5年ぶりのワンマンライブを終えて——姫乃たまはアイドルになれたのか?

——地下アイドル“海”を潜行する、姫乃たまがつづる……アイドル界を取り巻くココロのお話。


170228_himeno01.jpg  割れんばかりの歓声に包まれながら、観客に背を向けないよう、笑顔で手を振って舞台から立ち去る。  満員の客席では、誰もが笑っていて、穏やかな夢でも見ているような表情をしていた。舞台袖の床に貼られた見切れ線のテープを越えた瞬間、私は楽屋へつながる階段の手すりにすがって、目頭を押さえた。  演奏を終えたゲストミュージシャンたちが、私の姿を見て拍手をしながら微笑んでいる。楽屋の前で待ってくれていたヘアメイクさんが、そっと微笑みながら、私とカメラマンだけを楽屋へ入れて、外から扉を閉めた。楽屋の白い蛍光灯が、ワンマンライブの終演を告げる。  私は、アイドルになれたのだろうか。 ■僕とジョルジュ――世代を越えてサブカルチャーが交錯する、東京のアンダーグラウンド  2017年2月7日、渋谷WWWで私は五年ぶりにワンマンライブ「アイドルになりたい」を開催した。18歳で開催した最後のワンマンライブから、会場の規模は倍以上になっていたが、ソロアルバム『First Order』をリリースしたことや、バンド「僕とジョルジュ」のメンバーに恵まれたことなど、数々の幸運が重なっていた。さらに、東京キララ社やディスクユニオンの社員さんたちをはじめ、振付師の方や、映像、照明などの技術を持った周囲の人たちが自然と集まって協力してくれたことで、フリーランスで活動していることの不自由を何も感じないほど、さまざまな人に支えられて当日を迎えることができた。  朝早くから、とんでもなく高いところに登って装飾している美術さんたちを見学し、夕方までのリハーサルを経て、楽屋で歌いながらヘアメイクをしてもらっている頃、WWWのゆるやかな螺旋階段を降りて来場してくださった方々には、1枚ずつ香水を振りかけた御礼状が配られていた。 170228_himeno02.jpg  いつものライブと違って、直接お話できない人がたくさんいるのは寂しいことだったので、少しでも気持ちが伝わればと思っていた。  ロビーでは、音楽や演技を生業としている豪華なスタッフさんたちが、この日に発売された新譜や写真集を販売してくれており、客席は和ラダイスガラージの中村保夫さんによるDJで、ゆったりとしたダンスフロアと化していた。  後から知ったのだけれど、この時、ロビーと言わず、客席と言わず、至るところで、あらゆる人々の再会が繰り広げられていたそうだ。昔ミュージシャンだった人が、レーベルで働いていた人が、作家だった人が、そのファンや関係者が、「えっ、なんで地下アイドルのライブにいるの?」を枕詞にして再会を喜んでいたという。  これは、ずっと誰かの共通言語になりたいと思って活動してきた私にとって、嬉しい話だった。ただ、どうしてそれがこの日に現実になったのか、私にはわからない。もったいないことである。  楽屋のモニターから、開演前の舞台と、満員のフロア前方を見ていた。すでに400人以上の観客が駆けつけていて、一度退出したら戻って来られないほど混雑していたことを、この時の私はまだ知らない。  いつもより派手にドレスアップした状態で、「僕とジョルジュ」のメンバーと合流する。少し気恥ずかしい。人懐こいパーカッションのシマダボーイ君が私を見て笑い、唯一の女性演奏家であるキーボードの金子麻友美さんが「わあ」と声をあげた。  やがてDJの音が大きくなり、次々と歓声があがった。  開演を知らせるブザーとともに幕が開けて、フランス映画のキスシーンがモノクロで立て続けに映し出される。最初に佐藤優介さんが舞台に上がり、「僕とジョルジュ」のジングルをキーボードでループ演奏すると、続けて佐久間裕太さんが登場して、ドラムで思い切りの良いビートを刻んだ。彼らとバンド・スカートとして活動しているギターの澤部渡さん、ベースの清水搖志郎さん、シマダボーイ君も次々と舞台に上がり、ドラムを軸にそれぞれが好きな音でめいめいセッションを始める。  私は、最も舞台袖の近くで演奏していた金子さんの横顔をしばらく眺めてから、舞台に上がった。春一番のように重たくまとまった歓声の中に、私の名前を呼ぶ声がいくつも聞こえた。  2015年からずっとアンセムである『恋のすゝめ』に続いて、この日発売のアルバムから最新のアンセム『悲しくていいね』を初披露した後、『巨大な遊園地』まで演奏すると、ゲストミュージシャンの有賀幼子を舞台に招き入れた。  突然現われたおばあさんに一瞬、会場がどよめく。彼女は私の祖母である。 170228_himeno03.jpg  何度かの交渉の末、「冥土の土産に」という理由で、この日発売された写真集、『号外 地下しか泳げない通信』で私が着用していたワンピースを着て、彼女は舞台に上がってくれた。私と手を繋いでキーボードの前まで進んだ祖母は、みんなに見守られながら、思い切り鍵盤を叩いた。 彼女の叩いた音がループし、さらにもうひとつ叩いた音がループし、音がどんどん重なって厚くなっていく。人はやがて子どもに戻る。私はあと何年、この人と生きていけるのだろう。子どもの落書きのように無秩序で、しかしすごいものを作りたいという勢いのこもった音が鳴り続ける。それに合わせて、再びバンドのセッションが始まり、祖母と入れ替わりでゲストボーカルの山崎春美さん(タコ/ガセネタ)が登場した。私たちは音に合わせて、ひたすらうねうねと踊り、時々歌をうたった。  この時のことを、宗像明将さんは「東京インディーズバンドシーンの過去と現在が交錯した瞬間」とレポートに書いている。そこには、「文化的なコンテクスト(アイドル、東京インディーズバンドシーン、呪われたサブカルチャー)の交錯」が、私という地下アイドルのプラットホームに根付いて発展していたと、まとめられていた。  私はそれを他人事のように、「わあ、なんかすごそう」と思って読み、これまたどうして、そういうことになったのかまったくわからないのだった。そもそも私は、あまり物を知らないし、何についてもあまり知識がない。  私はただこの日まで、すべての人を受け入れて、その中で居心地のいい人と一緒に過ごしてきただけだった ■姫乃たまソロセット――「アイドルになりたい」  白い羽があしらわれた、思い切りアイドルらしいミニドレスに着替えた。「僕とジョルジュ」の楽器が撤収されて、がらんとした舞台にひとりで立ち、幕が開けるのを待つ。いつもと同じ条件で戦えるように、ソロの出番にはバンドでなく、カラオケを用意してあった。地下アイドルとしてのソロセットが始まる。  今回の公演では、普段のライブでは凝ることができない演出に、準備期間の多くを割いた。まずVJの映像は、舞台の背景とフロア両サイドの併せて三面に、なるべく大きく映し、舞台の天井には大きな立方体の箱をいくつか吊って、プロジェクションマッピングでそれぞれの面に映像を映し出した。その映像を活かしつつ、舞台が暗くならないように、照明さんが最後まで調整してくれた。  また、すべての楽曲は照明さんによって楽譜に書き起こされ、最初から最後まで曲と合うように照明の展開はすべて決めてあった。それから音響を、「僕とジョルジュ」のレコーディングを担当してくれている馬場友美さんにお願いしたおかげで、技術的にも、精神的にも、非常に安定した。トラブルが起きる度、馬場ちゃんの対応の速さと笑顔に救われた。  ソロセットは、アルバム『First Order』の全曲と、7インチレコードの楽曲『たまちゃん!ハ~イ c/w おんぶにダッコちゃん』の楽曲から成り立つ。序盤は勢いを損なわないように、『来来ラブソング』『ねえ、王子』『マジで簡単なコネクション』『DSK019』とアルバム通りの曲順に、一気に歌って踊った。 『ねえ、王子』では、水野しずちゃんが描き下ろしてくれたイラストの私が、舞台上の私と一緒に映像の中で踊っていた。そのほかの3曲は、ワンマンライブに向けてイベントを開き、振付師のNachuさんとファンの人たちと1から作り上げた振付だった。客席のファン人たちを見ながら、ああでもないこうでもないと話し合った振付会を思い出す。  もっとも映像と私が融合していたのは、中盤の『愛はさかあがり』だろう。パリ万博の「動く歩道」をモチーフにしたもので、背景で動いている歩道に私が飛び乗ると、歩道に乗って移動できるというものだ。岸野雄一さんが音楽劇「正しい数の数え方」で披露していた演出で、最初はこれがやりたくて映像の導入を決めたのだった(だって楽しそうじゃないですか……!)。  終盤になるにつれて、ヒップホップダンスとジャズダンスを混ぜた、踊る楽曲が増えてくる。藤井洋平さん作曲の『そういうこと』を歌い終わると、私を照らしていたスポットライトが消え、次にスポットライトがついた時、そこにはギターを持った藤井洋平さんが立っていた。  その間、私は楽屋に戻り、赤いドレスに着替えていた。髪に薔薇の生花をあしらってもらっている時、モニターで見た藤井洋平さんのギターソロは、プリンスが再来したようだった。アルバムの中で問題曲とされていた『人間関係』のイントロが流れ、藤井さんがギターを鳴らすと、私は歓声に包まれて舞台に戻った。東京の夜景や、ミラーボールの映像を背景に、藤井さんと歌う。この日までファンの人にも披露していなかった『人間関係』の振付は、ロックを取り入れたせいか、コアなファンからも驚きの声があがった。今まで私が、汗をかくまで歌うことや、かっちりとしたダンスを避けてきたからだと思う。  セットリストが残り2曲になった時、他愛のないMCをした。いきなりステーキに初めて行った時、300グラムのステーキが1300円で売られていて、もうこれはいつかタダになるんじゃないかと思って驚いた話。いきなりステーキがタダになった時、きっとチェーン店の安居酒屋もタダになって、医学の発展で私たちの寿命は600歳になる。そしたら、ずっと長く一緒にいられますね、という話だった。人間の心臓はどんなに保っても~とか、野暮なことを言う人は誰もいなかった。  踊っている時、客席と私は、見る人と見られる人にわかれて、関係が一方通行になってしまう。舞台で話している時、ひとりひとりの相槌や表情を見ることで、やっと私たちは向き合える気がする。  最後に、『くれあいの花』を歌う。宇宙に放り出されたような映像と、暗い照明と、無機質な振付。私が指をさすと、星が点滅するように、頭上の箱がひとつずつ光った。すべての関係者が、不思議とこの曲には最初からまったく同じイメージを抱いていた。この時ようやく、私たちの力が足し算からかけ算にかわるのを感じて、最後のサビで少しだけ声が震えた ■アンコール――怒り、そして涙の真相  アンコールでは、古くから親交のある3人のミュージシャン(JOHN★MANJIRO-metal[Gt.]、msys[Gt.]、STX[Ba.])と一緒に、デビュー曲『三両列車でにゃんだりあ』を演奏しようと準備していた。彼らがすでにセットしてあるはずの楽器を、いつまでもいじっているのでおかしいと思ったら、突然、「僕とジョルジュ」のメンバーが机と椅子、ワインやステーキを持って現われて、私を座らせた。よくわからないまま、客席をバックに集合写真を撮り、労われるままステーキを口に運んだら、舞台に映像が映し出された。   有志のファンが制作した『ねえ、王子』をみんなで踊った映像である。若林美保さんにアーバンギャルドの松永天馬さんや大谷能生さん、DARTHRAIDERさんに漢a.k.aGAMIさんと、仕事で関わりのある人たちから、いったいどうやって集めたのか、友人、両親まで映っていた。その合間に踊るファンの人たちが映る。ここで自分の姿を映像で流したかったファンの気概を感じた。私のワンマンライブは、ファンの人たちの晴れ舞台だったのだ。  お礼として演奏した『三両列車でにゃんだりあ』は、イントロが18歳の時に手売りしていたセカンドシングル『少女の脚を汗が伝う、夏の涼風に制服は翻る。』のイントロにリアレンジされていた。曲の終盤にはハート型の赤い風船が客席後方から、私の元へ降ってきた。舞台はハートでいっぱいになり、私は親友から受け取った大きな花束を抱えていた。  後にファンの人が、「客席後方から風船出す時、満員で大変でさあ。あんなに人が来るなんて思ってなかったから」と、私より自慢げに話すので笑ってしまった。応援し続けてくれたファンの人たちのおかげです。感謝しています。 *  *  *  楽屋で、「悔しい」という自分の声を聞いた。モニターには終演後の客席が映っていて、ファンの人たちのはしゃぐ姿が見えた。カメラマンに「涙の理由はなんですか?」と聞かれて、私は「ムカつく!!!」とカメラを睨んで泣いた。誰でも受け入れて、人を幸せにする、姫乃たまのパブリックイメージから、噴出するように私は怒っていた。  ワンマンライブは紛れもなく幸せな空間だったと思う。私はこれまで、歌うことと踊ることを建前にして、人を幸せにすることを本質に活動してきた。  この日、歌も踊りも演出も、それをプロデュースしたことも賞賛され、「アイドルとして上にあがったね」と言われ、メジャーレーベルに勧める関係者も何人かいた。熱心なファンは、「間違いなく人生で1番の日だった」と言ってくれたし、出版関係の人たちは、「姫乃さんってアイドルだったんですね!」と驚いていて、勇気を出して初めて足を運んでくれた人たちからは、「救われました」「人生の居場所を見つけました」「なぜかわからないけど涙が出ました」と、ありがたいメッセージをたくさんいただいた(まるで教祖になったみたい!)。握手した時に泣いている女の子がいて、彼女の胸元には私の缶バッチが光っていた。可愛い女の子だった。すべての人の言葉が、感情が、何もかもが純粋だった。  一方で私は、褒められれば褒められるほど、ファンが幸せになってくれたことを知れば知るほど、胸に残っているわだかまりの理由に気づかされてしまった。自分は今まで、自分よりも人のことを考えて活動してきたつもりだった。それも本当のことだけれど、実のところ私は自分と戦っていたのだ。私は人に認められたいとか認めさせたいとかじゃなくて、ずっと私と戦っていた。ちやほやされたいなんて欲求は、活動を始めたその日に充分満足している。それよりももっと、私は、私に、私を満足させてほしかった。限界を越えた能力を発揮することで、自分を驚かせてほしいと、どこかで思っていたのだ。  この日ひとりだけ、ミスを起こし続けた関係者がいた。それが結果的にさまざまな人に迷惑をかけることになり、いくつかの大きなトラブルにも繋がった。一度しか面識のない外注の人で、私はどう対応したらいいかわからず、リハーサルの段階からひたすら困惑し続けた。結局私は、舞台に集中するため、ミスを起こすスタッフに途中で見切りを付ける労力を惜しんだ。その結果、本番で他人のトラブルに気を引かれて、限界以上の能力を発揮することはできなかった。もし、きちんと判断できていたら、すべての場面で『くれあいの花』と同じくらいのことが起こっていたかもしれない。私の能力はその程度だった。私は私と戦って、完全に自分に負けたのだ。  打ち上げで涙の真相を聞いた友人が、ぎょっとしながら、「それ、5年前と同じじゃん」と言うので、今度は私が驚いてしまった。自分ではすっかり忘れていたのだけど、5年前のワンマンライブが終わった時、私は「悔しい」と言って泣いていたらしい。笑顔の写真しか残っていなかったので、すっかり忘れていた。  私は一体、後何百年あったら、アイドルとしての自分に満足できるのだろうか。 ●姫乃たま 1993年2月12日、下北沢生まれの地下アイドル/ライター。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を中心に、文筆業も営む。そのほか司会、DJとしても活動。音楽作品に『First Order』『僕とジョルジュ』、著書に『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。7インチレコード「恋のすゝめ」「おんぶにダッコちゃん」をリリース。 ★Twitter<https://twitter.com/Himeeeno

「発達障害は親のせい」はデマ。発達障害の診断は、これからを考えるためのステップ 児童精神科医・姜昌勲さんインタビュー

「発達障害は親の愛情不足のせいであり、近頃は親のしつけがなっていないので発達障害が増えている」という言説がある。近年、保守派の議員に浸透していると指摘される、一種の教育思想「親学」が、同様の主張を展開していることは有名だろう。しかしこうした言説は、決して特定の思想をもった人々だけに見られるようなものではない。今回お話を伺った、奈良市にある「きょうこころのクリニック」の院長で、『あなたのまわりの「コミュ障」な人たち』(ディスカヴァー携書)や『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(メタモル出版、著者多数)などの著者でもある姜昌勲先生はこう話す。 姜「『あんたのしつけが悪いから、子どもが発達障害になった』と話す人は臨床現場でも頻繁に見られます。よくあるのは、理解のないおじいちゃんおばあちゃん、そして古い考え方をしている学校の先生ですね。ようは勝ち組の理論なんですよ。『私はうまいことやってきたのに、なんであんたは出来ないの』という。弱者の視点に立っていないんです。もちろん年をとっている人がみなそうだというわけではありません。理解のあるおじいちゃんおばあちゃんもいます。 発達障害は、親の育て方によらない、生まれつきの生物学的疾患です。だから親のしつけなんて関係ない。大間違いなんですよ。もう、アホかバカかって感じなんですけど(怒)。発達障害のお子さんにはやはり育てにくさがあると思うんです。だから他の子どもに比べて、どうしても対応がうまくいかないことも多くなってしまう。それを『しつけがなっていない』『愛情不足』とみなすのは話が違うんじゃないでしょうか」 そもそも保育園・幼稚園に子どもを預けてまで働きに出ようとする親、特に女性に対して、「子どものことより仕事を優先するのか」と批判する声もある。「発達障害は愛情不足のせい」とする人々は、こうした親に「働かないで、家で子どもをみろ」というのかもしれない。 姜「女性が社会進出して、不況も長引いて、旦那さんが一家を支えるような暮らし方はもう通用しないじゃないですか。共働きで支えあうのが当たり前になっています。まるで『お母さんは働いたらいけない』って言っているようですよね。意味が分かりません」 モデルの栗原類が発達障害であることを公表するなど、「発達障害」という言葉は世間にも浸透してきた。だが「発達障害」とは何かを問われても返答に困るのが実際のところだろう。最低限知っておくべき知識とはなにか。 姜「疾患としては大きく分けて2つあります。ADHDと自閉スペクトラム症です。 ADHDは、多動性と衝動性、そして不注意症状の3つが主な特徴です。多動性は文字通り、落ち着きがないこと。誤解されがちなのが衝動性で、これは暴力的という意味ではなく、『待てない』という意味です。順番を待てない、相手が話終わるのを待てない、ということです。不注意症状には、ミスが多かったり、いろんな情報から何が自分にとって大事なのか選択できないという特徴があります。だから片づけができなかったりするわけですね。あとはボーっとしてるとか、人の話が聞けないというのもあります。 自閉スペクトラム症は、社会的なコミュニケーションに問題があったり、興味範囲が狭いことが特徴です。自分のこだわりをやっていると安心するので、そこに集中してしまって、他者からなかなか理解されないんです。 学習障害などその他の発達障害もありますし、それぞれ合併していることもあるので、厳密ではありませんが、まずはADHDと自閉スペクトラム症の2つを抑えておくべきだと思います」 前述の通り、発達障害の原因を親のしつけとする人々は、あわせて発達障害が増えているとも主張する。実際に発達障害が増えているのだろうか。 姜「3つ要因があると思います。ひとつ目は、発達障害という言葉が認知されるようになって、昔は見落とされていたものが診断されるようになったというもの。 ふたつ目がソーシャルサポートスキルの弱化ですね。社会で子どもたちを支える力が弱まり、親も子どももストレスフルになっていることが考えられます。多動で落ち着きがなくても、騒がしくなかったり、周囲がそれを『まあええんや』と受け入れていれば問題はないですよね。でも周りの大人が眉をひそめたり、『親のしつけはどうなっているんだ』って言い出したら、問題視されるわけじゃないですか。そうやって診察にくる親が増えて、実際に発達障害と診断されることが増える、と。 みっつ目は実際に増えている。この3つの要因があると思います。ただどの要因が一番大きいのかはわかりません。いくつかの仮説はありますが、あくまで仮説にすぎません。あと考えられるのは過剰診断ですね。ようは子どもの不適応を何でもかんでも発達障害のせいにしているところもあると思います」 落ち着きがない、コミュニケーションが円滑に取れない人などを、「あいつはアスペだ」「発達障害なんじゃないか」という人々がいる(「アスペルガー症候群」は、2013年に改訂されたアメリカ精神医学会が作成する診断マニュアル「DMS-5」で無くなった)。その際の「発達障害」という言葉は診断名ではなく、ネガティブなもの、スティグマとして用いられているものだ。そこには発達障害への差別意識が透けてみえる。一方、落ち着きのない我が子をみて「この子は発達障害なのではないか」と思う親もいるだろう。 姜「子どもなんて1歳、2歳はみんな落ち着きがないものです。はいはいが出来るようになって、行動範囲が増えれば落ち着きがなくなるので。だからすぐさま『発達障害なんじゃないか』と不安にならなくていいと思います。なんでもかんでも発達障害扱いして、医療に送りこむというのは学校のみならず職場でも見られるんですよね」 発達障害は、愛着不足によって情緒や対人関係に問題が生じる「愛着障害」と間違われがちだとも聞く。 姜「確かに愛着不足などの理由で、発達障害に似た症状が出ることはあります。でも元を辿っていくと、愛着障害なのか、虐待による影響なのか、そもそも発達障害の症状があり、うまく対応できなかった親が虐待をしてしまったのか、明確にわけることなんて無理なんです。だからこそ、原因追及よりも、現実的にどういった支援を取りうるのか、未来志向で考えていくことが大事なんです」 では保育や教育現場において、どういった支援が望ましいのだろうか。 姜「教員の数を増やして困っている子どもをサポートするような人的支援も必要だと思います。ただスペシャリストを作るよりは、みんなが理解して、適切な対応方法を少しでも知っておくのが大切なんじゃないでしょうか。対応を知らないから、のけ者にしようとする。うまく対応できれば、みんな『やっていけるじゃないか』と、協調して生きていく社会になると思うんです。成功すればするほど本人も、支援者も自信がつくじゃないですか」 学校現場でも、親学と通底するような教育が見られる中、こうした理解も支援もまだまだ不足しているのが現状だろう。最後に、子育て中の親御さんに向けてメッセージを伺った。 姜「子どもが生まれて不安はたくさんあると思います。声を大にして言いたいのは、我慢しないで欲しいということ。一人で抱え込まないで欲しい。助けを求めて欲しい。しんどいときはしんどいって言う。どうしていいかわからないときは、どうしていいかわからないって言う。いろんな人に頼る。発達障害と診断されたかどうかとは関係なく、育児に不安を抱えているなら、それを心がけて欲しいです。 その中で、子どもが発達障害なんじゃないかと思ったら迷わず診察を受けに行ってください。医療機関を受診するのは、子どもが病気扱いされるために行くわけじゃなくて、プロの治療者・支援者と一緒に、どういう風にしていったらうまくいくかを考えていくためです。診察を受けるためだけに医療機関に行くと考えないで欲しいですし、診断されることをネガティブなものと捉えないで、これからのことを考えるためのステップだと思ってもらいたいですね」 (聞き手・構成/カネコアキラ)

嵐・櫻井翔と交際の小川彩佳アナ、“合コン女王”だった!? “清楚”ではない知られざる素顔

 嵐・櫻井翔とテレビ朝日アナウンサー・小川彩佳の交際が報じられ、所属タレントの熱愛報道に厳しいジャニーズ事務所が「親しい友人の一人」などと、交際を否定しないコメントを発表したことが注目を集めている。スポーツ紙の芸能デスクは、「小川アナが“報道関係者”というクリーンなイメージだからこそ容認されているのでしょうが、彼女にはジャニーズ側に知られていない“裏の顔”があった」と証言する。  櫻井と小川の熱愛をスクープしたのは、2月27日発売の「週刊ポスト」(小学館)。同誌によると、2人はバレンタインデーや同20日の小川の誕生日などを含む11日間にわたり“密会”を重ねていたという。 「今やジャニーズをけん引する嵐メンバーの熱愛スキャンダルとあって、本来なら事務所はマスコミ各社に後追い報道を封殺するはずなのですが、今回はわざわざコメントを出したばかりか、『友人』としてではあるものの、交友関係を認めました。昨年末に松本潤が、AV女優の葵つかさとの逢瀬がスクープされた時は、マスコミ各社に強力な圧力をかけ、スキャンダルを広めないようにしていたものの、小川アナは『報道ステーション』のサブキャスターという肩書もあってか、事務所の“お眼鏡に敵った”ということでしょう」(テレビ局関係者)  しかし、それはあくまでも表面的なイメージであって、実際の小川アナには、“知られざる一面”が存在していたようだ。 「実は、小川アナはああ見えて恋愛に積極的で、昨年は『報ステ』の放送が終わると、連日のように深夜、合コンに繰り出していました。そんな彼女がいつの間にか櫻井をゲットしていたとあって、合コン三昧の日々を知る関係者はみんな驚いています」(前出・デスク)  たしかに、毎夜のごとく合コンに参加しているとなると、これまで報じられてきた“小川アナ=清楚”というイメージは崩壊してしまう。 「それに、局内でも数年前、一回り近く年上の社員と交際していたことがあったし、一時期はある二世俳優とも付き合っていたという報道もあった。彼と破局後に付き合った一般男性とは婚約の話も出ていただけに、その人と別れたのは小川アナにとって相当なダメージだったのでは。だからこそ、積極的に合コンに参加して新たな出会いを求めていたのかもしれませんね」(同)  ジャニーズが櫻井との交際を容認しているとはいえ、すぐに結婚ということは到底考えられない。それまでに思わぬ人物から小川アナの“過去の話”を暴露されないことを願うばかりだ。

金正男氏に続き、金正恩にも影武者説が……日本の“北朝鮮報道”の正しい見方とは

金正男氏に続き、金正恩にも影武者説が……日本の北朝鮮報道の正しい見方とはの画像1
Facebookにあった正男氏の写真
 北朝鮮の金正男氏が先月13日、マレーシアのクアラルンプール空港で女2人に白昼堂々暗殺された。  実行犯として逮捕・起訴されたのは、ベトナム国籍とインドネシア国籍の女2人だが、事件の背後には、当然北朝鮮の暗殺部隊がいる。  そんな中、マスメディアは連日この問題を大きく扱い「ああでもない、こうでもない」と議論を繰り返している。大手紙社会部記者は「事件の真相はマレーシア当局もわかっていないのだから、我々日本のメディアがたどり着けるはずがない。こうなると、もう企画力勝負。現地のニュースサイトから情報を拾って、『こうなれば面白いなぁ』という見立てで、専門家にコメント取材するしかない」と苦笑する。  すでに正男氏の最後の写真とされる1枚には、あるはずのタトゥーがなかったことから、影武者説が浮上しているが、今週発売「週刊現代」(講談社)では、正男氏だけでなく、暗殺を指示したとされる金正恩氏の影武者説も報じられた。同誌によれば、本物の正恩氏は数年前の交通事故で、すでに亡くなっている可能性があるという。  ほかにも「週刊新潮」(新潮社)では、暗殺事件は北朝鮮の仕業ではなく、韓国の「秘密グループ」が仕掛けたものと報じられた。これは、そのまま現在の北朝鮮の言い分と同じだ。  ある週刊誌記者は「もうなんでもアリです。暗殺というダークなネタは読者の引きもいいから、とにかく目立ったモノ勝ち。日本の公安部なんかに聞いても、金正男氏に関する情報は全く出てきませんからね。日本の諜報機関は、こういうときに弱すぎる。本気で金正男、金正恩両氏の“影武者説”を信じている人もいるくらいです」と話す。  北朝鮮についての報道は、オカルト話の類いと思った方が良さそうだ。

吉高由里子『東京タラレバ娘』で美容師に風評被害!?「3B」と付き合うと“痛い目に遭う”は本当か

 三十路女性の恋愛模様を描く吉高由里子主演連続ドラマ『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)の第7話。平均視聴率は前回から1.7ポイントダウンの10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でした。  吉高が1日の放送前に「倫子もあと3話でお別れです」とツイートしていたので、どうやら全10話みたいです。前回、前々回と、原作の改悪ぶりをレビューしましたが(記事参照)、今回は大丈夫でしょうか? 早速、あらすじを振り返りましょう。

不倫が父親にバレるということ

 早坂(鈴木亮平)から振られた“町興しPRドラマ”の脚本の仕事を引き受け、撮影を見学するため北伊豆町を訪れる倫子。  当初、このドラマを「こんな小さい仕事……」と見下していた倫子ですが、観光協会の高齢者たちの「若い子に町に来てほしい」という真剣さを目の当たりにし、反省。倫子は、脚本を書き直させてほしいと頼み込みます。  倫子は、「年を重ねるうちに、新しさがなくなって、自分らしさがなくなってしまった気がする。このまま透明でからっぽになっちゃうんじゃないか。働こう!」と奮起。脚本のみならず、撮影の雑用も買って出ます。最近、仕事がうまくいかず、男に逃げていた倫子ですが、「脚本の仕事が好き」だと思い出しました。  上映会も成功し、打ち上げでは早坂と共に酔っ払う倫子。自分をおばさんだと卑下する倫子に対し、早坂が「僕が片思いしてた頃の倫子さんと全然変わってない!」とフォロー。その勢いで、倫子からブチュ~とキス。その様子を、建物の影からKEY(坂口健太郎)が見ていました。  一方、丸井(田中圭)と不倫中の小雪(大島優子)は、手を繋いでいるところを居酒屋の常連客に目撃され、父親(金田明夫)に不倫がバレてしまいます。  父親に「あの男はやめとけ。ひとりもんじゃないんだろ? お前には幸せになってもらいたい」と静かにたしなめられる小雪。その晩、同じく“クソ男”とグズグズの関係を続ける香(榮倉奈々)に「不倫は無駄なのかなあ……」と吐露し、2人で遠くを見つめてボンヤリしちゃいました。

鈴木亮平のキスシーンがエロい!

 風光明媚な伊豆に舞台を移した今回は、内容も真面目でキレイにまとめられていた印象。見どころの女子会シーンもなく、倫子が仕事の楽しさを思い出したり、小雪が父の言葉に心が痛んだりと、全体的にしっとりしていました。  また、ラストの倫子と早坂のキスシーンは、真っ暗な港というしっぽりとしたロケーション。画の暗さが、やけにエロく感じました。  ちなみに、ドラマの告知を綴った鈴木亮平のブログには、「明日の7話では、この二人に何かが起きるかも?? パルピテーションの予感!?」との記載が。これに、『花子とアン』(NHK)ファンが沸いていたようです。 『花子とアン』といえば、吉高と鈴木が夫婦役を演じたドラマ。「パルピテーション」は、同作で初恋のときめきを表現する言葉として使われていました。 ■美容師と付き合うと痛い目に遭うのか……?  第6話で香と小雪が言い放った「彼氏にしてはいけない3B」が、ネット上で話題だとか。「バンドマン」「バーテンダー」「美容師」の3B男と付き合うと「痛い目に遭う」という内容でした。  バンドマンは、言わずもがな。同作の涼(平岡祐太)も終始クソクソしいですし、最近は、マギーの不倫相手として報じられたHi-STANDARD・横山健や、清水富美加の不倫相手のKANA-BOON・飯田祐馬なんかも話題です。女にだらしない以外にも、ヒモ体質の男が多かったり、ファンに手を出しやすい環境だったり、薬物に手を出しがちなイメージがあったり……と、ウィークポイントは挙げたらキリがありません。  一方、バーテンダーは、人それぞれな気もしますが、水商売ですから、彼女も気が気でないかもしれません。口がうまい人も多そうだし、客からのアプローチも多そうです。  で、3つ目の美容師なんですが、就労時間が長いうえに休みが合わず、「会いたいときに会えない」ってことでしょうか? しかし、それだけで「付き合うと痛い目に遭う」なんてドラマで言われたらかわいそうな気も。忙しくて浮気する暇もなさそうだし……って、小倉優子のゲス旦那がカリスマ美容師でしたね。失敬。  とはいえ、ゆうこりんの旦那は経営者クラスですから、やっぱり美容師だけピンと来ないんですよね。風評被害がなければいいですが……。  というわけで、いつもと違う雰囲気だった第7話。今回も榮倉奈々の巨乳化には目を見張るものがありました。さらに、部屋着のシーンでは、お腹を大きなクッションで終始ガード。来週は香に妊娠疑惑が浮上するストーリーですが、なんだかいろんな意味でザワザワしますね。 (文=どらまっ子TAMOちゃん)

ヌルヌルのオヤジの手で食べるカリカリの『ワニの手唐揚げ』

ヌルヌルのオヤジの手で食べるカリカリの『ワニの手唐揚げ』の画像1
ディープゾーン味園ビルにある「赤狼」。珍獣料理が食べられる。
 世間では、食人映画への出演を強制されたと言われるアイドル女優の出家が話題になっているが、「人食い」といえば女優より「ワニ」ではないか。そのワニを逆に食ってしまおうという店に行ってきた。  場所は、大阪・難波にある「味園ビル」。このビル、ディープな難波でも最もディープな場所のひとつで、東京でいえば新宿ゴールデン街と高円寺のマニアショップと下北のライブハウス街がいっしょくたになったような建物なのだ。ベタベタとフライヤーが貼られた扉や立て看板の並ぶ通路を通り抜け、やっと見つけたのがその店だった。  薄暗い店内のカウンター席に座り、さっそく「ワニの手」料理に関して聞くと、オネーさんが丁寧に教えてくれた。 「ワニ肉はグラム単位の量り売りになるので、手が食べたいならワニ、鹿、イノシシの三種盛りがお得ですよ」  フムフム、じゃあ、それをくださいませとお願いした。すると、さすがに珍獣の肉を目当てに来る客が多いようで、調理前の「ワニの手」を皿に乗せて見せてくれたのだ!
ヌルヌルのオヤジの手で食べるカリカリの『ワニの手唐揚げ』の画像2
調理前のワニの手。皮を剥かれた肉がさすがに生々しい。
 これよ、これこれ! ワニ肉料理の店は数あるが、手というか足が付いたまま提供している店は少ない。こういうのが食べたかったんだ!  ピンク色の生肉の先っぽに皮が付いたままの「ワニの手」は、小型犬の子犬の前足くらいの大きさではあるが、鋭い爪も備わっていて、なるほど、迫力がある。 「これは前足です。後ろ足はもっと大きくて筋肉質なんです。オーストラリアの養殖場から届いた肉なんで、人間は食べてませんから(笑)」 「食べ◯グ」の公式情報では「魔境アマゾンの人喰いクロコダイル!」と煽っているが、真実は得てしてそんなものである(笑)。定番ネタでひと笑いとるのは、やっぱり大阪的サービスなのだろうか。  そして数分後、さっきの生々しい手が、少し握りしめた感じの唐揚げとなって目の前に現れるのだった。写真を撮ろうとその手をつまんだら、めっちゃ熱い! そらそうだ、揚げたてだ。調理済みの「ワニの手」と感動の撮影をして冷ましたところで、手に「手」を取り、肉の部分にかぶりついた。
ヌルヌルのオヤジの手で食べるカリカリの『ワニの手唐揚げ』の画像3
唐揚げとなって再登場したワニ。肉は淡白だがそれほど量は付いていない。
「……ん? 鶏肉?」  その食感は、歯ごたえのある鶏肉という感じで味は淡白だ。肉は少ないので、アッという間に完食してしまうと、オネーさんが、「手も食べられますよ」と。 「ホンマか?」  恐る恐る、ウロコの鎧を纏ったその手に噛り付いた……。が、読者の皆さん、歯の隙間や口内がウロコだらけになるので、手は食べない方がいいかもしれないですハイ……。  しかし、イノシシや鹿肉は非常に食べ応えがあり、ビールともよく合うひと皿だった。  イケメンや可愛い女のコではなく、アブラぎったオヤジに興味本位に食欲を満たされてしまい、ワニもさぞや不本意だったに違いない。しかし、非常に美味しくいただかせてもらい感謝します。「ワニの手」うもうございました。
ヌルヌルのオヤジの手で食べるカリカリの『ワニの手唐揚げ』の画像4
盛り合わせの鹿肉も、ジューシーというよりはさっぱり系だ。
赤狼「肉々盛り合わせ」3,500円 インパクト ☆☆☆!! 味     ☆☆ 店     ☆☆☆ (写真・文=よしよし)

3月22日スタートのSexy Zoneのツアーを前に、去年のツアーを総復習!! 

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堀北真希があこがれる、「山口百恵」的専業主婦に必要不可欠なモノ

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「本人(堀北真希)が望んできたことなので」山本耕史
(「スポニチアネックス」3月1日)

 女優・堀北真希が、2月28日をもって芸能界を引退したことを発表した。「スポニチアネックス」によると、堀北は山口百恵にあこがれを持っていて、周囲に「潔く辞めた姿が素敵」と話していたそうだ。

 女性芸能人が結婚を機に引退を発表する時、必ず引き合いに出されるのが、アイドルとしての人気絶頂時に俳優・三浦友和と結婚、引退した山口百恵だ。引退宣言をしても、離婚や子育てがラクになってきたといって復帰する元芸能人は多いが、百恵は一度たりとも芸能活動をしたことはない。夫婦仲は良いようで、2人の子どもを育て上げ、三浦は紫綬褒章も受章した。完璧な妻で母といえるだろう。

 百恵の生い立ちは、複雑である。引退直前に百恵が書いた『蒼い時』(集英社文庫)によると、百恵の父親は、母親と出会った時にすでに妻子がいたという。父親は百恵の祖父に「ちゃんとします」とあいさつしたものの、妻子と別れることはなかった。父親が生活費を渡さなかったため、生活は困窮。ところが、百恵がスターとなると、父親は事務所に借金をし、親権を要求してくる。最終的に百恵が“手切れ金”を払うことで、父親と縁を切ったそうだ。

 陰のある少女がスターとなり、愛する人とめぐりあって幸福な家庭を築く。百恵のストーリーにシンパシーを寄せるのは、同じように複雑な家庭に育った女性芸能人である。中森明菜は、デビュー当時から百恵のファンであることを公言し、「結婚したら引退」とことあるごとに語っていた。明菜の家庭も裕福とはいえず、母親は昼夜働いて明菜にバレエを習わせ、その才能に賭けた。スターになってからは、兄弟が勝手に事務所から借金をし、明菜のお金で事業を興しては潰していたことが、女性週刊誌で報道されたこともある。近藤真彦とは結婚間近といわれていたが、近藤の家で自殺未遂をしてからはトラブル続きで、今も独身だ。

 両親が離婚し、10代の頃から家族の大黒柱だった上戸彩も、「女性セブン」(小学館)のインタビューで「山口百恵さんになりたい」「料理や掃除、洗濯など女としての仕事をちゃんとこなせるようになりたい」と率直に百恵へのあこがれを語ったが、夫であるLDH WORLDのクリエイティブ・ディレクター・HIROとの離婚説や激ヤセが話題になるなど、百恵とはほど遠い。

 愛に餓えた少女が、愛にあふれた家庭を専業主婦として作ろうと、相手に愛情を注ぐものの、なぜかうまくいかない――これは、“愛にあふれた家庭”が、愛で作られていないからではないだろうか。それでは百恵的専業主婦に必要なものは何かというと、カネなのではないかと思う。

 良い夫の代名詞ともいわれる三浦だが、自身の自伝的人生論『相性』(小学館)の中で、見込み違いの投資をして、長い間ローンを払っていたと明かしており、それについて百恵は一言も文句を言わなかったそうだ。また、三浦は結婚してから30代まであまり仕事がなく、収入は激減。マスコミには“山口百恵のヒモ”と揶揄されたものの、百恵が三浦を責めることはなかったという。“夫を責めない妻”というのは、マスコミ受けする美談だが、専業主婦にとって夫が稼いでこないことは死活問題だ。

 が、ここで思い出すのが、かつての「週刊文春」(文藝春秋)の記事である。ホリプロの功労者である百恵と事務所の関係は良好で、引退後も一種の“年金”として、定期的にヒットコレクションが発売されるなどして、百恵は引退後も年間1000万円以上の印税収入を得ているという内容だった。この記事が正しいとすると、それだけの収入があれば、最低限の生活はできるわけだから、確かに夫を責める必要はなくなるだろう。実家が資産家だったり、不動産収入がある人は、生活が派手でなくてもなんとなく余裕が感じられるが、この余裕こそ、家庭円満に必要不可欠なものなのだ。ちなみに、堀北は女優だが、“年金”は歌手ほどおいしくはなく、出演したドラマがDVD化され、どれだけ売れようとも、追加でギャラが支払われることは基本的にないそうである。

 もう1つ、百恵的専業主婦に欠かせないのは「浮気をしない夫」だ。今まで三浦夫妻が理想の夫婦としてもてはやされてきたのは、三浦の浮気が露見していないからだろう(もし浮気が明らかになったら、しっかり家庭を守る妻と、それに感謝して愛し続ける夫と言う図式が崩れてしまう)。

 堀北の夫、俳優・山本耕史は、独身時代プレイボーイとして知られ、脈のない堀北も果敢にアプローチして強引に結婚に持ち込んだ猛者である。難易度が高ければ高いほど燃える人が、1人の女性で満足できるかどうか。堀北の引退を「本人が望んできたことなので」と他人事のように語っていた山本。堀北が百恵になれるかどうかは、実は今後の山本次第である。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの