
NHK『LIFE!~人生に捧げるコント~』番組サイトより
リオ五輪が閉幕した。放送面での話題として、開幕前には「(治安への不安から)女子アナがリオに行きたくないと泣いている」といった与太記事も散見した今回のオリンピック。終わってみれば大きなトラブルもなく、各局の放送を見てもエース級の女子アナが現地で活躍していた。
開会式や女子マラソンなど、土日&時間帯に恵まれた競技は高視聴率で沸いた一方、多くの競技は12時間の時差の影響で前回大会よりも視聴率が稼げず、それでいて既存のドラマもバラエティも割を食って視聴率を落とすというWパンチ。そんな中、うまくオリンピックに溶け込めた番組、溶け込めなかった番組をいくつか取り上げたい。
◎何をしたかったのか『LIFE!~人生に捧げるコント~』
NHKで謎だったのは、デイリーハイライト番組で毎日挟み込まれた「LIFE リオ オリンピック盛り上げ隊」の存在。『LIFE!~人生に捧げるコント~』からの派生企画だったが、これは一体、何のためにあったのか?
『LIFE!』にしてみれば番組告知につながっただろうし、開幕前に内村光良扮する三津谷寛治がNHKのキャスター陣をいじっていたのは面白かった。だが、それ以外は特に見るべき企画もなく、むしろ、早く競技結果を知りたい、選手の声を聞きたい、という視聴者にとってはノイズでしかなかった。オリンピックという世界的なイベントを番宣の場として使った罪は重い。
◎陣内貴美子の笑顔満開『news every.』
日本テレビ系夕方の情報番組『news every.』。2010年の番組開始以来メインキャスターを務めるのが陣内貴美子だ。元バドミントン五輪代表選手である陣内にとって、後輩たちの快挙(高橋・松友ペア:金、奥原希望:銅)はよほど嬉しかったらしく、満面の笑みで選手とのLINEのやり取りを紹介。「木原さーん、そらジロー」のかけ声もいつになく饒舌だった。
20年前の引退直後、フジテレビの『スポーツWAVE』や『プロ野球ニュース』のキャスターに抜擢され、「美人アスリートキャスター」のはしりとなった陣内。当時はそのあまりの噛みっぷりにやきもきばかりしていたが、時を経てアスリートと視聴者をつなぐ存在として大成したことが野球ファンとしても感慨深い。
◎抜かれまくりのミヤネ屋、中山レポーター
錦織圭の銅メダルがかかったテニスの3位決定戦。卓球女子団体の準決勝・日本対ドイツ戦。高橋・松友ペアのメダル獲得が決まるバドミントン女子・ダブルス準決勝……私が確認できただけでもこれらの競技の試合中、観客席で応援する『ミヤネ屋』の名物キャラ、中山正敏レポーターがたびたび抜かれていた。
従来、五輪中継で見切れる、といえば江頭2:50の専売特許だったが(今回も現地に行っていたらしいが)、そのお株を奪う目立ちぶり。閉会式を終えての大会総括を期待したが、宮根誠司の夏休みに加えて、台風の関東直撃も相まってその機会を逃してしまったのが惜しい。
◎解説者を取りあげた『羽鳥慎一モーニングショー』
あの手この手でオリンピックと結びつけようとする情報番組。そんな中、「解説者」にスポットを当てていたのがテレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』。陸上解説における「増田明美のどうでもいい情報がすごすぎる伝説」を取り上げていたのが無駄知識すぎて楽しかった。
また、女子レスリングでは解説者・浜口京子の乙女っぷりをクローズアップ。「女子ですねぇ~」と何度も指摘し、浜口京子を赤面させていたのが印象深い。
番組は異なるが、浜口は吉田沙保里の敗因がかかとにあった、と自分の体を使って説明したいのに、足元がハイヒールで視聴者には意味不明、という天然ぶりを発揮。女子力が逆効果を果たしていた。そんな彼女の今後の解説者人生に注目したい。が、相も変わらず「気合いだー」を強要させるのはそろそろ止めにしてあげて欲しい。
◎真面目な報道ぶりが際立っていたフジテレビ
今回、芸能人キャスターを配置せず、アスリートキャスターだけで臨んだのがフジテレビ。13日放送のウィークリーハイライトでも野村忠宏、高橋大輔、小谷実可子という3人のオリンピアンキャスターを全面に押し出した企画で、スポーツファンにもアスリートにも真摯な番組作りを徹底していた。
従来のスポーツ番組、布陣をあえて意識せず、新たなスタイルを築こうとしていたのは評価すべき点。だからこそ、ここから先は従来の資産も活かし、五輪後のアスリートの声と笑顔を引き出してもらいたい。
たとえば吉田沙保里。なぜ彼女は泣いて「力を出し切れず申し訳ない」と謝罪しなければならなかったのか。その重い十字架を外してあげられるのが『スポーツジャングル』の浜田雅功あたりではないか。「なんで泣いとんねん」という愛あるツッコミこそが、今の彼女を救ってあげられるひとつの方策な気がしてならない。
(文=オグマナオト)