読者の皆さんも、お忙しい年末をお過ごしのことと思います。年末が慌ただしいのはしょうがない気もしますが、私の場合、主婦とラウンジ経営者の「二足のわらじ」を履いているので、お正月もなかなかゆっくりできませんが、楽しくやっております。
私の通算12年のムショ生活で、何回お正月を過ごしたか思い出せないのですが、いろいろ思い出があります。獄中は食べることが一番の楽しみなので、お正月は待ち遠しかったですね。
拘置所のほうが若干豪華なのですが、刑務所もお正月っぽいことはあるんです。もっとも施設によっても違いますし、今は経費削減もあって、年々ショボくなっているという話も聞きますけどね。
■懲役にはまぶしすぎるアレ
意外に思われるかもしれませんが、拘置所やムショの食事は、ささやかながら「季節感」が重視されています。お正月はもちろん、ひな祭りやこどもの日、クリスマスなんかにはお菓子も出ます。こうやって懲役(受刑者)に「ありがたみ」を押し付けてるのと違いますかね(笑)。
ふだんは夜9時には就寝させられる懲役たちも、大みそかはNHKの『紅白歌合戦』を見ることができて、カップ麺ですが年越しそばも配られます。そして元日には、おせち料理の折り詰めや、お菓子が出ます。中でも楽しみなのは「銀シャリ」でした。今の若い人は、「銀シャリ」ってわかんないかもしれませんね。白米のことです。
いつもは三食とも黒い筋のある麦が入った麦飯ですから、銀シャリはもう弁当箱のフタを開けるだけで、マジ「まぶしい」んですよ。「ルームメイト」たちも、口々に「わああああ」「まぶしいいい」と大はしゃぎです。でも、残念なことに銀シャリは、すぐに胃もたれして飽きてしまいます。1月4日に麦飯に戻ると、「ああ、やっぱりこれやね」って、みんなほっとするんですよ。そんなですから、みんなが、お正月三が日で必ず太ります。人によりますが、私は5キロくらい太ったのと違いますかね。2キロから7キロくらいは、みんなイッてると思いますよ。
体重は、定期的に先生(刑務官)の立ち合いの下で量ってました。月に2~3回だったかな。禁止されているダイエットをしているコもいて、先生にバレないように、おなかに辞書を仕込んだりしていましたよ。ダイエットくらいええやんと思うのですが、獄中はとにかくいろんなことが「ダメ」なんです。
そして、もうひとつ思い出すのが、年末年始のシャブの流通価格です。シャブは「だいたい1グラム1万円」が相場だったのですが、売人によって価格がマチマチです。「純度が違う」とかいろいろ言って、高くするわけですね。今は4万円くらいになってますかね。以前、ASKAは「1グラム10万円」で買ってたと新聞に出てましたが、さすがにそれは高すぎやと思います。しかもASKAのせいで警察の締め付けが厳しくなり、供給量が減っているために便乗値上げされているという話でした。売人は、他人の弱みにつけ込むのがうまいんです。
年末年始も何かとお金がいるので、売人は勝手に値上げするんです。常用者は「年末年始の休みで、ゆっくりキメたい」とか「彼女とクリスマスにキメたい」と、どうしても欲しがるので、これも立派な便乗値上げですね。悪質商法ですが、そもそもシャブが違法なんやから、文句は言えません。
買わない、売らない、使わないのが一番ですよ。私も使わないで済むようになるまで、だいぶ「授業料」を払ってきましたが、おかげさまで今は大丈夫です、ホンマに。
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」
中野瑠美(なかの・るみ)