「油の浮いた揚げ物は許さん!?」"駅弁ハンター"ヨネスケが駅弁業者にモノ申す!

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 晩飯時の、日本一好感度の高い不法侵入でおなじみのヨネスケ氏が、駅弁と空弁に驚くほど詳しいことを皆さんはご存知じだろうか。自身のブログ「ヨネスケの駅弁!空弁!食べて答弁!!」(http://blog.livedoor.jp/yonemeshi/)では、全国各地のさまざまな駅弁・空弁を約2年半にわたり、ほぼ毎日紹介。味はもちろんのこと、見た目・価格・量などあらゆる要素から細かく採点しているのだ。  そんな人気ブログが『ヨネスケの駅弁空弁600選』(辰巳出版)として書籍化され、グルメファンや鉄道ファンの間で話題だという。「日刊サイゾー」取材班は、浅草演芸ホールで高座を終えたばかりのヨネスケ氏を直撃! 駅弁&空弁への熱い愛を語ってもらった。 ――駅弁・空弁ブログを始めた理由は、やはりグルメレポートのプロとしてわき上がる使命感みたいなものが......。 ヨネスケ ないない! だって正直な話、おいしいお店なんかは、皆に教えたくないから内緒にしてますよ(笑)。ただお店ってのは、テレビなんかで紹介すると常連客が嫌がる場合もあるけど、駅弁はそういうのもないしね。それに僕は月に10日以上は仕事で地方に行ってますから、普通の人じゃできないことをやろうと思ったのがきっかけです。 ――ブログの更新はどのようにされてるんですか? yoneduke03.jpg ヨネスケ 携帯電話で打ってます。食べたらすぐに打つから、その時の感情がかなり出るんですよ。 マネジャー メール打つの、めっちゃ速くなりましたもんね。 ヨネスケ 「63歳のじじぃが何でそんなに速いんだよ!」ってくらい、めちゃめちゃ早いよ。一時期、肩甲骨が痛くて医者に行ったんだけど、「何で痛いんだろう......あ、メール打ってるからだわ」って(笑)。あと「駅弁は駅で買って食べる、空弁は空港で買って食べる」っていうのがポリシーだから、物産展や駅弁フェアで買うのは自分の中でルール違反なんです。もっと言うと、東京駅の「GRANSTA」みたいなエキナカで売ってる弁当も、駅弁とはあまり認めたくないんだよねえ。 ――ちゃんとルールを設けてるんですね。ほぼ毎日の更新は大変ではなかったですか? ヨネスケ 苦ですよ(笑)。好きな物を食べられないし。もう一回食べてみたいお弁当もいっぱいあるけど、僕はブログのために基本的に同じ物は食べませんから。だからこそ900種類以上も食べてこられたんだけどね。 ――書籍化されたことで報われましたね。 ヨネスケ 報われたね~。でも、まだ終わりじゃないから。第二弾のために今も食べ続けてるし。知らない土地に行って駅弁があると、めっちゃうれしいね! 宝物を見つけたような気になるよ。 ――お弁当の評価は、ヨネスケさんのトレードマークでもあるしゃもじの数で採点(最高は5しゃもじ)されてますが、褒めるところはきちんと褒める一方、かなり辛口なことも書かれてますよね。やはりテレビのグルメレポートとは気持ち的に違うんですか? ヨネスケ 全然違いますよ。テレビで「おいしくない」なんて言ったら、その店が被害を被っちゃうじゃない。僕は以前、ラジオである店のことを「料理人の風上にも置けない」って言って、弁護士料と慰謝料で150万円取られて痛い思いしてますから。 ――そんなことがあったんですか! ヨネスケ 逆に駅弁・空弁は会社組織だからビクともしないの。NRE(「株式会社日本レストランエンタプライズ」の略称。JR東日本グループで、駅弁で高いシェアを誇る)なんて、ある種、独占企業みたいなものだからね。あとは北海道の空弁なんかも高い! 僕も好きでよく買うんだけど、新千歳空港にある佐藤水産の石狩鮨本舗なんて、1,500円以上とかザラですから。 ――NRE? 佐藤水産?......すみません、早くもマニアックで付いていけてないです。 ヨネスケ あとね、新型新幹線ができた記念なんかに、よく電車形の容器に入った駅弁が発売されるじゃないですか。あれ、中身は普通なのに1,400円とかするから、「足元見てんな」ってJRにちょっとムカッとくるのよ(笑)。逆に横川の「峠の釜めし」なんて、あの容器とうまさで900円だから安いよねえ。 ――「そういうものだ」と思いがちですか、駅弁・空弁って高価な食べ物なんですね。ところでブログを見ていると、揚げ物への評価が厳しいように感じますが。 ヨネスケ 冷めたお弁当に、油の浮いたフライや天ぷらが入ってるのは許さない! 前は水戸駅で「いかっぺ」っていう、冷めてもおいしいいかのから揚げ弁当が売ってたんだけど、お店閉めちゃったんですよ......。あと許せないのが真空パックね。腐らせちゃいけないのは分かるんだけど、努力が足りない感じがするし、何より開けるときに手が汚れるんですよ。
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安藤商店「かつおたたき弁当」
(ヨネスケ氏ブログより)。
――だから、生ものにもかかわらず真空パックに頼らない「かつおたたき弁当」(高知駅)に「5しゃもじ」を付けられてるんですね。 ヨネスケ 「かつおたたき弁当」はナンバーワンだね! 小料理屋で出るようなかつおのたたきを、1,050円という安さでお弁当にするなんて、作る人の勇気に感動したなあ......。「5しゃもじ」はいまだかつてこの一つだけです。 ――あの、個人的には、駅弁ってご飯がぎゅうぎゅうに詰まってるイメージがあって、そこがちょっと苦手だったりするんですが......。 ヨネスケ それはあるね。どちらも好き嫌いがあっていいと思うんだけど、ぎゅうぎゅうなのは、比較的北海道に多いかな。あと「藤川優里のいちご煮日記弁当」(八戸駅)や「濱松うなぎ弁当」(浜松駅)も、ぎゅうぎゅうだった印象があるね。逆に崎陽軒なんかは、ご飯が詰まってないからふっくらしてておいしいよ。 ――今度、崎陽軒の駅弁を買ってみます。ヨネスケさんは鉄道オタクや旅行オタクではない分、駅や電車よりも"業者"を重視する視点が面白いですよね。 ヨネスケ 横浜の崎陽軒、千葉の万葉軒、小田原の東華軒を僕は「関東三軒」って呼んでるんだけど、この辺の会社はご飯なんかにも気を使ってるから、だいたいのお弁当はおいしいですよ。 ――「焼肉小倉優子 焼肉弁当」(千葉駅・木更津駅)のように、もしヨネスケさんプロデュースの駅弁が発売されたら、ぜひ食べてみたいんですが。 ヨネスケ 作りたいなあとは思いますけど、これだけ言ってきたからには、相当こだわらないと納得できないですね。まず米はふわふわじゃなきゃいけないよね。でなければ、白いもち米にするね。あと、やっぱり揚げ物は絶対に入れない! で、まぐろと白身の刺し身を入れたいね。それから駅弁の煮物ってだいたい濃い味つけだから、僕は薄味の煮物を入れる。あとは卵焼きと、かまぼこを入れて、最後に煮込みハンバーグだな。これでOKだ。 yonesuke02.jpg ――刺し身とハンバーグの組み合わせは斬新ですね。ちなみに、お値段はおいくらが理想ですか? ヨネスケ これで800円だったらいいよね。ぜひやってもらいたいなあ。......でも、入れないんだよ! ――入れないとは? ヨネスケ 駅の近くにもコンビニがたくさんできたし、このご時世、1,000円以上する駅弁はお客さんがあんまり買わなくなった。だから、人気商品を持っている業者か、昔から地元に根付いている老舗の業者じゃないとなかなか進出は難しいんですよ。 ――急に現実的な話になりましたね(笑)。 ヨネスケ 僕と違って普通の人はたまにしか旅行できないんだから、それがいい思い出になるためにもよっぽど気合を込めて作ってもらわないと困るんです。だから僕も辛口な感想をブログに正直に書くのよ。『ヨネスケの駅弁空弁600選』は、弁当屋さんにこそ読んでもらって、「ヨネスケが食ってるなら、変な駅弁は作れないな」って思ってくれたらありがたいよね。生意気かもしれないけど、もしかしたら僕は駅弁・空弁業界にアンチテーゼを投げ掛けてるのかもね。  というわけで、ヨネスケ氏プロデュースのお弁当を開発したい駅弁・空弁業者の方からのご連絡をお待ちしております! 【ヨネスケ氏プロデュース弁当の内容】 ●ふんわりとしたご飯 or 白いもち米 ●まぐろと白身(鯛など)の刺し身(保冷材を添付し鮮度を保つ) ●薄味の煮物 ●卵焼き ●かまぼこ ●煮込みハンバーグ ※揚げ物は入れてはならない ※価格は800円くらい (取材・文=林タモツ 撮影=尾藤能暢) ●ヨネスケ 1948年生まれ、千葉県市原市出身。高校卒業後、桂米丸氏に弟子入り。高座名は桂米助。『突撃!隣の晩ごはん』(日本テレビ系)では16年にわたり、全国津々浦々の食卓風景をリポート。一躍お茶の間の人気者に。現在、寄席をこなす傍ら、全国各地で講演会やトークショーを行っている。 ・CD「長生き音頭」(ソニー・ミュージックダイレクト) ヨネスケが歌う、ハワイアン調「長生き音頭」。民謡の力武杏奈やフォークのサスケなど、年代やジャンルの違うアーティストによる競作で、お年寄りへの応援歌。 定価800円/好評発売中
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前田健さんの至言「自分は赤毛のアンの生まれ変わりだと思ってる」(後編)

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前編はこちらから 前田 えっ、そうなの? でも、日本なんて特に美醜で判断されすぎだよ。美しくて得してる人がすごくいる。 ──前田さんはお芝居をずっと勉強されているから、余計に気になりそうですよね。 前田 そう。ずるいと思ってるの、女の子。世の中の男性がみんな女の方を向いてるから、やっぱりヤキモチっていうか、ありますよね。 ──アハハ! 正直! あの、ちょっと話が変わるんですが、昔から海外で勉強するほどの演劇少年で、今は小説を書いたり映画監督をしたり振付師をされたりしてますけど、その中で、"モノマネ芸人"って部分だけちょっと異質ですよね。どういう流れで芸人さんを志されたんですか? 前田 やっぱりねぇ、役者になりたくてずっと勉強してたんですけど、有名な人の息子でも、美しいわけでもないので、世の中の流れにつかまるフックがなかったんです。だからそのフックは何だろう? と思って鏡を見たら、「僕は面白い顔をしてるし、ふざけたことをやって人を笑わせたらいいんだろうな」と思った。それでイッセー尾形さんの一人芝居みたいに一人コントを長年やってたんですけど、全然売れなくて......。その時、うちの事務所の原口(あきまさ)さんがさんまさんのモノマネで、タモリさんをやってるコージー(冨田)さんと組んですごく売れたんです。それで「モノマネが出来る人はオーディションに行ってください」ってなって、僕は高い声が出たり、メイクがうまかったり、あと踊りが踊れたので、松浦亜弥ちゃんのモノマネをやらせてもらったんです。無名の人間が人に見てもらうためには有名な人のモノマネをするのが一番てっとり早い。逆算なんです。「世の中に出たい→人から見てもらうにはどうしたらいいか?→有名な人のマネをしよう」っていう、それだけです。毎週毎週いろんな地方で営業やってるうちに、歌いながら「俺、松浦亜弥ちゃんよりも『Yeah! めっちゃホリディ』歌ってるかもしれないな」って思ってたよ(笑)。 ──その後、はるな愛さんの"エアあやや"が出てきて......。 前田 ごっちゃになって、いまだに「エアあややの前田健さん!」って言われることありますよ。「こっちはエアじゃねえよ!」って思うんだけど。......そうだね、確かにそこだけ経歴で異色だよね。 ──そうなんですよ。だから私も、初めは前田さんって完全にモノマネ芸人さんだと思ってましたもん。 前田 それだけ、世の中との接点を作るため頑張っていたのかもね。今はその活動をきっかけにいろんなお仕事をさせてもらえるようになって、小説も映画も自分で100%やらせていただけた、ということです。 ──こんなに珍しい道のりで監督デビューした人は初ですよ! ところで、ご自分の映画に出演しようとは思わなかったんですか? 何でも好きな役ができるのに、もったいない! 前田 ダメダメ! 自分にOK出せないもん! 意識だけ生意気に高いの! 自分が演じてしまうと、「あー下手だなー」ってモニター見て思うんだけど、僕が「うまいなー」って思う人をキャスティングすると、自分の作品なのに自分の演技力より素晴らしい作品が残せるわけですよ。それって悦ですよ。自分が演じても表現できない美も、麻生祐未さんにやっていただければ表現できるわけですからね。 ──なぜそこでご自分に麻生祐未さんの役をチョイスしたのかは置いといて、やっぱり自己評価の低い人間特有の自重癖みたいなのもあるんでしょうか? 気にせず出てしまえばいいのに!! でも、単身でアメリカに行って4年もダンスや演劇を学んだり、俳優からモノマネを始めたり、自重しながらもすごい行動力だと思います。その貪欲さはどこから?  前田 そうですね、アメリカではダンスを中心に、歌とお芝居のワークショップにも行ってました。ウエイターのアルバイトで生きていくためのヒアリングも勉強したし......やっぱり欲張りだし、目的達成意欲がすごく強くて。自分が嫌いだから、余計に「今は自分はこうだけど、こうなりたい→じゃあとりあえずこれを埋めていこう」っていう、やっぱり逆算の考え方が強く根付いてるんですね。だから、いつも何か企んでるんです。 ──行動にちゃんと計画性が備わってるってうらやましいなぁ。私は以前、アメリカじゃなく台湾に武者修行に行ったんですけど、計画性がなさ過ぎて引きこもって終わったし......。前田さんはいつからそういう逆算の考え方になったんですか? 前田 いつぐらいかな? 僕には兄と弟がいて、真ん中の子だったんですけど、上と下って仲良くなりがちでしょ? 自分は孤立してたんで、何でも自分で決めて、事後報告して、たくましい性格だったと思います。 ──そうやって兄弟間で孤立してると、上や下が親に構ってもらってたり、甘えてたりするのがうらやましくなりますよね。その名残なのか分からないけど、どこかしらでいつも「誰かー! もっと愛してー!」って思ってる気がする。 前田 そうだね、渇いていますね。 ──そういう渇きはどうやって補充されてますか? 前田 補充はできてません! 今でも渇いたままです! 渇きをガソリンに動いてます! その分、愛されたいという行動として作品を作って、人にうんとかすんとか言ってもらいたいなと思っている最中です。だから埋まったら書かなくなるかもしれないですし......。「悲しい歌手の方がラブソングをうまく歌える」って、よく言うんですけど、そういう感じかもしれないですね。 ──今まで書けなくなったことはありますか? 前田 ないない! 満たされたことがないから! ──えー! じゃあ、今までの人生の中で両想いだったことは? 前田 うーん、うーんとね、あんまりない......かな。かすかに、ぐらいしかない。その時も「足りてないな」って思ってたから。ぬくぬくしたことはないです。 ──うへえ! 貪欲ですねぇ! 前田 貪欲。過剰に貪欲。「結局どうなれば気が済むの?」って思うぐらい、他者を好き過ぎてしょうがないです。 ──前田さんの小説にセックス依存症の女性の話がありますけど、そういう、どうしても何かに依存してしまう方も、根本にすごい渇きや寂しさがあるんでしょうね。 前田 そうそう、抱かれてる間はね、寂しいってこと忘れられるから。だから過剰なんですよ、僕は。求める愛情も与える愛情も、あふれ出て止められないくらい過剰だってことが分かっているの。小説の女の人は子どもができてその渇きから抜け出すけど、僕なんか相手も男で、子ども作らないからさ......セックスって快楽100%なんだよね! ──それは......ゴールが見えない!! セックス依存症とは対極ですけれど、小説にある、「私とつきあっても、行き止まりなの」っていうアセクシャルの女の人の話が興味深かったです。私も異性と楽しく話すのは好きだけど、性的な目で見られると一気に引いてしまって、「デートはいいけど泊まるのはちょっと......」みたいなのを続けていたら自然とフラれますよね。でも、ひとりは寂しいという矛盾!  前田 あ、それアセクシャルかもよ? 僕は専門に研究してるわけじゃないから、そういうサイトとかに行って、同じような悩み持ってる人の話とか読んでみるといいかも! ──検索して認めるのもなんだかつらいような! だって、前田さんの書くセクシャル・マイノリティーの人たちって、結末が幸せなものが少ないじゃないですか? 前田 そうそう。女性の話の中でいくつか幸せなラストはあるけど、結構救いのない話が多いというか。 ──マイノリティだと、それだけ恋愛で幸せになりづらいってことですよね。 前田 なりづらいよ~。生きづらいよ~。僕は結構エッチが好きなので、アセクシャルは一番わかりえないキャラクターだったんだけど、自分の友達に何人かいて、小説や映画でもそういうものを打ち出してる人がいなかったから、友達とよく話して、勘違いのないようにデリケートに書きました。 ──あ、確かに小説も映画も、全体的に文句のつけようがないデリケートさでした。 前田 僕はね、デリケートなんです。うふふ。 ──デリケートだと、自分の発言に気をつけてる分、他人のちょっとした言葉で傷つくことも多くないですか? 前田 ありますよ。なんだかんだ人に言われる仕事を選んでしまったので、メンタルを強く持つしかないんですけど......。でも、2ちゃんとかそういうところを見てさ、自分の悪口とか読んじゃうんだよね~! ──精神衛生上よくないですよ! 私も昔は2ちゃんで自分の外見も内面もコテンパンにたたかれて、「早くAVいけ」って書かれてるのを見て鬱に拍車を掛けてましたけど、最近はたまに知人に見てもらって「どう? どう? 荒れてない?」って(笑)。「荒れてるどころか過疎ってるけど、あんた大丈夫?」って言われて、それはそれでピンチなんですが。 前田 ふーん......。でも、もしそのままグラビアアイドルでいて、良い線いってたとしても、満たされてはなかったでしょう? ──いやー、それはわからないですよ。どんなにやめたくても「ひと花咲かすまではやめられん! やめるなら売れて惜しまれながら......」みたいな感じで、とにかく誰かの記憶にとどまりたくて続けてたら辞め時を逃して、いまだにそのまま迷走してる状態で......。ひと花咲かすどころか、私はなんかの草だったようです。 前田 なるほどね。大丈夫です。枯れたり腐ったりしなければいつか咲くから。 ──若干根腐れ起こしてるけど、がんばります! 咲くって、つまり、いかに充実感を得られるかですよね。待ってるだけじゃ咲かないんだな、動かないと。ちなみに前田さんの咲いてる瞬間っていつですか? 前田 うん、やっぱり僕は子どもを産まないから、子どもの代わりに作品を産んでるんです。僕は自分の作品を作る時、自分の身を切り取って、鶴が機を織るみたいにしてやっているので、そういった作品で人が心を動かしてくれた時は「生まれて良かったな」って思えて......。だから、そういう時、「ちょっと咲いてるかな?」って思えるような気がします。 ──素晴らしく謙虚な締め! 前田さんの切り身(?)、しかと頂きました! 今日はたくさん勉強になりました、本当にありがとうござ...... 前田 (遮って)だけど、本当は何もしてない僕を抱きしめてくれたり、チュウしてくれたりするような、パーソナルな受け入れも欲しいな(笑)。本当は一人にガッツリ愛されたいけど、それがないから、こうやってみんなからちょっとずつ愛されたい!! ──ひー! 今後も適度に渇きながら走ってください! 応援してます! (取材・文=小明) ●前田健(まえだ・けん) 1971年、東京都生まれ。高校卒業後にダンスと歌の修行のために渡米。94年にデビューし、松浦亜弥の完コピモノマネなどでブレイク。2005年にゲイであることをカミングアウトしている。初の原作・脚本・監督映画『それでも花は咲いていく』公開中。 ●あかり 1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
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●『それでも花は咲いていく』 テアトル新宿、キネカ大森にて公開中、ほか全国順次ロードショー! 公式サイト:<http://www.soredemohanawasaiteiku.com> 芸人・前田健が贈る、心に響く渾身のヒューマンドラマ誕生!  ものまね芸人として、また最近では俳優として活躍する前田健。彼が2009年に初めて書き下ろした処女小説『それでも花は咲いていく』(幻冬舎)は、従来のタレント本とは違い、セクシャル・マイノリティーの人々をテーマに、本格的な小説として大きな話題を呼んだ。そして今度は、彼自身が初の脚本・監督として、自身の小説で描いた9つの短編の中から、人には言えない心の悩みを持つ3人の男たちの姿を描いた3編、「エーデルワイス」「ヒヤシンス」「パンジー」を映画化。原作者である前田健自らが監督したことで、原作が持つ世界観を壊すことなく、見事に映像化し、見る者の心に響き共感する、渾身のヒューマンドラマが誕生した。  過去に小学生の教え子にしてはいけないことを起こした罪を背負いながら、自分の許されない恋愛に悩む元有名進学塾の講師だった男(仁科貴)。容姿の醜さから人に拒絶されて以来、人を避けながら他人の部屋に侵入することに生きがいを感じる男(滝藤賢一)。そして最愛の母親を突然失い、呆然とした時間を過ごしながら過去の母親に思いをはせる男(平山浩行)。一見否定されそうな癖を持つ3人の男たちの、ナイーブでデリケートな問題を描きながらも、それが異常ではなく、誰にでもある心の中に隠されている悩みや問題として投影され、やがてそれが切ない気持ちにさせていく。まさに今を生きるあなたに問いかける、心の物語である。  主演の3人の男たちには、『アキレスと亀』の仁科貴、『クライマーズ・ハイ』の滝藤賢一、『ROOKIES -卒業-』の平山浩行といった映画・テレビドラマで活躍するバイプレーヤーの面々が初主演を果たし、心の中に悩みを持ち葛藤する男たちを見事に演じている。また彼らを支える助演陣には、南野陽子、麻生祐未、小木茂光、酒井敏也、佐藤二朗、カンニング竹山、ダンカンといった、演技に定評のある面々が顔をそろえている。 <監督コメント>  この映画は2009年に私、前田健が発表した同名の小説『それでも花は咲いていく』を私自らが脚本、監督をした作品です。私は「ゲイであること」をカミングアウトしたタレントでもあります。その「セクシャルマイノリティー」が今作のテーマになっています。人と変わった愛の形を抱えたまま、誰に打ち明けることも叶わず、生きづらいこの世界を健気に、必死に生きていこうとする人たちの姿を3編のオムニバスで描いている。監督・前田健の視点と、そこから見える今のこの世界。そして「それでも生きていかなくてはいけない」という、人の弱さと強さ、幸せと不幸せ、といった相反するものを同時に感じることができる、他に類を見ない作品と言えるものができたと思います。3編の物語の細やかな心情を見事に演じ切った俳優陣(仁科貴、滝藤賢一、平山浩之、他)にもぜひ注目していただきたいです。日陰であろうと、崖であろうと、一生懸命に咲こうとする花のような、みっともなくも美しい人間の姿を、あなたもぜひ、映画館で体感していただきたいと思います。 前田健 原作・脚本・監督:前田健『それでも花は咲いていく』(幻冬舎刊) 出演:仁科貴、滝藤賢一、平山浩行 南野陽子、冨家規政、カンニング竹山、佐藤二朗、ダンカン、酒井敏也、小木茂光、麻生祐未 配給:ケイダッシュ ステージ、リンクライツ (c)2011「それでも花は咲いていく」フィルムパートナーズ
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小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第24回】 叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」 【第23回】 須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」 【第22回】 オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ......」 【第21回】 Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」 【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

前田健さんの至言「自分は赤毛のアンの生まれ変わりだと思ってる」(前編)

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 モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第25回のゲストは、上映中の映画『それでも花は咲いていく』原作・脚本・監督の前田健さんです! [今回のお悩み] 「青春っぽいデートがしたいです......」 ──映画監督デビュー、おめでとうございます! 小説を先に読んでいたんですが、キャスティングがぴったりで、思わず「似てる!」って言っちゃいましたよ。ほんとそっくり! 前田 そっくり(笑)。じゃあ、みんなだいたい想像するのは同じだったんだな。僕が書いて僕が映像を撮ってるので、ほぼ世界観がブレることなく、「どっちを先に見てもいいぐらいだね」って言われます。 ──小説も文庫になりましたし、絶好調ですね! 私も小説を書こうとチャレンジしてるんですけれど、難しくて......。前田さんはいつから、どうやって小説を書かれてるんですか? 前田 僕は演劇少年で、映画やドラマを見るのも好きだったので、言いたいことを物語を通して伝えるのが好きでした。だから、ストーリーを生み出すのに苦労したということがあんまりないです。「こんなふうになったらドラマチックだなぁ」って、すぐ浮かんじゃう。自分は赤毛のアンの生まれ変わりだと思ってる。 ──......えっと、前田さんの小説はロリコン・老け専・アセクシャル・セックス依存症などの9つのセクシャルマイノリティーの恋愛を書かれたものでしたけど、やっぱりご自分の経験やエピソードを織り込まれたりしたんでしょうか? 前田 はい。僕自身のことをフィクションになぞらえて織り込んでいることもあります。特に同性愛者のボクサーの話と......。 ――あ、あのボクサーの話はすごく好きです! 彼の「試合に勝って、人から注目されて拍手されて、やっとその人と同じ立場に上がれる」っていう自己評価の低さ、大変よく分かります! 前田 それはもう僕が本を書いたり、映画を作ったりするスタンスとまったく同じなんです。僕も自分自身が嫌いで、止まってる自分が嫌いで、動いて何かやっていればどうにかこうにか、「まぁ、頑張ってるね、かわいいやっちゃな」って自分のことを思える。だから、すごく下から、皆さんにプレゼントを献上するような気持ちで、物を作っています。あとは、気の強い女社長がセックスではMの話とか......これは、僕がテレビに出て顔バレするようになると意外とモテない! っていう経験談から来てるかも(笑)。 ──えっ、意外と生々しい話を! いや、男性ってテレビに出ればモテるもんなんじゃないんですか? 前田 女の人って有名な人と仲良くなりたがるんだけど、男の人って、自分より稼ぐ人とか有名な人だと行きづらいんですよ。だから、テレビに出れば出るほどモテなくなっちゃったの......。愛されたくてテレビに出たのに、逆行しちゃったなって......。 ──確かに、男の人はちょっと若くてバカな子の方が口説きやすいって聞きますね。 前田 あるある。「しょうがねぇな、オレが付いてなくちゃ」って人の方がモテる。 maeken01.jpg ――あれ腹立ちますよね。そいつは絶対お前がいなくてもなんとかなるぞ! 甘やかすから甘えるんだろうが! 前田 本当にねぇ? 自分は自分の人生をまっとうしようと思って頑張ってるだけなのに、それが愛されない方向にいっちゃうって、本当に理不尽だなと思います! ――頑張れば頑張るだけ、「お前は大丈夫」的なポジションになっていくんですよね。 前田 そう! 「もう一人でやっていけるよ、マエケンは」ってよく言われる......。 ――悲しいですね......。でもそういうところが創作につながるんですよ、多分! ちなみに、映画の中で、ロリコン中年が大好きな少女と観覧車デートをする、まさに至福の瞬間がありましたよね。前田さんにもそういう「時間よ、止まれ!」みたいな瞬間ってありましたか? 前田 僕はね、観覧車じゃなかったんですけどね、公園の池のボートでした。片思いですごい好きだった男の子と乗ったんですけど、向かい合ってるじゃないですか、ボートって。必然的に彼だけをまっすぐ見られる状態で座っていられるんだけど、水面がキラキラしてて、ちょっといい風とか吹いてるんだけど......「このまま止まれー!」って思ったね(照)。 ──ロマンチストですね~! 私は十代のときに初めて好きな人の部屋に遊びにいって、幸せすぎてガスの元栓を緩めようとした時くらいです! ちなみに、そのボートの方には学生時代ずっと片思いしてたんですよね。 前田 そう! その人が結婚するまで、12年片思い。あは! ──12年も!? 前田 あ、でも、好きだったのがずっと続いてただけで、その途中途中でいいなって思って告白したりする人は別にいたんだよ。でも、ベースには彼がいるから、その人からフラれると、また彼に戻るって感じ。だから、これから誰かと結ばれて、同棲して結婚的な生活をしたとしても、その人がドーンって現れて、「お前が必要だからオレのとこ来てくれ」って言われたら、全部かなぐり捨ててそっちに行っちゃう! それくらい好きな人だから......。 ──ロマンチストな上に情熱的! その彼を超える人を探すとなると、これからの恋愛のハードルも高いですね~。 前田 高い! そのせいで新しく恋ができないのかなって思っちゃいますね......。あと、映画が人からなんて言われるかで頭がいっぱいになってる部分もあるけど、やっぱり、フラれ続けて、負けデータが多すぎて、「勘違いでもいいから、次行こう!」って思えなくなってきてるっていうか......恋に臆病な大人になってしまってるのかもしれない......。 ──また乙女なことを......! でも、私、前田さんのブログによく出てくる「やり残し症候群」にめちゃくちゃ共感してるんです。青春時代に青春をしそびれたまま大人になったので、あのころやり残したことにすごく固執してしまう! 前田 うんうん。中高生のころに、バカップルとか、デートらしいデートとかを経験してないから、今そういうことがしたい。普通に夕飯の買い物をスーパーで二人でするのが夢。 ──ああ、やってみたいですね! 「夕飯どうする?」とか言いながら二人で食材をカゴに放り込みたい。 前田 彼が余計なものを入れて「ハイ、これは入れない」って言って戻したりするのをやりたい。 ──やりたすぎる! 結婚とかって、そういう、なんでもないけど幸せな毎日がずっと続くってことですよね。最高ですよね。 前田 最高よ。 ──そんな日がいつ来るのかと思うと途方に暮れます。 前田 気が遠くなるよね......。 ――......えっと、ちなみに、小説から映画化された3作品はどのように選ばれたんですか? 男性が主役の話ばかりなのも、前田さんのこだわりですか? 前田 あ、はい。それは単に、小説から裸が出てこない話をピックアップしたら、自然と男性が主人公の話が多くて。 ──なるほど、裸で規制がかかるのはもったいないですもんね。キャスティングも前田さんが? 前田 はい、キャスティングだけは僕が一番こだわらせていただいて。今までご一緒した中で、僕が「すてきだなぁ」と思う演技をする人で、役柄のイメージにぴったりな人を選ばせていただきました。やっぱり、自分が本当にリスペクトしている俳優さんじゃないと撮れないですよね。「この人の素晴らしい演技を際立たせるために全部用意しましょう!」って気持ちになれる人たちを選びました。 ――確かに映画でもなんでも「彼女を入れないとスポンサーが......」みたいな話はよく聞きますね......。屈さなかったのは素晴らしい! 前田さんもブログに、ちょいちょいコネだったり外見が良いだけでうまくいった人たちに対する複雑な感情が見られますね。 前田 そうだよ。醜かったから。 ──キュートだと思いますよ! 目つきとか、異様に色っぽいですし。なんなんでしょう、そのじっとりとした視線は。 前田 それは、エッチがすごく好きだから。 ――えっ。 前田 でも、こうやってグラビアアイドルやれるぐらいかわいいあなたもなんか不幸そうだから、醜いってことで勝手にうらやましがる側に回ってるけど、美しくても幸せとは限らないってことよね......。 ──いえ、グラビアアイドルは結局全然やれなかったですし、私のすっぴんはもたいまさこさんからオーラと演技力を取ったようなかんじだし、さらにずっと美人で頭も良かった姉と比べられてきたので、コンプレックスはけっこうなものですよ。 (後編につづく/取材・文=小明) ●前田健(まえだ・けん) 1971年、東京都生まれ。高校卒業後にダンスと歌の修行のために渡米。94年にデビューし、松浦亜弥の完コピモノマネなどでブレイク。2005年にゲイであることをカミングアウトしている。初の原作・脚本・監督映画『それでも花は咲いていく』公開中。 ●あかり 1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
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●『それでも花は咲いていく』 テアトル新宿、キネカ大森にて公開中、ほか全国順次ロードショー! 公式サイト:<http://www.soredemohanawasaiteiku.com> 芸人・前田健が贈る、心に響く渾身のヒューマンドラマ誕生!  ものまね芸人として、また最近では俳優として活躍する前田健。彼が2009年に初めて書き下ろした処女小説『それでも花は咲いていく』(幻冬舎)は、従来のタレント本とは違い、セクシャル・マイノリティーの人々をテーマに、本格的な小説として大きな話題を呼んだ。そして今度は、彼自身が初の脚本・監督として、自身の小説で描いた9つの短編の中から、人には言えない心の悩みを持つ3人の男たちの姿を描いた3編、「エーデルワイス」「ヒヤシンス」「パンジー」を映画化。原作者である前田健自らが監督したことで、原作が持つ世界観を壊すことなく、見事に映像化し、見る者の心に響き共感する、渾身のヒューマンドラマが誕生した。  過去に小学生の教え子にしてはいけないことを起こした罪を背負いながら、自分の許されない恋愛に悩む元有名進学塾の講師だった男(仁科貴)。容姿の醜さから人に拒絶されて以来、人を避けながら他人の部屋に侵入することに生きがいを感じる男(滝藤賢一)。そして最愛の母親を突然失い、呆然とした時間を過ごしながら過去の母親に思いをはせる男(平山浩行)。一見否定されそうな癖を持つ3人の男たちの、ナイーブでデリケートな問題を描きながらも、それが異常ではなく、誰にでもある心の中に隠されている悩みや問題として投影され、やがてそれが切ない気持ちにさせていく。まさに今を生きるあなたに問いかける、心の物語である。  主演の3人の男たちには、『アキレスと亀』の仁科貴、『クライマーズ・ハイ』の滝藤賢一、『ROOKIES -卒業-』の平山浩行といった映画・テレビドラマで活躍するバイプレーヤーの面々が初主演を果たし、心の中に悩みを持ち葛藤する男たちを見事に演じている。また彼らを支える助演陣には、南野陽子、麻生祐未、小木茂光、酒井敏也、佐藤二朗、カンニング竹山、ダンカンといった、演技に定評のある面々が顔をそろえている。 <監督コメント>  この映画は2009年に私、前田健が発表した同名の小説『それでも花は咲いていく』を私自らが脚本、監督をした作品です。私は「ゲイであること」をカミングアウトしたタレントでもあります。その「セクシャルマイノリティー」が今作のテーマになっています。人と変わった愛の形を抱えたまま、誰に打ち明けることも叶わず、生きづらいこの世界を健気に、必死に生きていこうとする人たちの姿を3編のオムニバスで描いている。監督・前田健の視点と、そこから見える今のこの世界。そして「それでも生きていかなくてはいけない」という、人の弱さと強さ、幸せと不幸せ、といった相反するものを同時に感じることができる、他に類を見ない作品と言えるものができたと思います。3編の物語の細やかな心情を見事に演じ切った俳優陣(仁科貴、滝藤賢一、平山浩之、他)にもぜひ注目していただきたいです。日陰であろうと、崖であろうと、一生懸命に咲こうとする花のような、みっともなくも美しい人間の姿を、あなたもぜひ、映画館で体感していただきたいと思います。 前田健 原作・脚本・監督:前田健『それでも花は咲いていく』(幻冬舎刊) 出演:仁科貴、滝藤賢一、平山浩行 南野陽子、冨家規政、カンニング竹山、佐藤二朗、ダンカン、酒井敏也、小木茂光、麻生祐未 配給:ケイダッシュ ステージ、リンクライツ (c)2011「それでも花は咲いていく」フィルムパートナーズ
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小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第24回】 叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」 【第23回】 須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」 【第22回】 オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ......」 【第21回】 Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」 【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

「お子様ランチみたいな映画ばかり」の邦画界に風穴! "不良監督"山本政志のやり方

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 都市を漂泊する人々の狂騒といら立ちをフィルムに焼き付けた『闇のカーニバル』(1983)。箱庭的な廃墟での生活を通して、生と死が融合する自然の本性を語りきった『ロビンソンの庭』(87)。香港を舞台に水上生活者と地上げ屋の闘いをコミカルに描いた『てなもんやコネクション』(90)。社会の周縁で生きる人々の底力にフォーカスを当ててきた山本政志監督が自身のルーツである自主映画へと帰還し、わずか200万円の製作費で作り上げた最新作『スリー☆ポイント』が5月14日に劇場公開を迎える。舞台は京都・沖縄・東京の3都市。それぞれの街に生きる人々の多種多様な物語を、ある時はそれぞれが交錯しながらも、3本の独立した作品として描き出した本作は、なぜ、現状の製作システムではなく、自主映画というスタイルで作られたのか? 日本が誇る不良監督・山本政志が高らかに掲げた「超インディーズ宣言」の真相──そして、91年から製作に入るも、資金繰りの都合で未完のままになっている大作『熊楠KUMAGUSU』への想いに迫る! ──そもそも『スリー☆ポイント』は、どんな具合に動き始めたんですか? 山本 それなりに金の掛かる企画が立て続けにポシャったときに「こんなことをやってたら、バカになんじゃねえか?」と思ってね。一日の日課がプロデューサーに「どう?」って電話するだけとかさ、そんなの面白くねえから。それでシステマチックな映画作りとは真逆な作り方......それこそ映画を作り始めたときのようなフットワークの軽さと、自主映画でしかできない自由な作り方、「いま思いついたことを速攻で撮る」みたいな即興性もやってみたいと思って。 ──「こんな映画を撮ろうかな」みたいなこともなく、ですか? 山本 京都編は、たまたま動画サイトで見つけたANARCHYっていうラッパーに会うことだけは決めてた。実際、キモチのいいヤツだったから映画に出演してもらおうとしたんだけど、スケジュールが合わなくてね。それで彼に京都の若いヒップホップの連中を紹介してもらって、彼らと話をしているうちに「オレがやりたいのはコレだ!」と。そこから彼らの実体験をベースにした構成案を書き始めたんだよ。 ──京都編のキャストには『ジャンクフード』(98)の鬼丸さんや、『聴かれた女』(07)の小田敬さんに通じる本物の雰囲気がありましたね。 山本 特殊学級みたいな連中が好きなんだよ(笑)。アイツらは基本的に裏切らないじゃん。裏切るときは手痛く裏切るけど、スジの通らないハシゴの外し方はしないから。そういう連中と付き合う方が楽しいし、そういう連中が登場する映画の方が面白い。いまはドコを見てもお子様ランチみたいな映画ばかりじゃない。中には柴田剛(『堀川中立売』監督)や、松永大司(『ピュ~ぴる』公開中、監督)みたいなヤツもいるけど、大体が「身近なテーマを内向的に撮りました」っていう映画ばっか。いまはデジカメとパソコンがあれば低予算でも面白い映画を作れるんだから、若い連中も好きなことをやればいいんだよ。実際、沖縄編なんてデジカメ1台で撮影してんだから。
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「沖縄編」で出会ったナイスガイ・てっちゃん
──沖縄編の面白さは山本監督の素の面白さだと思いますよ。普通は沖縄有数の危険地帯・金武町で撮影しようとは思いませんから(笑)。 山本 沖縄の人間にも「金武町だけには近づかない方がいい」って言われてね。それなら金武町でカメラを回すしかないな、と(笑)。映画の中で、海兵隊の兄ちゃんたちが集まってるクラブあるでしょ。あそこは絶対に撮影できないって言われたんだけど、店のママさんに交渉してね。最初は「絶対に撮っちゃダメ!」って言われたけど「いいじゃん、面白いから撮らせてよ!」って言ったら「うーん、面白いならいいか」ってことになったんだよ(笑)。 ──全編を通じて、生と死のサイクルを前提とした自然や街の描写も、山本監督らしいなと感じました。こういった映像は、山本監督と宮崎駿監督くらいにしか撮れない気がします。 山本 宮崎駿とは近い感覚を共有している気がするよね。それは『風の谷のナウシカ』(84)のころから感じていた。あの映画も『ロビンソンの庭』と同じように森のエネルギーの話をしてたから。
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──中断になっている『熊楠』では、『もののけ姫』(97)以降の宮崎駿が切り捨ててしまった、"人間全体に対する希望"が描かれるんじゃないか? と密かに期待しています。 山本 オレは宮崎作品だったら『千と千尋の神隠し』(01)が一番好きだけどね。空を飛ぶシーンとか好きだから(笑)。ただ、そこから先のことは、やると思う。『熊楠』にかかわるまではインテリがキライでさ。だからアウトサイダーにこだわっていたんだけど、その考えも変わってきたからね。熊楠が「顕微鏡のぞくのもチンポいじんのも一緒」みたいなことを言ってんだけど、いいなと思って。あの人の周りには学者もヤクザも芸者もいて、それがぐちゃぐちゃっとしているんだよ。それは熊楠が歩いた熊野の森と一緒だから。上品と下品の区別もなく、いろんな考えがクロスしている状態なんだよね。 ──いまでも撮影を再開したいという想いは、あるんですか? 山本 作りたいけど、ちょっと時間を置かないと無理だろうね。重過ぎるから。それに今はどこを見ても金がない。『スリー☆ポイント』の予算って200万円なんだけど、それでも金を集めるのに苦労したから。それこそジブリに頼んでアニメで作るしかないんじゃねえかな。 ──そこまで資金がないですか。 山本 いまの映画を取り巻く経済的状況は、オレが映画を作り始めてから、一番悪いかもしれない。5,000万円の企画を動かすのも難しい。そこに今度の震災だろ......。ぶっちゃけた話をすれば、映画なんてなくてもいいもの。ただ、こんな状況だからこそパワーのある映画が生まれるんじゃねえかっていう希望もある。こんな時代だからこそ余計に映画を作りたいって思うしね、オレは。どう転んでも、オレには映画しかねえから。 ──次回作以降も期待できる言葉ですね。 山本 すべては『スリー☆ポイント』を上映した後の話だけどな。ただ、超インディーズ宣言の次は脱インディーズ宣言でいこうと思ってるから、そこは期待してくれていいよ。 (構成=渡辺トモヒロ) ●山本政志(やまもと・まさし) 1956年、大分県生まれ。明治大学中退後に自主映画製作を開始。83年に製作した『闇のカーニバル』がベルリン国際映画祭やカンヌ国際映画祭で上映され国際的な注目を集める。代表作に『ロビンソンの庭』(87)『てなもんやコネクション』(90)『ジャンクフード』(98)『リムジンドライブ』(2000)など。 ●『スリー☆ポイント』 山本政志監督が原点である自主映画スタイルで製作した予算200万円の、いわゆるオムニバスとはひと味違う新映画。その低予算とは裏腹に山本政志監督の思想と個性が凝縮された秀作だ。中でも『闇のカーニバル』以来一貫する人間観と『熊楠』(製作中断)を通して深められた自然観がボーダレースに絡み合う沖縄編は、山本政志監督の現在地を示すマイルストーン的作品となっている。監督・脚本・製作/山本政志、出演/村上淳、蒼井そら、渡辺大和、小田敬ほか。5月7日より京都シネマ、5月14日より渋谷ユーロスペースほか全国ロードショー。 http://www.three-points.com/
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親に捨てられ聴覚を失い、12歳で来日した韓国人女性が"リア充"人生を謳歌してるワケ

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金修琳氏。
 世の中は不公平。そんなことはハナから分かっていても、「ゴールドマン・サックスを経て今はクレディ・スイスに勤務。花形職業に就く夫と可愛い盛りの娘あり。4カ国語を話せるアラフォーです」なんていうプロフィールを見ると、ため息のひとつも出てくるというもの。そんな女性が書いた半生記なんて、普通なら見向きもしないかもしれない。  だが、『耳の聞こえない私が4カ国語しゃべれる理由』(ポプラ社)の著者である金修琳(キム・スーリン)さんの場合、そのプロフィールの前半には「両親の離婚で捨て子同然の目に遭い、親戚や他人の家など次々とたらい回しにされ、さらには聴覚を失い......」という、あぜんとするほどの不幸が列記されているのだ。  現在のリア充っぷりとはあまりにギャップがある子ども時代。この金修琳という女性、いったい、どんな人生を送ってきたのだろうか? ■4カ国語を覚える方法 ――修琳さんが話せるのは、韓国語・日本語・英語・スペイン語とのことですが、耳が聴こえないにもかかわらず、4つもの言語を習得するに至ったのはどういう理由があったのでしょうか? 「私は韓国のソウルで生まれた韓国人ですので、韓国語は母国語として覚えました」 ――生まれつき聴こえなかった、というわけではないんですね? 「はい。6歳までは聴こえていたようです」 ――著書を読むと、修琳さんは幼いころからかなりご苦労されているようですが......。 「そうですね。つらいこともありましたね(笑)」  そうカラッと笑う修琳さんだが、実際には「つらい」という言葉が軽く聞こえるほどの目に遭っている。生まれて間もなく両親が離婚、4歳になって捨て子同然で預けられた父方の親戚の家でネグレクトを受け、母によってようやく救出されたかと思いきや、今度は母が日本へ出稼ぎに出たためまた離れ離れに。修琳さんの養育費として用意されていた金を、祖母が勝手に我が息子への投資と教会への布施に横流ししたせいで貧乏のどん底に。そんな生活の中、失われていった聴覚。そして、突然日本に連れて来られ、右も左も分からない異国の赤の他人の家で暮らすことになる......。  これが小学6年生になるまでに起こったことというのだから、韓流ドラマも顔負けだ。 「日本語は生きていくために覚えました。座学で覚えたのではなく、生活の中でマスターしていったんです。当時、私は12歳。子どもって、環境に慣れることも言葉を覚えることも大人の何倍も早い。きっと、大人より生き抜く力が強いんでしょう。日本人のファミリーと生活を共にし、日本の普通学校に通いましたので、当然同年代の子どもとの交流が盛んになる。そうすると、日本語を覚えないとケンカもできないんですよね(笑)」 ――ああ、なるほど。「ケンカ上等!」のために覚えた言葉だった、と(笑)。しかし、それだけで本当に覚えられるものなんですか?  「預けられた日本人ファミリーの家で覚えたというのもありますが、一番大きかったのは、タナカさんという同級生の存在でした。彼女が、毎日毎日根気よく私が発音練習する相手をしてくれたんです。彼女が教えてくれる口の動きをそのままマネして、家に帰ると家族を相手にアウトプットする生活を送っていたら、非常に早く覚えられました。彼女とは、成長するにつれ、いろいろな事情が重なって疎遠になっていったのですが、今でも心から感謝しているし、もし会えるのなら会いたいと思っています」  読者の中には、「では、このインタビューはどうやって行われているのか?」と気になる方もいるかもしれない。たとえ聴こえないながらも修琳さんが「話す」ことはできるとして、では「聴く」方もできない限り、「会話」は成立しないのではないか、と。答えは、「読唇術」。修琳さんは、こちらがちょっとだけ大きめに口を開けてはっきりと話しさえすれば、唇の動きだけで十分相手の話していることを理解することができるのだ。  修琳さんは、こちらの話に自然に相づちを打ち、時にはケラケラと笑う。こちらとしては、彼女が聴覚を失った人間だとはとても思えない。しかし、それが可能となるためには、並々ならぬ努力があったわけである。 ――では、英語は? 高校を卒業してからイギリスに留学して勉強されたとのことですが。 「英語の習得は本当に大変でした。英語力がほとんどゼロの状態でイギリスに渡航したものですから。小学6年生から高校まで日本で学校に通っていたものの、耳が聴こえないせいで国語と英語はとても成績が悪かったんです」 ――日本語習得のようにはいかなかったわけですね。 「ええ。そもそも 『I』という字をなんと発音すればよいのか分からない。テキストを数行読むだけでも、何日もかかるような状態でした。大げさに言うとヘレン・ケラーみたい。のどや口、舌に触ってどういう動きをしているのか確かめながら、発音を覚えたんです。ただ、発音の仕方を覚えても、それを声にできるまでにまた時間がかかる。それに、覚えた音が合っているのかどうかは自分で確認できない。だから、知っている人全員に聞いてもらって、相手が理解できるか確認するというのを学校でもホームステイ先でもやっていました。渡英前は自分を言語の天才のように思っていたんですけど、とんでもなかった(笑)。偉そうになっちゃいますけど、聞こえない状態で新しい発音を覚えるのは、並大抵の努力ではできません」 ――それが、今では仕事で使うことができるレベルになっている、と。 「もちろん私は自分の声だって聴こえないわけですから、いまだに自分が正しく言えているのかどうか、本当のところは分からないままではあるんですけどね。でも、通じているからとりあえずは大丈夫なんじゃないですか」 ――そして、最後にスペイン語。また同じ努力を繰り返すのかと思うと嫌にならなかったんでしょうか? 「人間って欲深いでしょう? せっかく3カ国語を話せるんだから、もう1カ国語やろうっていう気持ちで挑戦したのが、スペイン語だったんです。スペイン語は読み方がほとんどローマ字と同じだから、いくつか特別な発音を覚えられてしまえば、英語よりは難しくありませんでした。英語のように一つひとつ覚える必要がなかったので、会話ができるようになるのも早かった。だから、スペイン語は楽しく勉強しました」 ■人生を切り開いていくために必要なものは?  本書ではもうひとつ見逃せない点がある。それは、修琳さんのサバイバル能力の高さだ。先ほど紹介したように、修琳さんは子どものころから波乱万丈の人生を送っている。大人になってからも、2度のうつ病を経験するなど、平凡な道を歩めたわけではない。しかし、何か困難にぶち当たるたび、あがき、周りを巻き込み、最終的には自分の望みをかなえてしまうのだ。 ――修琳さんは何度もつらい目にも遭っていますが、そのたびに自分でなんとかしようと突っ走りますよね。どうして、そういうことができるのでしょう? 「もともと楽天的だからじゃないですか? 悩みがあっても、その場その場で解決できる方法を探してきたので、人生を通して大きな悩みがあり続けているかというと、そうでもないです。2度、うつにもなりましたから、それなりに何かあったんでしょうけど、今思えば何に悩んでいたのかが分からないんですよ」 ――耳が聴こえないことで、人より苦労しているとか、損をしていると思うことはないのですか? 「ないですね。周囲には『いろいろ苦労があるでしょう?』と言われますが、自分では『別に?』って感じで。確かに、耳が聴こえないと、コミュニケーションがうまく取れずに人間関係が難しくなることがよく起こります。でも、コミュニケーションの難しさに悩むのは、聴こえる人も同じですよね。ハンディがあるから、とか、私だからという特別な悩みにはなり得ないでしょう?」 ――それは確かに。でも、修琳さんのようにアクティブに動いて、それを解決に結び付けるバイタリティーがある人は少ないかもしれません。だんな様だって、出会い系サイトで見つけたんですよね? 普通は、サイトに登録するところでちゅうちょしますが。 「じっと考えていても始まらないですから。アクションを起こさないと結果は出ないし、チャレンジしてみないと悔いが残りますからね」 ――今は子育てに四苦八苦しているとか。 「そうなんですよ。もう、2歳児なんて悪魔です、悪魔(笑)。でも、日に日に成長して、最近は『自分のお母さんがほかとはちょっと違う』ということが分かり始めたみたい。どうやれば私に自分の思いを伝えられるのか、彼女なりに模索しているようです。ただ、私が聴こえないせいで娘を危ない目に遭わせるんじゃないか、というのが目下の悩みかもしれません」 ――でも、今はお幸せだ、と。 「幸せです。人並みに、幸せです。でも、もっと幸せになりたいです(笑)」 (取材・文=門賀美央子) ●きむ・すーりん 1972年、ソウル生まれ。聴覚障害を持ちながらも、韓国語・日本語・英語・スペイン語の4カ国語を話す。小6の時に日本へ。高校卒業後、イギリスへ留学。短大卒業後、王子製紙に就職し、4年後に退社。貯金が尽きるまで、3年間で世界30カ国を放浪する。帰国後、米金融大手ゴールドマン・サックスに入社。現在は同じく金融大手クレディ・スイスに勤めながら、2歳の愛娘の育児に奮闘中。
耳の聞こえない私が4カ国語しゃべれる理由 6歳で聴覚を失い、12歳で来日。時を経て今は外資系一流企業に勤務。変わり種キャリアウーマンの、へこたれないトンデモ半生記。 発行/ポプラ社 価格/1,470円(税込) amazon_associate_logo.jpg
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硬派な監督が撮った恋愛サスペンス!『行きずりの街』は大人のドラマだ

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常にリスクを負う企画にチャレンジする阪本順治監督。
『行きずりの街』では初顔合わせのキャスト&スタッフを束ね、
見応えのある恋愛サスペンスに仕上げた。
 「このミステリーがすごい!」第1位を受賞した志水辰夫のハードボイルド小説を映画化した『行きずりの街』は、往年の東映アクション映画ファンにはたまらない作品となっている。黒澤満製作、丸山昇一脚本に加え、撮影・仙元誠三、照明・渡辺三雄といえば、松田優作主演作『最も危険な遊戯』(78)、『殺人遊戯』(78)、『処刑遊戯』(79)、『野獣死すべし』(80)、『ヨコハマBJブルース』(81)、『ア・ホーマンス』(86)などを手掛けた東映の黄金スタッフ。主演は『ビー・バップ・ハイスクール』(85)で俳優デビューし、東映作品でキャリアを磨いた仲村トオル。最近の仲村トオルは、WOWOWの社会派ドラマ『空飛ぶタイヤ』で中小企業の社長を大熱演するなど、大人の俳優としてかなりイイ感じ。そんな東映色の強いキャスト&スタッフを、がっちり束ねてみせたのが阪本順治監督だ。『どついたるねん』(89)で衝撃のデビューを飾って以来、『顔』(00)、『魂萌え!』(07)、『闇の子供たち』(08)と濃厚な人間ドラマを描き続けている。阪本作品では珍しいベッドシーン、撮影期間中は食事をまったく摂らない理由、震災直前に書き上げていた脚本......、男気溢れる阪本監督にいろいろ聞きましたぞ。 ――『行きずりの街』、仲村トオルと小西真奈美のハードなラブシーンもあり、大人のドラマとして非常に見応えがありました。本作は仲村トオルの芸能生活25周年、映画出演50本の記念作になるそうですね。 阪本順治監督(以下、阪本) はい、でもボクに監督のオファーがあった時点では、そのことは知らなかったんです。志水さんの『行きずりの街』を映画化するなら、仲村トオルくんがいいなぁと思っていたところ、ちょうど仲村くんにとって、そういう節目のタイミングだったんです。仲村くんにとって節目の作品になるということは後で知ったんだけど、そういう作品の監督をボクにやらせてもらえるのは嬉しいことだなと思いましたね。 ――かつて松田優作、仲村トオルらが所属した東映系の芸能プロダクション「セントラル・アーツ」の代表・黒澤満プロデューサーの計らいなわけですね。
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元高校教師の波多野(仲村トオル)は愛する
雅子(小西真奈美)と別れた過去に悩み続けて
いた。(c)2010「行きずりの街」製作委員会
阪本 そういうことですね。仲村くんにとって、映画出演50作目ということより、新人時代の彼を育てた黒澤プロデューサーの元で節目となる作品を撮ることができたということのほうが大きいんじゃないかな。まぁ、俳優としての節目の喜びは、彼自身にしか分からないことだけどね。 ――ひとりの俳優のデビュー25周年&映画出演50作目を記念する作品が作られるなんて、まだ映画業界にそんな"粋"な部分が残っていたんですね。 阪本 そうだね。うん、そういうことにしておこうよ(笑)。 ――阪本監督にとって、東映作品は『新・仁義なき戦い』(00)、『カメレオン』(08)に続く3作目ですが、がっちりとスタッフワークが噛み合ったように感じました。今回の脚本・丸山昇一、撮影・仙元誠三、照明・渡辺三雄というベテランスタッフとの顔合わせは、特別な想いがあったんじゃないでしょうか? 阪本 丸山さんは『カメレオン』でもご一緒したんだけれど、仙元さん、渡辺さんに関しては、ボクからお願いしたんです。黒澤プロデューサーで、仲村トオル主演、丸山昇一脚本となれば、これは東映の、それもセントラル・アーツの座組でやるべきだろうと。俳優に関しても『新・仁義なき戦い』『カメレオン』に出てくれた菅田俊さん以外は、ほとんど初めての人ばかり。でも、初めて組むキャストやスタッフと、ある種の緊張感を感じながら取り組んだほうがいいように思ったんです。単身で、現場に乗り込むという怖さ半分、面白さ半分でやれたことがいいように働いたんじゃないかな。 ――阪本監督ほどのキャリアでも、現場は緊張するもの? 阪本 だって、仙元さんは50年以上のキャリアですよ。仙元さんから見れば、ボクなんかヒヨッ子同然(笑)。世界的に見ても、80歳で現役の映画監督は少なくないでしょ。そういうベテランに比べれば、ボクのキャリアなんて無いに等しいですよ。 ――仙元誠三&渡辺三雄コンビとは、阪本監督は映画業界に入って間もない頃に現場を共にしたそうですね。 阪本 仙元&渡辺コンビと初めて遭遇したのは、『汚れた英雄』(82)の撮影現場。あの作品のレースシーンの"製作進行"としてボクは参加していたんです。現場でお弁当を配ったり、お茶を淹れたりの雑用係ですよ。若かった頃の仙元さんの傍若無人ぶりを、そのときしっかり体験しましたね(笑)。その日の撮影が終わると、宿泊先の仙元さんの部屋で酒盛りになるわけだけど、ボクが部屋の片隅でついアクビをしたら、「そこのお前、アクビすんじゃねぇ!」と怒鳴られた(苦笑)。その後、ホテルで打ち上げがあって、トイレで渡辺さんと一緒になって、連れションしたんです。そのとき、渡辺さんが「君が淹れてくれたお茶、美味しかったよ」と声を掛けてくれた。その頃の渡辺さん、パンチパーマでゴッツイ人相だったけど、「なんてイイ人なんだ!」と感激した覚えがあります(笑)。
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東映のベテランスタッフが集結した『行きず
りの街』。照明技師の渡辺三雄氏は10年11月
に亡くなり、仙元&渡辺の名コンビは本作がラスト
に。
――仙元&渡辺コンビから、図らずも現場の厳しさと優しさを両方教わったんですねぇ。阪本作品というと、撮影=笠松則通という印象が強いんですが......。 阪本 笠松さんとは、ボクが助監督だったときに笠松さんが撮影助手を務めていたこともあって、"あうん"の呼吸で撮影することができるんですよ。ボクが何を撮ろうとしているのか、どんな芝居を欲しがっているのか、笠松さんは分かってくれる人。強い絆があるんです。でも、その絆に頼らずに、どこに絆を見出せばいいのかというチャレンジも、時に必要だと思うわけです。今回、仙元さんとは初めて本格的に組んだわけだけど、クランクイン前に仙元さんは「今回に限って、怒鳴ることと人を殴ることはやめる」と言ってました(笑)。「阪本のやりたいことをまず聞いて、そこで自分に何ができるかを考える」というスタンスでいてくれたようです。といっても、現場では物が飛んだりしていましたけどね(笑)。今回はボクに合わせてくれたけど、次は分からない(苦笑)。でも、そのほうが面白いですよ。自分の生理だけで作品をつくると、自己満足に陥りやすいもの。俳優も含めて、いろんな生理が作品の中に混在しているほうが、楽しいですよ。 ■男物パンツに主人公が激怒するシーンは出色! ――仲村トオルと小西真奈美が俳優としてのポテンシャルを存分に発揮。2人のベッドシーンは魅せますね。阪本作品でのラブシーンは珍しいのでは? 阪本 そうだね、実は、『王手』(91)という作品で赤井英和と広田レオナちゃんのベッドシーンを撮ったことがあるんだけど、ボクの演出がマズくて、赤井くんの表情がすごすぎて、彼女を強姦しているようにしか見えなかった(笑)。それで編集段階で仕方なくベッドシーンを丸ごとカットしたんです。広田レオナちゃんから、ひどく怒られた。それ以来、ベッドシーンはどこか苦手意識があったんです(苦笑)。今回は12年ぶりに出会った主人公の波多野(仲村トオル)と雅子(小西真奈美)がもう一度心を交わすことで、自然と体を交わすことになるのは避けては通れないシーン。それでチャレンジしたんだけど、役者以上にボクのほうが照れてしまった(笑)。 ――主要キャストには、事前にメモ書きを渡すと聞いています。 阪本 えぇ、仲村トオル、小西真奈美、窪塚洋介の3人には、クランクイン前に各人物の気質とか設定についてメモを渡しました。映画って、その人の人生の途中から始まるから、その前はどんなことをしていたのか、なんてことを書いたメモを渡して、撮影が始まる前に話し合うようにします。そうすれば、現場に入ってから、撮影を中断するような長時間のディスカッションをしなくても済むわけです。途中で道に迷っても、立ち戻れる場所を作っておくということです。まぁ、今回はラブシーンについてまで具体的なことはメモでは触れていませんが、雅子は波多野と別れた12年という経験を活かして前向きに生きているが、波多野は12年前の経験を活かさないまま田舎に引っ込んでしまった男だということ、雅子は昼も夜も働いているが、一人ぼっちになったときぽっかりと心に穴が空き、その穴を埋めてくれるのは波多野だった......みたいなことをメモ書きにして渡しました。
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窪塚洋介、佐藤江梨子ら脇役陣もイイ味を出し
ている。「観た人に"あの役者、いいね"と思って
もらいたい。俳優の気質と役が被るような配役
を考えますね」と語る。
――なるほど、演出ってキャラクターの内面を作っていく作業なんですね。シャワーを借りた波多野が、雅子の用意した男物パンツを見て、ブチ切れるシーンは大変な名場面。2人の間で焼けぼっくいに火が付く瞬間が実に鮮やか。 阪本 波多野は目の前にある男物のパンツを見て、自分の頭の中で勝手に妄想して怒り出すわけだよね。しかも、雅子にたしなめられた後、「あっ、コーヒー飲むようになったんだ。昔は飲む人じゃなかったよね」とか、物すごく場違いなことを口にする情けない男なんですよ。ボクも現場で観ていて「お前は一体、何をしゃべっとるんだ?」と吹き出しそうになりました(笑)。丸山さんが原作をうまく脚色してくれました。まぁ、観ている人は波多野にツッコミながら、感情移入してもらえればと思います。結局、男は別れた時から全然成長できていないんだけど、女はそんな男を受け止められるだけ成長しているわけなんですよ。 ■"太った監督"は俳優から信用されない? ――阪本作品というと男臭い印象が強いんですが、実は藤山直美主演『顔』(00)、風吹ジュン主演『魂萌え!』、観月ありさ主演『ぼくんち』(03)と女性キャラクターが生き生きとしている秀作が多いんですよね。 阪本 男が主人公の場合なら、「もし、オレが同じ男だったら」と立場を置き換えて、自分の願望を込めて考えるわけだけど、さすがに女性の場合は「もし、オレが同じ女だったら」とは考えない(笑)。女性キャラクターの場合は「もし、同じ人間だったら」というふうに考えますね。あと、『魂萌え!』のときに原作者の桐野夏生さんから「原作小説をどのように換骨奪胎してもらっても構わないが、女性を男の願望で描かないでほしい」と言われたことが、今でも演出する上で頭に残っているんです。 ――阪本作品に出て来る女性たちは男の理想像ではなく、生身の女なんですね。以前から一度、阪本監督に聞いてみたかったんですが、撮影期間中は食事を摂らないって噂を聞くんですが、本当ですか?
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失踪した少女・ゆかり(南沢奈央)の元同居
人役の谷村美月がトボケた演技で笑いを誘う。
衣装合わせ時に、阪本監督と同じ中学の32期
下の後輩であることが判明したそうだ。
阪本 毎回ね、「今回はちゃんとみんなと一緒にお弁当を食べよう」と思って、最初の2~3日は食べるんだけど、段々と胃が受け付けなくなるんです。みんながお弁当を食べている間、ボクは片隅でカロリーメイトをぼそぼそと喰っています(笑)。1日の食事はカロリーメイトひと箱。撮影中にボクのお腹が鳴ってNGを出したこともあるんで、お腹が減りすぎて鳴ってしまいそうなときは、制作部が用意したお菓子をちょっとつまみますけどね。だいたい、ひとつの作品を撮り終わると6~7kg体重が減ります。でも撮影終わった後は酒を飲むんで、すぐにリバウンドするんです(笑)。 ――1カ月前後、まともに食事を摂らないわけですか。それは自分をギリギリの状態に追い込んで、感覚を研ぎ澄ますということですか? 阪本 単純に、食事をしないと内臓に負担が掛からないから疲れないんです。食事をした後で、頭がぼーっとすることもないしね。もともとは『どついたるねん』の撮影前、赤井くんに25kg減量させたんで、撮影中はボクも一緒に食事を摂らなかったことから始まったんです。ビタミン剤を1錠だけ手のひらに乗せて、「これが今日の食事な」とか赤井くんと言いながら撮影を続けたんです。その後、『鉄拳』(90)に出てもらった菅原文太さんに、『傷だらけの天使』(97)でまた出てもらったんですが、「阪本、お前太ったな」「オレは太った監督は信用しねえよ」と言われてね。『傷だらけの天使』の前、1年間作品が撮れなかったこともあり、暴飲暴食が続いて体重が増えていたんです。菅原文太さんに言われたこともあり、それからは撮影現場に臨む段階から体をぎゅーっと絞るように心掛けているんです。 ――身を削って映画を撮っているんですね。最後に"震災と映画"の関係について聞かせてください。3月に起きた東日本大震災は、クリエイティブな仕事に関わる人間に今後も多大な影響を及ぼしていくと思います。阪本監督はどのように考えているんでしょうか? 阪本 ボクも震災の直前に、脚本をひとつ、ちょうど書き終えたところでした。2013年の経済を予測するというテーマのものだったので、これは部分的に修正すればどうにかなるというものじゃない。根底から考え直さなくてはならないでしょう。もちろん、どのジャンルの映画でも、作り手はどんな時代にその作品を発表しようとしているのか、常に考えなくちゃいけない。でも、今は意識しなくても意識せざるを得ない状況ですよ。フィクションって何だ? 虚構って何だ? 映画に何ができるのか? あるいは、まったく無力なのか? 当然、映画業界にいる人間は、みんな考えていることだと思います。中には物理的な理由から製作をストップに追い込まれた企画もあるでしょう。生活が厳しくなる人も出てくるだろうけど、でも震災の直接被害に遭った方のことを思えば、そんなことは言ってられない。原発事故を含め、今後どんなことが起きるのか予測がつかない時代。どこに希望を見出せばいいのか、正直分からないよね。崔洋一監督が「映画は希望を与えるものだけど、絶望を与えるのも映画だ」と言っていますが、今はそのどちらでもないところに追いやられたように感じます。映画を作ることで現実に向き合うのか、それとも全然違うことに取り組むのか。今はそれぞれが考える時間が与えられたと思うしかないですね。 (取材・文=長野辰次) 『行きずりの街』 原作/志水辰夫 監督/阪本順治 脚本/丸山昇一 製作/黒澤満 撮影/仙元誠三 照明/渡辺三雄 出演/仲村トオル、小西真奈美、南沢奈央、菅田俊、うじきつよし、大林丈史、でんでん、宮下順子、佐藤江梨子、谷村美月、杉本哲太、ARATA、窪塚洋介、石橋蓮司、江波杏子 販売元/東映 発売元/東映ビデオ 5月13日よりレンタル開始、5月21日よりDVD発売(税込4,935円) <http://www.yukizuri.jp> ●さかもと・じゅんじ 1958年大阪府堺市出身。横浜国立大在学時から、石井聰亙、井筒和幸らの作品にスタッフとして参加。監督デビュー作『どついたるねん』(89)で第32回ブルーリボン賞最優秀作品賞を受賞。松山ホステス殺害事件をモデルにした『顔』(00)では第24回日本アカデミー賞最優秀監督賞、キネマ旬報ベストテン第1位など多くの映画賞を受賞。その他の監督作に、『新・仁義なき戦い』(00)、『KT』(02)、『ぼくんち』(03)、『亡国のイージス』(05)、『魂萌え!』(07)、『闇の子供たち』『カメレオン』(08)、『座頭市 THE LAST』(10)など。7月には原田芳雄を主演に迎えた新作『大鹿村騒動記』が公開される。
行きずりの街 5月21日発売。 amazon_associate_logo.jpg
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叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」(後編)

IMG_2428_.jpg前編中編はこちらから 叶井 いや、そんなのは全然気にせず、俺にとっては「付き合う=セックス」だったから、「まずやってみようよ」と。で、やってみて終わり。だからデート的なことをしてない。 ――ひどい! 男女交際の認識がおかしいですよ! ......ってことは、本にも書かれてた、中学の同窓会で久しぶりに昔の彼女に会ったときに、「どうやって別れたんだっけ?」って聞いたら、「信じられない! あんたが私を呼び出して、『頭のてっぺんから足のつま先まで嫌いだ』と言って唾を吐いた上に、膝にケリ入れて帰って行ったんだよ!」って言われたっていうエピソードも、あながちウソではなさそう! 叶井 それ、ひどいよね~。俺も全然覚えてなくて、その場にいた人に、「俺そんなことした?」って聞いたら、「した!」ってみんな言うの。そのことはぜんぜん覚えてないんだけど、その翌日に学校行ったら、俺の机と椅子がなくて......。その女の子の友達が怒って全部隠したんだって。「先生、机と椅子がない!」って言って、すごい探したのは覚えてるの。だから、やったんだよな、たぶん。......これ、後味悪いね! だから、この時はまだピュアで純情な俺がまだ女性をどう攻略していいか分からないっていう、修羅場の「エピソード・ゼロ」的な話ですよ! ――女の敵すぎる!! じゃあ、女性の攻略方法を覚えてからは、一度きりの方とも後味良く別れられてるんですよね、どうすれば後腐れなく出来るんですか? 叶井 やる時はやって、帰るときに「またいつか電話するね」で終わっちゃうよね。向こうから「不安なんです」とかいろいろメール来たりするんだけど、もう返さない。 ――うわぁ、なんかもう「斬り捨て御免!」みたいな......! よく今まで後ろから刺されることなく暮らせましたね! 叶井 しょうがないもん(キッパリ)。そういう人からメールが来て、もし会っても顔も覚えてないわけだから、「あれ? アイツだと思ったら、コイツだったのか!」っていうこともあったし、俺の想像通りに来た人ひとりもいないもん。あれはなんだろうなー、無駄な時間過ごしてるよね。だってその気分じゃないんだもん。違う人来てるんだもん。で、帰るのもちょっと悪いと思うから、一回とりあえずやるけど、なんかこう、物足りない? コイツじゃないんだよ......って。 ――ぜんぜん共感できないですけど、カレー食べようと思って家を出たらカレー屋がそば屋になってて、もうお腹はカレーの準備してたのにがっかり......みたいなことですかね。 叶井 なんでこうなっちゃうんだろう? でも、"やらなきゃいけない"っていう義務感? そういうのしょっちゅう。だから、そういう子たちはもう携帯に登録してないね。結婚してネットにいっぱい出たときは、知らないアドレスからメールがワーッときて、いちいち返したもん。「ご無沙汰ですね」とか。全然知らないのに。 ――それは、やっぱりおめでとうメールとかではなく......? 叶井 うん、600人斬りって書かれてるから、「私は何人目ですか?」って聞かれたりして、「222」とか、もう適当に若いナンバーで。500何番とか遅めの番号にすると、女性に失礼かなとか思って。 ――気を遣う部分がなんかおかしいです! しかしながら、今ではいいパパですもんね。そういう遊んでた人とかヤリチンに辻斬りされず、本命になるためにはどうすればいいんでしょう? 叶井 だから、まずは達観しなきゃダメじゃん。何度も言うけど、高2で100人いってないとダメだっていうのが俺の持論だから、まず「高2で何人くらい?」って聞けばいいんじゃん? ――それで、1~2人、もしくはいまだにゼロと言われたら? 叶井 「ちょっと足りないな~」って言えばいい。あなたの高校時代にいた? そのくらいの人。 ――いないですよ! 女子高にとって先生以外の男子は異星人ですから、たまに自販機の補充に作業服の男の人がやってくると、「男がいるぞ!」ってみんなで見に行ったりしてましたよ。 叶井 出会いがなかったんだ。 ――やっぱり共学と比べてかなり少ないと思うし、未だにうまい付き合い方も分からないですね。私、売れない着エロ系のグラドルだったので、なんかこう、「軽く見られてるんじゃないか?」とか、気にしすぎて身構えちゃうんですよ。 叶井 あー、着エロだから簡単だろうと思って近づいてくるとか? 難しいねー、そういうの。仕事とか気にしない人がいいよね。40代ぐらいになってるとそういう人いるかもよ? 俺全然気にしないもん。AVの人とやったこともあるけど、全然知らずに後から聞いて、「下手だね! 潮とか吹かないじゃん!」とか言って(笑)。 ――一回きりなのにダメ出しまでされるのか! なんていうか、現在の奥さんのくらたまさんがすごすぎる。他の人と、何がそんなに違ったんですか? 叶井 やっぱり、24時間一緒に過ごした時の、いろんなタイミングあるじゃん? ご飯食べるとか寝るとか、そういうの全部合うんだよ。今までそういうのはあんまりなかったから、一人暮らししてるようなもんだよ。過去の人たちのときは、「一緒に住みたい」とかなかったもん。その時の女性に対する気持ちと、40代になってからの気持ちは違うじゃない? ちょうど俺が「常にキープするのも、もういいや」と思ってたころに出会ってたから、くらたまと。 ――なるほど、こんなに「結婚はタイミング」って言葉が当てはまることもないですね、本当に達観してからだったから。 叶井 そうそう、あと趣味とかも含めてさ、すごい合うからね、そこは楽だね。 ――羨ましいなぁ。ちなみに、やっぱり息子のまーくんにも高2で100人いってほしいですか? 叶井 いってほしいね~! ただもう小学校4年だから、その時点でオナニーしてないわけじゃん? その時点でちょっと、ねぇ? 本には書いてないけど、本当は俺と暮らしてる間にオナニー教えたかったの。 ――早すぎるでしょ! 9歳って、ちびまる子ちゃんとかの年齢ですよ! 叶井 いや、俺の歳で結構みんなやってたから。中目黒小学校ではオナニーがブームでした。 ――まさか! 私の小学校では酒瓶の蓋を回したり、バトル鉛筆がブームでしたよ? 叶井 オナニーだったよ! 「透明なの出たよ!」「ダサい、こっちは白いぜ!」とか。中目黒小学校の女子は4年くらいからブラジャーしてたから。 ――早い! 私は中学生までしてなかったですよ。今でもしなくて平気なくらい。 叶井 遅すぎますよ!! ――あんま大きくなかったんですよ! 叶井 (一瞥して)......そっかそっか。でもみんなそうだったんだよ! 男子はオナニーブーム! ――......じゃあちょっと話を戻しますけど、娘さんのココちゃんが高2で100人いってたらどうですか? 叶井 尊敬するね。俺はバンバンやればいいやと思ってるから。モテる女になれ、と。俺は男も女も10代の時にヤリまくれ! っていう考え方だから。 ――でも性病とか怖いじゃないですか。気にならないんですか? 叶井 それはもう、危機管理能力が抜けてるよね。そこを相手を見て病気かどうか判断できる人になってほしいね。そこにいくためには高2で100人。 ――よーし、じゃあまずは100人目指すぞ~って言って、一人目ですごいやばい病気に当ったら怖いじゃないですか! 叶井 そこはちゃんと見極めろって教えなくちゃな。俺が遠くから見て教えるわ。俺が見て、「あいつは大丈夫だ、やってこい」と。 ――叶井レーダー......。私、絶対分かんないですね。「持ってない、大丈夫」って言われても信用できないです。 叶井 そんなの当たって砕けろだよ! 男もそういうふうに見られたらめんどくさいって思っちゃうんじゃない? ダメだよ! マイナスです! マイナスイメージ!! ――ちょっと仲良くなった男子とかでも、そういう雰囲気になると脱兎のごとく逃げますね。この前の大地震の直後、また大きな余震が来るとか、放射能とか、ニュースやネットで散々あおられて、「いざという時、猫を連れてどこに逃げたらいいんだ......」って不安でいっぱいのときに、近所に住んでる男性の知人に「何にもしないから、猫も連れて家に来なよ。こういう時は助け合いだよ!」って言われて、うちは古い木造で震度3でも震度5くらい揺れるので、お言葉に甘えて猫と避難させてもらったんです。 叶井 へー、そういう手口もあったのかー(感心しながら)。 ――でも、案の定そういうエッチな雰囲気を醸してきて、「いや、すみません、何にもしないって言いましたよね?」って流し続けてたら、翌日に追い出されましたね。余震がんがん来て、原発から煙がモクモク出てるのに、ひどい! 叶井 ひどいのはそっちだよ!! 何言ってるんだ、君は!! もう、「病気持ってるかも」とか、「セックスだけで終わっちゃう」とか、そんなのはとっぱらっちゃえばいいんだよ!! 会う=セックス!! 本能のまま行けばいいんだよ......!! ――そんなに性欲旺盛じゃないですもん、私。 叶井 ......ま、一回やってみよ? やってみないと分かんないからさ。あまりセックスに対して比重を置きすぎてると、良くないんじゃないの? ――いやー、どうせなら結婚してからの方がいいんじゃない? くらいに思ってますよ。 叶井 うん、ダメだよね。とりあえずやっとかないと分かんないもん。とりあえずそういう無駄なものをとっぱらって。もう26歳でしょう? ......遅いよね。スタートが遅すぎる。 ――確かに、若いうちに遊んでおけばもっと違った今があったのかも、とは思いますが、引きこもりのオタクだったしなぁ......。 叶井 まぁ、今だったらまだ間に合うかもしれない! ちょっと周りに追いつかないといけないから、ペースあげないと!! ――えー......。 叶井 その地震の時の人に「もう一回家に来なよ」って言われたら行くね? ――そういう、災害をだしにして女性をどうこうしようって感じの人は嫌です......。 叶井 「放射能だから来なよ、うち核シェルターになってるよ」とかだったら? ――ドクター中松じゃないですか! 無理なものは無理ですよ! 叶井 もう、君はダメだ、意味が分からない。とりあえず、くらたまに投げるから、『だめんずうぉ~か~』に出て。いまネタが切れてるらしいし。 ――マンガのネタになるほどメンズの引き出しがないっす! 叶井 ああ、「男を好きになったことがない女」とかでいいんじゃないの。(投げやりに) ――好きになったことくらいあるもの!! 叶井 フーン、すごいねー(鼻で笑って)。そう言っていればいいじゃないの。じゃあ次のお仕事決まりです! よかったー! ――なんか主旨からは外れましたけど、良かったー! 今日はありがとうございました!(投げやりに) (取材・文=小明) ●かない・しゅんたろう 1967年、東京都生まれ。フランス映画『アメリ』(01)の買い付けなどで知られる映画バイヤー・プロデューサー。「600人斬り」を自称する「だめんず」にしてマンガ家・倉田真由美の夫。11年3月『突然、9歳の息子ができました。』上梓。 ●あかり 1985年栃木県生まれ。02年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
突然、9歳の息子ができました。 世はイクメンブームですから。 amazon_associate_logo.jpg
小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第23回】 須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」 【第22回】 オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ......」 【第21回】 Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」 【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」(中編)

IMG_2432_.jpg前編はこちらから ――酢をかけられたら具体的にどうなるのか分からないけど、異様に怖くて、ごめんなさい、ごめんなさいって必死に逃げたような......あれはいまだに意味が分からないですね。普通に殴られるより、得体の知れない恐怖がありました。 叶井 あるある! しかしそれはなかなか効果的だね! 俺も娘に使ってみようかな。 ――くらたまさんに殺されると思います......。あと、結婚についてもお聞きしたいんですけど、くらたまさん以前の3回の結婚は、どちらからプロポーズしたんですか? 叶井 うーん、向こうからで、「そろそろどうなの?」「じゃ、しよっか」って......? いや、でも、全然覚えてないんだよね。今サラッと言ったけど、ごめん、全然覚えてないわ! 自信がない! ――もう清々しいですね! 私、今26歳で、ちょっと結婚とかがリアルになってきて。 叶井 結婚したいの? もう? ――結婚したいというか、結婚できるのかとか、もしうっかりできたとしても、自分に結婚生活が送れるのかとかが不安なんです。どんな人がいいのかも全然分からないし。叶井さん、本に「セックスに対して達観するから、数をこなした男のほうが信用できる」って書いてたじゃないですか? 確かに、昔モテなかった人がある程度の年齢になってお金を持ったりすると、「あのころ送れなかった青春を取り返す」みたいな感じで遊び続けるじゃないですか。だから、「なるほど、一理ある!」と思ったんですけど、その人が既に達観してるか、まだ数をこなしている最中かなんて、どう判別するんですか? 叶井 うーん、なるほど。それは年齢によるよね。俺の場合、もう高2で150とか200人近くいってるから。 ――......何が起きてそんなことになったんですか? 叶井 新島行ってたの。 ――ナンパ島だ! 叶井 新島に1カ月間バイトで行ってたから、30日いたら50~60人いけるよ! 女の子専用の民宿でバイトすると、泊まってるのは女の子の3~4人のグループだから、全員やんなきゃいけないわけ。 ――そんな出会い系サイトの広告みたいな世界が実在するんですか!? 叶井 そういう時期だったの。だから、高校の3年間行ってたから、3年間で200人以上でしょ。その後、ハワイも3年間半いたから、もう200~300人とかは普通に超えるんだよ。 ――すごすぎる......! 新島やハワイから帰ってからも、その女性たちとは関係あるんですか? 叶井 島で起こったことだから。島でっていうのがいいんだよ。......だから、君も島に行ってる男を探せ!! ――え? ちょっと待って! 嫌です! 叶井 島にいると、そういうことがあるからね。俺の経験からすると、新島に行ったときもハワイに行ったときも、周りのやつはみんなやってたから。やっぱりさ、環境に流されるわけ、人間って。周りがバンバンやってたら、「俺も俺も!」ってなるよ。しかも「俺も!」って言わなくても、普通に来ちゃうから。島でのナンパって、大人数対大人数でしょ? そうすると、俺がナンパしたくなくても、友達がナンパしてメンバーに組み込まれちゃうわけよ。そうすると「じゃあ俺んち来ちゃうか?」みたいな。新島は特にみんなセックスするために来てるから、どこの民宿もハプニングバー的な存在だよね。だから、"そういうところに行ってる人"というのが目安になるよ! それで達観してるかどうか分かるんじゃないかと! ――いやいや、分かんないですよ! もしナンパしに島に行って、ナンパが成功したとしても普通は1~2人とかでしょ! 成功するかも危ういですよ! 叶井 今はないでしょうね......。だから、40代の人がいいんじゃない? やっぱり新島ブームだったから。新島、神津島経験者か、20代でハワイに長期滞在した、ちょっと年上の人がいいかもしれないね! ――それ、まんま叶井さんじゃないですか......。本当、よくそこまで数を増やせましたね~。 叶井 俺はね、高2の段階でそれだけ経験してたら、女性を見る目がやっぱり違うの。ずっと同じことやってると、コイツは出来るか出来ないか、パッと分かっちゃう。俺が高2で100~200だから......高2が重要、高2が。少なくとも、高2で100超えの男がいいね。 ――完全に無理ですよ!! それ、病気とか大丈夫なんですか? 叶井 それも見分けられるの。『デスノート』みたいに、頭上にビョーンって病名が出るから、もう察知できる。ここ重要、「高2で100超え」。すべてそう(キッパり)。 ――そんな叶井さんが今は落ち着かれてるっていうのが、謎で謎で仕方ないです。 叶井 だから、それは高2で100超えしてるからだよ~。 ――でも、叶井さんは600人斬りだから、100超えの段階から、さらにもう500人いるわけじゃないですか。その間は全く落ち着いてないじゃないですか。 叶井 だから、まず高2で100超して、さらに20代のうちに何百もの数を稼いでいるわけよ。そうするともうね、34~5歳くらいから、自分から見て、「アイツいい女だな......でも、なんか似たような人と、もうヤっちゃってるかも」と、そういうふうに達観するの。電車の中とかでかわいい子がいても、「アイツはもうヤったから......」って思ってスルーすることができる。だからそこに到達するには、まず高2で100超えです。 ――あーそれは確かにそうですね......わ、なんか今洗脳されてた、危ない! いやー、でもすさまじいですね、そこまでの性欲というか。本にも「小4からオナニーを始めた」と書かれてましたし、早熟なまま走り続けたんですね。 叶井 そう。小学校4年からオナニー始めたってことは、初恋を飛び越してオナニーだから、オナニーの後に初恋。小学校の時に毎日のように意味も分からず抜きまくって、「なんか出た、やばい」と思って保健室に行こうかなと思ったけど、「なんか気持ちいいからいいや」って毎日やってたの、座布団で。座布団にカビが生えたね。 ――き、汚い!! じゃあ、初めて彼女が出来たときなんか、もうスパークして大変なことになってそうですね。 叶井 初恋が小学校6年で、高校の時もなんとなく気になってる子がいたけど、何にもできなかったんだよね~。本来だったら口説いたり告白するのが普通だと思うけど、そういうところまでいかなかったから。 ――あ、そういうピュアなところもあるんですね、なんか安心しました! ちなみに、本には「今までは常にエッチできる女性が2~3人いないと不安だった」って書いてありましたけど、なんでそんなに腹ペコだったんですか? 叶井 別に何もしなくてもいいんだけど、いつでも電話したらOKな人がいないと安心できないっていう流れが高校の時からあって、それを引きずったんじゃない? 「しようと思えばいつでも出来るんだぜ!」みたいな、根拠がなくてもいいから、自信が欲しかったんだろうね。 ――あ、その気持ちは分かりますね。私も、「結婚ができないんじゃなくて、いつでもできるからしないんだぜ!」みたいな、余裕と自信を持ちたい。 叶井 なるほどな。それと同じだね。 ――やっと分かりあえましたね! ちなみにその過去の600人は、全員じゃなくても多少は愛もあって......。 叶井 ないよ(即答)。 ――ないか! アハハ! でも、600人こなせるっていうことは、それなりに後味がいいから次が来るわけじゃないですか。それもすごいことだと思います。 (後編につづく/取材・文=小明) ●かない・しゅんたろう 1967年、東京都生まれ。フランス映画『アメリ』(01)の買い付けなどで知られる映画バイヤー・プロデューサー。「600人斬り」を自称する「だめんず」にしてマンガ家・倉田真由美の夫。11年3月『突然、9歳の息子ができました。』上梓。 ●あかり 1985年栃木県生まれ。02年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
突然、9歳の息子ができました。 世はイクメンブームですから。 amazon_associate_logo.jpg
小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第23回】 須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」 【第22回】 オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ......」 【第21回】 Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」 【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」(前編)

IMG_2469_.jpg  モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第24回のゲストは、新刊『突然、9歳の息子ができました。』(サイゾー刊)を上梓された映画プロデューサー・バイヤーの叶井俊太郎さんです!(2011年3月18日取材) [今回のお悩み] 「継父の気持ちを知りたくて......」 叶井俊太郎氏(以下、叶井) どうもどうも!(おむつの袋を手に持ちながら登場) ――先日は本当に大変なときにすみませんでした! まさか対談当日に大地震が来るなんて! 今日は仕切り直しということで、改めてよろしくお願いします! 叶井 いえいえ、大丈夫でしたか? ――千葉の実家近辺がけっこう崩れてましたけど、一応全員無事でした。叶井さんのご家族もご無事そうで何よりです。しかしながら大変な世の中になってしまいましたね。 叶井 ね~。こういう時に一番安全な場所知ってる? ドクター中松の家なんだって。家が核シェルターになってて、200人ぐらい収容できるらしいよ。 ――すごい! すごくうさんくさい情報ですね! あの、じゃあさっそく連載の主旨の説明なんですけど......。 叶井 (遮って)俺が何か相談すればいいんだっけ? ――あ、いや、私です。私が自分のことをウダウダ相談するんです。でも、いま日本がそういう状況じゃないですよね......。 叶井 娯楽的なもの、すべてダメみたいな感じだからね。 ――みんな神経が過敏になってるから、何かしら"不謹慎"になっちゃったり。 叶井 なってるなってる。だから、もうどうしていいか分かんないよね。いろいろ大変ですね。 ――そんな他人事のように! 叶井さんは先日『突然、9歳の息子ができました。』を出版されたばかりですし、やっぱり家族とか、守るものがあるとこういう震災も感じ方がまた違って......。 叶井 (遮って)タイミング悪かったよね! もう、出版社も大変でしょ? 紙がないんだよ。工場が壊滅したり、燃料がなくなったりで。 ――......あ、工場といえば、昔、工場地帯を延々撮影した『工場萌えな日々』のDVDを出されたのも叶井さんでしたね、あれ、観ましたよ! 叶井 やったやった! よく覚えてますね! 工場好きなの? ――昔工場でバイトしてたので、工場だったりコンビナートだったりはときめくんですよ。映画の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』みたいな作業をしてましたよ。 叶井 え!? アイドルなのに? 何それ? 意味分かんない! 機械好きなの? 流れ作業が好きなの? あれ、好きじゃなきゃできないよね。  ――あんまり頭が良くないから、自分で考えて動くとテンパるので、単純作業とか流れ作業とか、言われたことを淡々とこなす仕事は好きでしたね。 叶井 へえ、すごいねー(心なく)。 ――だから、今回の震災で、気仙沼のコンビナートがドカンドカン炎上してるところとか、もう地獄絵図で涙が出ましたよ。しかもなかなか火が消えなくて、『工場燃えな日々』に......(不謹慎)。 叶井 あのDVDも先取りすぎたんだよね。あの時、全然売れなかった。ああいうのいっぱい出したから倒産しちゃったんだよなぁ~。(記事参照) ――4億円の負債で倒産してご自身も破産なさったのに、ずいぶんあっさりと! あの時は映画関係者も違った意味で震えてましたよ。 叶井 本当、工場とか、誰も興味なかったみたいだね。あれ、100枚くらいしか売れてないよ。 ――え!? そんなに売れないDVDってあるんですか? 叶井 あるある。で、今はそういうのが流行ってるんだけど、あれ、5年くらい前だもん。 ――早すぎたんですね......。震災の影響はやっぱり映画業界にも来てますか? 叶井 映画館って、電気をすごいいっぱい使うわけよ。だから今「電力を抑えろ!」って上から言われちゃって、みんな夕方で営業辞めちゃってんのよ。ぜんぜん仕事ないよ。本当はね、被災地の人たちに映画で希望を持たせるとか、そういうことをしたいけど、余震とか停電で、映画館に2時間も黙って座ってるって状況がないんだよ。結局なんにもできない。無力だね、映画界! ――いや、元気付けていきましょうよ! 娯楽は絶対に必要ですよ! 叶井 無力だなあと思うな。俺、夏に『ムカデ人間』の上映があるんだよ。『ムカデ人間』どうすんだよ。『ムカデ人間』を一生懸命頑張ってるときにこうなっちゃったから。『ムカデ人間』、知ってる? ――すみません、ちょっと分かんないんですけど、『いかレスラー』みたいな、河崎実監督の新作ですか? 叶井 いや、『ムカデ人間』はオランダ映画で、シャム双生児を切り離す手術ばかりしてて飽きちゃった博士が、今度は「つなげてみたい」と思って、人間を拉致監禁して、次々肛門と口をくっつけていって、それで何日間生きれるかっていう......。 ――ろくでもねぇー! えっと、じゃあ、今は毎日何をされてるんですか? 叶井 毎日いちおう会社に行くけど、俺だけじゃなくて取引先も仕事ないのよ。TSUTAYAとかGEOとか、映画館も全部「今週いっぱいどうなるか分からないから自宅待機って言われました」って。うちの会社の人とか、すぐ逃げちゃったよ、大阪に。 ――叶井さんも、くらたまさんとの再婚で出来た息子のまーくんが福岡に住んでますよね。落ち着くまで福岡に行かれたりはしなかったんですか? 叶井 行きたいんだけど、俺はくらたまの実家から嫌われちゃってて行けないんだよねぇ。出禁状態だから。いちおう俺は年賀状も出したんだよ? 去年も出したし、今年も出したんだよ! なのに、まーの話だと「読まずに捨てた」みたいな。たぶんダメだろうね。 ――気の毒な......。まーくんはもともと福岡でくらたまさんのご両親と暮らしてたのを、再婚を期に呼び寄せたんですよね。東京では、どのくらい一緒に暮らしたんですか? 叶井 1年くらいだね。実は、春休みにこっちに来る予定だったんだけど、こうなっちゃったからさ、残念だけど。俺のことも、たぶんあと3~4年で忘れちゃうよ。 ――確かに、少年期の1年って一瞬ですし、あんまり会わないでいると、まーくんにとって叶井さんが夏休み出会ったトトロみたいな印象になってそう......。 叶井 たぶんそうだ、ね。夏休み期間限定の、お父さんという名のトトロです。だから、今ごろはもう頭の中で、「去年のあの『お父さん』っていう人はなんだったんだろうか?」ってなってるな。 ――アハハ! 会いたいはずですよ! やっぱり子どもですから! 叶井 それが福岡のじいちゃんばあちゃんの教育があるから......。「あの男は600人とヤッてるんだぞ」とか、「バツ3だぞ」とか言いまくってるはずなの。俺が破産した時、まーに「お父さんって犯人なんでしょ?」って言われて。「なんの!? 俺、何かした!?」って言ったら、「会社倒産させた人は犯罪者だって、おじいちゃんが言ってた」って。いつも「大学に行ってない人は人間じゃない」とか、「会社倒産した人は犯罪者」って、そういうのを植え付けられちゃってるわけじゃん? 人間じゃない犯罪者って、結構最低だよ! ――確かに! それにしてもひどい言われよう! その環境で叶井さんの本は、まず読ませてもらえなそうだから、フラッと立ち寄った本屋で偶然見かけて......とかが理想ですね。紙媒体、がんばらないと。 叶井 本当そう思いますよ。 ――福岡のまーくんはともかく、東京にいるくらたまさんと、まだ小さい娘さんのココちゃんもいろいろ心配ですよね。 叶井 うん。娘が一番心配だけど、どこにも逃げられないから、今日も娘のおむつ抱えて帰るよ。もうおむつも売ってないからね~。 ――いいパパ! でも、娘のココちゃんが1歳になって、ようやく他の子と顔の区別がつくようになったんですよね。遅すぎる! 叶井 遅いね~! 初めの10カ月くらいは全然かわいいと思ってなかったしね! ――600人斬りっていう伝説がありますけど、それだと、娘の命名も、昔関係のあった女性とかぶらない名前を探すほうが難しいんじゃないですか? 叶井 それもあったね。だから、何個かくらたまから案があったけど、「それ聞いたことある」ってのは、ヤッちゃってるかもしれないってことで却下されました。 ――そうですよね、ずっと呼び続けるものだし......。私も母親がバツ2の養子縁組で、父とは血がつながってなかったので、急に父親が出来たまーくんと同じ立場です。 叶井 あ、じゃあ一緒だ! 生まれてすぐ再婚したの? ――4~5歳のときですかね。幼稚園上がるちょっと前くらいに、「この人がお父さんだよ」みたいな感じになって。 叶井 で、すぐお父さんだって受け入れたの? ――そうでもないんですけど、「お父さん」って呼ばなければ無視されるルールがあって......刷り込みみたいな? 叶井 強制的だね! 俺も父親いたけど、「お父さん」って読んだことないもんな。子どもの時から一緒に生活した記憶ないから、どう呼んだらいいか分からないもん。呼ぶときは「あのさー」とかだったな。お父さんとは仲良くしてんの? ――もう亡くなっちゃったんですけど、そこそこ上手くいってましたよ。 叶井 継父って、女の子が連れ子だとレイプしたりとかするんでしょ? ――......んっ? 叶井 そういうの多いんだよね~! 本とか見てると、ほとんどが奥さんの連れ子の娘を継父がセックス奴隷にするとか! ――どんな育児本読んでるんですか!! うちはそういうのはなかったですけど、変わり者だったんで、お仕置きみたいなのがおかしくて、何か悪いことをしたときに、「お前、●●●(局部)に酢をかけるぞ!」って、酢の一升瓶を片手に追いかけられて、全裸で逃げたことがあります。 叶井 結構効きそうだね! (中編につづく/取材・文=小明) ●かない・しゅんたろう 1967年、東京都生まれ。フランス映画『アメリ』(01)の買い付けなどで知られる映画バイヤー・プロデューサー。「600人斬り」を自称する「だめんず」にしてマンガ家・倉田真由美の夫。11年3月『突然、9歳の息子ができました。』上梓。 ●あかり 1985年栃木県生まれ。02年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
突然、9歳の息子ができました。 世はイクメンブームですから。 amazon_associate_logo.jpg
小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第23回】 須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」 【第22回】 オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ......」 【第21回】 Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」 【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

「ラジオは都落ちだと思ってた」"ラジオの女王"小島慶子、今だから語れるホンネ(後編)

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前編はこちらから ――そこで「局アナとしての役割を演じるのが職責だ」と理解しつつも、疑問を感じていたわけですね。 「"何かを伝えたい"と思ってアナウンサーという職業を選んだはずだったのに、実際にやってみたら全然違ったんですよ。『オマエの考えていること、言いたいことは封印して、言われたことだけを伝えろ』っていう仕事なんだって、入ってから気付きました。これはどうも私が素人頭で考えていた、"何かを伝える"っていうのとは違うぞと。だから結局、テレビでいくらしゃべっても、どんな人が見てくれていて、見た結果なにを思ったのかなんてほとんど分からないわけですよ。ホント、視聴率くらいしか手掛かりがない。そういう「伝わった、伝えたつもり」で、堂々と高いお給料をもらって『私たちは情報の伝え手である』とか言うアナウンサーの立場が気持ち悪かったですね。もちろん、キレイな若いお姉さんがキレイな日本語で、誰からも好かれるようなしゃべり方でモノを伝えるっていう役割はマスメディアにおいて、特にテレビにおいては絶対に必要な役割だと思っているので、局アナが必要ないなんてことはまったく思いませんよ。ただ、それと私のやりたいことは違ったんですよ」 ――そのころは「ラジオだったら"何かを伝える"ことができるんじゃないか」とは思っていなかったんですか。 「アナウンサーになってからもラジオは大好きで聴いていましたけど、自分がラジオでしゃべるなんて本当に考えてもいませんでしたね。そもそも、テレビの局アナとして入社したつもりだったので、そのキャリアにおいてラジオに行くのは負けだなって。都落ちだって言われるんじゃないかっていう強迫観念がありました」 ――そんな、ラジオが都落ちだと思ってた時にいきなり帯のレギュラーでラジオ番組(『アクセス』)の話が来たわけですよね。 「ラジオは都落ちだと思ってた上に、政治や社会問題を扱う番組なんて無理だよ、私まだ25ちゃいだもん......って思いましたね」 ――でも実際にやってみたら、しっくりきたと。 keiko_k02.jpg 「私が思っていた"何かを伝える"ということをやるためにラジオ番組が、しかも時事問題を扱う番組がふさわしいかどうかは分からなかったけど、信頼していた先輩からのアドバイスもあり、とりあえずやってみることにしました。そのころの私は『局アナっていう機能を果たすことが自分の仕事である』ということが分かれば分かるほど息苦しくなっていたんですけど、『アクセス』の現場では『聴いている人はしゃべり手が局アナだろうがなんだろうが関係がない、ひとりの人間としてどう話すかだけだ』って言ってもらえて、すごく楽になれましたね。こんなことを言ってもらえる現場はなかったんですよ」 ――少なくともテレビではなかった。 「逆です、ずっと『局アナらしくやれ』『局アナっぽくしゃべれ』って言われ続けていましたから」 ――その後、コンスタントにラジオの仕事を続けてきていますが、『久米宏 ラジオなんですけど』や『小島慶子 キラ☆キラ』など、それぞれ番組のタイプは違いますよね。 「私としては、番組の形態は違っても伝えているテーマは同じなんですけどね。『私はコレがやりたいんです』『コレをやるのにふさわしい場が来るまではやりません』って言っててもしょうがないわけですよ。それだったら、自分に振られた環境の中でやりたいことをやった方がいいじゃないですか」 ――結局、小島さんが伝えたい"何か"って何なんですか。 「世の中って死んじゃいたいって思うような悪いことやイヤなことだらけに思えることもあるけど、そうじゃない面もあるんだよ、世の中そんなに捨てたもんじゃないよ......っていうことですね」 ――そんなに死んじゃいたいことってあったんですか。 「正直、ありましたよ。中学生の時も、高校、大学でもそう思っていましたし。まあ、他人からしたら『そんなの死にたくなるような苦しみじゃないよ』って思うようなことかもしれないけど、本人にとっては大問題なわけですから。そんなつらい気持ちを持っている人が、ラジオを聴いて思わず笑ったりとか、『いい話あるじゃん』って思ったりして、かつての私がラジオに救われたように『世の中も捨てたものではないなぁ』って思ってもらえたらいいなって。もちろん、そんなことを思ってくれるのは何百万人が聴いてくれて数人とかだと思いますけど、でもそれって数値化できない価値ですよね。どんな番組をやる時でも、そういうことが伝えられたらなって思っています」 ――それが時事問題を討論する番組であっても、バカ話をする番組であっても。 「はい。ただ、局アナっていう職責を背負っていると、それが非常に制限されていたんですよ。だから会社を辞めたんです」 ――退職を決心した背景には『キラ☆キラ』の評判がすごく良かったというのもあるんじゃいないですか。 「そうかもしれませんね。『キラ☆キラ』では日常の中でのたわいない喜びとか、どうでもいいような失敗談とか、そういう非常にパーソナルな、他人から見たら価値が感じられないような話からも、ドラマや文学と同じように愛とか喜びとか悲しみを伝えられたらいいなと思っているんですが、そういう番組の背骨の部分をいちいち説明しないで、リスナーの方たちからのメールを淡々と読んでいくだけで『私の日常も捨てたもんじゃないなって思いました』とか『世の中って面白いことがあるんですね』っていう反響がとってもとってもいっぱい来たんですよ。ああ、これでよかったんだと。これだったら局アナじゃなくても伝えていけるのかなって思いましたね」 ――TBSを辞めた後は「ラジオパーソナリティ」という肩書を名乗っていますよね。それだけラジオに力を入れていきたいということなんでしょうか。 「会社を辞める=アナウンサーを辞めることだと思っていたので、『フリーアナウンサー』っていう肩書というのはあり得なかったわけです。その上で、ラジオが好きだし、仕事に占める割合も多いので『ラジオパーソナリティ』と名乗ることにしただけで、別にラジオ専業を宣言したわけではないですけどね。今の時代、媒体の違いってそこまで意味があるのかなって思っているので。『キラ☆キラ』ではポッドキャストも非常にたくさんの人たちに聴いていただいていますが、それをラジオだって意識せずに聴かれていることも多いと思うんですよ。今はradikoやインターネットのストリーミング放送もやっているので、今まで接していた場所ではどうもしっくりこなかったという人が、ラジオっていう場に触れてもらえればと思っています」 ――今回の本『ラジオの魂』も媒体関係なく、という活動の一環ということですかね。 「そうですねぇ。この本は、私がしゃべった内容をライターさんにまとめていただいたんですが、あれだけ支離滅裂にしゃべり散らかしたことを理解してくれて、自分で読んでいても『もしかして、私は10代のころからそんなに変わっていなかったのかな......』とかいろいろ発見がありました。ラジオで小島という人間に興味を持ってくれた人にはもちろん、仕事とやりたいこととの間で悩んでいる人や、子どもを産もうか仕事を続けようか悩んでいるような女性にも読んでもらいたいですね。ラジオ以外の切り口で、そういうことを伝えるのもアリなんじゃないかなと。別にこの本を出したことで『だから私を愛して!』とか『こういう私を理解して!』なんていう年齢は過ぎましたからね!」 (取材・文=北村ヂン/撮影=後藤匡人) ●こじま・けいこ 1972年オーストラリア生まれ。商社に勤務する父のもと幼少期を海外で過ごす。95年TBSにアナウンサーとして入社し、2010年6月に退社。現在はラジオパーソナリティとして、TBSラジオ『小島慶子 キラ☆キラ』のメインパーソナリティをはじめ、多方面で活躍中。 ●『小島慶子 キラ☆キラ』 「みんなで世間話を楽しもう!」をキャッチフレーズに、個性豊かなパートナーたちと日替わりのテーマで送るトーク番組。毎週月~金13:00~。 公式サイト <http://www.tbsradio.jp/kirakira/index.html
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