2015年にブレークするかも? 次世代スイーツ「フローズンスモア」に挑戦!

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本物とはだいぶ違うものになりました
 100円ショップで売っている商品から3品を厳選し、それだけを材料とした料理に挑戦してみようという企画の第16回。  栄枯盛衰を繰り返すスイーツ業界の中で、日本で2015年にはやるといわれているのが、「フローズンスモア」というニューヨークの最先端スイーツらしい。『アナと雪の女王』は原題だと『Frozen』らしいが、その続編という訳ではない。  これがどんなものなのかといえば、チョコとバニラジェラートをマシュマロで包んで、冷やし固めたものを炙ったものらしいのだ。  炙ったマシュマロといえば、キャンプ料理の定番である。フワフワのマシュマロに軽く焦げ目をつけると、トロリととろけておいしいんだよね。それがチョコとバニラジェラートを包んでいるのだから、そりゃあおいしいに決まっている。  さて材料だが、まずはもちろんマシュマロである。卵白、グラニュー糖、ゼラチンなどで手作りするのが一番だろうが、ここはお手軽に市販のマシュマロを購入して、溶かして再利用してみることにした。
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マシュマロ、久しぶりに購入しました
 チョコレートとバニラジェラートは、チョコレートでコーティングされたバニラアイスが売っていたので、これをサイコロ状に切って代用。  棒アイスを切るという行為に、なんだか罪悪感が……。
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ジェラートとアイスの違いがよくわかっていません
 耐熱容器にマシュマロを入れて、様子を見ながら電子レンジで温める。  すると、プクーッと元気に膨らんでくるので、素早く取り出してスプーンで軽くかき混ぜ、これを型に流し込もうとしたのだが、ここで失敗。  水飴のようになったマシュマロが、うまく流れていかないのである。
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純白のマシュマロを電子レンジで温めます
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この倍くらいプクーッとしていましたが、加熱をやめるとすぐにしぼんでしまう
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そして型に流し込めない!
 さて、どうしようかな。  しばらく悩んでいるうちにマシュマロがすっかり固まってしまったので、またレンジで温め直し、そこに直接アイスを突っ込んで、マシュマロを絡みつかせる作戦に変更。  なんだか、チーズフォンデュを作っているみたいである。マシュマロフォンデュとして、はやるかもしれない。  ナウでヤングな若者は、バレンタインにもらったチョコレートを、こうしてホワイトデーのお返しとして一緒に食べたらどうだろう。
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このまま食べたらヤケドしそうだが
 これをクッキングシートに乗せて、冷凍庫で冷やし固める。マシュマロで包んだというよりは、なすりつけたという感じではあるが。  余談だが、これを冷凍庫に入れるためのスペースを確保することが、今回の料理で一番大変だった。
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腐っていた巨神兵っぽさは否めない
 ついでに、冷凍庫の整理をしていたら出てきた雪見大福でもやってみよう。  ボリューム感としては、これくらい大きいほうがアメリカ生まれのフローズンスモアとしては正解かもしれない。
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餅でコーティングされているので、アイスが溶け落ちないのが素敵
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これをアメリカに逆輸入させたい
 冷凍庫でしっかりと固まったら、これをアルミのバットに乗せて、回転寿司の炙り気分で軽く焦げ目がつくまで炙ってやる。
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ゴーゴーゴー
 一応これで完成なのだが、なんだろう、この「これじゃない」感は。外国人が適当に作った寿司みたいな怪しさ。  材料と手順としては大きな間違いはないはずなのだが(すごい大きなくくりとしては)、ネットで見たフローズンスモアとはだいぶ違うものになった。ご飯に刺身を乗せれば寿司なのかという話である。
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マシュマロが溶けたプラスチックみたいでごめんなさい
 溶ける前にさっさと食べてみると、カラメルのような香ばしさが加わったとろけるマシュマロと、チョコとバニラアイスの組み合わせなので、こりゃもう間違いなくうまい。  ただマシュマロがベチョっと固まってしまっているので、炙ってもフワフワではなくモッタリした食感なのが悔やまれる。  やはり市販品を使うのではなく、ちゃんとマシュマロから作って全体をふんわりとさせるべきだな。あるいは、マシュマロを溶かさずに細かく切って、アイスの周りにペタペタ張るといいかもね。私に足りないものは女子力かもしれない。いらないけど。
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これは雪見大福版
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大きさがリンゴ飴みたい。一口サイズもいいけれど、こっちもいいな
 もっとマシュマロをフワフワにさせたいのであれば、溶かす時に牛乳を加えてムース状にするという手もあるかなと再度試してみた。  すると食感は素晴らしいけれど、炙ると焦げ目がつかずに溶けるという結果になった。なるほどー。
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牛乳を入れてマシュマロを溶かします
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アイスを入れて冷やせば、マシュマロムース in アイス!
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牛乳が入るとフワフワするけれど、焦げ目がつかない罠
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これはこれでうまい。炙ることにこだわらなければ、家庭料理としてはこっちが正解かな。
 料理の中でも、お菓子作りは手順や分量に正確さが求められるジャンルであるということが、とてもよくわかる結果となった。  しかし、である。炙ったマシュマロと冷たいチョコとバニラジェラートという組み合わせのポテンシャルの高さは十分に感じられた。日本に上陸したら、ぜひ本物を食べに行きたいと思う。  手間を掛けずに楽しむのであれば、マシュマロを炙ってピノと一緒に食べると、それっぽい味になるかもしれない。  あるいは、日本人ならマシュマロではなく、アイスを「すあま(上新粉を湯でこねて蒸し、砂糖を加えて作った餅のようなもの)」で包んでもいいだろう。これぞ「フローズンすあま」である。

これが“テレ東流”ジャニタレの使い方『トーキョーライブ22時』が起こした化学反応

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「テレビ東京は、スターの扱い方がわかりません」  そう堂々と宣言して始まったのが、第一線で活躍するジャニーズアイドルをMCに配した『トーキョーライブ22時』(テレビ東京系)だ。  もともとは今年3月、テレビ東京開局50周年企画として『トーキョーライブ24時』の名前で放送されたのが始まり。2週間限定で平日深夜に10回生放送されたこの番組は、その月の「ギャラクシー賞月間賞」に輝くなど、大好評だった。  その結果、10月から『トーキョーライブ22時』と名前を変え、日曜夜のレギュラー番組として帰ってきた。内容もフォーマットも、ほぼ深夜時代そのまま。MCももちろん変わらない。TOKIOの松岡昌宏、KinKi Kids・堂本剛、嵐の相葉雅紀、関ジャニ∞・安田章大、NEWSの小山慶一郎の5人が週替りで務める。ちなみに水曜深夜には、Hey!Say!JUMPとジャニーズWESTが隔週でMCに挑戦する弟分的番組『リトルトーキョーライブ』も放送されている。 「最も大事な新番組の冒頭がぬいぐるみの1ショットという……訳の分からないことになっております」  10月19日に放送された初回『トーキョーライブ22時』のオープニングは、テレビ東京のマスコットキャラクター「ナナナ」の1ショットで始まった。このナナナ、LINEのスタンプが出るや否や、初日だけで290万ダウンロードを達成するほどの人気ぶりだ。  その要因のひとつは、間違いなくこの番組だ。ジャニーズのMCのパートナー役として起用されると、抜群の安定感で番組を支え、ネット上には「ナナナ名言集」なども作られた。それもそのはず。声を担当しているのは博多大吉。ほのかに毒を忍ばせつつ、軽妙洒脱に進行。豊富なキャリアで生放送のハプニングにも動じない。かわいらしいパペット人形の動きと相まって、オープニングの1ショットもうなずける番組の顔となっている。    だが、なぜナナナの1ショットから始まったかといえば、初回MCの小山がスタジオにいなかったからだ。『トーキョーライブ24時』時代、東京タワー内に特設スタジオが作られ、そこから生放送されていた。しかし、放送時間が早くなったことで、それが困難に。結果、テレビ東京社内の受付横に特設スタジオを常設することになったのだ。だが小山は、“連絡ミス”で東京タワーに行ってしまっていた。そこで番組のオープニングは、小山が東京タワーからテレビ東京までの道のりを自転車で走り、その模様を中継しながら、ナナナがつなぐという形式になったのだ。  小山が走る姿はヘリで中継され、ジャズバンドが応援。そのヴォーカルはマライヤ・キャリーのバックコーラスを務めた歌手……と、何もかもが「お金をかけるところを間違えている」感じで進んでいくが、それだけでは終わらなかった。 「東京を巻き込んだサプライズ企画」と用意されたのは、東京タワーをナナナ色(黄色)に変えるというものだった。  まずは、小山の合図で東京タワーの照明を切るという流れだったのだが、中継を呼ぶと、アナウンサーが概要を説明しているうちに、後ろの東京タワーの灯りが静かに消えてしまった。なんと、担当者のテンションが上がりすぎて、中継が来た瞬間、ボタンを押してしまうというあり得ないミスをしてしまったのだ。  スタッフが慌てふためく中、「ナナナ、こういうこと大好物ですよ、おいしく頂きまーす」と、ハプニングを楽しむスタジオ。  ハプニングはさらに続く。いよいよナナナ色に東京タワーを点灯。だが、「これはどのくらいイジっていいの……?」と小山が戸惑ってしまうほど、どうひいき目に見ても、ナナナ色とは言えない微妙な照明だったのだ。  こういったハプニング満載の「生放送感」はこの番組の最大の魅力であり、特長だ。テレビ東京らしいユルい感じを漂わせながらも、どこか懐かしい生放送の危うさとワクワク感にあふれている「生放送らしい生放送」なのだ。  この、何が起こるかわからない感じや、メイン企画である「みんなでお悩み解決トーヒョーライブ」などでの視聴者との「生電話」、データ放送やLINEを使った「投票」システムなどは、プロデューサーの佐久間宣行が「ボクのラジオへの執着が、怨念となって吹き出した番組」(『続・お笑いラジオの時間』綜合図書)と言うように、深夜のラジオ番組を彷彿とさせる。  深夜ラジオの魅力のひとつは、パーソナリティとリスナーの“近さ”だ。  この番組もまた、MCのジャニーズアイドルと視聴者の“近さ”が魅力だ。とかくジャニーズのアイドルたちは、ファン以外の人からは「ジャニーズ」というイメージで型にはめられがちだ。だが、この番組はいわば「1対1」。むきだしだ。だからこそ、パーソナルな部分が色濃く出てしまう。5人のMC、それぞれが“あぁこんな人だったんだ”と、この番組で初めてその魅力に気づいた人も少なくないだろう。  イジられまくるみんなの弟分のような小山、「堂本寂聴」などとナナナに言われる達観した生真面目さと笑いのバランスが絶妙な堂本剛、「大阪のゲイバーのママ」感がすごい安田、ナナナを溺愛し、ちょっと天然な相葉など、力の抜けた素に近いそれぞれのキャラと魅力が浮き彫りになっていく。  中でもTOKIOの松岡昌宏は、やはりキャリアも一番ということもあり別格だ。  「名言を残しているつもりはないんですけどね」などと言いつつも、ナナナをして「名言製造機」と言わしめるほど毎回、名言を連発。  『24時』時代も、「野郎はフラれる動物」「叩かれて強くなって男らしさが出てくる」「いくつになっても女性は"女性"」「女に奢ってもらったらTOKIOでいられなくなる」「男は黙って鳥羽一郎」「鳥羽一郎の『兄弟船』を歌えて初めて男」など男臭い名言を生み出していたが、『22時』になっても「恋は涙の幕開け」と早速名言を披露し、“兄貴”っぷり全開。圧倒的安定感と絶対的な信頼感を見せつけている。  「スターの扱い方がわからない」からと、“スター”であるジャニーズアイドルをあえて雑に扱い、すべてを任せると放り投げた『トーキョーライブ22時』。そして、「視聴者とつながる」をコンセプトに、生電話や投票などで、これまでなかなか直接接することのできなかったアイドルと視聴者の距離を近づける。さらに、生放送で起こるハプニングに対する新鮮な素のリアクションを捉える。すべては、ジャニーズアイドルたちの虚飾を排した、生身の人となりを映すための装置だ。  テレビ東京×生放送×ジャニーズ。一見、食い合せが悪いようだが、シンプルにそれぞれの特長を追求していった結果、彼らの魅力を最大限引き立てる、幸福な化学反応を起こしているのだ。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) 「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

入江悠監督のメジャーでの所信表明『日々ロック』たった一人の聴衆に捧げる屋上ライブの愚直さ

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『日々ロック』でデジタル系人気アイドル・宇多川咲を演じた二階堂ふみ。そのままデビューできちゃいそうなほど超ラブリーです♪
 勉強はできない、スポーツもできない、ファッションセンスなし、コミュニケーション能力は著しく低い。そんな“まるでだめお”な主人公が唯一輝ける瞬間がある。それはギターを手に、自作の曲を大音量でがなり立てているときだ。がなっているうちに気持ちよくなって、すぐ裸になってしまう。いや、輝いていると思っているのは自分だけで、ほとんどの人はダサくて、うるさくて、頭のおかしな露出狂としか認識していない。それでも彼は爆音でギターを弾き、そして叫び続ける。そうすることでしか、自分の体の中に渦巻いている猛烈な感情を吐き出すことができないからだ。松竹系で全国公開される『日々ロック』は、入江悠監督にとって初のメジャー公開作となる。『SRサイタマノラッパー』(09)でインディーズ映画シーンを席巻した入江監督による、メジャーでの所信表明的な作品と言えるだろう。ロックであることに、メジャーもインディーも関係ねぇ!! そんなシンプルなメッセージが作品を貫いている。  「週刊ヤングジャンプ」連載中の榎屋克優の同名コミックを原作に、超売れっ子の二階堂ふみをヒロインに配するというメジャー映画っぽいパッケージだが、中身は『SRサイタマノラッパー』三部作と同様に異様なまでに暑苦しく、鬱屈している。『SR』との違いを挙げるなら、ラップがロックに代わり、主人公たちが田舎からあっさり東京に上京してきたことぐらい。野村周平演じる主人公・日々沼拓郎は原作以上の変人で、すぐ裸になり、『少林寺木人拳』(76)のジャッキー・チェンかよと思うくらいまともな台詞がない。高校時代のイジメられっ子仲間たちと組んだバンド名は“ザ・ロックンロール・ブラザーズ”とダサダサの極み。歌詞はひとりよがりで、歌もうまくはない。はっきり言って、彼らの演奏は自分たちだけ気持ちよくなっているマスターベーションにしか過ぎない。無名な男たちの自慰行為にお金を払う奇特な客はおらず、彼らがステージに立つライブハウスはいつもガラガラだった。  ある日、童貞たちの巣窟と化していたライブハウスに、ひとりの珍客が現われる。ザ・ロックンロール・ブラザーズの演奏のド下手さに怒りを覚え、酒に酔った若い女性がステージに乱入してきた。酒乱で怖いもの知らずな、今をときめくアイドルシンガーの宇多川咲(二階堂ふみ)だった。咲はマイクを奪い、RCサクセションの名曲「雨あがりの夜空に」をブチかます。メジャーデビューを果たした売れっ子と売れないインディーズバンドとの違いを見せつけるように、咲はエネルギッシュなステージングで居合わせた観客を一気に魅了してしまう。自分たちのライブをめちゃめちゃにされた日々沼たちだが、嵐のように現われて去っていった咲に心の童貞を奪われる。彼女のキュートな凶暴さは、それこそロックだった。いつか彼女を振り向かせるような曲を書きたい、演奏したい。日々沼たちの演奏がただのマスターベーションから、リスナーを意識したものへと開かれていく。童貞臭をぷんぷんさせる日々沼にとって、咲は大切なミューズとなる。
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『パズル』の野村周平、『桐島、部活やめるってよ』の前野朋哉、黒猫チェルシーのドラマー・岡本啓佑が“ザ・ロックンロール・ブラザーズ”を結成。
 入江監督とは『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(11)ですでにタッグを組んでいる二階堂ふみは、今回のアイドル役を実に楽しそうに演じている。「雨あがりの夜空に」を熱くシャウトした後は、宇多川咲としてのオリジナルナンバー「サンライズ」「ラブリーサマータイム」をポップに歌い上げる。カワイイということは、それだけで充分にメジャーたりえる価値があるようだ。園子温監督の『地獄でなぜ悪い』(13)でコミカルな魅力を、熊切和嘉監督の『私の男』(14)で妖しい美しさを披露した二階堂ふみが本作でまたまた新しい顔を見せる。酒乱で凶暴という破壊願望丸出しなアーティストとしての一面をさらす一方、ステージを降りてひとりぼっちになった彼女の素顔はとてもナイーヴで、ちょっとした衝撃でバラバラに壊れてしまいそうな弱々しい女の子でしかない。メジャーとインディーの狭間で揺れる人気アイドル・宇多川咲は、今の二階堂ふみにぴったりの役だろう。  宇多川咲は天使なのか悪魔なのか? 女性偏差値が限りなくゼロに近い日々沼にとって、宇多川咲はまるで遠い星からやってきた異星人のような存在だ。でも、そんな宇宙人、いや宇多川咲とコンタクトできる手段がある。それがロックだ。消耗品であるアイドルは寿命がとても短いことを自覚している咲は、ロックバカの日々沼に「私のために曲を書いて」と頼む。日々沼にとって初めてのオファーであり、ザ・ロックンロール・ブラザーズがメージャーシーンと接点を持つ絶好のチャンスだった。だが、そのことが原因で、バンドは解散の危機を迎える。みうらじゅん原作、田口トモロヲ監督によるロック映画の金字塔『アイデン&ティティ』(03)の中で、ヒロイン(麻生久美子)は主人公の中島(峯田和伸)に「君は私のことをマザーだと思っているでしょ? でもマザーって、君が思っているような安定型じゃなくて破滅型と隣り合わせなんだよ」と静かにすごんで見せた。宇多川咲も日々沼にとって単に美しく、創作意欲を掻き立ててくれるミューズではない。女とは、男に多大なる試練を与える邪神、魔神でもあることを『日々ロック』は描いている。  邪神、魔神、宇宙人でもかまわない。自分の曲を、自分たちの演奏を初めてちゃんと聴いてくれた宇多川咲に、今の想いをすべてブチまけた曲を捧げたい。遠い世界へ旅立とうとする彼女のためだけに、日々沼は新曲を演奏する。ギャラリーは咲以外は誰もいない。強風と豪雨が吹き荒れる悪天候での屋上ライブだ。それまでのぐだぐだ、うだうだぶりの一切合切が、この屋上ライブで一気に反転する。自分自身の才能のなさに対するコンプレックス、成功者に対する妬み、生きていくことの息苦しさ、夢を見続けることの耐えがたい重み……。そういったすべてのネガティヴな感情を全部プラスに転じて、日々沼は絶唱する。たったひとり、咲だけに届けばいいと願いを込めて。それは、絶望というとても深い暗黒の淵に架ける、小さな小さな頼りない橋だった。
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日々沼(野村周平)たちは大豪雨の中で屋上ライブを決行する。リスナーはたったひとり、どこかで聴いているはずの宇多川咲だけだ。
 大型扇風機による強風と大量の雨という台風コントを思わせるベタな設定の中で、丸2日間にわたってぶっ通しで歌い続けた野村周平は、役づくりというレベルを越えて、ロックバカの日々沼そのものと化していく。自分のためだけに、純粋無垢なロックを捧げるバカものがいる。窓を開けた咲が、そして二階堂ふみが、微笑む。言葉にならない何かが通じ合った瞬間だった。  2015年1月31日(土)には、松竹よりもさらにメジャーな東宝系で入江監督が撮ったサスペンス大作『ジョーカー・ゲーム』が公開される。今後もメジャーから面白いオファーが届けば、入江監督はメジャーの仕事を受けるだろうし、インディーズで撮りたいテーマが見つかれば、またインディーズに戻って撮ることだろう。入江監督にとって、メジャーであるかインディーであるかはさほど重要な問題ではない。日々沼が愚直なまでにロックを追い求めたように、入江監督もまたロックな映画を作ることに情熱を注ぎ続けるはずだ。 (文=長野辰次)
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『日々ロック』 原作/榎屋克優 脚本/吹原幸太、入江悠 監督/入江悠 出演/野村周平、二階堂ふみ、前野朋哉、落合モトキ、岡本啓佑、古舘佑太郎、喜多陽子、毬谷友子、蛭子能収、竹中直人 配給/松竹 11月22日(土)よりロードショー  (c)2014「日々ロック」製作委員会 (c)榎屋克優/集英社  http://hibirock.jp

便所の落書きに心を折るべからず ネットを使うなら“スルースキル”を磨くべし

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 今どき、ネットを使うならスルースキルは必須。「スルーする」とは、他人からあおられたときに、反応しなかったり、気にしないこと。例えば、ネットに書いた自分の意見に対して、見知らぬ誰かから意味もなく「そんなわけねーじゃん、バカかよ」などと攻撃された場合。何も反論せず無視する、つまりスルーするのが正解だ。しかし、現実にはカッとなって反論してしまう人があまりにも多い。その反論にまたかみつかれ、泥沼化するのだ。  基本的に、反論していいことはない。こちらが正論であれ、向こうは極論を使ってあおってくる。もし、少しでも突っ込みどころがあろうものなら、鬼の首を取ったように攻撃してくる。誤字脱字だって見逃さない。しかも、こちらは本気で怒っているのに、向こうは鼻歌交じりに楽しみながら投稿している。どこまで行っても折れるようなことはないので、骨折り損のくたびれ儲けにしかならない。  匿名掲示板なら、口論してもイラつく以外に被害はないが、SNSでは実害が発生する。荒らしてくる相手と強い言葉でやり合っていると、友人はドン引きしてしまう。ビジネスに影響が出ることもあるだろう。速攻でブロックして、相手にしないのが一番だ。あまりにも誹謗中傷がひどいなら、運営に報告してもいい。一番重要なのは、心の底から相手にしないこと。無視したはいいが、傷ついたり我慢して、心が折れてしまっては元も子もない。完全にスルーすることが大切なのだ。  特にスルースキルを必要とされるのが、有名人や企業の経営者。不特定多数の人たち相手に情報を発信しているので、その分、絡まれることが多い。スルースキルがないと、悲惨なことになる。だが、特に飲食店のオーナーにはスルースキルが低い人が多いように見受けられる。客が内装や味にちょっと文句を言うと、エゴサーチをかけて攻撃するのだ。これは即2ちゃんねるに取り上げられ、炎上すること必至。永遠にネットに残るので、営業面で確実にマイナスになる。飲食店にとってマイナス評価はとても痛いところだが、反論したところでネガティブな意見が消えるわけではないので、やっぱりスルーしたほうがいいのだ。  悪意のあるユーザーから初めて攻撃を受けると、頭に血が上ってしまいがち。しかし、ネットを使うのであれば、ある程度は覚悟しておき、いざという時にスルースキルを発揮できるようにしていただきたい。 (文=柳谷智宣)

『艦これ』イベント中止、スクエニ“謎のカウントダウン”――突然の肩透かしに「冗談じゃねえ……」

ヲタ系ITライターと日刊サイゾー新米編集者が、ここ最近、ネットで話題になったいろいろな出来事について語るコーナーです。
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■『艦これ』イベント中止で主催者が炎上! ITライター・Dr.T(以下、Dr.T) 先日、ネットで新たな火事が起こりました。 新米編集者・アキ(以下、アキ) 炎上案件ですね! そろそろ寒くなってきたから、火には気をつけないと……。 Dr.T 言うようになったね、アキちゃん……。で、今回燃えたのは、大人気ゲーム『艦隊これくしょん』の同人イベント主催者だよ。 アキ 『艦これ』ってやつですよね。艦隊が女の子に擬人化されているっていう。 Dr.T お、詳しいじゃん。そう、その『艦これ』は同人界でも人気があって、たくさんの同人イベントが開催されているんだ。「コミケ」みたいに複数のジャンルが集まる同人イベントもあるんだけど、『艦これ』の創作物だけが対象になるイベントもあって、そういうのを「オンリー」と呼ぶんだよ。 アキ さすがDr.T! ITライターなのに、ITを語るよりもむしろ生き生きしていますね! Dr.T そ、そんなことないよ! とにかく、そんな『艦これ』オンリーイベント「浦賀船渠ノ航跡」が、11月9日に横須賀で開催されることになっていたんだ。ところが、6日になって突然、主催者がTwitterでイベントの中止を発表した。それだけじゃない。「【緊急】なお、お手持ちの当イベント関連物について、必ずすべて破棄して頂けるようお願い致します」と、穏やかではない雰囲気だったんだ(http://togetter.com/li/742053)。 アキ えー! そんな直前になって……。原因はなんだったんですか?   Dr.T 結論から言うと、イベントのパンフレットなどに使用していたロゴが、実際に企業で使われているものだったんだ。そのことに指摘が入り、当日のスタッフが全員辞退したことと、資金繰りが困難になったらしい。ただ、このお知らせは8日、つまり前日に出されたものなんだよね……。しかも、当初のアカウントは削除されていて、別の広報用のアカウントからの告知になったんだ。 アキ そんな直前で中止になるなんて、参加者の人たちも訳がわかりませんよね……。 Dr.T そうなんだよね。Twitterでは、参加する予定だったサークルの人たちの困惑の声がたくさんツイートされているよ。このために遠征する予定だった人もいるだろうし、宿を取っていた人もいるだろうし、ありえないよね。 アキ ていうか、主催者は一般人じゃないんですよね? 企業じゃないんですか? Dr.T 企業ではないかもしれないけど、今回の主催者は過去にもいろいろとイベントを主催してきた人みたいだから、少なくとも素人じゃないよね。 アキ それは、ますますひどいですね。 Dr.T ただ、同人系のイベントでは、こうしたトラブルはたまに起こり得るんだ。過去にもさまざまなトラブルが起きていて、ブラックリスト入りした主催者もいるくらいだよ。 アキ やっぱりちゃんとしたイベント会社を立てて、公式がイベントを……。 Dr.T そこはほら、あくまでも“同人”だから。ある意味、こういうトラブルが起きるのも、同人というグレーな存在ならではなのかもね。
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■スクエニ謎のカウントダウン! その発表内容に、ファン落胆!? Dr.T 冗談じゃねえ……伝説が……蘇るんじゃなかったのか……。 アキ おなか痛いんですか?   Dr.T 違う! アキちゃんは『レーシングラグーン』を知らないの? 1999年にスクウェアから発売された、プレーステーション用ゲームソフトだよ。 アキ ぜんっぜん知らないです! 100%知らないです! Dr.T そ、そんな全力で否定しなくても……。えっと、順を追って説明すると、事の起こりは10月30日。スクウェア・エニックスの公式サイトで、謎のカウントダウンが始まったんだ(http://www.jp.square-enix.com/densetsu/)。ページには「伝説が蘇る…」とだけ記されていて、カウントダウンがゼロになる日は11月7日に設定されていた。何が来るのか、ファンはやきもきしながら待っていたんだけど、「伝説が蘇る…」という文章から、一部では『レーシングラグーン』の続編かリメイクじゃないかと予想していたファンもいたみたいだね。 アキ 鋭いですね! で、結局なんだったんですか? Dr.T ……それが……ネットゲームの『疾走、ヤンキー魂。』とのコラボの発表だったんだよね……。まさかのコラボだったよ……ただし、悪い意味で、だけど……。 アキ そんな落ち込まなくても。 Dr.T いやだって、こんなただのコラボで、わざわざティザーサイトまで用意するなんて思わないじゃんね! スクエニはいいゲームもたくさん出してるんだけど、たまにこういうよくわからない力の入れ方をするんだよなー。別にコラボが悪いわけじゃないけど、この1週間のワクワクを返して! って気分だよ。 アキ ちなみに、どんなコラボなんですか? Dr.T コラボの詳細はまだ明らかになっていなくて、「横浜最速伝説の舞台はSouth YOKOHAMAからヤン魂。へ」というキャッチだけが表示されている状態だね。せめてコラボの内容は、がっかりじゃないといいな。
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■金曜ロードショーのひどすぎるテロップがTwitterでネタ扱いに Dr.T 先週の金曜ロードショーは『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』だったんだけど、放送中に表示されたテロップに、かなりの苦情が寄せられたそうだよ。 アキ あ、私見てました! あらすじみたいなのが左上に出てましたよね。 Dr.T うん。具体的にいうと、最初にいきなり「連続爆破事件の犯人 ホームズの推理は…」というテロップが表示されて、そこからすぐに「世界各地の重大事件 黒幕はモリアーティ教授」に切り替わったらしい。これって、けっこうなネタバレだよね……。 アキ 「黒幕」って言っちゃってますもんね……。 Dr.T これにネットでは批判が殺到していたんだけど、そこからはだんだんネタ方向に走るユーザーも増えてきて、「もし他の映画が金曜ロードショーで放送されたら、どんなテロップがつくか」という、大喜利合戦が繰り広げられていたみたいだよ。 アキ Toggeterにまとまっていますね(http://togetter.com/li/745651)。『天空の城ラピュタ』のやつ、面白い! 「滅びの言葉『バルス』とは? 驚きの結果まであと1秒!」って(笑)。 Dr.T ほかにもいろいろとセンスのあるツイートがあって、みんな遊ぶのがうまいなーと感心してしまったよ。ま、ある意味、ここまでネタにしてくれたなら、金曜ロードショー側の勝ちなんじゃないかな。製作者としては、不本意かもしれないけどね。 アキ そもそも、なんでこういうテロップつけちゃうんですかね? いちいち説明しないと、視聴者がわからないと思っているんですかね? Dr.T 映画を途中から見た人への現状説明なのかなと思うけど、ストーリーを解説されたからって、そこから見る人がどれだけいるか……。逆にテロップを入れることで、映画らしさがなくなって、一気に安っぽさが出てしまうのはマイナスだと思うんだけどね。 アキ 来週の金曜ロードショーでも、同じことやるんでしょうか? Dr.T どうだろうね。ここまできたらむしろ開き直って、もっと解説テロップ入れてくれたほうがネットは盛り上がりそう(笑)。 アキ ……なんか、結果的に宣伝になってしまった感じで悔しいです。 (構成=Dr.T)

「セクハラ被害」訴える一方で、複数の男性警官と関係を……“交番SEX”報道のハレンチすぎる現実

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「週刊ポスト」11/28号(小学館)
今週の注目記事・第1位 「『交番SEX』にふけった美人婦警」(「週刊ポスト」11/28号) 第2位 「中国サンゴ密漁船を撃て!」(「週刊文春」11/20号) 第3位 「ミス東洋英和VS.日本テレビ『往復書簡』公開する」(「週刊現代」11/29号) 第4位 「12月21日投開票!?『安倍総理』出血大博打で誰が笑うか?」(「週刊新潮」11/20号) 第5位 「『安楽死』『尊厳死』あなたならどうする?」(「週刊文春」11/20号) 第6位 「何でも日本一・福井県に学ぶ『幸福な暮らし』の秘密」(「週刊現代」11/29号) 第7位 「薬物使用疑惑も浮上した博多天神『ワッフル屋レイプ集団』鬼畜の所業」(「週刊ポスト」11/28号) 第8位 「羽生結弦『5回も転んで2位』」(「週刊現代」11/29号) 今週の現代・ポストのセクシーグラビア対決の勝者はどっちだ!  今週の現代は、フライデーの二番煎じの「ヘアヌードになった『国民的アイドル』」と「小室友里 10年ぶりの復活ヘアヌード」、このごろ定番になった懐かしの女優ヌード袋とじは「吉沢京子 青春の裸身」。  ポストは「平子理沙 カリスマモデルの挑発する唇」と、沢渡朔が撮った「剥き出しのエロス 葵つかさ」。ポストはこのところ、ヌードグラビアにはあまり力が入っていないが、葵つかさはやはり巨匠・沢渡と思わせる迫力がある。  吉沢京子は胸がちらりと見えるだけだが、われわれ世代には忘れられない可愛い娘(こ)である。小室はアダルト界で人気だったようで、今もそのかわゆい表情や見事な身体は一見の価値あり。今週も総合力で現代に軍配を上げたい。  いつもこの欄で強調しているが、週刊誌の役割のひとつは「素朴な疑問に答える」ことである。  先日のフィギュアスケートで、練習中に大ケガを負った羽生結弦がケガを押してフリーの演技をした姿には、私も感動して涙を流した。  しかし、たしかに5回も転倒したのに、終えた時点で「暫定1位」。あれっと思ったことも事実である。  その疑問に、現代は答えようとしてくれている。これが今週の第8位。  現地で解説を担当したスケート解説者の佐野稔氏は「羽生選手の包帯姿が加点になった」としてこう語る。 「今シーズンの羽生選手のフリーの曲は『オペラ座の怪人』。あの曲は怪人の悲しみや愛の表現が求められますが、傷を負ったことで、怪人の心情を見せることができた。それがジャッジに反映されて、得点につながったんです。  もちろん、ルールとして『同情点』は禁じられています。ただ、それを厳しく守れる人がいるでしょうか」  表現力に与えられる「構成点」については、これまでも大きな議論を巻き起こしてきた。  きっかけは2002年のソルトレイク五輪でのスキャンダルだったという。 「ペア部門でロシアが優勝に輝いたが、フランス人審判が『政治的な取引をし、ロシアに甘く採点した』と発言し、大問題になったのだ。結局この件は、問題の審判の判定を無効とし、2位だったカナダ人ペアにも金メダルが贈られ、決着を見た」(現代)  その反省から、採点方式はより政治色や主観を排した厳密なものに変えられていったそうだが、やはりそれだけではないという。  スポーツライターの折山淑美氏によれば、構成点は選手の格によって左右されるのだそうだ。 「たとえばソチ五輪銀メダリストのパトリック・チャン選手だったら10点満点で9点台後半がほぼ確実に出るとか、高橋大輔選手なら9点台は堅いとか、選手によってある程度は決まっています」  したがって羽生選手の場合、どんなに失敗しても7点代までは落としにくいというのだが、感動と演技の評価は別なのではないか。羽生があのとき低い得点でも、観客やテレビを見ているわれわれは、惜しみない拍手を送ったはずである。  7位は博多のワッフル屋で起きたレイプ事件である。この連中の卑劣なのは、ワッフルという女性の好む店をやりながら、安心して入ってきた女性客を食い物にしていたことである。  集団強姦などの疑いで新賢佑容疑者(33)と伊牟田祐史容疑者(33)を、犯人隠避容疑で同店経営者の博多屋泰典容疑者(34)を逮捕した。  現場は九州最大の繁華街、福岡天神のど真ん中にあるワッフル屋である。  ポストによれば、事件が起きたのは11月6日木曜の午前0時ごろのことだった。その1時間ほど前、女性がファミリーレストランに入ろうとしてたところ、うちでも食事ができますよと誘ったのが、隣にあるワッフル店の店員だった。  女性はその店に入るのは初めてだったという。そのときはまだ店内に2~3人の女性客がいたというから、安心したのだろう。  伊牟田容疑者に勧められてテキーラを飲んだ。営業終了の午前0時近くなると、ほかに客はいなくなっていた。すると突然、店のシャッターが下され、態度を豹変させた2人の男が、照明を暗くして女性に襲いかかった。  突然のことに動揺して、なんとかその手から逃れようとする女性。しかし2人は女性の身体を押さえつけると、代わる代わるレイプしたという。  少し飲んだテキーラに何かが入っていたのか、その女性はすぐにフラフラになってしまったという。 「抵抗すると何をされるかわからなかったので、ただ涙を流すしかできませんでした」(女性)  女性はようやく1時間後に解放され店を飛び出した。すると女性を後から追いかけてきた新容疑者が、今度は女性をラブホテルへと連れ込み、欲望のままに暴行を繰り返した。その後女性が中央署に駆け込んだときには、午前3時ごろになっていたという。  大阪で起きた「ペッパーランチ事件」では、店員が懲役10年、店長が懲役12年の実刑判決を受け、服役中である。  この3人も、今ごろ罪の重さに震えていることであろう。  私は福井県が好きだ。特にこの時期は越前がにがうまい。だが、都会育ちが住むのには厳しい自然環境だと思っていたら、現代によると日本一幸福な県だというのである。  福井県の越前がには、皇室にも献上している県の魚である。福井県知事の西川一誠氏は、こう胸を張る。 「福井県は、法政大学や日本総合研究所が行った都道府県の幸福度ランキングで『日本で一番幸せな県』と評価されたんですよ。福井には、四季折々の自然や豊かな食があります。それに、信仰心が厚く、先祖を敬い家族を大切にする気質や、近隣の人との絆が深い土地柄なども、背景にあるのではないでしょうか」  この幸福度ランキングは、失業率や正社員比率などの労働面、待機児童数や持ち家比率などの生活面、平均寿命などの健康面や、教育、安全などの指標から総合的に評価されたものだという。  そのすごさを並べてみよう。人口10万人あたりの社長輩出数が1,457人で32年連続全国トップ(帝国データバンク調べ)。成功者が多い土地柄なのだ。  福井には繊維のほかにメガネや越前和紙、漆器など、多くのものづくり産業が地元に根付いている。  福井県立大学看護福祉学部准教授の塚本利幸氏は、 「福井には働く場所がたくさんあります。有効求人倍率は全国トップクラスで、同時に失業率も非常に低いんです。  共働き世帯は56.8%と全国1位。福井では、女性は働いて当たり前という感覚です」  また、ナンバーワン戦略研究所の矢野新一氏は、福井県の女性は行動的な人が多いと話す。 「女性を対象にしたインターネットの調査で、一目ぼれした相手にどう接するか、という質問をしたところ、『すぐに相手の電話番号を訊く』と回答した割合が最も高いのは福井の女性でした。全国平均11%に対し、福井は29.4%だった」  共働きということもあるのか、勤労者世帯の実収入は月に約60.5万円で日本一。貯蓄残高は1世帯当たり1,461万円で全国5位。持ち家の延べ面積は1軒あたり172.6平方メートルと、全国2位の広さだという。家は広くて貯金も多い裕福な県なのだ。  当然ながら自殺死亡率の低さは全国2位。全国学力テストの結果は、中学生で全国1位(小学生は2位)。体力テストは小学生で男女とも1位(中学生は男女とも2位)。  福井県はやはり寿命も長い。男女平均は83.71歳で全国2位。要介護認定を受けている高齢者の割合も低いそうだ。元気で長生きする高齢者が多いということである。  こういうホンワカした記事が私は好きだ。この冬は久しぶりに福井へ行って、永平寺と越前がにに再会してこようか。  アメリカ人女性のブリタニー・メイナードさん(享年29)が11月1日(現地時間)、医者から処方された薬を飲んで自ら命を断ったことが話題になっている。  彼女は「愛する家族、友人よ、さようなら。世界は美しかった」とFacebookに書き残した。  文春によれば、ブリタニーさんは末期の脳腫瘍になり、今年4月に余命半年と宣告された。その後、自宅のあるカリフォルニア州から、医師の「自殺幇助」による「安楽死」が法的に認められているオレゴン州へと引っ越した。  若い彼女が安楽死を選択することをウェブ上で公にしたため、生前から全世界の関心を集めていた。  日本では終末期に「尊厳死」を選択するか否かは、本人の意思確認ができれば認められる場合があるが「安楽死」は認められていない。  尼崎で開業医をしながら、日本尊厳死協会の副理事長を務める長尾和宏医師が2つの違いをこう解説する。 「ブリタニーさんの死は、英語の『Death with dignity』を直訳して、『尊厳死』と一部のメディアで報じられました。しかし、これは医師が薬物を使って人工的に死期を早めるという、いわば医師による自殺幇助で、日本では『安楽死』と呼んでいます。  一方、日本での『尊厳死』とは患者の意思により、たとえばがんの終末期などに延命措置を行わない、または中止して自然死を待つことを意味します。  自然な経過に任せて最期を待つか待たないかが両者の違いといえます」  文春はメルマガ会員1,143人に尊厳死、安楽死について聞いたという。  すると安楽死にも尊厳死にも賛成という意見が全体の68.8%にもなった。理由としては身近な人の死を経験して「人間らしく生きる」ということについて考えたため、という回答が多かったそうだ。  現在難病と闘い、切実な思いで病と向き合っている51歳の女性の言葉には胸打たれる。 「医師から、そう遠くない未来に全身が動かず寝たきりになり、失明し一切の光をも失うことを宣告されている。何も見えず、指先すら動かせない未来の自分の姿を考えると、ごく自然に『死』という選択肢が浮かぶ。自分の意思で体が動かせない状況を受け止めながら生きることをなぜ他人に強要されなければならないのか。穏やかな表情や精神状態を保てるうちに、大切な人たちに落ち着いて『さようなら』と言える権利が私は欲しい。苦痛に歪む姿を家族に焼き付けたくない」  私にも忘れられない思い出がある。親しくしていた有名ノンフィクション・ライターが、医者に行くカネもなくなり、事務所で倒れ、担ぎ込まれた病院で末期がんと宣告された。  それからさほど経たないうちに激しい痛みが始まり、ベッドの中で、のたうち回るようになった。小康状態の短い間は私と話ができるが、ほとんどは痛みのために苦しみ、モルヒネもあまり効かないようだった。  奥さんとは離婚状態で見舞いにも来てくれず、ベッドの上に「あなた頑張って」という奥さんからのFAXが一枚貼られていた。結局苦しみ抜いて数日後に亡くなったが、死をどう迎えるのかを私が真剣に考えるきっかけとなった。  必ず来るその日をどう迎えるのか。認知症にならないうちに「遺言」を書き始めようか。 「増税先送りなら解散 首相検討 年内にも総選挙」「年内に解散する場合、衆院選は『12月2日公示・14日投開票』か『9日公示・21日投開票』とする案が有力だ」「GDP値が伸び悩んだ場合、増税先送りの判断と、アベノミクスの成果などを掲げて国民に信を問う考えとみられる。10%への引き上げは、1年半先送りし、17年4月とする方向で調整している」  自民党内でも多くの議員が首を傾げていた解散・総選挙が現実となってきた。慎重だった朝日新聞もようやく11月13日の朝刊一面で「来月総選挙へ 消費増税、先送り検討」と打ったが、冒頭にあげたのは11月9日付の読売新聞朝刊の一面である。  新聞的にいえば「特ダネ」であるが、どうしてこうした断定的な書き方ができたのだろうか。  新潮によれば、この記事は渡辺恒雄主筆からの指示だったという。読売新聞政治部の関係者がこう語る。 「社説でも主張している通り、主筆は新聞に消費税の軽減税率を適用せよというのが持論です。それが無理なら増税を延期して、国民に信を問うべしというのですが、最近も甘利明経済財政相を招いた会合で主筆がこの話を切り出したことがあった。(中略)  記事では、安倍総理が公明党の幹部に解散の意思を伝えたとありますが、実際の相手は創価学会の選挙対策責任者だと聞いています」  新潮は「安倍総理の出血大博打」と書いているが、なぜ安倍首相はここへきて急に解散を思い立ったのだろう。  それは10月末に政府の発表に先んじて報じられた民間シンクタンクの7~9月期の成長率予測が、見るも無残な数字だったからだ。  そして、それは現実となった。 「内閣府が17日発表した2014年7~9月期の国内総生産(GDP)の1次速報は、物価の変動の影響をのぞいた実質成長率が、前期(4~6月期)より0・4%減、この状況が1年続いた場合の年率換算では1・6%減となった」(asahi.com11月17日より)  だが、安倍首相の周りは、10%増税すべしという人間ばかりだという。官邸関係者がこう語る。 「いま、安倍総理を取り巻く官邸の主要メンバーは、菅官房長官を除いて、大半が“増税推進派”になっています。旧大蔵省出身の加藤勝信官房副長官はもちろん、経産省出身の側近秘書官まで増税を容認するようになっているのです。  それと言うのも、10%の消費税増税を実現したい財務省が、官邸スタッフや増税反対の議員に対して総力で“切崩し”に奔走しているからです。これに業を煮やしたのか、11月上旬、総理が突然、“やりたいようにやっているな! 財務省の奴らは”と漏らしたことがありました。乱暴な口ぶりなので皆ギョッとしましたが、それはそれほど総理の身近なところまで財務省の息がかかっているわけです」  この官邸関係者によれば、増税の決定権を絡め取ろうとする財務官僚に対して、安倍首相は明らかに警戒しているようだという。  しかし、なぜこのタイミングなのか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。 「官邸が解散・総選挙を考えているのは“いま解散したほうが得策だ”という計算もあるからです。つまり、このまま選挙をやると、自民党は現有の295議席から20議席は減らしてしまうかもしれませんが、それでも絶対安定多数を保てる」  いわれていることだが、増税を先送りするなら安倍首相が決断すればいいことである。何百億円も使って師走の忙しいときに選挙をする必要などない。小泉元総理の「郵政民営化イエスかノーか」解散も大義のない“わがまま解散”だった。  選挙は大勝したが、小泉がいなくなったら民営化反対派が主導権を取り戻し、元の木阿弥となってしまった。そのとき当選した「小泉チルドレン」たちの多くも雲散霧消した。バカなことをしたものである。  新潮は「後世の人たちは、これを何解散と呼ぶのだろうか」と結んでいるが、私は「自滅解散」と呼びたい。  人間は過ちを繰り返すものである。安倍が前回辞任したのも財務官僚たちが安倍の足を引っ張り、引きずり下ろしたからであった。閣僚たちのスキャンダルが次々に噴出して選挙はボロ負け、身体の問題もあって辞任せざるを得なくなった。  安倍首相は、アベノミクスが末期症状を迎えているところに財務官僚のいうがままに増税したら、日本中に怨嗟の声が広がり、前回同様辞任に追い込まれるという危機感があるのだろう。  前回のような大勝は無理でも、単独過半数を維持できれば延命できると考えているはずだ。それほど財務官僚たちに怯えているのだろう。意気地のないことだ。  安倍首相は特定秘密保護法や原発再稼働、憲法九条を蔑ろにしたことに対する国民の怒りを考えに入れていないのではないか。今回の全野党のスローガンは「STOP THE ABE」で十分である。サンデー毎日は「安倍自民は40議席減」と予測しているが、私はもっと減ると思う。  それは11月16日に投開票された沖縄県知事選で、翁長氏が仲井真氏に大差で勝ち当選したからである。私は以前から沖縄から日本が変わるといってきた。それが現実のものとなる。  沖縄県民は、私たちは沖縄に基地はいらないと「自己決定」した。この沖縄県民の総意を、本土の人間がどう考えるのかと迫っているのである。  沖縄からの血の叫びを、安倍自民党への怨嗟の声を、今度はわれわれ本土の人間が応えるときが来たのだ。そこへ飛んで火に入るといったタイミングで、安倍首相は解散をしようというのだ。沖縄の怒りをわが事として、安倍首相に「ノー」を突きつけようではないか。  それにしても新聞も週刊誌も沖縄についての報道の少なさはどうしたことだろう。中国や韓国批判の報道は掃いて捨てるほどあるのに、沖縄についてほとんどといっていいほど触れないのは、沖縄は日本ではないとでも思っているからではないのか。沖縄の怒りは安倍自民党だけに向いているのではない。本土に住むわれわれにも匕首は突きつけられているのだ。  現代が火付け役になったミス東洋英和・笹崎里菜さんと、日本テレビとの「内定取り消し」をめぐる訴訟騒動は、日テレ側に厳しいようだ。  現代は今週、日テレ人事局と笹崎さんとの往復書簡を載せているが、日テレ側の書簡には頷けないところが多々ある。 「アナウンサーには、極めて高度の清廉性が求められます。他方で、銀座のクラブでホステスとして就労していた貴殿の経歴は、アナウンサーに求められる清廉性に相応しくないものであり、仮にこの事実が公になれば、アナウンサーとしての業務付与や配置に著しい支障が生ずる事は明らかです(中略)。  ホステスとしてのアルバイト歴だけを意図的に申告しなかったわけですから、貴殿の行為は、重要な経歴の詐称に他ならず、弊社との信頼関係を著しく損なう背信行為であって、(内定にあたって交わした=編集部註)昨年9月12日付誓約書4項の『貴社への申告に虚偽の内容があった場合』に該当するものです」  テレビ局がアナウンサーにそれほどの清廉性を求めているとは、ちっとも知らなかった。テレビに出てきわどい発言やおバカな態度を取ることは清廉性に反していないのだろうか。  それに日テレのお偉いさんたちが銀座に行ったら、あんたたちは私たちのことを差別しているのかと怒鳴られるのではないか。それとも日テレの人間は、銀座のクラブのような下品なところへは行かないとでもいうつもりなのか。  笹崎さんの代理人を務める緒方延泰弁護士は、裁判のポイントをこう語る。 「免許事業であり社会の公器たる性質を有するテレビ局が、『銀座でのバイト』が『清廉性を損なう』ものだと断じていいのか。また、経団連の採用倫理憲章を破って青田買いし、囲い込んでおきながら、他社を受験することが困難な時期になって曖昧な理由で内定を取り消す不公正さ。裁判ではそのあたりが争点となっていくでしょう」  バカなことを、と思うしかない。  今週の第2位は文春の記事。安倍首相と習近平首席が会談する直前に、小笠原諸島周辺に集まっている中国漁船と海上保安庁の特殊部隊との間で大立ち回りがあり、その成り行き次第では首脳会談が行われなくなる事態もありえたほど緊迫したと報じている。  中国漁船たちの狙いは高価で貴重な「赤サンゴ」の密猟である。一度来れば少なくとも3週間は海域に居座り、赤サンゴを採っていくのだそうだ。  それが起きたのは10月5日。朝、小笠原諸島のある港から出向した漁船の船長は、日本の領海内で赤サンゴを採っている中国漁船を見つけた。  その直後、激しい爆音が聞こえた。ヘリコプターが中国漁船に向かってすさまじい勢いで直進し、ヘリコプターの大きな機体が中国漁船に突っ込んでいった。 「中国漁船の甲板にいた数人が吹っ飛ばされたのと同時に、ヘリコプターからロープが放り出される。即座に、何人もの黒ずくめの者たちがロープを伝って中国漁船に降下してゆく。(中略)  甲板に降り立った“黒ずくめの男たち”の動きは速かった。先の長い、銃らしきものを構えたまま、あっという間に中国漁船の至る所へ突入。信じがたいスピードとアクション映画のような技で、次々と船員たちをなぎ倒してゆく姿が見えた」(文春)  こうして、SSTといわれる海上保安庁の特殊部隊は領海内で赤サンゴを密漁していた中国漁船を急襲して制圧。船員たちを横須賀へと連行したそうだ。  SSTについて軍関係者の間で知られているのは、関西国際空港の警備部隊と、フランスからのプルトニウム運搬船警備部隊を合体し、1996年に創設されたという事実だけだ。  安倍首相を直接補佐する官邸の政府関係者に、この事実をぶつけたという。 「恐れていたことが起こらなかったことに深く安堵した。なぜなら、今回の中国漁船への対応は、日中首脳会談の実現の成否を握っていたからだ」  もし日中が衝突して犠牲者が出れば、首脳会談は吹っ飛びかねなかったというのである。  しかもSSTが中国漁船を急襲したのは、この日ばかりではないようだ。  石破茂地方創生・国家戦略特別区域担当大臣は、こうした違法な漁船を取り締まるための法改正が必要だとし、こう話す。 「いま小笠原諸島周辺で行われている行為は、密漁なんていわんでしょう。普通は隠れてやるものですが、あまりにも白昼、堂々とし過ぎている」  私も、中国漁船のサンゴの密漁は見逃すべきではないと思う。サンゴが少なくなればそこに生息している魚たちの生態系も変わってくるから、日本の漁師たちには死活問題である。  こうした輩に毅然とした態度で臨むのは国として当たり前のことだ。それで中国側が何かいってくるのなら、わが国は盗人を捕まえただけだといってやればいい。こんなことで中国側に遠慮することなど、私もないと思う。  さて、11月17日の朝刊、第二社会面にこんな記事が出た。 「勤務中、同僚女性にキスやセクハラ 警察官4人を処分  警視庁綾瀬署(東京都足立区)で女性警察官を勤務中の交番に泊まらせたり、セクハラ行為をしたりしたとして、署員の男女4人が内規上の処分を受け、今月までに辞職していたことが同庁への取材で分かった。同庁は『4人の行為はいずれも懲戒処分には当たらない』として公表していなかった。  同庁によると、同署地域課の男性巡査部長は今年に入って、勤務中に交番を訪ねてきた女性警察官とキスするなどした。同課の別の男性巡査は勤務する交番にこの女性警察官を泊まらせた。それぞれ女性警察官が承知のうえでのことで、交番勤務が1人態勢になる時間帯だった。さらに同署生活安全課の男性警部補はこの女性警察官に対して、セクハラ行為をしたという。  一連の問題は、女性警察官が警部補のセクハラ行為について相談したことをきっかけに発覚。懲戒処分にしなかった理由について、同庁幹部は『行為の性質や勤務に与えた影響を総合的に勘案した』と説明している」 「同庁への取材で分かった」と書いているが、これはポストの記事に出ると分かったから、あわてて取材したのではないのか。  ポストは「身内の恥を晒すことになるだけでなく、地域安全の根幹を揺るがしかねない」と、厳重な箝口令が敷かれていたこのスキャンダルをスクープしたのだ。これが今週の第1位!  ポストでは、どこの交番とは書いていないが、警視庁関係者の話を総合すると、某日、若い男性警官が1人で勤務している某交番に20代前半とおぼしき女性が訪れたという。  手には菓子折か、弁当か、手土産らしき包みを携えていたそうだ。男性警官とその女性は交番のバックヤードにある宿直用の休憩室へと消えていった。そして男女は、仮眠用の寝具が置かれた宿直室で、時を忘れて秘め事を楽しんだ──という。  Aは同じ警察署管内に勤務している20代前半の女性警察官。Aは自分が非番の時に男性警察官のいる交番へ差し入れを持って訪れ、淫らな行為に及んでいたらしい。 「訪問した日時は把握していないが、複数勤務の時間帯にそんなことができるはずがない。だとすれば1人勤務が行われている白昼堂々ということになる。驚きを禁じ得ないが、調査をしている以上はおそらく事実なのだろう」(事態を知る警視庁関係者)  この一件は、本庁の監察担当の知るところとなったという。先の警視庁関係者が語る。 「宿直室はもともと居住用に作られていないために壁が薄く、行為の時に漏れた声に近隣住民が気づき、本庁にクレームの電話があったらしい」  だがそうではなかった。警視庁幹部がこういったという。 「どうやらAが先輩刑事からセクハラ被害にあったと訴え出ていたようです。それを監察が調査しているうちにこの問題が出てきた」  Aは上司からセクハラを受けていたことがあった一方で、複数の男性警察官と男女関係にあったことも疑われている。  近年警視庁では警察官同士の色恋沙汰にまつわるスキャンダルが少なくないと、ポストは書いている。  警察に女性がいるといっても、女性警察官の割合は約8パーセント。男性中心の職場であることは間違いない。そこで少ない女性を取り合ったり、セクハラ、パワハラなど日常茶飯事なのであろう。それにしても勤務中にSEXに励むなど言語道断である。  福島県警捜査二課で自殺が相次いでいることが問題になっているが、この裏にも女性問題が絡んでいないのか。警察官こそ「清廉性」が求められるはずだ。 (文=元木昌彦)

“肉弾接待疑惑”の矢口真里、“干された”及川奈央……バーニングに弄ばれた女たち

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 11月上旬に話題を集めた記事を振り返るこのコーナー。今期は、元セクシー女優・及川奈央やら元モー娘。矢口真里やら百田直樹氏やら、バーニング絡みのネタが盛り上がりました。それに加え、いま子どもたちに大人気の『妖怪ウォッチ』利権にもバーニングが関与してるっていうんだから、穏やかではありません。やはり、芸能界はバーニング様様のようですね。    それでは早速、ランキングを見ていきましょう! 第1位 元AKB48・城田理加の「MUTEKI」本番デビューに、もう驚かないファンたち「家族思いのいい子だった」「頑張って」 当然の流れだよね。 第2位 新婚・伊藤英明の恥ずかしすぎる3P乱痴気写真流出! プレイ中『海猿』取り入れる姿勢に「さすが」の声 ダイスケ~! 第3位 AV女王→女優業→バーニングに干され……セクシー女優・及川奈央の波瀾万丈人生 そーだったのか。 第4位 ダウンタウン浜田雅功「うどんに覚せい剤」ブラックすぎる“大失言”で広がる波紋 小向? 第5位 矢口真里『ミヤネ屋』復帰の裏に“肉弾接待”あった!?「バーニング周防社長の計らいで……」 なんてこった! 次点 電話・メールNG、送料負担、ネットはYahoo!ID必須……Tカードの個人情報提供停止手続きに非難ごうごう 不審募る。 次々点 伝説の打ち切りマンガ『男坂』が30年ぶりに連載再開! 待ち受けるのは天上界か、それとも…… ザオリク!

トキワ荘とは異なる、もうひとつの“まんが道”! 劇画を考案した辰巳ヨシヒロの自伝『TATSUMI』

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子ども向けだった漫画を、大人が楽しめる劇画へと押し進めた辰巳ヨシヒロの半生を描いた『TATSUMI』。彼の功績は海外で高く評価されている。
 ずっと疑問に思っていたことがある。なぜ、トキワ荘というアパートに藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら天才漫画家たちが集中して現われたのかということだ。“漫画の神様”手塚治虫を慕って、手塚がかつて暮らしていた椎名町のアパートに若き才能が集まったという説明だけでは納得できないものを感じていた。劇場アニメーション『TATSUMI マンガに革命を起こした男』とその原作となった辰巳ヨシヒロの自伝的コミック『劇画漂流』に触れることで、長年の謎がようやく氷解した。トキワ荘以外にも才能と情熱に溢れた若き漫画家たちは大勢おり、各地に群雄割拠していたのだ。だが、漫画産業が巨大化していく中で、最後まで生き残ったのがトキワ荘のメンバーだったということなのだ。シンガポールを拠点に活動するエリック・クー監督の手による『TATSUMI』は、“劇画”を考案した漫画家・辰巳ヨシヒロの半生をアニメーションとして描くことで、トキワ荘とは異なる漫画の歴史、そして日本の戦後文化史をひも解いていく。  辰巳ヨシヒロは1935年大阪府生まれ。兄・桜井昌一の影響で漫画に熱中し、雑誌『漫画少年』の読者投稿コーナーの常連となっていく。中学時代には宝塚市で暮らしていた手塚治虫の自宅を訪問するなど、“漫画の神様”と早くから交流していた。高校卒業後、大阪の貸本業界を中心にプロの漫画家としてキャリアを築いていく辰巳は、次第に大人向けのシリアスな画風や題材を描くことに傾倒する。キャラクターの内面に生々しく迫った辰巳の作品は、笑いをベースにした従来の子ども向け漫画とは明らかに異なるものだった。1958年に辰巳は上京。同じ関西出身のさいとう・たかを、佐藤まさあき、松本正彦らと国分寺に住み、「劇画工房」を名乗る。劇画というネーミングを考えた辰巳のこの“劇画宣言”は、誰もが楽しめる“漫画”であることにこだわり続けた“神様”手塚治虫との決別でもあった。関西で絶大な人気を誇った漫画誌『影』の新鋭作家たちが名前を連ねた「劇画工房」だったが、会社組織ではなく、あくまでも同人の集まりだったために足並みが合わず、あっけなく瓦解してしまう。少年漫画を中心にしたトキワ荘のメンバーがテレビアニメーションやキャラクタービジネスと融合してメジャー化していくのに対し、「劇画工房」参加者たちの多くは時代の波に呑まれ、漫画家からの転職や廃業に追い込まれていった。
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中学時代の辰巳は、憧れの存在だった手塚治虫の自宅に招待された。「長編漫画を描きなさい」という“漫画の神様”のアドバイスに従う。
 辰巳ヨシヒロの短編集を読んで衝撃を受けたというエリック監督は、2008年に単行本化された『劇画漂流』を縦軸に、辰巳が1970年代に発表した5つの傑作短編を織り込みながら、96分の実録アニメーションに仕上げた。“神様”手塚治虫との震えるような出会い、弟・ヨシヒロに多大な影響を与えた兄・桜井昌一との愛憎劇、伝説のカルト誌『影』で腕を競い合ったさいとう・たかを、松本正彦との合宿生活……。それらの実話エピソードと5つの短編が絡み合うことで、それまで子ども向きとされていた漫画を大人の鑑賞に耐えうる劇画へと押し上げていった辰巳の苦渋多き道のりが浮かび上がる。  辰巳の迫力ある画風をそのまま生かしたシンプルなアニメーションが味わい深い。日本の高度成長期の雰囲気がうまく再現されている。5つの短編の中で辰巳の心情がより色濃く投影されているのは、後半に登場する「はいってます/OCCUPIED」だろう。子ども向きの作品をうまく描くことができず、連載打ち切りを出版社から言い渡される漫画家が主人公だ。連日の徹夜で体調を崩していた彼は、公衆トイレに駆け込み、胃の中で消化できずにいたものを嘔吐する。ふと顔を上げると、トイレの個室の壁は猥雑ならくがきで埋め尽くされていた。そこは誰にも知られずにこっそりと、でも描かずにはいられないという初期衝動がブチまけられた名もなき者たちのギャラリーだった。自分を見失っていた漫画家はエロらくがきの数々に魅了されていることに気づく。その個室では名もなき者たちの叫び声が聞こえてくる。その中には、漫画家になる夢が叶わなかった者たちの深いため息、商業ペースに付いて行けない漫画家の嗚咽と筆を折る音……、そんな声にならない声が混じっているような気がしてならない。次々と創刊される漫画誌、そしてテレビアニメーションというポップカルチャーが花開いていく賑やかな時代の中で、辰巳は陽の当たらない裏街道をさまよう人々を好んで描き続けた。
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エリック・クー監督と辰巳ヨシヒロ。「劇画というジャンルを確立した辰巳先生が日本でもっと知られることを願う」とエリック監督は語る。
 「まんだらけ」の季刊カタログで95年から2006年にわたって連載された原作コミック『劇画漂流』は本格的な劇画ブームが到来するものの、すでに劇画が形骸化してしまったことに主人公が怒りをあらわにするところで終わっているが、エリック監督は『TATSUMI』の中でその後の『劇画漂流』を辰巳に描かせている。辰巳の作品はますますディープさを増していく一方、発表する媒体は次第に限られていく。そんな中、仕事場にしていた喫茶店のウエイトレスと懇意になり、人生の伴侶とする。決して華やかではないが、自分の信じる道を歩き続ける辰巳。彼の作品は英語・フランス語・スペイン語・イタリア語・インドネシア語などに翻訳され、海外では手塚治虫と並ぶ高い評価を得ているという。世界的なポップカルチャーへと成長を遂げた日本の漫画産業だが、そこに至る道は“まんが道”だけでなかった。辰巳が切り開いた“劇画道”を含む、数多くの様々な道が連なっていたのだ。 (文=長野辰次)
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『TATSUMI マンガに革命を起こした男』 原作/辰巳ヨシヒロ 監督/エリック・クー 声の出演/別所哲也(一人六役)、辰巳ヨシヒロ 配給/スターサンズ 11月15日(土)より角川シネマ新宿ほか全国順次公開 (c)ZHAO WEI FILMS http://tatsumi-movie.jp

名作『転校生』へのオマージュに終わらない! “入れ替わり”ドラマ『さよなら私』のファンタジーとリアリティ

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NHKドラマ10『さよなら私』
「関わりたくない」 尾美としのりは、それまで「面白いなぁ」と読んでいた『さよなら私』の台本を途中でパタッと閉じて、そう思ったという。  NHKドラマ10『さよなら私』は、人気脚本家・岡田惠和が、40代女性の本音と真の友情を描くドラマだ。主演は永作博美と石田ゆり子。二人は学生時代からの親友だ。仕事のできる夫・洋介(藤木直人)と名門幼稚園に通う息子・健人(髙橋來)がいるという、誰もがうらやむ家庭で専業主婦をしている友美(永作博美)。映画プロデューサーとして第一線で活躍し、独身を貫く薫(石田ゆり子)。それぞれ対照的な生き方ゆえ、いつしか疎遠になっていた。  ある日、もう一人の親友である春子(佐藤仁美)から同窓会に誘われ再会し、二人の親密な時間が再び動き出す。だが、薫の何気ない一言で二人の関係に異変が起こる。それは、春子と友美がお互いの息子の話をしていたときだ。 「(息子が)友美の髪につかまって寝るんでしょ、かわいい」 「え? そんな話……私、したっけ?」  自分が話さなければ知るはずもない家族の話を、なぜか薫が知っている。疑念を抱いた友美は薫の後をつけると、その予感は的中する。薫は友美の夫・洋介と不倫をしていたのだ。  「うらやましかったんでしょ、私が。だから私から洋介を奪おうとしたんでしょ?」と詰め寄る友美に、薫は「あなたの旦那だから好きになったんじゃない。ひとりの男として好きなのよ」と反論し、なおも続ける。 「してないんだってね、子どもが生まれて以来。私とはしてるよ、会うたびに。楽しくセックスしてる」  激高した友美は薫と取っ組み合いのケンカになると、勢いあまって、二人は長い階段を転げ落ちてしまう。  どこかで見たシーンだ。そう、映画『転校生』のように階段から落ちた二人は、同じように心が入れ替わってしまうのだ。 「うわっ、入れ替わりもんか」  尾美が台本をパタッと閉じたのは、そのシーンを読んだときだ。それまでリアリティあふれる大人のドラマという装いだったのに突然、使い古された「入れ替わり」というモチーフが挿入されたのだ。  驚いたのは、視聴者も同じだ。SF的要素が入るなどという気配をまったく感じさせないまま訪れた急展開に、あっけにとられてしまった。言うまでもなく、尾美はそんな「入れ替わり」物語の元祖ともいえる大林宣彦監督の映画『転校生』の主演を務め、「入れ替わり」を経験している俳優だ。だから「1回入れ替わればいいですよね。もうあんまり関わりたくない」と笑うのだ。  入れ替わりシーンでは『転校生』へのオマージュが捧げられていたり、そもそも本作のタイトルが『転校生』の有名なセリフの引用だったりしているので、尾美のキャスティングも当然、それを踏まえたものだろう。本作で尾美は、春子の夫・光雄を演じている。彼もまた、冬子(谷村美月)と不倫している。  これまで、ドラマや映画で使われる「入れ替わり」ネタというのは、『転校生』に影響されてか、そのモチーフのおかしさと相まって、コメディタッチの軽い作品がほとんどだった。だが、本作は「大人同士が入れ替わったら、どうなってしまうか」を深刻に描いている。  たとえば、前述のように薫は友美の夫・洋介と不倫をしている。もちろん、友美と薫の心が入れ替わったことなど知る由もない洋介は、いつものように薫に会いに来て、いつものように彼女を抱こうとする。薫だと思って体を求める夫と、親友の体のまま、引き裂かれるような思いで友美はセックスをするのだ。  一方、薫は友美の息子に対し、次第に“母”としての愛情が芽生えてくる。けれど、どんなに愛情を注いでも、実際は自分の子ではないし、いずれ自分のものではなくなる。そんな当たり前で残酷な現実に、打ちのめされていくのだ。さらに、入れ替わる前に友美が受けたがん検診の結果が届けられる。それは「乳がん」の告知だった。 <もし、入れ替わったままセックスしたら?> <もし、入れ替わったまま死が訪れ(そうになっ)たら?>  これまで描かれていそうで描かれなかった「入れ替わり」物語の「もしも」を丁寧に描くと同時に、それ以上に注力されているのは、二人の40代の女性たちのリアリティあふれる生き方だ。「入れ替わり」というSF的ファンタジーでありながらリアリティを損なわないのは、それ以外の細部が徹底して描かれているからだ。そのひとつのファンタジーが、逆にそれ以外のリアリティを強調するように浮かび上がらせていく。それこそがファンタジーの力だ。  そして『さよなら私』というタイトルも、単に『転校生』からの引用ではない。彼女たちの友情、愛情、葛藤、嫉妬、苦悩を通して、さまざまな意味に入れ替わり、一人ひとりが生々しい存在感を持った、入れ替え不可能な人間ドラマに昇華されているのだ。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) 「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

「なんとかしてくれる」男、勝俣州和の3つの武器 『ダウンタウンDX』(10月23日&10月30日放送)ほかを徹底検証!

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勝俣州和プロフィール-ARTIST- YOUGO OFFICE
 勝俣州和。1965年3月12日生まれ。劇男一世風靡(一世風靡セピアの母体)を経て、欽ちゃんファミリーの一員として活動。アイドルグループ「CHA-CHA」、お笑いユニット「K2」を結成し、その後はバラエティ番組を中心に活躍している。職業は、タレント。トークバラエティ全盛期の今、共演者を選ばない名バイプレイヤーとして欠かすことができない存在である。  TBS『水曜日のダウンタウン』では、早くからこの勝俣州和のあり方に注目している。「勝俣州和のファン0人説」を提唱し、ファンが一人もいないにもかかわらず、これほどまでにテレビから必要とされるのはなぜか? あるいは「タレント」とは根本的にどのような存在なのか? という哲学的な問いまで、そこには見え隠れする。10月29日に放送された番組では、かなりの長尺とロケ時間を使って「勝俣州和の自伝が電車の網棚に置かれていても持って帰る人0人説」を検証。実際に勝俣州和の自伝は、電車の網棚に置かれたまま、鹿児島から長い旅路を経て、北海道までたどり着いてしまった。  だがこれは決して、勝俣州和の不人気や実力不足を示しているわけではない。同番組ではバラエティ制作者100人からアンケートを取り、「勝俣州和のココがすごい!」というランキングを発表した。結果は以下の通りである。 第5位:見た目が若い 第4位:清潔感がある 第3位:手を抜かない 第2位:リアクションがデカイ 第1位:なんとかしてくれる  そう、勝俣州和は、なんとかしてくれるのだ。どんな番組においても、どんな企画でも、どんな共演者が相手でも、最終的にはなんとかしてくれる。いわゆる「企画成立屋」としてのスキルが尋常ではない。では一体なぜ、勝俣州和だけがそれをできるのか? ここでは彼の持つ、3つの武器について語ってみたい。すなわち、<持ち上げ><キラーパス><オウム返し>の3つである。 <持ち上げ>  勝俣州和は基本的な主戦場がトークバラエティとなるため、大御所との共演の機会も多い。特定の派閥に属することなく、ダウンタウンやとんねるず、ウッチャンナンチャンなど第一線のお笑いコンビとフラットに共演を果たせるのも大きな魅力だが、TBS『アッコにおまかせ!』では和田アキ子と、朝日放送『朝だ!生です旅サラダ』では神田正輝と日々共演。この際の、大御所に対する<持ち上げ>の能力は抜群である。  特に『旅サラダ』での神田正輝への対応は見事だ。基本的にこの番組における神田正輝は、ところどころでしょうもないダジャレや親父ギャグを言うというキャラクターなのだが、ここで凡百のタレントであればいちいちツッコんだり、あるいはそこにかぶせてみたりと、進行の邪魔をしながらも自らの存在をアピールする。だが、勝俣州和はそうではない。神田正輝の口からダジャレが発せられたその瞬間、カラ笑いをするのだ。そこにはなんの感情もない。面白いから笑っているのではなく、神田正輝がダジャレを言ったから笑っている。  この、大御所に対する<持ち上げ>のセンスは半端ではない。テレビから勝俣州和のカラ笑いが聞こえたら、それは彼が今日もまた優秀な仕事をしている証明である。 <キラーパス>  勝俣州和は10月23日&10月30日に放送された『ダウンタウンDX』に、2週続けて出演している。これがすでに信頼されている証しなのだが、どちらの週でもしっかり結果を残している。というか、共演者に結果を残させている。これが彼の<キラーパス>という武器だ。  10月23日放送では、博多華丸・大吉と共演。勝俣州和はエピソードとして、以前雑誌の取材で鼎談した出来事を挙げる。「夏を乗り切る麺」という特集記事でトークは盛り上がったのだが、最後の最後で「好きな麺は?」と聞かれた大吉が「僕は年間通して食が細いので、わずかなそうめんがあればいいです」と答えたというエピソードを披露。また10月30日放送では、共演している和田アキ子の暴力的な悪行を暴露する。  ここで重要なのは、勝俣州和は自分が話すエピソードトークでシメない、という点だ。その場に共演者がいるということから、当然その共演者に話が振られる。自らがゴールを決めているのではなく、共演者のエピソードを語ることで<キラーパス>を送る。あとは共演者がゴールを決めるだけだ。日頃からさまざまな芸能人と交流を持っていて、その際に常に使えるネタを探している勝俣州和だからこそ、なせる業である。特にゲストが多数出演するトークバラエティではパスの応酬こそがすべてであり、勝俣州和が「なんとかしてくれる」と言われるゆえんはここにあるのだろう。 <オウム返し>  勝俣州和の武器で、最も威力を発揮するのが<オウム返し>である。10月23日の放送で、モーニング娘。'14のメンバーである鈴木香音が顔で果物のモノマネをしたときがまさに顕著だ。かわいい顔を思い切りひん曲げて、リンゴ、バナナ、ミカンの顔マネをする鈴木香音。普通のアイドルの変顔とはレベルが違うほどやり切るため、スタジオでは微妙な空気ながらも笑いは起こる。  アイドルが顔マネ、あるいはモノマネをする場合の定石としては、スカシもしくは強いツッコミにより、滑ったアイドルを誰かが救うというのがセオリーである。だが、スタジオは微妙に受けている。この場合の判断は難しい。どちらに転ぶのが正解なのかが分からないからだ。そこで浜田雅功はまず「ナイスファイツ!」と真顔で拍手をするのだが、ここで勝俣州和は「ナイスファイツ!」と、取りあえず浜田雅功のセリフを<オウム返し>する。つまりその後の判断を、MCに任せるのである。是非の評価は自分で下さず、その場のキープレイヤー、ここで言うと松本人志に委ねるのだ。  最終的に松本人志は笑いながら「そこまでできるとは思わなかったですよ」とコメントし、言わば「是」の評価を与える。その瞬間、勝俣州和は鈴木香音に対して「良かったね、褒められて」と言葉をかけ、「是」であることを視聴者に強調する。  勝俣州和の真骨頂は、ここにこそある。自らがしゃしゃり出ることなく、スタジオ全体の空気を読みながら、あるべき方向が見えたらそこで初めてオールを漕ぐ。トークバラエティという急流を、冷静に見つめて舵を切り、行くべきところで船を進める。勝俣州和は決して間違えない。だからこそ彼は、どんな場所でも、「なんとかしてくれる」のである。 【検証結果】  どんな番組においても、共演者を立てながら、確実に成立させる勝俣州和。その仕事のあり方は、まるで各球団を渡り歩く、フリーのバッティングピッチャーのようだ。バッターが望むボールを的確に投げるコントロール。球速を自在に操ることのできる地肩の強さ。そしてバッターとの間に築く信頼関係。彼は決して試合のマウンドに上がるエースではない。だが、優秀なバッティングピッチャーであるために、誰よりも多くブルペンで球を投げているのは、間違いなく勝俣州和その人だろう。 (文=相沢直) ●あいざわ・すなお 1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。 Twitterアカウントは @aizawaaa