ネグレクトと過保護は紙一重? 11.6%スタートの高畑充希『過保護のカホコ』に良作の予感

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日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより
 昨年秋の『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)以来となる遊川和彦脚本のドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)が12日、第1話を迎えました。視聴率は11.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まあまあの好スタートです。  物語の主人公は、大学卒業を控えて就活に落ちまくっている女子大生・カホコこと根本加穂子(高畑充希)。毎朝、お母さんの泉(黒木瞳)に起こしてもらい、お弁当を作ってもらい、着ていく服を選んでもらい、駅まで車で送ってもらうという、超「過保護」に育てられた箱入り娘です。  そんな純粋培養で育ったカホコは、毎晩お母さんと一緒に子どもの頃の自分のホームビデオを見ることや、誕生日ともなれば母の実家で一度、父の実家で一度、さらに自宅で家族水入らずの誕生パーティが開かれることにも、特に疑問を持っていません。いつもニコニコですし、ちょっと気に食わないことがあっても「んむー」と表情を変えるだけで周囲が察してくれるので、まさしく、なんの苦労もなく22歳まで生きてきました。そして、娘がなんの苦労もなく育っていることこそが、母・泉の人生を支える唯一絶対の生き甲斐なのでした。  一方で、カホコの父・正高(時任三郎)はカホコを「過保護」にしすぎているという自覚があります。ことあるごとに娘・カホコの自立を促そうと心に決めますが、泉の圧力とカホコの純粋無垢な笑顔を前にすると、ついつい用意していた言葉を飲み込んでしまいます。 ■高畑充希って、やっぱりすごーい  ドラマを見始めて、まず目を奪われるのが高畑充希のお芝居です。完全に、そういう人にしか見えない。もう何度も、いろんな役どころで目にしている女優さんであるはずなのに、まるで初めて目の前に現れたカホコにしか見えない。やばい。かわいいし、バカみたいだし、過去のどんな役の面影もない。  今回の役であるカホコは、第1話では「主体性がない」キャラクターとして登場します。これ、ものすごい難役だと思うんです。  こういう母親がいて、その影響下で生きてきた空っぽの人物なので、キャラ作りのロジックとして受け身しかない状態で始まらなければいけないし、今後さまざまな経験を詰め込まれていくための“容器”でもあるので、第1話の段階で人物像として出せる情報はかなり限られてくるわけです。  そういう、ごくごくせまーいところで、あれだけ生き生きとカホコを演じ切るわけですから、さすがというか、この女優さんの仕事が途切れない理由がよくわかります。そりゃ売れるわ、と思うわ。 ■無邪気vs無邪気という構図  そんなわけで無邪気に育ったカホコと大学の学生課で偶然出会ったのが、麦野初(竹内涼真)でした。こちらは就活に失敗し続けるカホコとは違い、もともと就職する気がありません。「ピカソを超える」と言い張って、画家として身を立てていくつもりの、カホコとは別のベクトルで無邪気な人物です。  ハジメは、出会ったそばからカホコにその無邪気さを爆発させます。「おまえみたいな過保護な人間が日本をダメにする」と言い放ったり(このときの「なんかわからんけど刺さった……」というカホコのリアクションが絶妙!)、自信満々だった自作の抽象画が大学の先生に評価されなければヒステリーを起こして破り捨て、カホコの「もう就活辞めて花嫁修業する、お母さんがそうしろって言ったから」という言葉に「なんのために働くのか考えろ」と八つ当たり。さらに、自分のティッシュ配りやピザ配達のバイトをカホコに押し付けたかと思えば、ファミレスでピラフをおごったり、眠りこけちゃったカホコの寝顔を、やおらスケッチしだしたり……。  無邪気な世間知らずであるカホコと、無邪気な常識人のハジメ。この2人の邂逅によって、物語が始まることになりました。第1話で「このドラマで何が始まるのか」をきっちり見せ切っていますし、2人とも愛嬌があっていい感じなので、いい作品になる予感が漂っています。 ■「ネグレクト」との対比としての「過保護」  ドラマは、カホコの母・泉が過保護であることを、決して否定的には描いていません。ハジメに押し付けられたバイト作業で、カホコの「働く能力」が開花します。今まで働いたことのないカホコは、ハジメに言われるがまま、なんの疑いもなく笑顔でティッシュを配り、ピザを届けました。これは、カホコが過保護に育ったからこそ持ち得た能力でしょう。そうして他人に感謝されることの喜びを知り、「なんのために働くのか」の答えを見出しました。 「人を幸せにする仕事がしたい」  世間知らずのかわゆい女の子・カホコの成長譚として、このドラマは走り出すことになりました。  だけど本当に描かれるのはたぶん、カホコの成長ではないんじゃないかな、と思うんです。遊川さんはきっとこの『過保護のカホコ』を『はじめまして、愛しています。』との対比として書いているんだと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』では、育児放棄された孤児の魂が救われる様が描かれました。一方で、ネグレクトせざるを得ない状況に陥ってしまった実の母親と孤児との間の断絶は、回復させませんでした。  子を育てるという行為において、いわば対極である「ネグレクト」と「過保護」を両面から描くことで、初めて現代における「母親とは」「育児とは」という問題を語れると、遊川さんはそう考えているんじゃないかなと思うんです。 『はじめまして、愛しています。』で子を捨てた母親も、『過保護のカホコ』で子を溺愛する母親も、ともに「泉」という名前を与えられています。捨てられた子の名前は、本作でもキーパーソンになるであろう「ハジメ」でした。  過保護の親にとって、子どもの自立は「生き甲斐を奪われること」に他なりません。そして、その子の自立を促すハジメは、必然的に泉にとって「奪う側」になります。『過保護のカホコ』は、もうひとつの「泉とハジメの物語」でもあるわけです。  奪われることになる泉に、どんな救済がもたらされるのか。そんなところにも注目して見ていきたいと思います。このドラマ、かなり楽しみです、はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

長瀬智也、TBS『ごめん、愛してる』香取慎吾以来の1ケタ発進! “韓流臭”に評価ぱっくり

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 TBSの人気枠「日曜劇場」で、TOKIO・長瀬智也主演、浅野妙子脚本の恋愛ドラマ『ごめん、愛してる』が9日にスタートしました。  原作は韓国KBSで2004年に放送され、最高視聴率29.2%を叩き出した連続ドラマ。当時、韓国では『ミアナダ サランハンダ』というタイトルを略して「ミサ」と呼ばれ、見終わると強烈な余韻から何も手につかない「ミサ廃人」を生み出すなどの社会現象を巻き起こしたそうです。  さらに、日本でも06年にテレビ東京で日本語吹き替え版が放送されたほか、トルコ、タイ、中国でもリメイクされているとか。こりゃあ、日本でも「ミサ廃人」ならぬ「ご愛廃人」現象が起こっちゃうわ! と思いきや、初回平均視聴率は9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と微妙な滑り出し。「日曜劇場」では、昨年1月クールのSMAP(当時)・香取慎吾主演『家族ノカタチ』以来の1ケタ発進となりました。  ちなみに、前クールの長谷川博己主演『小さな巨人』初回は13.7%、その前の元SMAP・木村拓哉主演『A LIFE~愛しき人~』初回は14.2%でした。安定のキムタク!  というわけで、微妙な結果となった『ごめん、愛してる』の初回を振り返ります。

韓国のひったくりが怖すぎ

 冒頭は、スタイリストの凛華(吉岡里帆)が、ソウルの空き地に置いてある汚いマットレスの上に花を手向けるシーンからスタート。どうやら、誰か死んだみたいです。っていうか、誰がどう見ても主人公が死ぬドラマですね、これ。  で、時間軸が巻き戻り、主人公の律(長瀬)が登場。律は韓国の裏社会で生きているため、長瀬の男臭さにも拍車がかかります。さらに、草なぎ剛よろしく、韓国語もしゃべります。  若頭のラン(イ・スヒョク)から可愛がられている律ですが、チンピラ連中のやっかみの的に。ランからもらった報酬をチンピラたちに力づくで奪われたりと、孤立しています。  一方、凛華は、スタイリングを担当するアイドルピアニストのサトル(坂口健太郎)の公演に同行するため、ソウルへ。サトルに24年間も片思いしている凛華ですが、サトルは天才サックス奏者の塔子(大西礼芳)と公演後にデートへ。そんなサトルは、ホテルに着くと凛華の前でフルチンでフラフラ。幼なじみでもある凛華を、女として見ていないようです。あと、サトルは心臓が弱く、発作が起きないよう薬を飲んでるみたいです。  これに落ち込んだ凛華は、街をフラフラ。すると、ランの舎弟が現れ、凛華のスーツケースとバッグを強引にひったくっていきました。このひったくりは、怖すぎます。  凛華が困っていると、すかさず律が登場。2人はそのまま警察にも行かず食堂へ(なんで?)。マッコリを飲んで凛華が酔っ払うと、そこへさっきのチンピラが登場。本来なら酔っ払った凛華をチンピラに引き渡し、女を売りさばくところですが、凛華に情が沸いたのか、律はチンピラどもを殴って凛華を逃がします。  その後、律と凛華は冒頭の汚いマットレスへ。2人はそのまま添い寝。凛華が目を覚ますと、スーツケースが戻されていました。律が奪い返してくれたみたいです。

韓流ドラマ臭に賛否

 後日、ホテルでランの誕生日パーティーが開かれますが、ホテルマンの中にランを狙う殺し屋が。銃声が響くも、律がランを庇ったため、ランは無傷。律は顔や体を撃たれてしまいます。ジャニーズの顔を傷ものにするなんて!  一命を取りとめた律ですが、頭の中に銃弾が残ってしまい、それが時限爆弾化。医師から「数カ月で手足が痺れ、いずれ全身が麻痺して死んでしまう」と告げられます。ひぃ!  律はそれならと、赤子の頃に自分を捨てた母親に一目会うため、日本へ。脳に障害を持つ幼なじみの若菜(池脇千鶴)や、若菜の息子・魚などと出会いながら、母親の居場所を突き止めます。  母親の自宅を訪れると、そこはサトルの家。なんと、サトルの母・麗子(大竹しのぶ)が、律の母親のようです。なんという偶然でしょう! 世界は狭い!  律は、制止しようとする凛華を押し退け、麗子の自宅にズカズカ! 麗子は自分の子だとは気付かず、「得体の知らない人間、家に入れないでちょうだい!」と叫びます。そりゃそうだ。  これにショックを受けたのか、正体を明かさないまま泣きながら家を後にする律。えーー! おそらく視聴者全員が、「『律です』って言え! 『律です』って言え!」と心で念じたことでしょう……。  そんな初回でしたが、とにかくTBSの生真面目さが現れていた印象。真面目にリメイクしすぎたがために、多くの視聴者に「韓流ドラマ臭ぇ~」という感想を持たれてしまったようです。案の定、ネット上でも、評価は大きく真っ二つに割れています。  とはいえ、響いた人にはガツンときたのでは? 今後、数字はさらに下がっていきそうな予感もしますが、熱狂的ファンを生み出しそうな空気をバンバンに感じました。というわけで、当サイトでは、『ごめん、愛してる』を最終回までレビューしていきます。 (文=どらまっ子TAMOちゃん)

『孤独のグルメ Season6』第11話 ゴローちゃんに強力ライバルが出現? 最も食べたい料理は水煮牛肉

『孤独のグルメ Season6』第11話 ゴローちゃんに強力ライバルが出現? もっとも食べたい料理は水煮牛肉の画像1
テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
 気がつけば、暑い季節がやってきました。  そんな季節に食べたいのは、冷たいものとか辛いもの。そんな視聴者の気持ちに合わせてテーマを決めてくれるスタッフには、感謝の気持ちすら湧くのが、今回です。  さあ、今回ゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)がやってきたのは、文京区は茗荷谷。つくづく思うのですが、初見の人にはまったく読めない地名です。だいたいの読めない人は「……(読めない)……たに?」とか言うのですが、一度だけ「いらにや」と読む人に遭遇したことがあります。  ともあれ、今回ゴローちゃんがこの街にやってきた理由は取材。片桐仁演じる編集者に、インテリア雑誌の取材を受けることになったのです。しょっぱなから「撮影から始めさせていただきます」と言われて「こんなハズじゃなかった……」と戸惑うゴローちゃん。おまけに、インタビューになれば「モテそうな部屋のデザイン」を聞かれてしまい、苦笑するしかありません。  なお、このシーンの冒頭で挿入される出版社の外観と編集部は文溪堂。学校教材とか児童書の出版社なんですが、どういう都合でこちらを借りたのでしょうか?  慣れないだけでなく、アホな取材ですっかり疲れたゴローちゃん。播磨坂桜並木をトボトボ歩けば腹も減ります。取材のシーンで使っていたカフェとかもそうなんですが、播磨坂桜並木あたりは、文京区で最もスカしたハイソな人々(笑)が集うところなので、ぜひ見物にお出かけください。  いつも通り店を探しに歩き始めたゴローちゃんですが、今回はあまり迷わず。播磨坂桜並木の突き当たり、共同印刷のある信号を左に曲がって歩くこと100メートルあまり。見つけたのは「中国料理 豊栄」です。 「今の腹ぺこ具合には、やっぱり中華の油が欲しいかな」  この年齢でなお体が油を求めるゴローちゃんを見習いたいと本気で思う、今日この頃。 「お、黒板メニューか……冷やしタンタンいいなあ」  いきなりこの店はおいしそうではありませんか。入る前、隣の蕎麦屋と迷ったゴローちゃんは「一挙両得」と喜びます。  迷うことなく注文するのは、冷やしタンタン麺とウーロン茶。ホント、ゴローちゃんてば、ランチで1,000円札を消滅させるのに躊躇がありませんよね。普段から儲かっているのか? 「よし、とりあえず冷やしタンタン確保。お次は……」  ランチタイムなのに、どれだけ頼むんだよ。今さらだけど。  一風変わったメニューの名前に、いろいろと迷い始めるゴローちゃん。「アボカドのせいろ蒸し」「中華茶碗蒸し」「回鍋肉」「白ご飯」。  水沢エレナ演じる店員は涼しい顔で注文を受けているわけですが、この客は明らかにオカシイ。  近くのテーブルを見て「昼間っから大胆に店を広げちゃってるなあ~」と言うけど、アンタもな。  そうして届いた「食卓のプール開き」である冷やしタンタン麺。器もしっかり冷やされている逸品です。汁なしタイプのそれを、ゴローちゃんはとにかくまぜまぜ。 「うん、うまい、あれ……ぜんぜん辛くない。ていうかなんだ? 見た目は確かにタンタン麺だけど、味は冷やし中華っぽいぞ……んおほお、これメチャクチャうまい……」 「これ、ひょっとして大傑作じゃないの?」  とにかく褒めまくりながら、えらいスピードで食べ進めるゴローちゃん。 「冷やしなのに食欲を燃え上がらせる……全然、まだ食える」  こうしてゴローちゃんは、いつも以上に不穏なセリフ。 「オレ、今さらながら相当腹が減っていた。ここがゼロ地点だ……」  並べられるのは、「アボカドのせいろ蒸し」「中華茶碗蒸し」「回鍋肉」「白ご飯」。 「まずは、チャイニーズアボカド」  タレに浮かんでいるアボカドという、未知のうまさを視聴者にアピール。 「わほう、何これ? アボちゃん蒸すと、こんなにうまくなるの……とろっとろ、アボの大トロだ……」  それをご飯にのせれば「アボカドゴロネーゼ……おお、これ最高! さいこうたかもり!」と、例えようのないおいしさは、例えようのない寒いギャグで煽られます。  続く「中華茶碗蒸し」は、日本の茶碗蒸しとは違う食べ物。 「これはいくらでも入るヤツだ」  なにせこの料理、旨みは凝縮されているけど、具はないのです。自信がなければ出せない料理であることは間違いありません。  でも、こんなのはまだ前座。今日のゴローちゃんのメインは回鍋肉なんですから。 「うん、うまい。これぞ空腹にクサビを打ち込む男メシだ。中華の中の中華キングオブ中華……座っているのがやっとなほどうまい」  この回鍋肉、使っている肉がバラ肉を厚めに切ったもののよう。そりゃ、味が染みこんでうまくなるのは必然ではないでしょうか。  本来なら、ここでラストスパートに入るハズが、今回はちょっとイレギュラー。栗原英雄演じる常連客が、水煮牛肉を注文するのです。水煮牛肉といえば、最近はちょっとメジャーになった辛い料理。この店では特に辛いのか、周囲に唐辛子に味と臭いをまきちらし店員も恐れおののいています。 「ここの水煮牛肉好きなんですよ……」  ガチでむせながら食べる栗原。  これはズルイ……。このシーンで、いつものラストスパートのゴローちゃんの印象が、まったく吹き飛んでしまうのです。 「ああ、腹パンパン……」  次回は、あの辛いヤツを着替え持参で汗ダラダラかきながら食べてみようと決意するゴローちゃん。いや、このままじゃレギュラーの座がヤバイ?  ま、単に食べるだけなのにライバルが出現する展開は『食の軍師』でもやってますしね。 (文=昼間たかし)

サイゾーなのに……! 嵐・相葉雅紀主演の月9『貴族探偵』を初回から絶賛し続けた「たったひとつの理由」

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フジテレビ系『貴族探偵』番組サイトより
 なんだか大仰な見出しをつけてしまいましたが、面白かったから面白かったと書いていただけなんです。この3カ月、読者のみなさんの「サイゾーなのに……!」という反応が楽しかったので、つい、すみません。 (過去のレビューはこちらから)  さて、『貴族探偵』(フジテレビ系)の最終回ですが、まあ正直、震えたし、痺れました。テレビを見ていて「画面に飲まれる」という感覚を、久しぶりに味わったような気がします。見終わった瞬間は、原稿やべえな、どうしようかなと、ちょっとこれは言葉にならんぞという気分で。原作者の麻耶雄嵩さん風にいえば「ハレルヤ!」の一言です。はい。  それにしても、この足腰の強靭さというか、ブレなさはなんなのでしょう。最後の最後まで、きっちり本格ミステリーでありながら、とびきり楽しいエンタメ作品でした。おまけに、鮮やかな月9でもあった。もうね、ヒーローですよ。このドラマを作った人たちは、完全無欠の比類なきヒーローです。どうしよう、ホントに書くことないくらい総決算で、いいところが全部出た最終回でした。  もう、せっかく「初回から絶賛し続けた」と見出しを立てたことですし、第1話から自分が書いたレビューの一部を抜粋して、終わってみてどうだったかを考えてみることにします。手抜きじゃないよ。 【第1話】麻耶さんによる事件設計なので、どれだけ演出面で弾けても根幹がブレないのです。原作の段階で、「謎を作る」「謎を解く」という作業そのものに、作家の魂が込められているからです。記事参照)  やっぱりまず、このドラマを底支えしたのは「謎の設計」そのものの強さ・安定性だったと思います。でも、回を追うごとに感じたのは、このドラマの作り手の方々が、ただ原作をなぞればいいとは、全然思ってないなということで。麻耶さんの作る事件って、飛距離が長くて破壊力がある反面、余白もけっこう存在していたんだと思うんです。そういう余白を「映像ならでは」「連ドラならでは」で埋めていく、ある意味で原作の事件推理に対する批評的な創作が行われているな、と感じていました。なかなか、相当な自信と決意がないとできることじゃないと思います。 【第2話】もともと当代きっての推理作家が脳汁を噴出させながら組み上げた精緻な事件設計を一度解体し、その本質を変容させないまま再構築するという作業にフジテレビが挑み、成功させているのです。記事参照)  第2話の段階で、すでに「これは大変なことをやってるぞ」という感触だった『貴族探偵』でしたが、全話終わった今考えると、これを単話でやりつつ、全11話を通じてもやってた、多重のレイヤーでやってたわけですから、とんでもないと思います。同じ第2話のレビューでは「最後までうまくいったら偉業だと思う」とも書いてましたが、ハイハイ、軽々と偉業達成です。おめでとうございます。偉そうに言ってすみません。 【第3話】私が原作を読んで「足りない」と感じていたものが、ドラマではありありと画面に現れているからです。精巧な骨格標本が、血肉をまとってイキイキと疾走し始めた。その興奮にヤラれてしまっているんです。記事参照)  こういう疾走感というか、人物の血肉感を大きく引っ張っていたのが、今考えれば鼻さん(生瀬勝久)なんですよね。このころはまだ貴族も使用人ズもぶっきらぼうだし、愛香(武井咲)は無能で頼りないし、ほかの人はだいたい死ぬか殺してるかだし、いわゆる視聴者から見て「乗れる」キャラクターとして、鼻さんが躍動していたからこそ、推理が始まるまでの捜査パートを、動的なものとして楽しむことができたのだと思います。何しろ、鼻さんが出てる間は相葉ちゃんが出ないわけですので、課せられたハードルは高かったはずです。 【第4話】松重豊を風呂に入れたり座敷わらしを映り込ませて話題作りも怠らない。そういうわけで、今回の『貴族探偵』って、かなり全方位的に全力で頑張ってると思うんですけど記事参照)  松重豊を裸にするとか、幽霊映り込み騒ぎを誘発するとか、本来ならあんまり歓迎したくない無駄な演出である反面、最近の連ドラではむしろこうした話題作りの挿入こそがセオリーになりつつあるような気がしてるんです。見慣れた話題作り、よくある奇をてらった演出……普段なら「そんなことやってるからフジはダメなんだよ」とか書き殴るところですが、ここまで見てきて全然ダメじゃないから仕方がないよね。好意的に受け取っちゃうよね。という話。 【第5話】別に原作通り作ったって面白いだろうに、こうした複雑なシナリオの改編・拡張を、オリジナルで構築することを、フジテレビの現場の人たちは選んだんです。実に誇り高き創作行為だと思いますよ。記事参照【第6話】それはフジテレビが、この『貴族探偵』を単に原作モノの翻訳ドラマとして作るのではなく、あくまで「1クールの連続ドラマ」として成立させようとした結果なのだと思います。記事参照)  この第5~6話から、『貴族探偵』は原作を離れて、本格的なチャレンジを始めることになりました。愛香の師匠である喜多見切子(井川遥)が「死んでいる」と明示されることで、貴族探偵に対する愛香の心情に明確な変更が与えられることになります。  あ、今気付いたんですが、このレビューで武井咲のお芝居について一度も触れてませんでした。最終回まで見た今も、特に何も語るべき印象がないんです。基本的にこの作品の語り手は愛香なので、視聴者の目線は愛香を通すことになる。そこに違和感があっては、視聴者の没入を妨げることになります。  武井咲には、まるで妨げられた感じがしない。  これが武井さんのキャラによるものか、演技スキルによるものかわかりませんが、そういう意味で完璧な仕事だったのだと思います。お顔もけっこう好きよ。 【第7話】ところが今回、貴族探偵の秘書・鈴木として仲間由紀恵が実際に画面に登場しました。そして、この鈴木が貴族の命令によって「Giri」のアップデートに介入し、アプリをハッキングしたことが明かされました。記事参照)  これ、ホントにびっくりしましたよね。この回のレビューにも書いていますが、「Giri」の声が仲間由紀恵なのって、いかにもフジテレビ的な賑やかしだと思ってたんです。そういう自局のパブリックイメージを逆手に取っていたこともまた批評的だなと感じた次第ですし、何しろミステリーに触れていて「騙されて痛快」という感触を得られるというのは、これは最高のギミックですからね。 【第8話】小さなパズルの精巧さにばかり気を取られていましたが、それは、全話を通じたとてつもなく巨大なクリエイティブのごく一部だったんです。記事参照)  しかも、たぶんホントに撮影しながらシナリオ作ってたわけでしょう。ちょっと想像できないんです。どこまで準備がしてあって、どこを撮影中に作ったのか、とか。  自分に刺さるか刺さらないか、好みかどうかは別として、「巨大だ」と感じる作品ってあると思うんです。映画でいえば最近のジェームズ・キャメロンだったりクリストファー・ノーランだったり。そういう大作然とした作品に感じる畏怖のようなものが芽生え始めたのが、このころでした。  でも、そういう畏怖も、最終回で「みんなスッキリ!」しちゃった。「完全なる月9」に鮮やかな着地を決めたもんで、「あ、月9だった!」と。長い旅から帰ってきたような、心地よい解放感というか、そういうやつです。 【第9話】ここのスタッフは、原作の推理劇としての強度を信じ切ることはもちろん、自分たちが勝手に構築した「『貴族探偵』は一方で楽しいバカドラマですよ」という映像作家としての主張と技量も、とことん信じ切っている。記事参照)  それもそうなんですが、バカドラマとして成立した要素として、すごく大きいのは、やっぱり「30周年の月9だった」ってことなんだと思うんです。どれだけ能力が優れていても、予算がなかったらここまでバカ騒ぎできなかったと思う。第2話の謎解きで使われた数分間のストップモーションアニメなんて、あれを作る予算だけで裏番組の『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)が何本撮れるのかと。  このドラマに批判的な意見の一部として「麻耶だし、地味に深夜でやるべきだった」というのがあって、それはそれで一理あると思うんですが、やっぱりこの楽しさというのは、麻耶なのに予算を投下したフジテレビ上層部の英断(蛮勇?)によるものだったと思います。ありがとう蛮勇。 【第10話】相葉ちゃんにも新たな演技プランが与えられることになりました。少し、変えただけだと思うんです。少し変えただけなのに、格段に華やかな人物として「貴族探偵」が浮き立ってくる。記事参照)  最終回も冴えてましたね、相葉ちゃん。言うことないっす。おつかれさまでした。ありがとう相葉ちゃん。 ■というわけで、まとめです。  視聴率はよくなかったし、記事のPVもあんまりよくなかったけど、楽しい3カ月間でした。  いろいろあるけど、テレビドラマって、やっぱり面白くあるべきだと思うんです。なぜかといえば、面白いドラマは人と人をつないで、世界を平和にするからです。私もTwitterとか見てましたけど、『貴族探偵』界隈、すごく平和だった。美しい光景だったと思う。必然的に多くの人の目に触れることになるテレビドラマを作る仕事というのは、世界を平和にする仕事なんだと、強く思いました。  そんなところでしょうか。そろそろ、編集長などという雑事に戻る時間がきたようです。ではまた夏クール、どこかのドラマで~。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

サイゾーなのに……! 嵐・相葉雅紀主演の月9『貴族探偵』を初回から絶賛し続けた「たったひとつの理由」

サイゾーなのに……! 嵐・相葉雅紀主演の月9『貴族探偵』を初回から絶賛し続けた「たったひとつの理由」の画像1
フジテレビ系『貴族探偵』番組サイトより
 なんだか大仰な見出しをつけてしまいましたが、面白かったから面白かったと書いていただけなんです。この3カ月、読者のみなさんの「サイゾーなのに……!」という反応が楽しかったので、つい、すみません。 (過去のレビューはこちらから)  さて、『貴族探偵』(フジテレビ系)の最終回ですが、まあ正直、震えたし、痺れました。テレビを見ていて「画面に飲まれる」という感覚を、久しぶりに味わったような気がします。見終わった瞬間は、原稿やべえな、どうしようかなと、ちょっとこれは言葉にならんぞという気分で。原作者の麻耶雄嵩さん風にいえば「ハレルヤ!」の一言です。はい。  それにしても、この足腰の強靭さというか、ブレなさはなんなのでしょう。最後の最後まで、きっちり本格ミステリーでありながら、とびきり楽しいエンタメ作品でした。おまけに、鮮やかな月9でもあった。もうね、ヒーローですよ。このドラマを作った人たちは、完全無欠の比類なきヒーローです。どうしよう、ホントに書くことないくらい総決算で、いいところが全部出た最終回でした。  もう、せっかく「初回から絶賛し続けた」と見出しを立てたことですし、第1話から自分が書いたレビューの一部を抜粋して、終わってみてどうだったかを考えてみることにします。手抜きじゃないよ。 【第1話】麻耶さんによる事件設計なので、どれだけ演出面で弾けても根幹がブレないのです。原作の段階で、「謎を作る」「謎を解く」という作業そのものに、作家の魂が込められているからです。記事参照)  やっぱりまず、このドラマを底支えしたのは「謎の設計」そのものの強さ・安定性だったと思います。でも、回を追うごとに感じたのは、このドラマの作り手の方々が、ただ原作をなぞればいいとは、全然思ってないなということで。麻耶さんの作る事件って、飛距離が長くて破壊力がある反面、余白もけっこう存在していたんだと思うんです。そういう余白を「映像ならでは」「連ドラならでは」で埋めていく、ある意味で原作の事件推理に対する批評的な創作が行われているな、と感じていました。なかなか、相当な自信と決意がないとできることじゃないと思います。 【第2話】もともと当代きっての推理作家が脳汁を噴出させながら組み上げた精緻な事件設計を一度解体し、その本質を変容させないまま再構築するという作業にフジテレビが挑み、成功させているのです。記事参照)  第2話の段階で、すでに「これは大変なことをやってるぞ」という感触だった『貴族探偵』でしたが、全話終わった今考えると、これを単話でやりつつ、全11話を通じてもやってた、多重のレイヤーでやってたわけですから、とんでもないと思います。同じ第2話のレビューでは「最後までうまくいったら偉業だと思う」とも書いてましたが、ハイハイ、軽々と偉業達成です。おめでとうございます。偉そうに言ってすみません。 【第3話】私が原作を読んで「足りない」と感じていたものが、ドラマではありありと画面に現れているからです。精巧な骨格標本が、血肉をまとってイキイキと疾走し始めた。その興奮にヤラれてしまっているんです。記事参照)  こういう疾走感というか、人物の血肉感を大きく引っ張っていたのが、今考えれば鼻さん(生瀬勝久)なんですよね。このころはまだ貴族も使用人ズもぶっきらぼうだし、愛香(武井咲)は無能で頼りないし、ほかの人はだいたい死ぬか殺してるかだし、いわゆる視聴者から見て「乗れる」キャラクターとして、鼻さんが躍動していたからこそ、推理が始まるまでの捜査パートを、動的なものとして楽しむことができたのだと思います。何しろ、鼻さんが出てる間は相葉ちゃんが出ないわけですので、課せられたハードルは高かったはずです。 【第4話】松重豊を風呂に入れたり座敷わらしを映り込ませて話題作りも怠らない。そういうわけで、今回の『貴族探偵』って、かなり全方位的に全力で頑張ってると思うんですけど記事参照)  松重豊を裸にするとか、幽霊映り込み騒ぎを誘発するとか、本来ならあんまり歓迎したくない無駄な演出である反面、最近の連ドラではむしろこうした話題作りの挿入こそがセオリーになりつつあるような気がしてるんです。見慣れた話題作り、よくある奇をてらった演出……普段なら「そんなことやってるからフジはダメなんだよ」とか書き殴るところですが、ここまで見てきて全然ダメじゃないから仕方がないよね。好意的に受け取っちゃうよね。という話。 【第5話】別に原作通り作ったって面白いだろうに、こうした複雑なシナリオの改編・拡張を、オリジナルで構築することを、フジテレビの現場の人たちは選んだんです。実に誇り高き創作行為だと思いますよ。記事参照【第6話】それはフジテレビが、この『貴族探偵』を単に原作モノの翻訳ドラマとして作るのではなく、あくまで「1クールの連続ドラマ」として成立させようとした結果なのだと思います。記事参照)  この第5~6話から、『貴族探偵』は原作を離れて、本格的なチャレンジを始めることになりました。愛香の師匠である喜多見切子(井川遥)が「死んでいる」と明示されることで、貴族探偵に対する愛香の心情に明確な変更が与えられることになります。  あ、今気付いたんですが、このレビューで武井咲のお芝居について一度も触れてませんでした。最終回まで見た今も、特に何も語るべき印象がないんです。基本的にこの作品の語り手は愛香なので、視聴者の目線は愛香を通すことになる。そこに違和感があっては、視聴者の没入を妨げることになります。  武井咲には、まるで妨げられた感じがしない。  これが武井さんのキャラによるものか、演技スキルによるものかわかりませんが、そういう意味で完璧な仕事だったのだと思います。お顔もけっこう好きよ。 【第7話】ところが今回、貴族探偵の秘書・鈴木として仲間由紀恵が実際に画面に登場しました。そして、この鈴木が貴族の命令によって「Giri」のアップデートに介入し、アプリをハッキングしたことが明かされました。記事参照)  これ、ホントにびっくりしましたよね。この回のレビューにも書いていますが、「Giri」の声が仲間由紀恵なのって、いかにもフジテレビ的な賑やかしだと思ってたんです。そういう自局のパブリックイメージを逆手に取っていたこともまた批評的だなと感じた次第ですし、何しろミステリーに触れていて「騙されて痛快」という感触を得られるというのは、これは最高のギミックですからね。 【第8話】小さなパズルの精巧さにばかり気を取られていましたが、それは、全話を通じたとてつもなく巨大なクリエイティブのごく一部だったんです。記事参照)  しかも、たぶんホントに撮影しながらシナリオ作ってたわけでしょう。ちょっと想像できないんです。どこまで準備がしてあって、どこを撮影中に作ったのか、とか。  自分に刺さるか刺さらないか、好みかどうかは別として、「巨大だ」と感じる作品ってあると思うんです。映画でいえば最近のジェームズ・キャメロンだったりクリストファー・ノーランだったり。そういう大作然とした作品に感じる畏怖のようなものが芽生え始めたのが、このころでした。  でも、そういう畏怖も、最終回で「みんなスッキリ!」しちゃった。「完全なる月9」に鮮やかな着地を決めたもんで、「あ、月9だった!」と。長い旅から帰ってきたような、心地よい解放感というか、そういうやつです。 【第9話】ここのスタッフは、原作の推理劇としての強度を信じ切ることはもちろん、自分たちが勝手に構築した「『貴族探偵』は一方で楽しいバカドラマですよ」という映像作家としての主張と技量も、とことん信じ切っている。記事参照)  それもそうなんですが、バカドラマとして成立した要素として、すごく大きいのは、やっぱり「30周年の月9だった」ってことなんだと思うんです。どれだけ能力が優れていても、予算がなかったらここまでバカ騒ぎできなかったと思う。第2話の謎解きで使われた数分間のストップモーションアニメなんて、あれを作る予算だけで裏番組の『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)が何本撮れるのかと。  このドラマに批判的な意見の一部として「麻耶だし、地味に深夜でやるべきだった」というのがあって、それはそれで一理あると思うんですが、やっぱりこの楽しさというのは、麻耶なのに予算を投下したフジテレビ上層部の英断(蛮勇?)によるものだったと思います。ありがとう蛮勇。 【第10話】相葉ちゃんにも新たな演技プランが与えられることになりました。少し、変えただけだと思うんです。少し変えただけなのに、格段に華やかな人物として「貴族探偵」が浮き立ってくる。記事参照)  最終回も冴えてましたね、相葉ちゃん。言うことないっす。おつかれさまでした。ありがとう相葉ちゃん。 ■というわけで、まとめです。  視聴率はよくなかったし、記事のPVもあんまりよくなかったけど、楽しい3カ月間でした。  いろいろあるけど、テレビドラマって、やっぱり面白くあるべきだと思うんです。なぜかといえば、面白いドラマは人と人をつないで、世界を平和にするからです。私もTwitterとか見てましたけど、『貴族探偵』界隈、すごく平和だった。美しい光景だったと思う。必然的に多くの人の目に触れることになるテレビドラマを作る仕事というのは、世界を平和にする仕事なんだと、強く思いました。  そんなところでしょうか。そろそろ、編集長などという雑事に戻る時間がきたようです。ではまた夏クール、どこかのドラマで~。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

『母になる』『フラ恋』失敗の日テレが絶不調! 『あなそれ』波瑠は他人事! フジ月9は再起不能……春ドラマランキング

 続々と最終回を迎えた春ドラマ。視聴率をランキング形式で振り返ります。

上位がテレ朝だらけ

『母になる』『フラ恋』失敗の日テレが絶不調!『あなそれ』波瑠は他人事! フジ月9は再起不能……春ドラマランキングの画像1
テレビ朝日公式サイトより
 まず、平均視聴率のトップ10は以下の通り(ビデオリサーチ調べ、関東地区/クールまたぎの連ドラは除く)。 1位『緊急取調室』(テレビ朝日系)13.9% 2位『小さな巨人』(TBS系)13.5% 3位『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)12.2% 4位『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)11.5% 5位『あなたのことはそれほど』(TBS系)11.2% 6位『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系)10.5% 7位『ボク、運命の人です。』(日本テレビ系)9.5% 8位『母になる』(日本テレビ系)9.2% 9位『リバース』(TBS系)8.8% 10位『貴族探偵』(フジテレビ系)8.6%  トップは、天海祐希主演『緊急取調室』のシーズン2。脚本は『白い巨塔』(フジテレビ系)の井上由美子。田中哲司、でんでん、大杉漣といったベテラン俳優陣の演技は安定感抜群。数字はシーズン1を上回り、視聴者満足度も今期トップと言えそうです。  昨年10月クールのフジの主演ドラマ『Chef~三ツ星の給食~』が大コケし、株が暴落していた天海ですが、同作であっさり復活。やっぱり、大物役者がフジに出るのって、リスキーですね……。  また、“妻と離婚協議中の管理官”という役どころを演じた田中ですが、私生活では不倫現場が報じられました。もし、水面下で妻・仲間由紀恵との離婚話が出ていたとしたら、絶妙にドラマとリンクしていたことになりそうです。  2位は長谷川博己主演の日曜劇場『小さな巨人』。ネット上では、「話の辻褄が合わない」「女性たちの扱いが雑過ぎ」「和田アキ子の演技が下手すぎ」「須藤課長役の神野三鈴の演技が酷い」などと、何かと批判的な意見も多かった同作ですが、結局は『半沢直樹』同様に香川照之の“顔芸”が全部持っていった感がありました。  ちなみに、同枠前クールで「キムタクにしては悪い」「TBSとしては失敗」などと散々揶揄された木村拓哉主演『A LIFE~愛しき人~』は、全話平均14.5%。『小さな巨人』の数字はこれを下回るものの、「好調」「人気」と報じられてますから、なんだかキムタクがかわいそうになってしまいました。そりゃあ、車で考え事もしちゃいますよ……。

『あなそれ』爆上げも、波瑠が炎上

『母になる』『フラ恋』失敗の日テレが絶不調!『あなそれ』波瑠は他人事! フジ月9は再起不能……春ドラマランキングの画像2
TBS公式サイトより
 3位と4位は、テレ朝の内藤剛志主演『警視庁・捜査一課長』と、渡瀬恒彦&V6・井ノ原快彦主演『警視庁捜査一課9係』。タイトルがとっても似ている同作ですが、仲良く並んでランクインしました。  12年間に渡り渡瀬と井ノ原がコンビを組んできた『警視庁捜査一課9係』ですが、撮影中の3月に渡瀬が多臓器不全のため死去。渡瀬の代役は立てず、第2話からは井ノ原に主演が移りました。  最終回の歯切れの悪い終わり方に、ネット上で賛否両論が巻き起こったほか、「渡瀬さんの存在感は大きすぎた」「大黒柱を失った家みたい」という声も。次のシーズンが正念場となりそうです。  5位は、最終回で平均視聴率14.8%まで急上昇した波瑠主演の不倫ドラマ『あなたのことはそれほど』。ラブホテルにホイホイついていく主人公の“お花畑不倫”が話題となりました。  また、最終回前日、波瑠がブログで「(美都)に天罰が下る? なんだかうまく収まる? どっちでもいいかな。自分とは関係ない夫婦のことだもの」と、まるで他人事のように綴ったため、視聴者が興醒め。「見ている人の気持ちを考えて」「プロ意識はないの?」「好きで見てたけど、一気に醒めた」といった批判が相次ぎました。

日テレは全作1ケタ

『母になる』『フラ恋』失敗の日テレが絶不調!『あなそれ』波瑠は他人事! フジ月9は再起不能……春ドラマランキングの画像3
 今期は、6位の小栗旬主演『CRISIS』までが全話平均で2ケタを記録。ここに日テレは入ることができませんでした。  日テレといえば、北川景子主演『家売るオンナ』や、石原さとみ主演『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』を放送してきた水曜ドラマ枠の好調ぶりが話題ですが、今期の沢尻エリカ主演『母になる』は、数字・評判共に微妙。  開始当初は、誘拐された子どもを保護したOL(小池栄子)が、自分の子どもと偽って育て続ける、という衝撃的な設定が話題を呼びましたが、進めど進めど視聴者が期待するような展開は見られず。後半にいくにつれ「え? これ、なんのドラマなの?」と視聴者が混乱する事態となりました。  また、最終回では、主人公が育ての親に「育ててくれてありがとう」と感謝を伝えるシーンも。いやいや、犯罪を許しちゃダメでしょ……。  10位は、嵐・相葉雅紀主演の“月9ドラマ30周年記念作品”『貴族探偵』。フジテレビのドラマ班が全力で挑んだ意欲作ですが、月9ブランドの崩壊、視聴者の“嫌フジ”意識、「月9は若者が見る枠」というイメージ、「どうせジャニーズでしょ?」という意識……などが邪魔して、数字は伴いませんでした。ああ、もう見てられないよ。月9やめちゃえよ……。  とはいえ、トップ10に入っただけマシといえるかもしれません。下には、「面白かったんだか、面白くなかったんだかわからない」と評判の綾野剛主演『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)や、「女性らしさの押し付け」という意味でかなりフジらしい桐谷美玲主演『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)、そして、全話平均5.3%という地獄のような数字を叩き出し、観月ありさの足下が埋まってしまいそうな『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』(同)など、大コケ作がひしめき合っています。  というわけで、日テレの不調が目立った今クール。日刊サイゾーでは、7月クールも“芸能プロやテレビ局との癒着一切なし!”のもぎたてレビューを毎週お届けします。お楽しみに! (文=どらまっ子TAMOちゃん)

『母になる』『フラ恋』失敗の日テレが絶不調!『あなそれ』波瑠は他人事! フジ月9は再起不能……春ドラマランキング

 続々と最終回を迎えた春ドラマ。視聴率をランキング形式で振り返ります。

上位がテレ朝だらけ

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テレビ朝日公式サイトより
 まず、平均視聴率のトップ10は以下の通り(ビデオリサーチ調べ、関東地区/クールまたぎの連ドラは除く)。 1位『緊急取調室』(テレビ朝日系)13.9% 2位『小さな巨人』(TBS系)13.5% 3位『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)12.2% 4位『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)11.5% 5位『あなたのことはそれほど』(TBS系)11.2% 6位『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系)10.5% 7位『ボク、運命の人です。』(日本テレビ系)9.5% 8位『母になる』(日本テレビ系)9.2% 9位『リバース』(TBS系)8.8% 10位『貴族探偵』(フジテレビ系)8.6%  トップは、天海祐希主演『緊急取調室』のシーズン2。脚本は『白い巨塔』(フジテレビ系)の井上由美子。田中哲司、でんでん、大杉漣といったベテラン俳優陣の演技は安定感抜群。数字はシーズン1を上回り、視聴者満足度も今期トップと言えそうです。  昨年10月クールのフジの主演ドラマ『Chef~三ツ星の給食~』が大コケし、株が暴落していた天海ですが、同作であっさり復活。やっぱり、大物役者がフジに出るのって、リスキーですね……。  また、“妻と離婚協議中の管理官”という役どころを演じた田中ですが、私生活では不倫現場が報じられました。もし、水面下で妻・仲間由紀恵との離婚話が出ていたとしたら、絶妙にドラマとリンクしていたことになりそうです。  2位は長谷川博己主演の日曜劇場『小さな巨人』。ネット上では、「話の辻褄が合わない」「女性たちの扱いが雑過ぎ」「和田アキ子の演技が下手すぎ」「須藤課長役の神野三鈴の演技が酷い」などと、何かと批判的な意見も多かった同作ですが、結局は『半沢直樹』同様に香川照之の“顔芸”が全部持っていった感がありました。  ちなみに、同枠前クールで「キムタクにしては悪い」「TBSとしては失敗」などと散々揶揄された木村拓哉主演『A LIFE~愛しき人~』は、全話平均14.5%。『小さな巨人』の数字はこれを下回るものの、「好調」「人気」と報じられてますから、なんだかキムタクがかわいそうになってしまいました。そりゃあ、車で考え事もしちゃいますよ……。

『あなそれ』爆上げも、波瑠が炎上

『母になる』『フラ恋』失敗の日テレが絶不調!『あなそれ』波瑠は他人事! フジ月9は再起不能……春ドラマランキングの画像2
TBS公式サイトより
 3位と4位は、テレ朝の内藤剛志主演『警視庁・捜査一課長』と、渡瀬恒彦&V6・井ノ原快彦主演『警視庁捜査一課9係』。タイトルがとっても似ている同作ですが、仲良く並んでランクインしました。  12年間に渡り渡瀬と井ノ原がコンビを組んできた『警視庁捜査一課9係』ですが、撮影中の3月に渡瀬が多臓器不全のため死去。渡瀬の代役は立てず、第2話からは井ノ原に主演が移りました。  最終回の歯切れの悪い終わり方に、ネット上で賛否両論が巻き起こったほか、「渡瀬さんの存在感は大きすぎた」「大黒柱を失った家みたい」という声も。次のシーズンが正念場となりそうです。  5位は、最終回で平均視聴率14.8%まで急上昇した波瑠主演の不倫ドラマ『あなたのことはそれほど』。ラブホテルにホイホイついていく主人公の“お花畑不倫”が話題となりました。  また、最終回前日、波瑠がブログで「(美都)に天罰が下る? なんだかうまく収まる? どっちでもいいかな。自分とは関係ない夫婦のことだもの」と、まるで他人事のように綴ったため、視聴者が興醒め。「見ている人の気持ちを考えて」「プロ意識はないの?」「好きで見てたけど、一気に醒めた」といった批判が相次ぎました。

日テレは全作1ケタ

『母になる』『フラ恋』失敗の日テレが絶不調!『あなそれ』波瑠は他人事! フジ月9は再起不能……春ドラマランキングの画像3
 今期は、6位の小栗旬主演『CRISIS』までが全話平均で2ケタを記録。ここに日テレは入ることができませんでした。  日テレといえば、北川景子主演『家売るオンナ』や、石原さとみ主演『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』を放送してきた水曜ドラマ枠の好調ぶりが話題ですが、今期の沢尻エリカ主演『母になる』は、数字・評判共に微妙。  開始当初は、誘拐された子どもを保護したOL(小池栄子)が、自分の子どもと偽って育て続ける、という衝撃的な設定が話題を呼びましたが、進めど進めど視聴者が期待するような展開は見られず。後半にいくにつれ「え? これ、なんのドラマなの?」と視聴者が混乱する事態となりました。  また、最終回では、主人公が育ての親に「育ててくれてありがとう」と感謝を伝えるシーンも。いやいや、犯罪を許しちゃダメでしょ……。  10位は、嵐・相葉雅紀主演の“月9ドラマ30周年記念作品”『貴族探偵』。フジテレビのドラマ班が全力で挑んだ意欲作ですが、月9ブランドの崩壊、視聴者の“嫌フジ”意識、「月9は若者が見る枠」というイメージ、「どうせジャニーズでしょ?」という意識……などが邪魔して、数字は伴いませんでした。ああ、もう見てられないよ。月9やめちゃえよ……。  とはいえ、トップ10に入っただけマシといえるかもしれません。下には、「面白かったんだか、面白くなかったんだかわからない」と評判の綾野剛主演『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)や、「女性らしさの押し付け」という意味でかなりフジらしい桐谷美玲主演『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)、そして、全話平均5.3%という地獄のような数字を叩き出し、観月ありさの足下が埋まってしまいそうな『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』(同)など、大コケ作がひしめき合っています。  というわけで、日テレの不調が目立った今クール。日刊サイゾーでは、7月クールも“芸能プロやテレビ局との癒着一切なし!”のもぎたてレビューを毎週お届けします。お楽しみに! (文=どらまっ子TAMOちゃん)

最終回までズルズル7.3%の『フランケンシュタインの恋』綾野剛、川栄李奈ら役者陣の奮闘むなしく……

最終回までズルズル7.3%の『フランケンシュタインの恋』綾野剛、川栄李奈ら役者陣の奮闘むなしく……の画像1
日本テレビ系『フランケンシュタインの恋』番組サイトより
 日曜ドラマ『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)も最終回。視聴率は7.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)となりました。初回こそ11.2%と、それなりの好スタートでしたが、2話目で一気に7.3%まで下げると、あとはそのままズルズルといった感じです。第6話のレビューで「魅力的なのに全然面白くない」と書きましたが(記事参照)、その印象は最後まで変わりませんでした。そんなわけで、振り返りです。 ■脚本家が主人公に寄り添ってないのです。  さて、この最終回は、第1話で森から街へ降りた怪物が、森に帰る話でした。  120年を森で孤独に生きてきた怪物(綾野剛)は、人間社会に降りることによって変容を与えられ、自らの菌を培養・研究することで人間の役に立つという役割を与えられました。そうして不老不死の命を生きていく理由を与えられました。  与えられました。  というのが、このドラマ全話に通底する「怪物の描き方」でした。怪物は、何かを自らの決意や努力によって勝ち取ったわけではありません。街へ降りたのもラジオに出演したのも、誰かにそそのかされただけですし、最終的な役割もあくまで環境の変化や別の登場人物たちの積極的な働きかけによって「与えられた」にすぎない。ここに、このドラマの特徴があるように思います。  常に制作サイドが「与える側」であるという立ち位置が、そのまま画面から伝わってくるんです。脚本が、主人公である怪物に、まるで寄り添ってない。継実ちゃんには、もっと寄り添ってない。「不治の病」で悲劇を与えて、その後に「奇跡の治癒」を与える段取りの大雑把さを見るにつけ、命そのものさえ軽視しているように見える。  そうしてキャラクターたちを上位の立場から俯瞰して描いているうちに、私たち視聴者もいつの間にか「与えられる側」として扱われている気がしてきます。話が頭に入ってこないし、「貴様は神になったつもりか!?」と言いたくなる。  その象徴が、前半に多くの時間を割いて描かれたラジオパートです。怪物をラジオに呼んで、そのたびに「人間とは何か」みたいなことが、脚本家の言葉によって定義づけられてきました。  ラジオには、とことん寄り添ってるんですよね。ラジオでの天草(新井浩史)の言葉や行動には、もはや寄り添っているというより、寄りかかっていると言ってもいいくらいです。最終回にも天草の説教がたっぷり挿入されたあたり、この作り手たちが言いたいことは結局ラジオにすべて託されていたと感じます。そう考えれば、ヘビーリスナーだった怪物はまだしも、ラジオと一切関係のないヒロイン継実についての描写がおざなりなのも、むべなるかなといったところです。  それにしても継実ちゃん、見せ場なさすぎでしょ……。初回と120年前のサキを演じた第9話以外は、困り顔で立ち尽くして、たまに「深志さんが好き」とか言うだけ。それしか仕事がなかった二階堂ふみは、「これでギャラもらっていいのかいな?」とか思ってるんじゃないでしょうかね。変な服もたくさん着させられたし、ギャラもらっていいと思いますけど。 ■SFについてはもういいや、それより川栄李奈でしょう  このレビューでは、さんざんSF的な設定ゴケがひどいという話をしてきましたが、最終的に「未知の菌によって遺伝性疾患が根治する」「そして、それが恋の力」みたいな、とんでもないトンデモをブッ込んできたので、もう特に意見はないです。SFはSFに情熱のある人だけがやってほしいなと思う限りです。  それより、川栄李奈です。まあ、すごくよかった。かわいかったし、カッコよかった。  最終回で山に入っていく怪物を見送ったときの「これは仲間の挨拶だ」と言いながらのハグなんてね、最高じゃないですか。このセリフには、魂こもってるじゃないですか。  川栄の演技スキルが確かなことはもちろんですが、所属する工務店が唯一、この作品でリアリティを保てていた舞台であったことも功を奏したと思います。脚本家が得意なスケール感というのが、この工務店内くらいなんだろうな、と感じるんです。現代の8人くらいの集合体、という規模であれば、濃密な人間を描ける。個性も関係性も描ける。  川栄が演じたのは室園美琴という家出少女でした。町で工務店の社長(光石研)に拾われて雇われた美琴は、この工務店にとって怪物より先に来た“異物”だったのです。美琴をフックにすることで工務店と怪物をつなぐという脚本のプランは冴えていたと思うし、川栄も要求によく応えたと思います。怪物も、継実と話しているときより美琴と接しているときのほうが、よほど生き生きして見えました。  重ね重ね、不憫なのは二階堂ふみです。 「私は、津軽継実であり、サキさんです。あなたが好きです、120年前から」  なんてセリフ、どんな顔で言えばいいというのか。快活で好奇心旺盛で積極的だった第1話の継実はなんだったのか。ああ不憫。これでテレビドラマに愛想を尽かさないといいなと願うばかりです。 ■何をおいても綾野剛  正直、開始前から企画とキャスティングを見て「おもしろそう!」と思っていたんです。綾野剛がフランケンシュタインの怪物で、二階堂ふみと恋するラブコメだと聞いていましたし、第1話も完全にそのような出来でしたので、「これはいいぞ~」と書いたのが(記事参照)ずいぶん昔のように感じられます。  以降、ぶーぶー言いながらも見放せなかったのは、やはり綾野剛の存在感によるものでした。  ダークヒーロー然とした登場から始まり、キュートだったり悲しそうだったり、困惑したり堂々としたり、最終回の「僕は人間の役に立てるんですね」という泣きのシーンでは、こちらまで涙きちゃう感じ。物語の整合性についての疑問を、「綾野がこういう芝居をするということは、ここはこういうことで納得してほしいんだな」と納得させてしまう強度の高い演技だったように思います。すごいと思う。もともと好きなんでひいき目はあると思いますが、いやーホントにすごいよ。すごいよね。  そういうわけで、なんか全体的にモヤっとしたレビューになってしまいました。「魅力的だけど面白くない」と感じたドラマについて、なんで「魅力的だけど面白くない」と感じたのかを考えるのは、すごく難しいと思いました。今後はぜひとも「魅力的で面白い」ドラマをよろしくお願いいたします。はい。 (文=どらまっ子AKIちゃん)

『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』最終話 祭りを終えたSHO-GUNG、これからどーする!?

『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』最終話 祭りを終えたSHO-GUNG、これからどーする!?の画像1
テレビ東京系『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』番組サイトより
 テレ東や ラッパーどもが 夢のあと。  地方都市で燻り続ける30男たちが、ダラダラした青春にケジメをつけるために東日本を縦断した深夜ドラマ『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』も今回が最終話。川崎クラブチッタでの初ステージというサイコーの祭りを終えた直後の高揚感と地味な日常へと帰っていく侘しさが入り交じった珠玉のエンディングとなった。  毎週流れたライムスターが歌う主題歌は、今回は特別バージョンの「SR Remix」。オープニングからスペシャル感が漂っている。前回から引き続き、「SHO-GUNG」のチッタでのライブが臨場感たっぷりに映し出される。1曲目の『SRサイタマノラッパー』のテーマ曲で観客の心をつかんだIKKU(駒木根隆介)、TOM(水澤紳吾)、MIGHTY(奥野瑛太)たち。DJの和夫(ロベルト吉野)はすでに汗だくになっている。 IKKU「誰も知らないと思うが、俺がレペゼンサイタマのMC IKKUだ。とうとう辿り着いたぜ、川崎クラブチッタ!」  IKKUのマイクアピールと共に、兄タケダ先輩(上鈴木伯周)がつくってくれた新曲『マイクの細道』の多幸感あふれる前奏がチッタに流れる。2曲目の立ち位置を失念していたのか、トーコ(山本舞香)がIKKUに促され、カブラギ(皆川猿時)の横に並ぶ様子がすごくリアルだ。 IKKU「チャンスとマイクは自分でつかむ♪」 TOM「俺たちサイコーのバカだな。やっぱり仲間は宝だからな♪」 MIGHTY「叫び続けるのが男の性。今度こそ咲かせてみせますブロの花♪」  カブラギ役の皆川猿時は「グループ魂」でライブ慣れしているが、今回は「SHO-GUNG」の盛り上げ役に徹している。トーコ役の山本舞香が「たくさん感謝です。ありがとう!」と叫ぶ台詞には実感がこもっている。会場にはアユム(山田真歩)とアユムの夫(川瀬陽太)もいる。アユムは「SHO-GUNG」の晴れ舞台に今にも泣き出しそうだ。「極悪鳥」の元リーダー・大河(橘輝)はいちばん後ろで見ている。自分たちが立てなかったチッタのステージに、あいつらはかっこ悪く這いつくばりながらも上がってみせた。 SHO-GUNG「ひとりで ふたりで 三人で、トラックと家出ガールと みんなで巡った細道♪ あいつとあいつとあいつと出逢った細道♪ マイクとマイクとマイクと旅した細道♪」  会場を埋め尽くしていた観客たちには、2曲目から演出部のGOサインが出たのだろう。セーブすることなく盛り上がり始める。フィクションと現実がシンクロする。ステージとオーディエンスが一体化した幸せな時間が過ぎていく。 SHO-GUNG「勝負、勝負! SHO-GUNG、SHO-GUNG! 俺たちなりの最終回、もう間もなく最終回♪」  かませ犬たちの宴は終わった。たった2曲きりだったけど、自分たちのすべてを出し切った至福の時間だった。息も絶え絶えにステージを降りたIKKUは、観客たちから握手を求められる。「ねぇねぇ、CDとか売ってないの?」と尋ねられ、初めてのスター気分を味わうサイタマのラッパー。でも、それも一瞬。次のステージがすぐに始まり、IKKUを取り巻いていた観客たちは走り去ってしまう。  ライブ翌日、カブラギが運転するカブラギ号に乗って、トーコは大間の実家、和夫さんは猪苗代のヒップホップ寺へとそれぞれの日常に戻っていく。IKKU、TOM、MIGHTYはそれまで見せたことのなかったサイコーにいい表情でカブラギ号を見送る。そして、IKKUたちも長い長い旅を終え、自分たちの青春に終止符を打つ時間が迫っていた。  埼玉県のフクヤ駅に戻ってきたIKKUたち。ラストシーンは劇場版『SR』三部作と同じように、ラップの長回しで締めくくられる。延々と続く6分間にわたるIKKU、TOM、MIGHTYの即興ラップ。このシーンが終われば、IKKU、TOM、MIGHTYだけではなく、10年間にわたって同じ役を演じてきた駒木根隆介、水澤紳吾、奥野瑛太の3人もそれぞれの役とお別れとなる。 MIGHTY「SHO-GUNG、これからどーする? SHO-GUNG、これからどーする?」  名残を惜しむように、別れ際に振り返ったMIGHTYがもう一度、IKKUとTOMへラップで問い掛ける。MIGHTYが放ったこのリリックは、IKKUとTOMだけでなく、生みの親である入江悠監督にも、そして『SRサイタマノラッパー』を見続けてきたファンに向かっても投げ掛けているかのようだ。  かくして「SHO-GUNG」の旅は終わった。深夜ドラマとして全11話でオンエアされた『マイクの細道』だったが、1話につき正味20分ほどしかないためノーカットの長回しで撮ったラップシーンを毎回のように入れていくと物語はなかなか進まなかった。自由度の高い自主映画として始まった『SRサイタマノラッパー』にとっては、尺の短い深夜ドラマは必ずしも最適のフォーマットではなかったように思う。でも、クラブチッタでのライブは、自主映画では到底できない華やかなステージだった。一長一短なところも、「SHO-GUNG」らしい。  東日本を旅したIKKUたちが被災地に直接向き合ったのは第6話の1シーンだけに終わったが、現在大ヒット中のワーナー映画『22年目の告白 私が犯人です』では阪神大震災を事件の重要なモチーフとして入江監督は描いている。藤原竜也演じる主人公・曾根崎は、「酒鬼薔薇事件」の加害者・元少年Aを連想させるトリックスターだ。震災をはじめとする社会状況が、その時代を生きる人間たちの心理にどんな影響を与えるのかに入江監督は強い関心を持っている。インディーズシーンを飛び出した入江監督は『22年目の告白』をヒットさせたことで、メジャーからのオファーがますます増えるだろう。入江監督が今後撮る作品の中には、復興が進まない被災地や東京オリンピックには無縁な地方都市を舞台にした企画も俎上に上がるに違いない。  入江監督に『22年目の告白』の公開前、『SRサイタマノラッパー』の今後について尋ねたところ、「IKKUのラップがうまくなりすぎて、続けていくのが難しい」と苦笑しながら、「自主映画として撮り始めたのが10年前。(クラブチッタでライブができて)すごくいい形で区切りをつけることができた」と語った。『SRサイタマノラッパー』がこれからどうなるかは現時点では入江監督も分からず、ファンの反響次第だという。  10年前、映画監督になったものの、思うような映画を撮ることができずにもがき苦しんでいた入江監督の分身として生まれた「SHO-GUNG」だが、すでに作者である入江監督の手元を離れ、独立した生きたキャラクターとなっていた。家族に依存しきっていたデブニートのIKKUが『マイクの細道』の旅を通して精神的な自立を果たしたように、入江監督も「SHO-GUNG」もお互いにうまく距離を保った関係になったのかもしれない。  ぼくのりりっくのぼうよみのエンディング曲が流れる。いつもは仲間と一緒だったIKKUが、最終回ではひとりサイタマの田舎道を歩いている。ひとりっきりだが、以前のようなコドク感は感じられない。満開の桜並木が美しい。桃栗3年、柿8年。IKKUは30数年を費やして、ようやくひと晩だけの花を咲かせた。周回遅れからの集大成を果たしてみせたIKKUに、最後の最後にごほうびが待っていた。  IKKUの歩く道の反対側から、『SRサイタマノラッパー』(09)のヒロインだった千夏(みひろ)がキャリーケースをゴロゴロと引っぱりながら現われる。高校時代のIKKUにとっては唯一の女友達だった千夏との久々の再会。男女の関係にはほど遠い2人だが、やはりどこか波長が合うらしい。IKKUと千夏が、『男はつらいよ』シリーズの寅さん(渥美清)とリリーさん(浅丘ルリ子)の関係にダブって映る。  IKKUの「頑張れよ」という言葉に、千夏は「お前が頑張れ、バーカ」と『SR1』のクライマックスと同じ台詞を返す。同じシチュエーションでも、千夏の言葉は『SR1』のときよりちょっとだけ優しい。そのニュアンスを味わう余韻もなく、瞬く間に夢のようなIKKUの青春が終わる。でも、それはIKKUにとって新しいステージへの旅の始まりでもあった。 IKKKU「終わらねぇ、いや終わらせねぇ。ここがスタート、俺がMC IKKU。セイホー、セイホー、セイSHO-GUNG、セイSHO-GUNG……」  IKKUは『マイクの細道』を観ていた視聴者の心の中へと消えていった。 (文=長野辰次)

香川照之の大号泣にどっちらけ! 続編制作なら『半沢直樹』を! ドラマ『小さな巨人』最終回レビュー

香川照之の大号泣にどっちらけ! 続編制作なら『半沢直樹』を!ドラマ『小さな巨人』最終回レビューの画像1
TBS系『小さな巨人』番組サイトより
 長谷川博己・主演ドラマ『小さな巨人』(TBS系)がついに最終回を迎えました。その視聴率はなんと16.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、これまで最高だった第5話の13.9%を大きく上回り、有終の美を飾りました。  次期・捜査一課長と期待されたものの、警察組織の見えざる力によって所轄に左遷させられてしまった香坂真一郎(長谷川博己)の奮闘するさまを描いてきた同ドラマ。ラストは、17年前から連綿と続く学校法人早明学園と政治家、警察組織の癒着関係、およびその裏に隠された殺人事件を暴くことがテーマになっています。  前回、早明学園の裏帳簿、つまり学園と癒着関係にある者たちの名前が記された帳簿に、かつて捜査一課で働いていた父・敦史(木場勝己)の名前を見つけたことにショックを受け、腰を抜かして驚いた香坂。長谷川博己のあまりに下手糞な演技に視聴者が度肝を抜かれたのですが、その話は脇に置いて話を進めたいと思います。  父親の辞表内容やこれまでの捜査結果から香坂は、以下のような真相を知ることになります。17年前、早明学園と現・内閣官房副長官の山田勲(高橋英樹)との癒着関係に気付いた山田の専属運転手・松山が、早明学園の裏帳簿を警察に渡すと金崎に訴えます。それを恐れた金崎が松山を崖から突き落として殺害。しかし、崖から落ちる直前に松山は裏帳簿の1ページ目を破りとり、その切れ端に金崎の血液が付着してしまったのです。  金崎が殺人罪で捕まれば、山田をはじめとした政治家や警察組織の闇も暴かれてしまう。それを阻止するために、松山の死は自殺ということで処理されました。この隠蔽の秘密を共有したことで、学園と警察組織とのつながりはより強固になったというわけです。  警察組織の汚いやり方に香坂は怒りを覚えるのと同時に、疑問を抱きます。金崎の血液が付着した裏帳簿の切れ端を、捜査一課長の小野田義信(香川照之)はなぜ今も金庫の中に大事に保管しているのかということを。そこに何かを感じ取った香坂は、正義感を盾に小野田に食らいつきます。17年前の真相を暴くため、その証拠となる裏帳簿の切れ端を渡してほしいと頼みます。それに対して小野田は「青臭い正義」と罵倒し、感情的になった結果、「殺人の証拠を捨てろと言われた」と、つい口を滑らせ隠蔽工作を認める発言をしてしまいます。そこで香坂は隠し持っていたICレコーダーを取りだし、それをダシにして捜査に協力するように脅します。  観念した小野田は、警察組織をスキャンダルから守るために殺人事件を隠蔽せざるを得なかった捜査一課長としての立場と、それを許すまじと考える正義感との間で揺れ、苦しみ続けてきたことを涙ながらに吐露します。  小野田の協力を得た香坂は金崎を任意同行するのですが、金崎は自供せず。山田も議員職を休んで雲隠れと、結局、17年前の真相はウヤムヤに。そして、所轄署長への人事異動を自ら願い出た小野田の代わりに、香坂山田が捜査一課に戻ったところでドラマは終了となりました。が、これで納得した視聴者ってどれぐらいいるのでしょうか?  悪人だと思っていた人物が、実はそうではなかった。ありがちなオチではありますが、脚本や演出が巧妙であれば大団円が期待できます。つまり、その人物が悪人にならざるを得なかった理由や、悪人に思えたのはこちらの勘違いだったのだと思わせるような巧みなストーリー構成や人物描写ができていれば、大きな効果を発揮したと思うのです。  しかし、それを小野田に当てはめるのは無理があると感じました。これまで香坂の捜査を妨害し続けてきただけに、最後の最後に“悩める捜査一課長”に変身しただけでなく、ドン引きするほどに大号泣をされても感情移入できません。しかも、17年前の事件は何も解決されないまま、香坂が捜査一課に戻り、再び出世コースに乗って終わりというのは、あまりに早急で強引な幕引きだと思いました。  ラストだけでなく、『豊洲署編』に突入してから、なんだかストーリーがごちゃごちゃになってしまった印象なんですよね。森友、加計学園問題が世間を賑わせていたため、強引にストーリーに絡ませようとしたのではないかと疑ってしまいます。ストーリーの整合性よりも話題性重視で、時事ネタを盛り込む方向へと強引に舵を切った結果、伏線投げっぱなしの駆け足ゴールになってしまったのではないでしょうか。  ただ、幸か不幸か最終回の視聴率が良かったため、これに味を占めて続編が制作されるのではないかという気がしないではないのですが、どうなんでしょう。放送枠が同じで共通のスタッフやキャストが多いことから“警察版・半沢直樹”と呼ばれていた今回のドラマ。その“本家”最終回の視聴率42.2%には遠く及ばなかっただけに、もし続編が制作されるならば『半沢直樹』の方をお願いしたいです。 (文=大羽鴨乃)