闘争本能を呼び覚ませ! スクリーンで繰り広げられる男たちの熱きバトル

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(c)2010『アウトレイジ』製作委員会
 4年に一度、最強の男たちがピッチ上で演じるガチンコの戦いと言えば、もちろんFIFAワールドカップ。そして、映画館のスクリーンにも男たちの熱いバトルが久しぶりに帰ってきた。  まずは、現在公開中の北野武監督作品『アウトレイジ』。監督デビュー作『その男、凶暴につき』(89)以来、初期作品群で特徴的だったバイオレンスの原点に回帰し、巨大な暴力団の内部でヤクザ同士が繰り広げる権力闘争を描く。  「全員悪人」というキャッチコピーの通り、弱肉強食の世界に生きる男には、正義も友情も理性も不要。「親子」「兄弟」の仁義に縛られながらも、ナメられれば逆上し、下克上の好機には暴走する。  「度を超した怒り・狂気」といった意味のタイトルが示すように、闘争本能をむき出しにしたヤクザたちは狂犬そのもの。カッター、菜箸、歯科の治療器具などを使った残虐シーンには、身近な道具ならではの痛々しさと意外性から来るおかしさが奇妙に同居する。張り詰めた過激な描写の後に、ふふっと笑わせるショットをつなぐ巧みな編集のおかげもあり、不思議な爽快感が残る娯楽作だ。  次に紹介するのは、6月26日より公開されるジャン=クロード・バン・ダム主演の『ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション』。1992年に大ヒットしたSFアクション『ユニバーサル・ソルジャー』の「正統な続編」と位置づけられ、軍が極秘開発した蘇生技術で誕生した最強兵士たちによる戦いという基本コンセプトが、現代の設定でよみがえった。  最先端の兵士再生プログラム「NGU」(次世代型ユニソル)による超兵士(アンドレイ・アルロフスキー)を手に入れたチェチェン民族主義のテロリストが、ロシア首相の子息を誘拐し、チェルノブイリ原子力発電所を占拠。人間性を取り戻すリハビリを受けていた初期型ユニソルのリュック(バン・ダム)は、人質救出とテロ殲滅の命を受け、立ちはだかるNGUと、冷凍保存から目覚めた旧敵スコット(ドルフ・ラングレン)との対決に臨む。  CGやワイヤーアクションなど見た目の派手さに頼りがちな昨今のSFアクション映画と異なり、本物の格闘家たちによる対決が、オリジナルと同様に今作でも見どころ。共に空手の達人であるバン・ダムとラングレンによる前作でのライバル同士が再び相まみえることに加え、総合格闘家のアルロフスキーが新たに参戦。  スリリングなカーチェイスやガンアクション、爆発シーンもあるが、やはり殴る、蹴るというシンプルな攻撃で相手を「破壊」する壮絶な肉弾戦は、何にも代え難い興奮を観客にもたらす。『その男ヴァン・ダム』(08)同様、中年アクション・ヒーローの哀愁をバン・ダムが自虐ネタっぽく醸し出している点も、作品のいいスパイスになっている。  平和な日常の暮らしの中で眠っている闘争本能を呼び覚ましてくれる二本。暑さが本格化する夏を前に、ガツンと刺激が欲しいという人におすすめしたい。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 『アウトレイジ』作品情報 <http://eiga.com/movie/55127/> 『アウトレイジ』北野武監督 インタビュー <http://eiga.com/movie/55127/special/2/> 『ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション』作品情報 <http://eiga.com/movie/55285/>
その男、凶暴につき 触るなキケン! amazon_associate_logo.jpg
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【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.07

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 北京五輪の際にも好評を博した日刊サイゾー「美女コーナー」(http://www.cyzo.com/2008/08/post_893.html)が、ワールドカップで完全復活! 日々、緊急更新中です!  第7回は、南アフリカ在住のトレイシー。バファナ・バファナ(南アフリカ代表の愛称)の試合を見るため、ヨハネスブルク・サントンからブルームフォンテンへ向かうバスで偶然居合わせた。 wcgirl0701.jpg wcgirl0702.jpg  撮影時の時間は朝8時だというのに、こちらの要望に応えヴヴゼラまで吹いてくれた。  次回の美女コーナー更新も一両日中。こうご期待! 【関連記事】 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.06 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.05 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.04 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.03 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.02 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.01

吉田恵輔監督の溢れ出すフェチ感覚!「焼肉を焼く女子の髪の匂いに惹かれる」

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塚本晋也組で長年、照明を担当していた吉田恵輔監督。
「塚本監督には鍛えられましたね。塚本監督はロケハン段階から、すごく厳しい。
その影響で、ボクも現場ではうるさい人間なんです」
 すべての男子が気になって気になって仕方がない存在、それは"女子校生"! 日本映画界期待の新鋭・吉田恵輔監督は、仲里依紗と宮迫博之がW主演した『純喫茶磯辺』(08)、ゆうばりファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリを受賞した『なま夏』(06)、劇場デビュー作『机のなかみ』(07)と、どの作品も見事なほど"女子校生とオジさん"がモチーフになっている。最新作『さんかく』はAKB48の小野恵令奈が初ヒロインを飾った、ちょっと痛い恋愛コメディ。小悪魔的な魅力を振りまく女子中学生・桃(小野恵令奈)に翻弄される30男・百瀬(高岡蒼甫)と桃の姉・佳代(田畑智子)の3人が織りなす恋愛トライアングルストーリーなのだ。"えれぴょん"こと小野恵令奈のピチピチした健康的なお色気には、百瀬ならずとも男なら誰しもバタバタと悶え苦しむはず。エロ目線で女子校生を追いかけつつ、ダメダメな人々の生態をチャーミングに描く天才・吉田監督のユニークなフェティッシュ観を聞きほじったぞ。 ──『なま夏』『机のなかみ』『純喫茶磯辺』、そして新作『さんかく』と、どの作品も傑作コメディですね。自分の才能が怖くなりませんか? 吉田恵輔監督(以下、吉田) まぁ、それは観た人によって印象は違うんじゃないですか(笑)。でも、自分では気に入った作品が作れているなとは思います。人様の評価は分からないけど、まず自分が恥ずかしくないものを作れればいいなと思ってます。この間、『崖の上のポニョ』(08)を撮った宮崎駿監督のドキュメンタリー(『宮崎駿の仕事』)を観ていたら、宮崎監督がまったく同じことを言ってたんです。「とにかく、恥ずかしくないものを作りたい」と。「その通り!」と思いました(笑)。 ──気分は、もう巨匠・宮崎駿と同レベル? 吉田 宮崎監督と言えば、神様みたいな存在だと思ってたんですが、意外とちっちゃいことで悩んでいるし、スタッフに八つ当たりしてる。「あぁ、自分と変わらないなぁ」と思ったんです。
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中学・高校時代はヤンキーだったという吉田監督。
「200万円かけてバイクを改造しました。自分
はカッコいいつもりだったけど、ご近所は
うるさくて大迷惑だったでしょうね」
──巨匠の偉大さではなく、器の小ささに共感した? 吉田 そうです。でも同時に不安にもなりました。自分は小さなことで悩んでいるけど、いつかは解消されるのだろうと思ってたんですが、日本でいちばんの巨匠が小さいことで悩んでいる。あぁ、これはダメだなぁ。悩みは一生付いてくるんだなぁと。 ──宮崎監督と同じように、吉田監督も一貫して少女を撮り続けているという共通項が......。 吉田 いや、ボクは別に狙っているわけじゃないんです。女子校生以外のシナリオもいろいろ書いているんですよ。まだ映画化されてないだけで。でも、なぜか映画化されるのは少女とオジさんの話ばかりなんです(苦笑)。『純喫茶磯辺』の後に違った路線のものを撮る予定だったんですが、映画会社のムービーアイが倒産してしまって、『さんかく』が先に完成したんです。いくつかあった企画の中で、本当は『さんかく』が映画になるかどうかいちばん危ない内容だったんですけどね。 ──下手したら、カン違い野郎の犯罪ストーリーになりかねないストーリー。 吉田 そうそう(笑)。脚本だけ読むと、百瀬はいくらでも変態っぽい気持ち悪いキャラになっていた。けっこう賭けでした。高岡蒼甫くんが百瀬を演じてくれたことで、映画として悪くないぞというものになりましたね。 ──ひとつ屋根の下で暮らすことになった桃に対する百瀬の目線が妙にエロいですよ。 吉田 最初はそんなにエロいものを考えてなかった。もっとコメディコメディしたものになるはずだったんです。でも、小野(恵令奈)ちゃんが妙に肉々しい感じがして、撮るものが変わっていったように思いますね。そのつもりがなくても、何となくそうなってしまった(笑)。
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30歳のダメ男・百瀬(高岡蒼甫)と恋人・
佳代(田畑智子)とその妹・桃(小野恵令奈)
の恋愛トライアングル。笑えるけど、当事者の
立場に立つと「こりゃ、辛いわ~」とシミ
ジミしてしまうディープな人間ドラマでも
あるのだ。(c)2010「さんかく」製作委員会
──風呂上がりの桃の髪の匂いを嗅いだり、足の裏に刺さった画鋲を取ってあげたり、百瀬のフェティッシュさが満載じゃないですか。 吉田 確かにそうですね。なんで、そんなシーンばっかり自分は書いたんだろう? よく分からないですけど(笑)。でも、焼肉屋に行くと、よく女の子が「いやーん、髪の毛が焼肉臭くなっちゃったぁ」なんて自分の髪を嗅ぐ仕草を見ると、「あぁ、オレにも嗅がせてくれれば、ときめくのになぁ」と思っちゃいますね。まぁ、実際には嗅がせてもらいませんけど(笑)。百瀬のやってることは、日頃、自分が考えていることですね。 ──これまでの吉田監督作品の主人公は、監督の分身のようですね。 吉田 まったく、その通りです(笑)。でも百瀬だけじゃなくて、田畑智子さんが演じた桃の姉・佳代も自分の分身ですね。『純喫茶磯辺』で言えば、宮迫さんもそうだし、仲里依紗もボクの分身。2人を振り回す麻生久美子さんの役が今回の場合は小野ちゃんですね。 ──AKB48の小野恵令奈が生き生きとした立ち振る舞い。吉田監督からの"小悪魔"的な演出もあった? 吉田 いや、「今回の桃は、こういうキャラクターに」みたいな演出はほとんどしてないですね。演出したというより、キャラクターに合った女の子を見つけてきたって感じですね。ふだんから、小野ちゃんは生々しい感じがするように感じたんです。あまり芸能人っぽくないというか。仲里依紗のときもそうでしたが、こーゆータイプの女の子はネコと同じで、向こうからエサを食べにくるのをじっと待つみたいな感じですね。 ──あぁ、仲里依紗も小野恵令奈も、キレイなお人形さんタイプじゃなくて、奔放な生命力を感じさせるタイプですね。 吉田 そうなんです。撮影中はそりゃ楽しかったですよ。もう完全に百瀬目線になっていましたから。順撮りで撮影していたんですが、百瀬と佳代が同棲するアパートを桃が去るシーンを撮った後は、監督であるボクがしばらく焦燥感に駆られていましたから(苦笑)。ほんと、桃ちゃんみたいなタイプの子がいたら、ボクはときめくし、でも執着心の強い佳代みたいな女性も「めんどくさいな」と思いつつも、やっぱりいいかもと感じている部分があるわけなんです。 ──めんどくさいんだけど、そこがまたちょっと愛らしいかも、という吉田監督の独特の恋愛観が作品の後半で展開されていきます。 吉田 うん、何故かよく当たるんですよ、そーゆー女性に(笑)。なんか、プライベートで面倒くさい女の子、仲間うちの評判の良くない女の子と付き合ってしまうんですよ。どうもダメな人が寄ってきてしまう。ボクも相当ハズレだと思うんですけど、ハズレ同士でクジを引き合ってしまうんですかね(笑)。
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田舎で暮らす中学3年生の桃(小野恵令奈)
は、姉・佳代が恋人・百瀬と同棲する
東京のアパートでひと夏過ごすことに。
桃の放つフレッシュなお色気がたまらんです。
──噂の女の子と付き合ってみて、「あれ、噂とは違うじゃん」みたいな意外な一面に惹かれる? 吉田 いやー、「やっぱり噂通りだ、いや噂以上だな」ということが多いですね(笑)。でも、それさえも、愛おしく感じる時期があって、次第に「うーん、やっぱり無理!」となってしまう(苦笑)。多分、元カノがボクの映画を観たら「あっ、これって私のことじゃん」と思うでしょうね。名前も使ったりしています。まぁ、映画に出てくるキャラクターは何人かの集合体なんですけどね。 ──『純喫茶磯辺』は宝くじが当たって店を開いたけど、あっという間に潰れてしまった実在のカフェのエピソードがベースだそうですね。『さんかく』も現実のエピソードが織り交ぜてある? 吉田 えぇ、さすがに付き合っている彼女の妹に手を出したことはないですけど、彼女の女友達に興味が向いてしまうなんてことはありますよね。そういうボク自身の実体験がベースですかね。彼女がいるのに、女友達に気持ちが行くなんてサイテーなヤツですよね。まぁ、今はもうボクも大人になりましたから(笑)。そういう自分自身に対する反省の気持ちを込めて撮った作品なんです。 ──どーゆー反省の仕方なんですか(笑)。 吉田 ははは。なんかボクの周りって、ネタになる知り合いが多いんです。佳代がマルチ商法の健康食品にハマるのも、友達の実話ですね。台所に健康食品がどんどん山積みになっていくんですよ、誰も買わないから。その光景がとても切なくて、「いつか映画にしよう」と考えていたんです。佳代が別れた百瀬に追いすがって待ち伏せ行為をしてしまうのも友人の話。携帯電話の番号を変えて連絡のとれなくなった元カノのことを心配して、アパートの前で待っているんですよ。ボクもそれに付き合ってるわけです(笑)。傍から見れば立派なストーカーなんですが、本人は純真そのもので連絡が取れなくなったことを本気で心配してるんです。そーゆー思い込みの激しい友人が多いんです。面白いなと思ったことはメモしてます。ネタ帳のストックがすごくたくさんありますよ。ネタ帳を開いて、「あっ、これ今度のシナリオに使えるな」とかやってます。 ──悲劇と喜劇が同時に存在する、吉田監督ならではの世界。 吉田 どうでしょう? 自分では作品のスタイルとか気にしてないんです。でも、観た人によって印象が違うのって好きですね。同じシーンを観て、泣く人もいれば大笑いしてる人もいるみたいな作品は面白いなと思います。今回の『さんかく』も、モデルになった人たちは自分のイヤな部分を見せつけられるみたいで落ち込むかもしれませんけど、その一方では「超ウケる~!」って大笑いする人もいるでしょうね。 ──ちなみに少年時代の吉田監督は、どんな子だったんですか? 吉田 すごいフツーの子ですよ。と、自分では思ってたんですが、最近になって周囲に言われて、どうもそうじゃないことが判明しました(笑)。社宅に住んでて自分では友達がいっぱいいたつもりだったんですが、実はボクと一緒に遊ぶ子がいなかったんで、姉が「うちの弟とも遊んであげて」と頼んでいたらしい(苦笑)。友達がいっぱいいたつもりだったけど、みんな姉と遊びたくて集まっていたんです。「えっ、実はオレ、嫌われていたの?」って最近になって気づいたんです。そういえば、小学校でもクラスのみんなは休み時間にいつも全員でサッカーやってたんですが、自分だけひとり遊びに夢中になって6年間を過ごしてたんです。自分ではすごくフツーのつもりだったんですけどね。 ──誰の視点で見るかで、まるで世界が変わってくる。まさに吉田監督作品そのものですね。さて、"期待の星"吉田監督は今後、どのような道を進むんでしょうか? 吉田 何でもいいんですけどねー。面白ければ、何でもいい。自分に恥ずかしくない作品を作れればね。宮崎駿監督みたいな巨匠にはなれませんよ。宮崎監督のドキュメンタリーを観たばかりなんで、100m走の世界記録保持者ボルトの走りっぷりを見せられたようなもんです。世界は無理。国内でとりあえず、がんばりま~す。  と、謙遜しまくる吉田監督。ちなみに吉田監督はスタンリー・キューブリック監督の『ロリータ』(62)、キム・ギドク監督の『弓』(05)といった"少女とオジさん"の作品が好きらしい。『ロリータ』が公開されたのはキューブリック34歳のとき、『弓』はキム・ギドク45歳のとき。吉田監督は現在35歳。吉田監督がこれからどんな傑作を残していくのか、楽しみではないか。6月26日公開の『さんかく』も"巨匠"への片鱗ぶりが充分に堪能できる超傑作ですぞ。 (取材・文=長野辰次) 『さんかく』 監督・脚本・照明/吉田恵輔 出演/高岡蒼甫、小野恵令奈、田畑智子、矢沢心、大島優子、太賀、大堀雅秋 配給/日活 6月26日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋テアトルダイヤほか全国順次公開 <http://www.sankaku-movie.com> ●よしだ・けいすけ 1975年埼玉県出身。東京ビジュアルアーツ在学中から塚本晋也監督の製作現場に参加し、『バレット・バレエ』(99)、『六月の蛇』(02)、『悪夢探偵』(07)などの照明を担当する。自主製作作品『なま夏』(06)はゆうばりファンタスティック映画祭オフシアター部門でグランプリ受賞。『机のなかみ』(07)で劇場デビュー。『純喫茶磯辺』(08)に主演した仲里依紗にヨコハマ映画祭最優秀新人賞、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞をもたらした。深夜ドラマ『BUNGO 日本文学シネマ』(TBS系)では梶井基次郎原作『檸檬』の演出を担当。
純喫茶磯辺 愛しきダメ親子。 amazon_associate_logo.jpg
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老人が若者の未来を奪う!? 『嫌韓流』の山野車輪が『若者奴隷時代』で唱える新たな対立軸

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衝撃の問題作を発表した山野車輪氏。
 「横暴かつ傲慢な新老人・暴走老人という害悪」「モンスター・シルバーの出現」「ジジババを殺らなきゃオレたちはこのままなのか!?」──ショッキングな見出しが躍るブ厚い漫画本。表紙には、憎々しげな表情の高齢者と、奴隷のように鎖でつながれた若い男女。漫画家・山野車輪が描いた『「若者奴隷」時代』(晋遊舎)が話題になっている。  山野車輪と言えば、社会問題にまでなった『マンガ嫌韓流』(同)の作者。日韓問題について韓国を激しく批判的に描いて話題になり、当の韓国でも大手メディアが大々的に報じ、ネット上では作品に基づく論戦が連日激しく繰り返された。  そんな山野氏が今回テーマに挙げたのは、保守対リベラルによる左右対立ならぬ、高齢者と若者世代による「上下対立」だ。日本では手厚すぎる高齢者福祉の弊害で現役世代が苦しめられているとし、昨今耳にする「格差社会」の正体が、実は高齢者と若者の間にある「世代間格差」であると説いているのだ。  しかしながら、老人福祉については今後益々公費を投入して制度の充実化を図らなければならないというのが、どちらかと言えば一般的な社会認識。『「若者奴隷」時代』は時代に逆行した暴論なのか? 今なぜこのテーマなのか? 作者の山野氏に聞いた。 ──そもそもこの本を書こうと考えたきっかけは。 山野車輪氏(以下、山野) もともとは一般的な「格差社会」について描こうと、雇用情勢や賃金などの日本の労働市場の実態について調べていたんです。調べるうちに、現役世代が苦しんでいる一方で、高齢者が手厚く守られすぎている構図が見えてきた。若者の厳しい現状など関係なく、高齢者は年金を受け取り、人生を謳歌している。その実態に非常に違和感があったんですね。実は「格差」とは富裕層と貧困層ではなく、世代間にこそ存在するのだと。 ──そういうことを言うと「年寄りを批判するのはけしからん」という声がきませんか? 山野 これまで若者論は多く語られてきましたが、高齢者についてはほとんど正面から論じられてきませんでした。今や5人に一人が高齢者であるにも関わらず、です。あっても「お年寄りは弱者」とステレオタイプに決めつける歪んだ認識ばかりです。しかし、高齢者優遇と若者冷遇を続けてきた結果、若者は家庭を持つという人並みの幸せさえも享受できない時代になってしまった。明らかに「若者奴隷」の時代なんです。そのことに多くの国民は気づいていない。 ──「高齢者福祉の否定だ」という批判意見に対しては? 山野 高齢者は「弱者」だからとにかく否定してはいけない、否定すると即高齢者差別である、とする風潮は非常に問題があると思います。現在の高齢者を時代の中での大きな塊として冷静に見ると、若者や未来の子どもたち世代と比較して裕福な世代であると言わざるを得ない。他の世代の富をむさぼって長生きができている。一方で若者や将来世代は上の世代から富を奪われるばかりで、他の世代からの所得移転もない。現在も、おそらく将来的にも福祉の恩恵にあずかれないでしょう。こうした制度で本当にいいのかということを、全世代で議論すべきときにきています。 若者は、上の世代から世代間闘争を仕掛けられている以上、争いを避けるのではなく、露払いをすべきなのです。 ──昨年の夏にホリエモンこと堀江貴文氏が、「若者を捨てない政治」の方法論として、年金に代わる新しい社会福祉制度「ベーシックインカム(最低限所得保障)」の導入を唱えました。これは、年金制度を廃止して公務員をなくし、そのお金ですべての国民に8万円前後の一定金額を給付するというものです。 山野 僕は一つの考え方だと思います。一人あたり支給額8万円はともかく、5万円としても、日本人の人口1億2,000万人として60兆円の財源があれば可能です。現在、年金制度に47兆円、公務員の人件費に30兆円が使われていますから、公務員の賃金を半分に減らして15兆円浮かせば、それだけで62兆円捻出できます。もちろん机上の計算ですが、「とても無理!」という話ではないわけです。最低限の安心は確保しつつ、より豊かな生活を営みたければ働けばいいという考え方ですね。 ──『若者奴隷時代』の反響はどうでしょう。賛否どちらが多いですか。 山野 実感としては真っ二つに割れている感じです。若い層からも「年寄りを批判するとはけしからん」という批判がきますし。「まずは自分の親を撲殺してから言え」なんていう過激な批判もありました。 ──読売テレビの『たかじんのそこまで言って委員会』では講師として出演されたそうですが。 山野 収録中、緊張しすぎてずっと地に足つきませんでした(笑)。私はテレビに出演したことがないどころか、人前で公演をしたことすらなかったんです。そんな私が、関東圏以外全国放送の超優良視聴率番組で、講師として話さなければならないというトンデモな話なんですよ。最初はテレビ慣れするために、コメンテーターの一人とか、地方の番組とかの慣らし運転でもできればよかったんですけど......。無茶と言えば無茶な話なんですが、逃げずにやらなければと思い、出演してみました。パネラーの皆さんは予想に反して優しかったですよ。 ──率直に申し上げて、よくこの企画が通りましたね(笑)。取次店がよくウンと言ったなと......。 山野 版元は「こんなの売れない」と、全然乗り気じゃなかったです。部数もそうとう絞られました。他に高齢者批判本がないので、出版データがないんですね。しかも、高齢者批判は日本人のメンタリティに反しますし、若者層もいずれは自分が高齢者になるから批判しづらい。批判すると即、「差別者」のレッテルを貼られる。だから売れないだろうと。 ──今、高齢者層に対して仰りたいことはありますか。 山野 自分たちのことは自分たちでがんばってほしい。「年をとったら若い者が面倒見てくれる」と甘えてばかりでなく、自己責任でやってもらいたいですね。そして、未来ある子孫の幸せを多少なりとも考えてほしい。それが率直な思いです。 (文=浮島さとし) ※山野氏が『若者奴隷時代』について語っている動画はこちらで見ることができます。 <http://www.ustream.tv/recorded/6403745?lang=ja_JP>
「若者奴隷」時代 "若肉老食(パラサイトシルバー)"社会の到来 老子もあの世でびっくりです。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「よしりんと戦争勃発!」佐藤優ロングインタビュー(前編) 「よしりんと戦争勃発!」佐藤優ロングインタビュー(後編) 「小林よしのり vs 佐藤優」──論争ではなく"戦争"が勃発!?

「マンガを正当なビジネスにしたい」マンガ家・佐藤秀峰 爆弾発言の裏にある思い(後編)

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前編はこちら ――マンガの新たな表現の場を求めて、立ち上げられた『漫画 on Web』について、改めて説明をお願いします。立ち上げたきっかけを教えてください。 佐藤 紙媒体が斜陽化していて、次のメディアを考えたのがきっかけです。自分でサイトを作るのは、金も労力もかかるのですごく面倒で、誰かに作って欲しかったんですけど、誰も作ってくれないんですよね。出版社が動いてくれたら楽だったのに全然動かないから、結局自分で作りました。 ――出版社が作っても莫大なマージンを取りそうですよね。現在アクセス数は1日どの程度でしょう? 佐藤 詳細は言えませんが、アクセスは1日数千。日刊サイゾーで取り上げられて、「Yahoo!トップニュース」になった時で数万ですね。収支は、赤字ではないんですが、平均でランニングコストとサイト用のスタッフ1人の人件費を払って利益が多少出る程度ですね。売り上げも月に数十万円。100万円はいかないですね。昨年9月の有料サービスを開始して、最初は一気にポイント(マンガの閲覧はポイント制で300ポイント315円から)を買ってくれて、初日は10万円売り上げたんですが、そのまま100万円まで行くかと思ったら、落ち着いちゃいましたね。 ――サイトには読者の掲示板もありますが、読者の反応はいかがですか? 佐藤 「意外と読める」という人もいれば、「紙の方がいい」という人も。デジタルになって初めて僕のマンガを読んだ方もいて、年配の方から「マンガコーナーに行って自分がマンガを選んでいる姿が恥ずかしい。それがパソコンだと誰にも探すところを見られなくて30年ぶりにマンガ読んだ」という意見もありました。僕自身はネットで読むことに抵抗はなくて、机の前にパソコンモニターがあって、一日中、メールや資料をパソコンで見ながら作品を描いているので、不便じゃない。でも、マンガを読むためだけにパソコン立ち上げると考えると面倒かもしれませんね。 ――『漫画 on Web』には、『ダービージョッキー』『日本沈没』のマンガ家・一色登希彦、『森繁ダイナミック』のマンガ家・桃吐マキルさんも参加されています。出展者はDEBUTコースなら月額5,250円のみと低料金ですね。 佐藤 システムは正直にやっています。出展するマンガ家さんからは売り上げの手数料は1円ももらってないし、掲載は審査もしていないので誰でもOK。誰でも自由に登録して使ってくださいという形式で、小説も写真集も出展可能です。1話あたりの値段や、読者が閲覧できる期間は、作家さんが自由に決められて、1回購入で最大366日閲覧可能。僕の作品は366日ですね。『ブラックジャックによろしく』は旧作は1話10円。マンガは1冊10話としたら、1冊100円で妥当な値段かと。新作は1話30円で1冊分に相当する10話買うと300円。紙の本より安くないと意味がないし、BOOK OFFと同じ値段じゃないと競合しない。出展はこちらから営業は一切していないので、興味を持ってくれた方に自由に使ってもらえる魅力的なシステムにしたいですね。 ――『漫画 on Web』では、佐藤先生のアシスタントも作品を発表されていますね。テーマを基にネームの出来を競う"ネーム対決"を行っています。 佐藤 アシスタントにはプロになって欲しい。マンガ家は一代限りの才能なので、僕の才能がなくなったら会社も潰れ、みんな雇えなくなってしまう。長く面倒は見られないので、アシスタントには最長3年で辞めてもらうという契約にしています。プロになって辞めてくれるのが一番ですが、3年やって才能の芽が出なければ、若いうちに田舎に帰るのもいいんじゃないかと思うし。 ――佐藤先生のアシスタントからプロになった方もいらっしゃるんでしょうか? 佐藤 去年は5人辞めて、4人連載を持っています。吉田貴司は「モーニング・ツー」(講談社)で『フィンランド・サガ(性)』を、梅澤功二朗は「ヤングジャンプ」(集英社)で『ヤナガオート』を連載中。白鳥貴久は「ヤングキング」(少年画報社)で『タイガーズ』連載して、携帯コミックでも活躍。まぁびんこと藤井五成は「月刊スピリッツ」(小学館)で『DRAGON JAM』が始まりました。こんなにアシスタントがマンガ家になっているのは日本でウチだけだと思います。 ――それは佐藤先生に若手を育成するメソッドがあるのでは? satoshuho_sashikae.jpg 佐藤 才能を拘束しないで、ある程度のお金とゆとりを与えることですかね。週5日、1日12時間拘束で働いてもらいますが、年に2~3カ月有給休暇がある。その間も給料払うけど、「しっかり自分の作品描いてね」と言っています。ボーナスも4カ月分出してます。 ――そんな好待遇を記事にしたら、アシスタント応募殺到しますよ(笑)。佐藤先生にとってマンガ家のプロになる条件は? 佐藤 描くことだけ。雑誌に載ってる人は、描いてる人ですよ。描かないで載る人は一人もいない。マンガ家になれたのは、いっぱい描いた人だけです。なれなかった人は途中で描くの辞めますからね。プロになるまで描いたからなれた。ちゃんと考えながら1,000枚原稿描けば絶対なれますよ。その前にみんな諦めちゃうだけ。 ●改めて問う、佐藤秀峰にとってマンガを描くことの意味とは? ――では、改めてお伺いします。佐藤先生にとってマンガとは何でしょうか? 佐藤 「マンガとは?」ってあんまり聞かれないですよ......(長い沈黙)。マンガはなくてもいいものだと思うんです。マンガのない国もいっぱいあるし、マンガを読まなくても日常過ごしている日本人もいっぱいいる。描くのは好きだけど、ほかのマンガはまったく読まないし、斜に構えてる感じじゃなくて、あってもなくてもいいものだと思う。でも、なんであるか分からない......改めて聞かれるとマンガってなんだろう......(さらに長い沈黙)。実は、仕事してることに罪悪感もあるんですよ。例えば、『ブラックジャックによろしく』でテーマにしている医者だったら、医療がない時代も人は生きて繁殖して、人類は続いてきた。だから「医者ってどこまで必要なのかな?」と考えると分からなくなってしまう。長生きしたいし、病気で苦しんで、治療して楽になったらありがたい存在だけど、自分が医者だったら、結局病気の人からお金を吸い上げて生きている気持ちになる。マンガってなくてもいいものだと思うし、無駄な出費を誰かにさせて暮らしているわけで、無駄なものにお金を使わせている。これを続けてどういう意味があるんだろうと思うこともあります。 ――医者の話は極論だとしても、人は無駄なものに対価を払いませんよ。先生の作品に「本当に救われた」「感動した」という読者の声も届くのでは? 佐藤 感動してくれればうれしいですけど、その人のために描いてないですからね。その人に会ったことないし、その人の顔を思い浮かべて描いたわけじゃないから。「この仕事は何なんだろう」と思いますね。 ――では、誰のために描いてるんですか? 佐藤 当然自分のためだと思います。生活のため、表現欲を満たすため。そのために誰かに何かを伝える言葉だから相手が必要。 ――例えばスティーブン・キングは「すべての小説を夫人に向けて書いている」と聞いたことがあります。また、伊集院光は深夜ラジオで「中2の自分に向かって話している」と語っていました。佐藤先生にとっての想定読者は? 佐藤 自問自答している感じ。でも、自分の作品も基本的には読み返さない。描いていて、整合性取るためには読むけど、それ以外は読まないですね。 ●作品発表は『漫画 on Web』へ 『ブラよろ』の結末は...... ――今後は、『漫画 on Web』メインで、今後は完全に"脱・出版社"の方向で、大手出版社の仕事は受けないつもりなのですか? 佐藤 印税に頼るのはギャンブルなので、制作費をカバーできる正当な原稿料をもらえれば出版社でも描くし、もらえなければやらない。ビジネスパートナーになってくれるのであれば、仕事をするだけです。今の状況では、『漫画 on Web』が一次使用で、それを「原稿料払うので雑誌に載せたい」という話があれば二次使用としてはいいかなと思う。契約の仕方ですね。発表の形態もiPadには期待を寄せているので、今後、7月中を目途に『漫画 on Web』をiPadに対応させてから、その次に翻訳して、海外版もできればと考えています。 ――次回作は、「週刊マンガTIMES」(芳文社)に掲載されて休載中の『特攻の島』ですか? 佐藤 『特攻の島』は途中なので、そこまでは雑誌でやります。『新ブラックジャックによろしく』が終わったら、一カ月程度休んでからやろうと思ってます。掲載期間は、1年から2年ですね。その次の作品もネームはできているので描きたいんですけど。さすがにそれはまだ詳しいことは言えないです。常に描きたいことはいっぱいあるけど、形にするのに苦労します。描きたいことを出し切るには、かなりの時間が必要で、描きたいことがなくなるということは今のところない。 ――描いてみたいテーマはありますか? 佐藤 ジャンルで描きたいものはないんですよ。だから編集者が提案してきたものを受け入れちゃうんですよ。どんな食材を持ってきても、おいしく料理できますよって感じ。マグロしか扱えないとかそういう風になりたくない。どうせ僕が描くと泥臭い感じになるんで。でも、泥臭い風にしかならないけど、なんでもできます、となりたいかな。 ――一色登希彦さんのマンガ家としての半生をマンガにするという企画がお二人のTwitterでのやりとりから始まって、その基となる一色さんへのインタビューをUSTREAMで配信されました。 佐藤 一色さんとのマンガは、『漫画 on Web』ですぐにやりたいと思ってます。取材があまり必要じゃない自分の知ってる世界を書けたらいいなと思ったけど、話を聞いたら意外と大変で......。おそらく「表現者とは何か?」という話になる予定です。 ――では最後に、残り2回となった『新ブラックジャックによろしく』はどのような幕引きとなるのでしょうか? 佐藤 最後回のために取材してきた題材があるので、それを描こうと思っています。医療マンガもまだ描こうと思えば描けます。愛情を持って描いてきたので、寂しい気持ちもありますね......。最終回は"マンガでは誰も描いたことがない終わり方"になると思います。 * * *  佐藤先生の日記での告白に、「激怒」「マジギレ」「暴露」......そんな見出しを付けてきた我々だが、直接生で聞いた先生の声は穏やかで冷静、しかしながらマンガへの強い信念が随所にほとばしっていた。「マンガとは?」という質問に、言葉を選び、熟慮して答えていただいたその様は『ブラックジャックによろしく』の自問自答する主人公・斉藤英二郎そのもの。たゆたう心情をありのままに表現するその姿勢こそが、作品にリアリティを生んでいるように思われた。大手出版社への挑戦状とも言える『漫画 on Web』の未来と、掲載誌を変え、8年にわたって連載されてきた『ブラックジャックによろしく』の"誰も描いたことがない"着地点に期待したい。 (取材・文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>) ●佐藤秀峰(さとう・しゅうほう) 1973年12月8日生まれ。大学在学中よりマンガ家を志し、福本伸行、高橋ツトムのアシスタントを経て、1998年「ヤングサンデー」に掲載の『おめでとォ!』でデビュー。同年開始の『海猿』はNHK BSハイビジョンでTOKIO・国分太一でドラマ化され、さらに伊藤英明主演で映画化、フジテレビ系でドラマ化、今年9月18日には3作目の映画公開も控える。また、02年、「モーニング」に『ブラックジャックによろしく』を連載、03年に妻夫木聡主演でTBS系でドラマ化。単行本1~13巻の累計発行部数は1000万部を突破。07年、「ビッグコミックスピリッツ」に移籍し、『新ブラックジャックによろしく』と改題。09年、オンラインコミックサイト『漫画 on Web』(http://mangaonweb.com/)を立ち上げ、マンガの新天地を模索している。
新ブラックジャックによろしく 8 「世界を変えるのはいつでもたった一人の情熱だ」(Amazonより引用) amazon_associate_logo.jpg
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熱く、冷酷で、チャーミングな男たちが銃弾と踊る『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』

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ジョニー・トー監督作品と言えば、
やっぱりアンソニー・ウォン!
 男は、出された飯を美味そうに平らげなければならない。男は、拳銃の扱いに慣れていなければならない。男は、信頼できる友の前では少年のように笑って見せなければならない。そして男は、死んでも約束を守らなければならない──。『ザ・ミッション 非情の掟』(00)『エグザイル/絆』(06)で日本でもスマッシュヒットを飛ばした香港映画界の俊英、ジョニー・トー監督が描くのは、いつだってそんな男たちである。  そんなトー監督の最新作が、現在公開中の『冷たい雨に撃て、悲しみの銃弾を』だ。従来の"トー組"キャストに加え、フランスからジョニー・アリディを主演に迎えた本作もまた、男たちの侠義に彩られた、暑苦しいまでに重厚な復讐譚に仕上がっている。  『男たちの挽歌』シリーズに端を発した香港ノワールの正統な継承者でありながら、サム・ペキンパーばりのソリッドなガンアクションで魅せるトー作品、その主要キャストであり続ける俳優アンソニー・ウォンに話を聞いた。 ──『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』拝見しました。ジョニー・トー監督『ザ・ミッション 非情の掟』『エグザイル/絆』から続く3部作という捉え方でよろしいでしょうか。 アンソニー・ウォン(以下、アンソニー) それは監督に聞いてください。僕は監督の希望通りに動くのが仕事なので、特に過去の作品を意識することはないよ。確かに、役名は続いているけどね。ジョニー・トーの作品にはあまりにも数多く出演させてもらっているし、(この作品の役名である)クワイのようなキャラクターを僕に根付かせてくれたのもトー監督だからね。彼には本当に感謝しているよ。 ──今回はフランス人のジョニー・アリディがキャストに加わり、制作もフランス主導で行われたと聞いています。先に上げた2作と比べて、どんな印象を持たれましたか?
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アンソニー 僕にとっては、まったく今までの香港作品と変わりありません。僕は与えられた仕事にベストを尽くすだけ。この作品は、舞台も香港とマカオ、つまり地元だし、撮影もここ。アリディの参加はとても刺激的だったけど、彼が我々に馴染んでくれたと言ったほうがいいかもしれないね(笑)。 ──監督の演出法についても聞かせてください。トー監督の撮影ではほとんどNGカットがなく、一発撮りで撮ったシーンはすべて使うという話を聞きました。そんな監督の撮影スタイルを、演者の側からはどう見ていますか? アンソニー 確かに独特のスタイルだよね。だけど、僕自身は監督のイメージ通りに演技をすることが仕事なわけだから、何も問題はないよ。その代わりというわけじゃないけど、トー監督は細かい演技の仕方については僕らに自由を与えてくれるんだ。だって、その場の思いつきで台本を書き換えたりすることもあるくらいだからね(笑)。役者のイメージもちゃんと聞いてくれる監督だよ。まぁ、僕らの意見が反映されることはあまりないのだけれど(笑)。 ──ジョニー・トー作品はバイオレンスの演出に長けた映画ですが、昨今、世界中でバイオレンス作品に対する風当たりが強くなっています。青少年に悪影響を与えるとして、表現が規制される例も。ウォンさんはそうした「映画のなかの暴力」が観客に与える影響、また「映画のなかで暴力を描くこと」の社会的な意味についてどのようにお考えでしょうか。過去の主演作では『八仙飯店之人肉饅頭』(92)という、ものすごいバイオレンス映画もありましたが......。 アンソニー その作品についてはあまり語りたくないんだ。申し訳ない。暴力シーンの影響についてだけど、青少年というくくりの正確なところにもよると思うよ。あくまで映画は映画だし、出来上がった物の与える影響も確かにあるとは思うけれど......僕らは作品が出来上がる過程の駒でしかないし、それが仕事だからね。 ──では、ウォンさんの好きな映画を教えてください。 アンソニー うーん、ありすぎて困るね(笑)。ひとつ上げるとすれば『ベン・ハー』(59)かな......。それと、映画ではないけれど、最近香港で上演されたミュージカル『シカゴ』にすごく感動したよ。 ──最後に。今作『復仇』(原題)は『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』というタイトルで日本公開されています。とても素敵なタイトルだと思いますが、ウォンさんの印象を聞かせてください。 アンソニー 素晴らしい名前だね。オリジナルの名前よりもいいと思うよ! (取材・文=編集部) ●『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』 監督:ジョニー・トー 脚本:ワイ・カーファイ 出演:ジョニー・アリディ/アンソニー・ウォン/ラム・カートン/ラム・シュー/サイモン・ヤム/シルヴィー・テステュー 提供:ファントム・フィルム/アスミック・エース エンタテインメント 配給:ファントム・フィルム 宣伝:スキップ (c)2009 ARP - MEDIA ASIA ALL RIGHTS RESERVED 公開中 http://judan-movie.com/
ザ・ミッション 非情の掟 すべてはここから始まった。 amazon_associate_logo.jpg
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【WC2010】「退屈」「勝利を放棄している」岡田ジャパンを世界中のメディアが酷評中

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デンマークメディアも日本の様子を報道。
写真はオランダ戦での日本の失点シーン。
GK川島の反応が早すぎたとしている。
 どうやら日本では、南アフリカW杯の初戦でカメルーンを下した岡田ジャパンの話題で盛り上がっているようだ。某誌の担当編集者Tから聞いた話なので、どこまで当てになるかは分からないが、きっとそれなりには盛り上がっているのだろう。現地でW杯を取材する筆者も、カメルーン戦後には何本かの電話取材を受けたぐらいだから、きっとそうに違いない。 19日に行なわれたオランダとの第2戦は、惜しくも0-1と敗れたが、同日に行なわれた同グループのデンマーク対カメルーンが2-1でデンマークの勝利に終わったことで、日本はデンマークとのグループリーグ第3戦(24日)に引き分け以上で、決勝トーナメント進出が決まる。W杯開幕前は4連敗と結果が出ておらず、岡田武史監督がサッカー協会会長に"進退伺い"までしていたぐらいだから、よくぞここまで持ち直したと言えるだろう。  岡田監督が"ベスト4"などという非現実的な目標を掲げたことで、サッカーにそれほど詳しくない人は「グループリーグ突破ぐらいでなぜ大騒ぎ?」と思うかもしれないが、決勝トーナメントに進出するようなことがあれば、まさに快挙といえるのだ(サッカーを詳しくない方、その理由は周りのサッカーに詳しい方に聞いてください)。 ところで、世界は岡田ジャパンをどう見ているのだろうか?  日本とグループリーグ突破を争うライバルとなったデンマークでは、日本の初戦となったカメルーン戦について「つまらない試合」、「デンマークが恐れる相手ではない」と紹介。また、第2戦で日本に勝ったオランダの地元紙は、「日本は、平均的な技術しか持ち合わせていないが、労を惜しまず働くので負かすのは難しい」と一定の評価を与えながらも、全体としては「あのような守備的なサッカーは退屈で、初めから勝利を放棄しているかのよう」とバッサリ。そして、決戦を控えるデンマークの大衆紙では、自らの代表チームへの助言として日本の選手を取り上げてこんな言い方をしている。GK川島永嗣に対して「ミスなしでゲームを切り抜けることは滅多にない。たくさんシュートを放って、失敗を誘発させるべき」。W杯開幕後、俄然注目されている本田圭佑に対しては「前線では、オランダがしたように、90分間ケイスケ・ホンダをマークし続けろ」と。  果たして、岡田ジャパンの快挙なるか。 (取材・文=栗原正夫)
2010南アフリカワールドカップガイドブック 盛り上がりたい、気持ちはある。 amazon_associate_logo.jpg
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【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.06

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 北京五輪の際にも好評を博した日刊サイゾー「美女コーナー」(http://www.cyzo.com/2008/08/post_893.html)が、ワールドカップで完全復活! 日々、緊急更新中です!  第6回は、スペインからW杯を観戦にやってきたというアアナ。ほっぺのペインティングもカワイイが、ラテン系らしくはっきりとした目鼻立ちがいい。 wc_girl06.jpg  写真を撮ろうと構えると、急に横槍が入った。彼氏らしき人物? それでも「ごめんなさい」と言いつつちゃんと視線はカメラへくれたアアナ。やっぱりカワイかった。  次回の美女コーナー更新も一両日中。こうご期待! 【関連記事】 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.05 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.04 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.03 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.02 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.01

「マンガを正当なビジネスにしたい」マンガ家・佐藤秀峰 爆弾発言の裏にある思い(前編)

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 電子書籍デバイス「iPad」「Kindle」の誕生により、過渡期を迎える出版業界。隆盛を誇るマンガ雑誌も2007年に「月刊少年ジャンプ」(集英社)、08年に「週刊ヤングサンデー」(小学館)が休刊し、その後、新雑誌が創刊されるなど各社再編が相次いでいる。そんな中、"脱出版社"に向けて、作品を1話10円から販売するオンラインコミックサイト『漫画 on Web』で新たなマンガの可能性を模索するのが『海猿』『ブラックジャックによろしく』で名を馳せるマンガ家・佐藤秀峰氏。  昨年2月に公式サイトを立ち上げ、『ブラよろ』が「モーニング」(講談社)から「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)へ移籍した顛末のほか、編集部によるネームの無断改変、必要経費の実情、アシスタントからの賃上げ要求までも暴露。さらに広告用のマンガを描くも代理店の不義理な対応から掲載を拒否し、ギャラ540万円の受け取りを放棄した話や、編集者の不手際から『新ブラよろ』のコミックス9巻のカバーイラスト執筆をボイコットするなど、サイトの日記で爆弾発言を連発している。  『新ブラよろ』の雑誌掲載があと2話で最終回となる中、佐藤氏に突撃インタビューを行った。編集部との長年にわたる軋轢やマンガ界の内情、『漫画 on Web』への手ごたえと出版界の未来、プロのマンガ家になる方法、さらに次回作のプランも告白してくれた。前後編でマンガ界の禁断の真実に肉薄する。 ――佐藤先生の"暴露"が世間では大きな反響を呼んでいます。ここまで内情を晒すことに抵抗はなかったのでしょうか? 佐藤秀峰(以下、佐藤) 僕は起こっている出来事を普通に話しているだけなんですよ。今までは発言する場所がなかったのが、ホームページという発言の場ができたから言ってるだけ。怒りがたまっていて、恨みを晴らすためにやってるわけでもないんです。ニュースサイトで記事にされる場合は、"ブチギレ"とか"暴露"と見出しを付けられちゃうんですけど(笑)、僕は平熱なんです。「原稿料の話は外じゃ絶対言っちゃいけない、それは業界のタブー」という空気が支配しているのがむしろおかしい。僕が何か言うと「みんなが黙ってきたのに、何言ってるんだ」というような反応がある方が変。僕はこういうことを普通に話せる空気が欲しいだけ。 ――「単行本の表紙カバーを描いてもギャラが出ない」という話も読者には衝撃的でした。カバーをボイコットする話では、『ムショ医』で知られるマンガ家である佐藤智美夫人と夫婦喧嘩をして、出版社に対して「あいつら、レ○プしといて、『オレが女にしてやった』って言うような奴らだぜ......」と日記で発言。その後、奥さんが部屋から出て行ったところで終わったので、そのまま離婚の危機を迎えるのかと思いましたよ。 佐藤 単行本の表紙は、僕が知る限りどこの出版社もほぼ100パーセント、ギャラが出ませんね。日記を書くときは業界の人より、マンガをあまり知らない一般の方が読むことを想定して、面白おかしく伝えたいという気持ちがあるんです。カバーの話も事実を列挙して説明文を書いても面白くないので、奥さんと喧嘩した様子を実況中継風に書いたほうが読者の興味を引いて読んでもらえるんじゃないかという"演出"です。マンガのストーリーを作るのと同じで、冒頭に衝撃的な事件があって、状況説明のシーンが始まって、まただんだん盛り上がっていく感じ。実は深刻な夫婦喧嘩じゃなくて、奥さんには日記を書くときも相談して、「(喧嘩の時に)レイプって言葉は使ってなかったよ」と言われて「でもそう思ってたんだ」と言ったら、「じゃあ書いてもいいんじゃない」ということで使いました。さらに「一日、日記を空けた方が引きがあるよ」と言われて、文章は先に作っといて、一日空けてから結末は書きました。 ●マンガ界に伝わる都市伝説「編集者は3人新人をつぶして一人前」 ――マンガ編集者の間では、「編集者は3人新人をつぶして一人前」という話もあるそうで......。 佐藤 実際、担当編集者に言われたんですよ。「入社したときに先輩の編集者から編集者の心得として三つ言われたことがある。一つ目が、"編集者は3人新人をつぶして一人前"。二つ目が、"作家に絶対謝るな"。三つ目が、"大物作家とタクシーに乗るときは、作家を奥に入れろ。新人の場合は出口側に座らせろ"」。だから、マンガ家と編集者は根本的に感覚が違うわけですよ。僕らマンガ家は、表現者で自分の表現がしたいのに、編集者は自分たちが"マンガを描かせてる"と思ってるから話が通じない。僕らからすればマンガを多くの人に見せたくて、有名な雑誌に載って、より人目に付くところに発表したいと考える。そのために出版社がパートナーとして存在している、という順番。創作意欲が大前提。でも、編集者は、雑誌を埋めるためのコンテンツが必要で、そこにどの作家を選んで何を描かせるかと考える編集者の企画主導。その点が折り合いつかないことがよくある。それで、自分を傲慢とも思わないでそれが当然だと思ってる。若い頃は、なんで大学出てマンガを描いたこともない人間に、いきなり作品の批評されて「出直して来い」と言われないといけないのかと思ってましたね。何を分かって批評してるんだろう、と。 ss02.jpg ――マンガ家の心情を理解している編集者はいなかったですか? 佐藤 前の「スピリッツ」の担当はすごく好きな人で、その人は「編集者は才能にたかるハイエナで、おこぼれを頂戴しようとして才能の周りにくっついてる人間だと常に自覚しておくべき。ただハイエナにはハイエナのプライドがある」と言ってましたね。「編集者が(マンガを)作ってるというのは思い上がりだと自分は思ってる」と。要は、どこまで相手の立場を尊重できるかだと思う。 ――マンガ家と編集者の関係というと、現在「週刊少年ジャンプ」(集英社)連載中の原作・大場つぐみ、作画・小畑健の『DEATH NOTE』コンビによる『バクマン。』や、土田世紀のマンガ『編集王』でもその内幕が描かれています。佐藤先生は読まれてらっしゃいますか? 佐藤 『バクマン。』は読んでないんですが、『編集王』はアシスタントのころに読んでいて、「これからこんな編集者と付き合っていくのか、でも、ここまで悪い人たちはいないだろう」という思っていたら、もっと悪かったという(一同笑)。熱血な編集者もいるんですけど、どこかで、会社に呑まれるんですよ。作家の味方をしても、「じゃあ辞めるのか」となったら、やっぱり給料とっちゃう。1回負けると角が取れて、かわいくなっちゃう。 ――『海猿』は編集部との表現の方向性をめぐる対立から、連載終了を申し入れたと明かされています。 佐藤 『海猿』の場合は、海上保安官の仕事は、海上の治安の維持という海の平和を保つ仕事。溺れてる人がいたら助けるけど、悪いヤツがいたら時には銃を撃たないといけない。同じ人間が、ある時は命を救い、ある時は人を殺すという矛盾や葛藤を描きたかったんですけど、それは編集部が描かせてくれないわけですよ。「だったらやる意味ないや」と思って、結局止めちゃいましたね。 ――編集部は、正義のヒーローにしようとした。 佐藤 そうですね。単純に人助けをして「かっこいい」「感動した」という話を延々描いてくれと言われると無理ですね。それは僕の表現したいことじゃない。描けと強制されると無理でした。そもそも『海猿』は「ヤングサンデー」の編集者が、当時、映像制作会社に所属していた小森陽一(『海猿』には原案取材としてクレジット)さんと知り合いになって、お互い海が好きということで、海上保安庁の話を描こうとしていた。そこで小森さんが原作を文章で書いて企画会議に出して、「原作としては使えないけど、海上保安庁というのは珍しい」ということで、企画だけが残っていたんです。それを編集者が「佐藤君、描いてみないか」と持ってきて、話を受けたんです。なので、僕は小森さんの書いた原作を読んでいないのですが、小森さんは自分が原作者だと思っていらっしゃるようで、そこからお互い齟齬があったんですよね。 ――『ブラックジャックによろしく』では、編集者の取材内容にミスがあり、抗議が来てから作品に編集者の名前がクレジットされるようになりました。実際、取材はどのようにされていたのでしょうか? 佐藤 『ブラックジャックによろしく』は、まず「モーニング」で描きませんかという話だけがあって、最初は、ヤクザモノはどうだろうとか、いろいろ案はあったのですが、前作の『海猿』が海上保安官だったので、"命の現場"の話が向いているということで、医者になったんです。特に医療に興味があったわけではないです。取材は、打ち合わせで決めた内容を、編集者だけが医療関係者などに取材に行くときもあれば、僕が同行する場合もありました。がん編の途中までは、取材は編集者が主導ですね。つまり、それまでの取材の内容については、彼らの仕事の成果だと思っていますし、彼らが評価されるべきです。逆に言うと、僕にはその当時の取材内容について、責任が取れないし、編集者も、取材の内容については自分たちが保証するという取り決めでやってきたはずです。がん編の途中からと、精神科編以降は、取材も僕が主導ですね。 ――編集者だけが取材に行った内容を掲載した際にクレームが来たんですか? 佐藤 クレームは大小いろいろあるのですが、訴訟に発展しかけた最も大きなクレームについてはそうでしたね。その時も、取材の責任は誰にあるかということで、まずは作品を作る上で役割を決めようという話はしました。データがあっても、それをどう組み込んで、ストーリーを作っていくかは別の作業。編集者がデータを調べると、なぜか"自分の原作"だと思ってしまう。なので、編集者が勝手に台詞を変えて、僕が「なんで台詞を変えるんだ」と言っても通じない。編集者は「原作者と同じ仕事してる」と思い込んでいて、「だっていいものにしようと思ってる」と言うんですが、そこに意識のズレがある。物語を作るのは僕の役目。編集者に作家の領域に踏み込まれると違いますよね。僕はマンガに、そのとき伝えたい思いや表現したい内容がないと描けない。そのためにデータを利用もするし、データは物語を作る材料の一部に過ぎません。編集者の意向でそもそも表現したいことを曲げるのは、本末転倒です。 ――どんないい食材を持ってこられても、結局は調理人の腕次第ですよね。データだけがあっても、それを物語に盛り込んで生かすのは、作家の特殊技能によると思います。 佐藤 データもそうだし、言葉一つとっても、言葉だけがあって物語ができるんじゃなくて、言葉はストーリーにハマるパズルの一つ。物語を作ったことない人は、それがわからなくて、出来上がった物語の中に、自分が調べたデータや言った言葉が混ざってると、自分が作ったものだと思ってしまう。編集者だけでマンガを作っているのなら、作家をバンバン取り替えて、編集主導で100万部ヒットを連打すれば、講談社も黒字になるんじゃないかと思うんですけど。現実は違うわけですよ。それがわからないみたいですね。 ●100万部売れても一生は暮らせない ――ギャラの話もサイトでされていて、『ブラックジャックによろしく』を講談社で描いていた頃、原稿料がページ単価2万3,000円で、アシスタントへの人件費や事務所の賃貸料を考慮すると、原稿料だけでは赤字だったと明かされています。 佐藤 ビジネスですからお金の話は最初にしないといけないし、それができない雰囲気があること自体がおかしい。それをサイトで書いたら問題があるというのがわからない。アルバイトも時給がいくらかわかってから働くのが普通ですよね。編集者に原稿料の話をしても「編集長しか原稿料はわからないので、担当の私は知らない。決定権がない」と言われてしまう。ギャラを明確にせず、契約書もないままマンガを描くのはおかしいので、5~6年前からは契約の専門家を立てるようになりました。マンガ家でもそこまでやる人は少ないでしょうね。そもそも、契約書を交わさないといけないという概念がない。 ――原稿料だけでは赤字だったとしても、コミックスの印税ではガッポリ儲かっているんじゃないんですか? 佐藤 全然そんなことないんですよ。100万冊売れるマンガなんて全体の0.1パーセント以下。有限会社 佐藤漫画製作所という会社組織にしているんですが、零細企業の社長としては全然儲かってない。100万部ヒットといっても1冊500円で印税が5,000万。年4冊出して2億。それって、すごいわけではない。年商2億ですからね。僕の年収じゃない。アシスタント含めて5~6人いる企業ではたいしたことないですよ。しかもそれが全体の0.1パーセントで、平均だけで見れば、悪い商売ですよ。その上、単行本の出ない漫画家のほうが圧倒的に多いですから。トップになった人は桁が違うぐらい儲からないと職業として魅力がない。100万部ヒットを出すと一生遊んで暮らせるというぐらいじゃないとマンガ家は夢がないですよね。半分税金で持っていかれるし。 ――でも、マンガは何巻も出せますし、映像化の際のロイヤリティやグッズ収益などのキャラクタービジネスもウマみがあると思いますが。 佐藤 それはごくごく一部ですよ。言うほど儲からないですって。キャラクタービジネスで儲かるのは、漫画がアニメ化され、ゲーム化され、キャラクターグッズが飛ぶように売れる人ということになりますが、そういう人って何人もいないですよ。『ワンピース』の尾田栄一郎さんとか、『ドラゴンボール』の鳥山明さんとか、本当に限られた何人かですよ。実写ドラマ化されても、キャラクターグッズなんて出ないです。『海猿』の場合、最初の映画化では単行本の増刷がかかったんですけど、次の映画化では単行本はまったく増刷がかかりませんでしたし、テレビドラマの場合、1本30万円弱の原作使用料が入るだけです。映画が70億ヒットと言われても、僕にはロイヤリティは1円も発生しません。決められた原作使用料が1回支払われるだけです。それじゃおかしいということで、次回作ではロイヤリティが発生する契約を結んでいます。子どもの頃は週刊マンガ雑誌に連載してる人は全員大金持ちだと思ってましたけど、まさか原稿料だけでは、赤字でやっているとは思わなかったですね。  * * *  話す内容はラジカルながら、ギャラの話も冷静に臆することなく明かしてくれた佐藤先生。後半では、マンガの新たな可能性を探る『マンガon web』の現状、たゆたう気持ちをありのまま表現していただいた佐藤先生のマンガ観、さらに次回作の構想にも迫る。マンガ界震撼の後編もお楽しみに。 (後編につづく/取材・文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>) ●佐藤秀峰(さとう・しゅうほう) 1973年12月8日生まれ。大学在学中よりマンガ家を志し、福本伸行、高橋ツトムのアシスタントを経て、1998年「ヤングサンデー」に掲載の『おめでとォ!』でデビュー。同年開始の『海猿』はNHK BSハイビジョンでTOKIO・国分太一でドラマ化され、さらに伊藤英明主演で映画化、フジテレビ系でドラマ化、今年9月18日には3作目の映画公開も控える。また、02年、「モーニング」に『ブラックジャックによろしく』を連載、03年に妻夫木聡主演でTBS系でドラマ化。単行本1~13巻の累計発行部数は1000万部を突破。07年、「ビッグコミックスピリッツ」に移籍し、『新ブラックジャックによろしく』と改題。09年、オンラインコミックサイト『漫画 on Web』(http://mangaonweb.com/)を立ち上げ、マンガの新天地を模索している。
新ブラックジャックによろしく 8 「世界を変えるのはいつでもたった一人の情熱だ」(Amazonより引用) amazon_associate_logo.jpg
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【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.05

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 北京五輪の際にも好評を博した日刊サイゾー「美女コーナー」(http://www.cyzo.com/2008/08/post_893.html)が、ワールドカップで完全復活! 日々、緊急更新中です!  第5回は、ダーバンでのオランダ対日本の試合で見つけたこの子。 wc00023.jpg wc00022.jpg  ケープタウンからオランダを応援に駆けつけたというジェシカ。日差しが強く、気温23度と暖かかっためか、ピンクの派手なサングラスにタンクトップというイデタチが印象的。飛びきりの明るさで、自慢のスカートを披露するかのようにポーズを取ってくれた。  次回の美女コーナー更新も一両日中。こうご期待! 【関連記事】 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.04 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.03 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.02 【WC2010】今日のワールドカップ美女コーナーvol.01