現/前・朝ドラヒロインの永野芽郁と葵わかな “視聴者評”で大差がついたワケとは?

 オリコンが「2018年上半期ブレイク女優ランキング」を発表。1位に輝いたのは、現在放送中のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』でヒロインを務める永野芽郁だった。一方、3月で終了した朝ドラ『わろてんか』のヒロイン・葵わかなは5位で、2人の間には大きな差ができてしまった。

 同ランキングは、全国の10代から50代のオリコンモニター1,000名にアンケート調査を行ったもの。1位、5位以外のトップ10は、2位=川栄李奈、3位=広瀬アリス、4位=杉咲花、6位=浜辺美波、7位=橋本環奈、8位=今田美桜、9位=高橋メアリージュン、10位=中条あやみという顔ぶれだった。

 首位に立った永野が主演する『半分、青い。』は、まだスタートして3カ月。先にヒロインを務めた葵の『わろてんか』は、全話平均視聴率20.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で大台を突破。葵は4月期には高視聴率ドラマ『ブラックペアン』(TBS系/嵐・二宮和也主演)でヒロインに起用され、頻繁にCMにも登場しているだけに、現時点におけるお茶の間での認知度は、永野より葵の方が上と思われたが、ランキングの結果はまるで逆となった。それでは“視聴者評”で、この2人に大差がついてしまったのは、なぜだろうか?

「確かに葵も、それなりの経験を積んで朝ドラヒロインに選ばれ、無難に役をこなしました。ただ、ちょっと地味めで、『わろてんか』に脇役で出演したアリスより、ランキングは下になってしまいました。その点、視聴者が目を見張っているのが、永野の圧倒的な演技力でしょうね。彼女はまだ高校を卒業したばかりの18歳ですが、その抜きんでた演技力は、1歳年上の葵を完全に凌駕してしまいました。永野は2009年に子役で女優デビューしていますが、NHK大河ドラマ『八重の桜』(13年)、『真田丸』(16年)に出演したり、鈴木亮平主演映画『俺物語!!』(15年)でヒロインを務めたりで、場数を踏んできました。昨年は映画『ひるなかの流星』で主演したほか、『PARKS パークス』『帝一の國』『ピーチガール』『ミックス。』といった話題作に、いずれも重要な役どころで出演し、着実にキャリアを積んできました。ドラマでは、深夜帯ながら、テレビ東京系『こえ恋』(16年)で主演し、『僕たちがやりました』(フジテレビ系/17年)ではヒロインに起用されるなど、朝ドラの撮影に入るまでに、十分なステップアップを図れたことが大きいでしょうね。それに朝ドラの主たる視聴者は主婦層。葵のような“美人顔”より、どこにでもいそうな普通っぽいルックスの永野の方が、同性に支持されやすいという側面もあると思います」(テレビ誌関係者)

『半分、青い。』は、まだまだ3カ月近く放送が残っているが、すでに視聴者のハートをガッチリつかんでいるだけに、朝ドラ後の永野には期待大。近年の朝ドラヒロインでは“出世頭”となった波瑠のように、“大化け”する可能性は高そうだ。

(文=田中七男)

フジテレビ月9『絶対零度』10.6%好発進も、米ドラマ“丸パクリ”の弊害が……

 さて、今期もフジテレビ系で月9ドラマが始まりました。沢村一樹主演の『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』の初回視聴率は10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、同枠としては1年ぶりの2ケタスタートです。おめでとうございます。

「沢村一樹主演の月9」という日本語もあまりピンときませんが、明らかに前シリーズまで主役を張っていた上戸彩をブッキングし損ねたということなのでしょう。逆に最初から「上戸など要らぬ! 沢村1本で勝つる!!」とフジテレビが判断していたとするなら、なかなかのクルクルパーです。

 また、ネット上には米ドラマ『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』のパクリじゃねーかよ、という声もあるようですが、そもそも2010年に放送されたシリーズ1作目の『絶対零度~未解決事件特命捜査~』のときは「『Cold Case 迷宮事件簿』じゃねーか!」といわれてましたし、翌年のシリーズ2作目『絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~』は「『NCIS:LA 〜極秘潜入捜査班』じゃねーか!」だったので、まあこれはそういうシリーズとして楽しみたいと思います。では、振り返りです。

 

■事件は凡庸でした

 前作で上戸彩ちゃん演じる桜木泉とバディを組んでいた山内くん(横山裕)は、なんやかんやで資料課分室という窓際部署に配属されました。しかし、この資料課分室というのは、実は世を忍ぶ仮の姿。その実態は、膨大な国民の行動データから殺人などの重犯罪を犯す可能性が高い人物を弾き出す巨大AI「未然犯罪捜査システム=ミハンシステム」の実用化を目指すプロジェクトだったのです。

 山内くんは「違法捜査じゃないか!」とご立腹ですが、公安外事課からやってきた井沢警部補(沢村)や、ドS美女・小田切(本田翼)をはじめとする面々は、「あくまで実験中だから」と聞く耳を持ちません。

 そんなある日、「ミハン」は富樫(武井壮)という男を危険人物として提示します。どうやら「ミハン」によれば、富樫が近々、人を殺すのだそうです。しかし、さっそくみんなで富樫の事務所を訪れてみると、すでに何者かによって殺害されていました。「ミハン」の予測が外れたのは初めてのことですが、まだミハンによる捜査自体4例目とかなので、驚くべきことではありません。

 どうやら井沢警部補たちミハンメンバーは、事件の解決より「ミハン」がなぜ間違えたかのほうに興味があるようで、殺された富樫と付き合いがあった悪い人が普通の社会人2人を拉致ってボコったりしてても知らんぷり。富樫の死体が山中から出て、この“普通の社会人2人”が実は容疑者っぽいということがわかっても、とにかく「ミハンの誤認」の原因を探るために泳がせます。

 結局、富樫とこの2人(須藤と前川)が金塊を密輸したり内輪モメしたりで、富樫の死は、須藤(成河)を殺そうとした折の正当防衛でした。最終的には、その須藤がカネ欲しさに前川(山本浩司)を殺そうとして御用となりました。まあ事件は動機も段取りも凡庸そのものだったので、あえて説明するまでもありません。見どころといえば、本田翼ちゃんのアクションですね。チンピラの顔面を蹴っ飛ばしたり、股間を蹴り上げたりと大活躍。私も「蹴って蹴って」と思いました。

■「ミハン」マシンに魅力がない……

 すべての国民の行動をGPSで捕捉し、防犯カメラや無線通信、電話などを傍受し、預金の出し入れまですべて把握しているらしい「ミハン」ですが、初回から間違えました。「人を殺す」と予言された富樫という男は誰も殺さず、逆に殺されてしまいます。そして、その誤りに登場人物たちが振り回されることになります。

 冒頭で『PERSON of INTEREST(PoI)』のパクリ説を紹介しましたが、この米ドラマのマシンは「殺人を犯す人物」ではなく、「重大事件に関係しそうな人物」を弾き出すものです。ここで『絶対零度』は『PoI』を下敷きにしつつ、改変を行っているわけです。

 おそらくこの改変は、設定のインパクトを求めたものでしょう。「関係しそうな人物を」よりも「殺人者を」のほうが、なんか印象が強い。しかし、設定のインパクトを強めたせいで初回から間違っちゃった「ミハン」は、すでに万能感を失っています。ただ国民の行動情報を違法に集めるだけ集めて、間違った提示を出すマシンとなってしまっているわけです。

 そもそも殺人事件で加害者と被害者が瞬時の判断や偶然によって入れ替わってしまう、殺されそうになった人が逆に相手を殺してしまうケースなどというものを、私たちは何度もドラマや映画で見ています。実際にも、往々にしてあることなのでしょう。だから、こんなこと言ったら身もフタもないんだけど、データ収集によって「重大事件に関係しそうな人物」を弾き出すシステムはあり得ても、明確に「殺す側(殺害に成功する側)」を言い当てるシステムなんてものは、あり得ないのです。

 かように、物語の中心に屹立すべき「ミハンシステム」に畏怖も魅力も感じられないので、ドラマそのものが上滑りしているように感じられます。おそらくは今後、資料室メンバーの誰か、山内くんなり井沢警部補なりが「ミハン」によって「こいつが人を殺すよ」みたいな予言をされ、「なんでオレが……?」みたいな展開も出てくると予想しますが、いずれにしろ毎回、物語の起点となるのが「ミハン」の予測だとすると、ちょっとそれに乗っかれるかどうか不安だなぁというのが初回の正直な感想でした。今後、「ミハン」が危険人物をリストアップするたびに「正解なの? 間違ってんの?」と疑う必要が出てきてしまった。

■金塊密輸の話

 あと、完全に余談なんですが、金塊の密輸のくだりで、運び屋さんたちが税関をスルーしていましたが、実際には最近、韓国経由の金塊密輸は盛んに摘発されているようで、おばちゃんたちが尻の穴から数キログラムの金塊を突っ込んで密輸しようとしては捕まっているというニュースを耳にします。

 まあだいたい捕まるんでしょうけど、仮に成功すると、おばちゃんたちは尻の穴から黄金を出すことになるわけです。SMの世界ではウンコを「黄金」と呼ぶらしいので、なんだかしみじみする今日この頃ですね。暑い日が続きます。では、また次回。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『高嶺の花』石原さとみと共演の峯田和伸に“ライブ禁止令”撮影中は「ケガ、全裸が怖い」

「本人は『ライブができないのは、ちょっとな……』と、最初は出演に難色を示していたようですが、相手役が石原さとみさんだとわかると、二つ返事で引き受けたそうですよ(笑)」(テレビ局関係者)

 11日から放送されるドラマ『高嶺の花』(日本テレビ系)で、主演の石原さとみの相手役を務める峯田和伸。

「もともと、GOING STEADYというバンドでカリスマ的な人気を博していたのですが、2003年に解散。同年、ギター以外の2人と新たなメンバーで銀杏BOYZを結成して活動していたのですが、今やその3人も峯田の元を離れ、今はひとりで銀杏BOYZとして活動しています。それでも、ライブはすぐにソールドアウトするほどで、カリスマ的な人気は健在です」(音楽関係者)

 そんな峯田が俳優として注目を浴びたのが、昨年出演したNHK連続テレビ小説『ひよっこ』だった。

「それまでにも、映画で主演したりNHKのBSでも主演を務めるなど、俳優活動はしていたのですが、やはり朝ドラ効果は大きかったんでしょう。すぐに民放の連ドラ出演が決まりましたね。ただ、ひとつ条件があって、それが撮影期間中のライブ禁止令だったんです。というのも、峯田さんはライブで全裸になって書類送検されたことや、客席に飛び込んでケガをしたことも、一度や二度じゃないんです。本人は『あくまで自分は歌手ですから』と、ライブ優先を考えていたようですが、撮影期間中にケガでもされたら大変ですからね。実際、最初の打ち合わせのときも『この前のライブで5針縫いました』とか平気で言ってました。担当者は顔が青ざめてましたよ」(芸能事務所関係者)

 撮影終わり後のライブでは、鬱憤を爆発させる峯田の姿が見られそうだ。

木村拓哉、TBS「日曜劇場」出演へ……フジテレビ「月9五輪企画」を蹴って関係悪化中

 元SMAPの木村拓哉が、来年10月期からのTBSドラマ枠「日曜劇場」への出演が内定したという情報を同局関係者から入手。この決定により、来年の「月9ドラマ」に出演オファーをしていたフジテレビとの関係が悪化したという。

 今年の1月期に放送された、テレビ朝日系のドラマ『BG~身辺警護人~』で主演を演じた木村。視聴者からは「キムタクが老けた」という声が上がり、「顔にツヤがなくなった」「ただのおっさん」などと酷評されながらも、全話平均視聴率が15.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、ギリギリの合格ラインをキープ。“キムタクドラマ”の代表作『ロングバケーション』(フジテレビ系)で共演した山口智子が、元妻としてゲスト出演したことも、話題を呼んでいた。

 フジは『BG』の結果を受け、来年の月9ドラマ出演を木村にオファー。東京五輪の1年前だけあって、「五輪を目指す水泳選手のコーチ役のドラマ」という企画を準備していた。ところが、木村が選んだのはフジの月9ではなく、TBSの日曜劇場だったようだ。

 木村を知るドラマスタッフは「キムタクも45歳。飽きられないために、ドラマは1年に1本と絞ったようです。NHKは別格で、民放はTBSとテレ朝が候補」と明かす。

 特にTBSの日曜劇場は、低迷が続くフジの月9と比べてブランド力が高い。それに同枠では、木村自身も『ビューティフルライフ』から始まって、『南極大陸』『華麗なる一族』や、昨年『A LIFE~愛しき人~』に出演し、軒並み高視聴率を記録。ジャニーズ事務所の後輩、嵐・松本潤主演の『99.9-刑事専門弁護士-』や、今年4月期に放送された二宮和也の『ブラックペアン』も高視聴率で人気を博した。そのため、同枠は、ジャニーズとしては絶対に譲れないというわけだ。

 テレ朝に関しては、『BG』が合格ラインの数字に達したことで、再来年にも『BG2』が予定されているとの情報がある。また、木村が2015年の4月期に放送された『アイムホーム』への主演以来、同局の制作スタッフと急接近していることも続編の製作に大きく関係しているようだ。

 木村は今後、TBSとテレ朝のドラマに交互に出演するとみられ、もはやフジの出る幕はなくなった。しかし、“キムタク”をスターにしたという自負があるだけに、この先のフジの巻き返しも注目される。

 ただし、その前に“キムタク人気”は続くのかという問題もある。いつまでもキムタクの名前だけで視聴率が取れるほど甘くないだろう。

(文=本多圭)

ドラマ『チア☆ダン』、映画版がヒドすぎて前評判イマイチ……土屋太鳳のムチムチなチア衣装に頼るしかない?

 土屋太鳳がチアダンスに青春をかける女子高生を演じる、7月期のTBS系ドラマ『チア☆ダン』。映画化もされた実話を題材とした作品だが、業界内ではかなり微妙な前評判となっているようだ。

 原作は、アメリカのチアダンス選手権で優勝を果たした福井県立福井商業高校のチアリーダー部「JETS」の実話に基づく、映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(2017)。今回のドラマでは、映画版の9年後を舞台に、「JETS」に憧れる生徒たちが全米制覇を目指すという物語となっている。

「映画版の『チア☆ダン』が、とにかく評価が低かった。事実に基づいているとはいえ、ストーリーはありきたりで、不自然で過剰な演出の連続。一部では“広瀬すずを見るための映画”と酷評されていました。物語の設定は変わっているとはいえ、“そんな題材をわざわざドラマ化して大丈夫か?”という声も聞こえてきます」(映画関係者)

 今回、土屋太鳳とともにチアダンス部員として出演するのは、E-girlsの石井杏奈、元「ViVi」(講談社)専属モデルの佐久間由衣や、山本舞香、朝比奈彩、「Seventeen」(集英社)専属モデルの大友花恋などだ。このキャスティングも不安材料のひとつだという。テレビ局関係者はこう話す。

「いわゆるグループアイドルのメンバーではなく、モデル系を中心にキャスティングしています。おそらく女性視聴者を意識したものと思われますが、アイドル系とは違って男性の固定ファンが少ないので、ネット上での組織的な拡散というものがあまり見込めない。いろいろ事情があるとは思うんですが、話題性を考えれば、乃木坂46か欅坂46のメンバーが1人くらい入っていれば違ったとは思いますね」

 その一方で、土屋太鳳のチア衣装は期待大だという声も上がっている。芸能ライターはこう話す。

「土屋は、なかなか肉感的なボディーの持ち主で、推定Dカップともいわれています。比較的ピチッとしていて、太ももが露出しているチア衣装に食いつく視聴者は少なくないと思いますよ。映画版でも“見せ場は広瀬すずのチア衣装だけ”なんていう声があったので、そういう意味では土屋のムチムチで健康的な肢体に期待せざるを得ません」

 ドラマ版『チア☆ダン』は、果たして映画版の雪辱を果たすことができるのか?

『わろてんか』でブレークの徳永えり 2クール連続の連ドラ掛け持ちで、ヒロイン・葵わかな超える売れっ子ぶり!

 3月で放送を終えたNHK連続ドラマ小説『わろてんか』で、北村笑店の会計係で、風太(濱田岳)の妻・トキ役を演じてブレークを果たした、徳永えりの勢いが止まらない。

 4月期、徳永はテレビ東京系『ヘッドハンター』(江口洋介主演)と、NHK総合『デイジー・ラック』(佐々木希主演)に、いずれも重要な役どころで掛け持ち出演したが、7月期も2つの連ドラへ出演する売れっ子ぶりだ。

 その7月期には、深夜枠ながら、テレビ東京系『恋のツキ』(木曜深夜1時~/26日放送開始)で初の連ドラ主演。フジテレビ系『健康で文化的な最低限度の生活』(吉岡里帆主演/火曜午後9時~)にも脇役でレギュラー出演する。

 30歳にして、初の主演作となる『恋のツキ』は、米大手動画配信サービス「Netflix」とテレ東がタッグを組んだ作品で、新鋭漫画家・新田章氏の同名漫画が原作。徳永が演じるのは、31歳でフリーターの主人公・平ワコ役。恋人のふうくんと付き合って4年、同棲を始めて3年目に突入し、トキメキはもう感じられないが、年齢を考えると別れるという選択肢を考えることはできなかった。そんなとき、見た目がタイプで趣味が合いそうな高校生・伊古ユメアキと出会い、欲望に負け、浮気をしてしまう。ふうくんとの目先の結婚と、伊古くんとの焦がれるような恋愛のどちらを取るか揺れ動く、アラサー女性のリアルな日常を描いた刺激的なストーリーが展開される。

「『恋のツキ』は、テレ東の深夜ドラマということで、リアルタイムで視聴する人は少ないでしょうが、31日からBSジャパンでもオンエアされ、『Netflix』では、11月30日に全話一挙配信されますし、多くの視聴者の目に触れる可能性がありそうです。物語的に、主演の徳永には演技力が求められそうで、ここでガッチリ業界評を高めたいところでしょうね」(テレビ誌関係者)

 徳永がブレークした作品『わろてんか』で主演を務めた葵わかなは、4月期には、嵐・二宮和也主演『ブラックペアン』(TBS系)でヒロインの看護師役に起用されたが、存在感で、“猫ちゃん”役の趣里に劣る印象が否めなかった。

 その葵は、8月1日公開の映画『青夏 Ao-Natsu ~きみに恋した30日~』で佐野勇斗とダブル主演を務めるが、ドラマはしばらくお休みとなるもよう。もちろんドラマ出演がすべてではないが、葵を超えるほどの売れっ子ぶりを見せる徳永の今後に期待が懸かる。
(文=田中七男)

『孤独のグルメ』最終回は、まさかの角野卓造登場!“本当の名店”のかつてないニラ玉で最終飯

 いよいよ最終回を迎えた『孤独のグルメ Season7』(テレビ東京系)。今や局を代表するドラマと言っても過言ではない本作。第12話「東京都中央区八丁堀 ニラ玉ライスとエビチリ」を振り返る。

(前回までのレビューはこちらから)

■久住バンドの生演奏からスタート

 今回、井之頭五郎(松重豊)が訪れたのは東京は中央区八丁堀。いつもと冒頭のBGM(松重“五郎”豊のテーマ 「STAY ALONE」)の雰囲気が違うと思ったら、まさかの原作者・久住昌之擁するザ・スクリーントーンズご本人による生演奏。

 五郎が商談で訪れたライブハウスでリハーサルをしていたのがスクリーントーンズだったという設定。目の前で「アイリッシュ・スプーン」(Season7のOP曲)の演奏が開始され「あ、なんか始まっちゃった」と慌てる五郎。からの、そのまま生演奏を活かしてのオープニングで「最終飯」を彩る。

 久住とすれ違う瞬間、五郎は「あれ、あの人……?」と何かに気付きかけるが「……ま、いっか」とやり過ごす。正直よくある手法だが、五郎風に言わせてもらえば「こういうの、なんかうれしい」。

 ちなみにこのライブハウスのマスター「五十嵐さん」を演じるのは大友康平。無茶を平気で言ってくる一見粗野な客だが、五郎もそれを受け入れ、逆に遠慮なく言い返せる認め合った間柄のよう。

 店を出た五郎に今期最後の「空腹」の波が。あんこうやフグなど高級そうな店ばかりの中「もっと庶民の店はないのかな」とさすらう。ようやく見つけた「中華シブヤ」という「教科書通りの町の中華屋」に安堵する五郎。

「庶民メシにありつけそうだ」と暖簾をくぐる。暖簾はなかったが。

 

■角野卓造が中華店にいるパラレル感

「いらっしゃい」

 迎え撃つ大将が、まさかの角野卓造。言わずと知れた「幸楽」(@TBS系『渡る世間は鬼ばかり』)のマスター。漂うラスボス感。

 しかし、この日は白い割烹着や帽子を着用していないので、パラレルワールド感がすごい。当然だが、いつまで経っても泉ピン子やえなりかずきは顔を出さない。

 あの橋田壽賀子が創造した天地とは別の異世界が広がる。メガネもしていないし、黒いポロシャツなんか着てる。もちろん何を着ててもいいのだが、やはり「中華店」に「角野」とハメてきたことで、ちょっとした部分が気になる。

 なんたって、ここの「勇」(渡る世間~での角野の役名)は調理でなくフロア担当だ。もう違和感だけでお腹がいっぱいになりそうだ。

 しかし、

「この赤地に白で手書き文字のオーソドックスなメニュー、これは信頼できそうだ」

 と、ラスボス・角野の撒き散らす「違和感」に気を取られることなく、いつものようにメニューを凝視、熟考する五郎。

「エビトースト? ちょっと気になるじゃないか……」

「ニラ玉かぁ……いやエビチリが俺を呼んでいる気がする……」

「ニラ玉かエビチリか、うーん……気絶するほど悩ましい」

 で、どうするのかと思ったら、

「すみません、ニラ玉とエビチリとライス。あとエビトーストください」

「全部頼む」という解決法。たしかにこれなら気絶しなくて済むが、ずるい。

 

■客が全員注文するメニューとは?

 さっそく出てきたのは「エビトースト」。

 四つ切りにした食パン(耳なし)にエビのすり身的なものを塗り、油でカラッと揚げたもの。

「想像してたのと違う」と、いきなりうれしい誤算。本品もうまそうだが、五郎の想像していた「エビトースト」も気になる。

 そうこうしてるうちに正午を回り、近くのサラリーマンがなだれ込んでくる。

 3人グループのサラリーマンは全員ニラ玉とライス。2人組もニラ玉とライス。さらに後から来た別の2人組がニラ玉丼と、全員がニラ玉だけを欲する異様な状況。

「何? みんなニラ玉? だって『ニラ玉』だよ? いったい何この店?」

 言いたいことはわかるぞ、五郎。だって「ニラ玉」だもん。

 餃子やレバニラなど、いわゆるメインを張る人気者に比べ、ひっそりと野に咲く地味なポジション。そんな「ニラ玉」に今、引く手数多のオファーが。

 そして、その渦中の「ニラ玉」が到着。驚くのはその見た目。

 たっぷりのニラを炒めたその上に、ドーンとでかい卵炒めが覆いかぶさっている。「中華ニラオムレツ」とでも言えばいいだろうか。

 いわゆる我々の知る、ニラと卵が規則正しく入り混じるあの色の配分ではない。真っ黄色の塊の下から少しだけ濃緑がはみ出て見える。

 卵でニラを包むようにして口へ。

「おーーなんじゃこりゃ。ニラ、味が濃い、強い、そして太い」

「野生の裸のニラの旨味だ」

 五郎の顔が至福で歪む。

「これは美味い。注文が殺到するわけだ」

「こんなにもニラの味がダイレクトに飛び込んでくるとは。豚肉もここではニラのサポートに徹してる感じだ」

「卵を一緒に炒めないのはこのためか!」

 一人でどんどん「事件」を解明していく味探偵・五郎。

 別々に炒めているからこそ、一緒に食べた時、味の具合が変化する。口に入れた時、初めて「ニラ玉」が完成する。食べたかのように語らせてもらったが推測だ。

 ついには白米だけを口に入れて「ニラ玉の余韻だけで、ご飯がぐいぐい進む。やっぱり俺は骨の髄から白いご飯至上主義者なんだな」と五郎、自分再発見。白米至上主義者って米国の差別団体みたいで、ちょっと怖い。

 最終的に五郎は「ニラ玉に対する認識がひっくり返った」とまで言っていた。

■エビチリで終わりかと思いきや

 さらにエビチリが到着。絶妙なオレンジ色のとろみ餡が艶かしく光る。

 大きめのエビを頬張り「これはいいエビチリだ。生姜が効いてる」と絶賛。

 筆者は過去に料理本を見ながら拙くもエビチリを作ってみたことがあるのだが、確かにニンニクも生姜も刻んで入れた。しかし、まず第一声でエビを差し置いて生姜を褒めるのが、さすがだ。

「エビチリからのエビトー(スト)」とエビリレー。

 前回はガリガリ君(ガーリックスープにガーリックトースト)だったが、さしずめ今回は「エビエビ君」か。

 さらにエビトーに食べるラー油をかけて「味変え」。どこまでも楽しみ尽くす五郎。

 メニューにない「ニラ玉ラーメン」を頼む常連客が「(味がぼやけるけど)どっちも食べたいんだもん」と笑うのを聞きながら、

「その気持ちわかります。俺とてニラ玉、エビチリ、どっちも食いたい、どうしようもない奴です」と勝手に心の中で自己紹介。

 いつもそうだが、五郎はまわりの雰囲気も「食べて」いる。

 気づけば回りのテーブルが「ニラ玉」で埋め尽くされていくのが壮観。

「ノーヒントで店の看板メニューを引き当てた自分を褒めてやりたい」と自画自賛したくなる気持ちもよくわかる。グルメサイトで得た情報で食べた時には得られない快感。

 パセリも完食し、いよいよ今期も終了かと思いきや、「追加でチャーシュー麺ください」ときた。常連客の「ニラ玉ラーメン」を見て我慢できなくなったのだ。これぞ五郎。

 Season7の初回、とんかつを食べた後に「追いステーキ」という荒技を見せてくれたが、今回もいわば「追いチャーシュー麺」。

 予想を超える追加に角野もたじろぐ。

 

■庶民中華とは何か

 出てきたのはオーソドックスなチャーシュー麺。五郎はチャーシューを噛みしめなごら「この店の誠実さが染み込んでいる」と、うれしそう。面と向かって言われたら「うるせえな」と思ってしまいそうだが、心の中だからOK。

 そして麺をすすりながら「これこれ、『庶民中華』のラーメンだ」と喜ぶ。

 今日は「庶民メシ」「庶民味」とやたら「庶民」という言葉を乱発しているが、今回も昼からメイン3品、しかもラーメンじゃなくチャーシュー麺というブルジョワ・オーダー。

 むしろ「庶民」を乱発しすぎて、逆に五郎がお忍びで下界にやってきた王家の人間に見えて来る。一度でいいから五郎の収支を見てみたい。

 いわゆるこの場合の「庶民中華」は、やたら志を掲げるラーメン専門店とかでない「町中華」という意味なのだろう。五郎は最後にSeason7を総括するように、こう言っている。

「こういう普通のラーメンがいいんだよ。『どうだどうだ』という押し付けがましさが微塵もない、町の定番。でもこんなラーメンを食べられる店が、都会ではどんどん減っている」

「毎日、八丁堀界隈で働く人々に普通の美味しさを淡々と提供し続ける。時代に媚びず、背伸びもせず、地道な味の工夫で客の心をがっちり掴んでいる。こういう店こそが本当の名店だと思う」

 一瞬、宮沢賢治の詩かと思ったが、五郎のコメントをほぼ添削しているという原作者・久住の想いがこもった言葉だ。

「最後はチャーシュー1枚締め。よーーお。(ぺろり)」で終了。チャーシューを用意して一緒に「締め」たかった。

「気持ちいい食べっぷりですね、見てる私までお腹いっぱいになっちゃいましたよ」と角野もご満悦。「お会計お願いします」と言われた時の角野の「あいよ!」の声が心地よく響いた。

「まだまだ、すごい店があるもんだ。明日は浅草か。何を食おうかな。」と街に消えていく五郎。

 つづく「ふらっとQUESUMI」も最終回だからと特段変わった部分もなく、いつも通り酒を飲んで申し訳程度の挨拶をしておしまい。

 気取らない最終回ながら、最後の「本当の名店」に対する台詞には熱い想いを感じた。

 当然あるであろうSeason8に期待もかかるが、力を抜いて作り続けて欲しい。
(文=柿田太郎)

原作ファンを裏切った真利子監督の“宮本愛”!! エンドマークなき閉幕『宮本から君へ』第12話

 池松壮亮演じる主人公・宮本浩が勤めている弱小文具メーカーは、まるでサッカーW杯で優勝を遂げたかのような大騒ぎです。大手製薬会社へのクリアファイル納品のプレゼン結果が伝えられ、「ありがとうございます!」と涙ながらに絶叫する宮本を見て、みんな奇跡が起きたとばかりにクラッカーを鳴らして、祝福します。新米サラリーマン・宮本が最後の大暴走を見せた『宮本から君へ』(テレビ東京系)第12話を振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 文具問屋の安達(高橋和也)から、宮本の携帯電話に連絡が入りました。同僚の田島(柄本時生)らはコンペに勝ったと勘違いして大喜びしますが、残念ながらコンペには破れ、益戸(浅香航大)のいる大手文具メーカーが納品することに正式決定したのでした。小田課長(星田英利)に「勝っても負けても、結果を噛み締めたい」とサウナで全裸宣言していた宮本は、全力を尽くしても敗者となった結果をとことん噛み締めます。誰も宮本に声を掛けられずにいる中、岡崎部長(古舘寛治)が歩み寄り、「けじめだ。これを持って、朝いちでお詫びにいけ」と商品券の入った紙包みを渡します。お土産や金券を用意して、相手のご機嫌をとる営業スタイルは宮本がずっと拒んできたものですが、岡崎部長はそれを命じたのです。宮本が大暴走の末、手に入れた結果です。どんなにつらくても、この結果を噛み締めるしかありません。

 翌朝、大手製薬会社との仲介役だった「ワカムラ文具」の島貫部長(酒井敏也)のもとに、宮本は一連の騒ぎの謝罪に向かいます。先輩の神保(松山ケンイチ)と小田課長も付き添っていますが、宮本はひとりで詫びに行かせてくださいと頼みます。自分のケツは自分でぬぐいたいという宮本のこだわりでした。小田課長は「無駄骨も喰おうと思えば喰える」と、宮本を「ワカムラ文具」へと送り出します。本当、宮本は上司と先輩に恵まれています。

 島貫部長のいる営業部のドアをノックしようとした瞬間、島貫にいつもお茶汲みを命じられている女子社員の富永ちゃん(桜まゆみ)が出てきました。富永ちゃんは宮本がコンペに破れた真相を打ち明けます。宮本の土下座攻勢に島貫部長は根負けして見積書を書いたと思いきや、島貫は見積書の金額を宮本の提示額よりも高く設定して、大手製薬会社に送っていたのでした。何というタヌキ親父ぶりでしょうか。怒りで震える宮本ですが、宮本が島貫を敵に回したことにも責任があります。意を決した宮本がドアを開けると、島貫だけでなく、コンペに勝ったお礼を伝えにきた益戸も待ち構えていました。宮本が上司を誰も連れていないことに、島貫は顔をこわばらせます。営業先が再び修羅場と化していきます。

 宮本はスーツの内ポケットに手を入れたまま、ツカツカと島貫のいるデスクの前まで進みます。これが菅原文太か高倉健ならチャカかドスをギラリと取り出すところですが、一介のサラリーマンである宮本は残念ながら拳銃も刃物も持ち合わせていません。岡崎部長から渡された商品券を渡すのか? いや、宮本が内ポケットから出したのは、「営業 宮本浩」と記された一枚の名刺でした。「ふざけているのか!」と顔を真っ赤にした島貫に対し、宮本は執拗に名刺を差し出します。「名刺」という名のとおり、宮本浩という名前を何度も何度も島貫に突き刺そうとするのでした。見かねた益戸が宮本を後ろから羽交い締めにしながら「転職しろ! お前には営業は無理だ!!」と諭します。宮本とは水と油の関係だった益戸ですが、宮本のこれからのことを親身になって考えた上での本音だったような気がします。

 

■ズタボロの宮本の前に現われたヒロインは……?

 しがない中小企業の営業マンたちの熱い祭りは終わりました。宮本の過剰な情熱なら、もしかしたらビジネスの常識を覆すことができるかもしれないと信じた小田課長と神保でしたが、彼らの一瞬の夢も潰えて、日常業務へと戻ることになります。神保はこの負け戦を最後に、新会社を設立しなくてはいけません。「ドン・キホーテ」という、あまりにも自虐的な店名のカラオケパブで、慰労会を開く宮本、神保、小田課長の3人でした。

 何ひとつ思いどおりに物事が進まないことにフラストレーションが溜まっている宮本は、隣席のサラリーマンがぶつかったことをきちんと謝らないことに腹を立てます。自分も島貫に詫びを入れることができなかったのに、他人の不手際はカチンとくるものです。宮本はこの頭を下げることのできないサラリーマン・佐々木(松澤匠)と殴り合いのケンカを始めますが、相手はボクシング経験者で宮本は血だるまにされてしまいます。宮本も殴り返すものの、むしろそのことが宮本は頭にきます。ボクシング経験者なら、初心者のパンチは簡単に避けることができるはず。宮本は「ボクサーなら、俺のパンチをかわせよ」と叫びますが、「僕も、ただのサラリーマンです、ボクサーじゃありません」と相手は冷静に返すのでした。日々の業務に鬱屈を感じているのは宮本だけではありません。酔っぱらい同士のケンカでも、宮本はみじめに完敗を喫するのでした。

 全力を出し切れば、満足できる結果が待っていると信じて、ここまで突っ走ってきた宮本ですが、残念ながら入社して1年ちょいのサラリーマンが1週間そこら頑張ったことに報いるほど、世間は甘くありません。身も心もズタボロになった宮本がひとりで夜の外濠公園を歩いていると、そこには夜空を眺めている子どもたちがいました。大都会・東京でも晴れた夜にはシリウスやベガなどの明るい星を見つけることができるようです。ふと目をやると、子どもたちの横には甲田美沙子(華村あすか)が佇んでいました。以前、外濠公園で転んだ子どもに手を差し伸べていた美沙子と、またまた遭遇してしまったのです。美沙子は相変わらずキュートなルックスで、思わず声を掛ける宮本でした。

■視聴者を置いてけぼりにした驚愕の幕切れ

 4月からスタートした『宮本から君へ』は第12話となる今回が最終回です。コンペに破れた宮本は、原作どおり年上のOL・中野靖子(蒼井優)との仲を深め、これからの希望を感じさせるエンディングになるのだろうと予測していたのでしたが、真利子哲也監督はそんな原作ファンの期待をあっけなく破りました。第1話から第11話までずっと新井英樹の原作コミックに忠実に映像化してきた真利子監督は、熟考に熟考を重ねた挙げ句、最後の最後で暴走してみせたのです。人生のどん底にいる宮本の前に、包容力のある大人の女・靖子ではなく、過去の女・美沙子を出すのでは意味合いがまったく異なります。

 再会を果たした宮本と美沙子はバーに立ち寄り、カクテルを傾けながら近況を伝え合います。美沙子と付き合っていたのは、わずか数カ月前のことなのに、ずいぶん昔のことのように思えてきます。美沙子には酷い捨てられ方をした宮本ですが、昔と同じような笑顔を浮かべる美沙子を見ているとどうでもよくなってきます。美沙子は甘く囁きます。「私たちあのまま付き合っていたら、どうなっていたかな。相性はよかったんだよ」と。美沙子とは1回だけSEXした直後に別れたのですが、美沙子は「相性はよかった」と証言しているので、SEXが別れた原因ではなかったようです。宮本ならずとも男性視聴者がホッとした瞬間です。

 美沙子は宮本を捨てて、元カレとヨリを戻したわけですが、結局はまたそのカレに捨てられたそうです。捨てられた翌日に宮本と遭遇したので、美沙子は宮本こそが自分にとっての“運命の人”だと感じているようです。美沙子をもう一度抱いて、仕事の悔しさを忘れればいいじゃないか。これは一生懸命頑張った自分への、神さまからのご褒美に違いない。宮本の頭の中には、そんな考えが去来したことでしょう。ですが、宮本は棚から落ちてきたボタモチは決して口にしようとはしません。自分の手で掴み取って豪快に食べてこそのボタモチなのです。

宮本「ぶっ殺すぞ! このクソったれ女! 俺とてめえの関係は憎むか惚れるかの二つに一つだ。どっちだ、八方美人さんよお! てめーがいい顔すれば、誰だって尻尾振ると思ってんのか!?」

 バーを出た宮本はあらん限りの暴言で、追いすがろうとする美沙子を罵倒し尽くします。つらいことがあるとどうしても身近な男性に依存してしまう美沙子に対する、宮本なりの精一杯のエールでした。「宮本さんのバカッ!」という美沙子の怒声を背中に浴び、宮本は「くそ! くそ!」とつぶやきながら夜の街へと消えていくのでした――。

「えっ、これが終わり?」と多くの視聴者が驚いたTVドラマ版『宮本から君へ』のエンディングです。原作コミックの三分の一も消化できていないので、第2シーズン、第3シーズンに期待を寄せる声もネットには上がっています。本編そのものには「終わり」とも「完」とも打たれていませんが、でもTVドラマ版『宮本から君へ』はこのブツ切れ感ある終わり方がやはりベストでしょう。靖子でも美沙子でも、宮本が異性との恋愛に生きる希望を見出しての終わり方では、宮本が美沙子に誘われて会社をサボって海へ出掛けた第3話の頃からちっとも成長していないことになるからです。人間はそう簡単には成長しません。でも、宮本はどん底の中で辛酸を舐め尽くすことで、さらにパワーアップした猛烈な暴走をいつかまた見せてくれるはずです。

 孤高の漫画家・新井英樹の会社員時代の体験をベースにした原作コミック『宮本から君へ』ですが、実際に新井英樹は飯田橋にあった文具メーカーを1年2カ月で辞め、漫画家へと転職します。『宮本から君へ』で長編デビューを果たして以降、その過激さに拍車が掛かり、漫画史に残る『愛しのアイリーン』(安田顕主演映画として、9月14日より劇場公開)や『ザ・ワールド・イズ・マイン』といった大暴走ドラマを生み出すことになるのです。

 池松壮亮が全力で演じ切った宮本浩は、結局は仕事も恋愛も何ひとつうまく収まりませんでしたが、そのガムシャラな暴走ぶりは、まるで夜空を彩る流れ星のように観る者の心に焼き付きました。そして、夜の街へと人知れず消えていきました。宮本が残したものは一体、何だったのでしょう? 職場や飲み会の席で、受け取ったり、差し出す名刺が、今後はこれまでになく重く感じられるのではないでしょうか。とてもちっぽけだけど、名刺一枚分の熱さと重さを視聴者に伝えて、宮本は去っていったように思います。3カ月間にわたる大暴走の熱い余韻を残し、宮本浩は伝説のサラリーマンとなったのです。
(文=長野辰次)

あなたにとってアイドルとは?――ヲタク心理を問われるドラマ『婚外恋愛に似たもの』第2話

「あなたにとって、アイドルとはどんな存在ですか?」

 アイドル好きを公言していると、しばしば聞かれる質問だ。正直、一言で説明することは難しい。実際、私自身も明確にわかってはいないし、ドルヲタ同士で酒を飲みながら延々と語り合ったこともある。最終的には、それぞれが自分の中に「アイドルとはこういう存在」というビジョンを持っていればそれが正解なのだと思う。

 dTVで配信中のドラマ『婚外恋愛に似たもの』第2話では、主人公たちのアイドルに対する思いが語られた。

 千葉の元ヤン主婦・益子昌子(江口のりこ)は、中学生の息子(畠山紫音)が万引きをしたとのことでスーパーに駆けつける。そこで目にしたのは、履歴書を万引きした息子の姿だった。「履歴書をどこに出すつもりだったのか?」そう問い詰める昌子。なかなか口を割らない息子であったが、やがて本当の気持ちを話し始める。

「ディセンバーズエンターテイメントスクールに送るつもりだった」

 そう、昌子が愛してやまないアイドルグループ「スノーホワイツ」の所属する事務所を受けようとしていたのだ。

 そもそも、昌子にとって推しの八王子(太田将煕)は、“理想の息子”だった。実際の息子の素行に苦しめられる昌子からすれば、アイドルに対しての感情は「母性」であったのかもしれない。

 実は、男性である私からしても、この感情は理解できる。

 若い頃、女性アイドルは、世間でよく言われるように「疑似恋愛」の対象であった。「あんな子と仲良くなりたい。恋人になりたい」そんな気持ちが強かったことも事実だ。しかし、自身が年を重ねるにしたがって、それだけでは説明のつかない感情も入ってくるようになった。複雑な感情ではあるが、その中には間違いなく「父性」というような気持ちが混じっいる。

 実際、アイドルの現場では、自分の娘のような年齢の女の子を応援しているファンが多く見られる。子供がいる人も、そうでない人もいるだろうが、「子供を応援したくなる気持ち」というのは多くの人に多くの人が共通して持つ感覚だと思う。

 昌子が、八王子に抱いた思いも、人間としてごく自然なものであったと言えよう。そして、それに対する息子の思いもまた胸に迫ってくる。

 母親がアイドルを理想の息子と思っている。そんな母親を喜ばせるため、自分もそのアイドルになろうとしたのだ。アイドルという存在をめぐって、親子の絆が深まっていく。そんなことが象徴されるいいシーンであった。

 一方、神田みらい(Da-iCE・岩岡徹)推しのセレブ主婦・桜井美佐代(栗山千明)は、同じホワラー(スノーホワイツのファン)ということで、昌子と仲良くなり、素直に自分の気持を話せるような関係にまでなる。

 昌子が美佐代のマンションを訪れた夜、テレビマンである美佐代の夫・修一郎(袴田吉彦)が怪しい男に襲われる。昌子の反撃により難を逃れたが、相手は修一郎が深い仲になったアイドル・さなのファンであった。

 ここで、アイドルファンの視点へと切り替わる。

 自分が好きなアイドルが、テレビ局関係者と不倫の関係にある。暴行は立派な犯罪だが、相手に一言言ってやりたくなる気持ちもわかる。その場に居合わせた美佐代も、昌子も、そしてもしかしたら修一郎でさえも、その男の気持ちは痛いほどわかっていたのかもしれない。この「2つの視点がぶつかりあうシーン」というのが、個人的には大好きだ。

 続いて、このドラマで重要な役となる人物が登場する。美佐代の会社員時代のライバル・隅谷雅(平井理央)だ。

「いつも上から三番目」を自認する美佐代にとって、何事もうまくこなし、一番になる雅は天敵なのである。鼻持ちならないセレブエリートの女性を、平井理央が嫌味な雰囲気たっぷりに演じている。彼女も実はホワラーで、次回以降、さらに美佐代らと大きく関わってくることになりそうだ。

 そして、スノーホワイツのライブに向かう朝、美佐代は言う。

「女にとってアイドルはデトックス」

 自分が若さを保ち、美しくいられるのもアイドルへの思いがあるからだという意味だろう。これは、女性アイドルを応援する男性ヲタクについても言えることだ。

 若い女の子を応援する男性は、おしなべて実年齢よりも若く見える。これは、現場でアイドルヲタを見ていての実感だ。それは、“若い子と会うから”という理由で意識的に服装などに気を使っていることもあるだろうが、やはり気持ちの面で“好きなものに夢中になっている”ということが、大きく働いていると思う。

 私自身、アイドルのライブを見たり、イベントで接したりしていると、自分が若くいられることを実感する。「好きなアイドルと1回握手をすると3日寿命が延びる」というのが私の持論である。

 男性アイドルの女性ヲタク、という視点で描かれたこのドラマ。1回25分と短いが、毎回、アイドルファンとしての立場を考えされるシーンが織り込まれている。もちろん、アイドルには興味がないという人が「ドルヲタってこういう世界なのね」という感覚で見ても十分に楽しめるであろう。

 今回テーマとなっていた、「自分にとってアイドルとはどんな存在か」。見ている人も、一度問いかけてみてはいかがだろうか。

 ちなみに私がヲタク仲間と議論した結論。それは、「アイドルは妖精」というものだった。気持ち悪い結論になってしまい、すみません。

(文=プレヤード)

■ドラマ『婚外恋愛に似たもの』
dTVにて毎週金曜日配信

フジテレビ新月9『絶対零度』に早くも“爆死”フラグ! 初回ゲストが「武井壮」って……

 復活というよりスピンオフ? 7月9日にスタートするフジテレビ月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』に、早くも爆死フラグが立っている。『絶対零度』シリーズは、上戸彩主演で2010年、11年に放送され、平均視聴率はシーズン1が14.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、シーズン2が13.1%をマーク。

 近年のフジの月9ドラマといえば、10作中9作の視聴率が2ケタに届かず、惨敗続き。唯一、14.8%を記録した『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』も、過去のヒットドラマの続編だった。八方ふさがりのフジは、もはや続編頼みとなるしかないのだろう。

「当然、フジは上戸にオファーしたが子育てを理由に断られ、準主役だった沢村一樹が急きょ、主演に繰り上がることに。上戸は主演ではないものの脇役として出演すると思われていましたが、フタを開けてみると、彼女は出るには出るが、失踪してすぐにいなくなるという完全な“チョイ役”。クレジットも『特別出演』となっており、6月30日に行われた番組の記者会見にも現れませんでした。このところフジのドラマに出演した役者は軒並み商品価値を暴落させられていますから、上戸もできるだけ“無関係”でいたいのでしょう」(テレビ誌ライター)

 ドラマが爆死濃厚な空気は、初回ゲストからも漂ってくる。

「一番の大物俳優を持ってくるべき初回ゲストに選ばれたのが、タレントの武井壮というのは、失礼ながら、なんともショボすぎです。上戸と同じ事務所の『武井咲』の間違いではないのかと、耳を疑いましたよ。武井は有名クラブの経営者役として登場するそうですが、そもそも役者でもない彼が起用された時点で、刑事ものとしては薄っぺらい印象になる。フジのドラマが本業の俳優たちに避けられている証左で、この先、武井以上のゲストが登場することも期待できなさそうです」(同)

 記者会見で沢村は、「初体験の夜をみんなで過ごしませんか」と得意の下ネタで笑わせたが、自身も体験したことがない「低視聴率」で凍えることにならなければいいが……。