
「愛人別れさせ屋」セミナーの会場。女性のほうが向いているとか
中国では、社会的・経済的に成功を収めた男性は、家庭があるにもかかわらず愛人を囲うケースが多い。そこには「愛人を囲えるくらいお金を持っているのだ」ということを周囲に示すための見栄も多く入り混じっている。
しかし、当然ながら面白くないのは奥方のほうである。「私にぜいたくな暮らしをさせてくれるなら、夫に愛人がいても気にしない」と達観している女性ならともかく、普通の女性なら怒り心頭だろう。というわけで、“小三勧退師”なるサービスが今、中国で繁盛しているという。日本語にすると「愛人別れさせ屋」といったところだろうか。

中国では正妻と愛人による乱闘騒ぎも後を絶たない。こうして街中で殴る蹴るの暴行を加えるケースもある
「ホウハイ新聞」(9月15日付)が伝えたところによると、9月14日に上海で「愛人別れさせ屋」を養成するセミナーが開催されたという。セミナーの主催者によると、ひとりのコンサルタントを養成するのにOJT(職務研修)で6カ月以上の時間と、日本円にして600万円以上の費用がかかるのだという。
それほどまでにコストをかけて、コンサルタントを養成するにはワケがある。「愛人別れさせ屋」サービスの依頼者のほとんどが金持ちの妻たちで、1件あたりの成功報酬が、なんと400~1,000万円にもなるからだ。
深センや上海といった中国沿岸の大都市で始まったこのサービスは、今ではその需要は全国各地に広まっている。依頼者の中で最も多いのは40~50歳の女性で、そのほとんどがお金持ちの社長夫人だ。記事によると「資産数百万元(数千万円)というのは少ないほうで、ほとんどが数千万元(数億円)、数億円(数十億円)といった大金持ち」だというが、離婚して慰謝料をもらうよりも、大金持ちの妻の座に収まったままのほうが面倒がなくて得だと考えているわけだ。
別れさせるまでの期限は通常6~8カ月で、不倫男性側の両親を演じて愛人に接触したり、愛人の同僚になったりすることもあるため、多い時で4~7人のチームで任務に就くという。そうやって相手の信頼を得た上で、あくまでも友人としてさりげなく、不倫男性と別れるように仕向けていくのだ。

愛人が路上でボコボコにされ、全裸にされる事件も起きている。それほど中国では愛人が社会問題化しているのだ。
愛人女性が別れる気持ちになるよう、状況によって4つの方法を使い分けているという。1つが“移情”で、ほかの男性に目を向けさせるように誘導していく方法。2つめが“移位”で、ほかの就職の世話をしたり新たな商売の手伝いなどをして、今いる場所から離れさせる方法。3つめが“介入”で、親戚や友だち、同級生などを通じて別れを説得する方法。そして4つめが“嫌悪”で、不倫相手の欠点や隠していたことを気づかせる方法だ。
さすが権謀術数に長い伝統がある中国らしい方法ではあるが、こんな手間暇かけて別れさせても、女好きの性格などそう簡単に直るはずがない。すぐまた別の新しい相手を見つけてしまうのが、オチではないだろうか……。
(文=佐久間賢三)