今夜、ブラジル戦へ──強豪フランスを撃破したザッケローニに求められる“世界仕様”戦術とは

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『監督ザッケローニの本質』
(光文社)
 12日、サッカー日本代表がアウェーで行われたフランスとの強化試合で1-0と勝利した。6度目の対戦での初白星だけに、“歴史的勝利”といってもいいだろう。  今回の遠征試合は日本代表が世界の一線級の代表チームにどれだけ通用するのかを測る試金石だったが、格上の相手に押し込まれるという展開は、過去の対戦とそう変わらなかった。 「特に前半は、アフリカ系選手の強さとスピードに圧倒されていましたね。GKの川島永嗣(スタンダール・リエージュ)のファインセーブがなければ大量失点を喫して、11年前に同じスタジアムで戦った5-0の大惨敗の再現になるところでした。ただ、現在のフランス代表はかつてほど強くはないし、日本代表には香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)や長友佑都(インテル・ミラノ)といった世界的な超名門クラブでレギュラーを張るメンバーも揃っているわけですから、11年前とは違います。以前なら、相手に押し込まれると守勢一方で、よくて引き分け、下手すると大量失点でしたが、今じゃカウンターで点を取ることができますからね。その意味では、以前の日本代表に比べて一日の長がありますよ」(サッカー誌記者)  とはいえ、アジアの国相手では圧倒的な強さを誇る日本代表も、欧州や南米のトップチームが相手では分の悪さは否めないところ。W杯アジア最終予選の突破が現実味を帯びてきた今、アルベルト・ザッケローニ監督には“アジア仕様”のチームから“世界仕様”のチームへのバージョンアップが求められる。 「今回はワントップの前田遼一(ジュビロ磐田)がケガで離脱したため、ハーフナー・マイク(フィテッセ)がFWに起用されましたが、まったく通用しなかった。そうなると前田以外にワントップを任せられる選手はいないので、オプションの戦術が必要になってきます。今回、これまで選出してきたFWとはタイプの異なる佐藤寿人(サンフレッチェ広島)を選出したわけですから、次のブラジル戦では彼を起用してほしいですね。なんといっても、Jリーグで得点ランキングの首位を走る選手なんですから」(同)  そうはいっても、ザッケローニ監督の戦術的なバリエーションのなさや保守的でかたくなな采配は、一部のサポーターらの批判の的となっている。16日にはブラジル代表と試合が控えているが、フランス以上の強敵であるだけに、采配やメンバー起用など、ザッケローニ監督の手腕がより求められる。新戦力も試すことなく、従来通りの采配を繰り返すのであれば、W杯本戦に向け、監督交代も視野に入れるべきだろう。ブラジル戦は勝敗もさることながら、試合内容にも注目したいところだ。

「高度経済成長の思わぬ弊害!?」中国で機上の暴力事件が多発するワケ

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イメージ画像 photo by markyharky
from flickr
 9月30日からの8日間、中国は建国記念日に当たる国慶節にちなんだ大型連休となった。しかし、帰省や旅行などで延べ7億人が移動したといわれている連休期間中は、リラックスムードというわけにはいかなかった。  10月6日、南寧発武漢行きの四川航空機内で3人の男による乱闘騒ぎが発生した。きっかけは、ある乗客が頭上の荷物を取り出そうと、土足で別の乗客の座席を踏み台にした上、その乗客の足にぶつかったことだという。その後、座席を踏み台にされた乗客にさらに別の乗客が加勢し、1:2の殴り合いとなったという。  四川航空では9月にも、サイパン発上海行きの機内で、中国人による乱闘騒ぎが発生している。前の乗客に座席の背もたれを倒された後方の乗客の怒りが爆発し、双方の仲間も加勢して、大乱闘となったのだ。  同月には、チューリッヒ発北京行きの機内でも、中国人同士による背もたれを巡るトラブルが起きたばかりだった。当初は、酒に酔った2人の間で勃発した小競り合いだったが、周りの乗客も加勢し手をつけられない状況となったため、同機はチューリッヒへと引き返した。さらに原因となった2人は現地警察に引き渡されるという結果となってしまった。  機上の人となると、ついつい粗暴になってしまう中国人。その理由について、広東省ブロック氏社会部記者はこう話す。 「中国では10年ほど前までは、飛行機は限られた人しか乗れない憧れの乗り物だった。その後、経済成長によって購買力が向上し、一般庶民も飛行機に乗ることができるようになったが、航空業界はいまや、ローコストキャリアの台頭に見られるコスト削減の時代。狭い席にぎゅうぎゅう詰めにされ、機内食も粗末。憧れの乗り物にようやく乗れたのに期待外れの扱いを受け、殺気立ってしまう乗客が多い。トラブルを起こす乗客の多くは、飛行機に初めて乗ったという人たちです」  こうしたトラブルを防ぐため、景気のいい中国人はぜひ、ビジネスクラス以上の席に乗っていただきたいものだ……。 (文=牧野源)

“最後の避難所”に身を寄せる、双葉町避難民へのしかかる“時間”の重み

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(c)2012 Documentary Japan, Big River Films
 福島県双葉町は、福島第一原発事故後、1,200人の住民とともに、町からおよそ250キロ離れた埼玉県加須市の旧騎西高校に避難した。この避難所で、双葉町の住民たちが過ごした1年間に焦点を当てたドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』が公開される。  一つの教室にいくつもの家族が詰め込まれ、段ボールで仕切られた“家庭”の中で、避難者はそれぞれの生活を送る。遅々として政府の方針が示されないまま過ごす毎日、いつ帰れるともわからない不安、そして一時帰宅を迎えた喜び……。避難者と同じ目線で、1年間という時間を追体験することができる貴重な作品だ。  この作品を監督した舩橋淳監督の目には、双葉町の避難民や原発問題は、どのように映ったのだろうか? ――原発や放射能問題に対しては、以前から関心があったんですか? 舩橋淳監督(以下、舩橋) 原発はよくないだろうとは思っていましたが、その程度でした。僕はアメリカに10年住んでいたんですが、アメリカでは電力自由化が進んでいて、手軽に自分が使う電気の種類を選ぶことができた。ところが帰国してみると、東京には東京電力しかなかった。チョイスも何もないから、勝手に電気が来るもんだと思ってしまっていたんです。それが原発事故が起こって初めて、その電力の一部が福島第一原発から来ているということを認識しました。恥ずかしながら、そこで作られた電気が100%関東圏に来ているということも知らなかったんです。 ――舩橋監督のお父様は広島出身で、幼いころに原爆被害に遭われたそうですね。 舩橋 はい。僕は被爆2世なんですが、日本映画史でも原爆についてのドキュメンタリーはたくさん作られていたから、自分がそういう作品を作るつもりはずっとなかった。もうやり尽くされていて、自分にできることはないと思っていたんです。ところが、テレビで原発事故の報道を見ているうちに、「被ばく」ということに関して、原爆も原発も同じだと気づいたんです。それなのに、原発はあたかもクリーンであるかのようなイメージが作られていて、その存在を疑問視する声はありませんでした。それに矛盾を感じたんです。臭いものにフタをするかのように、見えないようにしてきたという歴史が少しずつわかるようになって気づいたのは、原発とは原爆なんじゃないかということ。原爆と同じことが現代に起こっているのだから、何かしらこの状況に対する映画が作られるべきなのではないかと感じ始めたんです。 ――そんなときに、双葉町が加須市の旧騎西高校に避難してきた、と。 舩橋 はい。福島県の自治体はだいたい県内に避難していたんですが、どれくらい避難するべきかという論争が起こっていました。20キロか、30キロか。アメリカは50マイル(80キロ)逃げるべきだと主張していました。学者でさえもそれぞれ違うことを言っている中、双葉町は250キロも離れた埼玉県加須市に避難した。状況がわからないんだから態勢が整うまでは遠くに逃げる、という判断はとても正しいことのように思えたんです。いったい、どういう人がこの判断を行ったのか、どういう人々がそこへ避難してきたのか、興味が湧いて、昨年の4月上旬に旧騎西高校を訪れました。 ――初めはドキュメンタリーを撮影するつもりはなかったそうですね。 舩橋 これまでは電気はどこからともなくやってくるものだと思っていて、僕はそれを湯水のように使っていた。自分の使っている電気で、自分が避難しなきゃならなくなったのであればまだ理解ができます。しかし、実際は他人が避難を強いられている、という事実が納得できなかった。避難所に行っていろいろな人に話しかけながら、この疑問を解消したかったんです。何度か足を運ぶうちに、徐々に「これは映画にできるのではないか」という考えになりました。  震災後、テレビではさまざまなドキュメンタリーが作られましたが、「どれだけ気の毒な体験をしているのか」「どれだけかわいそうな人々なのか」を描くばかりで、それは原発事故に関しては本質からずれているような気がしていたんです。原発事故では、視聴者や放送局の人間も加害者であるかもしれない。もちろん、「東電が加害者であり、われわれは電気を使っていただけだ。加害者ではない」と言う人もいるかもしれませんが、一部の人間が犠牲を強いられるような電気の供給システムに依存し、それを支えてきたのは私たちなんです。しかし、避難者を「かわいそうな人たち」という描き方をしたら、視聴者はそれを「他人事」として納得してしまう。安心できてしまうんです。作り手は当事者意識を棚上げにするのではなく、視聴者をぐらつかせるくらいの刃を突きつけなければならない。
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――それは、非常に後味が悪いものでもありますね。 舩橋 はい。でも、“お気の毒な方々”と描くことが正しいことだと思えなかったんです。どうしてこんなことになってしまったのか、電気の生産者であった双葉の避難民と消費者であった自分たちとの対話を記録するように作品を作ろうと思ったんです。 ■東電には「ありがとう」と言わなければならない ――撮影を進めるうちに、どんなことが見えてきましたか? 舩橋 加須と東京を行き来するということは、電気の生産者と消費者の間を行き来することでもあるんですが、地理的に距離が離れていることで、うまくリスクを分散させる不公平な日本のシステムというものが見えてきましたね。地方は地方で都合のいいように、東京は東京で都合のいいようなシステムが組まれてきたんです。地方には雇用や交付金などのお金が落ちてきます。これまで、双葉では農閑期である冬は出稼ぎに行かなければならなかったのですが、原発ができたことによって自分の町で生活できるようになりました。一方、東京では、地理的に距離があるので原子力のリスクを考えないで済む。節電したほうがいいのか、と感じなくて済むくらい、たくさん電気を使えるんです。こうやって双方を往復すると、原発のリスクは不均等に分散し、一部の人に犠牲を押しつけるシステムとなっていることが見えてきました。 ――そのシステムに組み込まれてしまった双葉の避難民に触れる中で、印象に残っている言葉はありますか? 舩橋 「これまでは、東電におんぶにだっこで生きていた」と言う避難者がいました。かつて、双葉は「福島のチベット」と言われているくらい、過疎がひどく、貧乏な地域だったんです。東電がなければ、双葉町は存在できなかったかもしれない。今まで30年間お世話になって、東電には仕事もおカネももらってきたのだから、「ありがとう」と言うべきなんじゃないかと語る避難者がいました。  ――報道には、なかなか取り上げられない声ですね。映画では、一時帰宅の様子も撮影されています。 舩橋 この時も、東電社員がかいがいしく世話をしていたのが印象的でした。4~5回にわたって一時帰宅を取材したんですが、ある日は土砂降りの天候。一時帰宅した住民は、ビニール袋にそれぞれの荷物を入れて帰ってくるんですが、荷物で両手はふさがっています。そこで、東電社員は避難者が濡れないように傘を差し、自分がびしょ濡れになりながら世話をしていたんです。会社が悪いことしたんだから、社員である自分たちがやらなきゃならないという、ある種の真剣さが伝わってきました。  やっぱり、東電に対する多くの避難者の姿勢は厳しいもので、彼らが避難所に来たら非難轟々になります。「東電の○○です」と挨拶しただけで「バカタレ」と怒号が飛んでいました。下々の社員は避難者の世話をしながら「すいません」と謝り続け、社長をはじめとする上層部の人々は姿を現さない。不公平だなと思いますよね。謝罪する人間はそんな下々の社員ではなく、もっと別にいるはずなんですけどね。 ■延々と続く時間の積み重ね ――旧騎西高校には、現在でも180人(9月18日現在)あまりの方が生活されていますが、みなさんの雰囲気もだいぶ変わってきましたか?
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舩橋 そうですね。今年9月から、無料で配られていたお弁当が有料化されました。が、肝心の土地や家の賠償はまだ始まっておらず、再スタートのためのお金をもらえていない。避難者も時間がたつことによって余裕がなくなってくるから、賠償も「いくらでもいい、なんでもいいからちょうだい」となってしまうでしょう。これは水俣病の時にも行われていた、卑怯な方法なんです。日本は水俣病の当時からまったく成長していません。 ――行政に対しては、何が一番の問題だと思いますか? 舩橋 時間軸方向での被害を見積もるのが、日本人は下手ですよね。どこが何マイクロシーべルトなのかとマメに放射線量を測定することは得意なのですが、「何年まで住むことはできない」と、時間軸方向で被害を見積もることができません。「いつか改善されます」「わからない」で済ませてしまうことが多い。わからないのであれば、仮に「40年は住めない」と設定して合理的な判断をしていけばいいのに、避難者の時間は引き延ばされて、どんどんと待ちぼうけにされてしまう。それは時間的な損害なんです。その損害によって、避難者はどんどん疲弊してしまいます。 ――では、このような状況で、双葉町民にとっての希望とはなんなのでしょうか? 舩橋 「仮の町」だと思います。今、双葉町では「7000人の復興会議」として町民を集め、どうやって次の町を生み出していけばいいのかを町民たちが議論しています。時間がたつと、人々がばらばらになってしまいますから、できるだけ早く仮の町構想をまとめてほしいですね。その構想を知るだけでも、避難者にとっては生きる希望となるはずです。 ――観客には、どのようなことを感じてほしいですか? 舩橋 映画を編集する際は、観客も避難所で日々を過ごしていると感じられるように腐心しました。朝起きて、散歩して、弁当食べて、タバコ吸って、テレビのニュースでは原発の作業は何も進んでいないと言われ、夜が更けていく……。避難者を取り巻いている、延々と続く時間の重みを感じ取ってほしいと思います。 ――それは「当事者」を疑似体験することにほかなりませんね。 舩橋 避難を他人事とせず、できるだけ感情移入してほしい。まさしく自分が避難所で毎日を過ごしていて、やっと3カ月ぶりに2時間だけ一時帰宅することができる。そんな時間の流れを、時系列で体感してほしいんです。5分のニュースでは伝えられない時間の重みを描くことができるのが、ドキュメンタリーですからね。 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])
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●ふなはし・あつし 1974年大阪生まれ。東京大学教養学部表象文化論分科卒後、ニューヨークで映画制作を学ぶ。長篇映画『echoes』は仏アノネー国際映画祭で審査員特別賞、観客賞を受賞。第2作『BIG RIVER』(2006年 主演オダギリジョー、製作オフィス北野)、第3作『谷中暮色』(2010年)と本作『フタバ〜』は、3作品連続ベルリン国際映画祭に正式招待と、国際的な評価を得ている。 ●『フタバから遠く離れて』 10月13日(土)より、オーディトリウム渋谷ほか全国順次ロードショー <http://nuclearnation.jp/jp/

「一般コミックでも大丈夫……じゃなかった!」不健全図書指定された『ぽちとご主人様』の顛末

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不健全図書指定後に全年齢向けコーナーに
陳列されていた事例(現在は、棚を移動済み)。
「大丈夫!アスキー・メディアワークスの一般コミックだよ!」  8月、都内の書店で販売されたある単行本に、こんなPOPがつけられていた。POPが意味するのは、出版社側が18歳未満への販売を自主規制する「成年コミックマーク」をつけていない=すなわち小学生でも購入できるということだ。  その単行本が、綾乃れな著『ぽちとご主人様』(アスキー・メディアワークス)だ。書店のPOPは「大丈夫!」と銘打っていたにもかかわらず、東京都は、9月の東京都青少年健全育成審議会に、この本を提出。参加した委員から「指定やむなし」という多数意見を得て、不健全図書に指定された。  この作品は、SkyFish pocoが発行する同名の美少女ゲームをコミカライズしたもので、アスキー・メディアワークスが発行する雑誌「電撃HIME」などに連載されていた。ドエスな主人公と幼なじみが互いの親の婚約によって兄妹になってしまうが、幼なじみは主人公のペットになることを提案するという物語だ。  東京都青少年課は、この単行本を不健全図書の候補として審議会に挙げた理由を次のように語る。 「従来の基準に従って、精液や擬音から卑わい性があると判断しました」(都青少年課の佐藤久光課長)  審議会の前に自主規制団体から意見を聞く、諮問候補図書に関する打ち合わせ会では(昨年改定施行された条例で追加された指定基準である)近親相姦描写についても、規制に該当するという意見が出たが、都側は「あくまで新基準は従来の基準では指定対象にならない場合に用いるもの」として、採用しなかった。都は、あくまで問題なのは作品中の描写の「卑わい性」だというわけだ。  そもそも「卑わい性」とは、非常に曖昧な概念である。資料によれば、この作品は、条例を運用するために定めている施行規則に記された基準のうち、第15条第1項第一号イ・ロの部分に該当しているとされる。その基準は、次のようなものである。 「イ 全裸若しくは半裸又はこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。 ロ 性的行為を露骨に描写し、又は表現することにより、卑猥な感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること」  この基準も「一体どこまで描写したらアウトなのか」判然としない、極めて曖昧なものだ。となると、恣意的に決めているのではないかという疑念が湧くが、少なくとも今回に限っては反論が難しい。というのも、この作品が連載されていた「電撃HIME」が、表紙に成年向けマークを表示した雑誌だからだ。  出版社が雑誌・単行本の表紙に「18禁」、あるいは「成年向け」のマークを印刷する自主規制の目的は、過激な表現を扱っていることを示し、書店に18禁コーナーなど子どもの手には届かない場所で販売することを促すもの。  つまり、過激で子どもが買ってはいけない内容であることを出版社が自覚している雑誌で連載していた作品なのに、単行本になったら子どもでも買える珍妙な現象が起きてしまったというわけだ。  「電撃HIME」に連載された作品は、青年向けコミックレーベル「電撃ジャパンコミックス」として販売されている。「電撃HIME」で連載された作品は、ほかにも単行本化されているが、いずれも黄色い楕円の自主規制マーク「成年向けコミック」マークはつけていない。アスキー・メディアワークスが、マークをつけなかった理由はなんなのだろうか。 「今回のコミックスの内容は、不健全図書指定を受けるような水準ではないという判断をしてしまいました」 と、同社の担当者は話す。東京都が不健全図書指定の候補に挙げる判断をする基準として「擬音と体液の量」を重視していることは、同社も知っていたと話す。また、日本雑誌協会には角川グループパブリッシング(角川グループの各出版社の発売元)が加盟しており、規制問題に関する情報はきちんと入手しているという。  実のところ、今回の一件を同社の「ミス」と責めるのは酷である。というのも、この作品で扱われている描写は、かなり微妙なラインなのだ。成年向けマークつきの雑誌・単行本も含めて、昨今のエロ描写強めの作品に日常的に触れていると、この描写で指定を受けるか否か? あるいは、マークなしでも大丈夫か否かの判断は、迷うところだ。 「今後は、同様の指定を再度受けないような表現内容の基準を設けるなど対応したいと思います」 という同社担当者の言葉からは、大手出版社ならではの責任感が感じられる。  あくまで推測にすぎないが、もし描かれているのが成人女性だったら、指定を受けていたかは微妙なところである。やはり、指定候補の雑誌・単行本を買い集める都の職員、審議会のメンバー構成を考えると、ロリ表現は、悪い意味で下駄を履かされる面が否めない。  また、この作品の場合は冒頭で触れた書店のPOPのように、平積みされて非常に目立っていたことも、指定候補に挙げられた理由ではないかと考えられる。指定候補の雑誌・単行本は、都の職員が実店舗を回って購入するスタイルだ。この作品は、良くも悪くも目立ったがために、指定に至ったとも見ることができる。今年は創立20周年を迎え、長く日本のオタク文化を牽引してきた同社には、今回のことで萎縮することなく、読者を驚かせる表現を追求してほしいものだ。 ■不健全図書指定後も区分陳列しない書店が  一方で『ぽちとご主人様』は、予想を超えたあり得ない問題を引き起こしていた。それは、多くの書店で不健全図書に指定された後も、必要な対応が取られていなかったことだ。  『ぽちとご主人様』が不健全図書指定された審議会が開催されたのは、9月10日。翌11日には報道発表がなされ、14日には都からの通達も行われた。  不健全図書指定された場合、指定を受けた雑誌・単行本を店頭で販売する際に書店は、包装した上で18禁コーナーに区分陳列し、18歳未満には売らない措置を取らなければならない。  ところが、9月26日に秋葉原の書店をめぐってみたところ、なおも全年齢向けの書棚に、ほかの「電撃ジャパンコミックス」レーベルの単行本と一緒に並べられていたので驚いた! 早速、本を手に取って、店員に「これは、18禁じゃないのか?」と聞いたところ、きょとんとしながら 「いえ、一応大丈夫です」 と、返された。一体、何が大丈夫なのだろうか? もしや、石原都政に対する新たな挑戦なのかと、この書店に取材してみたところ、驚きの回答が返ってきた。  東京都では9月14日に郵送で通知をしたというのだが、この書店では 「当社及び秋葉原店を含めた当社各店舗への東京都からの通知の到達が確認できておらず、現在、事実関係につき調査中です」 というのだ。  早速、前出の都青少年課の佐藤課長に再度問い合わせてみたところ、 「正直、100%すべての書店に通知を発送できてはいないと思います」 と、これまた驚きの答えが。佐藤課長は続ける。 「東京都でも電話帳などで確認して随時更新をしておりますが、書店は登録制の事業ではないため、若干反映しきれていないところもあります。書店組合などに加盟していれば、そういった団体を通じて別途、通達が行っていると思うのですが……」  てっきり「届いてないハズがない」と反論されるかと思いきや、予想外の自信のない回答だった。だが、この書店は別件で取材した際に、東京都からも立ち入り調査を受けて「ちゃんと年齢区分していて問題がない」と太鼓判を押されたこともあると話していたのだが……真相は藪の中である。  ただこの書店も、当惑しつつも 「直ちに全年齢向けコーナーでの陳列を中止し、条例に適した陳列・販売方法への変更を行っていきます。また、現時点では、18歳未満のお客様がご購入された事実は確認できておりません」 と、対応は真摯であったことを、付け加えておきたい。  不健全図書指定が決まった後の運用に、若干の漏れがあることが明らかになってしまった今回の一件。全体を総括する中で見えてくるのは、表現が多様化する中で18禁と全年齢を区分するだけの、自主規制ができなくなってきていることだ。そろそろ、本気で15禁の導入など、あくまで自主規制としてレーティングを細分化する必要性が出てきているのではなかろうか。インターネットも普及し、いつでもどこでもエロを手に入れることができるようになった昨今、ちょっとは少年少女にも、エロを手に入れる苦労とドキドキ感を味合わせたほうがよい。 (取材・文=昼間たかし)

「この社会情勢が続く限り、どこかでまた起こる?」2カ月間の“お祭りデモ”とはなんだったのか? 

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慶應義塾大学教授・小熊英二氏。
 今夏、霞が関の官邸前周辺では異様な事態が起こっていた。毎週金曜日の18時から20時の2時間、脱原発を求める人々が続々と集まり、「再稼働反対!」「子どもを守れ!」というシュプレヒコールと共に、ジャンベやドラムの音が鳴り響く。いかにもな雰囲気の活動家や主婦、子ども連れの母親、スーツを着たサラリーマン、フリーター風の若者……。お手製のプラカードや旗を掲げ、それぞれのスタイルで官邸に向かって抗議する。それは、ひと昔前の過激なデモとは180度異なる、自由でにぎやかで、それでいて“もしかしたら何か変わるかもしれない”という、妙な期待感を感じさせる光景だった。  このデモを主催しているのは、首都圏反原発連合というグループだ。今年3月末のスタート時の参加人数は、わずか300人程度。その後、回を重ねるごとに1000、3000、5000、1万と増え、大飯原発再稼働を間近に控えた6月25日には10万とも20万ともいわれる人々が集まり、その後、約2カ月にわたってお祭り騒ぎとなった。  いったいこの“お祭り”デモとはなんだったのか? 慶應義塾大学教授で、著書『社会を変えるには』(講談社現代新書)で日本の社会運動の歴史や3.11以降の日本の社会情勢について記している小熊英二氏に話を聞いた。 ――小熊さんは震災以降、さまざまな脱原発デモに参加されていますが、官邸前デモを主催している首都圏反原発連合(反原連)とは、どのような関係なのでしょうか? 小熊英二氏(以下、小熊) 官邸前デモには今年の6月から通っています。反原連はそれまで別々にやっていた13のグループが集まってできていますが、官邸前に参加する前から彼らの半分くらいの人は、昨年来の別のデモで一緒に歩いたことがあったので、お互いに顔は知っていました。とはいえ、私が大学教授だと知らない人も多かったと思います。「デモでよく見る人だから」ということで信用されたんでしょう。 ――8月22日に行われた反原連と野田首相との面会の際には、仲介人としてご出席されました。どういった経緯で面会が実現したのでしょうか? 小熊 反原連は以前から首相に要請文を渡そうとしていましたが、うまくいかなかった。どうにか展望が開けないかという相談を、スタッフの一人から7月下旬に受けたんです。それで、私は今年5月に菅直人さんに戦後史のレクチャーをして面識があったので、こんなに民衆から声が出ているのだから、政治がなんらかの形で応えたほうがいいと連絡を取った。菅さんは最初「私が会いましょうか?」と言いましたが、それでは陳情みたいになってしまう。そこでまず7月末に、菅さんなど脱原発志向の超党派議員と、反原連の対話集会を公開で行ったんです。そこで反原連側が「首相に会わせてほしい」と強く訴えて、菅さんは「わかりました」と応えた。それから3日して電話があって、「首相が会ってもいいと言っている」ということになったんです。 ――組織化されていないグループの代表があのような形で首相面会を果たすとは、驚きました。しかも、その様子をすべて中継するなんて。 小熊 そういう前例を作ることは、大きな意味があると思っていました。短時間でしたが、大組織でもない民衆運動が首相を引っ張り出した例は、近代日本にはないし、世界的にもほとんどない。それは大きなことですよ。それにあれは、政府の側からすると、大きな先例を作った。これから先、例えばTPPの反対運動などが盛り上がったら、農協の全国組織の会長でなくても首相と会える、そういう先例がある、となるわけです。政治も官僚も、先例があるかないかで動きますからね。日本の政治に影響を与えたことは間違いない。 ――それは、野田首相個人に対しても同じでしょうか? 小熊 野田さんは、あの場では表情を崩さずに無難なことを話していましたが、十分影響を受けていると思いますよ。この3~4カ月の間に民主党はもちろん、議会のいろいろな会派も脱原発に寄ってきて、大きな争点になった。資源エネルギー庁や電力関係の人たちは、首相面会なんて絶対にやらせたくない、首相と会うのは電事連の代表とか経団連の代表だけ、ということにしておきたかったはずです。そういう抵抗がある中で、会わざるを得ない状況になってしまった、というのはデモの成果です。  また政治家というのは、意外と対面した人物に影響されるものです。街頭演説をすると、20分くらいで街の雰囲気や反応を肌でつかむそうですからね。あの面談で、いかにもごく普通の人から、「野田さんに期待していたのに、がっかりした。あんた男でしょ、官邸から出てきて会いなさいよ!」とか言われたわけです。今後、原発関連で重要な決断を下さなければならない時には、野田さんはあの顔がちらつくでしょうね。 ――官邸前デモは、大飯原発再稼働を間近に控えた6月下旬から9月にかけて大盛り上がりとなり、10万人とも20万人ともいわれる人々が集まりました。ある種の“ブーム”ともいえるお祭り的な騒ぎでしたが、ここまで盛り上がった要因はどこにあるのでしょうか? 小熊 官邸前が注目されたのはすごく単純な話で、政治家や大手マスコミの政治部記者の目に入ってきたからです。2011年からデモは数多く起きていたのに、彼らはほとんど知らなかったので、今年の6月になって急にデモが出てきたと思ったらしい。それで一気に報道もされたから、急にブームが起きたように思われたんでしょう。実際には、去年からの積み重ねと連続の中で、官邸前デモが起きたのですけれどね。  人が集まった最も大きな要因は、20年も経済が低迷して、雇用も家族も不安定になっているのに、政治がまったく機能していない、と不信感が募っていたことでしょう。そんなところに起こった原発事故の対応は、誰がどう見てもお粗末だった。情報公開も足りないし、政府は手続きさえ済ませればいいと考えている、と思われてしまった。それではどこの国だって、何か起こらないほうがおかしい。外国の報道はそんな感じですし、官邸周辺に毎週何万人も集まったら、それは相当まずい事態だと普通なら考えます。無視できない事態になってしまったから、首相がデモ主催者と面会せざるを得なくなった。そういう当たり前のことを、当たり前に受け止められない人が、「日本でそんなことが起こるはずがない」とか「ただのブームだ」とか言うんでしょう。 ――そんな“お祭り”デモですが、一時期に比べると、徐々に参加者の熱が冷めてきてしまっている印象があります。7月上旬までは、車道以外は比較的どこからでも抗議可能だったのが、デモエリアが3カ所に分けられ人数が分散されている影響もあるのかもしれませんが、20~30代の若い層の参加者が減ってきている気がします。 小熊 デモが“お祭り”なのは、最近はどこの国でも共通です。またデモに限らず、お祭り的なものは、1~2カ月したらピークを過ぎます。何年も同じ場所で同じ状態が続くなんてありえない。とはいえ経緯としては、昨年4月から高円寺の人たちの主催で盛り上がったデモは半年で一区切りを迎え、これで終わりかなと思っていたところに、今度は別の主催で官邸前に集まった。官邸前しか見てないマスコミは、一時のブームだったと思うかもしれませんが、全体から見れば脈動みたいなものです。経済停滞と政治の機能不全という状況は変わっていないし、どこかでまた何か起こると思いますよ。 ――“お祭り”でも、原発再稼働が広がらないためのリミッターとして機能したのでしょうか? 小熊 それは間違いないですね。日本ではここ半世紀、こういう経験がなかったものだから、社会運動の効果に懐疑的というか、何が起こっているのか、みんなよくわかってない。けれど外国のことだと思ってみれば、こんなに停滞して不満が高まっていた国で、官庁街に毎週何万人も集まったら、影響がないはずがないでしょう。大飯原発の再稼働は、福島原発事故から1年たってほとぼりも冷めたようだし、もう大丈夫だろうと形式的な手続きを踏んでやったわけですが、そうしたらあんな騒ぎになってしまったというのは、政治家にとって怖いことですよ。「日本の政治家だけは例外だ」ということはない。 ――9月14日のエネルギー・環境会議では、首相の口から「2030年代に原発ゼロ」という方針が打ち出され、国際原子力機関(IAEA)年次総会でも国際社会に発表されました。この政府の政策転換に対しても、官邸前デモをはじめとする一連の反原発デモの効力があったのでしょうか? 小熊 結果としてはそうでしょう。とはいえ、野田さんが当面気にしていたのは民主党内の脱原発派議員だったはずです。しかし、その数は絶対多数ではない。彼らも離党したら党内での影響力がなくなるから、あまり党の方針に反することを大声では言えない。でも、そういう議員たちが「官邸前に何万人もの人が来ています。これは聞くべきじゃないですか?」と圧力をかけられるようになった。少数派の議員集団が腹の底で思っているというレベルだったものが、声を大にして発言できるようになり、さらにそれを聞かなければならない雰囲気に動いていくというのは、デモや世論がなかったら起きないことです。もちろん、それは議会内だけを見ている政界記者たちに言わせれば、野田さんは原発と消費税とTPPとオスプレイの四正面作戦になってしまうのは避けたいから脱原発に傾いたのだとか、民主党がこれ以上分裂するのは避けたいから脱原発派の議員の主張を一部聞いたのだとか、いろいろ言うと思いますよ。でもそれは、議会内だけ見ていればそう見える、というだけのことであって、デモがなかったら動かなかったことですからね。 ――一方で、この「2030年代に原発ゼロ」発言に対しては、具体的なプランが示されていなかったり、閣議決定が見送られるなど、本当に実現されるのか疑問視する声も多いですね。 小熊 繰り返しになりますが、今の日本は20年も経済低迷して雇用情勢も悪い、かなりまずい状態です。そのなかで、世論調査でも7~8割の人が脱原発を支持している。今年の夏は、原発を2基動かしただけで電力は足りてしまい、それが既成事実になってしまった。この情勢で、どんどん原発を推進します、なんて政策に簡単に戻れるはずがない。その結果としてゼロにすると決めたけれど、利害のある各方面の調整が難しい。だから、公式方針としては言えることが限定されるというのは、いいことだとは思いませんが、理解はできます。  また現実には、ただちにすべての原発を止めた国なんてない。スウェーデンは1980年に2010年までに国内の12基を全廃すると決めたけれど、今のところ2基減っただけです。ドイツも2002年に「脱原発法」が制定され、2021年までに当時稼働中の17基を全廃すると決めたけれど、その後に稼働年数が延長された。福島の事故を受けて、やっぱり段階的にやめると転換しましたが、まだ紆余曲折があるかもしれません。ただ日本は、幸か不幸か本当に全部止まった状態を一度経験してしまったので、これらの国より早く脱原発する可能性も高いかもしれない。声を大きくしていけば、実現できるレベルだと思います。 ――テレビや新聞の報道では、このまま原発依存を続けるのか、脱原発路線を目指すのか、いまだに混迷を極めている感がありますが、社会は動いているといえるのでしょうか? 小熊 物事は多元方程式のように進んでいきます。それは、デモをやったけれどすぐに原発が止まらなかった、じゃあ意味がない、というほど単純なものではないし、すぐには結果が見えづらい。けれど、水面下では確実に影響しています。  またデモに参加した経験を持った人は、また何かあれば動きます。数十万人単位でデモ経験者が生まれ、社会の中でも忌避感が薄れたというのは無視できないですよ。経験者の中から自分で運動を主催する人も出てくるだろうし、政治家を目指す人もいるかもしれない。  この事故が20~30年前の、原発も伸び盛りで日本経済も全盛だった時期に起こっていたら、おそらく情勢は違っていたと思いますが、今は違う。東大の原子力工学科が、2001年には造船学科や鉱山学科と合併になってしまったくらい、原発産業はもともと行き詰まっていた。政治家も、自民党全盛期は遠く過ぎ、町内会や商工会を地盤固めすれば当選できるといった、今までのやり方が通用しなくなったことはわかっている。今回の再稼働にしても、経団連と電力会社に話をつけて、官庁に情報を集めてもらい、県知事と地方議員が地元の商工会や町内会を固めれば、それで大丈夫と思って判断したけれど大反発を食らった。もう昔のやり方は通用しない。そして彼らが把握できていない無党派層が、デモに来ているわけですからね。 ――それでは今後、日本はどうなっていくのでしょうか? 小熊 だんだん普通の先進国に近づいていくでしょう。日本が先進国の中で「ユニーク」と呼ばれた特徴、例えば経済的に先進国化したのに政治や政治意識のレベルが低いまま、という状態があった最大の要因は、ほかの先進国が不況の中で政治意識が上がっていった1970~80年代に景気が良かったことです。経済が良かったから、政治が三流でも、消費だけやって社会に無関心でも済んだ、というだけです。その時期に作られた、終身雇用とか公共事業とかの仕組みが崩れれば、“普通の先進国”になるというのは自然の成り行きです。“普通の先進国”の現状が明るいものかどうかに関して疑問符が付きますが、今以上に自分で物事を判断して、自分で動くことが求められるでしょう。だったら、今のうちから、デモに参加したり自分で声を上げたりする練習をしておいたほうがいいと思いませんか? (文=編集部) ●おぐま・えいじ 1962年、東京生まれ。87年、東京大学農学部卒業。出版社勤務を経て、98年、東京大学総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教授。著書に『1968』『<民主>と<愛国>』『<日本人>の境界』『単一民族神話の起源』(以上、新曜社)、『日本という国』(イーストプレス)、『私たちはいまどこにいるのか―小熊英二時評集』(毎日新聞社)などがある。

「知事による廃棄命令は!?」ついに発動された、“日本一番厳しい児童ポルノ規制条例”

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京都府児童ポルノの規制等に関する
条例の概要チラシ。
 昨年10月に成立した、京都府児童ポルノの規制等に関する条例。山田啓二知事が、2010年の府知事選のマニフェストで「日本で一番厳しい児童ポルノ規制条例をつくります」と掲げたことから、“日本一厳しい児童ポルノ規制条例”とも呼ばれている。条例の目玉は、正当な理由なく「児童ポルノ(国の法律である“児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律”の第2条第3項に規定するもの)」を所持している者に対して、「知事による廃棄命令」を出すことを定めていることだ。  9月13日、「児童ポルノ」が記録されたDVD38枚を所持していた京都市内の男性が、条例の初適用を受け、自主的に廃棄をしていたことが明らかになった。  京都府青少年課によれば、9月7日に京都府警から京都府に対して「“児童ポルノ”と確定はできないが、疑われるものを所持している者がいる」と連絡があり、担当職員2名を警察署に派遣し、男性に指導を行ったとのこと。  新聞各紙の報道によれば、7月に京都府警が「児童ポルノ」のDVDを販売していた販売業者2名を逮捕。そこから、購入者として今回の指導の対象となった男性が浮かび上がったという。 「指導にあたっては、38枚のDVDのうち1枚を職員が再生しました。もちろん、医学的な検証を行わなくては“児童ポルノ”と確定はできませんが、明らかに児童の性交類似行為、具体的には裸が映っていました。男性本人も“児童ポルノ”であると認め、残り37枚も“児童ポルノ”だと本人から申告がありましたので、条例の趣旨を説明し、その場で廃棄してもらいました」(京都府青少年課)  今回は、所持していたのが明らかに「児童ポルノ」であり、男性も自主的な廃棄に応じたため「廃棄命令」は出なかった。もし、指導を受けても廃棄を拒否したら「廃棄命令」が出されるのだが、その後も「抵抗」の余地は大きい。「廃棄命令」にあたって条例では「児童ポルノを所持し、又は児童ポルノ記録を保管していると認められる者その他の関係者(以下この条において『関係者』という)に対し、当該児童ポルノを所持し、又は当該児童ポルノ記録を保管していると認められる場所に立ち入り、調査させるよう求めさせることができる」としている(第9条)。また、「知事は、前各項の規定による命令(以下『廃棄命令等』という。)をしようとするときは、京都府行政手続条例(平成7年京都府条例第2号)第13条第1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない」ともある(8条の5)。  つまり「廃棄命令」を行おうとすれば、府は該当する人物が所持しているのが「間違いなく児童ポルノだ」と医学的な方法などで証明しなくてはならない。また、所持しているかがはっきりしないなら「立ち入り調査」が必須だが、これはあくまで「任意」なのだ(第9条の4で“第1項及び第2項の立入調査等は、犯罪捜査のためのものと解してはならない”と規定)。つまり、警察当局が相当計画的にでっち上げをする気でなければ『関西援交』の類だとか、明らかに被写体が「児童」であり、なおかつ摘発された販売業者のリストに購入履歴があったぐらいでしか、適用されそうもない。 「プライバシーの問題もありますし、冤罪の可能性を防ぐために、運用は警察からの情報提供と被害児童からの申告に限定しています」(同)  この条例では、「児童ポルノ」を所持して京都府に行ったら、自動的に条例が適用されてしまうのかという点も危惧される。例えば、筆者が「正当な理由なく」東京駅から「児童ポルノ」を所持して新幹線に乗り京都駅に降りたら、いきなり条例適用になってしまうのか? とも考えられるが、それはないようだ。  それにしても、今どきインターネットなどを通じて購入すれば、芋づる式に警察にバレる可能性は極めて高いのに、それでも購入する者がいるのが不思議だ。そんなにリスクを冒してまで、子どもの裸が見たいのか?  なお、京都府青少年課が廃棄を指導したDVDに収録されていた作品タイトルなどは「被写体個人が特定される恐れがある」として、回答してもらえなかったことも記しておく。 (取材・文=昼間たかし)

デル・ピエロやヘスキーも加入! 小野伸二が移籍するサッカー豪州Aリーグの現状とは

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『小野伸二 清水エスパルス グレート
プレイヤー』(コナミ)
 元日本代表MFの小野伸二が、J1清水エスパルスから豪Aリーグのウェスタン・シドニー・ワンダラーズへ移籍した。2010年に、独ブンデスリーガのVfLボーフムから清水に加入し主力としてチームを牽引してきたが、昨年12月に年俸40%ダウンを提示され、今季はベンチ入りの機会も激減。クラブとの確執が取り沙汰されていた。 「Jリーグでも数少ない1億円プレーヤーだったのが、今季は年俸7,000万円でしたからね。相当プライドを傷つけられたはず。加えて、今季はコンディションも整わず、運動量が求められるアフシン・ゴトビ監督の戦術とも合わず、半ば戦力外の状態でした。このままでは来季の放出は確実だったでしょうから、小野にとってもクラブにとっても、いい移籍だったと思いますよ。年俸だって、80万豪ドル(約6,500万円)ですしね。Aリーグの平均年俸は1,000万円程度なので、相当の高額オファーです」(サッカー誌記者)  小野といえば、地元・静岡では小学生時代から天才と呼ばれ、清水商業高校卒業時にはJリーグ13クラブからオファーを受けたほど。浦和レッズ入団後も天才の呼び名にふさわしい活躍を続け、98年のフランスW杯では弱冠18歳で日本代表に選ばれ、途中出場したジャマイカ戦で見せた鮮やかな股抜きは、ファンにとっては鮮烈な記憶として残っている。それだけに当時、小野の前途は洋々だったのだが……。 「ドリブル、パス、シュートすべてにおいて完璧なプレーヤーでした。このまま経験を積めば、世界的な名選手になれると誰もが思ったものです。ボールテクニックなんて、世界でも五指に数えられるほどでしたよ。しかし、99年のシドニー五輪のアジア1次予選のフィリピン戦で、左膝靭帯断裂の重傷を負ったことでキャリアが暗転してしまいました。古傷をかばいながらのプレーで運動量も落ち、ドリブルやシュートが激減。パス中心となり、スケールダウンしてしまいましたね。それでも、あれほどの能力の持ち主なので、蘭エールディビジのフェイエノールトでは主力としてUEFAカップ(現在のヨーロッパカップ)の優勝に貢献しました。AリーグではJリーグほど運動量は求められないし、テクニックはいまだ錆びついていないので、十分活躍できると思いますよ」(同)  小野の新天地であるAリーグだが、オーストラリア各地から9チーム、ニュージーランドから1チームが参加し04年に発足。韓国の現代自動車がオフィシャルスポンサーを務めており、正式名称は「ヒュンダイ・A・リーグ」。05年には、同リーグのシドニーFCに“キング・カズ”こと三浦知良(横浜FC)が短期間在籍したことでも知られる。  ちなみに、そのシドニーFCには今季から、あのイタリア元代表のアレッサンドロ・デル・ピエロが加入して話題を集めている。また、ニューカッスル・ジェッツには元イングランド代表のエミール・ヘスキーが加入し、先日引退を発表した元ドイツ代表のミヒャエル・バラックの移籍が取り沙汰されたりと、Aリーグはちょっとした花盛りなのだ。 「レベル的にいえば、AリーグはJリーグより若干劣る程度。もちろん、資金力もそれほどなく、各クラブにはサラリーキャップ制が導入されていて、各クラブの年俸総額が160万豪ドル(約1億3,000万円)と定められています」(同)  小野の年俸はチームの総額の半分を占めており、デル・ピエロに至っては豪サッカー史上最高額の200万豪ドル(約1億6,000万円)もの年俸が支払われるという。サラリーキャップ制が導入されているにもかかわらず、なぜこうした高額年俸を支払うことができるのか? 「サラリーキャップの制限を受けない“マーキープレーヤー”という選手を、各クラブ1人獲得できるんです。アメリカのMLS(メジャーリーグサッカー)に倣った方式ですが、このやり方でMLSはイングランド元代表のデビッド・ベッカム(ロサンゼルス・ギャラクシー)や元フランス代表のティエリ・アンリ(ニューヨーク・レッドブルズ)といった有名プレーヤーを次々と獲得し、リーグの活性化とレベル向上を実現したんです。今回、小野やデル・ピエロに求められているのも、単にプレーの質だけでなく、こうしたリーグそのものへの貢献なのです」(同)  緊縮財政が続くJリーグでは、久しくスター選手の獲得がない。活躍できるかどうかわからない高齢の有名選手よりも、より安価でJに適応しやすい若手の外国人選手を獲得するのが主流だ。各クラブとも経営に汲々とするばかりで、リーグ全体の大局的な展望など、なきに等しい。中国やアラブ諸国のリーグでは資金力にモノを言わせ、スター選手を次々と獲得して活況を呈しているが、Aリーグもこうした流れに追随するとなると、Jリーグの地盤沈下が懸念される。

カビにまみれた月餅の餡を再利用……中国の「再生月餅」が日本にも流入か!?

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何これ!?
 9月30日に迎えた中秋の名月。中国では月を愛でながら月餅を食べる習慣があるが、今年の中秋を前に、中国全土では安全基準を満たさない毒月餅メーカーが次々と摘発された。  その多くは、防腐剤に有害物質が使用されていたり、工場内の衛生環境が劣悪だったりといったものだったが、中でも衝撃だったのが広東省東莞市で摘発された「月餅再生工場」だ。この工場では、昨年生産されたものの売れ残った月餅を回収。固くなった表面を削って内部の餡を取り出し、それを再利用して生産した月餅を製品として出荷していたというのだ。摘発現場では、原料とされていたカビまみれの古い月餅や、製品として出荷を待っていた330箱の月餅が押収されたというが、すでに市場でも多数の製品が流通しているという。 20120926030039103.jpg 「これは氷山の一角。同様の月餅再生工場は全国に点在している」 と話すのは、広東省ブロック紙の社会部記者だ。 「河北省衡水市のある中学校では、学校が支給した月餅を食べた生徒数百人が、下痢や吐き気などの症状を訴え、病院に搬送されるという事件も起きていますが、これがどうやら再生月餅だったという情報もあります」  下水から採取した油分を加工して食用油として出荷される「地下油」同様、中国のリサイクル技術には度肝を抜かれるばかりだが、日本も対岸の火事ではいられないようだ。 「こうした状況を受け、ドイツ、フランス、韓国やインドなど、世界34カ国ではすでに中国製月餅の輸入を禁止しているんですが、今のところ、日本では一回5キロ未満の月餅の輸入に関しては、ノーチェック。再生月餅が日本に流入している可能性も十分ありえます」(同)  中秋の名月に、月餅を食べた諸氏、もしや中国製ではなかったか? (文=牧野源)

「殺人に店側も関与していた?」六本木撲殺事件 現場店舗「フラワー」摘発の裏側

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 9月2日、飲食店経営者の藤本亮介さんが、集団で暴行を受け死亡した事件の現場となった、六本木のクラブ「スタジオゲート」(旧フラワー)。10月1日、このクラブの経営者ら8人が、風営法違反容疑で警視庁に逮捕された。スタジオゲートは藤本さん殺人事件後、9月21日にリニューアルオープンしたばかりで、客にダンスと飲食をさせる店舗に必要な公安委員会の許可を取らず、無許可営業をしていた疑い。しかし、藤本さん殺害事件の容疑者が特定すらできていない段階での同店関係者の逮捕については、「殺害事件の捜査に関連した、いわば別件逮捕。当局の捜査が手詰まりしている証拠だろう」(全国紙警視庁担当記者)との指摘もある。 「スタジオゲート以外にも無許可営業のクラブは都内に無数あり、当局も、客や近隣から苦情が出るような、よほど悪質な営業をしなければ、摘発まではしてこなかった。実際にフラワーも今年1月に指導を受けていたものの、お目こぼしにあずかっていたんです。しかし、9月30日に、無許可営業をしていたという容疑で突然の摘発。殺害事件を無関係と見るほうが不自然です」(同)  実は、今回の摘発が行われる以前から、「当局は、フラワーの店長らスタッフも殺害事件に関係していたのではないかという見立てをしている」との情報は流れていたのだ。 「あくまで当局の見立てですが、事件当日、犯人集団がフラワーの裏口から出入りして、VIP席にいた藤本さんへの暴行をスムーズに実行していった点に目を付け、店側の関与を疑っていた。というのも、その裏口の近くには金庫などが置かれている関係もあり、普段は施錠されていて、従業員ですらほとんど通らなかったそうです。ところが、事件当日はその裏口が開いていた。偶然とは思えないということで、当局は店側にも事情を聞いていました」(同)  「店舗スタッフまでもが殺害事件に協力させられていたのでは?」との憶測は、なんとも劇場的な筋書きだし、それを裏付けるための別件逮捕だとすると、職権乱用といえる当局の判断なわけだが、その裏には藤本さん殺害事件の手がかりがない中、当局側の「取り調べできる者は、誰でも引っ張りたい」というわらをもすがる思いがあるようだ。 「9月7日に詐欺容疑で逮捕された元関東連合リーダーの石元太一も、当局の目的は同じく、藤本さん殺害事件の情報を引き出したいと考えたからです。ただし、彼からは同容疑での勾留期間22日の間に確固たる情報が出てこなかったので、28日に別の詐欺容疑で逮捕して、引き続き身柄拘束をしている。警察は、石元が事件直前に藤本さんにも会っているし、事件発生時には現場近くにいたとみています。ただし、石元自身は事件に直接関与した形跡がなく、今のところ、犯人特定につながる決定的な証言は得られていません」(週刊誌記者)  先日、藤本さん殺害事件に関与したとおぼしき人間の一部がすでに海外に逃亡しているという報道が流れたが、この海外逃亡組の一人が、事件当日に石元容疑者と連絡を取っていた形跡があったため、同容疑者は目を付けられたようだ。一方で、直接暴行を加えた実行犯は在日中国人二世数人で、彼らは都内に隠れているなどと情報も錯綜している。捜査には、警視庁捜査1課や4課だけではなく、公安警察も加わっており、当局からメディアに漏れてくる情報もバラつきがあるという。事件解決に向け、しばらく混迷は続きそうだ。

サポも呆れる“広告塔”キング・カズのフットサル代表選出は「完全に客寄せパンダ」

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『ラストダンスは終わらない』(新潮社)
 「FIFAフットサルワールドカップ タイ2012」に出場する日本代表の試合を、フジテレビが独占放送することが明らかになった。同大会は11月にタイで開催されるが、日本代表候補にあの「キング・カズ」こと三浦知良(横浜FC)が選出されていることでも話題を呼んでいる。 「U-20女子ワールドカップの独占放送だけでなく、今度はフットサルW杯ですか。ヤングなでしこは見事“先物買い”が当たりましたが、フットサルW杯はどうなんでしょうか」(サッカーライター)  当初、視聴率的にはさほど期待されていなかったU-20女子W杯だったが、なでしこジャパンのロンドン五輪の銀メダル獲得という追い風や田中陽子、仲田歩夢、猶本光といった美形のヤングなでしこらの存在も相まって、予想外の高視聴率を記録。何よりもヤングなでしこが快進撃を続け、3位入賞を果たしたことが大きかった。特に韓国との準々決勝戦では、平均視聴率17.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録し、瞬間最高視聴率は25.0%だった。  フジにとっては、カズの代表選出およびフットサルW杯出場を当て込んで「夢よ、もう一度」というわけだが、そうそううまくいくものだろうか。サッカー選手としては98年のフランスW杯直前に代表落ちしてW杯出場の夢破れたカズが、フットサル代表としてW杯の大舞台に立つと、各メディアとも美談仕立てで報じている。確かに“カズ効果”で、これまであまり日の当たらなかったフットサルに注目が集まるようにはなったのだが……。 「現状では16人の代表候補に選ばれたというだけ。最終的には14人に絞られるわけですが、当然ながら現時点ではカズは落選候補です。そもそもサッカー選手なんですから、フットサルの選手より劣っているのは当たり前。これから練習や合宿を通してアピールしていかなければならないのですが、フットサルはサインプレーやディフェンスのパターンが数多くある。カズはサッカーとの“二足のわらじ”なわけですから、他の選手よりも練習時間が少ないのに、マスターしなければならないことが誰よりも多い、という不利な状況です。もちろん最初からわかっていたことだし、想定内ではあるのですが、今回の代表選出は日本サッカー協会のゴリ押しと言われても仕方がない。今のところは“広告塔”にすぎませんね」(同)  カズのフットサル代表選出には、「完全に客寄せパンダ。真剣にフットサルをプレーしている選手に失礼」という批判も、Jリーグの選手の間から上がっている。また、カズが所属する横浜FCのサポーターからもブーイングが相次いでいるという。もちろんカズには大会登録メンバー入りを期待したいところだが、現状では厳しいのが実情。フジとしては、ヤングなでしこに続く、“二匹目のドジョウ”とはいかないのかもしれない。