3月3日、愛知県警はダークウェブで銀行口座を売ろうとしていた男性を逮捕したと報じられた。以前、「>ありとあらゆるダークサイト情報が満載! 賢い『ディープウェブ』の歩き方」で取り上げたダークウェブの注目度が上がっているようだ。まずは、軽くダークウェブのことをおさらいしてみよう。 現在、一般的に使われているインターネットは「サーフェス(表層)ウェブ」と呼ばれ、ネットのごく一部なのだ。Googleなどのサーチエンジンが巡回してインデックスを作り、ユーザーは検索してウェブサイトにアクセスできる。そのほかの大部分を占めるのが「ディープ(深層)ウェブ」。検索エンジンからはアクセスできないデータベースなどが大半を占める。「ダークウェブ」とはディープウェブの中で、ユーザーが情報やコンテンツを交換、販売するサイト群のことを指す。 ダークウェブは通信経路を暗号化しており、捜査機関でもユーザーの情報を特定できないとされている。そのため、ありとあらゆる違法コンテンツがダークウェブ上にあふれ返った。もちろん、営利目的のサイトがほとんどだが、ビットコインを使っているので、こちらも匿名で取引できると思われている。 調査目的で、日々さまざまなダークウェブサイトを巡回しているが、想像を絶する無法地帯だ。麻薬から拳銃、ウイルスからウイルス作成ツールまで、しっかりとしたショップページで購入できる。もちろん、日本から購入しても税関で発見され、購入者は逮捕される。この種のニュースは定期的に出るのでご存じだろう。 問題は、日本国内で取引できる違法コンテンツだ。数少ない日本語のダークウェブ掲示板では、薬物売買のスレッドが数え切れないくらい乱立している。少数だが、冒頭で紹介したような銀行口座の販売もされている。当たり前だが、警察はばっちりチェックしているので、くれぐれも手を出さないように。 ダークウェブを使っていれば逮捕されることはない、という間違った知識で無茶をするユーザーがいるが、しょっちゅう逮捕者が出ていることから学ぶべき。しっかり暗号化された環境からアクセスしないと、匿名性は担保されない。情弱が適当にダウンロードしたアプリを使い、自分名義のスマホからアクセスするのでは「捕まえてください」と言っているようなもの。ビットコインの送受信やブツの授受、携帯電話番号やメアドなどの連絡手段からも身バレする可能性はある。 もちろん、ダークウェブすべてが悪ではない。Facebookも、ダークウェブ版のサイトを用意している。政府の検閲下にあっても、アクセスできるようにするためだ。とはいえ、日本では必要ない。 ダークウェブにアクセスする情報は日本語のウェブサイトでも見つかるが、くれぐれも気軽に手を出さないこと。見るだけならともかく、何かを購入したり、物々交換をしてはならないことは肝に銘じておいてほしい。 (文=柳谷智宣)「アルファベイマーケット」という、ダークウェブ上のショッピングサイト。
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韓国・泥酔大学生が車19台を次々と破壊! でも、本人は「覚えてない……」
3月13日、長崎県内で頻発する車上荒らし犯が、警察のおとり捜査に引っかかり、まんまと逮捕されたというニュースが伝えられたが、お隣・韓国でも似たような事件が起きている。 同17日、光州(クァンジュ)市を中心に車上荒らしを繰り返してきたウィ容疑者(41)が逮捕された。彼は2月1日から3月10日までの間、光州市一帯の駐車場を渡り歩き、20台の車両の窓を割って、518万ウォン(約50万円)を盗んだ連続窃盗犯だ。 取り調べに対し、ウィ容疑者は生活費を工面するために犯行に及んだと供述しているが、他人の金を奪うという発想が第一に浮かぶところが実に情けない。 誰もいない車両を狙った犯行は、車上荒らしだけではない。同13日には、人けのない早朝の住宅街で、19台の車が破壊されるという事件も起きている。 事件の舞台となったのは早朝4時の春川(チュンチョン)市内の住宅街。人通りのない朝の道路に、見るからに泥酔した様子の男が現れ、いきなり駐車している車の屋根によじ登ると、まるでトランポリンのように飛び跳ねるなどの奇行を始めた。 もちろん、男の暴挙はこれだけでは終わらない。彼はフロントガラスを親の敵のように踏みつけたり、サイドミラーを豪快に蹴り飛ばしたりするなどの破壊行為を、およそ20分間にわたって繰り返した。 当然、いくら早朝とはいえガラスを割る音などは響き、警察に通報された。その場では男は逃げ切るのだが、周辺の監視カメラに映った映像から、すぐに身元が割り出された。こうして、同日の午前8時30分、大学生のキム容疑者(26)が逮捕された。 キム容疑者は警察署内で犯行映像を確認すると「酒を飲んで酔っ払い、気がつくと自宅で寝ていた。どうやって帰ったのか覚えていない」と、自身の奇行にショックを受けながらも、犯行を認めた。しかし、彼が凶行に走った理由は、韓国ネット民の同情を誘っている。 実は最近、キム容疑者は両親の離婚や恋人との破局などが重なり、重度のストレスを抱えていたというのだ。事件当日もヤケ酒をあおった結果、蛮行に及んでしまったという。とはいえ、決して許される行為ではない。 結局、キム容疑者はこの事件でストレスを晴らすどころか、器物損壊容疑で前科がつき、罰金の支払いを抱えるなど、踏んだり蹴ったりの結末を迎えた。 韓国では、おちおち駐車もできないようだ。早朝の住宅街で、19台の車を破壊したキム容疑者
手術中に突然「値上げ宣告」、承服しない患者には暴行!? 中国“悪徳医師”が怖すぎる
「医は仁術」というものの、病院で診察を受けるために整理番号を受け取るのにも金がかかる中国では、まさに「医は算術」の状況にある。 そんな中、驚くべき映像がテレビ番組で流された。手術台の前で、文句を言う患者をにらみつける女性医師
医師が患者を叩こうと腕を振り上げているのが見える
場所は、中国北部の内モンゴル自治区の省都フフホト市の病院。産婦人科の手術の最中、手術台に寝そべっている患者と女性医師が激しく口論している。激高した医師は、点滴用の輸液袋で患者の足を叩いたり、足を抱えてねじ曲げたりしている。患者のほうはなすすべもなく大声でわめくばかり。いったい何が起こったのか? 報道によると、手術中に医師が突然、手術料の値上げを宣告。それを承服せずに文句を言った患者に対し、医師が暴力を振るったというのだ。この病院は処罰を受けたが、同様の例は、ほかの病院でも日常茶飯事だという。 これを見たネット民たちは、この医師の行為に、驚くやらあきれるやら。中国版Twitter「微博」には、「医師はテロリストよりも恐ろしい」「オレが手術を受けた時なんか、途中で医師はスマホをいじり始めたぞ……」といった書き込みが寄せられている。 「まな板の鯉」である手術台の上の患者に対し、手術料の値上げを力で承服させるという、ボッタクリ風俗店のタケノコ剥ぎにも劣る手口が横行している状況について、中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏はこう話す。 「最近では、ネット上の口コミなどにより、人気のある医師とそうでない医師の差が歴然としている。人気のない医師は患者からの袖の下も受け取れず、収入減にあえいでおり、こうしたボッタクリに手を染める者もいる」 中国の患者は、病魔と悪徳医師、両方と闘わなければならないのである。 (取材・文=佐久間賢三)さらに足をねじ上げる
手術中に突然「値上げ宣告」、承服しない患者には暴行!? 中国“悪徳医師”が怖すぎる
「医は仁術」というものの、病院で診察を受けるために整理番号を受け取るのにも金がかかる中国では、まさに「医は算術」の状況にある。 そんな中、驚くべき映像がテレビ番組で流された。手術台の前で、文句を言う患者をにらみつける女性医師
医師が患者を叩こうと腕を振り上げているのが見える
場所は、中国北部の内モンゴル自治区の省都フフホト市の病院。産婦人科の手術の最中、手術台に寝そべっている患者と女性医師が激しく口論している。激高した医師は、点滴用の輸液袋で患者の足を叩いたり、足を抱えてねじ曲げたりしている。患者のほうはなすすべもなく大声でわめくばかり。いったい何が起こったのか? 報道によると、手術中に医師が突然、手術料の値上げを宣告。それを承服せずに文句を言った患者に対し、医師が暴力を振るったというのだ。この病院は処罰を受けたが、同様の例は、ほかの病院でも日常茶飯事だという。 これを見たネット民たちは、この医師の行為に、驚くやらあきれるやら。中国版Twitter「微博」には、「医師はテロリストよりも恐ろしい」「オレが手術を受けた時なんか、途中で医師はスマホをいじり始めたぞ……」といった書き込みが寄せられている。 「まな板の鯉」である手術台の上の患者に対し、手術料の値上げを力で承服させるという、ボッタクリ風俗店のタケノコ剥ぎにも劣る手口が横行している状況について、中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏はこう話す。 「最近では、ネット上の口コミなどにより、人気のある医師とそうでない医師の差が歴然としている。人気のない医師は患者からの袖の下も受け取れず、収入減にあえいでおり、こうしたボッタクリに手を染める者もいる」 中国の患者は、病魔と悪徳医師、両方と闘わなければならないのである。 (取材・文=佐久間賢三)さらに足をねじ上げる
事務所の“猛烈”ゴリ押しが裏目に……元KARAジヨンに、韓国からもブーイング
元KARAの知英(ジヨン)が主演する映画『片想いスパイラル』に、韓国人の期待が高まっている。 韓国では以前、ドラマ『民王』(テレビ朝日系)で日本人役を務めたことが問題となってバッシングを受けたこともある彼女だが、今回の映画では性同一性障害の韓国人留学生役を演じる。先日公開された彼女の男装姿には、「正直、今まで変な役ばかりやっていたけど、この役はちょっと期待できるかも」「とにかくイケメンすぎてビックリ!」「最近、映画やミュージカルで次々と主演を任されているな」といった声が上がっている。 映画『暗殺教室』や、ドラマ『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~』(日本テレビ系)でのセクシー路線とは違う美男子イメージは、韓国でも好評のようだ。 しかし、期待が高まっているとはいえ、今も相変わらず彼女の日本活動については批判の声のほうが多い。韓国の芸能関係者は語る。 「KARA時代とは打って変わって、安っぽいイメージに、韓国のファンからは『見ていられない』という声が相次いでいます。また、先日はラジオ番組で、KARAの代名詞でもあるヒップダンスが実は苦手だったと告白。K-POPとの決別とも取れる発言をしておきながら、『ヒガンバナ』では謎の歌手“JY”として主題歌を歌うなど、一貫性のない彼女に対して『もう韓国に帰ってくるな』という厳しい意見もあります。どちらにせよ、現在の活躍は事務所によるゴリ押しの賜物なので、日本人に飽きられるのも時間の問題でしょう」 また、ユンソナの事例を挙げながら、話を続ける。 「過去に日本で活躍した韓国人タレントとしてはユンソナが知られていますが、彼女は韓国で『歪曲された日本の歴史教育に傷つき、苦しみました』などと語り、これが原因で一気に日本のファンが離れました。また、そのユンソナの紹介で日本進出を果たしたお笑いタレントのヘリョンも、韓国のお国事情や芸能界の裏話をネタに一時はバラエティ番組で人気を博しましたが、韓国で発表した日本語練習ソングが韓国国内で物議を醸すと、日本での活動中止を宣言。その後、韓国では一転、反日タレントに成り下がりました。日本である程度成功したタレントは、韓国では反日スタンスを打ち出さないと生き残れないという面もあります」 日本でも、ジヨンのゴリ押しっぷりには非難の声が上がっており、まさに四面楚歌状態。果たしてジヨンは今後、どこへ向かっていくのだろうか? (文=李ハナ)『知英フォトブック Grow Up!』(マガジンハウス)
北京の集合住宅で“盗聴器”が大量発見!? 当局による監視活動の可能性も……
全国人民代表大会(全人代)の会期中、厳戒態勢が敷かれていた北京市の住宅地で、謎の電子機器が多数発見され、住民らに不安が広がっている。 「北京晨報」によると3月11日、同市朝陽区東垻郷にあるマンションの廊下で、直径約4センチ、厚さ約1センチの円形の白い物体を、夜間巡回していた保安員が発見。不審に思い、すべてのフロアを調べたところ、各階にそれぞれ同様の物体が1個もしくは2個、設置されていた。問題の物体を分解すると、内部からは電子回路が……
白色のプラスチック製の外枠を外すと、電子部品や電子回路が内蔵されており、バーコードや型番なども書かれていたという。 また、時を同じくして隣接する複数のマンションでも、同じ機器が多数発見されている。そのほとんどは、電線や排水管、火災用スプリンクラーの配管の裏など、人目につかない場所に設置されていた。1棟だけで500個の物体が発見されたマンションもあった。 周辺住民らの多くは、この機器が盗聴器であること確信し、北京市警察に調査を依頼した。ところが警察は、「周辺の携帯電話に各種情報を発信する電子販促機器」と説明し、住民らの疑念の声を一蹴したのだった。大量に回収された謎の装置
しかし、どこの誰が設置したものなのか、現在のところ明らかにされていない。そもそも、そんな機器を住民や管理会社に無断で設置すること自体、違法性が高い。さらに、設置数の多さにも異常性を感じずにはいられない……。 発見されたのが、折しも全人代の真っただ中だったことも気になる。周辺に住む民主化活動家や人権派弁護士をマークするために当局が設置したもの……というのも、あり得る話だ。 5年ほど前、大規模な再開発がスタートした東垻郷では、小学校の廃校反対などの住民運動が行われ、さらに同地に新しく建設されたマンションが「暴利をむさぼっている」として批判にさらされたこともある、いわくつきのエリアでもある。 中国版Twitter「微博」上では、この機器を分解した画像などから「iBeacon発信機ではないか」と指摘する声もある。 アップル社が商標を持つiBeaconは、信号の送受信によりスマホの位置を特定することができる屋内測位システムだ。実際、店舗に発信機を設置し、来店した顧客へのポイントの付与など、販促機器としても利用されている。 だからといって、集合住宅に大量に設置する意図はやはり不明。身震いを禁じ得ない不気味な事件である。大きさや質感は、まるでゴキブリ駆除剤のよう。いずれも人目につかぬように設置されていた
韓国人はデマにひっかかりやすい!? 韓国社会に蔓延する“SNS迷信”
韓国人は、伝統的にウワサに流されやすい人々だといわれている。よくいえば、他人の話をすぐに信頼し、物事を疑わない国民性だといえる。韓国で商品を売る際には、テレビやラジオなどマスメディアを使って宣伝するよりも、口コミを利用したほうが効果が高いという。これは決して無根拠な話ではなく、大手マーケティング企業が大掛かりな意識調査を何度も行い、分析した結果だそうだ。 反対に、根拠がないウワサが簡単に信じられてしまうこともしばしば。時に、社会全体に根も葉もない嘘が広がることがあり、結果的に国中が大騒ぎになるということもある。韓国人と話をしていると、知的水準が高い人々においても、デタラメをうのみにしているケースが少なくない。「こんな頭のよさそうな人が、そんな話を信じているのか……」と、驚かされてしまう。 さて、ここ数年、そんな“ウワサ好き”な国民性に拍車をかけているのがSNSの存在だ。韓国社会では毎日のように“SNS迷信”なる、真偽不明なウワサが生まれては消えていく。その拡散スピードはとても速く、中には深刻な間違いも多い。よほど深刻なのか、韓国メディアがその“SNS迷信”の実態を調査・報告するケースが増え始めている。 最近、韓国を騒がせた“SNS迷信”のひとつに「玄米には毒性物質が含まれている」というものがある。なんでも玄米を食べると骨が溶けたり、人間をゆっくり死に至らしめるというのだ。そんなウワサに尾ひれがつき「昔の人々は玄米を絶対に食べなかった」というウワサまで出てくる始末。当然、そのような事実はない。 また、南米を中心に社会問題となっているジカウイルスについても、科学的根拠がない“SNS迷信”がちまたを駆けめぐっている。例えば、「ジカウイルスの潜伏期間は2年に達する」「女性が一度感染すると体から消えることがなく、妊娠すると小頭症の子どもが生まれる」「キスでも感染する」などというものだ。専門家によれば「潜伏期間は最大でも2週間程度。ウイルスが潜伏して、後に女性が妊娠した際に小頭症の子どもが生まれるということはない」という。この手の話は、深刻な差別や蔑視にもつながりかねないので、単なる“ウワサ好き”では済まされなさそうなものである。 そのほかにも「4月から交通関連の罰金が2倍」「MERS(中東呼吸器症候群)に感染した女性が働く風俗店がある」などの“SNS迷信”がささやかれている。この手の話の実例を挙げていけば枚挙にいとまがない。科学的、または客観的事実より、親しい人が言うことやちまたのウワサを信じる向きが強いという傾向が、韓国社会に与えている影響は非常に大きい。SNSの普及で、その傾向がより悪いほうに向かわないことを祈るばかりである。 (取材・文=河鐘基)中央日報より
3.11後の格差社会、上から見るか下から見るか? 岩井俊二の帰還『リップヴァンウィンクルの花嫁』
小学校の校庭で、鉄棒の逆上がりが初めて出来たときの喜びを覚えているだろうか。足が宙に浮き、頭が後ろから地面へと向かい、ぐるんと世界が反転して見えた。今までとは異なる風景を手に入れた感動があった。ちょっとしたコツさえつかめば、それまでとは異なる視点を持つことができ、世界はまるで違ったものへ変わっていく。岩井俊二監督の久々の実写映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、世界を逆さまにして、ひとりの女性の冒険を眺める物語となっている。 岩井監督はTVドラマ『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(93)で脚光を浴び、劇場公開作『LOVE LETTER』(95)、『スワロウテイル』(96)、『リリィ・シュシュのすべて』(01)といった斬新かつ繊細な作品の数々で映画界をリードしてきた。盟友・篠田昇撮影監督との最期のタッグ作となった『花とアリス』(04)以降、活動の拠点を北米に移し、『ニューヨーク、アイラブユー』(09)や『ヴァンパイア』(12)などの英語劇に取り組んでいた。長編アニメ『花とアリス殺人事件』(15)で日本映画界に復帰するが、日本を舞台にした実写映画は『花とアリス』以来12年ぶりとなる。 岩井監督は『花とアリス』の後、日本で映画を撮らなかった理由のひとつに、当時の日本社会が息苦しかったことを挙げている。ゼロ年代にはKY、空気を読むといった言葉が流行した。場の空気を読んで、物言わずとも各人がそれぞれ割り振られた役割をまっとうする。日本社会ならではの風潮だが、そんな閉塞的な社会状況に岩井監督はつまらなさを感じていた。マイノリティー的な立場から自分がいくら言葉を発しても、社会にはまったく届かないんじゃないかと。それなら新しい世界へ出ていって、外から言葉を発したほうが、もっと鮮明に言葉は響くんじゃないか。そんな想いでLAでの生活を始め、セルフプロデュースによる『ヴァンパイア』を製作していた。だが、そんなとき、岩井監督の故郷である仙台を含む東日本一帯が大震災に見舞われた。黒木華主演作『リップヴァンウィンクルの花嫁』。岩井俊二監督の演出のもと、流転のヒロインを黒木はのびのびと演じている。
震災をきっかけに岩井監督は帰国し、日本社会にもう一度向き合うことにした。日本社会に大きな打撃を与えた津波そのものをテーマにすることも考えたが、岩井監督ほどの才人でもあの大震災をすぐにはフィクション化することはできなかった。そこで生まれたのが、3.11後も依然として存在し続ける保守的な日本社会をこれまでとは異なる視点で見つめてみようという物語だった。この国を長い間支えてきた、でももうあちこちに綻びが生じている終身雇用、婚姻制度、家族関係、そして3.11後によりあらわになった格差社会を、ひとり若い女性の目線を通して岩井監督は見つめ直していく。 主人公の七海(黒木華)は学校の教師。とはいっても臨時教員で、生活は不安定極まりない。七海の自信のなさを生徒たちは見透かして、笑いのネタにして楽しんでいる。七海は出会い系サイトで知り合った男性・鉄也(地曵豪)と慌ただしく結婚し、先方の母親(原日出子)の希望で専業主婦となった。臨時教員をクビになった七海には願ったり叶ったりだった。スマホひとつで七海は、主婦という立場と快適なマンションでの生活を手に入れた。だが、簡単に手に入れた幸せは、失ってしまうのも一瞬だった。夫と義母から七海は浮気を疑われ、マンションから追い出されるはめになる。七海はワケがわからないまま、幸せな新婚生活から不幸のどん底へと転落していく。 食べていくために七海は、SNS仲間である“なんでも屋”の安室行舛(綾野剛)の紹介で、赤の他人の結婚披露宴に出席する代理家族をはじめとする怪しいバイトに手を染めることになる。日雇いでのバイト生活に加え、借金も背負い、不幸が雪だるま式に膨れ上がっていく。でも、代理家族のバイトでは、血の繋がりのない初対面の人たちと家族を演じ合い、七海は心地のよさを感じる。七海の姉を演じた自称“売れない女優”の真白(Cocco)という面白い女性とも仲良くなった。教師や専業主婦をしていた頃は、自分が他人からどう見られているかばかり気にしていたが、今はその日その日を生きるのが精一杯で他人の視線を気にする余裕すらなくなった。下流へ下流へと沈んでいくうちに、七海の人生は底抜けに愉快なもの、ワクワクするものへと変わっていく。仕事を失い、結婚に失敗し、住む場所さえなくなった七海(黒木華)。『不思議な国のアリス』のように自分の知らない世界を冒険することに。
世間一般から見ると、七海はあまりにも世間知らずで、幸せの崖っぷちから不幸のどん底へと真っ逆さまに墜落しているように映る。でも、岩井監督にしてみると、「逆から見れば、ぐんぐんと上昇している」女の子の物語なのだ。何が幸せで、何が不幸かは世間ではなく、自分自身が決めればいいこと。七海は世間的な幸せを失った代わりに、ぐんぐんと自分だけの幸せへと近づいてく。黒木華演じる七海は、序盤は周囲に流されてばかりいた頼りなさげな女の子だったが、なんでも屋の安室や代理家族で姉を演じた真白といったワケありな人たちと出会い、新しい世界を体験する。物語の後半には七海は大きな海でも裸で泳いでいけるほどのタフさを身に付けるようになっていく。 岩井監督のブレイク作『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の少年たちがそれまでとは異なる視点から打ち上げ花火を眺めたように、本作の主人公である七海もそれまでの人生をリセットし、異なる視点を手に入れる。彼女の前には真新しい風景が広がっている。そこはとても風通しのよい世界だった。 (文=長野辰次)七海は従来の価値観に縛られず、新しい人生を歩んでいく。3.11後の社会に希望を見出そうとする岩井監督の心情が投影されたキャラクターだ。
『リップヴァンウィンクルの花嫁』 監督・脚本/岩井俊二 撮影/神戸千木 出演/黒木華、綾野剛、Cocco、原日出子、地曵豪、和田聰宏、金田明夫、毬谷友子、佐生有語、夏目ナナ、りりィ配給/東映 3月26日(土)より公開 (c)RVWフィルムパートナーズ http://rvw-bride.com
『パンドラ映画館』電子書籍発売中! 日刊サイゾーの人気連載『パンドラ映画館』が電子書籍になりました。 詳細はこちらから!
台湾娘の半値でヤレる!? 台湾で82人の中国人“売春雑妓団”を一斉摘発!
2011年、台湾への個人旅行が解禁されて以降、多くの中国人観光客が同地を訪れるようになった。14年には400万人(延べ人数)を超え、年々増加傾向にある。日本への“爆買い”同様、台湾でも多くの中国人観光客が旺盛に消費活動を展開する中、マナーをめぐる問題も多く、日台は同じ課題を抱えているといえよう。一方、観光以外でも中台間の人の往来は劇的に増え、ビジネスや文化交流などで多くの中国人が台湾に渡っている。 そんな中、あるニュースが注目を集めている。中国大陸から渡ってきた「過去最大規模」となる、売春婦82人が一斉に検挙されたのだ(「自由時報」3月13日付)。彼女たちは台湾移民署に「雑技団及び舞踏団の文化交流」という目的で入国申請をしていた。台湾メディアは「雑技団ではなく、雑妓団だった」などと報じている(「妓」は中国語で娼婦の意)。 報道によると、この売春婦らはブローカーに約50万円を前借りして台湾にやってきたという。彼女たちは1回当たり1万5,000~2万3,000円で体を売るが、うち3,500~7,000円をブローカーに上納し、返済に充てていく仕組みだった。 しかし、売春婦たちの多くは思うように稼げず、大陸へ逃げ帰る者もいた。46歳のある売春婦は容姿があまりにおばさんくさいので客がつかず、ブローカーに無断で帰国したところ「家族にバラすぞ」と脅迫され、また台湾に舞い戻ったという。ほかにも帰国したいという女性にブローカーは暴力を振るって、半ば軟禁状態にして売春させていた例もあったという。 台湾で急増する中国人売春婦について、台北在住の日本人駐在員はこう解説する。 「台北でも、3~4年前から大陸の子が増えていますね。観光地として有名な龍山寺あたりに売春が盛んな地域があり、そこに行くと年増の中国人売春婦がたくさんいますよ。気持ち悪くて近寄りたくないですけどね……。一方、デリヘルやポン引き、エロマッサージなどでは、比較的若い中国人も多い。『台湾はビザに厳しいから長居できない』と、みんな短期間で稼いで帰っているようでした。台湾人の売春婦を抱こうと思ったら、倍以上の値段がかかる。若い台湾娘をキャバクラからお持ち帰りしたら、飲み代を入れて5万円以上かかりますからね。台湾の男たちも、安価な大陸の売春婦を重宝しているようです」 世界中に売春婦を“輸出”する中国。今まで台湾問題で両者はモメていたので、そのターゲットにはなっていなかったが、国民党政権による長年の親中政策で、状況は変わってしまったようだ。 (取材・文=五月花子)台湾移民署によって連行される大陸の売春婦たち(イメージ画像)
地方政府幹部も現役市長も、みんなジャンキー! 中国官僚の薬物汚染「官毒」が深刻化
日本でも、芸能界やスポーツ界の薬物汚染が問題となっているが、お隣中国では政府高官の間で違法薬物が蔓延している。 昨年4月には、湖南省臨湘市の現役市長が違法薬物を乱用したとして逮捕されている。使用されたのは、日本の法律上、覚せい剤に分類される薬物とみられる。 さらに元市長はその後、収賄罪でも立件され、現在収監中だ。そんな元市長への獄中インタビューを「中新網」(3月11日付)が掲載し、話題となっている。 「今になって、事の重大性を認識しています。今回、違法薬物使用や女性関係、汚職などを理由に逮捕されましたが、特に違法薬物に関しては、政府に大きな影響を与えてしまったと思います。また、国民感情も傷つけてしまいました。私ひとりの罪で、私の家族みんなに迷惑をかけてしまい、合わせる顔がありません。失ったものが多すぎました」 元市長はインタビュー中、話が家族に及ぶと、大粒の涙を流しながら後悔の念を口にした。 ちなみに昨年、同省の衡陽市では61名に及ぶ政府幹部が違法薬物の使用容疑で逮捕されている。こうした官僚の薬物汚染は俗に「官毒」と呼ばれ、問題視されている。今回のインタビューの裏側には、薬物乱用に手を染めている官僚たちへの警告という当局の意図が感じられる。 深刻化する官毒について、中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏はこう話す。 「薬物乱用で検挙される官僚は、収賄にも手を染めていることがほとんど。というのも、民間企業や犯罪組織が、官僚との癒着関係を構築するために違法薬物を提供している場合が多いんです。以前は、女性の肉弾接待の現場を隠し撮りし、官僚の弱みを握って便宜を図らせるという手口も横行していました。しかし、最近の官僚は女性関係に警戒心を強めている。そんな中、依存性の強い覚せい剤などの違法薬物で、骨抜きにしてしまおうという手口が横行している」 ジャンキーたちに統治される民衆は、たまったものではないだろう……。 (文=青山大樹)メディアのインタビューに答える元市長。話が家族に及ぶと、涙を浮かべ後悔の言葉を口にした
















