京都高島屋が、100体限定で受注販売した人形「ロリーナ」。画家の故・中原淳一氏の絵を再現したロリーナは、レトロポップな衣装を身にまとった妖艶な表情の女の子で、1体12万4,200円という高額だが、ファンにとっては喉から手が出るほどほしい一体だろう。高島屋は、「1人につき2体まで」との制限を設け、3月31日に受注販売の受付を開始。同店には、開店前から約200人の行列ができており、先着50名に整理券を配布したという。
しかし、最初に購入した男性客が、ほかの客の代金を一括で支払うという事態が勃発。つまり、整理券を得た人たちはこの男性客の関係者であり、ロリーナ100体を彼が“独り占め”していたことがわかったのだ。ネット上では、「あきらかに転売目的の買い占め」「許されない行為」「なぜ本当に欲しい人の手に行き渡らないの?」という怒りの声が飛び交い、現在、男性客の顔写真まで拡散されている状況だ。高島屋は、今回の事態に、「転売目的かどうか確認できない。契約も成立してしまっている」として、ロリーナを男性客に引き渡す予定なのだという。
“限定品の買い占め騒動”で、転売疑惑が浮上する事例は、これが初めてではない。2016年1月、東京・世田谷の「スターバックスコーヒー 二子玉川ライズドッグウッドプラザ店」が発売した108個の福袋を、先頭グループの5人が全て買い占めていたことが発覚。その後、ネットオークションサイトで、同福袋が高額転売されていることがわかり、大炎上に発展したのだ。また、昨年1月~3月に開催されたイベント「スウィート・ダッフィー」でも、ダッフィーとシェリーメイのグッズを大量購入する者が続出。「転売目的としか思えない」と、ディズニーファンからの“告発”がネットで噴出することになった。
転売目的であったとしても法的に問題ない
しかし、こうして目に見える形で問題視されるのはあくまで一部。転売目的で限定品を購入する行為は日常的に行われている状況にある。人々の怒りを買い続ける“転売屋”を法的に罰することはできないのだろうか。弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞くと、
「“売買”は、買う人と売る人が、物と代金を特定すれば成立しますので、転売目的であったとしても無効にはなりません。また、大麻や覚せい剤など、“違法”とされている物の売買ではない限り、違法とされたり、刑罰が科せられることはありません」
とのこと。今回のロリーナ買い占め騒動を起こした男性が、どれだけ人に批判されようとも、“転売に違法性はない”のが実情であり、この男性客が罰せられることはないという。
しかし一方で、ジャニーズなどの人気コンサートチケットの転売が罰せられた事例はあるが……。
「いわゆる“ダフ屋行為”が禁止されているからです。各都道府県や市町村は、東京都迷惑防止条例(※)のような条例を制定しており、この中で、(インターネットで転売することなども含む)ダフ屋行為に対し、6月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられています」
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(※)東京都迷惑防止条例第2条
何人も、乗車券、急行券、指定券、寝台券その他運送機関を利用し得る権利を証する物又は入場券、観覧券その他公共の娯楽施設を利用し得る権利を証する物(以下「乗車券等」という。)を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、乗車券等を、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む。以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、買い、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。
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チケットを“転売目的”で買ったかどうかの判断については、「高額で転売していたり、多数のチケットを転売していれば、『ハナから転売目的でチケットを買った』と評価されます。たまたま用事ができていけなくなったので、友人に同額で譲渡するのは“転売目的”にはならないわけです」(山岸弁護士)。
このような“ダフ屋”に当たらない場合、違法にはならないという転売。ロリーナを男性客1人に買い占められた高島屋は、「今回のことを真摯に受け止め、販売方法を改善したい」とのコメントを出しているが、山岸弁護士は「とは言いつつ、違法でもなんでもないんで、店側が対策すること自体がナンセンス」と語る。
また「せいぜい、『多くの方に買ってもらいたい』という目的のために、『1人〇個まで』というシバリを設けるくらいでしょうか」というが、そもそもロリーナ買い占めは、「1人2体まで」とルールを決めていたにもかかわらず起こってしまった騒動だった。転売屋を法的に罰することができない以上、買う側が“転売品には手を出さない”ことを徹底し、転売屋を“商売上がったり”状態に追い込むしか、問題の解決策はないのかもしれない。