
StarChild『モーレツ宇宙海賊』
番組改編期目前の6月が到来したということで、これから月末に向けて多くのアニメが続々とフィナーレを迎えることになる。その中でも、現在とくにアツい展開を見せているのが『モーレツ宇宙海賊』(MBSほか)だ。
ごく普通の女子高校生だった主人公・茉莉香が、死んだ父親が船長を務めていた海賊船・弁天丸の船長となり宇宙海賊として活躍するというスペースオペラ作品である本作は、放送開始当初こそ「地味だ」「展開が遅い」「古くさい」という意見が多勢を占め、Blu-ray&DVD第1巻の初動売り上げもそこそこヒットレベルの作品であった。
しかし、茉莉香が宇宙海賊として生きていくことを決意する序盤のヤマ場である第5話から、物語はグイグイと急展開。評判もじわじわと上昇。さらに通常は巻を追うごとに売り上げが下がっていくBlu-ray&DVDの初動売り上げ枚数は右肩上がりで増加するという、大器晩成ぶりを見せている。
そんな『モーレツ宇宙海賊』の魅力を挙げるとするならば、やはり丁寧な描写という点に尽きるだろう。何かとスピード感重視の昨今、アニメも第1話で視聴者の興味を引くようなネタを詰め込まないといけない、という暗黙の了解が制作側のみならずアニメファンの間にも定着しているように感じられるが、そんな時代の風潮に左右されることなく茉莉香が宇宙海賊になるまでを、実に序盤の5話を使ってじっくり描いている点がまず驚きである。確かにスロースタートとなった本作だが、そのおかげで茉莉香のみならず、弁天丸クルーのキャラクターもじっくり描くことが可能となり、後の物語に深みを持たせることに成功している。
また、アニメでは大ざっぱに処理されがちな電子戦や戦術、組織の描写、作品世界の歴史などをじっくりと描いている点も、スペースオペラ的に高ポイントである。練りに練られた設定や、リアルなSF描写にロマンを感じる視聴者も少なくないだろう。
これらの要素を2クールにわたってじっくり描き続けた本作は現在、物語最大のヤマ場を迎えている。海賊船を狙う謎の敵が宇宙を跋扈する中、茉莉香はスタンドプレーが基本の宇宙海賊を招集し、組織化することで状況に立ち向かおうとする。第1話ではまだどこにでもいる普通の女子高校生だった彼女が、いまや海賊たちを束ねるリーダーとして人心を集めているのだ。
物語のスタート時点からは想像もつかない展開となっているが、そこに至るまでの心情や成長が丁寧に描かれているため、この展開に違和感は少ない。むしろ茉莉香の成長ぶりに、ここまで作品に付き合ってきた視聴者は感動すら覚えるはずだ。
冒頭でも「古くさい」という視聴者のコメントもある、と紹介したが、確かに本作はテンポのいい会話劇や、女性キャラが多い作品にありがちな百合描写、カタルシスを得るためのトンデモ展開など、今のアニメならあって然るべき「お約束」は現行の他作品に比べれば少なめ。むしろ骨太なSFドラマや謀略劇。はたまた泥臭い学園ドラマなど、例えるならば「90年代の夕方6時枠」を思わせるちょっぴり懐かしい肌触りの作風となっている。だが、それをもって本作がつまらないと切り捨ててもいいのだろうか?
軽薄短小が良しとされる今のアニメシーンの中で、ここ最近は『Fate/Zero』『境界線上のホライゾン』『ヨルムンガンド』といった熱く重厚なドラマが展開されるテレビアニメが増えつつあり、好評を博している。またOVA作品の『機動戦士ガンダムUC』もガンダムブランドという強力なバックボーンもさることながら、劇中の歴史を脚本や舞台設定にうまく取り入れることでドラマに奥行きを持たせることに成功し、大ヒットを記録している。
そう考えると、じわじわと上がっている『モーレツ宇宙海賊』のソフト売り上げと評価は、見応えある丁寧な作品に対する期待と、ゆるい萌え&日常系アニメは飽きてきたよ、というアニメファンからの無言のメッセージというのは深読みのしすぎだろうか。
放送開始時点と現在の『モーレツ宇宙海賊』の評価の転換は、アニメファンの求める作品像の変化の兆しなのかもしれない。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声
【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ
【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』
【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
「8270」カテゴリーアーカイブ
「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり

StarChild『モーレツ宇宙海賊』
番組改編期目前の6月が到来したということで、これから月末に向けて多くのアニメが続々とフィナーレを迎えることになる。その中でも、現在とくにアツい展開を見せているのが『モーレツ宇宙海賊』(MBSほか)だ。
ごく普通の女子高校生だった主人公・茉莉香が、死んだ父親が船長を務めていた海賊船・弁天丸の船長となり宇宙海賊として活躍するというスペースオペラ作品である本作は、放送開始当初こそ「地味だ」「展開が遅い」「古くさい」という意見が多勢を占め、Blu-ray&DVD第1巻の初動売り上げもそこそこヒットレベルの作品であった。
しかし、茉莉香が宇宙海賊として生きていくことを決意する序盤のヤマ場である第5話から、物語はグイグイと急展開。評判もじわじわと上昇。さらに通常は巻を追うごとに売り上げが下がっていくBlu-ray&DVDの初動売り上げ枚数は右肩上がりで増加するという、大器晩成ぶりを見せている。
そんな『モーレツ宇宙海賊』の魅力を挙げるとするならば、やはり丁寧な描写という点に尽きるだろう。何かとスピード感重視の昨今、アニメも第1話で視聴者の興味を引くようなネタを詰め込まないといけない、という暗黙の了解が制作側のみならずアニメファンの間にも定着しているように感じられるが、そんな時代の風潮に左右されることなく茉莉香が宇宙海賊になるまでを、実に序盤の5話を使ってじっくり描いている点がまず驚きである。確かにスロースタートとなった本作だが、そのおかげで茉莉香のみならず、弁天丸クルーのキャラクターもじっくり描くことが可能となり、後の物語に深みを持たせることに成功している。
また、アニメでは大ざっぱに処理されがちな電子戦や戦術、組織の描写、作品世界の歴史などをじっくりと描いている点も、スペースオペラ的に高ポイントである。練りに練られた設定や、リアルなSF描写にロマンを感じる視聴者も少なくないだろう。
これらの要素を2クールにわたってじっくり描き続けた本作は現在、物語最大のヤマ場を迎えている。海賊船を狙う謎の敵が宇宙を跋扈する中、茉莉香はスタンドプレーが基本の宇宙海賊を招集し、組織化することで状況に立ち向かおうとする。第1話ではまだどこにでもいる普通の女子高校生だった彼女が、いまや海賊たちを束ねるリーダーとして人心を集めているのだ。
物語のスタート時点からは想像もつかない展開となっているが、そこに至るまでの心情や成長が丁寧に描かれているため、この展開に違和感は少ない。むしろ茉莉香の成長ぶりに、ここまで作品に付き合ってきた視聴者は感動すら覚えるはずだ。
冒頭でも「古くさい」という視聴者のコメントもある、と紹介したが、確かに本作はテンポのいい会話劇や、女性キャラが多い作品にありがちな百合描写、カタルシスを得るためのトンデモ展開など、今のアニメならあって然るべき「お約束」は現行の他作品に比べれば少なめ。むしろ骨太なSFドラマや謀略劇。はたまた泥臭い学園ドラマなど、例えるならば「90年代の夕方6時枠」を思わせるちょっぴり懐かしい肌触りの作風となっている。だが、それをもって本作がつまらないと切り捨ててもいいのだろうか?
軽薄短小が良しとされる今のアニメシーンの中で、ここ最近は『Fate/Zero』『境界線上のホライゾン』『ヨルムンガンド』といった熱く重厚なドラマが展開されるテレビアニメが増えつつあり、好評を博している。またOVA作品の『機動戦士ガンダムUC』もガンダムブランドという強力なバックボーンもさることながら、劇中の歴史を脚本や舞台設定にうまく取り入れることでドラマに奥行きを持たせることに成功し、大ヒットを記録している。
そう考えると、じわじわと上がっている『モーレツ宇宙海賊』のソフト売り上げと評価は、見応えある丁寧な作品に対する期待と、ゆるい萌え&日常系アニメは飽きてきたよ、というアニメファンからの無言のメッセージというのは深読みのしすぎだろうか。
放送開始時点と現在の『モーレツ宇宙海賊』の評価の転換は、アニメファンの求める作品像の変化の兆しなのかもしれない。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声
【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ
【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』
【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声

「Animelo Summer Live 」公式サイトより
アニメソングファンの真夏の恒例イベント「Animelo Summer Live」(アニサマ)が、今年も「Animelo Summer Live 2012 -INFINITY∞-」と題して8月25日、26日の2日間にわたってさいたまスーパーアリーナで開催される。
2005年に代々木体育館にて開催された「Animelo Summer Live 2005 -THE BRIDGE-」を皮切りに、毎年動員人数を増やし続け、08年より現在のさいたまスーパーアリーナで開催。今年も2日間にわたって5万人以上の動員が予想されている。
そんな日本のアニメ文化の盛り上がりを象徴するアニサマだが、今年の出演アーティスト・ラインナップに対して、ファンから不安視する声が上がっている。
それは、まずアニサマに初回から参加し続けたJAM Projectと水樹奈々が、今年は不参加であるためだ。
JAM Projectといえば、『ドラゴンボールZ』主題歌を歌った影山ヒロノブ、『ONE PIECE』主題歌を歌ったきただにひろしなど、アニソン界の大御所が集ったボーカルユニット。二人以外にも、遠藤正明、奥井雅美、福山芳樹といった80年代から90年代にかけて多くのアニソンを歌ってきた、いわば「古き良き正統派アニソン歌手」の系譜にある存在である。
一方の水樹は、3年連続紅白歌合戦への出場を達成した、人気・実力ともに声優界の歌姫と呼べる存在である。毎回アニサマのトリを務め、いわばアニソン界のアイコン的存在である彼らが今年は不参加ということで、「一体誰が今年のアニサマのラストを務めるのか」という声がオンライン、オフライン問わずファンの間で話題となっている。
両者以上に老若男女問わず支持されるアニソン歌手はいないと言っても過言ではない。そんな彼らがいない今年のアニサマは、不完全燃焼に終わってしまうのでは……ファンが不安がるのも無理はない。
もう一点、出演アーティストの過半数が声優である、という点においても疑問の声が上がっている。
声優がCDをリリースし、ライブを行うというスタイルがかつてないほど定着した昨今、彼らが出演するアニメの主題歌を歌う機会も非常に増えてきたことから、「声優ソング」と「アニソン」が同列に語られることも珍しくなくなってきたが、やはり「プロのアニソン歌手と、歌うことが本業ではない声優の歌を一緒にはできない」と主張するファンがいるのも事実である。
とはいえ、声優がさながらアイドルのようにメディアに取り上げられる現在のアニメシーンにおいて、ストイックなアニソン歌手が駆逐され声優がシーンを席巻するのは無理からぬこと。この流れは、90年代後半から現在に至るまで続く「アイドルがドラマに出演し、その主題歌を歌う」という日本のドラマと音楽業界の関係によく似ていると感じるのは筆者だけだろうか。
さらに言えば、昨年よりとりわけ顕著になってきた、アイドル声優ユニットの出演数増加が、よりファンを不安にさせているのだろう。アイドル声優を売るためにユニットを結成し、アニソンという体で楽曲を売る。つまり、アニメのために作られた主題歌を歌う、というファンがもっとも重要視する大前提が、「アニサマ」というアニソンの祭典においても崩壊し始めている、という疑念が今年のラインナップに対する不安として現れているのではないだろうか。
しかし、「歌は世につれ」とはよく言ったもので、時代や世相が変わればはやる歌も変わる。音楽の消費のされ方も移り変わっていくものであり、アニサマの変革も時代の変化を受け入れ、イベントの新陳代謝を図っていく上で必要だったのだろう。そういう意味では、今後のアニソンのトレンドを読みとる上で、今年の「Animelo Summer Live 2012 -INFINITY∞-」は非常に重要なイベントとなるはずである。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ
【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』
【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』

『聖闘士星矢Ω-セイントセイヤオメガ』
公式サイト
「フッ」
「ザシャアァッ!」
「なっ!」
「バァァァァン!」
「聖闘士には同じ技は二度通じん!」
「燃えろ! 小宇宙(コスモ)よ!」
「あじゃぱぁ~!」
などなど、なんのこっちゃよく分からないが、とにかく胸が熱くなるそんな熱血フレーズが画面狭しと躍る伝説のアニメ『聖闘士星矢』の続編にあたる新作アニメ『聖闘士星矢Ω(オメガ)』が、4月よりテレビ朝日系列で放送スタートした。
『聖闘士星矢』といえば、地上の平和を守る女神・アテナのために戦う聖闘士(セイント)となるべく運命づけられた主人公・星矢たちの過酷な戦いを描いたバトルファンタジー作品であり、1985年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載をスタートするやたちまち大きな反響を呼び、同年、異例の早さでテレビアニメ化。
バンダイから発売された星座をモチーフとしたプロテクター「聖衣(クロス)」のカッコよさと、神話をベースにした壮大なストーリー。そして原作者・車田正美による迫力のバトルシーンが話題を呼び、驚異的なヒットを記録した、少年マンガ史に燦然と輝く歴史的な作品だ。
■古き良き東映マインドと今風のタッチが融合したキャラデザ
その待望の続編である『Ω』は、次世代の若き聖闘士・ペガサス座の光牙たちと、地球支配を企む火星の守護者・マルスとの戦いが描かれるアニメ・オリジナル作品であるが、本作の制作が発表された当初、ファンの間では期待よりも不安の声が多く上がった。
前作のアニメ版『聖闘士星矢』の魅力の一つに、荒木伸吾、姫野美智両氏による気品あふれる美形キャラクターたちが挙げられるが、多くのファンは『Ω』でも同様のキャラクターデザインを期待していたのだろう。
しかし、『Ω』のキャラデザは『おジャ魔女どれみ』シリーズや、『ハートキャッチプリキュア!』などの女児向けアニメでキャラデザを手掛けた馬越嘉彦。その丸みを帯びたかわいらしい聖闘士たちの姿に、多くのファンが拒否反応を起こした。
だが、彼はアニメ『北斗の拳』でエクストリームなキャラクターを多く描いた羽山淳一に憧れて東映動画の門を叩いた、熱血アクション派アニメーターである。
そんな自身のルーツを証明するかのように、『ハートキャッチプリキュア!』では荒木・姫野イズムを受け継ぐかのような強烈なパースを効かせた決めポーズや大胆なアクションシーン、「両手を後ろに広げての前傾姿勢ダッシュ」などを描き出していたことを覚えているアニメファンも少なくはないだろう。
筆者としては、古き良き東映動画のセンスを現代風の柔らかな画風にマッチさせるだけの技量を持つ馬越氏以外に現代の『星矢』を描ける人材はいないのでは、とすら思っている。
現在放送中の『Ω』を見れば、「かつて自分たちが見ていた『星矢』」のイメージと遜色なく、それでいて古臭さを感じさせない洗練された世界観を感じることができるはずだ。
また、主人公の光牙とライバル関係にある仔獅子座の蒼摩の泥臭さは、旧シリーズでは星矢のライバルになりそこねた残念キャラ・一角獣座の邪武を彷彿とさせるものがある。
旧シリーズで描ききれなかった初期プロットへのリベンジも感じさせる蒼摩というキャラは、馬越氏をはじめとする『Ω』スタッフの『星矢』という作品に対するリスペクトと、挑戦の証として注目していきたい。
■ファンなら「ニヤリ」のこだわりポイント
絵作り以外にもこだわりポイントはある。
『聖闘士星矢』といえば、様式美とすらいえる芝居がかった「車田節」とでもいうべきセリフの応酬を忘れてはならない。
冒頭にもあるような、大見得を切りつつ繰り広げられるバトルは、歌舞伎にも通じるケレン味満点である。『Ω』でも、このノリは健在。新世代聖闘士たちは、相変わらずド派手な名乗りと技解説を交えつつ、一進一退の攻防を繰り広げる。この勢いで、
「笑止!」
「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんとはまさにこのことだ」
「オレのセブンセンシズよ 燃えろ!」
などのような、上級の車田節も登場させてほしいものである。
また、前作主人公・星矢が伝説の聖闘士として登場したり、龍座の紫龍とその恋人・春麗の息子・龍峰が次世代の龍座の聖闘士として登場するほか、大熊座の檄、「勝負は常に顔で決まるのだよ!」のセリフも有名なヒドラの市など通好みなキャラクターが準レギュラーとして登場、前作ではいま一つ活躍しきれなかった彼らのファンにはうれしいサービスも盛り込まれている。
■賛否両論の新聖衣
このように見どころ満載な『聖闘士星矢Ω』だが、手放しで褒めるのもステルスマーケティング臭がするので、いくつか気になる点も挙げておこう。
まず、なんといっても「聖衣(クロス)」の概念が変わってしまったことについて、突っ込まないわけにはいかない。星座をモチーフとしたオブジェが分解しプロテクターとなるというギミックがなくなり、本作では星座の力を借りて着用する変身スーツのような存在となっている。これは非常に残念である。『聖闘士星矢』といえば、物語が進むごとに進化するデザインや、想像もつかない合体変形でプロテクターとなるギミックなど男子心を燃やす聖衣の魅力は欠かせないはずだ。その代わりに本作では各キャラクターに「属性」の概念を新たに導入。火・風・雷・土・水・光・闇の7属性の力を持つ聖闘士の活躍が描かれる。今のところ、星座設定と属性設定が効果的に劇中に反映されている……とは言い難い。物語も序盤ということで、どのようにこれらの設定が盛り上げていくのか、注目したいところだ。
ともあれ、21世紀に入って新たな『聖闘士星矢』のアニメが見られるだけでも、ファンとしては僥倖(ぎょうこう)といったところだろう。
まだ見たことのない前作ファンは一度チャンネルを合わせてみて、変わらぬ『聖闘士星矢』スピリットと新たな挑戦に臨むスタッフの意気込み……もとい小宇宙を感じてみてはいかがだろうか。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』

『聖闘士星矢Ω-セイントセイヤオメガ』
公式サイト
「フッ」
「ザシャアァッ!」
「なっ!」
「バァァァァン!」
「聖闘士には同じ技は二度通じん!」
「燃えろ! 小宇宙(コスモ)よ!」
「あじゃぱぁ~!」
などなど、なんのこっちゃよく分からないが、とにかく胸が熱くなるそんな熱血フレーズが画面狭しと躍る伝説のアニメ『聖闘士星矢』の続編にあたる新作アニメ『聖闘士星矢Ω(オメガ)』が、4月よりテレビ朝日系列で放送スタートした。
『聖闘士星矢』といえば、地上の平和を守る女神・アテナのために戦う聖闘士(セイント)となるべく運命づけられた主人公・星矢たちの過酷な戦いを描いたバトルファンタジー作品であり、1985年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載をスタートするやたちまち大きな反響を呼び、同年、異例の早さでテレビアニメ化。
バンダイから発売された星座をモチーフとしたプロテクター「聖衣(クロス)」のカッコよさと、神話をベースにした壮大なストーリー。そして原作者・車田正美による迫力のバトルシーンが話題を呼び、驚異的なヒットを記録した、少年マンガ史に燦然と輝く歴史的な作品だ。
■古き良き東映マインドと今風のタッチが融合したキャラデザ
その待望の続編である『Ω』は、次世代の若き聖闘士・ペガサス座の光牙たちと、地球支配を企む火星の守護者・マルスとの戦いが描かれるアニメ・オリジナル作品であるが、本作の制作が発表された当初、ファンの間では期待よりも不安の声が多く上がった。
前作のアニメ版『聖闘士星矢』の魅力の一つに、荒木伸吾、姫野美智両氏による気品あふれる美形キャラクターたちが挙げられるが、多くのファンは『Ω』でも同様のキャラクターデザインを期待していたのだろう。
しかし、『Ω』のキャラデザは『おジャ魔女どれみ』シリーズや、『ハートキャッチプリキュア!』などの女児向けアニメでキャラデザを手掛けた馬越嘉彦。その丸みを帯びたかわいらしい聖闘士たちの姿に、多くのファンが拒否反応を起こした。
だが、彼はアニメ『北斗の拳』でエクストリームなキャラクターを多く描いた羽山淳一に憧れて東映動画の門を叩いた、熱血アクション派アニメーターである。
そんな自身のルーツを証明するかのように、『ハートキャッチプリキュア!』では荒木・姫野イズムを受け継ぐかのような強烈なパースを効かせた決めポーズや大胆なアクションシーン、「両手を後ろに広げての前傾姿勢ダッシュ」などを描き出していたことを覚えているアニメファンも少なくはないだろう。
筆者としては、古き良き東映動画のセンスを現代風の柔らかな画風にマッチさせるだけの技量を持つ馬越氏以外に現代の『星矢』を描ける人材はいないのでは、とすら思っている。
現在放送中の『Ω』を見れば、「かつて自分たちが見ていた『星矢』」のイメージと遜色なく、それでいて古臭さを感じさせない洗練された世界観を感じることができるはずだ。
また、主人公の光牙とライバル関係にある仔獅子座の蒼摩の泥臭さは、旧シリーズでは星矢のライバルになりそこねた残念キャラ・一角獣座の邪武を彷彿とさせるものがある。
旧シリーズで描ききれなかった初期プロットへのリベンジも感じさせる蒼摩というキャラは、馬越氏をはじめとする『Ω』スタッフの『星矢』という作品に対するリスペクトと、挑戦の証として注目していきたい。
■ファンなら「ニヤリ」のこだわりポイント
絵作り以外にもこだわりポイントはある。
『聖闘士星矢』といえば、様式美とすらいえる芝居がかった「車田節」とでもいうべきセリフの応酬を忘れてはならない。
冒頭にもあるような、大見得を切りつつ繰り広げられるバトルは、歌舞伎にも通じるケレン味満点である。『Ω』でも、このノリは健在。新世代聖闘士たちは、相変わらずド派手な名乗りと技解説を交えつつ、一進一退の攻防を繰り広げる。この勢いで、
「笑止!」
「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんとはまさにこのことだ」
「オレのセブンセンシズよ 燃えろ!」
などのような、上級の車田節も登場させてほしいものである。
また、前作主人公・星矢が伝説の聖闘士として登場したり、龍座の紫龍とその恋人・春麗の息子・龍峰が次世代の龍座の聖闘士として登場するほか、大熊座の檄、「勝負は常に顔で決まるのだよ!」のセリフも有名なヒドラの市など通好みなキャラクターが準レギュラーとして登場、前作ではいま一つ活躍しきれなかった彼らのファンにはうれしいサービスも盛り込まれている。
■賛否両論の新聖衣
このように見どころ満載な『聖闘士星矢Ω』だが、手放しで褒めるのもステルスマーケティング臭がするので、いくつか気になる点も挙げておこう。
まず、なんといっても「聖衣(クロス)」の概念が変わってしまったことについて、突っ込まないわけにはいかない。星座をモチーフとしたオブジェが分解しプロテクターとなるというギミックがなくなり、本作では星座の力を借りて着用する変身スーツのような存在となっている。これは非常に残念である。『聖闘士星矢』といえば、物語が進むごとに進化するデザインや、想像もつかない合体変形でプロテクターとなるギミックなど男子心を燃やす聖衣の魅力は欠かせないはずだ。その代わりに本作では各キャラクターに「属性」の概念を新たに導入。火・風・雷・土・水・光・闇の7属性の力を持つ聖闘士の活躍が描かれる。今のところ、星座設定と属性設定が効果的に劇中に反映されている……とは言い難い。物語も序盤ということで、どのようにこれらの設定が盛り上げていくのか、注目したいところだ。
ともあれ、21世紀に入って新たな『聖闘士星矢』のアニメが見られるだけでも、ファンとしては僥倖(ぎょうこう)といったところだろう。
まだ見たことのない前作ファンは一度チャンネルを合わせてみて、変わらぬ『聖闘士星矢』スピリットと新たな挑戦に臨むスタッフの意気込み……もとい小宇宙を感じてみてはいかがだろうか。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号

『夏色キセキ』公式サイトより
番組改編期の4月に突入し、新たなアニメが続々スタートした今日この頃。眠れぬ夜を過ごしているアニメファンも多いことだろう。
今クールはおよそ40タイトルの新作アニメが放送を開始しており、個性的なキャラクターたちが日々テレビモニターを賑やかに盛り上げている。
その中でも、いろいろな意味でアニメファン注目の一作となっているのが、女子中学生たちのひと夏の物語を描く『夏色キセキ』(MBSほか)である。
本作は、『けいおん!』で一世を風靡した豊崎愛生、寿美菜子も所属する声優アイドルユニット「スフィア」の4人がメインヒロインを演じており、結成当初より実現を目指していた企画でもある。いわば、「スフィアが主演するために作られたアニメ」なのだ。
そのため、キャラクターデザインや性格付けをはじめ、各メンバーのユニット内での立ち位置などパブリックイメージを連想させるような部分が多々あり、声優ファンならずともニヤニヤする箇所が随所に盛り込まれている。
また、素朴な少女たちの友情を描く上で、自然が豊かで懐かしさもある風景が必要、という理由から舞台を静岡県下田市に設定。昨今の聖地巡礼(アニメの舞台となった実際の場所を訪問する行為)ブームを強く意識しているほか、近年、萌えアニメとのコラボに積極的なローソンとのタイアップを実現。劇中に「これでもか」と登場する下田市の風景や、ローソンの店舗が登場するなど、マーチャンダイジングにも積極的に取り組んでいる姿勢がうかがえる。
そんな、“覇権アニメ”として成功することを宿命付けられた『夏色キセキ』だが、地上波での放送に先駆け、ニコニコ動画内で第1話の先行配信が行われた。ここでの視聴者の反応はというと、「微妙」の一言に尽きる。
配信終了後のアンケート結果も「とても良かった」が18.5%、「まぁまぁ良かった」が31.8%、「あまり良くなかった」が27.9%、「良くなかった」が21.9%と実に微妙なもの。その結果を見た本作を手がける水島精二監督も、「賛否両論、受け止めて、最後までがんばりますよー!」(抜粋)と本放送前の作品にしては控えめな表現のツイートを投下していた。
そもそも、なぜ本作がそんな「微妙」な評価になってしまったのだろうか。
考えられる大きな理由としては、「スフィア声優演じる美少女キャラたちがほのぼのした日常を送る、予定調和を前提とした萌えアニメを期待してフタを開けてみたら、ことごとくがその逆をいく作品だった」ことが挙げられるだろう。
第1話のあらすじは、小学校の頃から仲良しだった4人の女子中学生の関係が、少しずつギクシャクしていく……。という物語の導入としては、やや地味でシリアスなものとなっている。
とくに、寿美菜子演じるメインヒロイン・逢沢夏海と高垣彩陽演じる水越紗季の間には、冒頭から不穏な空気が漂っており、物語後半では戸松遥演じる花木優香、豊崎愛生演じる環凛子も巻き込まれ、事態は泥沼化。さらに一生懸命明るい空気にしようとする優香の行動が滑りまくり、見る側としては「これ、どうしたらいいんだよ……」と絶望感すら感じてしまうほどの閉塞感が物語を覆う。
ここから作品のイメージをポジティブな方向に持っていくには、それこそ奇跡が起きない限り無理だと誰もが思ったとき、「4人が同時に同じ願い事をすると叶う」という御石様の力で、いきなり4人は空を飛んでしまうのだ。
なんという奇跡! この予想の斜め上をいく超展開で第1話の幕は下りるのだ。
「萌えアニメ」というよりも、古き良きジュブナイル作品のような趣を感じさせるストーリーである。
事実、本作をSF(すこしふしぎ)ドラマとして見れば、非常にオーソドックスな作りであり、手堅い作風に仕上がっていることに多くの視聴者は気付くはずだ。ただ不幸なことに、「視聴者がそういうものを求めていなかった」ために「微妙な評価」に落ち着いてしまったのではないだろうか。
「スフィア演じるキャラが戯れている姿を見たい」という視聴者からしたら、見たかったのはコレジャナイというわけである。
また、タイアップのせいで劇中で不自然に強調されるローソンや地元の名所も、ステマ臭を感じさせて視聴者を引かせてしまった部分もあるだろう。制作スタッフは王道な作劇を試みたものの、その周辺や視聴者側との微妙なズレが不幸な評価を生んでしまったといえる。
しかし、それをもって本作を「失敗作」と断じてしまうのは早計である。むしろ「スフィア」「萌え」「ご当地アニメ」といったキャッチーなトピックが、『夏色キセキ』という作品の正当な評価を妨げていたとはいえないだろうか。
ここはひとつ、ネット上での評価や過去のスキャンダルといったマイナス要因をとりあえず横に置いて、フラットな気持ちで改めて見てみれば、本作の面白さを感じることができるのではないだろうか。
(文=龍崎珠樹)
■バックナンバー
【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?
【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは?

『機動戦士ガンダムAGE』公式サイトより
2011年10月、ゲーム界のヒットメーカー「レベルファイブ」とアニメ制作会社「サンライズ」がタッグを組み、鳴り物入りでスタートした『ガンダム』シリーズ最新作『機動戦士ガンダムAGE』(MBS・TBS系)の不振が止まらない。
『ガンダムAGE』は放送開始当初より、高年齢層のガンダムファンに向けた歴代ガンダムをオマージュしたような設定やストーリーが繰り広げられる一方、子ども向けを狙ったキャラクターとシリアスなキャラが同居するちぐはぐな画面や、ご都合主義な展開や矛盾点が多数。大人向けと子ども向けの“いいとこ取り”を狙いつつも、いまひとつ練り込みの足りない作品の仕上がりに、熱心なガンダムファンから多くの批判と落胆の声が上がっていた。
しかし、小学生男児向けの漫画雑誌「コロコロコミック」(小学館)とのタイアップを行っていることからもうかがえるように「従来のガンダムファンから子どもまで幅広い層をターゲットとしたガンダム」という路線を打ち出す同作だけに、ネット上では「大人のガンダムファンではなく子どもに受けているはず!」と主張する擁護派と批判派の対立がしばしば発生している。
ところが実際に量販店や模型店を覗いてみると、どの店頭でも『ガンダムAGE』関連のプラモデルやおもちゃの箱がうず高く積み上げられており、『ガンダムAGE』のプラモデル「アドバンスドグレード」をゲーム筺体にセットすることで対戦が楽しめるゲーム機「ゲイジングバトルベース」は常にガラガラ。子どもに大ヒットしているとは言い難い光景が繰り広げられている。
だが、1月4日にはフジテレビ系列の情報バラエティ番組『めざにゅ~』にて、「日経トレンディ」誌の編集者・渡辺敦美氏が「2012年にヒットするグッズ」の一つとして、プラモデル「アドバンスドグレード」を挙げていたことから、「もしかして本当は『ガンダムAGE』は売れているのか?」といった戸惑いがネット上で噴出していた。
また、レベルファイブ社長兼シリーズ構成の日野晃博氏による、ガンダムファンを挑発するようなツイートもしばしば炎上。アニメ放送開始から半年近くが経過しながらも、アニメ本編よりも周辺事情のほうが「面白い」という本末転倒な状況が長らく続いている。
■低迷するソフト売上
そんな『ガンダムAGE』論争に大きな波紋をもたらしたのが、2月10日に発売された初回限定生産のBlu-ray『機動戦士ガンダムAGE 第1巻 【豪華版】』の売り上げ枚数である。3,000~4,000枚売れればヒットといわれるアニメのBlu-ray&DVD市場において、常に数万枚規模の初動売り上げを記録し続けるドル箱的存在の『ガンダム』テレビシリーズ作品だが、Blu-ray『機動戦士ガンダムAGE 第1巻 【豪華版】』はなんと初動売上枚数1,991枚を記録。累計枚数も2300枚超と見事に大コケしてしまったのだ。
また、某レンタルチェーン店関係者は、
「通常『ガンダム』シリーズのタイトルは非常に高い回転率を記録するため、かなりの本数を各店舗に入荷しますが、『ガンダムAGE』はあまり入荷しませんでした。ランクとしてはほとんど回転しない、マニア向けアニメと同じくらいですね。それでも商品が足りないという意見は聞きません」
とコメント。その滑りっぷりは相当深刻なようだ。
■子どもの意見が反映された第2部
玩具やプラモデルなどのグッズ販促番組としての性格が強い子ども向けアニメは、ソフト売り上げがそのまま作品の人気につながっているとは言い難い。逆にいうと、いくら高い年齢層のアニメファンにソフトが売れたとしても、メインターゲットたる子どもたちに受けて、彼らにグッズを買ってもらえなければ、そのコンテンツが成功したとはいえないのだ。
しかし『ガンダムAGE』の世代別視聴率を見てみると、4~12歳の男女を対象としたKID層は常に低く、「測定不能」を記録することもしばしば。お世辞にも「『ガンダムAGE』が子どもに受けている」とは言い難い状況である。
実際のところ、玩具やプラモデルなどグッズの売り上げも不振らしく、メインスポンサーたる株式会社バンダイも『ガンダムAGE』の展開にかなりの危機感を放送開始直後より察知。かなり早い段階でKID層の子どもたちに「『ガンダムAGE』がなぜ面白くないのか」というアンケートを取っていたそうだ。
「メインターゲットである子どもたちに受けていないのは、放送開始直後から感じていました。そこで、実際にアンケートを取ってみたのですが、子どもたちからは『そもそも戦争という題材がよく理解できない』『コロニーや宇宙での生活というものに親しみが持てない』という意見が多く出てきたんです」(『ガンダムAGE』制作関係者)
この「戦争がわからない」「コロニーや宇宙での生活というものに親しみが持てない」という子どもたちの意見を受けて生まれたのが、第2部冒頭に盛り込まれた学園ドラマだという。
「学園ドラマを描くことで、子どもたちが主人公の生活に親しみを持ってほしい」というスタッフの思惑が、そこにはあったそうだが視聴率は相変わらず低迷。KID層の支持も上向いているとは言い難い状況は続いている。
■求められる「異端のガンダム」
そもそも「戦争」や「コロニー」「宇宙」というキーワードは「ガンダム」という作品を形成する重要な概念である。
それらが子どもたちに受け入れられなくなりつつある、ということは「ガンダム」というブランドが今後子どもたちに受け入れられなくなる、という可能性も示唆しているともいえる。
時代性を取り入れつつ、シーズンごとにドラスティックな変化を続けるゼロ年代以降の『仮面ライダー』シリーズのように、『ガンダム』シリーズも変革をする時が近づいているのではないだろうか。
これまでも「ガンダム」シリーズが低迷した時、格闘技を取り入れた熱血少年マンガ風なストーリーが展開した『機動武闘伝Gガンダム』、世界名作劇場を思わせる牧歌的な世界観で深い人間ドラマを描いた『ターンエーガンダム』など、異端と呼ばれる「ガンダム」が、ガンダムファンに衝撃をもたらし、新たな「ガンダム像」を提示しシリーズを存続させてきた。
「ガンダム」というタイトルに思い入れのない子どもたちが増えつつある今、旧態依然とした「ガンダム」を提示する『ガンダムAGE』が彼らに受け入れられないのは当然ともいえる。
そんな子どもたちに「ガンダム」をアピールするために、そして今後も「ガンダム」ブランドを存続させるためにも、今こそ新たな「異端のガンダム」が求められているのかもしれない。
(文=龍崎珠樹)
アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情
3月も下旬に突入し、最終回を迎えるTVアニメも数知れず。我々視聴者を楽しませてくれたアニメが次々と完結するということで寂しい気もするが、4月に入れば新作アニメとの出会いが待っている。そんな出会いと別れの季節に身もだえするアニメファンも多いことだろう。
4月からスタートする新作アニメのタイトルを見てまず気付くのが、「分割2クール作品」が深夜アニメに多いという点だ。
「分割2クール作品」とは、放送前の時点で2クール(およそ24~26話)分の放送が決定しておきながら、前半と後半を1クールごとに区切って、一定の期間をあけて放送するという放送形態のアニメのことである。
今春スタートする分割2クール作品は以下の通り。
・『Fate/Zero』
・『めだかボックス』
・『君と僕2』
・『ヨルムンガンド』
・『緋色の欠片』
このほかにも、夏クールからスタートする分割2クール作品として、『輪廻のラグランジェ』『境界線上のホライズン』の2タイトルがすでに判明している。
2000年代後半頃より、各クールに1~2タイトル程度は存在していた分割2クール作品だが、なぜここに来て爆発的にその数が増えたのだろうか。その理由を、とあるアニメ関係者はこう語る。
「1クールごとに新作アニメを作るという早いサイクルに、業界がついていけなくなってきて、以前より問題となっていたネタ切れが深刻になってきたんです。そこで分割2クールアニメを制作して、一つの作品の寿命を長引かせたいという業界全体の思惑があります」
畳みかけるような勢いで新作を発表し、それに付随するDVD、アニメソングCDといったパッケージ商品や、関連書籍やフィギュアなどのグッズを売りさばくというビジネスモデルの深夜アニメには、とりわけパッケージ商品の購買力が高い20~30代のアニメファンが多い。
2000年代後半より1クールで完結する作品が増え、どんどんと新たな作品が発表されてきたが、この流れはそういった「太い客」に、間断なく新たなグッズを買わせ続けるためでもある。
しかし、あまりにも作品の入れ替わりのサイクルが早くなってしまったため、アニメ化できる原作や企画が枯渇し始めたというのだ。
また、別のアニメ関連の音楽制作関係者は次のように分析する。
「ここ数年の不景気のせいで、DVDやCDといった深夜アニメでもっとも重要な資金源となるパッケージ商品が売れなくなってきたんです。2000年代中盤以降、DVDやCDをグッズ感覚で気軽に買うライト・ユーザーが増えたのですが、昨年あたりから彼らの財布の紐が堅くなってきました。その一方で、『アニメのDVD、CDならどんなタイトルでも絶対に買う』というコアなアニメファンが、一定数いることも事実です。そこで、今後はそういったコア・ユーザーに細く長くパッケージ商品を買ってもらえるような分割2クール作品が増えていくと思います」
このように、アニメ業界に蔓延するネタ切れと、アニメファン向けにパッケージ商品を売るためのアニメを作る、という90年代以来のビジネスモデルの崩壊という深刻な問題が分割2クール作品の増加という現象の裏にあるようだ。
とくに「コア・ユーザー向けの作品を細く長く」という前出の音楽制作関係者の話が事実だとすると、深夜アニメはよりアニメファン向けに先鋭化していく可能性もある。その結果、いわゆる「オタク向け」アニメが増加し、よりマニアックな、一部のアニメファンのみが楽しめる偏ったタイトルが続出することにはならないだろうか。
確かにもともとアニメはマニアックな要素の強いメディアではあるが、近年のアニメブームを通じてアニメに興味を持ったライト層を取りこぼす事になってはあまりにももったいない。
一方で分割2クール作品が増えることで、作品のボリュームが増加。1クールの作品では描ききれないような見応えのある作品が生まれる可能性もある。
このようにアニメの作劇やメディア展開といったさまざまな部分に大きな影響を与えうる「分割2クール作品」の増加現象だが、一アニメファンとしては単純に2クール分の内容に水増ししただけの作品ばかりが増えないことを願うばかりである。
(文=龍崎珠樹)
機動戦士ガンダムAGE 第1巻
2クールだったらまだ……?

■バックナンバー
【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー
【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?
【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』
【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』
【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』
【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』
【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!
ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー

「Sinfonia! Sinfonia!!! 」(ポニーキャニオン)
田村ゆかり、茅原実里、堀江由衣、豊崎愛生、戸松遥など、アニメの出演のみならず、CDをリリースするたびにランキング上位に顔を出し、日本の音楽シーンにおいて大きな存在感をみせるアイドル声優たち。彼女たちは定期的にライブ活動も行い、中には武道館や横浜アリーナでの公演も成功させるなど、J-POPアーティスト顔負けの大活躍を繰り広げている。
しかし、ここ数年は人気アイドル声優の顔ぶれは固定傾向にあり、長らく新たなアイドル声優の歌手デビュー待望論が、声優ファンの間でもささやかれていた。
そんなファンの声が声優業界に届いたのか、2012年、多くの若手声優が続々と歌手デビューすることが明らかになってきている。
まずは『けいおん!』で中野梓を演じ、全国のアニオタに「ぺろぺろ」というスラングを定着させた若手人気No.1の呼び声も高い竹達彩奈が4月11日、ポニーキャニオンからシングル「Sinfonia! Sinfonia!!!」で歌手デビューすることが決定している。
彼女は『けいおん!』原作漫画でもネタにされるほど、個性的な歌唱力を持つ逸材であり、デビュー曲の仕上がりに多くの声優ファンが注目していたが、現在公開されているPVを聴く限り、そんなに悪くはない……。というか、かなりいいのではないだろうか。
小西康陽系の渋谷系サウンドが、一昔前のアイドルのテンプレートを踏まえているようにも思えて、実に王道で微笑ましい。PVでは、さまざまなコスプレもこなしており、小動物系のルックスもあいまって非常にキュートである。
竹達とは『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』で共演して以来の親友でもある声優・花澤香菜も、彼女を追いかけるように4月25日、アニプレックスからシングル「星空☆ディスティネーション」でデビューする。
ポエトリー・リーディングともヒップ・ホップともとれる、抑揚の少ない独特な歌唱法を得意とすることで声優ファンには有名な花澤だが、そのデビュー曲はメロディラインが大きく展開するハウスミュージック風ポップスとなっている。
そのせいか、これまで彼女がキャラクターソングで披露してきた、まるで語りかけるような歌い方は抑えられている。その代わりにどこか地に足のつかない浮遊感あふれるボーカルとなっており、最後までリスナーは親が娘を見守るような緊張感と、無事に歌が終わった後のなんとも言えない安心感を味わうことができるだろう。
この若手女性声優ツートップとは別の方向性を打ち出してきたのが、20歳の誕生日の翌日である3月28日に、フライングドッグからミニアルバム『プティパ』でCDデビューを果たす悠木碧だ。
すでにリードトラック「回転木馬としっぽのうた」のPVが公開されているが、王道ポップス路線を打ち出してきた竹達、花澤に対し、こちらは谷山浩子や大貫妙子といったニューミュージック系アーティストのにおいを漂わせたファンタジックな楽曲となっている。
その映像も、まるで彼女が主人公・鹿目まどかを演じた『魔法少女まどか☆マギカ』の異空間設計を担当した「劇団イヌカレー」的な世界観となっており、声優としての彼女とリンクした音楽活動がファンにはうれしいところだろう。
男性声優も負けてはいない。
アニメ『グラール騎士団』から生まれた男性声優ユニット・G.Addictのメンバーが、ランティスから続々とソロデビューを果たしている。
中世的な声で絶大な人気を誇る梶裕貴は、すでに2月22日にシングル「sense of wonder」でデビューを果たしており、オリコン週間シングルチャートで初登場11位を記録。オリコンチャートの順位の意味性が疑われて久しいが、現在もっとも一般メディアに露出する機会の多いチャートに顔を出したことに対するインパクトは大きいといえる。
今後は、艶のあるワイルドな歌声が魅力の寺島拓篤のソロデビューが控えており、その他のメンバーのデビューも引き続き楽しみにしたい。
ほかにも、アイドルから声優への転身を果たし、現在『モーレツ宇宙海賊』主人公・加藤茉莉香を演じている小松未可子も4月11日、キングレコード内のレーベル・スターチャイルドからシングル「Black Holy」でデビューする予定だ。
このように、アニメ関連主要レーベルから続々と若手声優が歌手デビューする2012年の春。フレッシュな空気が一斉に流れ込むことで、アイドル声優シーンにも大きな変化が生まれること必至だ。
彼らが音楽活動を通じて、本業である声優としてもさらにスキルアップしてくれることを期待したい。
(文=龍崎珠樹)
AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!?

『AKB0048』公式サイトより
-
AKB48、ももいろクローバーZ、ぱすぽにアフィリア・サーガ・イーストなどなど、アイドルグループが乱立するアイドル戦国時代の2012年。その波はアニメ業界にも押し寄せていた!
今回は、百花繚乱のアイドルが活躍する新作アニメをチェックしてみよう。
企画発表時はもちろん、新情報が公開されるたびにアニメファン、アイドルファンともに大きな衝撃を与え続けているのが、4月に放送スタートが予定されている『AKB0048』だ。
タイトルから分かる通り、今をときめくアイドルグループ・AKB48を題材とした本作だが、アイドルやタレントを題材にしたアニメというと、古くは高河ゆんがデザインした美形な小室哲哉らTM NETWORKメンバーがメルヘンチックなファンタジー世界で活躍するアニメ『CAROL』をはじめ、販売数265枚という記録を打ち出した叶姉妹の"誰得"アニメ『ABUNAI SISTERS KOKO&MIKA』、鳴り物入りで企画スタートしたものの、その後何もなかったかのようにフェードアウトしたt.A.T.u.のアニメ『t.A.T.u. PARAGATE』など、どうにも「アレ」なイメージが付きまとうのは事実。
中にはアメリカでのPUFFY大ブレイクのきっかけとなった『Hi Hi Puffy AmiYumi』といった成功作もあるが、それはレアな例だろう。
さて、今回の『AKB0048』はどちらのパターンだろうか。
1982年、『超時空要塞マクロス』にてアイドルとSFを融合させたハイブリッドなドラマを展開。シリーズ最新作『マクロスF』の大ヒットも記憶に新しい河森正治が原作・総監督を務めることが決定している。
そのストーリーは、
「宇宙を支配する超銀河連邦によって、芸能や歌が人の心を乱すものとして規制される未来世界。かつて地球の存亡をかけた戦争の中で、最後まで人々の希望として歌い続けた伝説のアイドル・AKB48の魂を受け継ぐ非合法アイドル・AKB0048が立ちあがった。彼女たちは様々な惑星に強行突入し、ゲリラライブを決行。悪に支配される人々の心に希望の灯を灯す」
というもの。"敵地に乗り込みゲリラライブを行い、人々の心に歌で訴える"というプロットは、まさしく『マクロス7』の主人公・熱気バサラのそれとクリソツではないか。
また、芸能が制限された未来世界で音楽の力を証明してみせる、というストーリーラインは、永野護の傑作SF×バンドコミック『フール・フォー・ザ・シティ』を連想させる。
つまり『AKB0048』は、過去の名作を取り込みAKB48流にアップデートした作品──と言うことはできないだろうか。
「ガチ」な活動方針でアイドル戦国時代の最先端を突き進むAKB48を題材とした『AKB0048』は、流行に乗じた単なる企画物アニメに終わらない。そんな予感を憶えてしまうのは筆者だけではないはずだ。
芸能界から迫る黒船である『AKB0048』と真っ向勝負を挑むのが、武道館を制覇した声優界のアイドルユニット・スフィアがヒロインを演じる青春アニメ『夏色キセキ』。そして、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍するゆいかおりの小倉唯と石原夏織が参加するStylipSが総出演する『咲-saki-阿知賀編』である。
『夏色キセキ』は、静岡県下田市を舞台とする現代劇という情報程度しかまだ公開されていないが、キャラクターのみならずOPテーマ、EDテーマもスフィアが担当するということで、スフィアファンにはたまらない作品になること必至だ。
そして『咲-saki-阿知賀編』は美少女キャラが続々登場する麻雀アニメの続編にあたる話題作。OPテーマも担当するStylipS演じる新キャラクターたちは、従来の人気キャラとどのような絡みを見せてくれるのだろうか。
このほかにも、架空のアイドルユニット・μ'sの活躍を描きながらも、キャラクターを演じる声優陣が実際にライブ活動を開始した『ラブライブ!』が、2013年に2010年の企画スタートから実に3年越しのアニメ化が決定している。昨年放送された『アイドルマスター』に引き続き、二次元世界から三次元に飛び出したアイドルの攻勢もまだまだ終わる気配はない。
三次元に続いて、とうとうアイドル戦国時代が本格的にスタートした感のある2012年のアニメ業界。ここでもAKB48が覇権を握るのか。それともアニメ業界が誇る声優アイドルユニットが、そのプライドにかけて自らのシマを守り抜くのか。
春の嵐が吹き荒れる日はもう間近に迫っている。
(文=龍崎珠樹)


