TBS吉田明世アナの「即日復帰」に見る厳しい各局女子アナ事情 即戦力採用のテレ東が風穴を開ける

 TBSの吉田明世アナウンサーが10月29日の『サンデー・ジャポン』生放送中に貧血で途中退席するというハプニングがあった。しかし、翌日朝8時からの『ビビット』の生放送で復帰。さらに同日午後1時からのTBSラジオ『たまむすび』の生放送にも出演し、「『ビビット』も『たまむすび』も休んでいいよと言われた」と明かしつつも、1日寝て回復したとのことで、仕事に即復帰したのだという。

 生放送中にろれつが回らなくなり、そのまま退席するという緊急事態があったのに、翌日朝から生放送に復帰というハードなスケジュールに批判も多い。

「女子アナとはいえ会社員ですから、業務中に体調を崩したのであれば、1日くらいは休ませてもいいはず。本人の意志で即復帰したとはいえ、働かせすぎな印象は否めません」(芸能記者)

 そうはいうものの、TBSとしても吉田アナを休ませたくないという事情もある。

「吉田アナは入社7年目。TBSのエース的存在で、そこに代わる女子アナがいないというのが現状です。しかも、1年後輩の林みなほアナは10月から産休に入っているということもあって、特に中堅クラスが手薄になっている。4年目の宇垣美里アナなどは人気はありますが、番組スタッフとしてはまだ安定感が足りないという印象で、吉田アナに頼らざるをえないというわけです」(テレビ局関係者)

 女子アナの台所事情が厳しいのは、TBSに限ったことではない。かつては、人気女子アナの宝庫だったフジテレビもスター不在が続いている。

「加藤綾子という大エースが退社してからというもの、小粒なメンツしか残っていません。『めざましテレビ』『ノンストップ!』と出演番組が多い山崎夕貴アナはスタッフからの信頼度は高くても人気はイマイチ。三田友梨佳アナや宮澤智アナも伸び悩んでいます。10月からは1年目の海老原優香アナを『とくダネ!』のアシスタントに抜擢しましたが、お人形のように座っているだけで、まったく仕事をしていません。局は海老原アナに相当な期待を寄せているようですが、前途多難ですね」(同)

 日本テレビやテレビ朝日も似たような状況だ。

「日テレは水卜麻美アナという絶対的な存在がいて、その下に徳島えりかアナが控えているという感じ。それ以外の女子アナは人気も知名度も低く、結構厳しいですね。テレ朝も、小川彩佳アナや竹内由恵アナといった中堅クラスは安定していますが、若手はまだまだです」(同)

 そんな中、即戦力採用でどうにか頑張っているのがテレビ東京だ。

「2016年、17年と地方局での活動歴があるアナウンサーを採用しています。2年目の元北海道テレビ・西野志海アナは『今から、西野アナが行きますんで』という深夜の冠番組を持っていますし、同じく2年目の元RKB毎日放送・福田典子アナは『モヤモヤさまぁ~ず2』の3代目アシスタントとして活躍中。入社1年目の元関西テレビ・竹崎由佳アナは10月から夕方の帯番組『よじごじDays』のメインパーソナリティーに抜擢されました。テレ東の女子アナは元々少数精鋭ですが、ここにきて経験者を次々と採用することで、その戦力平均値が一気に上がっているといえるでしょう」(同)

 次世代の女子アナスターがなかなか登場せず、中堅人気アナに頼りがちな各キー局。テレビ東京のように、これまでとは異なるアプローチでの戦力補強が必要となってきたのかもしれない。

TBS吉田明世アナの「即日復帰」に見る厳しい各局女子アナ事情 即戦力採用のテレ東が風穴を開ける

 TBSの吉田明世アナウンサーが10月29日の『サンデー・ジャポン』生放送中に貧血で途中退席するというハプニングがあった。しかし、翌日朝8時からの『ビビット』の生放送で復帰。さらに同日午後1時からのTBSラジオ『たまむすび』の生放送にも出演し、「『ビビット』も『たまむすび』も休んでいいよと言われた」と明かしつつも、1日寝て回復したとのことで、仕事に即復帰したのだという。

 生放送中にろれつが回らなくなり、そのまま退席するという緊急事態があったのに、翌日朝から生放送に復帰というハードなスケジュールに批判も多い。

「女子アナとはいえ会社員ですから、業務中に体調を崩したのであれば、1日くらいは休ませてもいいはず。本人の意志で即復帰したとはいえ、働かせすぎな印象は否めません」(芸能記者)

 そうはいうものの、TBSとしても吉田アナを休ませたくないという事情もある。

「吉田アナは入社7年目。TBSのエース的存在で、そこに代わる女子アナがいないというのが現状です。しかも、1年後輩の林みなほアナは10月から産休に入っているということもあって、特に中堅クラスが手薄になっている。4年目の宇垣美里アナなどは人気はありますが、番組スタッフとしてはまだ安定感が足りないという印象で、吉田アナに頼らざるをえないというわけです」(テレビ局関係者)

 女子アナの台所事情が厳しいのは、TBSに限ったことではない。かつては、人気女子アナの宝庫だったフジテレビもスター不在が続いている。

「加藤綾子という大エースが退社してからというもの、小粒なメンツしか残っていません。『めざましテレビ』『ノンストップ!』と出演番組が多い山崎夕貴アナはスタッフからの信頼度は高くても人気はイマイチ。三田友梨佳アナや宮澤智アナも伸び悩んでいます。10月からは1年目の海老原優香アナを『とくダネ!』のアシスタントに抜擢しましたが、お人形のように座っているだけで、まったく仕事をしていません。局は海老原アナに相当な期待を寄せているようですが、前途多難ですね」(同)

 日本テレビやテレビ朝日も似たような状況だ。

「日テレは水卜麻美アナという絶対的な存在がいて、その下に徳島えりかアナが控えているという感じ。それ以外の女子アナは人気も知名度も低く、結構厳しいですね。テレ朝も、小川彩佳アナや竹内由恵アナといった中堅クラスは安定していますが、若手はまだまだです」(同)

 そんな中、即戦力採用でどうにか頑張っているのがテレビ東京だ。

「2016年、17年と地方局での活動歴があるアナウンサーを採用しています。2年目の元北海道テレビ・西野志海アナは『今から、西野アナが行きますんで』という深夜の冠番組を持っていますし、同じく2年目の元RKB毎日放送・福田典子アナは『モヤモヤさまぁ~ず2』の3代目アシスタントとして活躍中。入社1年目の元関西テレビ・竹崎由佳アナは10月から夕方の帯番組『よじごじDays』のメインパーソナリティーに抜擢されました。テレ東の女子アナは元々少数精鋭ですが、ここにきて経験者を次々と採用することで、その戦力平均値が一気に上がっているといえるでしょう」(同)

 次世代の女子アナスターがなかなか登場せず、中堅人気アナに頼りがちな各キー局。テレビ東京のように、これまでとは異なるアプローチでの戦力補強が必要となってきたのかもしれない。

山崎賢人に「試練の冬」か!? 日テレの“爆死枠”で連ドラ初主演も……

 人気若手俳優・山崎賢人が満を持して、連ドラ初主演に臨む。山崎は来年1月期の日本テレビ系ドラマ『トドメの接吻』(日曜午後10時30分~)で初めて、連続ドラマの主役に起用される。

 同ドラマは、『南極大陸』『クロコーチ』『仰げば尊し』(いずれもTBS系)、『極悪がんぼ』(フジテレビ系)、『デスノート』(日本テレビ系)などを手掛けた、いずみ吉紘氏によるオリジナル脚本。愛を信じず、カネと権力だけを信じるクズホストの主人公・堂島旺太郎(山崎)が、目の前に突然現れたナゾの女(門脇麦)に、接吻を贈られ死亡。意識を取り戻すと、そこは見覚えのある7日前の景色で、タイムリープ(時間移動)して、同じ時間を繰り返す。ナゾのキス女によって、旺太郎は何度も“死”と“時間”を繰り返すというストーリーだ

 山崎は、2015年前期のNHK連続ドラマ小説『まれ』に出演し、パティシエとなる主人公・希(土屋太鳳)の同級生で、後に夫となる紺谷圭太役を演じブレークを果たした。その直後の同12月に公開された映画『orange-オレンジ-』では、土屋とのコンビを再結成し、興行収入32億5,000万円を上げるヒットに導いた。

 その後、頻繁に映画の主演に起用されるようになったが、勢いがあったのは『orange』まで。今年は2月公開の『一週間フレンズ。』を皮切りに、実に5作に出演し、うち4作で主演したが、興行成績は芳しいものではなかった。最新作である3日公開の『氷菓』に至っては、第1週の「週末観客動員数ランキング」(興行通信社調べ)でトップ10入りすらできず爆死。映画ファンからは「出すぎで飽きた」といった声も少なくないようだ。

 一方、ドラマでは昨年7月期『好きな人がいること』(桐谷美玲主演/フジテレビ系)に準主役で出演して以降、久しくごぶさただったが、今クールのTBS日曜劇場『陸王』に2番手で登場。そして、次クールには『トドメの接吻』で初の主演を務めるとあって、来年はドラマにも力を入れていこうとの方針のようだ。

「日テレの日曜ドラマは、極めて難しい枠。現在放送中の『今からあなたを脅迫します』(ディーン・フジオカ&武井咲主演)は視聴率5~6%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で苦戦しています。同枠ドラマは15年4月期にスタートしましたが、これまで視聴率が2ケタに乗ったのは、山崎が2番手で出演した、同7月期『デスノート』(窪田正孝主演)の1作のみで、いわば“爆死枠”ともいえます。そんな中、『トドメの接吻』が高視聴率をマークするのは至難のワザでしょうね。山崎にとっては、まさに“試練の冬”になりそうです」(テレビ誌関係者)

 逆をいえば、視聴率を取るのが難しい枠だからこそ、低視聴率でもバッシングは少なく、傷もつかずに済むという見方もある。同枠は、ここ最近は若手俳優(女優)が主演を務めることが多いだけに、何はともあれ、前クールの福士蒼汰主演『愛してたって、秘密はある。』の平均8.6%は、超えたいところだろう。

(文=田中七男)

山崎賢人に「試練の冬」か!? 日テレの“爆死枠”で連ドラ初主演も……

 人気若手俳優・山崎賢人が満を持して、連ドラ初主演に臨む。山崎は来年1月期の日本テレビ系ドラマ『トドメの接吻』(日曜午後10時30分~)で初めて、連続ドラマの主役に起用される。

 同ドラマは、『南極大陸』『クロコーチ』『仰げば尊し』(いずれもTBS系)、『極悪がんぼ』(フジテレビ系)、『デスノート』(日本テレビ系)などを手掛けた、いずみ吉紘氏によるオリジナル脚本。愛を信じず、カネと権力だけを信じるクズホストの主人公・堂島旺太郎(山崎)が、目の前に突然現れたナゾの女(門脇麦)に、接吻を贈られ死亡。意識を取り戻すと、そこは見覚えのある7日前の景色で、タイムリープ(時間移動)して、同じ時間を繰り返す。ナゾのキス女によって、旺太郎は何度も“死”と“時間”を繰り返すというストーリーだ

 山崎は、2015年前期のNHK連続ドラマ小説『まれ』に出演し、パティシエとなる主人公・希(土屋太鳳)の同級生で、後に夫となる紺谷圭太役を演じブレークを果たした。その直後の同12月に公開された映画『orange-オレンジ-』では、土屋とのコンビを再結成し、興行収入32億5,000万円を上げるヒットに導いた。

 その後、頻繁に映画の主演に起用されるようになったが、勢いがあったのは『orange』まで。今年は2月公開の『一週間フレンズ。』を皮切りに、実に5作に出演し、うち4作で主演したが、興行成績は芳しいものではなかった。最新作である3日公開の『氷菓』に至っては、第1週の「週末観客動員数ランキング」(興行通信社調べ)でトップ10入りすらできず爆死。映画ファンからは「出すぎで飽きた」といった声も少なくないようだ。

 一方、ドラマでは昨年7月期『好きな人がいること』(桐谷美玲主演/フジテレビ系)に準主役で出演して以降、久しくごぶさただったが、今クールのTBS日曜劇場『陸王』に2番手で登場。そして、次クールには『トドメの接吻』で初の主演を務めるとあって、来年はドラマにも力を入れていこうとの方針のようだ。

「日テレの日曜ドラマは、極めて難しい枠。現在放送中の『今からあなたを脅迫します』(ディーン・フジオカ&武井咲主演)は視聴率5~6%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で苦戦しています。同枠ドラマは15年4月期にスタートしましたが、これまで視聴率が2ケタに乗ったのは、山崎が2番手で出演した、同7月期『デスノート』(窪田正孝主演)の1作のみで、いわば“爆死枠”ともいえます。そんな中、『トドメの接吻』が高視聴率をマークするのは至難のワザでしょうね。山崎にとっては、まさに“試練の冬”になりそうです」(テレビ誌関係者)

 逆をいえば、視聴率を取るのが難しい枠だからこそ、低視聴率でもバッシングは少なく、傷もつかずに済むという見方もある。同枠は、ここ最近は若手俳優(女優)が主演を務めることが多いだけに、何はともあれ、前クールの福士蒼汰主演『愛してたって、秘密はある。』の平均8.6%は、超えたいところだろう。

(文=田中七男)

櫻井翔・校長、3年生切り捨て改革で嵐を巻き起こす! 『先に生まれただけの僕』第4話

 人気アイドルグループ・嵐の櫻井翔が私立高校の校長役を演じるドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)の第4話が4日に放送され、平均視聴率7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から2.8ポイント下げという結果になってしまいました。

 その前回、英語教師・島津智一(瀬戸康史)のアクティブ・ラーニング(課題を与えて生徒たちの間で相談させ問題を解かせる教育法)を取り入れた授業に感動した鳴海涼介(櫻井翔)は、他の授業にも採用することを決意。島津に講師を頼み、他の教師たちを集めて勉強会を開きます。そして、これまでとは違う授業ができそうだとテンションが上がった鳴海は、全校生徒を集め「授業を面白くする!」と高らかに宣言するのです。

 生徒たちが能動的に参加するスタイルの授業は反響を呼び、鳴海は手応えをつかみます。しかし、改革を実施したのは1,2年生のみ。受験や就職を控えた3年生はこれまで通りの授業のため、不満の声が挙がってしまいます。そしてある日、代表者が校長室に押しかけ、「見捨てられた」「切り捨てられた」と怒りを爆発させるのです。

 そんな中、野球部の2年生が3年生にしごかれ、肋骨をケガしてしまう事件が発生。鳴海の改革が明らかに悪影響を及ぼし始めてしまっているのです。また、これまでの授業を暗に批判したような“授業を面白くする”発言に対して、アクティブ・ラーニング反対派の教師たちからここぞとばかりに批判の声が殺到してしまいます。

 先走った言動を反省した鳴海は、3年生だけを緊急招集。頭を下げて謝罪した上で、リアルな社会では理不尽なことだらけだと説き始めるのです。就職組にはその厳しい社会がすぐ目の前に迫っていること、進学組には学校を出てからが本当の勝負であることを、商社マンとして社会の荒波にもまれてきた経験から語るのです。そして、鳴海の魂のこもったロングスピーチに生徒たちが心を動かされ静まり返る中、今回は終了となりました。

 さて、感想。総合商社・樫松物産から京明館高等学校へ出向して以来、偏差値44から50へアップさせ人気校にすべく悪戦苦闘している鳴海ですが、改革に焦るあまり空気の読めない言動が目立ちました。今回のアクティブ・ラーニング導入に関しても、間違いなくこれまでの授業および教師たちを全否定するようなものですし、3年生たちが疎外感を抱いてしまうのも無理はありません。

 また、自分の誤りや失言を他人から指摘されなければ気づかないという鈍感さが、元エリート商社マンという設定をブレさせてしまっているようにも思えます。櫻井の演技力が決して高くないだけに、どこか頼りなさも感じてしまうのです。

 それだけに今回、新聞のラテ欄に「怒涛の10分超えロングスピーチ! 改革から取り残された三年生のみんなへ!」というコピーを見つけた時には不安を覚えました。櫻井の独演が10分以上も続くとなると、地獄絵図と化すのではないかと。ドラマの内容よりも櫻井ファンを喜ばせるためだけの演出を優先するように路線変更したのではないかと危惧してしまったのです。

 しかし、結論をいえば最後のロングスピーチは見応えがありました。鳴海が最初、「こんな(理不尽な)こと社会に出れば普通にあります」と語り始めた時には「逆ギレかよ!?」とツッコミそうになりましたが、確かに鳴海の言うことは正しいのです。世の中に出れば理屈の通らないことだらけ。けれど、現実の教育現場では実社会経験のない教師ばかりが多いため、鳴海の言う“普通”を知る人は少ないのではないでしょうか。

 また、たとえ民間企業で働いた経験があっても、鳴海のようにズバリと言える教師はどれぐらいいることでしょう。鳴海は今回、進学組の生徒たちに向かって、偏差値の低い高校から進学できる大学は「就職に有利といえる大学ではない」とまで言い放ってましたが、そんな発言ができる教師は決して多くはないでしょう。教科書に書いてあることを教えるのではなく、生徒たちよりも“たまたま先に生まれただけの僕”が経験したことを語る。そうすることで社会に通用する生徒を育てていくという鳴海の理念およびドラマのテーマが、これまでで一番現れた回となったように思えます。

 ただ、このままでは社会の現実を生徒たちに突きつけて怖がらせているだけにすぎません。進学組の生徒たちに向かって「人間力を鍛えろ」と諭していましたが、具体的には何をすればいいのか。それを示していかなければなりません。また、アクティブ・ラーニングだけで偏差値が上がるほど学校教育は単純なものなのかも疑問です。鳴海校長の前途はまだまだ多難ですが、前回から少しずつ見どころが増えてきただけに今後の展開に期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

6.4%停滞の『刑事ゆがみ』に漂い出した“コレジャナイ”感……「本格」路線化の功罪とは

 9日に放送されたドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)の視聴率は6.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。各方面から絶賛の声が聞こえてきていますが、数字的には、だいたいここらへんで推移する感じでしょうか。このレビューでも初回から「面白い面白い」と書いてきました。今回も面白いっちゃ面白いんですが、ちょっと感触が違いました。

「連ドラはニコパチが重要」と、よくいわれます。2話、5話、8話で展開が訪れ、それが充実したものであれば良作ですよ、という話です。『刑事ゆがみ』も、今回が第5話。これまで完全な1話完結でつづられてきましたが、今回は、初回から登場している謎のハッカー少女・ヒズミ(山本美月)の過去が明かされ始めます。ちなみにこのヒズミ、原作コミックには登場しないドラマオリジナルキャラなので、この人物の処理がドラマの出来そのものを左右しそうです。

 では、まずはお話から軽く振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

 7年前、弓神(浅野忠信)は「ロイコ事件」という殺人事件の捜査に関わっていました。ロイコ(=ロイコクロリディウム)というのは、カタツムリに寄生して宿主を支配し、思いのままに操ってしまうという寄生虫だそうです。

 かつて、そのロイコをモチーフにした小説があって、その小説に書かれていた通りの殺人事件が起きました。事件では夫婦が殺され、現場には被害者の血で描かれたカタツムリのイラストが残されていた。このイラストが、小説の表紙に描かれているものと同じだったのです。弓神らの捜査によると、事件の犯人は小説の作者らしい。どうやら、実際に事件を起こすことで話題を呼び、小説をたくさん売るのが目的だったようです。しかし、容疑が固まる前に作者は焼身自殺。真相は闇の中。

 その事件では、12歳になる夫婦の娘が生き残りました。しかし、現場を目撃してしまったために、少女はショックで記憶障害と失声症を患ってしまったそうです。

 弓神は今でも、焼身自殺をした作者が本当に犯人だったかどうか、疑っています。そして、なんらかの理由で、生き残った失語症の少女の面倒を見ています。その娘こそが、ヒズミなのでした。

 というのが、次回以降に続くオリジナルの部分。

 もうひとつ今回起こったのが、市議会議員の娘がさらわれた誘拐事件。この現場にもロイコのイラストがあったことから弓神たちも捜査に加わるわけですが、こっちはまあ、結論としては母親による狂言誘拐でした。夫に不倫されて悔しかったとか、そういう理由だそうです。そういう理由であることが、実に熱っぽく、迫力の演出でもって語られました。

 これまでこのレビューでは事件の真犯人を書いてきませんでしたが、今回は大した伏線がないので謎解きの快感は薄いですし、逆に犯人が母親であることがわかっていても、クライマックスに訪れる浅野忠信と板谷由夏の演技合戦は必見ですので、ぜひFODでご覧ください。

 

■スケール感が増した反面、“バディ”羽生の存在感が消えた

 

 今回、前回までと比べて、だいぶスケール感のある事件が語られました。情報量も格段に多いし、テレビのワイドショーまで巻き込んだ、いわゆる“劇場型”犯罪。本格的な刑事ドラマっぽさをビシビシ感じます。犯人からの脅迫電話を開口部の大きなリビングで受けたり、ヘンテコな変装をした刑事が「どっちにしろ刑事に見えねえ」と言われたり、小児誘拐映画の金字塔である黒澤明『天国と地獄』(1963)へのオマージュも抜かりありません。

 その反面、弓神の“バディ”である新人刑事・羽生くん(神木隆之介)の存在感が非常に希薄なものとなりました。

 私は、第2話(http://www.cyzo.com/2017/10/post_34983.html)、第3話(http://www.cyzo.com/2017/10/post_141162.html)のレビューにも書いた通り、このドラマは神木隆之介を愛でるために見ていると言っても過言ではないくらい羽生くんのキャラ付けが重要な要素だと思っていて、だからこそ今回は、とりわけ「感触が違う」と感じたのです。

 これまで、どの事件も羽生くんは「単に所轄で起こったから」以上のモチベーションで捜査に当たってきました。事件発生の段階で羽生くんの心が揺さぶられていたからこそ、右往左往しながら捜査を通して成長していく彼に共感を抱いてきたのです。

 今回は、「ロイコ事件」にしろ「狂言誘拐」にしろ、羽生くんに全然関係がない。「羽生くんこそ主人公」という見方をしてきた私からすると、すごく出来はいいけど、主人公のいない話だなぁ、という印象だったのです。無論、これまで通りゲスト犯人(今回は板谷由夏)に対しても主人公並みの掘り下げが行われていることは変わりないのですが、これまではゲストへの掘り下げに加えて羽生くんの成長があったので、分厚い作品として感じられてきたということです。

 

■初めてとなる男性脚本家の起用

 

 もうひとつ、このドラマの魅力として感じていたのが、女性犯罪者に対する描き込みの個性です。『刑事ゆがみ』はこれまで、すべての脚本を女性脚本家が手掛けてきました。

 第2話では「作家の当事者性が投影された作品」に見えると書きましたし、第4話(http://www.cyzo.com/2017/11/post_141861.html)では「彼女たちを、決して“被害者”や“弱者”として一面的に扱うことをしない」「『私たちは同情されるために登場したわけではない』という、悲劇を抱えた女性キャラクターたちの強い主張が感じられます」と書いています。

 しかし、今回の犯人である母親も、夫の不倫相手である秘書の女性も、わりと一面的に自分勝手で、欲望に忠実で、「女って怖いな」みたいなステレオタイプに見えました。結果、すべてを自白した時に犯人の女は「許しを乞う側」になり、夫は「妻を許す側」になっている。こうした結末のニュアンスは、これまでの『刑事ゆがみ』には見られなかった、おそらくは注意深く取り除かれてきた視点ではなかったかと思うんです。

 第5話で脚本を担当したのは池上純哉さん。男性です。1時間弱の中に、この華やかな誘拐劇と次回以降への伏線を手際よく詰め込んだ手腕は経験豊富なベテラン脚本家ならではだと思いますし、そもそも作品に対して「作り手が男だから」「女だから」みたいな物言いを付けるのもフェアじゃないんですが、「なんか今回、女性心理の描き込みが浅いなー」と思いながら見ていて、最後のクレジットで池上さんの名前が出てきて少し腑に落ちたので、正直にそれは記しておきます。

 具体的なことを言うと、第4話で私は「彼女たちが守るべきものをドラマの中でしっかりと定め、それを彼女たちが能動的に守ろうとしたがために、事件が起こる」とも書いているんですが、今回の母親にとって「守るべきもの」ってなんだったんだろうという話なんです。家族だ、夫婦生活だ、子どものためだ、みたいな話になっていましたが、その考え方が自分勝手すぎやしないかと。

 先に「狂言誘拐」と書きましたが、今回の事件、母親の狂言ではあっても、娘への誘拐は実際に行われている。娘が電話口で「パパー! パパー!」と悲痛な叫び声を上げているシーンもある。

 弓神に自白を迫られた母親は「そんなことするわけない、そんなことしたら、娘との関係が……」とか言って否認するんですが、関係とかそういう問題じゃないだろと。後に解放されるとしても、娘の中に「誘拐された」という体験は傷となって残るだろと。絶望的な恐怖を伴って残るだろと。そこに想像力が及ばないなら、「あなたは何を守ろうとしてたの?」と思ってしまうんです。無事に帰ってきて元気だったからいいようなものの。

 というか、うーん、女性心理の描き方とか、そういうことでもないかな。なんというか、ヒズミは犯罪被害によるPTSDによって記憶障害と失語症になっているわけで、ひとつのドラマの中で、犯罪被害に遭った小児に対して「こっちは深刻なPTSD被害」「こっちは大丈夫」というダブルスタンダードが発生していることが気持ち悪かったのかもしれません。

 と、いろいろ書いてきましたが、あのー、面白いのでみんな見たほうがいいです、という感じは変わらないです。はい。また次回。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

11.9%安定の綾野剛主演TBS『コウノドリ』は「ダメ夫を成敗する水戸黄門」か

 周産期医療センター(出産の前後を通して、産科と新生児科で連携した医療体制のとれる病院)を舞台に、医師や助産婦、妊婦やその家族との悲喜こもごもと、生命の誕生の素晴らしさや厳しさを描く医療ヒューマンドラマ『コウノドリ』(TBS系)。

 中盤にさしかかる第4話の視聴率は13.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と自己最高を記録。さっそく振り返ってみたい。

 

■新人にスポットが

 

 このシリーズから、新人研修医としてペルソナ総合医療センターの産科に加わっている赤西吾郎(宮沢氷魚)。産科での研修も終盤に差し掛かる中で、今ひとつ身の入らない仕事ぶりを続けていたが、安易な判断で患者の妊婦を危険にさらすミスを犯してしてしまう。

 それを先輩の産科医・四宮(星野源)に咎められるも、反省するどころか「いいんじゃないですかね? ま、何もなかったんだし(笑)」とヘラヘラする始末。それは直属の先輩医師である下屋(松岡茉優)にビンタされてしまうほどだ。

 産婦人科病院の二世でもある赤西に対し、四宮は「これだからジュニアは使えない」と皮肉を込める。人材不足で忙しい職場において平然と定時に仕事を切り上げては、またしても下屋をイラつかせる毎日。新規加入したものの、初回から今ひとつ見せ場のなかった赤西にようやくスポットが?

 

■陣痛に耐えたら愛情が湧く?

 

 今回の患者は、2人目の出産を間もなくに控えた秋野蓮(安めぐみ)。まだ幼い長女につらく当たってしまう自分が嫌で、今回は帝王切開ではなく自然分娩で産みたいと考えている。

「陣痛を味わって産道を通して産んだ方が、この子(お腹の子)に愛情が湧くんじゃないか」「痛みから逃げた、楽して産んだから、上の子の子育てもうまくいってないんじゃ?」という理屈らしい。

 このように、過去に帝王切開を経験したことある妊婦が、お腹を切らずに経膣分娩(自然分娩)に挑戦することをトーラック(TOLAC)といい、原作コミックによるとアメリカでは保険会社が医療費を抑えるために広めたらしいが、この「お腹を痛めて産んでこそ子どもに愛情を持てる」という根拠のない根性論は、耐えることを美徳とする日本人の心情に合っているのか、確かにもっともらしく、よく語られている気がする。

 主治医の鴻鳥(綾野剛)によると、トーラックにはもちろんリスクがあり、

・かつての帝王切開時の傷が裂ける子宮破裂の可能性があり、その場合、子どもの後遺症や母子の命に関わる場合もある。(確率は5/1000)

・トーラック成功率は7割、危なかったら途中から緊急帝王切開に切り替える。

 ……と伝えられるも、「産道を通した方が、子どもに対する愛情が違うんですよね?」と蓮の決意は固い。

 助産師の小松(吉田羊)は、その理屈を「思い込み」だという一方で、「それでもお腹を痛めて産みたいって思うものなの」と理解を示す。

 蓮はことあるごとに、夫の壮太(前野朋哉)に相談するのだが、仕事の忙しさにかまけて今ひとつ……ふたつほど親身になってくれない。このドラマでお馴染み「とにかく旦那がわかってない」案件である。

「ま、俺はなんでもいいよ」「好きな方法でいいんじゃないかな」「ごめん風呂入ってくる」と、今回も見事に女性の側をイラつかせる。陣痛が始まった蓮を病院に送った時も、出産する時間は何時か? と、まるで映画の上映時間かなんかのように尋ね、それまで同僚と屋形船で飲み会をしようとしていたほどの傑物だ。

 長女の育児に関しても、たいして育児に関わってなさそうな壮太は他人事のように「もっと余裕を持って接してあげたら?」と言い放ち、当事者である蓮と「朝バタバタしてるのに、そんな余裕なんてもてないよ!」とぶつかってしまう。残念ながら日本の育児でありがちな対立なのかもしれないが、こういうこともあって蓮は藁にもすがる思いでトーラックに挑みたいようだ。

 

■今回の「鴻鳥 vs 四宮」

 

「妊婦の希望に沿ってあげましょう」という鴻鳥に対し、「お前のその優しさのせいで、妊婦はもちろん、俺たちも余計なリスクを背負わされるんだ」「夜間に子宮破裂が起きたらもっと危険だ」と反発する四宮。

 前回の放送ではBLに発展しそうなほど見つめ合い、理解し合う様子を見せていたのに、また周囲が気まずくなるほどの衝突。というか、主にけしかけてるのは四宮で、もめ出すのも四宮なら、最後に態度を軟化させ我々をキュンとさせてくれるのも四宮だ。今回も、もはや主役といっていいほど見せ場のほとんどを四宮が生み出しており、おそらくキャラクター人気投票をしたら主役を差し置いて1位になってしまうであろう美味しい立ち位置。従来なら星野と綾野は逆のキャスティングの方がイメージ通りのはずだが、あえて外したところが功を奏しているように見える。

 鴻鳥も「僕らの仕事は妊婦にトーラックをやめさせることじゃないよ」「忙しくて余裕がないから妊婦の希望に添えないなんて、根本が間違ってるんじゃないかな」と物腰こそやわらかいが、譲らない。荒れた空気を読んで、上司として人員不足を詫びることで場を収めようとする今橋医師(大森南朋)が健気だ。

 2人がいない場所で「(鴻鳥)サクラと四宮、あの2人、仲いいんだか悪いんだかわからないですよね!」と後輩の下屋が愚痴るが、ごもっとも。

 しかし、小松いわく「でも考えてることは一緒なんだよ、最終的には妊婦さんのこと、そして家族のことを誰よりも考えている」らしい。実際その通りなのだろうが、原作では、直前に小松が、揉める2人を「そういうの余所でやってくんない? (食事の)味がわかんなくなるんだよ」と一喝していた。ドラマではそこが描かれていないので、単に安易に2人の関係性を言葉だけで説明してしまっているように見えたのが残念だ。

 

■トーラックは成功しなかったが……

 

 結局、トーラックを実施し自然分娩に挑むが、出産は難航し、それでも蓮は頑なに帝王切開を拒否する。しかし、長女の泣きながらの「ママ、がんばってる(だからもういいじゃん)」という一言で自身の考えを改め、途中から帝王切開に切り替え、無事出産。子どもにもっと愛情を持てるのでは? という想いから始めたトーラックだが、その想いは違う形で成就されたようだ。余談だが「安めぐみ」って、これ以上ないくらいの安産ネームだ。

 赤西は「なんで危険を冒してまで自然分娩にこだわるのか? 帝王切開すればいいのに」と何の気なしに四宮に語るが、「まだ切らなくていいものを、なんで急いで切る必要がある? そんなの優しさでもなんでもない。それで産まれて、お前はお母さんに(妊婦)におめでとうって言えるのか?」とやり返されてしまう。

 ん?? 結局トーラックをすることに理解を示しているのか? ライバル鴻鳥のしていることを新人にわかったように言われたくなかったようだが、本当にややこしい性格だ。

 だが、赤西は四宮に背中を押されて陣痛で苦しむ出産現場を訪れ、結果的に帝王切開手術に初の「前立ち」と呼ばれる第一助手として参加。出産直後、メインで執刀した下屋を差し置き「おめでとうございます! 本当におめでとうございます!」と蓮に興奮気味に声をかけ、下屋に引かれる。産科研修の最後にして、ようやく何かを掴んだ様子だが、またしてもキーマンは四宮だ。

 しかも四宮が赤西を「ジュニア」と呼んで執拗に小馬鹿にしていたのは、自分も実は産科医の息子で、かつてそう呼ばれていたことに由来しているらしく、四宮なりの非常にわかりにくいエールのようだ。目立ちすぎだぞ四宮。

 

■もう一組のゲスト夫妻

 

 肺に疾患があり、鼻から挿管されている子どもを新生児集中治療室(NICU)に預けている青木夫妻(木下優樹菜・パーマ大佐)。しかし連絡もなく2人でのんきに旅行に行き、その他人事具合を新生児科医の白川(坂口健太郎)に注意されてしまう。

「もう家族なんです。夫婦で楽しむことはもちろん大事ですが、これからは家族で楽しむことも考えてみてください」非常に短い出番だったためか、怒られるためだけにやってきたかのようなゲスト人選だと勘ぐってしまう。

 

■四宮の恋?

 

 何話かにわたり四宮と旧知の様子で接していたシングルマザーの倉橋恵美(松本若菜)。子どもをペルソナのNICUに預けているが、四宮とは医師と患者以上の関係がありそうで、それを勘ぐる白川が一人で勝手にドタバタとコメディーしていたのだが、その正体が明らかに。なんのことはない倉橋は研修医時代に四宮や鴻鳥らの下にいた後輩の産科医で、これにより数週に渡る白川の勘繰りはあっけなく終了。

 とはいえ、それでも四宮と倉橋には先輩後輩以上の感情があるようにも見え、だとしたら原作コミックにはない色恋沙汰な展開だ。

 倉橋は別れた夫に出産したことも告げずに復職を模索しているが、なかなか先が見えず行き詰まっている模様で、職を持つ女性の産休、復職問題も、このドラマでよく描かれるテーマとなっている。

 

■ダメな夫が成敗される水戸黄門

 

 あからさまに出産をナメていた蓮の夫・壮太だが、苦しむ妻や尽力する医師らを目の当たりにして自分の浅はかさを知る。

「まさか、こんなに大変だとは思いませんでした。女性は命がけで出産に立ち向かっているんですね」

「先生たちも大変ですね、僕たち夫婦のわがままを聞いてくれて本当にありがとうございます」

「バカなことを言ってすみませんでした」

 と、黄門様に悪代官が懲らしめられたかのような絵に描いた撃沈ぶりで、今回は特に勧善懲悪感が目立った。夫がわかりやすく謝罪する場面は原作になかったので、ドラマ化において、どの辺をターゲットにしているのかが見て取れる。ネットでの評判を見ても、物語そのものよりもダメな夫に対するいらだちの共感と自身の出産経験を思い出しての感動がメインのようで、やはりそこを意識して作られているのだろう。

 そのためか、感情移入のメイン媒体となるゲスト妊婦(母親)は、今まで実力派の女優が多かったのだが、今回は実力派というよりママタレありきのキャスティングだったため評判がいまいちなようで、ダメな夫役以上に引き受ける女優は大変そうだ。

 しかし本物の新生児を使う撮影は毎度リアルだし、デリケートな部分に気をつけつつ情報量の多い内容をうまくまとめあげているので、このまま人気シリーズとして安定しそう。

 個人的に今回一番気になったのは、帝王切開の最中に、メインの助手を初めて務める新人・赤西が、意識ある妊婦の目の前で何度も何度も叱られていたところ。素人バレバレの新人が何度も怒られながら自分の手術に関わってる状況って、単純に地獄だろうなって思いました。
(文=柿田太郎)

11.9%安定の綾野剛主演TBS『コウノドリ』は「ダメ夫を成敗する水戸黄門」か

 周産期医療センター(出産の前後を通して、産科と新生児科で連携した医療体制のとれる病院)を舞台に、医師や助産婦、妊婦やその家族との悲喜こもごもと、生命の誕生の素晴らしさや厳しさを描く医療ヒューマンドラマ『コウノドリ』(TBS系)。

 中盤にさしかかる第4話の視聴率は13.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と自己最高を記録。さっそく振り返ってみたい。

 

■新人にスポットが

 

 このシリーズから、新人研修医としてペルソナ総合医療センターの産科に加わっている赤西吾郎(宮沢氷魚)。産科での研修も終盤に差し掛かる中で、今ひとつ身の入らない仕事ぶりを続けていたが、安易な判断で患者の妊婦を危険にさらすミスを犯してしてしまう。

 それを先輩の産科医・四宮(星野源)に咎められるも、反省するどころか「いいんじゃないですかね? ま、何もなかったんだし(笑)」とヘラヘラする始末。それは直属の先輩医師である下屋(松岡茉優)にビンタされてしまうほどだ。

 産婦人科病院の二世でもある赤西に対し、四宮は「これだからジュニアは使えない」と皮肉を込める。人材不足で忙しい職場において平然と定時に仕事を切り上げては、またしても下屋をイラつかせる毎日。新規加入したものの、初回から今ひとつ見せ場のなかった赤西にようやくスポットが?

 

■陣痛に耐えたら愛情が湧く?

 

 今回の患者は、2人目の出産を間もなくに控えた秋野蓮(安めぐみ)。まだ幼い長女につらく当たってしまう自分が嫌で、今回は帝王切開ではなく自然分娩で産みたいと考えている。

「陣痛を味わって産道を通して産んだ方が、この子(お腹の子)に愛情が湧くんじゃないか」「痛みから逃げた、楽して産んだから、上の子の子育てもうまくいってないんじゃ?」という理屈らしい。

 このように、過去に帝王切開を経験したことある妊婦が、お腹を切らずに経膣分娩(自然分娩)に挑戦することをトーラック(TOLAC)といい、原作コミックによるとアメリカでは保険会社が医療費を抑えるために広めたらしいが、この「お腹を痛めて産んでこそ子どもに愛情を持てる」という根拠のない根性論は、耐えることを美徳とする日本人の心情に合っているのか、確かにもっともらしく、よく語られている気がする。

 主治医の鴻鳥(綾野剛)によると、トーラックにはもちろんリスクがあり、

・かつての帝王切開時の傷が裂ける子宮破裂の可能性があり、その場合、子どもの後遺症や母子の命に関わる場合もある。(確率は5/1000)

・トーラック成功率は7割、危なかったら途中から緊急帝王切開に切り替える。

 ……と伝えられるも、「産道を通した方が、子どもに対する愛情が違うんですよね?」と蓮の決意は固い。

 助産師の小松(吉田羊)は、その理屈を「思い込み」だという一方で、「それでもお腹を痛めて産みたいって思うものなの」と理解を示す。

 蓮はことあるごとに、夫の壮太(前野朋哉)に相談するのだが、仕事の忙しさにかまけて今ひとつ……ふたつほど親身になってくれない。このドラマでお馴染み「とにかく旦那がわかってない」案件である。

「ま、俺はなんでもいいよ」「好きな方法でいいんじゃないかな」「ごめん風呂入ってくる」と、今回も見事に女性の側をイラつかせる。陣痛が始まった蓮を病院に送った時も、出産する時間は何時か? と、まるで映画の上映時間かなんかのように尋ね、それまで同僚と屋形船で飲み会をしようとしていたほどの傑物だ。

 長女の育児に関しても、たいして育児に関わってなさそうな壮太は他人事のように「もっと余裕を持って接してあげたら?」と言い放ち、当事者である蓮と「朝バタバタしてるのに、そんな余裕なんてもてないよ!」とぶつかってしまう。残念ながら日本の育児でありがちな対立なのかもしれないが、こういうこともあって蓮は藁にもすがる思いでトーラックに挑みたいようだ。

 

■今回の「鴻鳥 vs 四宮」

 

「妊婦の希望に沿ってあげましょう」という鴻鳥に対し、「お前のその優しさのせいで、妊婦はもちろん、俺たちも余計なリスクを背負わされるんだ」「夜間に子宮破裂が起きたらもっと危険だ」と反発する四宮。

 前回の放送ではBLに発展しそうなほど見つめ合い、理解し合う様子を見せていたのに、また周囲が気まずくなるほどの衝突。というか、主にけしかけてるのは四宮で、もめ出すのも四宮なら、最後に態度を軟化させ我々をキュンとさせてくれるのも四宮だ。今回も、もはや主役といっていいほど見せ場のほとんどを四宮が生み出しており、おそらくキャラクター人気投票をしたら主役を差し置いて1位になってしまうであろう美味しい立ち位置。従来なら星野と綾野は逆のキャスティングの方がイメージ通りのはずだが、あえて外したところが功を奏しているように見える。

 鴻鳥も「僕らの仕事は妊婦にトーラックをやめさせることじゃないよ」「忙しくて余裕がないから妊婦の希望に添えないなんて、根本が間違ってるんじゃないかな」と物腰こそやわらかいが、譲らない。荒れた空気を読んで、上司として人員不足を詫びることで場を収めようとする今橋医師(大森南朋)が健気だ。

 2人がいない場所で「(鴻鳥)サクラと四宮、あの2人、仲いいんだか悪いんだかわからないですよね!」と後輩の下屋が愚痴るが、ごもっとも。

 しかし、小松いわく「でも考えてることは一緒なんだよ、最終的には妊婦さんのこと、そして家族のことを誰よりも考えている」らしい。実際その通りなのだろうが、原作では、直前に小松が、揉める2人を「そういうの余所でやってくんない? (食事の)味がわかんなくなるんだよ」と一喝していた。ドラマではそこが描かれていないので、単に安易に2人の関係性を言葉だけで説明してしまっているように見えたのが残念だ。

 

■トーラックは成功しなかったが……

 

 結局、トーラックを実施し自然分娩に挑むが、出産は難航し、それでも蓮は頑なに帝王切開を拒否する。しかし、長女の泣きながらの「ママ、がんばってる(だからもういいじゃん)」という一言で自身の考えを改め、途中から帝王切開に切り替え、無事出産。子どもにもっと愛情を持てるのでは? という想いから始めたトーラックだが、その想いは違う形で成就されたようだ。余談だが「安めぐみ」って、これ以上ないくらいの安産ネームだ。

 赤西は「なんで危険を冒してまで自然分娩にこだわるのか? 帝王切開すればいいのに」と何の気なしに四宮に語るが、「まだ切らなくていいものを、なんで急いで切る必要がある? そんなの優しさでもなんでもない。それで産まれて、お前はお母さんに(妊婦)におめでとうって言えるのか?」とやり返されてしまう。

 ん?? 結局トーラックをすることに理解を示しているのか? ライバル鴻鳥のしていることを新人にわかったように言われたくなかったようだが、本当にややこしい性格だ。

 だが、赤西は四宮に背中を押されて陣痛で苦しむ出産現場を訪れ、結果的に帝王切開手術に初の「前立ち」と呼ばれる第一助手として参加。出産直後、メインで執刀した下屋を差し置き「おめでとうございます! 本当におめでとうございます!」と蓮に興奮気味に声をかけ、下屋に引かれる。産科研修の最後にして、ようやく何かを掴んだ様子だが、またしてもキーマンは四宮だ。

 しかも四宮が赤西を「ジュニア」と呼んで執拗に小馬鹿にしていたのは、自分も実は産科医の息子で、かつてそう呼ばれていたことに由来しているらしく、四宮なりの非常にわかりにくいエールのようだ。目立ちすぎだぞ四宮。

 

■もう一組のゲスト夫妻

 

 肺に疾患があり、鼻から挿管されている子どもを新生児集中治療室(NICU)に預けている青木夫妻(木下優樹菜・パーマ大佐)。しかし連絡もなく2人でのんきに旅行に行き、その他人事具合を新生児科医の白川(坂口健太郎)に注意されてしまう。

「もう家族なんです。夫婦で楽しむことはもちろん大事ですが、これからは家族で楽しむことも考えてみてください」非常に短い出番だったためか、怒られるためだけにやってきたかのようなゲスト人選だと勘ぐってしまう。

 

■四宮の恋?

 

 何話かにわたり四宮と旧知の様子で接していたシングルマザーの倉橋恵美(松本若菜)。子どもをペルソナのNICUに預けているが、四宮とは医師と患者以上の関係がありそうで、それを勘ぐる白川が一人で勝手にドタバタとコメディーしていたのだが、その正体が明らかに。なんのことはない倉橋は研修医時代に四宮や鴻鳥らの下にいた後輩の産科医で、これにより数週に渡る白川の勘繰りはあっけなく終了。

 とはいえ、それでも四宮と倉橋には先輩後輩以上の感情があるようにも見え、だとしたら原作コミックにはない色恋沙汰な展開だ。

 倉橋は別れた夫に出産したことも告げずに復職を模索しているが、なかなか先が見えず行き詰まっている模様で、職を持つ女性の産休、復職問題も、このドラマでよく描かれるテーマとなっている。

 

■ダメな夫が成敗される水戸黄門

 

 あからさまに出産をナメていた蓮の夫・壮太だが、苦しむ妻や尽力する医師らを目の当たりにして自分の浅はかさを知る。

「まさか、こんなに大変だとは思いませんでした。女性は命がけで出産に立ち向かっているんですね」

「先生たちも大変ですね、僕たち夫婦のわがままを聞いてくれて本当にありがとうございます」

「バカなことを言ってすみませんでした」

 と、黄門様に悪代官が懲らしめられたかのような絵に描いた撃沈ぶりで、今回は特に勧善懲悪感が目立った。夫がわかりやすく謝罪する場面は原作になかったので、ドラマ化において、どの辺をターゲットにしているのかが見て取れる。ネットでの評判を見ても、物語そのものよりもダメな夫に対するいらだちの共感と自身の出産経験を思い出しての感動がメインのようで、やはりそこを意識して作られているのだろう。

 そのためか、感情移入のメイン媒体となるゲスト妊婦(母親)は、今まで実力派の女優が多かったのだが、今回は実力派というよりママタレありきのキャスティングだったため評判がいまいちなようで、ダメな夫役以上に引き受ける女優は大変そうだ。

 しかし本物の新生児を使う撮影は毎度リアルだし、デリケートな部分に気をつけつつ情報量の多い内容をうまくまとめあげているので、このまま人気シリーズとして安定しそう。

 個人的に今回一番気になったのは、帝王切開の最中に、メインの助手を初めて務める新人・赤西が、意識ある妊婦の目の前で何度も何度も叱られていたところ。素人バレバレの新人が何度も怒られながら自分の手術に関わってる状況って、単純に地獄だろうなって思いました。
(文=柿田太郎)

大門未知子が後輩医師をドS調教!? 『ドクターX ~外科医・大門未知子』第4話

 米倉涼子がフリーランスの天才外科医を演じる大ヒットドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)第5期の第4話が2日に放送され、平均視聴率19.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.1ポイント増となりました。

 さて、今回は手術シーンからスタート。“三度の飯よりオペが好き”と公言する未知子はハードに仕事をこなすのですが、助手を務める森本光(田中圭)は技術的に劣り、足手まといになってしまいます。

 また、西山直之(永山絢斗)ら“ゆとり世代”の若手医師たちからの突き上げもあり、森本はストレスを抱え込んでしまうのです。その姿を見かねた先輩外科医・原守(鈴木浩介)に誘われ、気分転換に婚活パーティーに参加。そこで運命の女性・内神田四織(仲里依紗)に出会い、結婚へ向けトントン拍子で話が進みます。

 そんなある日、四織が勤務中の森本を訪れ、人気の結婚式場を予約することができたと報告。喜ぶ森本ですが、帰り際に四織が倒れてしまいます。すぐに検査したところ、四織は余命3カ月の重篤な肝臓がんを患っていることが発覚。さらに、四織が日本医師倶楽部の会長・内神田景信(草刈正雄)の娘、つまり超VIPであることが明らかになり、医局内は騒然となってしまうのです。

 オペ失敗は絶対に許されないと、病院長・蛭間重勝(西田敏行)は万全の布陣でオペに臨むことを計画。しかし、四織が執刀医に指名したのは、婚約者であり名医だと思い込んでいる森本だったのです。自分の手に負えない困難な手術が回ってきたことに森本は恐れおののき、未知子に助手を頼むのですが、未知子は「いたしません」の一点張り。教授連中が土下座しても首を縦には振らないのです。

 しかしオペ当日、未知子は手術室に現れ、助手に入ることを承諾。森本は安堵しつつ肝臓にある腫瘍の摘出を始めるのですが、肝臓の20%を残さなければいけないギリギリの切除が求められる困難なオペに途中でギブアップ。未知子に助けを求めるも頑なに拒否されてしまったため、インオペ(手術中止)を決意するのです。

 四織を救えなかったことに落胆する森本ですが、その数日後、未知子が四織の再手術をしていると聞きつけ、慌てて手術室に駆け込みます。実は未知子、前回のオペの際、腫瘍を切除して小さくなった肝臓が自己再生するような処置をこっそり施していたのです。それが功を奏し、手術は無事に成功となりました。

 その後、四織は実は“内神田”という姓を利用して医師たちを騙す結婚詐欺師だったことが発覚。重鎮の娘を助けて株を上げようとした蛭間がその事実を知り、内神田景信の目の前で驚嘆、森本がショックを受けて泣く、というオチがついたところで終了となりました。

 今回は森本にスポットライトが当たる回となりました。森本といえば第1期に新米外科医として登場。天才的なオペ技術を誇る未知子に憧れを抱き海外留学を決意したものの、留学は失敗に終わったようで相変わらず外科医としての腕は半人前。第1話から先輩医師だけでなく若手医師たちにもバカにされるようなシーンがちょくちょく挿入されていました。

 しかし、ダメなりにも一生懸命頑張る森本のことを、未知子は未知子なりに密かに気にかけていたのではないでしょうか。今回、最初のオペ中に未知子が森本の助けを拒否した際、外野の教授たちからは“未知子なりの教育”という意見が飛び交いました。獅子の子落としではないですが、困難な局面から逃げてばかりでは森本の成長には繋がらないというわけです。

 2回目のオペについては、森本が執刀医を代わると申し出た際、未知子が「あんたはこの前やったでしょ。次は私の番」と言ったため、結局自分がオペをやりたかっただけなんだと、他の教授たちが呆れ返るシーンがありました。どこか子どもじみたところがある未知子なだけに、最後の最後は自分がオペをしたいという気持ちは確かにあったのかもしれません。けれど、昔気質の職人の師弟関係ではないですが、“背中を見て覚えろ”という意味合いもあったのではないかと思うのです。普段は定時きっかりに帰る未知子ですが、今回は珍しく残業して四織のレントゲンと睨めっこするシーンがあったことからも、森本を気にかけている様子が伝わってきました。

 第2話での新人医師・伊東亮治(野村周平)に対してもそうでしたが、今シーズンの未知子は後輩たちに対して姉御肌な部分を発揮しているシーンが垣間見られます。優しい言葉など一切かけず、その指導方法はドS気味ではありますが、他人のことは我関せずだった未知子も後輩育成が考えられるほど丸くなってきたということかもしれません。

 さて、次回は最先端のAI診断システムがテーマということですが、未知子と若手医師たちとの絡みも含めて面白い展開を期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

フジテレビの連ドラが「全滅」! 芳根京子『海月姫』が最後の“月9”に!?

 前クールの月9『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』の高視聴率も束の間……、フジテレビが「連ドラ全滅」の窮状に逆戻りしている。

 今期のプライム帯ドラマは、『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)や『陸王』(TBS系)、『コウノドリ』(同)、『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)が2ケタ台を記録する一方で、フジ系列で放送中の篠原涼子主演『民衆の敵 ~世の中、おかしくないですか!?~』、井上真央主演『明日の約束』、浅野忠信主演『刑事ゆがみ』は軒並み1ケタ。特に『明日の約束』は10月31日放送回で平均視聴率5.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)まで落ち込んでしまった。

「ブランド力を失った月9枠を救うため、7年ぶりに『コード・ブルー』を復活させたフジですが、もはや焼け石に水。『民衆の敵』は期間平均で7%台と低迷している。また、草なぎ剛主演『嘘の戦争』、小栗旬主演『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』と好調続きだった火曜夜9時台のカンテレ制作枠も、前期の窪田正孝主演『僕たちがやりました』から絶不調に。今期の『明日の約束』も『作風が暗すぎる』として脱落者が相次いでいます」(テレビ誌記者)

 前フジテレビ社長の亀山千広氏は、かつて低迷打破の糸口を「まず、ヒットドラマを生み出すこと」と公言していたが、これに大失敗。数年前から、フジの連ドラは「1ケタが当たり前」というイメージが定着している。

 とはいえ、フジのドラマが他局よりも「つまらない」というわけではなさそう。特に『刑事ゆがみ』の視聴者からは、「ドラマ史に残る傑作」「今クールで一番面白い」「なんでみんな見ないの?」との声が相次いでいる。

「ドラマファンの間では、数年前に比べ『フジのドラマが面白くなってきた』との声は多い。しかし、社長が交代した現在も“嫌フジ”の風潮は強く、なかなか数字の回復が見られない。今年、『27時間テレビ』を収録番組に大幅リニューアルしたほか、長寿番組『めちゃ×2イケてるッ!』や『とんねるずのみなさんのおかげでした』を来年3月に終了させるフジですが、根本的なイメージを変えるため、今後も驚きの大ナタがふるわれそう。月9枠も、いつなくなってもおかしくありません」(同)

 来年1月からは、月9枠で芳根京子主演の『海月姫』を放送すると発表したフジ。もしかしたら、これが最後の月9ドラマになるかもしれない。