国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
6月23日に東京都議会議員選挙が告示になり、各陣営が一斉に選挙活動を開始しましたね。しばらくはメディアも都議選の動向一色になるのでしょうか。7月2日の投開票日には、テレビ東京系で『池上彰のニッポンの大問題~都議選ライブ~』(仮)が放送されるそうです。都議選をゴールデン帯に全国ネットの特番で生放送するのは、テレビ東京史上初めてだとか。東京都という地方の選挙なのに、こんなにも注目されるのは、もちろん日本の首都の選挙だからです。
東京都は、都道府県で唯一の「国からの交付金を受けていない地方公共団体」で、予算の使い方に国の制約がありません。つまり、国と対等な立場で意見交換できる、ただひとつの自治体なのです。そのため都議選は「国政選挙の前哨戦」とされ、結果は後の国政選挙にも影響が出るといわれているので、各党の本部も都連と連携して必死に取り組みます。
また、東京都は2020年東京オリンピック・パラリンピックを誘致しましたが、プレゼンテーションは安倍晋三総理が行っていたことからもわかるように、国がかなり関わっています。それに、築地市場の豊洲への移転問題が注目されるのも、築地が東京だけでなく「日本の台所」だからですね。
■お金だけはあるらしい都民ファースト
それにしても、今回の都議選の目玉候補者たちは個性豊かですね。元アナウンサーからシンガーソングライター、元芸能人、スノーボードの元日本チャンピオンまでいます。なぜこのような方たちが候補者になるかというと、短い選挙期間なので、政治的な能力や期待度よりも、知名度やユニークさが重視されるからです。公営掲示板に貼られるポスターも、見栄えのいい候補者の方が目立ちます。
私たち永田町の住民からすると、「ポッと出てきた『都民ファーストの会』なんかに何ができるんだ」という感じですが、世間の期待度はとても高いようです。でも、都民ファーストについては、先日まで代表を務めていた野田数(かずさ)さんに公金着服疑惑やら何やらが報じられ、「いいウワサ」がありません。
今回の選挙でも、神澤の秘書仲間たちが野田さんから出馬のオファーを受けていましたが、「俺たち、金だけはあるよ(笑)」と誘ってくるそうです。これを聞いて「お金ありきだなんて、イヤだなあ」と思ったのですが、けっこうな数の立候補者が集まっていますから、フクザツな気持ちです。確かに、議員や秘書の経験者ならば、都議としても即戦力として都政を切り盛りできるでしょう。でも、議員に必要なのは政策立案能力だけではなく、人としての思いやりですよ。実は、都民ファーストには「恩知らず」な候補が多いのが気になっています。
現在、永田町で最も「恩知らず」と言われている都議候補は、都民ファースト・板橋選挙区の平慶翔(けいしょう)さんです。「アモーレ婚」で有名になったタレントの平愛梨さんの弟として注目されていますが、以前は自民党幹部の下村博文衆議院議員の公設秘書でした。
「週刊新潮」(新潮社)にも出ていましたが、平さんは以前、お金絡みで下村議員の秘書を事実上クビになっています。下村議員が表沙汰にせず、円満退職にしたのは、「部下の不祥事は自分の不祥事」ということもありますが、若い平さんの未来を思ってのことでしょう。
でも、平さんはその後、下村議員にナイショで自民党の衆院選公募に応募しています。もちろん下村議員事務所の件は自民党にバレバレですから相手にされず、仕方なく都民ファーストに入ったんですね。下村議員は、表向きは「怒っていない」そうですが、地元・板橋区の下村議員の支援者によると「実は、ものすごく怒っている」そうです。そりゃ怒りますよね。しかも、平さんは当初「下村議員から了解を得て都民ファーストの候補者になった」と板橋区の自民党員たちに説明していたそうです。これでは下村議員だけではなく、自民党関係者が怒り心頭なのも納得です。
また、永田町で「アモーレ弟」以上に都民ファーストの候補者で問題になっているのが、民進党から「電撃離党」した、江東選挙区の柿沢幸絵(ゆきえ)さんです。6月6日に民進党離党を発表、無所属で都民ファーストの推薦を受けると報じられました。このことで、都議選に直接関係ない民進党の国会議員秘書団の善意を蹴ってしまいました。6日は秘書団が江東区を「重点デー」と位置づけて集結し、ビラのポスティング作業をしていたのに、その最中に離党会見をしているのです。「野上幸絵」(旧姓/離党後に、戸籍名の「柿沢」に変更)名のビラをまいていた秘書たちの徒労感はハンパなかったそうです。また、夫の柿沢未途氏(民進党・衆議院議員)も、離党発表のタイミングを知らされていなかったというウワサを聞いています。さらに、大田選挙区の栗下(くりした)善行さんは、前回の落選中に就職など生活の面倒を見てくれた「大恩人」の現職がいる選挙区に移動して、その現職を蹴落とそうとしています。
このように、都民ファーストの候補者は問題が多いと言わざるを得ませんが、代表を務める小池百合子知事の人気と期待度が安泰なので、相当の数の候補者が当選してしまうと思います。ただ、当初の予想のように、都民ファーストが「単独で過半数」というのは微妙な雰囲気ですね。民進党も「0議席かも」と言われていましたが、「2議席くらいはいくのでは?」と予想されています。
都民ファーストと選挙協力体制にある公明党も現状維持とみられていますから、永田町で最も関心が高いのは、やはり自民党の得票数ですね。序盤では、「現在の3分の1まで議席を減らす」と言われていましたが、現在は「半分くらいは当選するかもしれない」という予想に変わりました。自民党が持ち直した背景には、森友学園と加計学園問題で野党から鋭い追及を受けている安倍総理が、19日に「通常国会で十分な政策論戦ができなかった」と陳謝したことにより、下がり続けた与党・自民党のイメージが下げ止まりになったからだと思います。
また、小池知事が選挙戦直前に築地市場の移転問題の結論を発表した影響もあると思います。さんざん結論を先送りしてきた小池知事に対して期待が大きかっただけに、都民の「がっかり度」は相当なものでした。そして、やっと発表した「豊洲へ移転、築地も活用」なんて結論は、聞こえはいいですが、内容はどっちつかずですよね。予算面でも現実味が感じられず、すぐに多くの都民、国民から「浅はかなアイデア」だと見破られてしまいました。
とはいえ、都民ファーストが都議会のキャスティング・ボートを握ることは確実で、国政政党(国会議員5人以上が要件)を目指す動きは出てくるでしょうね。メンバーには、前述の柿沢未途氏のほか、日本維新の会を除名された渡辺喜美氏、自民党を離党した若狭勝氏などの名前が取り沙汰されています。国政政党への動きが確実になれば、蓮舫代表になってからの民進党「離党ドミノ」が一層加速することも予想されます。ただ、渡辺氏と柿沢氏は、みんなの党時代に相当な確執がありましたから、一緒の政党ではやっていけないかもしれません。いずれにしろ都議選の結果は、メディアの報道の姿勢と、都民一人ひとりの1票で決まります。
東京都の有権者のみなさまは、ぜひ投票にいらして、大切な1票の行方を見守ってください。今は期日前投票もできます。自宅に届く用紙を持ち歩いていなくても、免許証や住民基本台帳カードなど身分を証明するものがあれば投票できますので、よろしくお願いします。
(神澤志万)