「雪山ネタは捨てなければならない」コントのスペシャリスト・インパルスの宿命って?

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 今年9月に行われた『キングオブコント2011』でも見事に決勝進出を果たし、コントのスペシャリストとして業界内外で高く評価されているインパルスの2人。そんな彼らが11月23日にDVD『地下室』(よしもとアール・アンド・シー)をリリースする。今年5月に行われた単独ライブを収録したこのDVDには、コント職人としてのインパルスのエッセンスが詰め込まれている。そんな彼らに話を聞いてみた。 ――このDVDに収録されているライブでは、タイトルの通り「地下室」を舞台にしたコントが3本収録されていますね。このライブは初めからそういうコンセプトで作られていたんでしょうか? 板倉 いや、初めから「地下室」というタイトルにしようと決まってたわけではなくて、たまたまですね。最初に「拷問」のコントだけが頭にあって、その状態でライブのタイトルを付けないといけなかったので、そのネタを「地下室~拷問~」っていうふうにして、(ライブの)アタマと真ん中とケツに地下室のネタがあったらいいんじゃないかと思ったんです。 ――ライブの手応えはいかがでしたか? 板倉 僕としては、去年の方がウケたなっていう印象だったんですけど、思ったよりも「今年の方が良かった」っていう感想が多かったですね。笑いの量は去年の方が多かった気がしたんですけど、評判は今年の方がいいので、分からないなあと思いました。 堤下 確かに、今年のライブは後輩芸人にも「評判いいですよ」と言われたりしましたね。 ――最後のネタ「地下室~デスゲーム~」は40分を超える大作でしたが、あえて長いネタをやりたかったということなんでしょうか? 板倉 いえ、あえてというわけじゃなくて。最初に書いた台本が、僕しか面白いと思ってなかったんです。そういう感じを察したので、ネタを書き換えて。それでそのまま書いていったら、それもあんまり伝わらないらしいってことで、また最初の感じに戻したんです。だから、結果的にネタ3回分ぐらいの精神力を使いましたね。 ――それで結果的にあれだけ長くなってしまった、と。 板倉 まあ、書き上がったときに分厚いなとは思ってましたけど、まさか40分行くとは思ってなかったですね。1本のネタの中で、前半・後半とネタ合わせを分けたのは初めてでした。まあ、ライブなんであんまり時間を気にせずにやりました。 ――インパルスのネタでは、サスペンス映画のワンシーンのような、息詰まるシリアスな設定が多いと思うんですが、もともとそういうものがお好きなんでしょうか? 板倉 そうですね、ああいうのは好きですね。映画の『SAW ソウ』とか。まあ、シリアスな設定の方が笑いは作りやすいと僕は思ってるんで。同じ屁こくんでも、死にかけの人がこいた方が面白いですからね(笑)。 ――DVDを見ると、堤下さんがネタ中にすごい量の汗をかいてますね。 堤下 そうっすね、動いてると暑いです。(汗を)止めてみたいっていう気持ちはあるんですけど、なかなか止まらないですね。いろいろ調べたりするんですけど、何をしてもダメですね。 ――なかなか防げないもんですか。 堤下 防げないですね(苦笑)。防げないもんもあるんだなあと。 ――あまりに汗をかきすぎると、お客さんの集中力がそっちに持っていかれてしまうという危険性もありますよね。 板倉 そうですね、常にそれと隣り合わせです。だからまあ、ネタを考えるときにも、雪山のコントは捨てました(笑)。すぐ汗をかいちゃうんで、設定が限られてきますね。 ――インパルスのライブを見に来るお客さんはどんな人が多いんですか? 板倉 どうですかね? だんだん大人になってきたのかな、とは思います。単独ライブなのに、出てきても(歓声などは)何もないですからね。俺らしか出ねえぞっていう話なんですけど(笑)。そういう意味ではいいお客さんですよね。面白い箇所がなければ、ひと笑いもしないで帰っていく。でもまあ、こっちとしてはやりやすいですよ。 ――今回のDVDはどんな人におすすめですか? 板倉 まあ、お笑いファンでしょうね。赤ちゃんとかにはすすめられないですね(笑)。意味が分かんないし。真似したくなる動きとか全然入ってないですから(笑)。 堤下 そうですね、今はいろんなところでDVDとか簡単に買えたりするじゃないですか。手軽に見られる時代になってきていると思うんで、幅広い層の方に見てもらえたらなと思いますね。 (取材・文=ラリー遠田) ●いんぱるす 板倉俊之(写真右)と堤下敦(左)からなるお笑いコンビ。東京NSC4期生。『キングオブコント2009』『同2011』4位。11月23日に、5月に行われた単独LIVEを収録したDVD『地下室』をリリース。
インパルス単独ライブ「地下室」 汗に注目。 amazon_associate_logo.jpg
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姜尚中の耐えられない軽さ!? 在日をウリにする進歩的文化人の功罪とは

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鄭大均氏。
 『在日の耐えられない軽さ』(中公新書)などの著書で知られる鄭大均(ていたいきん)首都大学東京教授が、政治学者・姜尚中(かんさんじゅん)氏の批判本『姜尚中を批判する―「在日」の犠牲者性を売り物にする進歩的文化人の功罪』(飛鳥新社)を上梓した。岩手県で在日二世として生まれ育った鄭教授は、2004年に日本に帰化。その立場から、犠牲者性を軸にした多くの「在日論」に一貫して批判的なメッセージを発信してきたひとりだ。在日外国人地方参政権に批判的なことでも知られる。一方、姜氏といえば、東京大学教授にして『朝まで生テレビ』(テレビ朝日系)などの人気メディアにも多く露出し、在日コリアンの被害者性を強調した『在日』(講談社)などの著書でも知られる著名文化人のひとりだ。岩手県出身の在日二世・鄭教授が、熊本出身の二世・姜氏を批判する理由はどこにあるのか。鄭教授に執筆の背景と「姜批判」のポイントを聞いた。(聞き手/浮島さとし) ――鄭大均教授も在日二世であるわけですが、この手の批判本を書くと「在日同士のけんか」という好奇の目で見られることも多いと思います。 鄭氏(以下、鄭) 当然それは考えました。この歳になって他人の批判なんて本当はしたくない。そういうことは誰か他の人がやってくれたらいいと思ってました。しかし、どうやらそういうことをきちんとやれそうな人はいない。ならば自分でやるしかない。やらなかったら、後で後悔するだろうと考えたわけです。本でも記していますが、「在日犠牲者論」というのはけっこう、影響力が強いんです。在日の犠牲者性を同語反復する愚直さが、韓国や北朝鮮の発信する反日論とコラボレートして、実は世界的な影響力を発揮している。パリに行ったって、ニューヨークに行ったって、在日だというと、強制連行について言及する人間がいる。もう少し情報通になると、姜尚中という名前を語り始める。その発信地は日本なわけで、それを野放しにしていいのかという問題です。 ――鄭教授も、若かりしころは韓国民族自主統一青年同盟のメンバーとして民族運動に携わっていたとお聞きしています。在日として、姜尚中さん的な被害者意識にのめり込まなかった理由は何でしょうか。  わたしにも、被害者意識に憑依してものを語る、そういう時期がありました。我々は日本で生まれた二世であって、文化的にも社会的にも日本人と変わるところは何もないんだとか、韓国に帰属意識があるわけでもないのに韓国籍を持ち続けるのはおかしいんだとか、そういうことが明瞭になるまでには、けっこう時間がかかりました。比較的若いころにアメリカを体験したことと、韓国で長く暮らしたのがよかったんでしょうね。あとは嗜好の問題でしょう。自分の被害者性を語ることのおこがましさに慣れることができるかどうかの問題ですね。わたしはそんな気持ち悪い役割は担いたくないと思った(笑)。 ――1965年に朴慶植が記した『朝鮮人強制連行の記録』(未来社)という書物が当時の在日のバイブル的な存在になり、今の「在日論」を形成したとされています。  いや、あれは日本人のバイブルになったんでしょう。コリアンに歴史道徳的な負い目意識を持つ日本人の中に、あの本に出会って啓示を受け、それから「強制連行」の調査なんかを始める人間が出てくる。在日の場合は少し違うでしょう。もしあの本を当の在日一世が読んだら、それが自分たちのことを記した本だとは信じられないでしょう。一世の多くは、この国で一旗あげるためにとか、半島での貧しさから逃れるために故郷を離れ、日本にやってきたことを承知しているわけで、彼らの立場からすれば、自分らが日本にいることを「強制連行」のせいにするようなお話が、作りものであることは明らかですからね。 ――今回の『姜尚中を批判する』では、姜氏の自伝的作品『在日』などをサンプルとして読み進めながら人間像を浮かび上がらせる形をとられています。例えば『在日』の中の次の一文。<わたしは、一世たちの思いを後世に伝えねば、と思う。わたし自身の半生を振り返ることによって、その思いを少しでも感じてほしい。在日二世、姜尚中を知ることによって......>  ずいぶん奇怪な文ですね。一世といったって、いろんな一世がいますし、「思い」といったって多様でしょう。どう考えても一元化できるはずのない多様な「思い」を自分の半生を振り返ることで後世に伝えるというんですから、これはでたらめか妄想か。さもなくば、ある種の戦略ということになるのでしょうが、わたしの見るところ、これはなかなか戦略的に書かれた本で、怖い本だと思います。バカにはできません。 ――姜尚中氏はテレビで見る限りソフトな語り口が印象的ですが、こうして本を読み解くと、強引なことが書かれていることに気づかされます。  『在日』にはこういう記述があります。姜氏にはナイーブな部分とふてぶてしい部分が同居していて、こうした「分裂質的なわたしの性格が、父母とわたしを取り巻いてきた『在日』の環境からなにがしかの影響をこうむったことは間違いない」と。自分の「分裂質的」な性格を「在日」との因果関係で語るのですが、これはずいぶん強引な文章ですね。にもかかわらず「なにがしかの影響」などという婉曲話法が用いられているためにソフトな印象を与えてしまう。だから彼の文章は、疑念をもって何度も読み直さないとだまされやすい。 ――ちなみに、その後の記述でも「分裂質的」な性格は母親にもあり、なぜかそれも「在日」という環境が原因だと書いています。  お母さんが突然ヒステリックになるところがあると記した上で、<母もまた、明らかに分裂質的な正確な持ち主なのかもしれない。わたしの勝手な解釈かもしれないが、母がそうなったのは、先天的な要因というよりも、やはり「在日」という環境の影響が大きいと思わざるをえない」>と続ける。しかし、分裂質的な性格を説明したいなら、「在日」などというわけの分からない環境因子に触れるより、母の兄弟に似たような事例はないのかとか、姜家の遺伝因子でも調べた方が科学的でしょう。在日に分裂質的な人間が多いなどという証拠があるわけではないんですから。しかしそうした点には一切触れず、「わたしの勝手な解釈もしれないが」とか「思わざるをえない」などという婉曲話法を用いて、結局は在日の犠牲者性や被害者性を語ってしまう。 ――お行儀よく丁寧な文章に見えますが、どう客観的に読んでも、言っていることは身勝手で恣意的であるとの印象を強く受けます。  上辺は丁寧でソフトだけど中身は極めて身勝手。彼は中学生のころに友人の吃音を真似ているうちに自分も吃音になってしまったというが、これも「在日」のせいだというわけです。 ――その記述があります。<小林秀雄は日本人とは日本語という母胎にくるまれた存在で、その母胎を通じて日本的な美意識の世界を形づくってきた(略)わたしはある意味でその母胎となる共同体から拒絶されている感覚を持ち続けざるを得なかったのである。そのはじき出されるような違和感が、身体化され、吃音となって表出したのではないか>。......こうなると、オカルトですね。  自らの吃音を語るのに小林秀雄を持ち出すのは知的なセンスですね(笑)。しかし、「在日」という言葉をなんの定義もないまま使い続けるのは知的というより魔術的です。「在日(コリアン)」という場合、わたしなら戦前から日本に住み続ける朝鮮半島出身者およびその子孫のうち、現在でも韓国・朝鮮籍を有する特別永住者を指して原則的には使う。ということは、その多くが二世や三世によって構成される40万人弱の特別永住者を指すもので、これは法的なカテゴリーです。そこに文化的ないしは社会的性格なぞ何もない。ところが、彼に言わせると「在日」という集団には、どうやら犠牲者性という性格が共有されているらしい。 ――最後にお伺いします。先に批判された『朝鮮人強制連行の記録』と姜氏の『在日』を、同じ「在日論」というカテゴリーにおいてどう比較されていますか?  荒唐無稽という点では甲乙つけがたいですが、姜氏の『在日』は読者を魅了する仕掛けにおいては、大きな進化を見せています。武骨で読みにくいジャンルであった「在日論」に、情緒性やロマンチシズムの魅力を加味し、在日論の大衆化に大きく寄与したといえるでしょう。在日論は、日本人の心に歴史的負い目を植えつけるとともに、国際社会では日本を否定的に語るときに手軽に使えるアイテムとなっています。姜氏の『在日』は、数ある在日論の中でも、その犠牲者性がほとんど究極まで高められたような作品で、しかも氏は時代の寵児ですから影響力もある。黙っているわけにはいきませんね。 ●ていたいきん 1948年、岩手県にて韓国人の父と日本人の母の間に二世として生まれる。アメリカや韓国、日本で多角的に学びながら、2000年代に入り「在日論」に取り組む。首都大学東京・人文科学研究科教授。専攻:東アジアのナショナル・アイデンティティー、エスニシティー。著書に『増補版 韓国のイメージ』『在日の耐えられない軽さ』(いずれも中公新書)、『在日韓国人の終焉』『在日・強制連行の神話』(いずれも文春新書)『韓国のナショナリズム』(岩波現代文庫)など。
姜尚中を批判する 「在日」の犠牲者性を売り物にする進歩的文化人の功罪 "カン様"はどう反論する? amazon_associate_logo.jpg
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新自由主義否定はナンセンス! やっぱり「小泉改革」は日本に必要だった

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八代尚宏教授。
 小泉内閣の象徴ともいえる"郵政民営化"。しかし、いま国会では郵政民営化を見直す動きが活発化している。またメディアでも、小泉内閣の新自由主義的政策により格差が広がったことは自明の理のように語られている。まさに、小泉構造改革はすべて間違いであったかのように。そんな流れに異を唱えるのが、国際基督教大学の八代尚宏教授だ。八代教授は今年8月、『新自由主義の復権―日本経済はなぜ停滞しているのか』(中公新書)を上梓し、話題を呼んでいる。今回、八代教授に小泉改革と新自由主義について話を聞いた。 ――本書を書いたキッカケとは? 八代尚宏教授(以下、八代) 特にテレビなどのインタビューを受ける際、聞き手は「小泉改革によって格差が広がった」ということを前提に話を進めますが、私が「違います」と言うと一様に驚かれる。経済学者と一般の人との間での認識が、あまりにも違うんですね。そこに中公新書から、私の考えを1冊にまとめないかという依頼があったので、新書ならたくさんの人に読んでもらえると思い書きました。 ――経済学者と一般の人の認識の違いとは? 八代 いま日本経済が停滞していることは、誰もが分かっている。それを受けて、一番単純な発想は「誰かが失敗したから」、あるいは「誰か悪い人間がいたから日本経済は停滞してしまった」という犯人説的な発想が一般的です。しかし、誰かが変えたから悪くなったのではなく、逆に誰も変えなかったから悪くなったというのが我々の認識です。つまり、世の中が急速に変化している。特に1990年代以降、旧社会主義国が崩壊し、世界経済が一挙にグローバル化したにもかかわらず、日本はそれに対処しようとしなかった。そして、中国やインドのような人口大国が急速に経済発展し、日本を追い詰めているわけです。一方、日本国内においては高齢化が進み、労働市場や財政面で大きな影響を与えている。そういった大きな変化の中で、日本の企業や政府は、80年代までの"ジャパン・アズ・ナンバーワン"というサクセスストーリーからいまだに逃れられない。そして、失われた10年という90年代の不況と停滞を迎えた後に小泉純一郎首相が出てきた。小泉首相は国民の支持を得て、この国を変えていこうとしたが、その途中の5年で辞めてしまった。5年は早いですね。80年代にイギリスを変革したサッチャー元首相でも10年はかかりましたから。 ――本書の帯には、「新自由主義は市場原理主義にあらず」と書かれています。両者の違いについて教えてください。 八代 市場原理主義という言葉は、そもそも経済学にはありません。これは、政府はいらない、市場に任せておけば自由放任でよいという夜警国家のような考え方です。しかし、社会資本の形成、景気の安定、所得再分配や公害の防止が政府の役割であることは、経済学のどの入門書にも書かれていることです。それにもかかわらず、あたかも「夜警国家にすべき」というようなことを小泉改革で言ったかのような幻想がつくり上げられています。新自由主義も同じように理解されているのですが、新自由主義はケインズ(イギリスの経済学者。世界恐慌の際、アメリカではニューディール政策による公共投資で景気を刺激したように、積極的に政府が経済に介入することを主張)のように政府が病人を診る医者にように、経済をコントロールしなければいけないということに対するアンチテーゼです。本書では、政府が適切な役割を果たす健全な市場経済という意味での新自由主義を再定義しています。 ――政府が適切な役割を果たす市場経済とは、具体的にはどういうことでしょうか? 八代 サッカーの試合にたとえれば、政府は審判なんです。サッカーの試合は選手だけではできません。公平にプレーするように審判が笛を吹かなければいけない。しかし日本の政府は、権威を笠にかけてやたらに笛を吹き、レッドカードを出すような審判なんです。一流の審判はめったに試合を止めないで、上手く試合をコントロールする。ファウルがあっても、ファウルをされた側に都合がよければ、アドバンテージルールを使うわけです。そういう巧みな審判が必要だということです。経済学では当たり前なのですが、市場をベースにして賢明な政府と組み合わせることが重要です。残念ながら、こうした経済学の考え方が日本では普及していない。特に、財界・マスコミ・官僚に普及していない。官僚の多くは法学部出身ですから、経済学を軽視しているのかもしれません。 ――日本は戦後、市場経済の恩恵を受け、ここまで成長しました。にもかかわらず、大竹文雄・大阪大学教授著『競争と公平感』(中公新書)で触れられているデータ(「貧富の格差が生じるとしても、自由な市場経済で多くの人々はより良くなる、という考えに賛成するか?」という質問を各国国民に聞いた、2007年のアメリカのピュー研究所の調査によると、主要国の中で日本の市場経済への信頼は最も低く、49%の人しか賛成していない。これは旧社会主義国であるロシアや中国よりも低い数値)の通り、一般の日本人の多くが市場経済を嫌うのはどうしてでしょうか? 八代 実際に市場経済を利用しているにもかかわらず、経済学を体系的に勉強していない。市場を使って利益を得て、市場競争に勝ち残ることに後ろめたさを感じるビジネスマンも多いのではないかと思います。市場での公平な競争を通じて利益を得ることは、人々が必要とするモノやサービスを提供しないとできないことですから、それ自体、立派に社会に貢献しているのだという自信をもってもらいたいです。たとえば、コンビニエンスストアは高い収益を上げています。しかし、人々を搾取しているわけではありません。人々が欲しいものを狭い店内に置き、24時間営業し、多様なサービスを提供することで人々の生活を著しく便利にしています。いま医療・介護・保育には需要がたくさんあるにもかかわらず、それに見合ったサービスを提供できず、お客に長い行列をつくらせています。私は、コンビニ業界がノウハウを活かして、介護や保育サービスに乗り出せば、どれだけ効率的になるだろうと思います。 ――確かに、保育所の待機児童問題は大きいですね。 八代 これこそ民間の知恵を使うべきだと思います。従来、そうした保育などは、福祉として政府がやらなければいけないという考えが多数でしたが、政府にはお金がないので、いつまでたっても供給は増えません。なぜ、政府が監督する公益的なサービスとして、知恵を出すところから民間にやらせないのかということです。旧ソビエト連邦などの社会主義国が90年代に放棄したことをいまだに続けています。これが、昔から日本は世界最大の社会主義国などといわれているゆえんです。これまでは民間部門が頑張ってきたので、なんとか90年代までやってこれた。でも、もうそれも限界に来ていて、民間企業はどんどん国外へ逃げ出します。あとは、効率の悪い農業とサービス部門が残されています。目に見えない「ベルリンの壁」を壊さないといけない、真の市場主義国になる時期に来ています。 ――本書の中でも、小泉改革により格差が広がったというのは間違っていると書かれていますが。 八代 競争を激しくすると勝つ人と負ける人がいるので、格差が広がるという考え方があります。しかし、規制緩和をすれば、逆に規制によって保護されている人と保護されていない人の格差は縮まり、新たに職を得る人もいるわけです。 ――たとえば、小泉改革により、タクシー業界では02年に規制緩和が行われ、車両が増え、タクシー運転手が増え過ぎたことで他の職種との所得格差が広がったと言われています。 八代 規制緩和によって格差が広がったというのは、元々運転手をしていた人の言い分です。タクシーの参入規制を撤廃したことにより、約1万人の新しい雇用が生まれた。タクシー運転手の人数が増えれば運転手の所得は減りますが、だからといってタクシー運転手が貧しくなって格差が広がったというのはあまりに一面的です。多くの失業をしている人が運転手になれたわけですし、また消費者にもとっても便利になった。たとえば、タクシー会社に競争意識を芽生えさせ、「空港から都市中心部への固定料金」「高齢者や子どもの送迎」などのサービスが生まれた。日本の世論はアンバランスで、組織されたタクシー会社や運転手の声は聞こえますが、規制緩和によって利益を得た人々の声はほとんど反映されていない。また、供給が増えたのに価格がまったく下がらず、消費者の需要が増えなかった、中途半端な規制緩和であったことも、所得が減った一因です。 ――若年層の間でも、正社員と非正規社員のように格差が広がったと言われています。 八代 若年層に非正規社員が増えたということについては、規制改革のせいというより、経済の長期停滞の影響が非常に大きく、そもそも雇用自体が減ってしまっている。日本には厳格な雇用保障慣行があり、中高年労働者の雇用を維持したために、新卒採用を抑制した。雇用調整のしわ寄せを受けた点も重要だと思います。そして正規社員の雇用や賃金を厳格に守るために、必要以上に非正規社員が増えてしまった面があると思います。いまの日本経済の大きな背景には長期停滞があって、それを打破し、雇用を増やすためにどうしたらよいかを考えたのが小泉改革だったと思いますが、セフティーネットが不十分であったなど、やはり中途半端で終わってしまった。 ■TPPを通じて、日本は市場を拡大させられる ――ここ数年、「日本は経済的に豊かになったのだから、もう経済成長なんてしなくていいんだ」というような意見が聞かれますが、経済学者の立場からどう考えられますか? 八代 無責任な考え方ですね。経済成長をしなければ新規雇用は生まれません。いま雇われている人々は、経済成長をしなくてもよいと思うかもしれませんが、一番の被害者は若年層です。これから雇われる人、子育てを終えて働こうとする人、それから定年退職後に働きたい高齢者、雇用が必要な人はたくさんいるわけです。そういう雇用を作り出すためには、経済成長をしなくてはならない。 ――そんな経済成長はしなくていいんだという雰囲気の中、GDPが中国に抜かれましたが。 八代 「中国はGDPが日本より大きくなったけど、空気は悪いし、国内での格差が大きい」と言う人がいますが、そんなことは中国の問題です。日本がなぜ抜かれたか? それは、日本が過去15年間停滞していたからです。あとは、「日本は大人で、中国は子ども、子どもが成長するのは当たり前だ」とか、そういうひどい議論をしている。そんな議論が正しければ、日本より成熟したアメリカはなぜ成長しているのか。日本にも成長できる余地はいくらでもあるわけです。それをしないのは、"人災"です。 ――失われた20年を取り戻し、経済停滞を打破していくにはどうしたらよいのでしょうか? 八代 過去の経済環境に合うようにつくられた諸制度の改革ですね。制度改革は、現在の先進国では当たり前に行われていることです。日本は世界が変わっている中で、ひとり過去の成功の夢を貪り、昔のままでいいと思っている。これを問題と思わないことこそが、最大の問題です。 ――規制緩和をすると外資系企業が入ってきて、日本が乗っ取られるというようなことを言う人がいますが。 八代 外資系企業が入ってきてくれれば、雇用の創出という面からみたら、明らかにプラスです。いまの日本の問題は外資系企業がどんどん撤退していることです。TPPの反対論者などが主張する「外資系企業が日本の資本を食い尽くす」という意見は、現に日本がアメリカに対してやってきたことなのです。かつて、日本の資本がアメリカに進出し、工場を作り、雇用を生み出した。初めはロックフェラーセンタービルを買収したことで反発もありましたが、雇用を生み出したことにより歓迎されたのです。 ――現在、中国資本が入ってくることについては? 八代 現在、かろうじて日本に直接投資をしてくれているのは中国です。かつて、アメリカ人が日本の資本が入ってくることに抱いたのと同じ警戒心を、日本人は中国に対して抱いている。私は、中国が日本に対して投資してくれることはいいことだと思います。それで日本の雇用は増えるわけですから。世界的な自由貿易体制では、日本もアメリカに輸出するし、アメリカも日本に輸出する。そして、日本もアメリカや中国に投資するし、中国やアメリカも日本に投資する。それがなぜ悪いのかということです。 ――TPPに反対する人は、その辺が分かっていないのでしょうか? 八代 TPPというのは、アメリカも日本もお互いにもっと自由貿易や投資を増やしましょうということで、NAFTA(北米自由貿易協定)でやったことを環太平洋に広げるということです。NAFTAについても、それでカナダの企業がアメリカの企業に買収されたとか言われているのですが、NAFTAで最大の利益を得たのはカナダ経済です。それは広大なアメリカの市場に対して、カナダからどんどん輸出ができたからです。カナダの90年代は、日本と同じように財政赤字で経済も停滞していた。けれども、NAFTAを通じた輸出の拡大によって、大幅な財政再建のデフレ効果を相殺し、経済も良くなった。同じようなことは、日本もTPPを通じてできる可能性があるわけです。 ――野田総理に変わり、いまの政局に期待することはありますか? 八代 ひとついい兆候は、野田さんが国家戦略会議を使うと言っていることです。やはりTPPにしてもそうですが、改革を行うためには密室の中で決めるのではなく、きちっと反対派の意見を聞いて議論する場が必要だと思います。賛成派も、反対派もお互いが資料を出して、それを全部公開して議論を尽くせば、自ずから世論はできていくわけで、そこで首相が決断して方向を決める。野田さんは実務家の総理ということで、粛々とやっていくことに期待しています。先日参加した国際会議で、意外と外国人の評判は良く、驚きました。民主党で初めてノーマルな総理が出てきたと。もっとも、実際は未知数で、今度のTPPへの参加という大きな課題をどう実現するかが試金石となります。 (構成=本多カツヒロ) ●やしろ・なおひろ 1946年大阪府生まれ。68年国際基督教大学教養学部、70年東京大学経済学部卒業、経済企画庁(現内閣府)、OECD事務局、上智大学国際関係研究所教授、日本経済研究センター理事長等を経て、現在、国際基督教大学客員教授、安倍・福田内閣で経済財政諮問会議議員、メリーランド大学博士(経済学)、労働経済学、日本経済論専攻。 主な著書に、『日本的雇用慣行の経済学』(日本経済新聞社)、『少子・高齢化の経済学』(東洋経済新報社)、『雇用改革の時代』(中公新書)、『健全な市場社会への戦略』(東洋経済新報社)、『労働市場改革の経済学』(東洋経済新報社)、『成長産業としての医療・介護(共編著)』(日本経済新聞社)などがある。
新自由主義の復権 - 日本経済はなぜ停滞しているのか V字復活なるか。 amazon_associate_logo.jpg
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「下ネタで家賃を払っている」お笑いトリオ・我が家が追求した"地上波ではできないこと"

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 お笑いトリオ・我が家にとって、記念すべき初の冠番組となった『我が家のチャンネルG』(CSテレ朝チャンネル)。この番組では、限られた予算で自由奔放な企画を次々に繰り出し、密かに話題を呼んでいる。10月26日に同番組のDVDが発売されるのを記念して、彼らにインタビュー取材を敢行した。 ――まず、今回DVD化される『我が家のチャンネルG』という番組についてうかがいたいと思います。この番組のコンセプトはどのようなものなのでしょうか? 坪倉 まず最初に、なかなか地上波ではできないこととか、ちょっと昔のバラエティーでやってたこととか、そういうギリギリなことをやりたいっていうのがあって。自分たちも企画段階から参加させてもらってます。 ――DVDの中でもおっしゃってましたが、この番組タイトルの「G」というのに意味があるんですよね。 坪倉 そうですね。「ギリギリ」とか「限界」とか。あと、ちょっとエロい感じの「G(自慰)」みたいなのも。 ――そっちも入ってるんですか!?(笑) 坪倉 ちょっと入ってます(笑)。 杉山 それは要するに、「我が家の自慰」ってことです。やりたいようにやるっていう。例えば、今回のDVDにはまだ入ってないですけど、「下ネタはどこまでテレビで使えるのか?」みたいな企画もやっています。 ――確かに我が家というと、やっぱり下ネタが売りというか、あれでブレークしたっていうところもありますよね。 111013bt_0109.jpg 坪倉 そうですね。まあ、下ネタで家賃払ってるみたいなところもあるんで(笑)。それで、新たな下ネタはどうやっていくのかっていうのをちょっと探ってたら、そういう企画になって。 杉山 自分たちの番組だからこそ、ふざけるところが広がったら、そっちにすぐ行けるっていうのはありますね。最後にここに落ち着かなきゃいけない、っていうのは特に決めてなかったりするんで。 ――DVDにも収録されている「エア水泳大会」(水着の女の子を集めて、会議室にブルーシートを敷いて水泳大会をやる、というもの)なんかは、最近のテレビではあんまり見かけない、ちょっと懐かしい感じの企画でしたね。 杉山 あれは非常にエロかったですね(笑)。普通にドキドキしました。 坪倉 普通のプールでやるよりも何倍もエロいと思いますけどね。 ――確かに、実際には水に入ってないからイメージプレーみたいで逆にエロい、っていう。 杉山 そうですね。そのシートの上で、女の子が平泳ぎみたいなのをしてるんですよ。これって大丈夫なのかなと思いながら、それを後ろから見てました(笑)。 坪倉 あのときが一番スタッフさんの数が多かったですね。 杉山 あと、みんな笑顔でしたね、スタッフさんも、演者も。みんなが笑顔になる企画っていいな、って(笑)。 ――話は変わりますが、我が家の3人はそれぞれの役割分担が独特だという印象があります。トリオだと普通は、2人がボケで1人がツッコミ、などという感じに決まっている場合が多いですよね。我が家の場合は、基本は杉山さんがツッコミだと思うんですけど、ネタによって変わることもありますよね。その点について、ご本人たちの中ではどのように役割を分けているんですか? 杉山 たぶん、基本的に坪倉がツッコミとボケを両方やるタイプなんですよね。 坪倉 でも、根本にあるのは、どこかで杉山をちょっといじってるっていうこと。そこをツッコむ形にするのか、しゃべれない設定に置いておくのかっていう違いがあるだけで、基本は杉山をバカにしてるっていうのが多いと思いますね。 杉山 多いね。 坪倉 杉山はネタ作りのときに意見出さないから、そのままいじられ役になっちゃうんですよ。寝てるから。 谷田部 寝ちゃうんですよ。 杉山 いや、寝てたらいじられるってのもおかしいだろう!(笑) ――やっぱり我が家としては、杉山さんをいじるのが面白いっていうのはあるんですかね。 坪倉 そうですね。杉山は自分からいじられに行ってるの? 杉山 基本的には。だから太ってるし。やせてたらいじりづらいでしょ、やっぱり。 坪倉 酒ばっかり飲んで、朝方にラーメン食って。 杉山 それも大変なんだよ、無理してるんだから(笑)。 坪倉 してねえだろ(笑)。自由に生きてるだけだよ。 ――でもやっぱり、いじられるのを本人が嫌がっているからこそ面白い、っていうのもありそうですね。 坪倉 そうですね。だから、受け入れ始めてきたら、ちょっとやめようかなとは思ってるんですけど。 杉山 何なんだ(笑)。まあ、別に嫌がってはいないですけど、パターンを変えていじってくれたらいいかなと。同じ料理ばっかり食べさせられてる感じだからね。 坪倉 だから太っちゃうんでしょ?(笑) 杉山 だから太っちゃうんです。 坪倉 ていうか、谷田部もしゃべれよ!(笑) (取材・文=ラリー遠田/写真=尾藤能暢) ●DVD『我が家のチャンネルG』2タイトル同時リリース 「元カノの奇跡」編/「我が家解散からの逆襲」編 10月26日発売 第2弾は12月21日発売予定
我が家のチャンネルG 「我が家解散からの逆襲」編 よろしく! amazon_associate_logo.jpg
我が家のチャンネルG 「元カノの奇跡」編 こっちも! amazon_associate_logo.jpg
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アラフォー女が年下男を選ぶのは「仕事への理解」と「マッサージ力」!?

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『【年の差婚】の正体~なぜ同年代に
惹かれないのか~』(扶桑社新書)
 タレントの加藤茶が45歳年下、堺正章が22歳年下、ほかにもFUJIWARAの藤本敏史が17歳年下の女性と結婚するなど、"年の差婚"が注目を集めている。  そんな中、年の差婚の当事者にインタビューし、なぜ同年代に惹かれないのかなどを考察したのが、明治大学文学部・諸富祥彦教授とマーケティングライター・牛窪恵さんの共著『【年の差婚】の正体~なぜ同年代に惹かれないのか~』(扶桑社新書)だ。そこで、当サイト読者も気になるであろう、20~30代の男女の結婚観、年上の男性や女性が好かれる理由について牛窪さんに話を聞いた。 ――牛窪さんは、いままでにたくさんの男女にインタビューをされていますが、20~30代の結婚観は変わっていますか? 牛窪恵氏(以下、牛窪) 特に20代女性の結婚観がすごく変わっていると思います。2003年に「負け犬」という言葉が流行って、私は、04年に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』(日本経済新聞出版社)という本を出しました。講演でいろいろなところをまわり、その時に、当時の20代半ば、いま30歳前後くらいの女性にお話を聞く機会が多くありました。彼女たちは、いわゆる「負け犬」と言われるような、30代を過ぎた女性が、独身、あるいは結婚して子どもを産んでいないことをよくは思っていませんでした。というのも、私たちバブル世代は、男女雇用機会均等法第一世代ですから、男性と肩を並べてバリバリ働けることがうれしくて、仕事に対して希望を持っていました。しかし、バブル崩壊後、経済は停滞し、労働者派遣法も改正され、派遣労働の人が増えました。上の世代、私たちの世代の女性を見ても、多くは仕事で大成功しているわけでも出世しているわけでもない。そんな時に婚活ブームが起こり、20~30代の女性たちは、早く結婚をして、子どもを産んで、仕事はそこそこの範囲で続けたいという願望が強くなっています。 ――男性の結婚観はどうでしょうか? 牛窪 20~30代半ばくらいの男性は、年代的にも妻子を養うべきとは思っていません。共働きで、奥さんにも働いてもらいながら、その代わり自分も家事や子育てを手伝いますよ、という男性が増えています。しかし、若い男性に街頭インタビューをしたところ、一番の理想は女優の檀れいさんがCM(サントリー「金麦」)で演じるような奥さんだった。家で甲斐甲斐しくご飯を作って待っていてくれるような女性が、本当は理想なんです。でも、20代の男性の多くは「養う甲斐性がないので、相手が専業主婦だと不安だ」と言う。 ――最近では、加藤茶さんやフジモンさんをはじめとして男性が年上で、女性が15歳以上年下という年の差婚が話題を集めていますが、若い女性が年上の男性に惹かれる理由は何でしょうか? 牛窪 恋愛段階での理由は2つあると思います。ひとつは、同年代が草食系というか、恋愛に対して積極的ではないということ。もうひとつは、今の若い女性は、女子力アップに積極的で、いろんなことに対して向上心が強いので、年上の男性はそこをうまく満たしてくれるということです。お金の都合もありますから、全部できているわけではないのですが、若い女性は、いろんなお店に行って、おいしいお酒の飲み方を知りたいとか、国内外問わず、いろんなところに行って、その土地の人と触れ合いたいとか、そういう欲求を持っています。私はバブル世代だったので、まわりのおじさんが会社のお金でおいしいお店に連れていってくれたり、給料もボーナスがかなり出たので、そういったことを自分ですることができました。しかし、いまの若い女性たちは、派遣で年収ベースも低め、自分も会社もお金に余裕がありません。 ――やはり、年上の男性の魅力は頼りがいにあるのでしょうか? 牛窪 はい。安心して付き合えて、いろんなことを教えてくれる。バカなことを言っても、頭を撫でてくれたりする。そういう年上の男性が感覚的によいという女性は多いですね。今回、本書を書くにあたっていろいろと取材をしたのですが、年上好きな女性は圧倒的にファザコンが多いです。一昔前であれば、「亭主元気で留守がいい」なんて言われ、お父さんのパンツは箸でつまんで洗うなんてこともありました。でも、いまの若い女性は、すごくお父さんと仲がよい子が多いです。CMでもサントリーの「オールフリー」やトヨタのパッソなどは、仲のよい父と娘を描いていますね。年上の男性の側も、非常にオシャレになったというのもあると思います。 ――確かに、最近はお父さんの下着と一緒に洗濯しないで、というようなことは聞かなくなりましたね。 牛窪 いまの時代、お父さんも清潔ですしね。聞いてみると、娘の友だちが家に集まって、遊んでいるときにお父さんが乱入して、一緒に盛り上がったりすることもあるようです。 ――一方でアラフォー女性が、年下の男性と結婚するパターンも増えているということですが、女性はすごく現実的なのに、収入も頼りがいもあまりない年下の男性に惹かれるのはどうしてでしょうか? 牛窪 理由は2つあると思います。ひとつは、いまのアラフォー女性は男女雇用機会均等法の第一世代にあたるので、まず仕事をする自分を認めてほしい。仕事が自分のアイデンティティーを確立するものだという自負がある。同世代の男性を見ると、「24時間戦えますか」といわれていた世代で、とにかく仕事のプライオリティーが高い。そうすると、結婚したら女性は、家にいて、自分を支えてほしいというのが理想なので、同年代の結婚はなかなかうまくいきません。逆に、若い男性は、女性が働いて、自分より年収が高くても気にしません。そして家事や育児も協力したい。そういう若い男性と結婚する方がアラフォー女性にとってメリットがあります。もうひとつは、アラフォー女性がよく言うのは、精神的に癒やされたいということです。年齢的にも、30代後半から女性の体には変調が出てきます。白髪やシワ、シミなど。疲れたなというときに、彼が家に先に帰って、ご飯を作ってくれたり、マッサージしてくれたりする。バリバリ稼ぐ男性より心地よいなということになります。 ――最後に、本書はどんな人に読んでもらいたいですか? 牛窪 まずは、バブル世代で仕事をすごく頑張ってきて、いままで女性とゆっくり付き合ったり、結婚を真剣に考える時間がなかったアラフォー男性に読んでほしいです。彼らには、やっとモテ期がきているし、男性は高齢になっても子どもを作れるので、本当に結婚願望があるなら、1回はしてみてほしいという思いがあります。あとは、同年代のアラフォー女性にも読んでほしいです。仕事でもそうですが、どう生きればいいかという過渡期にあたった人たちなんです。10年以上前は、働きながら子どもを産むことはすごく厳しい時代だったので、それをあきめた女性もいました。逆に、働くことに一生懸命になれなくなった人もいます。やはり、子どもを産む産まないは別として、私自身、結婚してよかったと思うので、皆さんにも結婚を経験してみて欲しいです。まわりにいい男がいないと嘆いているなら、ちょっとだらしないなと思う年下の男性でも自分で育てていくような気概で、幅広い男性に目を向けてみてください。 (文=本多カツヒロ) ●うしくぼ・めぐみ 1968年、東京生まれ。マーケティングライター。有限会社インフィニティ代表取締役。著書に、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社プラスアルファ新書)、『「エコ恋愛」婚の時代』(光文社新書)、『ただトモ夫婦のリアル』(日経プレミアシリーズ)、『男が知らない「おひとりさま」マーケット』(日本経済新聞出版社)などがある。
【年の差婚】の正体 そういうことだったのね。 amazon_associate_logo.jpg
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「制服姿の女子高生を濡らしたい!」アイドル映画監督・梶野竜太郎の"アイドル狂時代"

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10月22日に最新作『魚介類 山岡マイコ』が公開になる梶野竜太郎監督。
 アイドル好きが高じて仕事にしてしまった映画監督・梶野竜太郎。木嶋のりこらを擁する芸能事務所の社長としてアイドルを育てながら、アイドルを起用した映像作品を撮り、さらにプライベートでもアイドルDVDを買いあさる。  そんな身も心もアイドルに捧げた梶野監督の最新作『魚介類 山岡マイコ』が公開に。主人公の"濡れていないと死んでしまう女子高生"マイコを演じたのは、アイドルグループ「9nine」としても活躍中の佐武宇綺。常に濡れながら無邪気な笑顔を振り撒くマイコは殺人的にかわいく、見る者をたやすく恋に落とす。これこそがドルヲタ監督の業なのだろう。  みずからの座右の銘を「公私混同」と堂々と言い放つ梶野監督に、じゃばじゃばと溢れ出るアイドル愛を放出してもらった。 ――あのー、そもそもなぜそんなにアイドルが好きなんですか? 梶野竜太郎監督(以下、梶野) 僕、47年間一度も年上の女性を好きになったことがないので、基本ロリだと思うんですけど、女の子とか、ゆるキャラのぬいぐるみとか、かわいいものが好きで好きでしょうがないんですよ。それに、業界に入って思ったんですけど、バイト気分でグラビアをやってる子なんてほとんどいなくて、真剣に「グラビアの上に行きたい」「女優になりたい」ってそれぞれが夢を持って、一生懸命頑張ってる子たちばっかりなんです。
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――仕事にしてからも変わらずにアイドルを好きでいられるものですか? 梶野 変わるどころか、パワーアップしてますね。 ――梶野さんは、アイドルにどこまでエロさを求めますか? 梶野 僕の中でのかわいいの極致は"チラリズム"なんです。作品にも濡れ場とか"どエロ"は入れないようにしています。僕、グラビアDVDなんかは山ほど買って見まくりますけど、AVって買ったことないんです。AVはその子の"答え"なので、僕はいいかなって。 ――ちなみにアイドルが恋愛をすることについては? 梶野 論外ですよ、論外。しちゃダメですよ。 ――やっぱり恋愛は禁止ですか? 梶野 正しく言うと禁止じゃないんだけど、絶対に「いる」って言っちゃダメだし、恋愛しないキャラクターでいないと。彼氏いるってバレた瞬間、アイドルは"タレント"に変わるんです。だって僕らはその子に擬似恋愛がしたいんだから、アイドルなら夢を売り続けないと。 ――梶野さんが今、注目しているアイドルは? 梶野 うちの子たち以外ですか?(笑) うーん、安藤遥と田中涼子ですね。安藤遥はショートカットにしてからが大注目で、あのおっぱいの大きさであのロリ顔は反則だろって感じです。田中涼子は、グラビアは結構きわどいんですけど、エロさがなくて絶妙なんですよ。もちろん僕が昔から注目してる森田涼花なんかはずっと大好きなんですけど。 ――森田涼花ってアイドリング!!!の子ですよね。 梶野 女優としても活躍してますけど、グラビアを辞めないとこがいいなと思ってて。僕ね、「グラビアを卒業します」って宣言するアイドルってダメなんですよ。仕事を差別してるようにしか聞こえないし、その業界で頑張ってる子たちに失礼ですよね。あえて言わなくていいじゃんって思うから、"水着卒業写真集"とか引いちゃうんですよ。 ――最近はAKB48の人気に押されて、純粋なグラビアアイドルの勢いが弱まっている印象ですが。
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梶野 確かにAKBに染まっちゃってる感は強いんだけど、AKBに感謝したいこともあって、ここまで水着になることを簡単にしてくれたのはAKBのおかげだと思ってるんです。だってAKBの中でいっぱしの女優だっていわれてる子まで、普通にばんばん水着になって誌面を取ってるわけだから。 ――なるほど。そんなアイドルをこよなく愛す梶野監督の新作『魚介類 山岡マイコ』がいよいよ公開となりますが、この映画は「濡れたアイドルが撮りたい」という思いから生まれたそうですね。 梶野 にわか雨がザーッて降ってきて、女子中高生が「わー!」って屋根の下に駆け込むシチュエーションてあるじゃないですか。あの時に髪や服が濡れて弱さが出た女の子って、めちゃくちゃかわいいなあと思ってて。それで、とにかく「濡れた女子高生が撮りたい、制服濡らしたい!」ってところから始まったのがこの作品ですね。 ――それで違和感なく制服を濡らせられる設定が「魚介類」だったわけですね。 梶野 外見は人間だけど中身は魚介類っていうシチュエーションなら、水っぽさを出せると思ったんです。でも、ただびちょびちょにするわけじゃなくて、画的にかわいく見えるようにほどほどの濡らし方にこだわりました。髪の毛は水が滴っていていいんですけど、顔や体は湿る程度に濡らして。 ――過去の作品も「女の子のこんな姿が見たい!」という欲求から始まってるんですか? 梶野 そうですね。最初の映画は、2003年の『植物採集』という短編ですが、これは「スク水(スクール水着)撮りてぇ~」って思って撮りましたし、長編デビュー作の『ピョコタン・プロファイル』は、「セーラー服のチラリズム撮りてぇ~」ってとこから始まりました。僕は"男の視線"的なカットは多いんですが、エロやパンチラは絶対にやらないんです。セーラー服でちょっと背伸びしたらオヘソが見えたみたいな、ギリの部分が大好きなんですよ。 ――今回の映画では、出世魚方式で3人の女優が交代していきますが、この試みにはどんな思惑があったのでしょうか。 梶野 女の子を横並びで見せるのはありきたりなので、進化の過程として縦に並ばせたかったんです。で、出世魚ってことにすれば、顔が似てなくても女の子たちが同じ生物だってことにできると。 ――キャストの女の子たちは、オーディションで選んだんですか? 梶野 僕は、自分の映画でオーディションってやらないんです。その子の性格と"本当の笑顔"が分かってからじゃないとカメラを回すことはできない。芝居半分、素が半分で撮りたいんです。普段、タレントやアイドルと接する中で、「この子の笑顔をスクリーンに映したいな」「この性格を表に出してあげたら、すごくかわいくなるんじゃないの?」って思うところからキャスティングにつなげます。主演の宇綺は、いつも元気であたふたしてて、小魚っぽさがすごく出てるので、「第1形態は宇綺しかありえない」と思って起用しました。 ――監督が特にこだわったシーンは? 梶野 女の子同士で抱き合うシーンを絶対に入れたくて。僕、男女の恋愛ものは撮らないんですけど、女の子同士のプチ恋愛は大好きで、女の子が抱き合うシーンは毎回入れてるんです。レズ的要素がある画はかわいいですね。 ――なぜ男女の恋愛は撮らないんですか? 梶野 別に男は撮りたくないから(きっぱり)。もちろん、恋愛対象じゃない男は作品に必要なんですけど、男が恋する顔とかにまったく興味がないんで。 ――野暮なこと聞いてしまってすみません!  映画『魚介類 山岡マイコ』は10月22日より、シネ・リーブル池袋にてモーニング&レイトショー。また、同作からのスピンオフDVD『オリジナル・フラッシュアニメ 魚介類山岡マイコの友 茹田蟹幸』(イーネット・フロンティア)が11月21日リリース。  さらに年末にはウェブにてBLコミック『魚介類 小浜セツナ』もリリース予定。今後、あらゆるメディアを魚介類が席巻する!? (取材・文=林タモツ) ●『魚介類 山岡マイコ』 出演:佐武宇綺/高見こころ/松下美保/加藤沙耶香/下村尊則/岡本信彦/吹原幸太/竹岡常吉/最所裕樹/増田赤カブト/菊地亜美/他 監督・脚本:梶野竜太郎 2011年10月22日よりシネ・リーブル池袋(モーニング&レイト)にて公開 配給:ユナイテッド エンタテインメント 公式HP<http://www.yamaokamaiko.com/> (c)2011山岡マイコ製作委員会 ●かじの・りゅうたろう 映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。 短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。08年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。 詳しくは→<http://mentaiman.com/> ブログは→<http://ameblo.jp/mentaiman1964/>
ピョコタン・プロファイル 代表作。 amazon_associate_logo.jpg
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韓国インディーズ映画の奇才監督が、エロくて笑えるSF作品で日本上陸!

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"韓国インディーズ映画の雄"と称される
オ・ヨンドウ監督。長編デビュー作
『エイリアン・ビキニの侵略』は「ゆうばり
国際ファンタスティック映画祭」でナ・ホンジン監督
たちから推され、グランプリを受賞した。
 ここ数年、次々と衝撃作を放っている韓国映画界。『チェイサー』(08)のナ・ホンジン監督、『息もできない』(08)のヤン・イクチュン監督、『ビー・デビル』(10)のチャン・チョルス監督......と新人監督たちのデビュー作が世界で絶賛されている。彼らは74~75年生まれで30代半ばでの監督デビューと決して早咲きではないが、その分、クリエイターとして溜め込んできた感情がスクリーンで炸裂している感がある。ポン・ジュノ監督らに続かんとする熱気をはらむ韓国若手監督の中に、タイプの異なるホープがさらに加わった。長編デビュー作『エイリアン・ビキニの侵略』が「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011」でオフシアター・コンペティション部門グランプリを受賞したオ・ヨンドウ監督だ。同部門は過去に『マイ・バック・ページ』(11)の山下敦弘監督、『さんかく』(10)の吉田恵輔監督、『SRサイタマノラッパー3』を製作中の入江悠監督らを輩出しており、若手監督の将来性に目利きがあることで定評がある。外国人初のグランプリに輝いたオ・ヨンドウ監督が約7か月ぶりに来日。製作費35万円で作った『エイリアン・ビキニ』の裏話、さらには韓国の映画製作事情について語った。 ――『エイリアン・ビキニ』にはSF、コメディ、お色気、アクション......と男子が大好きな要素がすべて詰め込まれていますね。映画マニアに国境はないんだなぁと感じました。
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ひとり自警団のヨンゴン(ホン・ヨングン)
は街で暴漢に襲われていた美女(ハ・ウン
ジョン)を助け、自宅で介抱する。次第に
甘いムードになってくるが......。
(c)kinomangosteen
オ・ヨンドウ おぉ、ありがとうございます。大変な褒め言葉ですね(笑)。とにかく"自分の映画を撮りたい"という一心で作った作品なんです。主演のホン・ヨングンさんとボクとで、まずプロットを考えました。ヨングンさんの容姿から、マジメな男がすごい美女にSMプレイを仕掛けられるという設定になったんです。そこから、美女は地球侵略にやってきたエイリアンで、男は結婚まで純潔を守ろうとしている童貞......といったキャラクターに肉付けされていきました。きちんとした脚本は作らずに、キャストやスタッフと話し合いながら、面白いアイデアが出たら、その場で撮っていくというスタイルで進めていったんです。その結果、いろんな要素を持つ作品に仕上がったんです(笑)。 ――よくぞ製作費35万円で、これだけの娯楽作品を完成させましたね。 ヨンドウ よ~く見ると、お金が掛かってないことがわかると思います(笑)。1カ月半ほどの製作期間で、撮影には20日間使いました。撮影場所はほとんどボクの自宅です。自宅で撮って、ご飯も自宅で作って、みんなで食べていました。超節約型の映画なんです(笑)。 ――日本の低予算映画は1~2週間で撮り上げることが多いので、撮影に20日間費やしたのは大したものだと思いますよ。 ヨンドウ 今年の「ゆうばりファンタ」で一緒になった山口雄大監督の『極道兵器』(11)は12日間で撮ったそうですね。それを聞いて、すごいと思いました。韓国では撮影にかなりの日数を費やすのが一般的です。商業映画だと2~3カ月掛けて撮ることが多いんです。ですから、ボクらのように短期間で撮ることは珍しいはずです。20日間と限られた日数でしたが、ボクらは楽しんで撮影していたので、とても充実した時間を過ごせたんです。 ■"下着"か"ビキニ"か、それが問題だ ――タイトルロールとなっている"エイリアン・ビキニ"役のハ・ウンジョンさんがとても魅力的。健康的なセクシーさで、日本人好みのタイプだと思いますよ。監督とウンジョンさんはどのように出会ったんですか?
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セクシー美女は、実は地球侵略を企む
エイリアンだった! 地球人男性の精子を
入手するため、あの手この手で主人公を
悩殺するのだった。
ヨンドウ ボクのデビュー作である短編映画『クリスマスを切る』(07)を撮る際に、キャスティングディレクターをしている友人から紹介されたんです。そのときは短編映画だったこともあり、ちょっとした役しか用意できませんでした。でも、その次にオムニバス映画『隣のゾンビ』(09)でゾンビウィルスに感染した恋人を愛し続ける女性というロマンティックな役があったので、彼女に頼んだところ、とても評判が良かったんです。それで今回もヒロイン役をお願いしました。ちなみに、彼女は英国のミドルセックス大学パフォーミング・アーツ科を卒業した上に、韓国の中央大学芸術大学院を最近卒業したばかりなんですよ。 ――うわ、すげーインテリなエイリアンなんですね! ヨンドウ そうです(笑)。今回のエイリアンは地球の生命体のことを知らずに飛来して、人類の習性をすべて学習して身につけたわけですから、知能指数の非常に高いエイリアンなんです。彼女にぴったりな役だったと思います(笑)。 ――あの、すっごくどうでもいい質問なんですが、タイトルには"エイリアン・ビキニ"とありますが、本編を観るとハ・ウンジョンさんは下着姿で主人公を誘惑しますよね。正しくは"下着エイリアン"なんじゃないでしょうか? ヨンドウ いやいや、どこの国でもタイトルの語感は大切です。"エイリアン・アンダーウェア"よりも、やはり"エイリアン・ビキニ"のほうがイケてるでしょう(笑)。タイトルを聞いただけで、何だか楽しそうじゃないですか。ボクらは自分たちが面白いと感じたことを、速攻で実行に移す。それがモットーなんです。 ――すみません、くだらない質問をしたことを今、反省しています。主人公役のホン・ヨングンさんは長年にわたって街の治安と自分の童貞を守り続けているかなりイタい自警団役。韓流イケメンブームとは一線を画する、実に味わい深いルックスの持ち主ですね。 ヨンドウ ハハハ、お茶みたいな味わいでしょ? お茶といっても、甘茶じゃなくて、渋茶です(笑)。ヨングンさんは本作や『隣のゾンビ』でアクション指導も担当している多彩な才能の持ち主です。彼が映画の世界に入ったのは、アクションスターになるという夢を叶えるためだそうです。大変なロマンの持ち主なんですよ(笑)。彼の情熱があってこそ、面白い作品に仕上がったと思います。彼は残念ながら、ウォンビンさんのようなルックスは持ち合わせていません。でも、それでいいとボクは思います。ヨングンさんみたいなイケてないルックスの持ち主でも、映画の中ではかっこいいヒーローになれることを『ビキニ・エイリアン』は証明したんじゃないでしょうか。新しい時代に、新しいヒーロー像があってもいいと思いませんか。
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主演のホン・ヨングン。オ・ヨンドウ監督と
共に映像製作集団キノマンゴスチンを立ち
上げ、俳優・演出・武術指導とマルチな
才能を発揮している。
――二枚目のウォンビンより、味わい深いヨングンさんにシンパシーを抱く日本の男性は多いと思いますよ。 ヨンドウ やったね!(ガッツポーズするヨンドウ監督) ■監督デビューするよりも、2作目を撮るのが難しい ――ここから、ちょっとマジメな質問してもいいですか? ヨンドウ監督は35歳で長編デビューしたわけですが、何か背中を押された契機があったんでしょうか? ヨンドウ ボクはこれまで、ずっと映画のスタッフとして働いていました。商業映画での助監督経験が長く、美術スタッフを務めたこともあります。このまま、スタッフの仕事を続けてもいいかなぁと考えた時期もあるんですが、「自分の映画を撮りたい」という映画界に入ったときの最初の気持ちを思い出したんです。もちろん韓国の男性なので、途中で2年間兵役も勤めました。35歳でのデビューとなりましたが、それは自分の考えた作品を監督するために必要な時間だったと考えています。もうそろそろ自分の撮りたい映画が撮れるんじゃないか。そう思えたのが、この年齢だったんです。 ――韓国というと『母なる証明』(09)のポン・ジュノ監督、『親切なクムジャさん』(05)のパク・チャヌク監督、『悪魔を見た』(10)のキム・ジウン監督ら"386世代"と呼ばれる40歳代の監督たちが世界的に活躍していますが、ナ・ホンジン監督やヤン・イクチュン監督ら新人監督たちが次々とデビューしていることで、新しい流れが生まれつつあるんでしょうか?
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「童貞映画になることは想定
していませんでした。主演のヨン
グンさんをイメージした結果、
童貞男が主人公になったんです
(笑)」とヨンドウ監督。
ヨンドウ ナ・ホンジン監督とはボクは1歳しか違わないので、確かに同世代ですね。う~ん、新しい流れというよりは、ようやくポン・ジュノ監督らに続く新しい芽が出てきたという自然な流れでしょう。世代交替ではなく、韓国映画の層が厚くなりつつあるんじゃないかと思います。以前の韓国映画界では映画監督は40歳を過ぎると映画が撮れなくなるか、もしくは撮らなくなってしまう......という残念な状況が続いてきました。映画製作は大変なお金がかかるため、韓国では仮に1作撮ることができても、なかなか2作目を撮れず、あっという間に40歳代になって、仕事がないまま消えてしまう......というケースが多いように思います。韓国で監督デビューすることはかなり難しいことですが、2作目を続けて撮ることはそれ以上に困難なことなんです。その点、ポン・ジュノ監督ら先輩たちが活躍していることで、新しい道ができつつある。その道をボクたちは歩いているわけなので、先輩たちには大変感謝しています。 ――ヨンドウ監督と同じく「ゆうばりファンタ」出身の入江悠監督は苦心しながら『SR』シリーズを撮り続けていますが、韓国のインディーズ映画シーンも大変ですか? ヨンドウ 楽なインディーズ映画があれば、それはインディーズ映画ではないですね(キッパリ)。映画というものは収益を上げなくてはいけないわけですが、インディーズ映画で収益を上げるのは非常に難しいことです。韓国でインディーズ映画を撮り続けていくことは、ほぼ不可能なことです。ボクの場合は『エイリアン・ビキニ』が「ゆうばりファンタ」でグランプリをいただいたことで、製作支援金を元に第2作目を撮ることができました。大変ラッキーだと感謝しています。 ――日本では監督になると食べていけなくなるので、助監督のままでいる人もいます。 ヨンドウ 韓国と日本とでは、映画界の考え方が異なるのかもしれません。韓国では助監督はあくまでも監督になるためのステップであり、助監督という職業はないんです。ボク自身も長い間、映画スタッフの仕事を続けましたが、映像関係以外の仕事はしたことがありません。だから、今後は映画監督として稼いでいくしか道はないと覚悟しています。 ――う~ん、韓国の新人監督の作品に手加減なしの力作が多いのが、わかる気がしてきました。新人監督にとって鬼門である第2作をすでに撮り終えたとのことですが、どんな作品になるんでしょうか? ヨンドウ 『ビキニ・エイリアン』はメーンキャストは2人でしたが、次回作は4人になります。探偵が未来から来た女性と一緒にタイムマシンを探すという、SF要素とサスペンス、アクションを融合させたものになります。探偵を主人公にしたのは、「ゆうばりファンタ」の審査委員長が林海象監督だったことから思い付きました。ホン・ヨングンさんとハ・ウンジョンさんもメーンキャストとして登場します。中でもウンジョンさんは今回の清純派セクシー路線とは変わって、ヤクザの妻役で生活感の滲み出た大人のセクシーさを披露しています(笑)。まだ撮影が終わったばかりで、どう編集するかで作品の雰囲気は変わってくるかと思いますが、新作も期待していただけると思います。日本のみなさんにも応援していただけるとうれしいです。『エイリアン・ビキニ』ともども、よろしくお願いします! (取材・文=長野辰次) alien_bikini_main.jpg ●『エイリアン・ビキニの侵略』 監督・脚本/オ・ヨンドウ 出演/ホン・ヨングン、ハ・ウンジョン、チェ・ヨンジョ、チョ・フンヨン、ソ・ビョンチョル、キム・ヒョンテ、キム・ソンミン 配給/キングレコード 10月22日(土)よりシアターN渋谷ほか全国順次公開 <http://www.alien-bikini.com> ●オ・ヨンドウ 1975年1月生まれ。95年から映画業界で働き始め、2007年に短編映画『クリスマスを切る』(未)で監督デビュー。俳優のホン・ヨングンらと映像製作集団キノマンゴスチンを立ち上げ、オムニバス映画『隣のゾンビ』(09)を発表。プチョン国際ファンタスティック映画祭で観客賞、審査員特別賞を受賞し、韓国インディーズ映画界で注目の存在となる。長編デビュー作『エイリアン・ビキニの侵略』は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011」のオフシアター部門で、ナ・ホンジン監督ら審査員から高い評価を得て、外国人としては初となるグランプリを受賞。同映画祭から製作支援金200万円を受け、長編第2作を現在製作中。
息もできない 映画界も韓流ブーム? amazon_associate_logo.jpg
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辛酸なめ子さんの至言「なんか、つい交尾の話とかしちゃうんです」(後編)

akari_nameko02.jpg ◆前編はこちらから ――やらなくていいですよ! 私も厳しめの女子高に通っていたんですけど、あの満たされ方は半端なかったです。男子がいないだけでこんなに快適に生活できるんだ、と感動しましたよ。でもその女子校のぬるま湯に浸かりすぎたのか、いまだに男性と接する際の正解がわかりません。メンズと話す際にうまいこと女を出せないというか......出せてたらもっとグラドルの時に成功できてた気がします。  私も出せないですね、愛想がなくて、よく、怒ってるとか勝手に誤解されていました。あとは打ち解けようと思って最初に下ネタを話しすぎたり......なんか、つい交尾の話とかしちゃうんですけど、やっぱりまずい空気になるというか、明らかに男性が引いちゃったりしますよね。この年になって、やっと「下ネタはあんまり言っちゃいけないんだ」っていうことに気づけました。 ――交尾?(どんな下ネタなんだろう)下ネタもうまく使えばドキッとさせられるんでしょうけど、力加減がわからないですよね。男女共学の方が戦い方を身につけられる。  グラビアアイドルはそういうのが上手いんじゃないですか? ――私は上手くやろうとして失敗続きで完全に心が折れました。不思議ちゃんになってみたり、変に媚びて空回りしたり......。あらゆる業界人に好かれた覚えがないです。  やっぱりどんな嫌な業界人でも嫌悪感を出しちゃいけないってことですよね。 ――なめ子先生はあんまり感情が表に出る方じゃないですよね。  そうですねー。でも、前にそういう業界人の方とのお仕事の後、打ち上げで何故かセクハラ的な話になってしまって、ちょっと耐えられなくて途中で帰った事ありますね。それ以来、そういう打ち上げは断るようにしてますね。 ――いいなぁ。私も滅多に誘われないですけど、フリーだとそういう付き合いも仕事のうちみたいなところがあるから、断ったら仕事をもらえないんじゃないかと思って参加して、結局うまく立ち回れなくて落ち込んだりしてます。どうすれば人に好かれるのかな......あっ!! そういえば、この間ひとりで台湾に行って気づいたんですけど、現地で言葉がわからなくて「うれしい」「たのしい」「わ~すご~い!」い、みたいな、ダメなキャバクラ嬢みたいな単語しかしゃべれなかったんですけど、日本より俄然好感を持たれたんです。そういうことですかね。  ミスキャンパスみたいな人たちのブログを見ていると、それくらいのことしか書いてないですよね。「アイスがおいしかった」とか「友達とメールして~」とか、そういうことが重要なんですね。面白いこと言おうとすると、かえって男性は引くみたい......。私も以前アメリカの学者の説で「男性はギャグを攻撃の一種だと受け取るから、女性がギャグを連発すると引いていく」って読んだことがあります。男性は自分が笑わせたいっていうのが大きいと思うんですよ、だから相手より面白い話はしちゃいけないみたいですね。 ――それで、つまらない話をしたら、「女の話はオチがない」とか言われるんでしょ! なんか腹立たしい!  なので、やっぱり小明さんが台湾で習得されたことは正しいんじゃないですかね。日本語でもそれくらいの会話をした方が良いのかもしれませんね。 ――男性に気に入られたい願望も、お仕事願望も満たしたいので、本気で「サバイバル女道」頑張りたいです! なめ子先生は、今お仕事を始めて何年目ですか?  えーと、そうですね、19年とか......。 ――すごい!! どうしてそんなに続けられるんでしょうか?  なんですかね? 就職したくなかったから就職以外のことをやって、気づいたら続いてた感じです。地球はもうすぐ滅亡するかもしれないし、それまではがんばろうかなって......。 ――え、地球が?  はい、地球が。 ――......スケールが大きい! でも、やっぱり嬉しいこととか、良いことがなければ続けられないと思うんですよ。18年間あったら、かなりそういうのがあるんじゃないですか?  続けててよかったこと? えー......(無言)。 ――......あまり、ない?  親にもまだそんなに認められてないというか、やっぱり「ちゃんと立派な大学を出て、良い会社に働く仕事をしろ」みたいな空気なので、なんと言うかなぁ。 ――テレビに出る機会もかなりあるじゃないですか、そういうのはどうですか?  テレビは、スタジオに、なんですかね、明らかに霊がいる感じのスタジオですごく体調が悪くなるとか......。 ――テレビ局ってそういうのが多いって聞くけど、本当なんですね!  都内の墓地の近くにあるスタジオとか、かなり怖い感じでしたね。異様な眠気に襲われるとか。普通だったら2~3時間ならずっと座っていられるはずなのに、それも辛くなってくるっていう感じですね。あと目を閉じるとまぶたの裏に、ドクロがたくさん現れたり。上から巨大クモが糸を伝って降りてきたときはかなり不気味でした。出かけるまえにセージのスプレーとか......あ、セージっていうのはインディアンが使ってた邪気を避ける葉っぱがあるんですけど、それの抽出したスプレーを買ったんで、それをシューッとしたんですけど、無駄でしたね。あとえーと、良かったことですよね、良かったこと......(無言)。 ――そんなに浮かばないなら、無理しなくて良いですよ......。ありがとうございました! (取材・文=小明) ●しんさん・なめこ 1974年、東京都生まれ。マンガ家・エッセイスト・セレブ、スピリチュアル、女磨きなどをテーマに、数々の作品を発表。「週刊文春」(文藝春秋)など多数の連載を抱えている。月刊「サイゾー」連載をまとめた書籍『サバイバル女道』が絶賛発売中。 ●あかり 1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
サバイバル女道 じつは「サイゾー新書」の第1弾です。 amazon_associate_logo.jpg
小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第28回】 みうらじゅんさんの至言「アイドルライターってなんなの?」 【第27回】 山路徹さんの至言「バラエティーが怖いようでは戦場に行けないですよ」 【第26回】 浅草キッド・玉袋筋太郎さんの至言「相手がクンニしてる顔を思い浮かべなさい」 【第25回】 前田健さんの至言「自分は赤毛のアンの生まれ変わりだと思ってる」 【第24回】 叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」 【第23回】 須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」 【第22回】 オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ......」 【第21回】 Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」 【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

特撮ヒーロー=童貞の概念を破る! 井口監督の集大成『電人ザボーガー』

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海外でも熱狂的なファンを持つ井口昇監督。
最新作『電人ザボーガー』は挫折感を抱えた
男たちが、愛する者を守るために再び立ち
上がる感動作だ。
 「今回はボクにとって通過儀礼となる作品なんです」。日本が世界に誇る"奇才"井口昇はそう言った。また、責任という言葉を何度か口にした。これまで『クルシメさん』(98)、『片腕マシンガール』(07)、『ロボゲイシャ』(09)などの井口監督ならではの天衣無縫な演出を楽しんできたファンにとっては「おやおや」と驚く言葉ではないか。製作費3億円を投じたことでも話題となった井口監督史上最大のSF大作『電人ザボーガー』がいよいよ公開される。主演の板尾創路をはじめ、キャストも今までの井口作品に比べちょっぴりメジャー寄りの人たちが並ぶ。でも、心配はご無用。これまで以上の過激さに笑えて、でもホロリとさせられ、最後には爽快感が残る快作に仕上がっているのだ。「ザボーガーって何?」という人がうっかり劇場に入っても、すぐさま作品のはらむ異様な熱気に巻き込まれるはずだ。しかし、井口監督の中で何かが変わりつつあるらしい。井口監督への単独インタビューで、その部分にググッと迫ってみた。 ――1974~75年にフジテレビ系で放映されたピー・プロダクション製作の特撮ドラマ『電人ザボーガー』の劇場版リメイク。『新世紀エヴァンゲリオン』の大月俊倫プロデューサーからのオファーだそうですね。 井口昇監督(以下、井口) そうです。大月プロデューサーはピープロ作品の権利を全部持っていて、(『古代少女ドグちゃん』を撮っていた)ボクに「リメイクしてみない?」と声を掛けてもらったんです。「えぇっ、ザボーガーをやらせてもらえるんですか?」と驚きながらも即答でOKしました。そのときはどんなふうにリメイクするか全然考えはなかったけど。でも、やっぱりピープロ作品は大好きだったので、やりたかった。他の特撮ものの製作会社とピープロは違った質感があるんです。『快傑ライオン丸』(72)とか『鉄人タイガーセブン』(73)とか、なぜかヒーローが動物顔だったりと特異性があって、子供心に印象に残ってました。『ザボーガー』を見ていたのは幼稚園の頃でしたけど、ロボットがバイクに変形するシーンはすごくインパクトがあったことを覚えていますね。
製作費3億円を投じられた特撮大作『電人
ザボーガー』。主人公・大門豊の半生を
第1部青年編、第2部熟年編からなる異例
の2部構成で描く。(c)2011「電人ザボーガー」
フィルム・パートナーズ (c)ピー・プロダクション
――『ウルトラマン』シリーズの円谷プロに比べ、ピープロ作品は見るからにB級感が漂っているのが幼心にも感じられました。 井口 そうですね。ボク、駄菓子屋の息子なんです。店で『仮面ライダー』とかの特撮ヒーローのブロマイドを売ってたんですが、駄菓子屋の中でもピープロのキャラクターは"駄菓子屋感"が漂ってました(笑)。そのことから、いっそう親近感が湧いたんです。自分が駄菓子屋の息子ということもあり、自分の作品には『猫目小僧』(05)、『片腕マシンガール』『ロボゲイシャ』など駄菓子屋感を注入したくなるんです(笑)。安~いお菓子を食べて育った世代。そーゆー人間だからこそ描けるものって、あるんじゃないかと思うんです。そういう意味でも今回の『ザボーガー』はボクの中ですごくぴったりハマった企画でした。 ――『片腕マシンガール』が世界的に大ヒットして、その次の『ロボゲイシャ』も井口監督らしいイマジネーションが炸裂した独創性の高い作品。正直、ここらへんでファン層の拡大を狙った企画に挑む時期かなと思っていたんです。今年、『富江 アンリミテッド』『電人ザボーガー』とリメイクものが続いたのはやや意外でした。 井口 今年はたまたまリメイク作品が2本続いた形になりました。もちろん、『富江』も原作や過去のシリーズが大好きでした。自分の好きな題材を撮らせてもらえて、すごく幸せでした。監督という仕事を選んだ人間の歩む道は、それぞれだと思うんですが、ボクとしては将来的には"人間ドラマ"を撮りたいと考えているんです。特撮も大好きだけど、同じように日本映画も観て育ってきたんです。今回の『ザボーガー』は自分にとっては"通過儀礼"だと思っています。ただの特撮もののリメイクではなく、ひとりの男がさまざまな体験をして人間として成長する姿を描きたかったんです。それに加えて、『ザボーガー』のリメイクには運命的なものを感じていました。生まれて最初にボクが手にしたソフビ人形がザボーガーだったし、自分が映像の仕事を始めるようになってからも、仕事に行き詰まるとピープロの作品のオープニングばかり集めたビデオを栄養ドリンク代わりに観ていました。ピープロ作品に励まされてここまで来たんです。ある意味、今回の『ザボーガー』で自分のキャリアが終わってもいい、くらいの高揚感を感じながら作っていました。
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男に棄てられた恨みを持って甦った
悪のサイボーグ、ミスボーグ
(山崎真実)。敵であるはずの
大門豊の純粋さに心が動かされる
ことに。
――"通過儀礼"ですか。これまでの井口ワールドの集大成と思っていいんでしょうか? 井口 そうですね。ボクも42歳になり、今年の春に結婚して、家庭を持ちました。40歳まで生きたら、やっぱり20代の頃に思い描いていた夢とは異なる壁にもぶち当たるんです。挫折感も覚えるし、自分の限界も見えてくると思うんです。多分、オリジナル版の『ザボーガー』を観ていた世代は、みんなそうなんじゃないかな。家庭を持った人もいるだろうけど、健康を害した人もいるだろうし、うつ病になった人や、会社をリストラされちゃった人もいると思うんです。そういう人生の節目に立つ人たちを励ますものにしたかった。いわば、SF版『ロッキー』なんです。第2部の熟年編の主人公を演じているのは板尾創路さんなんですが、糖尿病の注射を打ちながら戦うという設定になっています。これはボク自身が撮影中、自分は糖尿病なんじゃないかという不安と闘っていたんです。今春、健康診断を受けたら、糖尿病じゃないことが分かり、ホッとしました(笑)。映画の中の糖尿病の注射シーンは、ギャグじゃなくて、ボクにとっては切実な問題だったんです(苦笑)。 ――いつになく、井口監督の話しぶりも熱いですね! 井口 自分にとっては分岐点になる作品だと感じてます。42歳、男の厄年。思うところがやっぱりありますよ。オリジナル版の『ザボーガー』が作られていた時代は、まだ何かを信じることができた。自分の中の正義を信じて、熱くなることができた時代だったと思うんです。今こそ、その熱さをもう一度甦らせるときなんじゃないかなと。奇しくも今年3月に大震災が起き、自分の考えていた"日本人よ、立ち上がれ"というテーマと今の日本社会とがシンクロしたことに驚いているんです。「どうして今、ザボーガーなの?」とよく尋ねられるんですけど、今を生きている人にこそ観てほしいという気持ちで撮り上げた作品なんです。 ■ミスボーグは、男の子にとってのセクスアリス ――井口監督の表情も、今日はキリッとされてますもんね。井口版『ザボーガー』ですが、悪の組織シグマの手先のミスボーグ(山崎真実)が輝いていますね。見事なほどの"悪の華"っぷり。笑顔でムチを打つシーンなどの山崎真実の表情は今まで見せたことのない新しい顔でしょうね。
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熟年期の大門を演じた板尾創路。愛するもの
を失ったトラウマと闘いながら、シグマの
総帥・悪之宮博士(柄本明)を追い詰める。
井口 ありがとうございます。山崎さんとは一度、WEBで一緒に仕事をしたことがあり、そのときに「動物的勘の持ち主だなぁ」と思ったんです。山口雄大監督の短編映画『魁!みっちゃん』(09)に主演して、ジャッキー・チェンばりのアクションを披露してたんです。そのギラギラ感がすごく良かった。今回のアクション監督のカラサワ イサオさんは『魁!みっちゃん』も手掛けていて、「山崎真実はすごい。坂口拓を本気で殴って『参った』と言わせたのは男も女もアイツだけだ」と推されたこともありますね。運動神経がすごくいいんです。 ――オリジナル版のミスボーグを演じたのは藤山律子さん。『愛の戦士レインボーマン』(72~73)で演じていた「死ね死ね団」の悪の秘書オルガに比べ、昔の宇宙人みたいな衣装がキツいなぁ~と子供心に感じてたんですが、井口版のミスボーグは現代風にそれなりにアレンジを加えてありますね。 井口 本当は昔のままのコスチュームも考えたんですが、当時のままだとただのお笑いになってしまう。モジモジくんみたいになってしまうんで、ちょっとだけ現代風にしています。でも、70年代のB級感は残したかったので、あのツノだけは外せませんでした。ツノを付けたままで大マジメに芝居をしてくれる女優をずいぶん探しましたが、なかなか決まらなかった。それで「山崎さんはどうだろう」と直感的に思い付いて、頼んだら、すごくうまく行きましたね。本人はコスチュームを最初に着たときはゲラゲラ笑ってましたけど、でもあのコスチュームが様になるのは彼女の力。すごいと思います。あと、今回、裏テーマがありまして、劇場に親子で観にきた子供たちをドキッとさせたいんです。
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自分の信じる正義がわからなくなった大門の
前に現われた謎の美少女・アキコ(佐津川
愛美)。『ダークナイト』ばりのハードな
ドラマが展開。
――『ルパン三世』の峰不二子っぽく、男の子たちにヰタ・セクスアリス体験をさせようと? 井口 そうです(笑)。ミスボーグがムチ責めに遭うシーンで、子供たちにドキッとして欲しいなぁと。劇場で映画を観る"後ろめたさ"を感じてほしいんです。最近の映画って、なかなかそういう後ろめたさがないなぁと思うんです。ボクが子供の頃に親と一緒に映画を観にいって、突然のキスシーンやヌードシーンに気まずさを感じた体験を、今の子供たちにも味じあわせてあげたいなぁと思うんですよ。映画で感じる気まずさって、とても大切なものが含まれているとボクは考えているんです。 ■井口監督の恋愛観、女性観を投影したセリフ ――青年期の大門豊(古原靖久)とミスボーグが禁断の愛に陥り、その後、ミスボーグから「あなたに話さなくちゃいけないことがあるの」と言われるシーンは大人の男もドキッとしますよ。 井口 人生はいろんなことがあるんだよってことを描きたかったんです(笑)。大門って純粋な男。正義のため、父親(竹中直人)の復讐のためだけに生きてきた男。そんな男が、使命以外のことを知ったらどーなるのか。もし、オリジナル版の大門が現代社会に生きていたら、どーなるのか、と考えたんです。多分、組織やら会社に疎まれ、つまはじきになって、うつ病になっちゃうんじゃないかと思うんです。 ――あぁ、正義一直線だと、現代社会では"空気の読めないヤツ"になっちゃう。 井口 そうです。大門が考える正義以外にも、企業にとっての正義とか、いろんな正義があることに大門は直面する。そこで大門に様々な体験をさせ、人間として成長していくドラマにしたかったんです。AVや舞台や映画など、ボクがこれまでにいろんな現場で経験してきたことが反映されていると思います。 ――第1部の終盤でのミスボーグ「女はすべてを壊さないと愛を実感できないのよ」、大門「そんなの分かりたくないよ」というやりとりはシビアな男女の会話ですね。井口監督の恋愛観、女性観が集約されているように感じます。 井口 あのシーンに言及してくれる人、あんまりいないんで、うれしいです! "大門は童貞である"というのがボクの解釈なんです。それで自分が童貞だったときに言われて困ったセリフって何だっけなぁと思いながら考えたシーンなんです。今回の『ザボーガー』に出てくる女性はほとんどサイボーグばっかりなんですけど、女たちはみんな、男に向かって過酷なことを要求するんです。 ――自分の信念を貫くのか、愛を選ぶのか、大門の悩みは男全員にとって"究極の選択"ですね。 井口 そうなんです、そうなんです(苦笑)。人生って、しがらみなんです。仕事を取るのか、彼女を選ぶのか。さらに大門が信じる正義にも、いろんな種類の正義が存在することが見えてくる。大門はいろんなものの板挟みになっていくんです。
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NYで井口作品が上映されると、会場はマニア
熱で覆われる。「すごく、うれしい。でも、
その状況に甘えちゃダメだと思うんです」
と堅実なコメント。
――脚本を書いているときは、ご自身の結婚話が進んでいた頃なんでしょうか? 井口 もう付き合い始めてましたけど、まだ具体的な結婚話はしてなかったかな。でも、この作品を撮りながらも感じたことだし、最近もよく思うのが"責任"という言葉ですね。やっぱり、ひとりの女性と一緒に生きていく上で、人としての任務というか責任が生じると思うんです。恋人を自分の家族にするというのは、やっぱりそれはボクの責任だと思うし。大門なら正義をまっとうするという使命があるし。そういうことは、脚本を書きながらも撮影中もずっと考えていましたね。 ――最後に井口ワールドは今後どうなるのか教えてください。マニアックな道を極めるのか、メジャー路線へとシフトチェンジしていくのか? 井口 オファーがあれば何でも撮りたいというのが、ボクのスタンスなんです。自分としては先ほど話したみたいに、人間ドラマを撮りたいんです。ドラマの演出をするのはすごく好きだし、役者さんと芝居を模索しながら作れるものがやりたいですね。今、考えているのは思春期の少年少女を主人公にしたもの。特撮なしで考えています。それに、おじいさんやおばあさんが観ても「面白い」と思ってもらえる作品を撮りたい。高齢化社会と言われているけど、意外とおじいちゃん・おばあちゃんが楽しめる作品は少ないんじゃないかと思うんです。社会問題をテーマに、笑ったり泣いたりできる娯楽作品を撮っていきたいですね。「スシタイフーン」レーベルで作った新作ゾンビもの『ゾンビアス』(2012年2月公開予定)も、もうすぐ完成します。幅広く作品を撮っていきたいなと思っています。意外とまっとうなことを考えているんですよ(笑)。『片腕マシンガール』や『ロボゲイシャ』を撮っているんで、どうしても非常識でアナーキーな人間だと思われがちですけど、そんなことはないんです。信号はちゃんと青になってから渡りますし、ゴミが落ちていたら拾いますよ。常識がないと、逆にハチャメチャな作品は撮れないんです。そのことは声を大にして言いたいですね(笑)。 (取材・文=長野辰次) 『電人ザボーガー』 監督・脚本/井口昇 特殊造型・キャラクターデザイン/西村喜廣 アクション監督/カラサワ イサオ VFXスーパーバイザー/鹿角剛司 出演/板尾創路、古原靖久、山崎真実、宮下雄也(RUN&GUN)、佐津川愛美、木下ほうか、渡辺裕之、竹中直人、柄本明  配給/キングレコード、ティ・ジョイ 10月15日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー公開 <http://www.zaborgar.com> ●いぐち・のぼる 1969年東京都生まれ。8ミリ作品『わびしゃび』(88)がイメージフォーラムフェスティバルで審査員賞を受賞。平野勝之監督らのもとで撮影現場を経験する一方、松尾スズキが主宰する劇団「大人計画」の舞台でも役者として活躍。主な監督作に『クルシメさん』(98)、『恋する幼虫』(03)、楳図かずおの人気コミックを映画化した『猫目小僧』(05)、『まだらの少女』(05)、谷崎潤一郎の文芸作品を映画化した『卍(まんじ)』(06)、永井豪原作コミックをスプラッター化した『おいら女蛮』(06)、北米で爆発的セールスを記録した『片腕マシンガール』(07)、井口流過激なガールズムービー『ロボゲイシャ』(09)、伊藤潤二の原作イメージに近い『富江 アンリミテッド』(11)などがある。TVシリーズ『栞と紙魚子の怪奇事件簿』(日本テレビ)、『ケータイ刑事 銭形命』(BS-TBS)、『古代少女ドグちゃん』(毎日放送)などのチーフディレクターも務めた。自伝的エッセイ集『恋の腹痛、見ちゃイヤ!イヤ』(太田出版)は古書店で見つけたら、ぜひ手に入れたい名著。
片腕マシンガール 世界が認めた才能。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「複雑な感情を、複雑な感情で演じた」『電人ザボーガー』と俳優・板尾創路の複雑な関係 妄想超大作『ロボゲイシャ』、堂々完成! 井口昇監督、主演女優と念願のPR活動 日本公開は奇跡!? 井口昇のモンダイ映画がついに解禁!

辛酸なめ子さんの至言「なんか、つい交尾の話とかしちゃうんです」(前編)

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モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第29回のゲストは、月刊「サイゾー」連載『サバイバル女道』が書籍化された、辛酸なめ子先生です! [今回のお悩み] 「友達がいないですね......」 ――なめ子先生、お久しぶりです! 本当になめ子先生にはお世話になりっぱなしで、私の活動はほぼ、なめ子先生リスペクトというか、劣化コピーの出来損ないみたいな......本当にすみません。私はAKR19っていうユニットを1人でやっているんですけど、これもなめ子先生の"ひとりt.A.T.u."のマネですもんね。  ああ、ありがとうございます、そんなそんな。 ――もうt.A.T.u.のようなソウルメイトは見つかりましたか?  見つかってないですね、友達自体いないというか、それを逆に相談したいですね。 ――すみません、友達は私もいないです......。  学生時代の頃の友達が僅かにいるくらいで、どんどん人と疎遠になっちゃうんですよね。お酒も飲まないので、人の宴会に行かなかったり、ノリが悪いから次から誘われなかったり、そういうことが多いです......。でも、小明さんだったらカラオケも歌えるし大丈夫なんじゃないですか? ――カラオケなんて1人でしか行けないですよ! 中島みゆきとか森田童子とかが好きなんで、他人と行くと、「ふつう今の流れでそういう歌いく?」みたいな空気読めない人になりそうで......なのでカラオケは1人で行って、好き放題暗い歌を歌ってますね。  なんか霊が集まってきそうですね......。 ――いつからこうなっちゃったのかな......。  私もこの前、セドナから来たグレッグっていうスピリチュアル系のヒーラーに「8歳くらいまでは明るい性格だったのに、そこから急に暗くなりましたよね」みたいなことを霊視されて、確かに幼稚園までの写真はすごい良い笑顔なんですよ。それで、グレッグに「そういう自分の殻を破って明るくなるために、ピエロ教室に通いなさい」って言われて......。「ピエロ教室?」と思ったんですけど、「もし東京のピエロ教室が知り合いに会いそうで恥ずかしかったら、横浜のピエロ教室とか、少し遠くでもいいですよ」って。でも、ピエロ教室自体、少ないですよね。 ――セドナでは割とメジャーなんですかね。  グレッグが言うには、毎週ピエロ教室に通ってピエロになりきってジェスチャーをすれば、解放されてもっとポジティブになれるらしくて。なのでピエロ教室を探してたんですけど、まだ見つかってないですね。 ――過剰におどけて自己嫌悪しての繰り返しで、むしろ躁鬱が激しくなりそうな気がするんですが......。もっと普通に、ダンス教室とかカルチャースクールが良いんじゃないですか?  ダンスだったら、この前プライベートで少女時代のダンスを教えてくれるところを検索して、そこで「Mr.TAXI」とかを踊ったんですけど全然ダメで......。レッスンが始まる前は20代前半の子に「その靴かわいいね」とか言われてなんとなく仲良くなれそうだったんですけど、ダンスが始まったら私があまりにも下手すぎたのか、帰る時にはもう無視で、話してくれなかったですね。 ――切ない経験をされましたね......。  うん......。 ――サイゾ-で連載されている「サバイバル女道」もそういう切ないけどためになるお話がたくさん載ってますよね。あ、この度は書籍化おめでとうございます! 連載何年で書籍化に?  あ、ありがとうございます。連載は2年ぐらいですね。当初は本当に世の中が平和だったので、「サバイバル女道」ってタイトルでやってましたけど、今、本当にサバイバルが必要な状態になってしまって......。ただ、本当に「地震の時どうすべきか」みたいなのは全然載っていないので、そういうのを期待して買った方にはぜんぜん役に立たないんじゃないかと心配です。 ――あはは! 安全な野菜をダウジングで見分ける方法も載っていますし、あながち間違ってはないかもしれないですよ! うちの姉も放射能の数値を気にして偽物のガイガーカウンターをつかまされたので、読ませてあげたいです。それにしても、なめ子先生は連載もすごい数だし、本もたくさん出されていますよね。どのようにして毎日お仕事をこなしていらっしゃるんでしょうか?  単発の仕事も入れて、1日2本以上は何かを終わらせるくらいですね。あとはプライベートを捨てるとか......。本は、書いていたものがたまったら出版社の方の意向次第です。 ――なるほど~。私のこの連載も29回目になるんですけど、書籍化どころか、つい先日も副編集長さんにタイトルを間違えられて......2年以上やっているのに名前すら覚えられていないんだから、書籍化は遠そうです。  ......タイトルが長いですもんね? ――優しいフォローありがとうございます。「大人よ教えて」って言ってる私も既に大人ですし、なんとなく無理があるのは分かってるんです。......それにしても「サバイバル女道」は2年以上も連載しているのに、よくネタに困りませんね。毎回どこに取材に行くかはご自分で決められてるんですか?  そうですね。その時の話題性によって......たとえばノリピーが話題だった時は日本ダルク本部(薬物依存リハビリセンター)に行くとか、いろいろです。本部でお話させていただいた方は、ぜんぜん年上だったんですけど独特の色気を感じましたね。 ――修羅場をくぐった人間のフェロモンみたいなものがあるのかな、ノリピーだって40歳で子供もいてしかも覚醒剤の人なのに、子供も産まず薬もやってない20代の私よりも断然輝いていて......もっと悲惨な姿になっていないと、ドラッグのイメージアップになってしまうじゃないですか! 謝罪会見のノリピーだって完全にかわいくて、周りの男性とか皆ちょっと許してましたよ!  許してましたね......! その後も通信制の学校に行って、イメージVTRとかも楽しそうでしたもんね。でも、ダルクの人に取材をしたら、覚せい剤はやっぱり一番ダサいというか、バカにされるみたいです。ヘロインやコカインの方がおしゃれというか......レディ・ガガとかもコカイン中毒でしたもんね。 ――えっ!! そうなんですか!? ガガは厳しい両親の元でカトリックの学校に行ってたと聞いたんですが、その反動なんでしょうか? そういえばなめ子先生もご両親が教職でお嬢様学校ですよね。  満たされてるから好奇心が旺盛になったりするのかもしれないですね、私はやったことはないんですけど......。昔、高校の友達にマジックマッシュルーム(当時は合法)を試そうと誘われたけど断りました。 (後編につづく/取材・文=小明) ●しんさん・なめこ 1974年、東京都生まれ。マンガ家・エッセイスト・セレブ、スピリチュアル、女磨きなどをテーマに、数々の作品を発表。「週刊文春」(文藝春秋)など多数の連載を抱えている。月刊「サイゾー」連載をまとめた書籍『サバイバル女道』が絶賛発売中。 ●あかり 1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
サバイバル女道 じつは「サイゾー新書」の第1弾です。 amazon_associate_logo.jpg
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