『シグナル』「カネもコネもない奴を生贄に……」警視庁が憤激してもおかしくない展開も、主演・坂口健太郎の好演が光る

 塩顔界のプリンス・坂口健太郎が主役を務めるドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)の第8話が29日に放送され、前回と同じく平均視聴率6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

(前回までのレビューはこちらから)

 その前回ラスト、三枝健人(坂口)刑事は、1999年に起きた女子高生集団暴行事件の真相を教えると、上司の岩田一夫(甲本雅裕)から連絡を受け、待ち合わせ場所へ。実はこの事件、健人にとって、実兄の加藤亮太(神尾楓珠)が濡れ衣を着せられ、その結果自殺に至った因縁があるため、真犯人に関する情報は喉から手が出るほど欲しかったのです。

 しかし、待ち合わせ場所には、腹部を刺され瀕死状態の岩田の姿が……というところで前回は終了し、今回はこの続きからスタート。岩田は、かつての部下・大山剛志(北村一輝)刑事を殺して裏庭に埋めた、といったようなことを仄めかすと、そのまま息を引き取ってしまいます。

 一方、1999年の世界では、女子高生の井口奈々(山田愛奈)が飛び降り自殺を図り、一命を取り留めたものの、集団暴行を受けたことを苦にしての行動だったことが発覚。刑事事件に進展し、大山が捜査に加わります。

 実はこの事件には、都市開発会社社長の御曹司が関わっていたため、その社長が衆議院議員の野沢義男(西岡徳馬)に相談。そして野沢は、自身と癒着関係にある警視庁捜査一課の刑事部長・中本慎之助(渡部篤郎)にうまく取り計らうよう依頼し、その結果として、カネもコネもない亮太が生贄として主犯に仕立て上げられてしまったのでした。

 過去と未来をつなぐ無線機によって、健人の兄が無実の罪で捕まったことを知っていた大山は、中本の裏工作に気づくのですが、肝心の奈々までもが亮太が主犯だという供述をしたため、お手上げ状態となってしまいます。

 一方、2018年現在の世界を生きる健人は、待ち合わせの直前、岩田が元暴力団員の岡本(高橋努)の別荘を訪れていたという情報を入手。上司の桜井美咲(吉瀬美智子)とともに、現地へ向かいます。

 そこで健人は、岩田が死に際に遺した言葉を思い出し、裏庭を捜索。不自然に土が盛られた場所を掘り起こし、白骨死体と大山の警察手帳を発見したところで今回は終了となりました。

 さて感想。今回は、今まで小出しにされてきた健人の兄の情報が一気に明かされる回となったのですが、権力によって無実の人間をスケープゴートにする、という展開は、あまりに警視庁を貶めて描き過ぎなのではないかと感じました。

 オリジナルドラマが製作されたお隣の国ではいざ知らず、日本が舞台だとリアリティーに欠けるような気もします。また、都市開発会社の社員の息子たちを暴行事件の犯人に仕立て上げ、亮太が主犯だと供述するようけしかけた、中本の裏工作も雑過ぎ。警視庁が憤激してもおかしくない展開でした。

 ストーリー的にも安直すぎますよね。この先、クライマックスに向けて勧善懲悪の流れになっていくのが予想できます。大山が無実を証明することで亮太は自殺をせず、現在の世界でも健在。健人の心の闇が晴れてハッピーエンド、といったところでしょうか。

 お決まりのレールに沿うような進行。そして、話を円滑に進めるための都合のいい演出は、健人が岡本の別荘を捜査したシーンでも発揮されていました。捜査令状を取っていなのに勝手に入り込んでいたのです。これって、完全に不法侵入ですよね。しかも、手袋をつけずに白骨死体を掘り起こすという愚まで犯していました。

 脚本や演出に粗が目立つ一方、坂口健太郎の好演ぶりは光っていました。今回、亮太の自殺死体を発見してしまった幼少期や、兄が濡れ衣を着せられたことを知る高校生時代など、暗い過去を振り返るシーンがあったのですが、悲しみ・怒り・憎しみといった負の感情、それを抱えつつ真実を暴き出そうという意思の強さなどが感じられる演技を、しっかり披露していました。

 坂口にとって本作が、連続ドラマ初主演作となるのですが、正直なところ、ドラマが始まった当初は、まだその器ではないと感じました。たどたどしい演技が目立ち、ストーリーの流れを阻害してしまうこともしばしばあったのです。

 しかし、回を追うごとに表現力が増したため、健人というキャラクターに次第に血が通い、感情が奥深くなっていくのが感じられました。刑事として一人前になっていく健人同様、坂口も役者として急成長した印象で、まだまだ伸び代もありそうな予感がします。

 ドラマも残すところあと僅かですが、坂口がさらに健人のキャラクターをモノにし、クオリティの高い演技を見せてくれることや、筆者が予想した展開を、いい意味で裏切ってくれることを期待しつつ、次週放送を待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『花のち晴れ』飯豊まりえの折れない“鋼メンタル” 王子様キャラ・中川大志の“ヤンデレ”覚醒も……

 23日にメジャーデビューを果たしたジャニーズ期待の新星「King & Prince」平野紫耀くんが出演する『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)。第6話の視聴率は8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、0.4ポイントダウンでした。

 平野くんたちが歌うこのドラマの主題歌「シンデレラガール」は、発売初週で57.7万枚を売り上げ、6月4日付のオリコン週間シングルランキングで初登場1位を獲得! デビューシングルの初週50万枚超えは、2006年の先輩・KAT-TUNによる「Real Face」(75.4万枚を記録)以来12年2カ月ぶりなんだとか。キンプリ、すさまじい人気です。このいい流れが、ドラマのほうにも影響してくれるといいんですが……。ということで、今夜放送の7話を前に、6話のあらすじから振り返っていきたいと思います。

*前回までのレビューはこちらから

■相変わらず、ぶっとんでるメグリン

 

 前回ラストで(参照記事)付き合うこととなった音(杉咲花)と天馬(中川大志)。音の告白シーンを見てしまった晴(平野紫耀)はすっかり意気消沈。人気モデル・メグリンこと西留めぐみ(飯豊まりえ)は、ラブパワーMAXのメグリンスペシャルカレーで晴を元気づけようとしますが、そのお味は、執事の小林さん(志賀廣太郎)がダウンしてしまうほど、破壊的なものでした。

 ちなみに、晴が今一番食べたいのは、「ミシュランの三ツ星も霞む」という音が作った野菜炒め(2話参照)だそう。「そっか。じゃあ元気モリモリ作戦は失敗ってことで」とちょっぴり落ち込むメグリンですが、マズいとわかっているカレーを一口食べて、「ありがとな。わざわざ飯作りに来てくれて」と、きちんとお礼を言う晴。これにはメグリンも思わずキュンときちゃいます。

 一方、天馬と付き合うことになった音は、学校でクラスメイトに無視されても平気なくらい上機嫌だし、天馬くんからの何気ないメールにも舞い上がってしまうくらいには浮かれています。そんな音のクラスに、英徳の制服を着たメグリンが。学園の名声を上げるために晴とメグリンをくっつけたいC5メンバー・海斗(濱田龍臣)の提案によって、英徳に転入してきたそうです。メグリンの影響を受け、英徳には転入希望者が殺到。さすがカリスマモデル。そんな彼女、今週もいい具合にやばいです。

・「ねぇ、私、晴くんと付き合ってもいいんだよね?」と、ご丁寧に音にお伺いをたてるメグリン

・完璧主義の父・巌(滝藤賢一)に「(晴は)10点満点でいえば、よくて5点」「(音は)神楽木家にも前にもふさわしくない」と言われるも、何も反論できず自己嫌悪に陥る晴に、「あなたのつらくて悲しい気持ち、私が半分もらうから」と泣きながらベットに寝転ぶ晴の横にゴローンするメグリン

・前回のカレーのリベンジからか、こりもせずに、重箱に入れたとってもカラフルなお弁当(味はお察しください)を晴に食べさせるメグリン

 晴が音のことを好きなことを知っていながら、ガンガン攻める彼女。一見するとウザいしイタい感じもしますが、計算とかはまったくないし、ただ晴を元気づけようと明るく笑顔で振る舞う姿は、一周まわって、けなげでかわいく思えてきます。

 しかも彼女がすごいのは、ライバルである音を陥れようとか、そういう悪意が1ミリもないところ。遊園地でデート中の音と天馬にバッタリ会ったときも、Wデートを提案して「私はもう逃げる晴くんを見たくない」と晴を鼓舞したり、天馬につっかかる晴をたしなめたり、鋼の心を持った、素直で本当にいい子なんです。演じる飯豊さんは叩かれ気味だけど……。

 

■地獄のWデート

 

 そんなメグリンをよそに、晴は音と天馬の2ショットを見るたびイライラ。音が天馬のために気合を入れて作ったお弁当も「らしくない」と、嫌味を言ってしまいます。さらには、天馬とコーヒーカップに乗って自分が先にダウンしてしまったり、お化け屋敷では思いっきりビビッてしまったり、天馬の弱点をさらけ出すどころか、ことごとく惨敗。おまけに天馬から「音は渡さない」とけん制される始末です。

 音も、メグリンから、完璧主義で、幼い頃から神楽木家にふさわしい人間になるよう晴に“テスト”を与えてきた晴の父の話を聞き、天馬くんが隣にいながら、考えるのは晴のことばかり。お互いのことを考えてぼけーっとしている2人は、一緒に遊園地に来たパートナーを置いてすたすた歩き、そのまま観覧車の中に。どことなく気まずい雰囲気を断ち切ろうと、音が口を開きますが、いつものように2人は言い合いになってしまいます。

「俺の気持ち気付いてるくせに、知らんぷりしてんじゃねぇよ。俺が好きなのは……」

 晴がそこまで言いかけたとき、観覧車が一周して地上に到着。音は天馬とメグリンの元へ走ってそそくさと外に出て行きます。

 帰り道、赤ちゃんが乗ったベビーカーが階段から落ちていくところに遭遇し、少しでも音にいいところを見せようと体を張って赤ちゃんを助けますが、真っ先に反応したのは音ではなくメグリンで、「心臓止まるかと思った」と晴にとびつきます。音は天馬に促され、その場を離れます。その後、メグリンは晴に告白。晴は何も答えません。

■天馬のヤンデレが覚醒

 

 晴とメグリンと別れ、立ち寄ったカフェで、2人は天馬が通う桃乃園学院の生徒会メンバーにバッタリ。天馬が音とデートをしていたと聞いてあからさまに落ち込む女子生徒を心配する音は、彼女を追いかけるよう言いますが、これには聖人君子の天馬くんもさすがに怒りが爆発。

「音は何考えてんだろ? 僕のこと好きな子を慰めてほしいの? そばに寄り添ってもいいの? それで音は何も感じない? 今日一日、僕が何も感じてないと思ってる? 嫉妬したり、傷ついたりしてないって思ってる?」

 激しく、でも静かに音に怒りをぶつける天馬くん。思わず口に出ちゃったのでしょうが、普段穏やかなぶん、ちょーコワいです。でも、天馬くんのコワさはこれだけじゃないんです……。

 カフェを飛び出し、きちんと晴と話をつけた音からの呼び出しで、再び2人は会うのですが、「もう嫌な思いは絶対させない」と謝る音を、天馬くんは「もういい……分かったから」とギュッと抱きしめ、その流れで2人は初チューをキメます。音は照れたり、拒否ったりするわけでもなく、天馬くんをジッと見つめて意外にも動じません。そんな彼女に天馬くんは、「桃乃園に転校してこないか?」と突拍子もないことを言うんです。

 この流れ、暴力を振るった後に泣きながら謝った後に優しくなるDV男みたいでめちゃくちゃ怖いなと思ったんです。そりゃあ、音は英徳で散々な目に遭ってきたし、晴にとられないように自分の目が届くところにおいておきたい気持ちはわかります。でも天馬くん、別人みたいに目が死んでるんだもん。完全にイッちゃってるんだもん。

 幼いころに母・美代子(堀内敬子)を亡くした天馬くん。父・一馬(テット・ワダ)は仕事が忙しかっただろうし、秘書だった利恵さん(高岡早紀)と再婚しちゃうし、一人ぼっちになった天馬くんにとって、音は母に代わる大きな存在なんだろうと思います。だからこそ、そんな音に依存している。このまま2人が結婚したら間違いなくDV男化しちゃいそうだし、今話を見て、勝手に2人の明るい未来が見えなくなりました。天馬派のみなさんごめんなさい。でも、天馬くんは怖いけど、ヤンデレな中川くんの演技はゾッとするくらいすごくよかったので、もっと見てみたいです。はい。

 

■平野紫耀の演技は下手なのか?

 

 1話のレビュー(参照記事)で、「平野くんの棒演技が逆にイイ」と書きましたが、今話では、前言撤回したくなるシーンがありました。「あなたは私のことが好きなんですか?」と問いかける音に、晴が告白をするシーンです。

「好きだ。ずっと、頭の中はお前のことばかり」
「江戸川に好かれるにはどうしたらいいか、どうやったら触れられるか。好きで好きでたまらない」
「本当に、江戸川のことが大好きだ」

 音の目をまっすぐに見て、素直な気持ちを伝えました。もちろん、音は天馬と付き合っていますから、「大事な人にただただ笑っていてほしい」とフラれてしまいます。「こんなんで終わりかよ」と、涙をこらえきれずにボロボロ涙を流しながら引き止めようとする晴に、音は声を震わせながら「神楽木と私は、何も始まってないよ」と言い残して部屋を後にします。

「なんだこれ、俺、泣いてんのか?」と、一人になった部屋で号泣する晴、そしてバックに流れる宇多田ヒカルの「初恋」もあいまって、これまでで一番のエモさを感じました。平野くんの泣き演技は、どこまで台本にあったものなのかはわかりませんが、とても自然に感じましたし、切ない表情に思わずつられて涙が出そうになりました。

 晴はもちろん、自分の気持ちより周りを優先してしまう音や、そんな音が何よりも大事な天馬、そして音を好きな晴を支えようとするけなげなメグリン、みんなの「初恋」がぐちゃぐちゃにこじれてきた『花のち晴れ』、悪者が誰一人としていないだけに、こんなこと言っちゃアレだけど、みんなに幸せになってほしいです……。
(文=どらまっ子TAROちゃん)

『花のち晴れ』飯豊まりえがジャニオタを挑発? 過去の発言がバッシングの燃料に……

 これほど反感を買うとは、本人も思っていなかったことだろう。

 杉咲花主演のドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)に出演中の飯豊まりえに対する、ジャニーズファンの口撃が止まらない。女性誌ライターが語る。

「5月22日に放送された第6話まで、視聴率は一度も2ケタに届かない低空飛行。しかし、毎週Twitterではトレンド上位に入り、“反響”は春ドラマではナンバーワンですね。King&Prince平野紫耀を、飯豊が狙っているのでは? という嫉妬が、視聴者の熱の高い理由のひとつとなっています。ジャニーズが出演するドラマの共演者は、既婚者か地味系女優でそろえなければならないという事情があり、ファンからの苦情を避けるため、地味めな杉咲や飯豊が起用された経緯がある。しかし、飯豊は一部から“あざとい”性格だと思われており、ファンに目を付けられています」

 SNS上では「休憩中も平野と常に距離が近く、立ち上がる際には平野の膝に手を置いて立ち、手を触りながら爪を見せ合ったり、ひとつの毛布に2人でくるまっていた」「撮影中に平野を役名でなく本名で呼び間違えてNGを出した」「カメラが回っていない時にも『ショウくん、ショウくん』と平野にグイグイ迫っていた」といった真偽不明の情報が飛び交い、そのたびに「飯豊叩き」が起きている。

 一方、飯豊のほうも、過去に出演したバラエティ番組で、ジャニーズファンを小バカにするような発言をしたことがあったという。

「VTRで嵐・二宮和也の熱狂的なファンが登場した際に、『でも多いです! 現実が見れないっていう子が。私は普通に恋したいです』と、アイドルにガチ恋しているファンが多いことを指摘。言外に“身の程知らず”と思っているような雰囲気がありました。このときの発言が今になって掘り起こされ、ジャニーズファンの怒りを増幅させる燃料となっています」(前出・女性誌ライター)

 ファンを敵に回したことで、飯豊は今後ジャニーズとの共演NGになる可能性もありそうだ。

『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)三谷幸喜・クドカンにも劣らぬ古沢良太の手腕! 7話目にして“最高傑作”が誕生!

『コンフィデンスマンJP』の第7話「家族編」が5月21日に放送され、平均視聴率は8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

 リチャード(小日向文世)はバーで矢島理花(佐津川愛美)と出会う。現在、理花はスリ師をしているが、10億円の遺産を持つ与論要造(竜雷太)の末娘なのであった。ダー子(長澤まさみ)は、刑務所に服役中の理花に成りすまし、余命半年の要造から遺産をもらい受けようとする。しかし、18年ぶりに帰って来た理花がニセモノではないかと、兄・祐弥(岡田義徳)と姉・弥栄(桜井ユキ)は疑う。兄姉からの妨害を受けながら、ダー子は婚約者設定のボクちゃん(東出昌大)と共に、与論要造の信頼を勝ち取る日々が始まる。

 以上が「家族編」のあらすじ。視聴率は前回から0.6ポイント増。感想としては、「『コンフィデンスマンJP』に求めていた面白さはコレなのだ!」と断言できるほど、面白かった。今回は脚本の技術の高さに着眼点を置き、第7話の内容と魅力を振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■『コンフィデンスマンJP』には“疑い”が欠けていた?

「面白いけれど、なぜか腑に落ちない」と、本作には何かが欠けていると感じてモヤッとしていた。しかし、第7話を見てモヤが晴れた。この物語には、ダー子たちに疑いの目を向ける存在が欠けていたのだ。疑り深かったのは第1話「ゴッドファーザー編」の江口洋介くらい。他の回のターゲットや周辺人物はスンナリとダー子たちに騙されてしまう。嘘が交錯するコンゲームというジャンルなのに、疑う存在がいなければ緊迫感は出ない。ノリや小ネタに誤魔化され、ハラハラドキドキという、コンゲームにおける楽しみの本質を忘れさせられていた。ある意味、このドラマに騙されていたのだ。

 第7話では、冒頭からダー子を偽物の理花だと気づき、疑う兄と姉の存在がある。屋敷のどこに理花の部屋があるかわかるだろう、と問われたり、DNA鑑定を持ちかけられたり、ピンチの場面が度々訪れる。また、家族というステージが緊張感を高めてくれた。家族には独自の文化と思い出がある、竜雷太演じる与論要造が「今年もアレが楽しみだな」と言えば、要造の言う“アレ”が何なのかわからないダー子たちは右往左往する。

「邪魔者の出現」と「難易度の高いステージの用意」。これらは基本要素であるが、第7話の面白さはそれに留まらない。古沢良太の特異性が存分に発揮されていた。

■脚本家・古沢良太の持つ、“ゲーム的展開”と“演歌の精神”

 まるでRPGゲームの世界を体験したような1時間だった。

 要造に実の娘だと思わせ10億円の遺産を騙し取るまでの“ゴール”。遺産を奪い合う兄姉という“敵”。獄中の理子から得た家族のエピソードという“アイテム”。アイテムの中に、「理子が家族からイジメを受けていた」というカードがある。このカードをどのタイミングで切るのかが、作中の楽しみでもあった。

 屋敷の中で展開する物語であるが、“ステージ”もめくるめく展開を見せる。以下、ネタばれ注意ではあるが……

1、 実の娘だと信じさせるため、兄姉の妨害を乗り越える。

2、兄姉がダー子たちと同じ遺産目当ての偽物の息子&娘だと気づく。

同時にダー子たちも偽物とバレ、牽制し合いながらの要造への媚売り合戦が展開。

3、要造の望みが建前の媚売りでなく本音でぶつかり合える家族の存在だとわかる。

敵対した兄姉と協力し合い、ケンカも罵倒もある普通の家族を目指す。

 遺産10億円ゲットという大目的のため、中間目標が変わりダー子たちの行動ラインまで変化していく。この後も予想を裏切る展開が続くが、オンデマンドで最後まで見てほしい。前述した「本物の理子がイジメを受けていた」というカードを切るタイミングが抜群だったからこそ、ハラハラドキドキ展開のコンゲームは、感動のヒューマンドラマへと変貌する。今まで媚売りに始終していたダー子たちが、要造の望みを知った後での食卓のシーンは、涙がこぼれる。現代日本で家族の食卓がノスタルジーと化してしまったのだと気づかされ、切ない気持ちにさせられた。

 古沢良太の脚本の良さは、視聴者を飽きさせないゲーム的な展開と胸に染みる演歌な部分にある。その両方を併せ持つ脚本家は国内に古沢良太、ただ一人だと思う。

■コメディ作家BIG3古沢良太・宮藤官九郎・三谷幸喜の違いとは?

 古沢良太はビッグネーム故に、三谷幸喜や宮藤官九郎と比較されたり、並べられることがある。同じコメディのジャンルを得意とする3人であるが、笑いのトリガーは明確に違う。しかし、第7話「家族編」は古沢良太の独自の良さに加え、三谷幸喜と宮藤官九郎の得意とする技まで駆使されていた。そのため、コメディ作家大御所3人の違いについて触れてみたい。

 まずは三谷幸喜。彼の笑いは、“状況”で引き起こされる。映画『ラヂオの時間』『THE 有頂天ホテル』やドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系)、どの作品も限定された空間で起きてほしくないトラブルに登場人物たちが見舞われる。そして登場人物は誰もが真剣だからこそ、ミスをする際には笑えてしまう。焦って下手を打つ者、考えすぎて見当違いをする者、欲に駆られて事態が見えなくなる者。トラブルの中でそれぞれの個性が浮き彫りとなり、人間ドラマが生じていく。だからこそ、“ドタバタ”ではなく“喜劇”と呼ばれ、作風には気品すら感じられる。

 次に宮藤官九郎。彼の作品の笑いの肝は“緩急”にある。例えば『あまちゃん』(NHK総合)では、天野春子(小泉今日子)の傍若無人な振る舞いで笑いが起き、娘を想う繊細な親心に泣かされる。上京とアイドルになる不安を感じる娘・アキ(能年玲奈)に 「私変わった(成長した)?」と問われた際の返答は圧巻だ。

「変わってないよ、アキは。昔も今も、地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子だけど……だけど、みんなに好かれたね。こっち(岩手)に来て、みんなに好かれた。あんたじゃなくてみんなが変わったんだよ。自信持ちなさい、それはね案外すごいことなんだからね」

 おバカさと真面目さのギャップに魅せられて、登場人物たちは視聴者の心に寄り添う友達となる。だからクドカンドラマの最終回はいつも寂しくなってしまう。

 そして、古沢良太の笑いのトリガーはどこにあるのか? それは登場人物同士の“対立”の中にある。文学ニートとリケジョの恋を描いた『デート』(フジテレビ系)、悪徳弁護士と清廉潔白な弁護士の活躍を描いた『リーガルハイ』(同)。意見の違う者同士のチグハグ感に笑い、相反する主張から物事の本質まで見えそうになる。

 本作第7話「家族編」に話を戻すと、ピンチが次々に起きる“状況”設定には三谷幸喜を、コメディとヒューマンの“緩急”は宮藤官九郎を彷彿とさせた。そして古沢良太自身が得意とする“対立”構図の果てに、家族の本質は血の繋がりには無いというメッセージ性まで感させる。

 無駄な小ネタや自分の見せたい画に執着しなかった三橋利行氏の演出も相まって、古沢良太の脚本の良さが見えたのかもしれない。残り3話。古沢脚本×三橋監督のコンビをまた見られることを期待しつつ、第8話「美のカリスマ編」も楽しみにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)三谷幸喜・クドカンにも劣らぬ古沢良太の手腕! 7話目にして“最高傑作”が誕生!

『コンフィデンスマンJP』の第7話「家族編」が5月21日に放送され、平均視聴率は8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。

 リチャード(小日向文世)はバーで矢島理花(佐津川愛美)と出会う。現在、理花はスリ師をしているが、10億円の遺産を持つ与論要造(竜雷太)の末娘なのであった。ダー子(長澤まさみ)は、刑務所に服役中の理花に成りすまし、余命半年の要造から遺産をもらい受けようとする。しかし、18年ぶりに帰って来た理花がニセモノではないかと、兄・祐弥(岡田義徳)と姉・弥栄(桜井ユキ)は疑う。兄姉からの妨害を受けながら、ダー子は婚約者設定のボクちゃん(東出昌大)と共に、与論要造の信頼を勝ち取る日々が始まる。

 以上が「家族編」のあらすじ。視聴率は前回から0.6ポイント増。感想としては、「『コンフィデンスマンJP』に求めていた面白さはコレなのだ!」と断言できるほど、面白かった。今回は脚本の技術の高さに着眼点を置き、第7話の内容と魅力を振り返りたい。

(これまでのレビューはこちらから)

■『コンフィデンスマンJP』には“疑い”が欠けていた?

「面白いけれど、なぜか腑に落ちない」と、本作には何かが欠けていると感じてモヤッとしていた。しかし、第7話を見てモヤが晴れた。この物語には、ダー子たちに疑いの目を向ける存在が欠けていたのだ。疑り深かったのは第1話「ゴッドファーザー編」の江口洋介くらい。他の回のターゲットや周辺人物はスンナリとダー子たちに騙されてしまう。嘘が交錯するコンゲームというジャンルなのに、疑う存在がいなければ緊迫感は出ない。ノリや小ネタに誤魔化され、ハラハラドキドキという、コンゲームにおける楽しみの本質を忘れさせられていた。ある意味、このドラマに騙されていたのだ。

 第7話では、冒頭からダー子を偽物の理花だと気づき、疑う兄と姉の存在がある。屋敷のどこに理花の部屋があるかわかるだろう、と問われたり、DNA鑑定を持ちかけられたり、ピンチの場面が度々訪れる。また、家族というステージが緊張感を高めてくれた。家族には独自の文化と思い出がある、竜雷太演じる与論要造が「今年もアレが楽しみだな」と言えば、要造の言う“アレ”が何なのかわからないダー子たちは右往左往する。

「邪魔者の出現」と「難易度の高いステージの用意」。これらは基本要素であるが、第7話の面白さはそれに留まらない。古沢良太の特異性が存分に発揮されていた。

■脚本家・古沢良太の持つ、“ゲーム的展開”と“演歌の精神”

 まるでRPGゲームの世界を体験したような1時間だった。

 要造に実の娘だと思わせ10億円の遺産を騙し取るまでの“ゴール”。遺産を奪い合う兄姉という“敵”。獄中の理子から得た家族のエピソードという“アイテム”。アイテムの中に、「理子が家族からイジメを受けていた」というカードがある。このカードをどのタイミングで切るのかが、作中の楽しみでもあった。

 屋敷の中で展開する物語であるが、“ステージ”もめくるめく展開を見せる。以下、ネタばれ注意ではあるが……

1、 実の娘だと信じさせるため、兄姉の妨害を乗り越える。

2、兄姉がダー子たちと同じ遺産目当ての偽物の息子&娘だと気づく。

同時にダー子たちも偽物とバレ、牽制し合いながらの要造への媚売り合戦が展開。

3、要造の望みが建前の媚売りでなく本音でぶつかり合える家族の存在だとわかる。

敵対した兄姉と協力し合い、ケンカも罵倒もある普通の家族を目指す。

 遺産10億円ゲットという大目的のため、中間目標が変わりダー子たちの行動ラインまで変化していく。この後も予想を裏切る展開が続くが、オンデマンドで最後まで見てほしい。前述した「本物の理子がイジメを受けていた」というカードを切るタイミングが抜群だったからこそ、ハラハラドキドキ展開のコンゲームは、感動のヒューマンドラマへと変貌する。今まで媚売りに始終していたダー子たちが、要造の望みを知った後での食卓のシーンは、涙がこぼれる。現代日本で家族の食卓がノスタルジーと化してしまったのだと気づかされ、切ない気持ちにさせられた。

 古沢良太の脚本の良さは、視聴者を飽きさせないゲーム的な展開と胸に染みる演歌な部分にある。その両方を併せ持つ脚本家は国内に古沢良太、ただ一人だと思う。

■コメディ作家BIG3古沢良太・宮藤官九郎・三谷幸喜の違いとは?

 古沢良太はビッグネーム故に、三谷幸喜や宮藤官九郎と比較されたり、並べられることがある。同じコメディのジャンルを得意とする3人であるが、笑いのトリガーは明確に違う。しかし、第7話「家族編」は古沢良太の独自の良さに加え、三谷幸喜と宮藤官九郎の得意とする技まで駆使されていた。そのため、コメディ作家大御所3人の違いについて触れてみたい。

 まずは三谷幸喜。彼の笑いは、“状況”で引き起こされる。映画『ラヂオの時間』『THE 有頂天ホテル』やドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系)、どの作品も限定された空間で起きてほしくないトラブルに登場人物たちが見舞われる。そして登場人物は誰もが真剣だからこそ、ミスをする際には笑えてしまう。焦って下手を打つ者、考えすぎて見当違いをする者、欲に駆られて事態が見えなくなる者。トラブルの中でそれぞれの個性が浮き彫りとなり、人間ドラマが生じていく。だからこそ、“ドタバタ”ではなく“喜劇”と呼ばれ、作風には気品すら感じられる。

 次に宮藤官九郎。彼の作品の笑いの肝は“緩急”にある。例えば『あまちゃん』(NHK総合)では、天野春子(小泉今日子)の傍若無人な振る舞いで笑いが起き、娘を想う繊細な親心に泣かされる。上京とアイドルになる不安を感じる娘・アキ(能年玲奈)に 「私変わった(成長した)?」と問われた際の返答は圧巻だ。

「変わってないよ、アキは。昔も今も、地味で暗くて向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子だけど……だけど、みんなに好かれたね。こっち(岩手)に来て、みんなに好かれた。あんたじゃなくてみんなが変わったんだよ。自信持ちなさい、それはね案外すごいことなんだからね」

 おバカさと真面目さのギャップに魅せられて、登場人物たちは視聴者の心に寄り添う友達となる。だからクドカンドラマの最終回はいつも寂しくなってしまう。

 そして、古沢良太の笑いのトリガーはどこにあるのか? それは登場人物同士の“対立”の中にある。文学ニートとリケジョの恋を描いた『デート』(フジテレビ系)、悪徳弁護士と清廉潔白な弁護士の活躍を描いた『リーガルハイ』(同)。意見の違う者同士のチグハグ感に笑い、相反する主張から物事の本質まで見えそうになる。

 本作第7話「家族編」に話を戻すと、ピンチが次々に起きる“状況”設定には三谷幸喜を、コメディとヒューマンの“緩急”は宮藤官九郎を彷彿とさせた。そして古沢良太自身が得意とする“対立”構図の果てに、家族の本質は血の繋がりには無いというメッセージ性まで感させる。

 無駄な小ネタや自分の見せたい画に執着しなかった三橋利行氏の演出も相まって、古沢良太の脚本の良さが見えたのかもしれない。残り3話。古沢脚本×三橋監督のコンビをまた見られることを期待しつつ、第8話「美のカリスマ編」も楽しみにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』が犯した失敗……『水戸黄門』パターンからの脱却なるか

 嵐・二宮和也が孤高の天才外科医を演じる日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)も第6話。視聴率は13.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今回も横ばいです。毎回、同じような展開なので、このままだと下がっていくかもしれません。今回はちょっと前に進んだけど。

 というわけで、振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

■ニノちゃんは、あいかわらずかわゆい。

 見るからに悪童っぽい外科医・渡海(二宮)は、今回もシーン単体で見れば、非常にかわゆい立ち居振る舞いのオンパレードでした。

 先輩医師が腫瘍の取り残しというミスをしてしまったときの「和解金2,000万円を要求します」とか、落盤事故でケガ人が27人も搬送されてきたときに、研修医の世良くん(竹内涼真)に言った「一人も殺すなよ、動け!」とか、患者の危機一髪のときにアウトフォーカスから手術室に入ってくるとこなんてもう「キター!」って感じで、たまらんですね。たまらん。かわゆい。

 ニノ以外のキャストも、これもシーン単体で見ればという話ですが、全然悪くないです。高階講師(小泉孝太郎)が上司の命令と患者の命の間で揺れ動く瞬間も、治験コーディネーター・香織(加藤綾子)の得も言われぬ色気も、回を重ねるごとに汚れみが増していく佐伯教授(内野聖陽)も、まるで合いの手のように折に触れてアップショットが抜かれる関川先生(今野浩喜)もよい。前回からゲストで出ているジャストミート福澤も、『陸王』(同)の松岡修造と同様に、日曜劇場が発掘した俳優として今後、世に出ていくかもしれない。

 でも、いずれも「シーン単体で見たら」です。お話の登場人物としてキャラクターを演じきれているかといえば、まったくできてない。なぜなら、シナリオの時点でキャラクターが破綻しているからです。

■怒れよ、渡海。

 前回までにさんざん申し上げております通り、『ブラックペアン』は『水戸黄門』のような“お約束”を楽しむ作品でした。高階や、その他のいけすかない医者がメカやロボを使って奇をてらった術式の手術を強行し、失敗する。天才・渡海がそれを、基本に忠実な手技でリカバリーして命を救う。あくまで、そのパターンを守ることに時間を費やしています。

 そのパターンの中でバリエーションを出すのも大変で、実際、このところマンネリ化が目立っていた同作ですが、今回は「患者が渡海の母親」ということで、パターンの中で大きな揺らぎを生み出せる設定が投入されました。

 ここまで、あくまにクールを気取ってきた渡海でしたが、母親に対して奇をてらった手術をされ、しかも失敗されるとなれば、怒り狂ってもおかしくない。もう6話ですし、そろそろ渡海のそういう姿を見せてほしいと期待していたんです。

 が、まったく、不自然なくらいに、いつもの渡海でした。

「ほかのオペに入っていたから」という理由で誰かが勝手に母ちゃんの胸を開けても、さして怒らない。「腫瘍を取り残す」というミスを犯されても、「2,000万円くれ」とは言うものの、別に怒らない。高階が奇をてらったロボによる再手術の同意書を渡海に内緒で勝手に書かせても怒らないし、輸血用の血が足りないのにロボ手術を強行しても怒らない。あげく高階がロボ手術をミスって母ちゃんが死にかけても怒らない。いつも通り、ささっとリカバリーして嫌味を言って去っていくだけ。

 控え目に言って、こいつ頭おかしいんじゃねえかと思いました。目の前で母ちゃんが殺されかけてるのに、なんでそんな感じなの? バカなの?

 今回、渡海は取り乱さなければいけなかったと思うんです。母ちゃんを殺されることに恐怖しなければならなかった。これじゃ母ちゃんを患者にした意味がないんです。

 さらに今回、近所で落盤事故が起きて27人が緊急搬送されてくるという事態も発生しました。この27人も、渡海は全員助けちゃった。27人もいれば病院に着いた時点で死んでる人もいそうですが、全員助けちゃった。

 そうして母ちゃんと27人の負傷者を平常運転で救ってしまったことによって、渡海という医者は「治せる患者は全員治せる」天才外科医から「誰でも、どんなケガでも病気でも、どんなタイミングでも、絶対に治せる」魔法使いになってしまっている。しかも、渡海と母親の間に“何もない”ので2人の関係性を描くこともできず、渡海が「母ちゃんが死にそうでも平気」な、たいへん珍しい人物に見えてしまっている。

 普通の医療ドラマなら、より医者の心情を深堀りできるはずの「肉親が患者」という設定が、渡海の人格破綻をさらに加速させるという、これは明らかに失敗していると感じました。

■『水戸黄門』からの脱却

 なぜそんな失敗が起こったかというと、「患者が母親」の投入は、決してパターン内でのマンネリ打破のためではなかったからです。うっすらとパターンの外で語られてきた「ブラックペアンって何?」「渡海と佐伯教授の因縁っぽいのは何?」という本筋に展開を与えるために、佐伯教授の過去を知る人物として母親が必要だった。

 だったら普通に出して、普通にエピソードを絡めて説明すればいいのに、「せっかく母親出すんだから、病気にしちゃえ! 瀕死にしちゃえ! 感動するだろ!」というドラマの強欲が出た結果でしょう。で、「天才外科医が母親を救う」というシチュエーションは、細部がどうあれ感動的に見えてしまう。

 とにかく強欲なんです、『ブラックペアン』というドラマは。何もかも詰め込んで押し通そうという姿勢がすごい。とにかく渡海は比類なき天才であるべきだし、最新医療機器はどんどん出すべきだし、そういう最新ロボは失敗するべきだし、竹内涼真は泣いているべきだし、権力闘争中の大人たちは徹底的に卑怯であるべきだし……そういう出力最優先主義というか、物量主義というか、強引で豊饒な作劇の悪いところが全部出たのが今回だったように思うんです。

 これが、やっぱりそこそこ面白いというのが、始末の悪いところなんですよねえ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』が犯した失敗……『水戸黄門』パターンからの脱却なるか

 嵐・二宮和也が孤高の天才外科医を演じる日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)も第6話。視聴率は13.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今回も横ばいです。毎回、同じような展開なので、このままだと下がっていくかもしれません。今回はちょっと前に進んだけど。

 というわけで、振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

■ニノちゃんは、あいかわらずかわゆい。

 見るからに悪童っぽい外科医・渡海(二宮)は、今回もシーン単体で見れば、非常にかわゆい立ち居振る舞いのオンパレードでした。

 先輩医師が腫瘍の取り残しというミスをしてしまったときの「和解金2,000万円を要求します」とか、落盤事故でケガ人が27人も搬送されてきたときに、研修医の世良くん(竹内涼真)に言った「一人も殺すなよ、動け!」とか、患者の危機一髪のときにアウトフォーカスから手術室に入ってくるとこなんてもう「キター!」って感じで、たまらんですね。たまらん。かわゆい。

 ニノ以外のキャストも、これもシーン単体で見ればという話ですが、全然悪くないです。高階講師(小泉孝太郎)が上司の命令と患者の命の間で揺れ動く瞬間も、治験コーディネーター・香織(加藤綾子)の得も言われぬ色気も、回を重ねるごとに汚れみが増していく佐伯教授(内野聖陽)も、まるで合いの手のように折に触れてアップショットが抜かれる関川先生(今野浩喜)もよい。前回からゲストで出ているジャストミート福澤も、『陸王』(同)の松岡修造と同様に、日曜劇場が発掘した俳優として今後、世に出ていくかもしれない。

 でも、いずれも「シーン単体で見たら」です。お話の登場人物としてキャラクターを演じきれているかといえば、まったくできてない。なぜなら、シナリオの時点でキャラクターが破綻しているからです。

■怒れよ、渡海。

 前回までにさんざん申し上げております通り、『ブラックペアン』は『水戸黄門』のような“お約束”を楽しむ作品でした。高階や、その他のいけすかない医者がメカやロボを使って奇をてらった術式の手術を強行し、失敗する。天才・渡海がそれを、基本に忠実な手技でリカバリーして命を救う。あくまで、そのパターンを守ることに時間を費やしています。

 そのパターンの中でバリエーションを出すのも大変で、実際、このところマンネリ化が目立っていた同作ですが、今回は「患者が渡海の母親」ということで、パターンの中で大きな揺らぎを生み出せる設定が投入されました。

 ここまで、あくまにクールを気取ってきた渡海でしたが、母親に対して奇をてらった手術をされ、しかも失敗されるとなれば、怒り狂ってもおかしくない。もう6話ですし、そろそろ渡海のそういう姿を見せてほしいと期待していたんです。

 が、まったく、不自然なくらいに、いつもの渡海でした。

「ほかのオペに入っていたから」という理由で誰かが勝手に母ちゃんの胸を開けても、さして怒らない。「腫瘍を取り残す」というミスを犯されても、「2,000万円くれ」とは言うものの、別に怒らない。高階が奇をてらったロボによる再手術の同意書を渡海に内緒で勝手に書かせても怒らないし、輸血用の血が足りないのにロボ手術を強行しても怒らない。あげく高階がロボ手術をミスって母ちゃんが死にかけても怒らない。いつも通り、ささっとリカバリーして嫌味を言って去っていくだけ。

 控え目に言って、こいつ頭おかしいんじゃねえかと思いました。目の前で母ちゃんが殺されかけてるのに、なんでそんな感じなの? バカなの?

 今回、渡海は取り乱さなければいけなかったと思うんです。母ちゃんを殺されることに恐怖しなければならなかった。これじゃ母ちゃんを患者にした意味がないんです。

 さらに今回、近所で落盤事故が起きて27人が緊急搬送されてくるという事態も発生しました。この27人も、渡海は全員助けちゃった。27人もいれば病院に着いた時点で死んでる人もいそうですが、全員助けちゃった。

 そうして母ちゃんと27人の負傷者を平常運転で救ってしまったことによって、渡海という医者は「治せる患者は全員治せる」天才外科医から「誰でも、どんなケガでも病気でも、どんなタイミングでも、絶対に治せる」魔法使いになってしまっている。しかも、渡海と母親の間に“何もない”ので2人の関係性を描くこともできず、渡海が「母ちゃんが死にそうでも平気」な、たいへん珍しい人物に見えてしまっている。

 普通の医療ドラマなら、より医者の心情を深堀りできるはずの「肉親が患者」という設定が、渡海の人格破綻をさらに加速させるという、これは明らかに失敗していると感じました。

■『水戸黄門』からの脱却

 なぜそんな失敗が起こったかというと、「患者が母親」の投入は、決してパターン内でのマンネリ打破のためではなかったからです。うっすらとパターンの外で語られてきた「ブラックペアンって何?」「渡海と佐伯教授の因縁っぽいのは何?」という本筋に展開を与えるために、佐伯教授の過去を知る人物として母親が必要だった。

 だったら普通に出して、普通にエピソードを絡めて説明すればいいのに、「せっかく母親出すんだから、病気にしちゃえ! 瀕死にしちゃえ! 感動するだろ!」というドラマの強欲が出た結果でしょう。で、「天才外科医が母親を救う」というシチュエーションは、細部がどうあれ感動的に見えてしまう。

 とにかく強欲なんです、『ブラックペアン』というドラマは。何もかも詰め込んで押し通そうという姿勢がすごい。とにかく渡海は比類なき天才であるべきだし、最新医療機器はどんどん出すべきだし、そういう最新ロボは失敗するべきだし、竹内涼真は泣いているべきだし、権力闘争中の大人たちは徹底的に卑怯であるべきだし……そういう出力最優先主義というか、物量主義というか、強引で豊饒な作劇の悪いところが全部出たのが今回だったように思うんです。

 これが、やっぱりそこそこ面白いというのが、始末の悪いところなんですよねえ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

フジ月9、長澤まさみ主演『コンフィデンスマンJP』1ケタ台続くも、実は高視聴率?

 フジテレビの看板ドラマ枠・月9で放送されている、長澤まさみ主演『コンフィデンスマンJP』の視聴率がなかなか伸びない。

 初回は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で発進したが、第2話で7.7%と急落。その後、9.1%、9.2%、9.3%と9%台に持ち直したが、第6話で8.2%と再び降下。21日放送の第7話も8.9%にとどまった。いまだ1度も2ケタに乗せることはできず、ここまでの平均は8.8%と低調だ。

 同枠ドラマは、2016年1月期の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(有村架純、高良健吾主演)で平均視聴率が1ケタ台に転落すると、それ以降低迷。福山雅治、嵐・相葉雅紀、篠原涼子といった大物が主演しても、視聴率は爆死続き。『いつ恋』以降、視聴率が2ケタ台をマークしたのは、昨年7月期の山下智久主演『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』の1作だけという惨状。

 月9ドラマ枠自体の打ち切りすらささやかれる中、“最後の砦”として、主演に起用されたのが長澤だったが、数字に結びついていないのが現状だ。それでは、『コンフィデンスマン』も本当に“爆死”なのだろうか?

「月9ブランドは、とうに崩壊しています。『コード・ブルー』の数字が良かったのは、人気ドラマの続編だったからにすぎません。その後の『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?』、『海月姫』は、共に6%台で、これが今の月9の実力です。月9のみならず、フジでは、ほかの枠のドラマも低調で、『フジのドラマはつまらないから見ない』というのが、現在の視聴者動向です。その意味で、平均9%近くを上げている『コンフィデンスマン』は健闘していると思います。作品自体、悪くはないですし、このドラマを他局で放送していたら、10%は超えているでしょうから、高視聴率ドラマなはず。フジというだけで、視聴者が嫌悪感を示し、最低でも2~3%はマイナスになってしまうんですから、主演の長澤は“気の毒”としか言いようがありません」(テレビ誌関係者)

“気の毒”といえば、脚本を担当している古沢良太氏も同様。古沢氏は映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズを大ヒットに導いた功労者。そのほか、『探偵はBARにいる』シリーズや、新垣結衣&瑛太主演の『ミックス。』などをヒットさせた人気脚本家で、ファンも多い。

「古沢氏は、フジのドラマでは、『リーガル・ハイ』シリーズ(堺雅人主演)、『デート~恋とはどんなものかしら~』(杏主演)で高視聴率を獲得していますが、それらの作品に比べ、『コンフィデンスマン』の出来が著しく落ちるとは思えないのです。このまま、1ケタ台で終わるなら、古沢氏も長澤と共に“被害者”と言ってもいいんじゃないでしょうか」(同)

 長澤と古沢氏がタッグを組んでも、2ケタ台に乗せられそうにない月9。来たる7月期は、10年、11年に放送されて好評だった『絶対零度』シリーズの第3弾『未然事件潜入捜査』がオンエアされる。これまで、主演だった上戸彩が、なぜかヒロインに回り、沢村一樹が主演に座るという、理解困難なドタバタぶりを早くも見せているが、『コード・ブルー』以来、1年ぶりの2ケタ突破を果たせるだろうか?
(文=田中七男)

もうゴールデン・プライム帯での復活は無理!? 向井理がNHK土曜時代ドラマで“ひっそり”主演

 19日に放送開始したNHK土曜時代ドラマ『そろばん侍 風の市兵衛』(土曜午後6時5分~)で、向井理が主演を務めている。これまで、ゴールデン・プライム帯で主役を張ってきた男だけに、一抹のさびしさを禁じ得ない。

 同ドラマの原作は、辻堂魁氏の小説『風の市兵衛』シリーズ(祥伝社文庫)で、全9話の3部構成。脚本は第1部が池端俊策氏、第2部が小松與志子氏、第3部は森岡利行氏が担当している。

 清貧を旨とする無欲の侍・市兵衛(向井)が、得意のそろばんで武家、大店などさまざまな家を渡り、風のようにしなやかな剣で悪を退治していく新感覚時代劇だ。

 向井は『ハングリー!』(フジテレビ系)、『サマーレスキュー~天空の診療所~』(TBS系)、『S―最後の警官―』(同)、『遺産争族』(テレビ朝日系)などで主演を務め、クールなイメージで女性ファンをガッチリつかんでいた。

 ところが、2014年12月、国仲涼子と結婚したあたりから、その人気に陰りが見え始めた。16年7月期の『神の舌を持つ男』(TBS系)では、堤幸彦氏の演出の下、“二枚目”のイメージをかなぐり捨てて、ふんどし姿を披露するなど、コメディドラマに挑戦したが、平均視聴率は5.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と壮絶爆死を遂げた。同作は、同12月に映画化が強行されたものの、興行成績は予想通りかんばしくなかった。

 その後、向井は地上波ドラマの主演オファーがパッタリ止まった。今年1月期には、吉岡里帆の連ドラ初主演作『きみが心に棲みついた』(同)で、異例の“悪役”に臨んで、周囲を驚かせたものだ。

 今作『風の市兵衛』は、評価を下げてしまった『神の舌を持つ男』以来の連ドラ主演となるが、ほとんど注目されることがないNHK土曜時代ドラマとあって、その転落ぶりを如実に示す格好となってしまった。

「この枠は16年5月にスタートしましたが、おおむね若手にチャンスを与える場になっています。主演に起用されてきたのは、永山絢斗、武井咲、黒木華、黒島結菜らで、そこに向井が名を連ねるのは違和感があります」(テレビ誌関係者)

 もはや、完全にゴールデン・プライム帯での主演から外されてしまった感のある向井。『きみが心に棲みついた』での悪役ぶりは意外に好評だっただけに、主役にこだわらず、新たな役どころを受け入れれば、“脇役”での復活もあると思われるのだが……。
(文=田中七男)

岩田剛典『崖っぷちホテル!』“いい話ドラマ”に生じた綻びと「メタ視点」の功罪

 岩ちゃんこと岩田剛典主演の毎度ほっこりなシチュエーションコメディ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も第6話。視聴率は7.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、それなりです。もっとも、2015年4月から始まった日曜22時30分の「日曜ドラマ」枠で全話平均2ケタに届いたのは、同7月期で放送された『デスノート』だけなので、この『崖っぷちホテル!』も、特別にコケてるというわけではありません。でもまあ、低空飛行ではあるよね。寂しいね。

 さて、このドラマの特徴は、とにかく「いい話」であること。平和で健全で、性根の腐った奴が一人も出てこない、気持ちのいい作品です。そういうところが安心ですし、また物足りないところでもあります。

 そんな安心ドラマに、ちょっとだけ綻びが生じ始めた今回。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■今回はいよいよ時貞さんを洗脳します

 経営が傾いたホテル「グランデ・インヴルサ」の副支配人に就任し、総支配人の佐那(戸田恵梨香)とともに再生を目指している宇海くん(岩田)。これまで、従業員1人ひとりに対して丁寧にエピソードを重ねながら意識改革を促し、ホテルを「いい方向」に導いてきました。

 そんなこんなで、いまだに問題分子っぽい雰囲気を出しているのは元副支配人で、宇海くんによって宿泊部主任に降格させられた時貞さん(渡辺いっけい)だけに。この時貞さんさえ“転んで”しまえば、宇海くんの洗脳計画……もとい、意識改革計画は完了となります。

 今回は、そんな時貞さんが「暴力事件を起こしていた」という告発状がホテルに届くところから。

 この告発状と時を同じくして、なんだか言葉使いの荒い中年男性・後藤さん(でんでん)が、娘を連れてホテルにやってきます。

「だから時貞だよ時貞! 時貞を出せ!」
「いるじゃねえか、約束通り来てやったぞ!」

 ロビーで大声を出す後藤さんのおでこには、大きな絆創膏。この告発状と絆創膏により、「どうやら時貞さんは後藤さんに暴力を振るったようだ」「告発状は後藤さんが送ったもののようだ」という空気がホテルに広がります。総支配人・佐那が直接、時貞さんを問いただすと否定こそするものの、どこか煮え切らない様子です。

 聞けば後藤さんは地元の自治会長で、かつてはこのホテルの常連だったそうです。久しぶりに来て、「泊めろ」と言っている。ガラも悪いし、ランチには文句ばっかり言ってたそうですし、従業員一同は「断ろう」と提案します。しかしニコニコ宇海くんは、いつものニコニコ顔で泊めちゃうことにしました。佐那も「お客様なので、お断りするのは違うかと」と殊勝なお返事。後藤さんと、後藤さん以上に不機嫌な娘を泊めることにしました。

 宇海くんによって、後藤さんの担当を任された時貞さんは、ずっと奥歯にものが詰まったような顔をしています。

■美しい“中締め”はメタ的な視点で

 結論から言って、告発状は後藤さんによるものではありませんでした。絆創膏は自分で転んでケガをしただけでしたし、時貞さんの献身的な接客により、後藤さんは大いに満足して帰っていきました。

 今回は、このドラマの、とりあえず総決算となりました。第1回に提示された「みんなの心が変わればホテルが変わる」というテーマに沿って1人ひとり改心させてきた宇海くんのプロジェクトが、最後のひとりである時貞さんを丸め込んだことで、完遂となったのです。

 いわゆる中盤のクライマックスを迎え、面白かったシークエンスがあります。

 後藤さんの曖昧な要求を測りきれない時貞さんが、宇海くんに土下座をして、こう頼むのです。

「お願いです! 教えてください! ほんとはわかってるんですよね、後藤さんが何を求めてるのか……」

 そして宇海くんが「わかりません」とあっさり返すと、

「だっておまえ、のらりくらりしながら、全部お見通しみたいな感じでやってきたじゃねえかよ!」

 と怒鳴りつけるのです。

 この時貞さんの視点は、そのまま視聴者の視点です。このドラマは宇海くんの巧みな策略によって、誰も彼もが「改心」に導かれてきました。まさに時貞さんのおっしゃる通り、宇海くんは「全部お見通しみたいな感じでやってきた」のです。

 そういうパターンに満ちた脚本が安心感につながってきたし、物足りなさにもなっていた。ここで宇海くんがラスボスである時貞さんを攻略するに当たり、今までのパターンの種明かしというか、メタ的なセリフを採用することで、「とりあえず、パターンはこれで使えないよ(使わないよ)」というドラマとしての宣言を行ったわけです。

 このシークエンスによって『崖っぷちホテル!』は美しい“中締め”を迎え、次回以降の新たな展開を期待させることに成功しています。

■テクニックに溺れ、魂が抜けた……

 ただし、展開や論法として美しかった一方で、肝心のエピソードは驚くほど面白くなかった。20歳の誕生日を迎えた不機嫌な娘が、天窓から注ぐ月明かりに感動し、素朴な鯖の塩焼きに感動し、父親と2人で初めて日本酒を酌み交わすという、そこには笑顔しかないという、なんのヒネリもない“感動してしてシーン”が横たわっていたのです。展開上のクライマックスですから、エピソードについてもこれまでで最高の盛り上がりを見せてほしいという期待を持っていたのですが、逆にこれまででもっとも安直で手垢にまみれた、魂の抜けたものを見せられました。

 宇海くんの存在については客観的に、かつテクニカルに落とし込んで見せた作品が、そのテクニカルに自惚れるあまり登場人物の心理描写において手を抜いたと、そう見えたのです。それくらい、あの不機嫌だった娘が父親と楽しそうに酒を飲んでいるシーンにリアリティを感じなかった。父親にとって理想の(そして父親の想像の範疇でしかない)展開に、「これ、娘が実は死んでるんじゃ?」と思えるほど、空々しく感じたのです。パッと見は今までと同様の「いい話」だけど、「客」を安く描くとホテルのドラマは急に色褪せますね。そういうことを感じました。

 次回は、佐那のお兄ちゃん(佐藤隆太)が登場。「時貞が暴行事件を起こした」という告発状の真の差出人であり、このホテルを借金まみれにして逃げた張本人です。

 このドラマが次回以降、何をしようとしているのか、まったくわかりません。そこは、ホントに楽しみ。こういう楽しみって、原作なしのオリジナル脚本ならではで、とてもよいですね。はい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)