2015年もテレビからは多くの番組やタレントが生まれたわけだが、印象に残っているのはお笑い芸人というより、むしろ他ジャンルからのニューカマーかもしれない。たとえば最近テレビで見かける有名人といえば、佐藤栞里や羽田圭介、あるいは藤田ニコルなど。新たなタレントが数多く発掘された年だといえるかもしれない。 そして昨年は、バラエティ番組においてもまた発掘の年だった。いわゆる素人発掘系の番組は『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)や少し毛色は違うが『有吉反省会』(日本テレビ系)など、少し前からひとつの流れとしてはあったが、昨年もその流れは続いた。10月に始まった『指原カイワイズ』(フジテレビ系)もそうだし、あるいは『しくじり先生』(テレビ朝日系)も取り上げているのはタレントではあるが、これまで見せてこなかった部分を見せるという意味では、発掘系の番組だといえるだろう。 その流れを踏まえて、昨年スタートした、あるいは昨年元気だった3つのバラエティ番組を挙げてみたい。いずれも発掘という要素を持ちながら、それぞれ強い個性を持つ番組であり、16年も要注目のバラエティだ。 ■『人生のパイセンTV』(フジテレビ系) 15年10月にレギュラー放送スタート。人からバカだと言われようが己のポリシーを貫き人生を謳歌している先輩のことを「パイセン」と呼び、たまにウザいけど一緒にいて楽しい愉快なパイセンたちを紹介する番組だ。これだけ聞くと、最近よくある素人発掘番組のようではあるが、対象者との距離感がほかの番組とはまったく違う。変わった人を見て笑うというのではなく、変わった人と一緒になって笑おうという、あまりにも近すぎる距離感が全編通して伝わってきて、底抜けかつ裸の楽しさが尋常ではない。 テロップや音など編集を駆使して「パイセン」の素敵さを伝えるVTRも見どころ満載だが、それを見るオードリー・若林正恭とベッキーがとにかく楽しそうなのも素敵だ。ほかの番組では見えない自然体の姿があり、ゲラゲラ笑いながらVTRにツッコむ若林もさることながら、一人ミュージカルという隠された秘技まで披露してしまうベッキーの姿が見られるのは、この番組ならでは。これまでのテレビの常識に捉われない、新たな息吹を感じることができる。 番組では登場する「パイセン」のことを「たまにウザいけど一緒にいて楽しい」と表現しているが、この番組もまさにそうだ。たまにウザいけど、一緒にいて楽しいバラエティ。日曜の夜に暗澹たる気分に陥っている人が見て、人生ってそう悪いもんじゃないかもしれない、と思える番組である。 ■『マツコ会議』(日本テレビ系) 15年10月スタート。もはや現代のテレビには欠かせない顔となったマツコ・デラックスだが、昨年4月に始まった『夜の巷を徘徊する』(テレビ朝日系)と並んで、マツコしか持ち得ない特性が存分に発揮された番組だ。毎回話題となっている場所と中継をつないで一般の方に話を聞いていくわけだが、この番組でのマツコ・デラックスはMCだけではなく、総合演出として出演している。 とにかく、中継先の相手へのマツコのツッコミの入れ方が絶妙。もちろん一般の方に対してツッコむ場面もあるのだが、その場合は決して過剰にひねったり悪く言うことなく、むしろ敬意を持って接している。強いツッコミを入れる相手は必ず中継先のディレクターであり、そのさじ加減が素晴らしい。一般の方を「素人」というように扱わず、むしろ「玄人」と呼ばれる側のディレクターが怒られる様子が新鮮であり、この番組をほかの番組と違う位置へと押し上げている。 『夜の巷を徘徊する』もそうだが、テレビとは限られた種類の人間だけが作るものではなく、むしろ土地から生まれるものだという信念すら感じられるほど。15年のマツコが密かに行っている挑戦とは、街頭テレビの時代への原点回帰であり、あるいは新たな形での萩本欽一的テレビの復権だといえるのかもしれない。 ■『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ系) 14年4月にスタートした番組だが、その勢いは昨年も止まらなかった。というかむしろ、ますます勢いを増しているといって少しも過言ではない。昨年で言うと「松本人志メキシコからきた謎のマスクマンとしてプロレス会場に登場してもバレない」説と「『結果発表』のコールが日本一上手いの浜田雅功」説は、15年以降のダウンタウン像を確かに発掘している。 あるいは、天龍源一郎のハスキーボイスや松野明美の大根っぷりなど、タレントの新たな側面の発掘や、大友康平を面白いという切り口で捉える手法など、とにかく新しいものが毎週のように発掘され続けている。どの回を見ても抜群に面白いという確変状態は止まる気配すらない。16年もまた、最注目のバラエティ番組だ。 以上、3つの番組は、発掘というだけにとどまらず、社会性をどこかに感じるという点でも共通している。テレビは小さなスタジオの中だけで作られるものではなく、むしろ世間の中にあるべきものだ。15年はテレビが狭いモニタの中から飛び出し、世間に向かって正しく対峙しようとする、その最初の年だったといえるかもしれない。 (文=相沢直) ●あいざわ・すなお 1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。 Twitterアカウントは @aizawaaa『人生のパイセンTV』フジテレビ
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韓国人サッカー選手の平均年俸はJリーグの7割程度!? “年俸公開”で選手流出が止らない!
サッカーの世界で、日本のライバルとされる韓国。その韓国のプロリーグであるKリーグが12月24日、Kリーグ各クラブの年俸総額と平均年俸を公開した。Kリーグは1部リーグに相当する「クラシック」(12チーム)と2部リーグに相当する「チャレンジ」(11チーム)の2部構成となっているが、2015年度Kリーグ・クラッシックの韓国人選手平均年俸(出場給、勝利給込み)は1億4,830万ウォン(約1,480万円)と発表された。 ちなみに、サッカー選手の金にまつわる情報サイト「サカマネ.net」によれば、15年度J1リーグの平均年俸は2,017万円。Kリーグの平均は日本よりもかなり低いことがわかるが、2部リーグに匹敵する「チャレンジ」はもっと低い。平均は4,945万ウォンである。 Kリーグは全クラブの内訳も公開しているが、選手年俸に最も金を使ったのは、リーグ連覇を成し遂げた全北現代(総額120億509万ウォン/平均3億3,347万ウォン)。年俸総額が最も低かったのは、チャレンジリーグの高陽FC(総額9億5,484万ウォン/平均3,410万ウォン)だという。Jリーグクラブのチーム平均人件費は15億600万円(14年度)といわれているが、Kリーグは優勝チームでも、日本の平均に届かない規模というわけだ。 「Kリーグでは選手年俸を非公開にしてきた。クラブ側が、内部事情の公表は選手の士気低下を招くとしたのが最大の理由。韓国ではプロ野球はもちろん、プロバスケットボールとプロバレーボールも年俸を公開しているにもかかわらず、サッカーだけは非公開が続いた。ただ、11年に発覚した八百長事件を機にKリーグでは透明化が求められ、13年から全クラブの選手年俸を公開するようになった。公開されたことによって、Kリーグの規模の小ささを嘆くファンも多い」(韓国のスポーツ紙記者) しかも、年俸の透明化は副作用も生んだという。というのも、年俸公開によってKリーグの選手が資金力のある中国リーグや中東リーグにどんどん引き抜かれているのだ。 例えば、10年リーグ得点王のユ・ビョンスは中東に、韓国代表のハ・デソン、パク・ジョンウらは中国リーグに引き抜かれた。今季開幕前には浦項のイ・ミョンジュがKリーグ歴代最高額となる50億ウォンの移籍金でUAEのアル・アインに引き抜かれ、去る12月には昨季Kリーグ・ヤングプレーヤー賞に輝いた浦項のキム・スンデ、元韓国代表の済州ユナイテッドのユン・ビッカラムなどが中国行きを表明してしまった。 行き先が自国よりもレベルが高いヨーロッパならともかく、同等もしくは格下と見なしてきた中東や中国への移籍は、アジア最強を自認してきた韓国からすると手放しで歓迎できないところがあるようで、韓国のサッカーファンたちの間では、「Kリーグは “セーリング・リーグ”に成り下がった」との嘆きが止まらないが、それも仕方がない。選手を引き抜きたい側にとっては、年俸情報は交渉時の格好の目安。よりよい好条件を求める選手がその誘惑に呼応するのは当然のことなのだ。最近は他国クラブが先に選手エージェントと年俸で合意してしまい、Kリーグのクラブが引き留めるのも難しくなっているようだ。 貧弱な年俸情報を公開したことで、逆にスター選手の引き抜きや流出が止まらないKリーグ。“マネーゲーム”で中国や中東、さらには日本のJリーグにもたち打ちできない韓国サッカーがこのまま凋落していく可能性は、決してゼロではないだろう。Kリーグ公式サイトより
2時間で6人の客を取る! 時速130kmの BMWで駆けつける「超高速デリヘル売春」が話題に
中国の売春事情は本サイトでもたびたび取り上げてきたが、今回摘発された売春グループは、より組織化&効率化されたグループだった。 「中国現代快報」(12月18日付)によると、南京市内で行われた大型売春グループの摘発で、30人以上が逮捕されたという。中でも話題となっているのが、このグループに在籍していた25歳の売春婦だ。当局が摘発前に、この売春婦に対して内偵調査を行っていたところ、市内にある家賃4,000元(約8万円)の高級マンションにひとり暮らしで、事務所からの連絡を受けると、愛車のBMWでホテルへ向かっていたからだ。 さらに当局を驚かせたのは、この女の仕事の“速さ”だ。ある日、女を尾行していると、夜12時ごろにBMWで高級ホテルへ向かい、入ってからわずか20分ほどで出てきた。すると、そのまま別のホテルへ向かい、また20分ほどで出てきた。この日、女は2時間で計6軒のホテルに立ち寄っていたのだ。車の移動速度は時速130kmを超えており、“超高速デリヘル売春”を行っていたとみられる。 この女が所属していた売春グループは、1回800~1,000元(約1万6,000~2万円)で客に性的サービスを提供していた。別の女の供述によると、売春婦は報酬として月13万元(約260万円)を受け取っていたことがわかっている。この仕事で200万元(約4,000万円)以上貯金していた猛者もいたという。 この売春グループがここまで売り上げを伸ばしていた背景には、グループの完全な組織化にあった。リーダー格の男(26)は、市内から遠く離れた江蘇省宿遷市内のマンションの一室に事務所を構え、30台の携帯電話と4台のパソコンを駆使して客を集めていた。11月23日、当局が男の事務所に突入すると、部屋の中にはこの男のほかに男女6名がおり、客からの電話応対をしていたという。この事務所で客からの電話を受け、南京の女たちに指示を出していたのだ。BMWに乗ってやってくる売春婦。体を売って買ったのだろうか?
これまでにない回転率の高いこの売春グループ摘発の報道を受け、中国版Twitter「微博」では、多くのネットユーザーからコメントが寄せられている。 「ひとり当たり十数分でイカせるなんて、名器に違いない! それか、早漏専門店なのか?」 「こんなに時間が短いってことは、シャワーも浴びずにやってるんだろうな。臭そう……」 「こいつらでもBMW乗ってるというのに、俺は電動スクーターかよ……」 「事務所で客を取り、売春婦が車で仕事に行くなんて素晴らしい連携プレーだ。時間是金銭(時は金なり)を、見事に体現している」 深セン市在住の日本人男性は、中国の風俗業界の変化について次のように語る。 「店舗型のヤミ風俗がほぼ壊滅状態となり、デリヘルなど派遣型が主流になりつつある。中でも、合理化された、日本の『援デリ』のような業務形態が人気を集めている。ネット上で客を取る部隊と、売春する部隊を分け、分刻みに派遣していくんです。これなら、携帯ひとつあれば誰でも商売が始められますし、店舗型のように地元役人や警察官に袖の下を渡して、対策する必要もない。中国風俗も、日本が来た道をたどっているような気がします。その規模は、100倍以上ですが(笑)」 景気が低迷していても、売春産業はまだまだ景気がいいようだ。 (文=青山大樹)事務所から押収された、大量のスマホ。これを使って、客と連絡を取っていたと思われる
山奥の村はサンタだらけ? 韓国「サンタ村」で、田舎ならではの人情に触れる
韓国の山奥にサンタ村が登場、といううわさを聞いて早速出かけてみた。しかしサンタって、北欧にいるんじゃなかったの? 北欧と韓国のコラボレーションとは、これいかに。 サンタ村のある「汾川(プンチョン)駅」は、朝鮮半島の東側、慶尚北道・奉花郡の山の中に存在し、ソウルから1日1往復出ている直行列車「O-train」を利用しても、片道4時間45分かかる。朝8時15分に出発するその列車に乗り込んだところ、乗務員のお姉さんがサンタの格好で乗客をお出迎え。飾り付けもBGMもクリスマス一色と、浮かれ気分の高い観光列車となっていた。O-train車内。こんなひとりクリスマス席は嫌だ
出発するなり、乗務員によるハンドベル演奏やクイズ大会が行われ、テンションの高さについていけない場面もややあったが、やがて車窓からの風景は穏やかな山村のものに。山と田んぼの間に民家が点在する、まさに韓国の田舎という素朴な景色が、どのように北欧っぽく変わっていくのかと思いきや、それは突然現れた。どーん
古い駅舎を強引にクリスマスっぽくデコレーションした、浮かれた建物が登場! これぞ、サンタ村の中心地・汾川駅である。表に回ってみると、サンタの実物大人形がこれでもかと配置され、サンタ村であることを主張する。下車した韓国人観光客たちは、写真撮影に大盛り上がりだ。いえーい
ぶおーん
駅前の広場には他にも記念撮影スポット、雪ぞりコーナー、サンタ部屋(?)、願いごとを貼る掲示板、お土産屋などがあったが、えっ、サンタ村ってまさかこれだけ? いや、さすがにそんなはずはない。駅前にはクリスマスツリーの並ぶ通りがあり、ここもサンタ村の一環らしい。プレゼントはどっちのつづら?
道沿いに並ぶ家々は平屋の韓国住宅であり、路上にてマッコリやおしるこやスルメ、特産品の山菜などが販売されている様子は、韓国の田舎の風景そのままだ。店頭にテラテラしたクリスマスデコレーションがどっさり施され、店のおばちゃんがサンタ帽をかぶっていても、北欧っぽさを演出するどころか逆に強烈な韓国っぽさを発揮している。もしやここはフィンランド……なわけない
めっちゃ韓国
そんな通りをほんの200メートルほど歩くと、ショベルカーがぐんぐん作業している広場が登場。ズッコズッコと大音量でポンチャックを流す特産品売り場の奥に、風車やサンタ像も見える。道はそこで終わりとなっており、角を曲がるとクリスマス気分は何もない素朴な山村が広がっていた。えっ、サンタ村ってまさかこれだけ? 駅舎に書かれていた説明によると、この小さな集落が「サンタ村」を名乗りだしたきっかけは2013年、マッターホルンの麓に位置するスイスのツェルマット駅と姉妹関係を結んだことにある。以降、14年から季節限定で「サンタ村」を運営、それまで1日10人も訪れなかった秘境駅に、年間15万人の観光客が訪れるように。生サンタも登場! 白髭つけないのが潔い
提携先はスイスということで、フィンランドの元祖サンタ村とは直接関係なさそうだが(一応、ツェルマット駅近郊にはザンクト・ニクラウスという、ドイツ語でサンタクロースを意味する村がある)、フィンランドならずともサンタ村は世界中にあり、北海道や青森にもサンタランドなるスポットがあるわけで、韓国の山奥にサンタ村があったところでなんの問題もないはずだ。 ちなみに、今年度のサンタ村の開業期間は12月19日から2月14日まで。クリスマス直前にようやくオープン、しかも2月までやっているというのは非常に韓国っぽいなと思う(韓国では、1月末までクリスマスの飾りを出しっぱなしにするお店が少なくない)。 次の町へと向かう列車を待ちながら、いま来た通りを再度ぶらり。サンタはともかく、露店で干し椎茸や山菜を物色したり、もうもうと立ち上がる湯気に誘われ屋台に立ち寄り、ゴボウ茶をいただいたりと、田舎町ののんびりした雰囲気をたっぷり味わう。通りの奥には整備途中の広場が
ドングリをゼリー状にした料理「ムク」も、郷土の名物のひとつ。素朴すぎる味わいのゼリーを、ご飯と一緒に食べる。 また、屋台でアルミの器に入ったマッコリを立ち飲みしていると、恰幅のいい村の青年が私にぐっと近寄り、口元に手を添えながら「失礼ですが……」とささやいた。宗教の勧誘かとぎょっとした私に、彼は丁寧な口調でこう言った。 「チャックがお開きのようですよ」。 それを聞いた私は恥かしさを感じるよりも、温かな気持ちで胸がいっぱいになった。見ず知らずの人にチャックの開き具合をわざわざ教えるなんて、都会では出会うことのない人情味ではないか。それは私にとって、まさにサンタからの贈り物だった。 (取材・文=清水2000)
「オレのほっぺにキスしてくれ!」スッチーの卵500人がキスマーク付きリンゴ販売
「CA500人がキスしたリンゴ、1個9.9元(約190円)!」 CAの制服を着た若い女性たちがリンゴにキスをする写真とともにネット上で販売が開始されたリンゴが、ネット民たちの注目を集めている。香港紙「東方日報」などが12月20日付で報じた。確かに、なかなかソソられる女の子のものはあるが……
1個9.9元のリンゴのほか、CAのキスマークが入ったカード付きのもの、花束や熊のぬいぐるみ付きといったセットもあり、値段は52~129元(約(約1,000~2,500円)まであるという。 実はこれ、四川西南航空職業学院の“スッチーの卵”たちによるチャリティ活動。収益は大学生たちの起業支援基金に回されるほか、四川省成都市の養老院にも寄付されるという。彼女たちが着ている制服は航空会社のものではなく、学校での実習用だったわけだ。乗客用のシートに座って、美脚を披露……。本物のCAPがやったら問題だ
同省にあるCA養成学校といえば、ほかにも学生たちを使ってニュースネタを提供してくれている。たとえば「中国スッチーの卵たちが制服姿で“セクシー”田植え」(参照記事)では、学生たちに制服姿で田植えをさせて話題を集めた。リンゴよりも、ついスカートの裾に目が……。短すぎないか!?
そんなわけで、今回のニュースにはネット民たちもややシラけ気味。 「リンゴじゃなくて、オレのほっぺにキスしてくれ!」 「本物のCAになってからやってくれたら、買ってもいい」 「皮をむいたら同じ。中国のリンゴなんて、農薬まみれで皮ごと食べる気がしないよ」 「起業支援基金っていったって、起業にいくらかかるのか知ってるのか? リンゴを売った程度じゃ、全然足らないぞ」 この手のニュース記事は、中国ではお手盛りのパブリシティであるのはお約束。その後の後追い記事でも、いかにも注文が殺到しているかのような写真が掲載されている。アイドル気取り?
さらにネット上では、本物のCAらしき人からの厳しいコメントも。 「CAの仕事はね、本当に大変なのよ。こんなおちゃらけたことをやってたら、CAという仕事をバカにしているということがわからないのかしら」 まあ学生たちも、おそらくは学校に言われてやっているだけのこと。ぜひともこの経験を生かして、立派なCAになってもらいたいものである。 (文=佐久間賢三)注文が殺到し、学校では、発送の準備に大忙しのようである
ヤクザのいない清潔な街は本当に居心地いいのか? 東海テレビのドキュメンタリー『ヤクザと憲法』
ヤクザには人権は認められないのか。日本国憲法にはすべての日本国民は基本的人権と平等が守られることが明示されているが、ヤクザには適用されないのか。2004年から2011年にかけて暴力団排除条例(暴排条例)が全国で施行され、ヤクザたちの生活は追い詰められている。暴排条例は社会から暴力団を締め出すことを目的としたもので、一般市民が暴力団と関わることも規制している。だが、そのために暴力団の構成員は銀行口座をつくれず、小学校に通う子どもの給食費を振り込むこともできない。子どもが通う幼稚園の行事に参加できないだけでなく、子どもまで幼稚園からの退園を余儀なくされた。そんな笑えない事態が生じている。ヤクザを排除してクリーンになった街は、本当に住み心地がよいのか。『男はつらいよ』でテキヤ稼業をしていた寅さんが転職を迫られる世の中は歓迎すべきものなのか。東海テレビ製作のドキュメンタリー『ヤクザと憲法』は、ヤクザたちの日常生活を通して日本国憲法の在り方を見直そうという野心的な作品となっている。 ヤクザを社会の害虫と決めつける前に、まずはヤクザの生態について理解してみよう。『ヤクザと憲法』を企画した東海テレビの土方宏史(ひじかた・こうじ、土は正しくは土に、)ディレクターはカメラマンを伴って、大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」の事務所を訪問する。何とも怖いもの知らずの土方ディレクターは、ドロップアウトした元高校球児たちの受け皿としてNPO法人のクラブチームを立ち上げた理事長が借金地獄に陥る姿を追ったおかしなドキュメンタリー『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(14)で監督デビューした、相当にユニークな人物だ。最初に「二代目清勇会」と取り決めが交わされる。1)取材謝礼金は支払わない。2)収録テープは事前に見せない。3)モザイクは原則かけない。組のトップが取材OKしたことで、暴力団事務所の隅々にまでカメラが入る。二階の事務所スペースには監視カメラのモニターが並び、若手組員たちが外部を見張っている。三階は“部屋住み”と呼ばれる若い衆たちの居住空間を兼ねており、広間の壁には「任・侠・道」という大きな筆文字が飾られている。きれいに整頓された部屋の本棚にはヤクザ関連のノンフィクション本などと一緒に、『犬と私の10の約束』や猫の図鑑なども並んでいる。ヤクザたちも、犬や猫といったかわいいいものに癒しを感じるらしい。 いかつい風貌の組員たちの中で、逆の意味で部屋住みのひとりの若者が目立っている。丸坊主頭の彼はまだ21歳。いまどき珍しいほどの純朴キャラで、ボランティア団体のほうが似合いそうな気がする。どうやら彼はあまりに純粋すぎて、学校生活で辛いめに遭い、自宅に引きこもっていた時期もあったようだ。そんな彼は昔ながらの義理と人情で生きる任侠の世界に憧れ、自分から志願して扉を叩いた。マジメだが器用ではない彼は先輩組員からドヤされることも少なくないが、それでも自分の居場所を見出そうと懸命にがんばっている。学校や家庭では得られなかったものが、確かにここにはあるのだ。大晦日の夜、ガランとした事務所で彼は、ソフト帽を被ったダンディーなオジキと一緒に日本酒を呑み交わす。このオジキは日本国籍を持っていない。若者はオジキから「滑舌が悪い」とたしなめられているが、若者はそんなやりとりさえも楽しげである。口うるさい親戚のオジさんと一緒に留守番を任された大家族の末っ子みたいに映る。ヤクザ組織とは社会からはみだしてしまった者たちが疑似家族化した集団であることを強く感じさせるシーンだ。反社会的勢力として括られる彼らだが、一人ひとりは温もりを欲している心寂しい人間であることが分かる。指定暴力団「二代目清勇会」の川口和秀会長が取材OKし、東海テレビの取材班は約半年にわたってヤクザの日常生活を密着取材することに成功した。
人気ビデオ映画『ミナミの帝王』シリーズの監修を務め、『悲しきヒットマン』(89)の原作者でもある山之内幸夫弁護士の事務所にもカメラは入る。山之内弁護士は日本最大の指定暴力団「山口組」の顧問弁護士だ。世間体や家族のことも考えて暴力団の顧問を引き受けることを悩みもしたが、社会から落ちこぼれた者たちにどうしようもなく惹かれてしまう。暴力団の顧問になったため、一般企業や団体からの依頼はほとんどなくなってしまった。食事はコンビニで買った質素な総菜類で済ます。暴力団のお抱え弁護士と聞けば贅沢三昧かと思いきや、想像とまるで違うことに驚く。ヤクザだけでなく、ヤクザに関わる人間への締め付けも厳しくなっている。 それにしてもヤクザの日常生活に密着したドキュメンタリーをつくるとは、東海テレビは懐が深い放送局だ。劇場公開された『平成ジレンマ』(11)はかつて体罰問題で世間を揺るがせた戸塚ヨットスクールが今でも引きこもりや家庭内暴力を振るう若者たちの最後の受け皿となっていることを描いた。土方ディレクターの前作『ホームレス理事長』も社会の落ちこぼれたちの受け皿づくりに熱心なのは社会から浮いた変人であることを明るみにした。本作もまた、ヤクザ組織は社会のはみだし者たちの数少ない居場所であり、その居場所さえも奪われつつあることを伝えている。 土方「東海テレビの伝統に沿ったドキュメンタリーを狙って企画した作品ではないんです。プロデューサーの阿武野勝彦が『取材対象に制限なし』と言うので、東海テレビでしか撮れないものをと考えて出てきた企画です。言ってみれば、僕自身が局内での落ちこぼれ。入社時は東海テレビの花形部署だった昼ドラの製作部に配属されていたんですが、1年で出されました(苦笑)。その後は報道部で遊軍記者をやっていたんです。阿武野自身が元はアナウンサーでしたが、異動で報道部に配属された。局内の流れ者たちが集まっているのが東海テレビのドキュメンタリー班なんです(笑)。束ねる立場にある阿武野にしてみれば、『お前らなら、社会の底辺にいる人たちの心情も分かるだろう』ということじゃないですか。テレビ局に入社したものの、いろんな規制があって思うような表現ができない。今のテレビマンたちのそんな鬱屈とした想いが、『自由に撮っていい』と言われて溢れ出し、世間から虐げられている存在を追っているのかもしれませんね」組員による組の説明。親分(親)、舎弟(叔父)、若頭(長男)、若中(子ども)……とヤクザ組織は疑似家族であることが分かる。
通常のドキュメンタリーは被写体とどれだけ距離を縮めることができるかが成否の鍵となるが、『ヤクザと憲法』はそれとは違う難しさがあったと土方ディレクターは語る。 土方「ヤクザと利益供与する関係になると、暴排条例に抵触し、逮捕される恐れがあるわけです。取材ディレクターが逮捕されては番組がオンエアできなくなりますから、その点は配慮しました。例えば、『タコ焼き、食べへんか?』『車で送ってあげるよ』と言われたときは躊躇しました。ヤクザに便宜を図ってもらったことで、ひょっとして逮捕されるんじゃないかと。断り続けていると『人の親切を無駄にするのか?』『差別だ』とも言われました。『俺がおごるタコ焼きが食べられないのなら、人間として俺は思われていないんやな』とも。今回の取材は被写体とあまり親しくなり過ぎないよう、一定の距離を保つことに神経を使いましたね」 結局、タコ焼きの一件は、割り勘にすることで納得してもらったそうだ。組同士の抗争時や事件のとき以外はカメラやマイクを向けられることのない彼らにとって、今回の取材は自分たちの心情を吐露できる数少ない機会だった。とは言っても、『ヤクザと憲法』は暴力団を擁護しているわけではない。「二代目清勇会」の親分である川口和秀会長は、山口組との抗争で女性従業員を巻き添え死させた「キャッツアイ事件」に関わったとして殺人罪などで起訴され、15年の実刑判決を受けた身であることにも言及している。「二代目清勇会」は武闘派として鳴らしたヤクザ組織なのだ。人間臭さを感じさせる表の顔とは異なる裏の顔もあることが分かる。組のシノギの実態に迫ろうとカメラは何度か試みるが、その部分は決して立ち入ることはできない。一般社会との大きな溝はどうしようもなく存在する。 本作の主眼は、ヤクザの目線を通して、日本国憲法と日本社会の現状を見つめ直そうというものだ。社会から締め出されたヤクザたちはどこへ向かうのか。ヤクザがいなくなった街で権勢を強めていくのは誰なのか。浄化された社会では新たな差別の対象が生まれてくるのではないか。ヤクザたちの日常生活に触れることで、社会の浄化や治安保持のためにこの国が大きく変容しつつあることが体感できる。 (文=長野辰次)銀行口座がつくれない、保険に加入できない、車のローンも組めない。暴排条例が施行され、ヤクザは社会からますます孤立した存在となっている。
『ヤクザと憲法』 プロデューサー/阿武野勝彦 監督/土方宏史 撮影/中根芳樹 法律監修/安田好弘 製作・配給/東海テレビ 配給協力/東風 2016年1月2日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー (c)東海テレビhttp://www.893-kenpou.com
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中高生80人に無理やり深夜バイトさせてバイト代を搾取! 韓国“絶対逆らえない”上下関係
儒教の思想が今も色濃く残る韓国において、上下関係の厳しさは相当なものだ。先輩が後輩の面倒を見る、というと聞こえもいいが、行き過ぎた上下関係はさまざまな弊害も生んでいる。 過去には、卒業式に後輩たちを無理やり裸にする“裸集会” (参照記事1)や、大学内での軍事行動(参照記事2)の強要など、社会的な問題にも発展している。そんな韓国で、より悪質な上下関係の強要が発覚した。 12月中旬、韓国大田(テジョン)市内で、10代の青少年22人が徒党を組んで、多くの後輩を無理やり深夜アルバイトに派遣。そのバイト代を搾取するという、組織的な犯行が行われていた。 主犯格である3人の青年は、無許可の職業案内所を運営するブローカーと手を組み、同格の仲間を増やしながら、後輩たちを強制的に現場に送り続けた。バイトを強要された中高校生は、わかっている限りでも80人にも及ぶという。 さらにタチが悪いのは、被害に遭った学生の中には、自分より下の後輩をバイトさせて、先輩に一定の上納金を納めながら自らの利益を確保する者までいたこと。まるで悪質なネズミ講だ。 韓国警察や労働庁は、事件の沈静化に努めるつもりだが、“上下関係”がネックとなり、被害者が名乗り出にくいため、完全な根絶は難しいとみている。また、20校以上の学校から被害者が出ていることから、全国的な流行も懸念されている。 一方、上下関係の強要は、10代や学生だけの問題ではない。12月24日には、30人以上の後輩を脅して金品を奪い取っていた22歳のキム容疑者とほか2人が逮捕されている。 キム容疑者は、同じ町内に住む後輩を工事現場に無理やり連れ込んで脅すと、新たに携帯電話を契約させて、後に転売するという行為を繰り返していた容疑がかけられている。 携帯を転売された後輩たちは、料金支払いが滞れば、キム容疑者から報復を受けるかもしれないという恐怖心から、使っていない携帯代金を支払い続けていたというのだ。警察はキム容疑者たちの余罪を調べながら、携帯を買い取った業者への調査を開始している。 先達として後輩を導くのが先輩の役割であり、長幼の序を尊ぶ文化は悪いことではないだろう。しかし、いくら良い文化も、誤った使い方をしてしまえば大問題だ。韓国では一度、正しい上下関係を見直す時期に来ているのかもしれない。イメージ画像(「Thinkstock」より)
13歳の少女も餌食に……中国農村・知的障害の女性を誘拐し、「産む機械」として売買
年間数十万人ともいわれる乳幼児や児童が被害者となっている中国の誘拐事件に、新たなターゲットが加わりつつある。最近の中国の地方都市で、知的障害を持つ女性が連れ去られる事件が相次いで起こっているのだ。 12月24日付の「東網」によると、四川省遂寧市で、省をまたいで知的障害者の女性らを誘拐していたグループが摘発され、主犯の2人と共犯者5人が逮捕されていたことがわかった。 警察の調べによるとこの誘拐グループは、四川で知的障害を持つ女性を誘拐すると、中国東部の山東省まで拉致。嫁不足に悩む農村の男性らに販売していた。売られた女性は、その農家で子どもを産むための“機械”として使われていたという。 この誘拐グループが逮捕されたことにより、山東省と河南省にあった彼らのアジトで囚われていた11名の女性が無事に救助された。彼女たちの中には未成年も2人含まれ、最年少はなんと13歳だったという。 事件の背景には、深刻な「男余り」がある。 1979年から36年間にわたって実施されてきた「一人っ子政策」により、大幅な人口増が抑制された一方、その弊害として中国では急激な少子高齢化が進んだ。そしてもうひとつの大きな副作用として挙げられるのが、人口の男女比の偏り。中国では男児偏重社会のもと、男性の数が女性の数に比べて異様に多くなってしまっているのだ。誘拐グループによる幽閉から無事に救出されて家に戻った女性
そのため、中国の国家統計局のデータによると、2014年の中国の人口の男女構成比では、男性が女性より3,376万人も多い。つまりこれは、日本でいえば東京都と神奈川県、埼玉県の総人口(約3,000万人)を上回る数となる。 こうした中、結婚相手を見つけられない男たちの間で、「産む機械」の需要が存在するというわけだ。 事件の主犯格の2人はその後、執行猶予付きの死刑判決、それ以外の5人は懲役1年から13年の判決を受けている。 経済が発展して近代化が進んだ現在の中国でも、我々のうかがい知れない闇がまだ数多く潜んでいることは間違いないだろう。 (文=佐久間賢三)警察に逮捕された誘拐グループの一員
老人・外国人・異性を叩きまくり!? 韓国ネット上で差別発言が止らない!
韓国のネット上ではここ数年の間、老人や外国人、そして女性を差別、蔑視するヘイト表現が顕著に増え始めている。今月、放送通信委員会がその実態を調べた資料を公開した。 同委員会が削除を要請したコンテンツおよび停止を求めたアカウント数は、2013年に622件、14年に705件、15年に833件と、毎年10%以上増加。今年に限っていえば、前年比18.2%増となった。これらはあくまで、取り締まりが必要なほど悪質なものの数にすぎない。実際には、ニュースのコメント欄や掲示板、SNS上などあらゆる場所で差別的な書き込みを目にすることができる。 ネット上の差別発言を問題視している同委員会は、削除した発言の中身も公表した。例えば、老人に対して「老いたら死ぬべき」「家にひきこもって死を待て」など露骨な差別発言が増えたとしており、外国人に対しては「平均的な人間性が禁輸レベル」「ゴキブリ種族」など、特定の国の人々を蔑視する書き込みが少なくないと指摘。今後、差別発言を繰り返すコミュニティーサイトに対しては、継続的な監視と厳重な是正措置を取るとしている。 老人や外国人への差別発言もさることながら、今年、韓国社会で特に問題となったのは女性を差別する書き込みが急激に増えたことだ。韓国女性政策研究院の調べでは、NAVER、NATE、Daumなど、韓国のポータルサイトのニュースに書き込まれたコメント8万件のうち、2,267件が性差別的な内容で、その80%近くが女性を蔑視したものだったという。 韓国のネット上では、キムチ女(韓国人女性の蔑称)、上場廃止女(結婚市場から追い出された女)、Mom蟲(主婦の蔑称)、キム女史(運転のヘタな女性)など、女性を蔑視する言葉が次々と生まれている。また、女性の私生活を盗撮し、ネット上で公開するなど犯罪まがいの行為が流行しつつある。なぜ韓国では、時代と逆行するような女性蔑視現象が蔓延し始めているのだろうか? 韓国ネット問題に詳しい記者は話す。 「長らく男尊女卑の文化が染みついていた韓国ですが、ここ数年は、女性の社会進出が増え、立場も権利も“向上”しつつあります。しかしそれは、男性より女性の権利が強くなったということではなく、あくまで普通の国になりつつあるという意味。そんな当然のことですら疎ましく思い、女性の一挙手一投足に不満をぶつける男性が増えてきたということではないでしょうか」 そんな書き込みに業を煮やしたのか、最近では韓国人男性を“逆差別”する韓国人女性の言動も目立ってきた。女性会員が多い掲示板では、「韓国人の男の半分は買春蟲」「韓男蟲、性欲とチンコの大きさは反比例」など男性を蔑視する差別的な書き込みが随所で見受けられる。それら書き込みを行った女性ユーザーたちは、自分たちに向けられた差別を「男性にそのまま返す」という明確な意思を表明しており、“女性嫌悪”現象がなくならない限り、“男性差別”を続けるとしている。 また、女性を盗撮した動画が頻繁にアップロードされている大型掲示板「ソラネット」の撲滅を目指す謎の女性組織も登場。「メガリア」と呼ばれるその女性組織は、覆面をつけテレビなどにも出演し、リアル社会で女性差別と徹底抗戦すると表明し始めた。 ネットの性質として悪質な発言が増殖しやすいという特性はあるものの、韓国のそれは年々悪い方向に向かっている。特に性差別の応酬はしばらく続きそうで、来年はさらに泥沼化するのではないかと懸念する専門家やメディアも少なくないようだ。 (取材・文=河鐘基)イメージ画像(「Thinkstock」より)
中流日本人の年収も超えた! 年収400万円稼ぐ、中国農村出稼ぎ民が売っているものとは
中国東部の山東省にある臨沂市の郊外にある小さな村・油簍には、2階建ての家が36棟もあり、マンションも4棟ある。これだけでも農村としてはかなり珍しいが、それだけではない。BMWやベンツ、マセラティなどの高級車も並んでいる。このあたりでは年収20数万元(約400万円)の世帯など当たり前。この金額は、農民にしてはかなり高額。上海の一般的なホワイトカラーの年収よりも高いのは当然として、日本人の男性労働者の年収のボリュームゾーン(300~400万円台)に迫っているのだ(国税庁「平成26年民間給与実態統計調査結果」より)。 いったい、彼らの収入はどこから来ているのか? 山東省のテレビ局のニュースが伝えたところによると、それは彼らが作る「煎餅(ジェンビン)」にあった。油簍村に並ぶ一戸建て住宅
煎餅といっても日本の煎餅とはまったく違ったもので、煎餅というよりもクレープに近く、中国ではよく食べられている朝食のひとつである。一般的に朝食は外で買って食べることが多く、中国一の大都会・上海でも、朝方になると街角のあちこちで煎餅を作って売っている屋台を見ることができる。 丸い鉄板の上に小麦粉を溶いたものを薄く敷いて焼き、生卵や青ネギのみじん切り、油条(中国式揚げパン)などを乗せ、クレープのように巻き上げて半分に切ったら、その上にソースを塗って完成。注文してから2分ほどで出来上がる。ひとつ4~5元(100円弱)。それをビニール袋などに入れて、歩きながら食べたり、会社に着いてから食べたりするのが一般的だ。 さて臨沂市であるが、ここは『三国志』に出てくる諸葛孔明の出身地としてよく知られているのだが、実はこの煎餅の発祥地ともされている。その臨沂市にある油簍村の農民たちが、上海に出て地元名物の煎餅を作って売り、大儲けしているというわけだ。熱い鉄板の上で、あっという間に作り上げられていく。たまに食べるぶんにはおいしい
一説には、上海全体にある煎餅の屋台のうちの9割は、油簍村出身の農民が経営しているのだという。しかもその中には、不動産価格が高騰している上海ですでに家を買った人が10人以上もいるのだという。これはソーセージ入りの豪華版
煎餅売りは、それほど儲かる商売なのか? ひとつ5元の煎餅の材料費は約1元。一家で3つの屋台を持っている家族などは、1日に600個は売り上げ、利益は1カ月で、7万2,000元(約137万円)、1年だと86万4,000元(約1,640万円)。そこから3つの屋台の毎月の家賃計1万元を引いても、年収は約75万元(1,425万円)にもなる。一家全体の年収が1,400万円以上というのは、高収入の人が多い上海でさえかなりのものである。 あまり清潔とはいえない屋台で、粗末な服を着て煎餅を作っている出稼ぎ農民。ところが実は、彼らから煎餅を買っているホワイトカラーたちよりも、ずっと金持ちだったというわけだ。人は見かけによらぬもの。中国の出稼ぎ農民たちも、なかなか侮れない。 (文=佐久間賢三)狭い店舗で開業でき、設備も簡単なものなので、コストは安い































