないはず……。 「アニメ業界に顕著ですが、制作現場では同業者間の交流が多いため、悪い噂などが広がりやすい環境です。なので、業界全体で、悪評が立つ人物などは自然と業界を干されるという”自浄作用”が働いているといえるかもしれません。  一方で、オタク業界は『夢を売る』業界であり、『イメージ』を最も重要視するため、ゴシップなどを内々で処理してしまう傾向も見受けられます。声優のスキャンダルは声優事務所同士がスクラムを組んで外に漏れないようにするなど、閉鎖的な世界を作っていると感じることも多いです。事実、人気アニメ『けいおん!』に出演していた声優が不祥事を起こして事務所を放出されたものの、外に向けては単純な移籍と報じられましたから」  そう語るのは、アニメ・声優系業界関係者。オタク業界では、”二次元の夢”を守るため、業界全体が軌を一にしている部分があるという。  そんな中、関係各所への聞き込みを通じて見えてきた、「イメージ」というヴェールの向こう側にある「タブー」をご開陳。”オタク業界のタブー”を、とくとご覧あれ。 (文/菅 桂真) 【続きはこちらから!! 「サイゾーpremium」では他にもオタク業界のタブーをぶった斬る記事が満載!】「歌ってみた」に群がる素人と芸能界――芸能事務所にも所属済み! ニコ動”歌い手”たちの傲慢と嘘【完全保存版!?】声優の恋愛事情に、消された作品たち……オタク業界のタブー「紅白出場」声優アーティスト・水樹奈々が登場! 「二股活動」にかけるオモイとは?
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株価半値のフェイスブック”最強代理店”電通はLINEへ乗り換え!?

【サイゾーpremiumより】
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「週刊ダイヤモンド」2011年1月29日号
 9月1日、アメリカの株式市場「ナスダック」において、投資家たちがため息を漏らした。今年5月の株式公開後ずっと値下がりを続けていたフェイスブック(以下、FB)の株価が19ドルまで下落、ついに公開価格の半値を切ってしまったからだ。  アップルが時価総額で世界一の企業となったように、20世紀末以降のアメリカ経済はIT産業が牽引してきた。多くのIT企業が株式公開し、その後の株価上昇によって莫大な利益が生み出されてきたのである。 「マイクロソフトやグーグルなど著名なIT企業があらかた株式公開してしまった中、9億人が利用する世界最大のSNSという『最後の大物IT企業』。当然投資家たちも大きな期待を寄せ、ヘッジファンドから個人投資家までが、FBの公開株に殺到しました」(証券アナリスト)  ところがFBの株価は、上場初日こそ38ドルという公募価格を上回ったものの、その後は連日最安値を更新し続け、わずか4カ月足らずで半値にまで下落した。上場時で約1000億ドル(約7兆8000億円)だった時価総額は、9月には約400億ドル(約3兆1000億円)にまで下落してしまったわけだ。  その要因としては、スマートフォンへの対応の遅れや創業者マーク・ザッカーバーグの経営手腕への不安などが挙げられている。しかし、最も大きいとされるのが、FB上での広告の収益力の弱さである。 「SNSを活用した広告は、従来のマス広告よりも購買行動につながりやすいといわれている。企業の宣伝よりも友人からの推薦のほうが信頼できるから、というわけですね。ところが、FBの広告は思ったよりも効果がないとして、米ゼネラル・モーターズがFBでの広告を打ち切ってしまったんです」(同)  このFBの株価騒動を、太平洋を挟んだ日本から不安げに見つめる企業がある。日本最大の広告代理店である電通だ。同社は、日本におけるFB掲載広告を一手に取り仕切っている。FBのページにはいくつかの広告が掲載される設定になっているが、電通は日本ユーザー向けの広告表示枠をすべて買い切る独占的な契約【1】をFBと締結。このため、日本企業がFBで日本人向けに広告を出すためには、すべて電通を通す必要があるのだ。  インターネットにおける広告は、グーグルでおなじみの「キーワード広告」のように、低価格かつ低単価で、中小企業でも手軽に宣伝が行えるのが特徴だった。このため「ウチの会社は、テレビCMや大型キャンペーン広告など、大きな予算がつく広告がメインです。それに比べるとネット広告の予算は小さいので、ウチの会社では積極的には扱ってきませんでした」と、ある電通社員は説明する。しかし、テレビ・新聞・雑誌・ラジオという、いわゆる4大マス媒体のメディアパワーが下がり、一方でネットがメディアとしても広告媒体としても大きく伸びてくると、ネット広告に消極的だった電通は、大きく出遅れる結果となった。 「完全にネット広告に出遅れたため、会社全体にもかなりの危機感がありましたね」(電通社員)  その起死回生の手段が、FB広告枠の買い切りだったというわけだ。 ■“センス”がない電通という企業  しかし、2010年の時点で米国ではすでにSNSの最大手となっていたFBだが、日本ではミクシィやモバゲーなど国内企業によるSNSが大きく普及しており、FBの躍進は困難に見えた。そこで電通は、FBを「ビジネスユーザーのための最新鋭サービス」と定義して売り込む作戦に出た。具体的には、経済系ニュース番組や雑誌などに、FBを大きく扱うよう売り込んだのだ。10〜11年にかけて、「週刊ダイヤモンド」から「GQ」「anan」に至る複数の雑誌で、「FB大特集」が繰り返されたことを覚えている読者も多いだろう。そのウラには、FBの認知度を高めたい電通による、メディアの熱心な誘導があったのだ。もちろん、取り上げる側のメディアにもメリットはある。FBと近しい距離にある電通が取材の便宜を図ることによって、それまであまり日本メディアには露出しなかったFB日本支社、さらにはFBを活用している企業の取材が可能になったのだ。さらに、”天下の電通”ならばこそ、他のページに入る広告に関しても、なんらかの優遇策を”おまけ”としてつけるなどしていることも容易に想像できるだろう。  電通によるこうした売り込み、そしてFB自体が他のSNSよりも使いやすいこともあって、日本でのユーザー数は11年末には1000万人を突破、12年8月末時点では1500万人を超えたといわれている。またユーザー層も、各メディアへの大量露出の効果もあって、20代後半から40代前半の働く世代が過半数を占めており、可処分所得の高い層が集まるSNSという、電通の狙い通りの広告媒体に育ちつつある。  そうした折も折に起こったのが、5月のFB上場であり、その後の株価下落だったのである。 「ウチの会社はしょせん”日本的”な営業の会社。ITやネットを活用することは不向きなんです。先物買いのつもりでFBに投資しましたが、このままでは持ち出しに終わってしまいそうですよ」(電通社員)  ところが、電通も懲りずに次の狙いを定めているという。それがスマホでヒットしているチャットアプリ「LINE」だ。韓国系企業NHNの日本支社が開発したアプリで、高校生や大学生、女性などを中心に急速に普及している(詳細は「サイゾーpremium」で9月28日より更新予定のNHN特集を参照)。そのLINEの広告は当初、博報堂がメインで扱っていた。ところが、LINEが成功を収めつつあるのを見た電通が、「ウチにもやらせろ」と食い込もうとしているというのだ。 「海の向こうのFBよりはコントロールしやすそうということで、目をつけたようです。だけど問題は、そもそもネットのセンスに電通がついていけてないことなんですよ。FBのように国内メディアを総動員して知名度を上げたところで、『広告媒体としてあんまり価値がなかった』ではねえ……」(同)  社員が呆れるほどネットのセンスに欠けているという電通。テレビや新聞など旧来型の媒体が本格的に崩壊する前に新たな広告枠を、とネットに飛びついているが、FBについては失敗に終わる気配が濃厚である。  ネット上では、”アヤしい”宣伝活動はすべて「電通の陰謀」「ステマ」などと揶揄されがちだ。しかし、FBにおける同社の暗躍を見れば、それもあながちデマではないということになる。いわば、火のないところに煙は立たぬ。しかし、その火も実は、風前のともし火なのかもしれないのである。 (三森黒介)
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【1】独占的な契約 広告枠の「買い切り」は、電通に限らず大手広告代理店がよく行う手法である。人気のテレビ番組や新聞の紙面広告、雑誌の裏表紙など、多くの人の目に触れやすく、広告を出す側にも人気が高い広告のスペース、いわゆる”枠”をまるごと買い切って独占することで、広告料金をコントロールし、高値を維持しやすくなるのである。 ■下落し続けるフェイスブックの株価 「久しぶりの大型株上場」「第2、第3のアップル、グーグル」。鳴り物入りで5月18日に上場したフェイスブック。公募価格38ドルに対し一時は45ドルまで上昇したが、結局同日は38・23ドルで終了。メディアでは、一気に「期待はずれ」感が広まった。その後は30ドル前後をうろうろしていたが、8月以降は20ドル台前半にまで低迷していたのだ。 【「サイゾーpremium」では他にも話題のニュース記事が満載!】ブランド価値”1500億円”日経 の失態 読売と「リーク元公開」で業界騒然!第2のリクルート事件?”疑惑にまみれた”JAL再上場の舞台裏“脱税””隠し子”騒動でGACKTがピンチ! ベールは剥がされるのか
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ハードコア番組『BAZOOKA!!!』演出家が考えるテレビ界のタブー 地上波はもはや”テレビの墓場”

【サイゾーpremiumより】
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(写真/佃 大平)
 BSスカパーで毎週月曜22時から1時間生放送で『BAZOOKA!!!』という番組が放送されている。出演陣はMCに芸人の小籔千豊と俳優の真木蔵人。脇を固めるのは、エリイ(Chim↑Pom)、高垣勇二(格闘家・モデル)。このメンバーを見ただけで、何かヤバいことが起きるに違いない! とピンとくる人も多いだろう──。  まず今回インタビューを受けていただいた岡宗秀吾氏が演出を手がける『BAZOOKA!!!』(BSスカパー)について説明しよう。放送禁止スレスレの芸人たちを集めた「放送NG演芸」や、「FUCK風営法」と題して、風俗営業法違反でクラブが摘発される事案を受けて、クラブ界の重鎮・大貫憲章やラッパーのZeebraなどが風営法のあり方について考えるなど、多彩かつアナーキーな企画でテレビ好事家に大きな支持を受けている番組である。そこで岡宗氏にテレビ界の現状やテレビにおけるタブーについて伺った。 ──今回の特集テーマは各メディアのタブーなんですが、テレビの現場でタブーを感じることはありますか? 岡宗 取材依頼をいただいたので考えてみたんですけど、結局タブーがあったとしても、ボクら現場のディレクターが線を引くわけじゃないんですよ。プロデューサーや放送局がどう対応するかっていう問題で。たとえばボクが今かかわっている『BAZOOKA!!!』も、過激に見えますけど、局側と了解がとれているからできることなんですね。むしろスカパーさんに「なんであんな番組やってるんですか?」って聞いてほしいぐらい(笑)。 ──企画自体はスムーズに通ったんですか? 岡宗 もともと5~6年前から原型となる企画はあったんです。それで去年10月にBSスカパーが開局するにあたって自前の番組を作りたいという話があり、そこにハマったんです。BSって視聴者に選択されないと見てもらえない環境ですから、だったら少し刺激的な内容で「こんな番組もやってますよ!」ってアピールしたいということだと思います。 ──毎回、ゲストのキャスティングが攻めてますが、上祐史浩氏が出演された時は、「何で出すんだ?」みたいな声があったりはしませんでしたか? 岡宗 そうした反響があったことは確かです。ボク自身、今でもよかったのか悪かったのか悩むところです。彼は、95年に起きた一連のオウム真理教事件の時はロシアにいたので実行犯ではないし、重要犯罪の罪にも問われていない。けど、同時に現在も公安警察にマークされてる宗教団体(ひかりの輪)の代表でもある。この状況で世間が「いっさい彼の話を聞くつもりはない」ということでいいのか? っていう問題もありますよね。ただ、『BAZOOKA!!!』はエンタテインメント色が強いし、音楽ライブまで一緒に流しちゃうんで、罪作りな部分もある放送だったとは思います。でも、ボクとしてはオモロくないってのはイヤだし、やっぱりセンセーショナリズムっていうスケベ心もある。それにアブない部分を削って、排除して、安心して観れるようにガチガチに固めるっていうのも違うと思って。そこは常に自分の中の倫理や正義と向き合いながら作るしかないんですね。特に上祐さんの時はスタッフ内でも意見が割れましたから。 ──最終的に決断するのは岡宗さんなんですか? 岡宗 いや、そこで判断したり、覚悟するのはプロデューサーですね。ボクらはあくまで「この素材、使えますか?」って聞く料理人の立場で。 ──上祐氏については「いいよ」と。 岡宗 そういうことです。実はスカパーのプロデューサー陣って、多くが地上波の局からの出向なんです。そこが面白くて。つまり、彼らはテレビにおける規制の問題をよくわかった上で、ボクらにゴーサインを出しているんですから。 ──BSやCSが多少、治外法権的な場所になっているということでしょうか? 岡宗 ……という部分も多少はあるのかもしれないですね。だからこそ、むしろボクらはマナーよくしなきゃとも思ってますね。 ──先日(8月13日)放送された「熱演AV女優チャック下ろす前に大賞!」では、絡みシーンまでちょこっと流れたのが衝撃でした(笑)。 岡宗 ウチの和田英智ってディレクターが担当したんですけど、ボクも意外でした(笑)。ボクとしては、セックスを見せるのは本意ではないんですけど、乳首はいいんじゃないかと思うんです。今、地上波では、乳首はNGなんですね。でも、ネットで過激なエロが、子どもでも閲覧できてしまう時代じゃないですか。それに比べたらボクらなんて、乳首しか見せられないし、ガチの喧嘩も見せないし、現役の暴力団も呼んでないし……タブー云々、以前の話ですよ(笑)。 ■「テレビが面白くなくなった」という物言いは本当か? ──昔はNHKだってヤクザのドキュメンタリーを流していたんですけどねえ。 岡宗 山口組と一和会の抗争とかね(笑)。あれこそ、今は絶対タブーでしょう。あと、そういうわかりやすいのだけじゃなくて、知らないうちにダメよってことが増えているのも事実ですね。ある局では「罰ゲーム」って言葉がNGで、「お仕置き」に変えてくださいとか。 ──そういう言葉でイジメが助長されると? 岡宗 そう、「罰をゲームにしちゃ、ダメ」って。でもそのストップもだいたいが自主規制で、結局はプロデューサーが腹くくるつもりあるのか? いや、そんな言葉一個で腹くくる訳ないじゃないか! とか、そういうことだったりするので(笑)。 ──何を恐れての自主規制なんですかね。 岡宗 一番大きいのはクレームですよね。クレームもいろんな次元のものがありますけど、「クレームがあった」っていうことが、社内の低評価につながり、クライアントも嫌がるところがあるんでしょうね。 ──そこは番組作りの足かせになったりするんですか? 岡宗 なくはないですけど、ボクは規制をなくしたいとか、変えようとか、そういうことではなくて、まず「面白い」ってことが先にあって、それを実現したいだけなんですよ。さらに構造的なことに突っ込んで言うと、よく「テレビが面白くなくなった」っていう話がありますけど、実際はそんなことないと思うんです。むしろ見せ方の技術については進化していて、3年前の番組ですら今観ると古く感じるぐらいです。じゃ、何が変わったのかというと、その「テレビが面白くなくなった」と言いがちな20代後半~40代の男性向けの番組が減ってるんですよね。 ――それには理由があるんですか? 岡宗 理由はいくつかあると思いますが、かつて視聴率ってビデオリサーチとニールセンの2社が調査していたので、2%ぐらいの誤差があったんですね。それが00年にニールセンが撤退し、指標が1つになった。しかも毎分グラフや年齢性別なども細かく出し、数値が絶対化したんですね。だから、テレビマンがそのゾーンにボールを放ってみても、ネットでは盛り上がってるように見えたとしても、全体の視聴率では、そこにお客さんはあまりいないことが明らかで。だってそのゾーンはゴールデンタイムにテレビの前にいないんだもん(笑)。深夜番組だってゴールデンに行こうと意識して作りますし、そうなるとよっぽどのことがないと、数字の取れない「男向けのオモロい企画」は当然、通りにくいんですよ。 ──面白いだけじゃなく、ターゲットが見えないとダメっていう。 岡宗 テレビ制作のお金の流れを考えればそれは当たり前の理屈なんですけどね。まぁそれでも成功例がゼロではないし、頑張ります! としか言えないです(笑)。 (構成/九龍ジョー) 岡宗秀吾(おかむね・しゅうご) 1973年、神戸生まれ。演出家。代表作にDVD『全日本コール選手権』シリーズ、『とにかく金がないテレビwithYOU』、『相談バカ一代』(共にテレビ東京)。参加番組として『クイズ☆タレント名鑑』(TBS)など。また、バナナマン単独ライブのディレクターを8年務め、大根仁氏(演出家、映画監督)と「テレビマンズ」というユニットを組み、トークイベントなどを行っている。 【「サイゾーpremium」では他にも世に有り余るタブーをぶった斬る記事が満載!】「雑誌界の墓場」ことサイゾー編集部が勝手に提言! テレビ界が抱える悩ましきウィークポイント朝日新聞・奥山俊宏記者に訊く! すべてを露わにするタブーなき調査報道愛するものは、仏像、ダム、ウルトラセブン! 女子アナ・小林悠の"タブー"を恐れぬ気骨に迫る!
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【後藤まりこ】ダウナー系パンク娘が、恨みを綴った「恨み帳」を閉じて、イメチェン?

【プレミアサイゾーより】 ──00年代に、坊主頭にセーラー服の個性的すぎるいでたちと、ハードコアパンクなパフォーマンスで音楽ファンを驚かせたバンド・ミドリの後藤まりこがソロデビュー! 
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(写真/三浦太輔 go relax E more)
 サウンドもヴィジュアルも、ふっきれたようにキュートに!? かつて後藤まりこがギターとボーカルを担当していたバンド・ミドリの解散から1年半以上たったとはいえ、このイメチェンぶりには驚かされた。彼女に、いったい何が起こったのか? 率直に本人にぶつけてみると、客観的にこんな分析をしてくれた。 「後藤まりこさんはね、以前はジャズ・パンクと言われるような激しい音楽性のバンドをしていた方なんですけれども、どうやら世間的には丸くなられたみたいで(笑)。でも、一見ポップになったと思われがちやけども、実際には、今でも、いつでも心にハードコアを持っているみたいですよ」  そう、かわいらしい見た目にごまかされそうになるが、この人の漂わせる、ストイックな表現者特有の緊張感は昔から変わらない。しかし、そんな後藤も、バンドの解散後は音楽活動を完全に辞めるつもりだったという。 「辞めるつもりだったというか、スッパリ辞めたんです、一度は。そしたらすごーく開放感がありました。遊び歩いたり、ヨガ教室に通ったりもしたんですよ。ぜんぜん続かへんかったけど。  そのうち震災があったりして気持ちが大変だったりする中で、だんだん虚無感とか焦燥感が襲ってきて、そのときに『あ、ボク、音楽のことがすごく好きやし、大事やった』ってことに気づいたんですね。  それで、すごく葛藤もあったし、ずっとミドリのこと思ってくれてた人や、いろいろ迷惑をかけた人には悪いけど、もう一回、音楽をやってもいい? って」  曲はすぐにできた。鼻歌でメロディーをつくり、歌詞も自然と浮かんできた。 「素晴らしい!『今日』という日は/私を肯定しまくる、メロディー」(「ままく」)。  一度、音楽から離れたとはいえ、今作はどの曲もポジティヴ感に溢れているのには、なにかきっかけのようなものがあったのだろうか? 「うん……あった、と思います」  何かを思い出すように、ゆっくりと口を開く後藤。ちなみに彼女はバンドの解散直前に結婚をし、今回、ソロ活動を開始する前に離婚をしている。そのことも関係している? 「そうですね。詳しくは言わないですけど、その人といろいろ話したことも関係していると思います。ただそれだけに限らず、生きていることで体験するすべてに影響されてて、その上でのアウトプットなので。音楽で何か言いたいとかではなくて、ただ普通に音楽をやろうとしたら、こうなったんです」  新しい曲たちを支えるバックバンドには、気心の知れた腕っこきたちが集まった。かつてのバンド活動とは、やはり違うものになったのだろうか。 「ぜんぜん違いますね。以前はバンドという運命共同体を自分ひとりで背負おうとしてしまっていたんですけど、今はボクの好き勝手にやらせてもらって、それに対してメンバーからいいレスポンスを返してもらってる。すごく楽しいです。あと、昔はイヤなことがあっても、その場では絶対言われへんかったのが、今はバンバン口に出せるようになった。バンド練習の初日に、ドラムの千住(宗臣)くんと個人的なことでいきなり口論になったんやけど(笑)、そのまま初日からメッチャ飲んで、いろいろぶつけて仲直りして。青春!! みたいな。そういう意味では、ホント変わったなぁって思う」  かつては対人関係でイヤなことがあると「恨み帳」に事細かく記録していたという後藤。だが、それももう必要なさそうだ。 「まだ家に置いてあるんですけどね、恨み帳(笑)。でも、もう必要ないでしょう。今は音楽を、すごく普通のこととしてできているのが、楽しくてしょうがないんです!」 (文/九龍ジョー) 後藤まりこ(ごとう・まりこ) 大阪府生まれ。2003年に結成したロックバンド・ミドリのボーカルとギターとして活動。10年にバンド解散後、一時の活動休止期間を経て、ソロデビューを果たした。ミドリ時代は、坊主頭にセーラー服、裸足でステージを駆け回るなど、強烈な個性で音楽ファンを魅了。8月からロックミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』に出演する。
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『299792458』 後藤まりこ初のソロアルバム。ゲストミュージシャンとのジャムセッションを経てできたという本作。ポップなメロディーと骨太なバンドサウンドの中で、後藤のボーカルがより引き立っている。アルバムタイトルは、『299792458』と書いて “ごとうまりこ”と読むらしい。そんなところが”相変わらずなゴトウさん”っぽいです。 発売:デフスターレコーズ 価格:(初回生産限定盤)2800円 (通常盤)2300円(共に税込) 発売中 【「サイゾーpremium」では他にも話題のアノ人に迫るインタビュー記事が満載!】【大川きょう子】「幸福の科学」を離れ、みちのくで被災地支援にいそしむ”ナイチンゲール(!?)”【松井珠理奈】板野友美に認められたい!AKB48に乗り込んだ名古屋のエース【伊集院光】──“黒”伊集院が見せる、自らのタレント性をダメにする地上波NG番組
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「LINE」爆発的普及の裏にあるガラケー文化の巧みな利用法

【プレミアサイゾーより】
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送るスタンプを選んでタッチしたその瞬間には、
もう相手に送信されている。この速さはこれま
でのメッセージングアプリにはなかったものだ。
ただし、送り間違いには注意!
進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!  使ったことはなくとも、多少ITや新サービスに興味があれば聞いたことはあるだろうスマホアプリ「LINE」。NHN Japanによって開発されたこのアプリは、なぜこれほど話題を呼び、ユーザーを増やしているのか? 久々の日本発のヒットサービスとなりそうな、このアプリのすごさを探る。  LINEというアプリの成長ぶりが今、IT業界で話題騒然となっている。  LINEは、NHN Japanが開発した、スマホ向けのメッセージングアプリだ。NHNは韓国企業で、元の社名をハンゲームといった。検索エンジン「NAVER」を運営していることで有名で、日本でも「NAVERまとめ」というキュレーションサービスが人気を集めている。最近では、ライブドアを買収したことでも知られる。LINEはこの会社のサービスだが、日本法人主導で開発されており、実はほぼ純国産のアプリ。そしてLINEのユーザー数は、今すごい勢いで伸びている。国内のユーザー数は1800万人、世界ではなんと5000万人。今年4月以降、毎月500万人以上のペースで伸び続けており、グローバルプラットフォーム化に成功しつつあるといっていいだろう。  このLINEの最大の注目点は、日本がかつて誇ったガラケー文化のエッセンスをうまくスマホの世界に持ち込み、「つながり」を軸としたコミュニケーションの演出に成功したことだ。  持ち込まれたガラケー文化のエッセンスのひとつは「電話番号」であり、もうひとつは「スタンプ」だ。  LINEはスマホのアプリだが、スマホっぽいところが全然ない。たとえば普通のスマホアプリだと、アカウントを取得するのにIDやパスワードを設定したり、フェイスブックやツイッターと連携させたりといった登録作業が求められるが、そういう面倒さはLINEからは排除されている。そもそもログインという概念さえ排されていて、即座に使い始められるようになっている。  携帯電話というのは、非常に直感的なデバイスだ。ガラケー時代にはこの直感性が重要視され、だからこそ老若男女多くの人に使われるようになったといえる。日本が2000年代前半のガラケー時代にモバイル先進国となれたのは、こういう直感性を重視し追求したからではないか。ところがその直感性は、スマホの波の中で徐々に失われつつある。スマホという「モバイルのPC化」によって、モバイルにPC的なインターフェイスが持ち込まれたため、直感性が減少しているのだ。  LINEはここをうまく乗り越えて、スマホアプリでありながらガラケー的な直感性を実現しているように思える。ログインの排除や電話番号をベースにしたメッセージングがそうだ。 ■古くて新しい「つながり」を推す機能  そしてこの「ガラケー的な直感性」を、スタンプ機能が強力に後押ししている。スタンプとは、アイコンや顔文字をさらに大きくした画像で、メッセージとして送信できるものだ。テキストに添付するだけでなく、スタンプ単体で送ることで、相手にちょっとした感情をワンクリックで気軽に送信できるのが特徴だ。  6月に北海道で開かれたIVS 2012 SpringというIT系のイベントでのセッションで、NHN Japan執行役員の舛田淳氏はこう話していた。 「スタンプはもともと絵文字からスタートしたけれど、絵文字よりもっとカジュアルに気持ちを伝えられるものがないかということを考えた。テキストの最後にニュアンスとしてつける絵文字でさえも、時間がかかる。それよりもインスタントにカジュアルに送信一発で伝えられないか。そういう発想から、単体で送れる大きい絵柄の画像を考えた」  スタンプのキャラクターも工夫をしたという。ただ可愛いだけではなく、ちょっと怖い感じのキャラクターが中心だ。 「『キモカワ』といわれるような若干の毒があるのは、さまざまなスタンプを用意してリサーチしてみた際、若い女の子は『これがいい』という反応だったから。意見が真っ二つに分かれたので、だったら反対意見があまりないものよりも、反対があったほうを選んだほうがいいだろうという判断となった」 「これらのキモカワのスタンプは、フェイスブックやツイッターには向かない。なぜなら『怒ってるウサギ』とか『困ってるクマ』というのは、単体では何の感情を表現しているのかわかりにくく、送信側と受信側の人間関係の中でだけ意味を持ちうるから。つまりクローズドなメッセージングだから成り立つ感情なのだ」  これは非常に鋭い分析だ。インターネットには「情報流通」機能と「つながり」機能があるが、フェイスブックやツイッターなどはどちらかといえば前者に傾斜している。日本ではミクシィが後者の「つながり」を前面に打ち出したSNSだったが、若干失速してしまった。この隙を狙ってLINEが「つながり」メディアとして急成長してきた。その背景には、日本の若者のクローズドな人間関係にうまくはまり込む機能を巧みに提供できているからだろう。  なお先ほどのIVSのセッションでは、司会を務めたヤフーCIO松本真尚氏が、こんな興味深い質問をしていた。 「LINE利用者はキャバ嬢とかが圧倒的に多くて、ほぼ100%使ってるという話もある。LINEを使うと、モテ率が30%ぐらい高まるのでは?」  水商売系でLINE率が高いというのも、ガラケー文化を強く感じさせる象徴だ。もともと水商売系には、フェイスブックやツイッターのようなオープンな情報流通系SNSはそぐわない。キャバ嬢とフェイスブックのフレンドになったりすると、ほかの交友関係にすぐばれてしまって、いささか恥ずかしいことになる。それに比べればLINEはクローズドなメッセンジャーなので、他者にばれないですむというメリットがあるわけだ。  そもそもコミュニケーションは多様である。相手によって、TPOに応じてコミュニケーションのメディアを使い分けるというのは当然の作法となっていくのだろう。  先ほどの質問に、NHN Japan社長の森川亮氏はこう返答した。 「(水商売に限らず)やっぱりコミュニケーションが大切ということ。コミュニケーションって、何のためにやるのだろうか。フェイスブックは情報伝達したり、意味を求めるコミュニケーションだけれど、LINEは気持ちを伝えるコミュニケーション。テキストより、その時の気持ちをさくっと伝えられる。知り合いとのコミュニケーションって、そういう伝達がけっこう大事なのでは」  さらにLINEは、ビジネスモデルまでもガラケー的だ。フェイスブックやツイッターのように広告で儲けるのではなく、アイテム課金を持ち込んでいるのである。メッセージで送るさまざまなスタンプを、購入できるようになっているのだ。これはグリーやモバゲーのような日本のソーシャルゲーム業界が構築してきたアイテム課金のモデルを、うまくメッセージングに持ち込んだということで、たいへん興味深い。  森川氏は「機能が多いよりは、使いやすさ・わかりやすさ・直感的な使い勝手が大切」と話していた。せっかく育ったガラケー文化をスマホの波で見失ってしまうのではなく、時代に適合させる形で進化させていくというのは、なんとも素敵である。 (文/佐々木俊尚) 楽天の電書リーダーの破壊的価格 7,980円 2012.7.19 楽天らしい爆安でキンドル発売に対抗! 楽天が満を持して発表した電子書籍リーダー「コボタッチ」は、8000円を切る思いきった戦略的価格。ソニーリーダー・1万6800円、シャープGALAPAGOS・2万4800円などと比べると非常に安い。しかし発売当初アクティベーションができないといった不具合があり、苦情が殺到。波乱の幕開けとなった。 【佐々木が注目する今月のニュースワード】 ■マリッサ・メイヤー 迷走する米ヤフーの新CEOに、グーグルの「顔」として知られてきた古参女性幹部のマリッサ・メイヤーが就任。おまけに現在妊娠中で秋に出産予定ということで、アメリカのIT業界では話題沸騰している。果たしてヤフーを復活させられるか。 ■クラウドワークス 今、日本で急成長中のクラウドソーシングサービス。仕事が欲しい技術者やクリエイターと、仕事を発注したい企業や人を結びつける仕組み。スタートして3カ月あまりで、募集案件総額が3億円を突破した。 ■リトルモンスターズ レディ・ガガがスタートさせた独自のSNS。これまでタレントやミュージシャンはフェイスブックやツイッターなどの大手サービスを利用するだけだったが、今後はオウンドメディア(自社メディア)を持つケースが増えてくるかも。 佐々木俊尚(ささき・としなお) 1961年生まれ。毎日新聞、アスキーを経て、フリージャーナリストに。ネット技術やベンチャービジネスに精通。主な著書に『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『キュレーションの時代』(ちくま新書)ほか。3月16日に『「当事者」の時代』を光文社新書より上梓。 【「サイゾーpremium」では他にも気鋭の識者による連載が満載!】町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」/食事はマクドナルドに!?落ちゆく“裸の”女王様高須基仁 の「全摘」/三才ブックスのDVDコピーソフト販売問題で社員4人逮捕は「みせしめ」、公のいじめだ!神保哲生×宮台真司「マル激 TALK ON DEMAND」/リオ地球サミットの約束はなぜ果たされなかったか
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「マスコミには清武の味方になる理由がないだけ! 巨人の裏金は他球団が悪い」エモやんが語る球界と巨人

【プレミアサイゾーより】
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(写真/丸山剛史)
──元選手であり、著作やスポーツ紙などで持論を展開してきた”エモやん”こと、プロ野球解説者の江本孟紀氏。彼は、巨人にまつわる一連の事件や現状をどのように見ているのだろうか。  清武(英利)さんの乱は、ただの内輪もめだよね。GM(ゼネラル・マネージャー)を清武さんにやらせてしまったのがそもそも問題だったんですよ。彼は読売新聞の社会部で部長をやっていて、大きな事件を追いかけたりしていたかもしれないけど、野球に関しては素人。それを育成制度が評価されて勘違いして、チームの編成や人事にまで首を突っ込むようになった。現場からしてみたら、「野球素人に何がわかるんだ」っていう気持ちが強いですよ。補強にしたって、使えない外国人選手を取ってきては、現場に押し付けて。原(辰徳)監督も大分不満がたまっていたはず。ほんとは熱血漢だったのかもしれないけど、結果球界と自分のイメージを悪くしただけでしたね。  そもそも、アメリカのメジャーリーグ(MLB)のように、GM制度を取り入れたいんだったら、まずは複数オーナー制にするなど、組織の作り方からMLBに倣うべきなんですよ。日本の場合は親会社が100%出資している球団に、上から出向してきた形だけのGMでしょう。結局親会社やオーナーの発言力が強くなるから、上辺だけの制度を取り入れたって上手くいくはずがない。清武さんがGMに就任した時に、僕は「清武さんは読売を退社して、GMとして巨人と契約するべきだ」って主張したんだけど、結局出向の形でGMになって、結果、こうなっちゃった。当時、偶然清武さんと飛行機で隣の席になったことがあって、乗っている間中、MLBのシステムに関してレクチャーもしたんだけどね。その時は感心してたのになぁ……。こんないざこざが起きた場合、MLBだったらコミッショナー【編註:各チーム、各団体の上に立ってその統制をとる最高権威者のこと】が最大の権限を持っているから、巨人に厳重注意したり、処分したりできるんだけど、日本の場合コミッショナーはただのお飾り。結局、巨人を筆頭に、12球団のオーナーの権限ですべてが決まってしまうんです。  この一連の件に関して、一部では「球界関係者は巨人が怖くて、ナベツネ(渡邉恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆)のことをバッシングできないんだよ」って言う人もいるけど、この件では巨人に敵対するというよりも、清武さんの味方になる理由がないんだよね。ナベツネさんにも悪いところがあるのはわかってるけど、我々だって現場のことがわかっていない素人に対しての意地がある。日本シリーズ直前に会見を開くあたり、その感覚がズレているでしょう。本当に野球を愛している人間なら、大事な試合の前にあんな騒動を起こしたりしませんよ。  それに巨人って、本来は批判に対して懐が深いんですよ。僕もスポーツ紙なんかにいつもボロクソ書いていますけど、文句言われたことなんか一度もない。だから、巨人を恐れて批判しないっていうムードはないよね。そうそう、ナベツネさんって、あれだけ巨人のことをボロクソに書いている「夕刊フジ」のことも、意外と好きだったりするんですよ。ある記事を気に入って、その記者を読売新聞本社に呼んだりしたこともあるらしくて。ところが「夕刊フジ」は、当時清武さんから出入り禁止を食らっていてさ。それを聞いたナベツネさんの鶴の一声で、出禁が解除になった。でもその記者は、「出禁のほうが遠慮なくボロクソにできたんだけどねぇ。かえってやりづらくなったよ」なんてボヤいてましたけど(笑)。 ■「どこも買えないんだろ?」契約金問題の本当の事情  今回の件に関しては、”飼い犬に手を噛まれた”ナベツネさんを見てるのも面白いし、ナベツネさんも自分の発言がメディアに取り上げられて騒ぎになっているのを楽しんでいるところもあるでしょう(笑)。あの人はエンターテイナーだから。とはいえ、ナベツネさんも86歳。さすがにもう長くないし、巨人はナベツネさんが死んでからが問題だよ。あの人がいなくなっちゃうと、各球団が好き勝手言い始めると思う。だから、それまでにMLBのようなコミッショナーを頂点とした球界システムを整えておく必要がある。その場合もやはり、巨人が先頭に立って旗を振らないといけないと思うよ。  巨人は金満球団で、なんでも金にモノを言わせているという印象が強いけど、もともと10億円とも言われた阿部(慎之助)や高橋(由伸)の契約金や裏金疑惑に関しても、巨人だけを責められる話じゃない。そもそも、他球団が有望選手を巨人に取られないように裏金を渡し始めたんだから。FA(フリー・エージェント)制度で強引な補強をしていると言われている件も、他球団が年棒の高いFA選手を雇えないから巨人が手を挙げているだけ。「どうせどこも買えないんだろ?ウチは金あるから買うけど」みたいな(笑)。まだまだ、懐にも体力的にも巨人には余裕がある。やはり、巨人が率先して改革しないとプロ野球は変わらないですよ。ソフトバンクの孫(正義)さんや、楽天の三木谷(浩史)さんのような、新時代の経営者とか呼ばれてる人たちが参入してきて、大きく変えてくれるかなと思いきや、結局彼らだって、旧態依然としたシステムの中でしかやれていないでしょう? それがいい証拠です。  僕の年代だと、心の隅に”巨人願望”ってあるのよ。四国の田舎(高知)出身だから巨人しか知らなかったし、長嶋(茂雄)さんに憧れたりもした。僕が現役だった時代だって、毎日テレビ放送があって、後楽園球場に観客が5万人も入っていて、巨人はとても人気があった。世の中全体に「巨人に勝たせなきゃいけない!」っていう空気すらできてたからね。巨人と対戦してると、7回くらいから急にストライクゾーンが厳しくなったりして(笑)。審判が意識的にやっていたのかどうかはわからないけど、それだけ、巨人中心に野球界が回ってたんだよ。でも、僕は阪神タイガースに入って、巨人が”親の敵”みたいになっちゃった。だから、巨人愛は持っていないけど、球界を変革してくれることには、これからも期待してますよ。 (文/高橋ダイスケ) 江本孟紀(えもと・たけのり) 1947年、高知県生まれ。現役時代は南海ホークスや阪神タイガースで投手として活躍し、引退後は、野球解説者、政治家として活躍。エモやんの愛称で親しまれ、南海時代から、その歯に衣着せぬ物言いで人気を集めた。近著に『野村克也解体新書』(無双舎)、 『「アホ」がプロ野球を滅ぼす』(KKロングセラーズ)ほか。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人タブーを暴く記事が満載!】『Gファイル』執筆者のジャーナリスト・武田賴政が指摘! 「球界が角界のように腐敗するかの分水嶺」スポーツライター永谷脩が苦言「ついに表面化した巨人軍の”カネ”と”驕り”」「週刊ベースボール」編集長・小林光男が語るファン心理 盟主だからこそ表に出た醜聞の意義とは?
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活字の過剰供給と電子書籍化によってついに書物から”アウラ”が消滅!? 書籍の価値が減りゆく理由

【プレミアサイゾーより】 ──国家とは、権力とは、そして暴力とはなんなのか......気鋭の哲学者・萱野稔人が、知的実践の手法を用いて、世の中の出来事を解説する──。 第25回テーマ「出版デフレで欠如した書籍の物神性」
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[今月の副読本] 『複製技術時代の芸術』 ヴァルター・ベンヤミン/晶文社(99年)/1995円 複製技術は芸術になにをもたらしたのか? そこで得たものと失われたものとは? 複製技術というテクノロジーの発展から、芸術のあり方を再考した、ドイツを代表する思想家の論考集。他、「写真小史」など4編を収録。

 近年いろいろなところで「本が売れなくなった」という声を聞くようになりました。少し前には新書ブームがあり、一時的に出版市場が盛り上がったようにも見えましたが、それもいまや沈静化しています。私も出版の世界で活動している人間ですので、本が売れなくなったという事態は決して他人事ではありません。  その事態は数字によってはっきりと示されています。日本の出版市場は1996年に過去最高の2兆6563億円を記録して以降、縮小の一途をたどっています。2009年には21年ぶりに2兆円台を割り込みました。この2兆円台の割り込みはニュースでも報じられたので、知っている人もいるかもしれません。2010年はさらに落ち込んで1兆8748億円になりました。1996年と比べると3割近くも減少しています。これでは多くの出版関係者が「本が売れない」とボヤくのも仕方のないことですね。  興味深いのは、このように出版市場が縮小の一途をたどっている一方で、新しく刊行される書籍の点数は増えているということです。1996年には6万3054点だった新刊書籍刊行点数は、2010年には7万4714点になりました(2009年はもっと多くて7万8555点でした)。つまり、かつてより多くの本が出版されるようになっているにもかかわらず、それぞれの本の販売部数はそれに反比例してどんどん減っているのです。  これは出版社にとっては、一点ごとの書籍の販売部数が減っているので、できるだけたくさんの書籍を刊行することで全体として利益を維持しなくてはならない、という状況を意味します。これはキツイですね。仕事はどんどん忙しくなる反面、だした本はたいして売れることなく、すぐに書店から姿を消していってしまうわけですから。私の周りにも、つくる本のノルマが増えて悲鳴をあげている編集者がたくさんいます。そうなると、いい本をじっくり時間をかけてつくるなんてことはもうできません。  では、なぜ本が売れなくなってしまったのでしょうか。しばしばその理由として「若者の活字離れ」が指摘されます。しかしその指摘はまったく正しくありません。というのも、若者は活字から離れているどころか、逆にかつてなく活字に触れているからです。メールやSNS、インターネットのサイトやブログなど、彼らは携帯電話やパソコンをつうじてつねに活字を読み書きしています。年長世代だって、仕事や私用で、多い人では一日に何十通ものメールをやり取りしますよね。メールの登場によって、私たちは人類史上最高といっていいほど手紙(メール)のやり取りをするようになりました。それだけ現代の私たちは活字を読み書きしているということです。本が売れないというとすぐに「活字離れ」が叫ばれますが、実際にはまったく逆の事態が進行しているのです。  むしろ、ネットやメールなどをつうじて活字があふれすぎてしまったために、わざわざ書物によって活字に触れたり、知識を得たりする必要性が低下してしまったぐらいです。ニュースについても同じですね。いまやネットでだいたいのニュースを読むことができるようになったために、わざわざ新聞を買ってニュースを手に入れる必要性が低下してしまいました。実はここに、書籍や新聞の販売部数が低下した大きな要因があります。書物が活字に触れるための特権的な媒体ではなくなってしまったんですね。「活字離れ」ではなく「活字の過剰」こそが、本が売れないことの背景にあるのです。  この「過剰」は書籍そのものの過剰にもつながっています。先ほど、出版市場は縮小しているのに書籍の刊行点数は増加していると述べました。これは読者の側からすれば、次から次へと新しい本がだされるので追いつけない、という状況を意味します。書籍を一つの消費財としてみたときに特徴的なのは、消費する(つまり読む)のに時間がかかる、ということです。次から次へと本がだされても、一日は24時間しかないし、現代人はますます忙しくなっていますので、読みきれません。ブランド物のバッグとかアクセサリーなら、次から次へと商品がだされても、お金さえあれば使い捨てのように消費して、それに応えることができるでしょう。しかし、消費に時間がかかる書籍のような消費財は、たくさん供給されたからといって、その分市場が開拓されて消費が拡大するわけではないのです。  供給が過剰になればどうなるでしょうか。当然、値が崩れます。つまりデフレですね。少し前の新書ブームとは、まさに出版市場における価格破壊でした。それまでは1500円したような書物が新書になって700円程度で買えるようになったわけですから。事実、全体でみても書籍の平均単価は年々低下しています。簡単にいえば利益がでにくくなっているわけですね。新書ブームが起こったとき出版界はわきたちましたが、実際にはそれは出版市場のさらなる低迷へのレクイエムだったのです。  ちなみに、供給過剰が価格低下を引き起こすというのは、日本経済を悩ませているいまのデフレ現象とまったく同じ構造です。もちろんデフレの背景は複雑です。が、出版市場における価格低下はデフレのメカニズムを理解するための一つのヒントを与えてくれています。供給過剰がデフレの大きな要因の一つである以上、規制緩和などによって生産性を上昇させてもデフレがいっこうに解消しないのは当然といえば当然です。実際、出版業界でも、あまりに簡単に書籍が編集され出版されるようになったという生産性の上昇が、価格低下を引き起こしました。  問題は、ここまで活字が過剰になり、書籍も過剰になると、書物そのものの性格が変わってしまうということです。ネットなどをつうじた活字の過剰によって、書物はもはや知の特権的な媒体ではなくなりました。また、書籍の過剰によって、書物は「ありがたいもの」ではまったくなくなり、逆に「場所をとるだけのもの」「処理に困るもの」になりつつあります。かつては、百科事典や文学全集を居間や書斎に並べることが教養をあらわすインテリアとして(たとえ実用していなくても)重宝された時代がありました。また、気に入った本の装丁をわざわざ自分で革製にかえる人や、「本だけは捨てられない」と巨大な書庫を自宅に設ける人もたくさんいました。書物は知の象徴として物神的な価値をもっていたのです。しかしいまではその物神性ははがれ落ち、邪魔なものとなり、書物もまた他の消費財と同じように大量生産・大量廃棄されるものになったのです。  かつてヴァルター・ベンヤミンは『複製技術時代の芸術』のなかで、映画や写真など、複製できる芸術の登場によって芸術作品から「アウラ(オーラ)」が消えていくだろうと論じました。それを援用するなら、現代は書物から最後の「アウラ」がなくなりつつある時代だといえるかもしれません。書物はもともと複製技術(活版印刷技術)によって生まれたので、絵画などの他の芸術作品と比べると、「いまここにしかない」という「アウラ」は弱かったかもしれません。とはいえ、それでも書物も作品である以上、そこには知の象徴としての「アウラ」がありました。それが書物の物神性へと結実していたのです。しかし、ここまで活字が過剰となり、書籍が過剰に出版されるようになると、書物はただのデータを運ぶ器の一つでしかなくなります。複製技術の究極は、すべてがデジタルデータになることです。デジタルデータであればいくら複製しても劣化しませんから。その意味で、電子書籍化の流れは、賛否両論あるにせよ、「アウラ」を消滅した書物にとって歴史的な運命なのかもしれません。 かやの・としひと 1970年、愛知県生まれ。03年、パリ第十大学大学院哲学科博士課程修了。哲学博士。津田塾大学准教授。主な著書に『国家とはなにか』(以文社)、『カネと暴力の系譜学』(河出書房新社)、『権力の読みかた』(青土社)など。近著に『最新日本言論知図』(東京書籍)、『新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか』(NHK出版新書)など。 【「サイゾーpremium」では他にもタブーを恐れぬ識者の連載が満載!】佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」/「LINE」爆発的普及の裏にあるガラケー文化の巧みな利用法宇野常寛の批評のブルーオーシャン/『ヘルタースケルター』と「あの頃」の消費社会町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」/食事はマクドナルドに!?落ちゆく“裸の”女王様
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清武の乱、契約金超過問題、トドメに原の1億円……紳士なんかじゃない! 巨人軍スキャンダル史

【プレミアサイゾーより】
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『私の愛した巨人』(ワック)
 “球界の紳士””球界の盟主”と呼ばれてきた読売巨人軍が、「週刊文春」6月28日号の報道に端を発するスキャンダルに、揺れている。かねてより同球団に対しては球界の内外から毀誉褒貶相半ばしてきたが、今回の事件や”清武の乱”といった騒動が相次ぐなど、一体巨人軍はどうしてしまったのか? 球界関係者や昔からのファン、あるいは球団を取材してきた人物たちは、今の巨人軍をどう捉えているのか。それぞれの立場からの視線によって、現在の”巨人像”を浮かび上がらせてみよう――。 「巨人軍は常に紳士たれ」「巨人軍は常に強くあれ」「巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ」――これは、読売巨人軍の創設者たる読売新聞社主・正力松太郎が遺した「巨人軍憲章」だ。日米野球興行出場チーム「大日本東京野球倶楽部」(1934年発足)から、「東京巨人軍」と改称された36年に正力が示したこの訓示は、とっくの昔に消え去った昭和の夢といっていいだろう。  巨人が「紳士ではない」ということは、球団発足から今日に至るまでのさまざまなスキャンダルがそれを証明している。プロ野球史上最も有名な、巨人が引き起こした醜聞といえば、78年の「空白の一日」事件【註1】だろう。前年のドラフト会議にてクラウンライターライオンズ(当時)の指名を拒否し、アメリカに留学中だった江川卓と、野球協約の穴を突く形で電撃契約。ほか11球団のみならず、世間からの大非難を浴びた。その後も、85年のKKコンビドラフト事件【註2】、90年の桑田真澄野球賭博疑惑【註3】、97年の高橋由伸入団にまつわる裏金疑惑【註4】、99年の篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件【註5】、04年の一場靖弘”栄養費”事件【註6】……と、”順調に”スキャンダルを積み重ねてきた。  そして11年から今年にかけて、またしても球界を揺るがすようなトラブルが、巨人を震源として立て続けに巻き起こっている。11年日本シリーズ(福岡ソフトバンクホークス対中日ドラゴンズ)開始の前日であった11月11日、清武英利球団代表(当時)が、「読売巨人軍のコンプライアンス上の重大な件」を告発する記者会見を開催した。内容は、来季の巨人のヘッドコーチ人事について、渡邉恒雄球団会長が不当に介入し、同氏の”鶴の一声”によって人事がめちゃくちゃにされている。渡邉氏による巨人軍・プロ野球の私物化を許すことはできない――というもの。オリンパス事件が世を騒がせていた折、「コンプライアンス上の」と言うから「すわ、野球賭博の告発か」などと色めき立った野球ファン・マスコミは、いささか肩透かしを食らった格好になった。のちに「清武の乱」と呼ばれることになるこの告発については、当事者たる清武氏の言葉も参照してほしいが、巨人を見舞ったスキャンダルはこの後も容赦なく続いている。 ■「清武さんへ」と題された異例の呼びかけの行方は?  さらに今年3月15日、朝日新聞朝刊の一面を、「巨人、6選手に契約金36億円 球界申し合わせ超過」という見出しが飾った。97年~04年度に入団した、阿部慎之助選手・野間口貴彦選手・高橋由伸選手・上原浩治選手・二岡智宏選手・内海哲也選手の6人に対し、球界で申し合わせた新人契約金の最高標準額(1億円+出来高払い5000万円)を超える契約を結んでいたことをすっぱ抜くスクープだった。確かに”申し合わせ”は厳密なルールではないし、違法行為でもない。かつて横浜ベイスターズ(現DeNA)や西武ライオンズにおいても、契約金の超過が発覚したことはある。しかし、前出の一場靖弘にまつわる”前科”もあり、また何よりこの「36億円」という額のあまりの大きさが、かねてより批判されてきた”金にものを言わせて選手を引っ張ってくる”という巨人のやり方をさらに強調し、世間の反発を呼び起こした。  そして6月21日、「週刊文春」(文藝春秋)が、原辰徳監督の不倫スキャンダルをスクープ。現役巨人選手だった88年、関西遠征に際して球団で宿泊していたホテル従業員の女性と不倫関係に陥り、06年にその女性の日記を持っているという男性2人から1億円を要求され、原監督がこれに応じたとする内容だった。日記には原以外にも、2人の巨人コーチ(88年当時は同球団選手)の名前が記されていたとされる。この報道が世に出るとすぐ原は「清武さんへ」と題する談話を発表。「巨人軍の選手、OB、関係者を傷つける報道が相次いでいます。たくさんの暴露が行われ、巨人軍関係者を混乱させ、選手、OBを苦しませています。(略)こんなことがなぜ続くのか。清武さんのほかに、いったいだれがいるのか」と、本件の情報元が清武氏であると名指しで非難した(清武氏はこうした巨人側の発言を名誉毀損とし、7月25日に提訴)。原を脅した男性2人は暴力団関係者とされ、うちひとりは現役選手の父と報じられている。さらには、この男性2人と原を仲介したのが、巨人出身である現横浜DeNAベイスターズ監督・中畑清であったという報道も飛び出し、暴力団排除の機運が上がり続ける世の中において、巨人のずさんな体質が露呈した格好となった。  巨人は確かに発足の当初から球界における別格であり、数々の伝説やスーパースターたちが彩る華やかな歴史があり、それゆえに異形の存在でもある。以降の本特集では、元プロ野球選手や読売新聞関係者、巨人を取材してきたジャーナリスト、そして熱烈なファンら、識者たちの目を通して、現在の巨人軍の姿を見ていきたい。そこに浮かび上がるのは、崩落寸前の”盟主”の看板か、かつての輝きが垣間見える栄光の残滓なのか――。 (文/松井哲朗) ■巨人裏面史 【註1】「空白の1日」事件(78年) 77年のドラフトでクラウンライターライオンズから1位指名された江川卓。指名を蹴って1年浪人するが、同球団の入団交渉権が切れた78年11月21日、突然巨人入りを発表。翌日にドラフト会議を控え、”空白の1日”となる同日であれば希望の球団に入団できるという野球協約の穴を突いた契約だった。当然大問題になり、ドラフト会議は大荒れ。結局、江川はいったん阪神に入団し、その後、小林繁とのトレードによって巨人入りを果たした。 【註2】KKコンビドラフト事件(85年) PL学園の同級生だった清原和博と桑田真澄。巨人入りを熱望する清原に対し、桑田は早稲田大学進学を表明。ドラフトの目玉は清原、桑田は回避との予測が立ったが、実際は巨人が桑田を1位指名。清原には巨人以外の6球団から指名が集中した。桑田・巨人間の密約の存在が囁かれた。 【註3】桑田真澄野球賭博疑惑(90年) スポーツメーカーの営業マンだった中牧昭二氏が、告発本『さらば桑田真澄、さらばプロ野球』(リム出版)で、アドバイザリー契約の見返りに桑田から多額の金品を要求されたと暴露。当時桑田が親しかったメンバーズクラブ社長に登板日を伝えていたような描写があったため、野球賭博に関与していたのでは、と疑惑に火がついた。 【註4】高橋由伸入団裏金疑惑(97年) 97年ドラフトの目玉・高橋由伸。スカウト合戦をヤクルトが制し、読売グループ傘下の報知新聞さえ「ヤクルトへの逆指名」と報じていたが、巨人へ逆指名入団。その後、高橋の父が所有する不動産が焦げついて莫大な借金を背負っていたこと、それを巨人サイドが肩代わりしたことが報じられる。 【註5】篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件(99年) 99年10月15日、巨人軍出身でコーチを務めていた篠塚和典が、家宅捜索を受けた。所有者を偽ってナンバーを登録する、「車庫飛ばし」を行っていた容疑で経営者が逮捕された自動車販売会社の役員に名を連ねていたことから、こうした事態が勃発。同社は後藤組のフロント企業とされていたため、篠塚本人と裏社会の交友も取り沙汰された。 【註6】一場靖弘”栄養費”事件(04年) 明治大学野球部4年だった一場靖弘に、巨人が栄養費などと称して総額約200万円を渡していたことが発覚。球団オーナー渡邉恒雄と社長の土井誠、球団代表の三山秀昭らが引責辞任した。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人タブーを暴く記事が満載!】「マスコミには清武の味方になる理由がないだけ! 巨人の裏金は他球団が悪い」エモやんが語る球界と巨人「責任転嫁ばっかりしてると選手に呆れられる」“球界の野良犬”愛甲猛が知る原スキャンダルと野球賭博「巨人の四番に女性問題がないわけがない」ビビる大木が嫌いになれない“1億円を払う”原の天然ぶり
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