フィギュア少女の「孤独」に私たちは救われる……『スピン』の描く苦しみ・喜びの福音

 張り詰める冷気。ほのかに漂う汗の香り。誰よりも早くリンクへと降り立った彼女は、確かに孤独ではあったのだが、ブレードが氷を削る音を聞きながら、不思議と心が満たされていくのを感じていたことだろう。何者にも邪魔をされることがない、私だけの清潔な王国。その感覚を、アイススケートになどついぞ縁がない私も、なぜか知っているような気がした。

 『スピン』(河出書房新社)は著者、ティリー・ウォルデンの自伝的作品であり、将来有望なフィギュアスケーターであった少女の視点から、練習に明け暮れる日々、得恋の喜び、悲しい恋の終わり、息苦しい母との関係を描いたグラフィックノベルだ。

 彼女には秘密があった。同性愛者だったのだ。

「5つのときから自分がゲイ※だとわかっていた。わたしはもうすぐ12歳になる」
「スケートは奇妙な敗北感をわたしにつきつけてくる。女らしい要素のすべてに嫌悪を抱きながらなおも惹かれた」
「とっくに気づいていたからといって、楽になるわけじゃない」
「いけないことだとわかっていたから誰にも胸の内を明かさなかった」
「だから密かに恋をした。何度も何度も。報われるなんてただの一度も考えなかった」

 心を削り出すかのような痛切なモノローグが読む者の胸を締め付ける。あきらめることで自らを守ろうとしていた彼女は、しかし恋に落ちた。

「初恋は誰にとっても特別だ。だが年の浅い秘密のゲイ同士となると、話はまったく違ってくる」
「覚えているのはスリルでも自由な感覚でもなく―」
「恐怖だった」

 保守的なテキサスの地で、彼女たちの孤独感はいかばかりのものだったろう。同性愛者に対してヘイトを叫ぶ映像に一抹の不安を覚えながらも、気持ちだけは止められなかった。やがてその関係は親たちの知るところとなり、突然の終局が訪れる。悲しい恋の終わり。だが後に、彼女はこう振り返るのだった。

「誰かがわたしに好意を返してくれるなんて思いもしなかった。でもレイの気持ちは本物だった」

 彼女は懸命に世界と和解しようとしていた。思い出すのは大島弓子の『バナナブレッドのプディング』(白泉社)のこのセリフだ。

「わたし 薔薇の木は大好きだった でも 薔薇の木から 好きだよなんて いってもらえるなんて 夢にも思わなかった 夢にも 思わなかったわ……」

 国や人種を超えてマンガの魂が共鳴する。主人公の在りよう、世界と対峙するスタンスは、どこか大島や岡崎京子の作品に似ている。

 思えばフィギュアスケートは本邦の少女マンガにおいても格好のテーマであった。槇村さとる『愛のアランフェス』『白のファルーカ』、おおやちき『雪割草』(いずれも集英社)、川原泉『銀のロマンティック…わはは』(白泉社)、小川彌生『キス&ネバークライ』(講談社)……。その多くにあってフィギュアスケートは、人生そのもののように描かれていた。

 本作も紙幅の大半はフィギュアスケートの描写に割かれているが、心に響くのは主人公の葛藤や悲しみを綴るモノローグだ。それはフィギュアスケートというスポーツの特異性に因るところが大きい。「このスポーツは生き方とセットだ。そこに選択の余地はない」のだ。滑ること、踊ることは運命のようなものだと、ある種のスケーターは見る者に思い知らしめる。そして華やかさとは裏腹なその残酷さが、人々をまた惹きつけるのだった。

 脆弱な繊細さを抱えた私たちは、あるときは孤独でありたいと思いながら、またあるときはそれを寂しいとも思う、わがままな存在だ。人は1人では生きていけないこともわかっているのだが、他者の無神経や悪意に傷つけられたくはない。消去法として選んだ孤独にとって、恋は福音なのか、猛毒なのか。

 本作は明確な答えを提示する類のものではなく、ただ1人の女性の青春時代を描く。私たちはそこにかつての自分自身を見るだろう。たとえ30歳、40歳になっても消化しきれない、あの頃の苦しみや喜びが、ただそこに表現されているというだけで、今の私も、あの頃の私も救われるのだ。確かに私は孤独だった、でも私は孤独ではなかったのだと。

 12年間続けてきたフィギュアスケートに別れを告げ、二度とスケートはしないと誓った2年後のある日、主人公はふらりとアイスリンクを訪れる。スケートをするためではない。「立ち去れることを自分に証明する必要があった」のだ。鮮やかなアクセルジャンプを着氷した彼女は、そそくさとリンクを出る。フィギュアスケートのジャンプの中で、アクセルは唯一前を向いて踏み切るジャンプだ。跳ぶたびに彼女はこう願ったという。「ターンして踏み切る一瞬、今度こそうまく行きますようにと全身全霊で祈った」。私たちは今日も祈りながら跳んでいる。

※原文ママ。同性愛者全般を意味する。

小田真琴(おだ・まこと)
女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題がほしかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14架を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「FRaU」「SPUR」「ダ・ヴィンチ」「婦人画報」などで主に女子マンガに関して執筆。2017年12月12日OA『マツコの知らない世界』(TBS系)出演。

老舗サイトでも容赦なし! FC2ブログがアダルト系への規制強化……「小学生」とか書いたらアウト

 多くのアダルト系ブログの楽園だと思われていたFC2ブログが、規制強化で終わりの時を迎えようとしている。

 この問題が注目を集めたのは、多くのエロマンガ読者から信頼を寄せられていたレビューブログ「ヘドバンしながらエロ漫画!」が突如として、凍結されたこと。

 同ブログは、ちょうど開設から10周年。そこで、ブログを運営するレビュアーのへどばん氏が、10周年のお礼記事を書こうとしていた矢先に凍結されてしまったのである。

 凍結された理由は、FC2側がNGワードを大幅に増加させたこと。この件について、へどばん氏は次のようにツイート。

 * * *

 

 * * *

 事態を説明するツイートによれば、NGワードとされたのは「ショタ」「調教」「催眠」「武器」など多数。これまでNGワードを避けてレビューを継続していたへどばん氏であるが、NGワードの増加で、エロマンガレビューは、ほぼ不可能になった。

 アダルトであっても、独自の基準でNGワードを定めるFC2。「小学生」「中学生」などの用語ですら、機械的にNGと判断されている。昨今、ダウンロード販売系サイトで、物語の背景説明として「ヒロインが小学生の時~」のような表現をしたところNGを食らったという話もある。そうした、機械的に判断して文脈を読まないスタイルを、FC2も積極的に導入しているようだ。

「Twitterが典型例ですが、ネットのサービスは、情報量が多いため、機械的に判断せざるを得ない面があることは否めません。ただ、物語の説明にも使えないというのはかなりの痛手です。別に、どこからか圧力がかかったわけでもないんですが……」(DL販売サイト社員)

 アダルトの楽園のひとつであったFC2も、ついに規制を強化。ネットの中でエロは不自由になっていくのだろうか。

 なお「ヘドバンしながらエロ漫画!」は、新天地への移行作業(http://alwaysthrashed.blog.jp/)が進行中。不幸中の幸いだ。
(文=特別取材班)

「宗教自体が悪いとは言い切れない」母親に信仰を強制された“二世信者”の苦悩

 子どもは親を選べない。親の教育方針や趣味趣向などが子どもに与える影響は少なくないが、否応なしにその環境に身を置く子にとっては相当な苦痛になることもあるだろう。それは、信仰についても同じことがいえそうだ。

 昨年末、コミックエッセイ『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』(講談社)を上梓したマンガ家のいしいさやさんは、母親がエホバの証人の信者で、自身も高校生の頃までは二世信者として活動に参加していた。

 母に連れられ、よその家に勧誘にいったり、宗教上の理由でクラスの行事に参加することができなかったりと、幼少期や学生時代は宗教活動中心の生活を送っていたいしいさん。今は親元から離れて宗教とは関係のない生活を送っているが、かつての記憶をマンガにした理由とは? また、「よかれと思って」娘に信仰を課した母親について、いしいさんは現在どう思っているのだろうか? お話を伺った。

■Twitterで公開されたマンガが3万5,000リツイート

 同作はもともと、Twitter上で話題になった作品だ。いしいさんも、「出版するつもりでマンガを描いたわけではない」と話す。

「信者だった時の記憶をマンガにしたのは、精神的に落ち込んでいた時に読んだ認知行動療法の本に『不快な感情になった時のこと、その時どんな感情になったか書いてみましょう』とあったから。それがいつからか、人に見てほしいという気持ちが湧いてきて、Twitterに投稿してみたんです。まさか、こんなに反響をいただけるとは予想していなかったのですが……」

 公開されたいしいさんのマンガは、瞬く間に反響を呼び、なんと3万5,000のリツイートが返ってきた。それが編集者の目に留まり、本を出すきっかけとなったのだ。

 いしいさんの元に届いたコメントの中には、同じような境遇だった人からの共感もあれば、それまで宗教活動とは関わりがなかった人たちからの驚きの声もあったという。確かに、エホバの証人といえば各国に信者をもち、日本にも全国各地に支部を置く比較的規模の大きな新宗教であるが、信者でない者にとって、その日常はベールに包まれている。

「エホバはもともとキリスト教系の宗教ですが、聖書の言葉を文字通り真実だと解釈し、その教えをできるだけ忠実に実行することが求められます。私は、やがて訪れる終末の時にも、信者だけは地上の楽園で永遠に暮らすことができると教えられてきました」

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 いしいさんは5歳のころから、熱心な信者である母親に連れられて、エホバの活動に参加していたという。そして、娘とともに楽園で暮らすことを夢見る母のもと、厳しい掟を守りながら生活を送っていた。

「信者の禁止事項は多岐にわたります。特に、偶像崇拝・淫行・血の誤用(他人や動物の血液を体内に取り入れること)などは厳しく制限されていましたね。淫行には婚前交渉も含まれていて、もしその掟を破ると“排斥”になって、ほかの信者や、同じく信者である家族との接触や会話を禁止されてしまいます。高校生の時に、気になっていた男子から告白されたことがあるのですが、付き合ったら母親がどんな行動に出るかわからなかったので、断ってしまいました」

 ほかにも、異教の行事であるクリスマスや誕生会、七夕まつりなどの祝い事への参加も禁止。偶像崇拝にあたるので、校歌や国家を歌うのも禁止。また、聖書には「争いを避けなければならない」と書かれているため、運動会の応援合戦に参加することも禁止されていたという。

「校歌斉唱の時は、みんな起立しているのに自分だけ座りっぱなしだったり、クラスの行事の時にも自分だけ机に座ってじっとしていました。そうしていると、やっぱり学校では浮いちゃうから、そのうち自分からほかの人と関わるのを避けるようになっていきました。もっとも、エホバでは信者以外の人のことを“世の子”と呼んでいて、必要以上に仲良くすることは禁止されていたんですけどね」

■宗教自体が悪いとは言い切れない

 掟だらけの日々は、いしいさんの学生時代に暗い影を落とすことになった。しかし、それでもいしいさんは「宗教そのものを否定するつもりはない」という。

「エホバは『争いを避けるべき』という考え方なので、少なくとも私の周りの信者たちは、基本的には穏やかで優しい人たちばかりでした。宗教自体が悪いとは言い切れないけど、二世として活動させられていた時は、つらいことも多かった。正直、どこに罪をもっていけばいいのかわからないんです」

 現在いしいさんは宗教から離れているが、同じ境遇の二世の中には、そのまま洗礼を受け、信者として活動を続けている人もいる。

「エホバの信者は奉仕活動などを優先しないといけないので、正社員として働くのも難しいし、掟も多いので、それ以外の場所で生きていくこと自体が、厳しいのではないかと思います。それに、正しいこととダメなことが明確に決まっていて、その通りに暮らしていれば幸せが保証されているというのは、ある意味、葛藤が少なくて楽な部分もあると思います」

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 物心ついた時から、エホバの活動に加わっていたいしいさん。しかし、エホバが説く終末思想や永遠の命などを完全に信じていたわけではなかったと話す。

「正直、神様と言われても、実感が湧かなかった。だから、信仰のせいで学校の行事に参加できない時は、ひたすら恥ずかしくて、つらくて、消えたい気持ちでいっぱいでしたね。それでも掟に従っていたのは、破ると母親にむちで叩かれるから」

 エホバでは親に従順であることが義務付けられており、いしいさんも少しでも反抗しようものなら、すぐにベルトで叩かれていたという。

「そうでなくとも、母親に逆らって悲しませるのは嫌だなと常々思っていました。自分がどうしたいかよりも、いつも母親のことばかりを考えていたから、今でも本当の自分の感情がわからなくなる時があるんです」

 いしいさんの著書『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』は、主に母親といしいさんが送ってきた日々を中心に描かれている。同書は単なる宗教の暴露本ではなく、母と娘の関係性についても考えさせられる内容だ。

「高校生の頃は、宗教にのめり込んでいた母親に怒りの矛先が向いた時もありました。その一方で、母親は私のためを思って二世として育ててきたわけですから、それを信じてあげられない自分に対する罪悪感もあります。宗教のせいでつらい思いもしたけど、母親に悪気はないわけです……まだ気持ちの面で、母親や宗教に対する決着はついていないですね」

 謎に包まれたエホバの信者の日常は、知らなかった人にとっては衝撃的な内容だが、親と子とのままならない関係性については、共感を覚える人も多いのではないだろうか。
(松原麻依/清談社)

女子力のない男子は読んではいけない!? 未完の大ヒット少女マンガ『NANA』

 皆さんにとって、名前が「ナナ」の芸能人といったら誰でしょうか? 小松菜奈、水樹奈々、片瀬那奈、榮倉奈々、鈴木奈々、夏目ナナ、木の実ナナなどなど……いずれ劣らぬ大物ナナばかりですが(最後は別格)、今回ご紹介したいのは、ある意味日本一有名な「ナナ」、大ヒット少女マンガの『NANA』(集英社)であります。

 少女マンガの単行本発行部数では歴代3位、アニメ化、ゲーム化、映画化もされました。映画でヒロインを演じた中島美嘉や宮崎あおいは、この映画がきっかけでブレイク。作品の影響でルームシェアをする女子が続出……などなど、社会現象にまでなったカリスマ少女マンガ『NANA』ですが、それ故に男子にはとっつきづらく、敬遠したくなるような、少女マンガ色が特に濃い作品でもあります。今回はそんな『NANA』を、名前は知っているけど読んだことがない男子向けにご紹介したいと思います。

『NANA』は集英社の少女マンガ雑誌「Cookie」で2000年から連載中のマンガです。え? 連載中だったの!? ……そうなんです、実は『NANA』はまだ完結していません。作者・矢沢あい先生の急病により09年から休載となっており、単行本の最新刊となる21巻も同年に発売されたままです。当時『NANA』を愛読していた少女たちは、かれこれ9年間も22巻の発売を待ち続けているわけですが、いまだに発売のめどは立っていません。

 そんな『NANA』のストーリーをざっくり紹介すると、恋に生きる女・小松奈々と、男勝りなヴォーカリスト・大崎ナナという性格もルックスも真逆の2人のNANAの友情を中心に、「ブラスト」と「トラネス」という人気バンドのメンバー&関係者の泥沼な恋愛模様を描いた作品です。

 これだけだと、あまりに紹介が薄っぺらすぎて、『NANA』の魅力が全く伝わらないと思うので、多くの女子たちを虜にしてきた『NANA』のスゴい部分を詳しくご紹介していきたいと思います。

 

■斬新なプロローグ

 

『NANA』は単行本第1巻をまるまるプロローグに使う大胆な構成となっており、これから起こる物語の壮大さを予感させます。1巻の前半が小松奈々、後半は大崎ナナ、2人がそれぞれ上京することになるまでのエピソードが別々に描かれており、2巻になって初めて2人のNANAが出会います。

 奈々とナナは、たまたま東京行きの新幹線で隣同士となり、年齢も名前も同じということで意気投合。東京駅で連絡先も聞かずにそのまま別れたはずだったのに、部屋探しをしている時に再会。たまたま同じ物件を内覧に来ていたのです。そして運命の再会を果たした2人は、そのままルームシェアをすることに。しかも、その部屋番号は偶然にも707号室! ベタなぐらいにドラマティックな奇跡のオンパレードです。

 

■小松奈々の尻軽さがスゴい

 

 Wヒロインの片割れ、小松奈々は、常に男と付き合っていないと生きていけない恋愛依存体質。サラリーマンと不倫していたかと思えば、上京してからも立て続けに彼氏を3回乗り換えるなど、とにかくイケメンに目がありません。

 しかし作品の「陽」の部分を支えるムードメーカーでもあります。とにかく明るくてポジティブ。彼氏に二股かけられても、前彼との間に子どもができたのが発覚して彼氏と修羅場になっても、ポジティブポジティブ! 客観的に見て、かなりの地雷女なのですが、彼女こそが作品を盛り上げる最重要人物と言えます。

 ちなみに作品中での奈々のあだ名は「ハチ」です。大崎ナナと区別するために「ハチ(8)」と呼ばれるようになるのですが、「ハチ」が転じて「ハチ子」「ハチ公」そして「犬」などと呼ばれるようになったりして、なかなか酷い主役の扱いです。でもポジティブ!

■大崎ナナの心の闇がスゴい

 

 もう一人のヒロイン、大崎ナナは言うなれば本作品の「陰」の存在。パンクロックバンド「ブラックストーンズ(通称:ブラスト)」のカリスマ女性ヴォーカリストとして、常にパンキッシュでクールなファッションに身を包んでおり、男勝りな性格で、いわゆるサバサバ系なのですが、幼少期に母親に捨てられたことや、学生時代は友達が全然いなかったことなど、複雑で謎の多い生い立ちが、常に暗い影を落としています。

 男関係では、もともとブラストのメンバーで、メジャーバンド「トラップネスト(通称:トラネス)」に移籍した本城蓮(レン)と恋人関係にあります。レンに一途なナナは、レンの首に南京錠のネックレスをつけ、その鍵はナナが持っているという「シド&ナンシー」を彷彿とさせるエピソードがあったり、蓮(レン)の名前からとった蓮(はす)のタトゥーを腕に入れていたりなど、浮気でもしようもんなら後ろから刺しそうな勢いです。

 ナナは作品中盤までは、とにかくクールでカッコいいキャラクターなのですが、親友だった奈々がトラネスのリーダー・タクミとデキちゃった婚をして距離ができたことや、レンとの関係性が悪くなってきたことで、次第に情緒不安定な鬱っぽいキャラクターになっていきます。

 

■サークルクラッシャーの歌姫・レイラ

 

 天使のような歌声を持つハーフの歌姫、「トラネス」のヴォーカリスト・レイラは、作品中で圧倒的な歌唱力を持つ聖なる存在として描かれていますが、芸能人として常に周りから注目されているが故に、自由に恋愛ができず欲求不満に陥ります。結果として、ナナの恋人(のちに夫)・レン、奈々の夫・タクミ、ブラストの未成年ベーシスト・シンなどの身近な男子たちにちょっかいを出し、いろんなトラブルを巻き起こします。

 特に、作品後半ではレイラに関わった男たちは、逮捕されて留置所に行ったり、写真週刊誌にスキャンダルを報じられたり、交通事故に遭ったり……と、ことごとく不幸になるという、疫病神的存在になります。『NANA』の地雷女といえば小松奈々だったはずなのですが、それ以上の逸材が現れたのです。これこそまさにサークルクラッシャー。

 

■イケメンだからクズでも許されるバンドマンたち

 

 本作品に出てくる男性キャラクターは、ナナの所属する「ブラスト」やレンの所属する「トラネス」のメンバーが中心で、当然のことながら9割方イケメンです。

 ブラストのリーダー「ヤス」は弁護士の資格も持っており、困っている人がいたら放っておけない心優しきナイスガイ。スキンヘッドにサングラスで見た目はかなりイカツいけど、頼れるいいやつです。

 ブラストのギター「ノブ」は実家が旅館をやっているお坊ちゃま育ち。学生時代に孤立していたナナをバンドに誘ったのがノブでした。とても優しい性格の持ち主で、奈々に振られた後は、未練タラタラでAV女優と付き合っているナイスガイです。

 ブラストのベース「シン」は未成年でありながら、お金を持ってるお姉さんたちにウリをして、生計を立てている小悪魔的イケメンですが、どこか憎めない、いいやつです。

 トラネスのリーダーで奈々とデキ婚した「タクミ」は、女癖が悪く、暴君とあだ名されるほど暴力的な部分もありますが、機嫌のいい時はとても優しい。トラネスをメジャーバンドに押し上げるほどの才能を持つナイスガイです。

 トラネスのギター「レン」は、ナナと出会う前は女を取っ替え引っかえしていましたが、ナナに会ってからは、すっかり一途な男です。ヤク中だけどナイスガイです(ダメじゃん)。

 そんな感じで『NANA』の世界では男たちはみんな女子に優しい王子様。ちょっとばっかりクズもいるけど、女子を虜にする魅力に溢れているのです。

 

■不穏なポエムが心をかき乱す

 

『NANA』は、さすが大ヒット少女マンガだけあって、不倫、妊娠、リスカ、ドラッグ、恋人の死などなど……少女マンガで盛り上がりがちなドロッドロ要素が余すところなくストーリーに盛り込まれています。

 さらに、作品をドラマティックに盛り上げているのが、毎回ストーリーの冒頭に挿入される不吉な将来を暗示させるモノローグ。

あれだけいつも一緒にいたのに

少しもナナの事

分かってなんかいなかった

傷つけている事にさえ

気づかなかった

あたしを許して

ねえ ナナ

今も恋する乙女達は

ナナの歌を聴きながら

ナナとレンの物語を

語り継いでいるよ

だけど あたしが見たかったのは

あんな悲しい結末じゃなかったのに

……などなど、ええっ、将来いったい何があるのー!? ってなりますよね。どう考えてもバッドエンドに向かっている感じが不穏過ぎます。しかもこれだけ将来に向けて伏線を張っていながら、連載が止まっていて結末がわからないもどかしさ。

 というわけで、モテ系バンドでチャラついた美男美女がキャッキャウフフするラブコメだと思って読むと、実は重~い裏テーマが潜んでおり、大ヤケドしかねない少女マンガ『NANA』をご紹介してみました。男子も、己の中に持つ女子力を全力で開放して読まないとメンタルがやられてしまうかもしれません。そのぐらいパワーをもった作品といえるでしょう。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

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女子力のない男子は読んではいけない!? 未完の大ヒット少女マンガ『NANA』

 皆さんにとって、名前が「ナナ」の芸能人といったら誰でしょうか? 小松菜奈、水樹奈々、片瀬那奈、榮倉奈々、鈴木奈々、夏目ナナ、木の実ナナなどなど……いずれ劣らぬ大物ナナばかりですが(最後は別格)、今回ご紹介したいのは、ある意味日本一有名な「ナナ」、大ヒット少女マンガの『NANA』(集英社)であります。

 少女マンガの単行本発行部数では歴代3位、アニメ化、ゲーム化、映画化もされました。映画でヒロインを演じた中島美嘉や宮崎あおいは、この映画がきっかけでブレイク。作品の影響でルームシェアをする女子が続出……などなど、社会現象にまでなったカリスマ少女マンガ『NANA』ですが、それ故に男子にはとっつきづらく、敬遠したくなるような、少女マンガ色が特に濃い作品でもあります。今回はそんな『NANA』を、名前は知っているけど読んだことがない男子向けにご紹介したいと思います。

『NANA』は集英社の少女マンガ雑誌「Cookie」で2000年から連載中のマンガです。え? 連載中だったの!? ……そうなんです、実は『NANA』はまだ完結していません。作者・矢沢あい先生の急病により09年から休載となっており、単行本の最新刊となる21巻も同年に発売されたままです。当時『NANA』を愛読していた少女たちは、かれこれ9年間も22巻の発売を待ち続けているわけですが、いまだに発売のめどは立っていません。

 そんな『NANA』のストーリーをざっくり紹介すると、恋に生きる女・小松奈々と、男勝りなヴォーカリスト・大崎ナナという性格もルックスも真逆の2人のNANAの友情を中心に、「ブラスト」と「トラネス」という人気バンドのメンバー&関係者の泥沼な恋愛模様を描いた作品です。

 これだけだと、あまりに紹介が薄っぺらすぎて、『NANA』の魅力が全く伝わらないと思うので、多くの女子たちを虜にしてきた『NANA』のスゴい部分を詳しくご紹介していきたいと思います。

 

■斬新なプロローグ

 

『NANA』は単行本第1巻をまるまるプロローグに使う大胆な構成となっており、これから起こる物語の壮大さを予感させます。1巻の前半が小松奈々、後半は大崎ナナ、2人がそれぞれ上京することになるまでのエピソードが別々に描かれており、2巻になって初めて2人のNANAが出会います。

 奈々とナナは、たまたま東京行きの新幹線で隣同士となり、年齢も名前も同じということで意気投合。東京駅で連絡先も聞かずにそのまま別れたはずだったのに、部屋探しをしている時に再会。たまたま同じ物件を内覧に来ていたのです。そして運命の再会を果たした2人は、そのままルームシェアをすることに。しかも、その部屋番号は偶然にも707号室! ベタなぐらいにドラマティックな奇跡のオンパレードです。

 

■小松奈々の尻軽さがスゴい

 

 Wヒロインの片割れ、小松奈々は、常に男と付き合っていないと生きていけない恋愛依存体質。サラリーマンと不倫していたかと思えば、上京してからも立て続けに彼氏を3回乗り換えるなど、とにかくイケメンに目がありません。

 しかし作品の「陽」の部分を支えるムードメーカーでもあります。とにかく明るくてポジティブ。彼氏に二股かけられても、前彼との間に子どもができたのが発覚して彼氏と修羅場になっても、ポジティブポジティブ! 客観的に見て、かなりの地雷女なのですが、彼女こそが作品を盛り上げる最重要人物と言えます。

 ちなみに作品中での奈々のあだ名は「ハチ」です。大崎ナナと区別するために「ハチ(8)」と呼ばれるようになるのですが、「ハチ」が転じて「ハチ子」「ハチ公」そして「犬」などと呼ばれるようになったりして、なかなか酷い主役の扱いです。でもポジティブ!

■大崎ナナの心の闇がスゴい

 

 もう一人のヒロイン、大崎ナナは言うなれば本作品の「陰」の存在。パンクロックバンド「ブラックストーンズ(通称:ブラスト)」のカリスマ女性ヴォーカリストとして、常にパンキッシュでクールなファッションに身を包んでおり、男勝りな性格で、いわゆるサバサバ系なのですが、幼少期に母親に捨てられたことや、学生時代は友達が全然いなかったことなど、複雑で謎の多い生い立ちが、常に暗い影を落としています。

 男関係では、もともとブラストのメンバーで、メジャーバンド「トラップネスト(通称:トラネス)」に移籍した本城蓮(レン)と恋人関係にあります。レンに一途なナナは、レンの首に南京錠のネックレスをつけ、その鍵はナナが持っているという「シド&ナンシー」を彷彿とさせるエピソードがあったり、蓮(レン)の名前からとった蓮(はす)のタトゥーを腕に入れていたりなど、浮気でもしようもんなら後ろから刺しそうな勢いです。

 ナナは作品中盤までは、とにかくクールでカッコいいキャラクターなのですが、親友だった奈々がトラネスのリーダー・タクミとデキちゃった婚をして距離ができたことや、レンとの関係性が悪くなってきたことで、次第に情緒不安定な鬱っぽいキャラクターになっていきます。

 

■サークルクラッシャーの歌姫・レイラ

 

 天使のような歌声を持つハーフの歌姫、「トラネス」のヴォーカリスト・レイラは、作品中で圧倒的な歌唱力を持つ聖なる存在として描かれていますが、芸能人として常に周りから注目されているが故に、自由に恋愛ができず欲求不満に陥ります。結果として、ナナの恋人(のちに夫)・レン、奈々の夫・タクミ、ブラストの未成年ベーシスト・シンなどの身近な男子たちにちょっかいを出し、いろんなトラブルを巻き起こします。

 特に、作品後半ではレイラに関わった男たちは、逮捕されて留置所に行ったり、写真週刊誌にスキャンダルを報じられたり、交通事故に遭ったり……と、ことごとく不幸になるという、疫病神的存在になります。『NANA』の地雷女といえば小松奈々だったはずなのですが、それ以上の逸材が現れたのです。これこそまさにサークルクラッシャー。

 

■イケメンだからクズでも許されるバンドマンたち

 

 本作品に出てくる男性キャラクターは、ナナの所属する「ブラスト」やレンの所属する「トラネス」のメンバーが中心で、当然のことながら9割方イケメンです。

 ブラストのリーダー「ヤス」は弁護士の資格も持っており、困っている人がいたら放っておけない心優しきナイスガイ。スキンヘッドにサングラスで見た目はかなりイカツいけど、頼れるいいやつです。

 ブラストのギター「ノブ」は実家が旅館をやっているお坊ちゃま育ち。学生時代に孤立していたナナをバンドに誘ったのがノブでした。とても優しい性格の持ち主で、奈々に振られた後は、未練タラタラでAV女優と付き合っているナイスガイです。

 ブラストのベース「シン」は未成年でありながら、お金を持ってるお姉さんたちにウリをして、生計を立てている小悪魔的イケメンですが、どこか憎めない、いいやつです。

 トラネスのリーダーで奈々とデキ婚した「タクミ」は、女癖が悪く、暴君とあだ名されるほど暴力的な部分もありますが、機嫌のいい時はとても優しい。トラネスをメジャーバンドに押し上げるほどの才能を持つナイスガイです。

 トラネスのギター「レン」は、ナナと出会う前は女を取っ替え引っかえしていましたが、ナナに会ってからは、すっかり一途な男です。ヤク中だけどナイスガイです(ダメじゃん)。

 そんな感じで『NANA』の世界では男たちはみんな女子に優しい王子様。ちょっとばっかりクズもいるけど、女子を虜にする魅力に溢れているのです。

 

■不穏なポエムが心をかき乱す

 

『NANA』は、さすが大ヒット少女マンガだけあって、不倫、妊娠、リスカ、ドラッグ、恋人の死などなど……少女マンガで盛り上がりがちなドロッドロ要素が余すところなくストーリーに盛り込まれています。

 さらに、作品をドラマティックに盛り上げているのが、毎回ストーリーの冒頭に挿入される不吉な将来を暗示させるモノローグ。

あれだけいつも一緒にいたのに

少しもナナの事

分かってなんかいなかった

傷つけている事にさえ

気づかなかった

あたしを許して

ねえ ナナ

今も恋する乙女達は

ナナの歌を聴きながら

ナナとレンの物語を

語り継いでいるよ

だけど あたしが見たかったのは

あんな悲しい結末じゃなかったのに

……などなど、ええっ、将来いったい何があるのー!? ってなりますよね。どう考えてもバッドエンドに向かっている感じが不穏過ぎます。しかもこれだけ将来に向けて伏線を張っていながら、連載が止まっていて結末がわからないもどかしさ。

 というわけで、モテ系バンドでチャラついた美男美女がキャッキャウフフするラブコメだと思って読むと、実は重~い裏テーマが潜んでおり、大ヤケドしかねない少女マンガ『NANA』をご紹介してみました。男子も、己の中に持つ女子力を全力で開放して読まないとメンタルがやられてしまうかもしれません。そのぐらいパワーをもった作品といえるでしょう。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

◆「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

コロコロ“チンギス・ハン侮辱問題”に絡む、危ない筋……抗議デモ参加者「編集者に刺客を送る!」

 モンゴルの英雄チンギス・ハンの肖像画に侮辱的な落書きをした漫画が掲載されたことで、小学館は問題の「月刊コロコロコミック」3月号を販売中止にしたが、抗議の声は今も続いているという。そんな中、「担当編集者に刺客を送る」と物騒な話をする人物も現れている。

「社屋前で行われた抗議デモの参加者に『危ない筋』の人間がいて、社員に『担当編集者の名前を教えろ、刺客を送り込むぞ』などと叫んでいたそうです」

 こう話すのは同社が発行する雑誌の関係者だ。

「目撃された危ない筋というのは、ウチの雑誌が朝青龍の批判記事を書いたときに、執筆者のフリーライターを脅した人物だというんです」(同関係者)

 その人物は、現役時代の朝青龍と友人関係であることを自慢げに公言し、暴行騒動による引退の際も朝青龍を批判した記事にクレームを付けていたことで知られる。

「前に編集者を脅したときも『モンゴルのヒットマンを送り込むぞ』と言っていたんです。問題は、その人物が暴力団関係者と見られていることです。以前から暴力団と親しいことを吹聴していて、一時はプロレスや格闘技団体が興行の開催時にヤクザに支払う“みかじめ料”の受け渡し役をしていたんです。過去、その過程でトラブルになった相手を取り囲み、暴力団組織の実名を出しながらナイフで脅して逮捕されたこともあります」(同)

 なんとも厄介な人間が絡んできたように見える本件、問題の漫画誌は販売中止にはなったが、それは発売から約3週間が経過しての措置で、皮肉にも今回の話題で売れ行きがよく実質ネット上などでは流通しており、一部モンゴル人たちの怒りが収まってはいないのは確かだ。そのため、この騒動はモンゴル語にも翻訳されて、モンゴル国民の知るところにもなっている。

「モンゴル帝国の創設者、政治家のチンギス・ハンはリーダーであるだけでなく、世界的に有名な歴史上の人物として、アメリカの『ワシントン・ポスト』紙でも『過去1000年で最も重要な人物』のひとりに選ばれている。2005年には建国800年を記念し、チンギスハンが長年の戦いの末、モンゴル統一を成し遂げたことも祝われ、街には彼の名前が溢れかえった。国会議事堂前には巨大な銅像があり、国際空港はチンギス・ハン空港に改名された。そんな偉大な人物を日本では、漫画誌で侮辱し世界中に広めたのである」(モンゴルのニュースサイトより翻訳)

 記事には、モンゴルの超有名人である元横綱の朝青龍が問題の漫画を発見し、広く伝えたことも記されている。問題になったのは吉野あすみ作『やりすぎ!!!イタズラくん』内で、「チンギス・ハン」を「チンチン」と書き換え、肖像画の額に男性器に見える落書きを書き足したものが載せられた。これは同誌で「イタズラクガキコンテスト開催」として、「偉人さんの絵にイタズラ描き!そのおもしろさを競うコンテストだ!」と一般公募していた流れのもので、ほかに足利義満の肖像画に涙やおしゃぶり、「おっぱいのみてえ」のセリフを書き足した「作例」を載せ、チンギス・ハンの肖像画もお題として掲載した。

 いくら子ども向けの漫画誌とはいえ、あまりに低俗すぎる企画ではあり、後に作者の吉野氏は「モンゴル国の歴史と文化について不見識だった」と謝罪したが、抗議の声には「チンギス・ハンが英雄だからダメなのではなく、過去に実在した人物を侮辱するネタ自体が間違っている。自分の先祖がそんなことをされて喜ぶ人はいない」というものもある。

 このほか、在日モンゴル大使館やモンゴル人団体などが抗議しているものは正当な申し入れだが、小学館関係者が恐れるのは先に述べた「危ない筋」の動きだ。

 何しろこの人物については、ほかでもトラブルの過去が次々と聞かれ、揉めた相手に「刺客を送る」と言うのは初めての話ではないというのだ。

「当人はモンゴルと深い関係にあるようには見えず、これまでの抗議はおそらく元横綱やモンゴル人たちに恩を売って、なんらかのメリットにしようという魂胆があるのでは」(前出関係者)

 そうであれば本気で「ヒットマン」を送り込むというわけではなさそうだが、小学館にとってはモンゴル関連団体の抗議以上に厄介な話。馬鹿げた企画が招いた点では自業自得ともいえるのだが……。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

コロコロ“チンギス・ハン侮辱問題”に絡む、危ない筋……抗議デモ参加者「編集者に刺客を送る!」

 モンゴルの英雄チンギス・ハンの肖像画に侮辱的な落書きをした漫画が掲載されたことで、小学館は問題の「月刊コロコロコミック」3月号を販売中止にしたが、抗議の声は今も続いているという。そんな中、「担当編集者に刺客を送る」と物騒な話をする人物も現れている。

「社屋前で行われた抗議デモの参加者に『危ない筋』の人間がいて、社員に『担当編集者の名前を教えろ、刺客を送り込むぞ』などと叫んでいたそうです」

 こう話すのは同社が発行する雑誌の関係者だ。

「目撃された危ない筋というのは、ウチの雑誌が朝青龍の批判記事を書いたときに、執筆者のフリーライターを脅した人物だというんです」(同関係者)

 その人物は、現役時代の朝青龍と友人関係であることを自慢げに公言し、暴行騒動による引退の際も朝青龍を批判した記事にクレームを付けていたことで知られる。

「前に編集者を脅したときも『モンゴルのヒットマンを送り込むぞ』と言っていたんです。問題は、その人物が暴力団関係者と見られていることです。以前から暴力団と親しいことを吹聴していて、一時はプロレスや格闘技団体が興行の開催時にヤクザに支払う“みかじめ料”の受け渡し役をしていたんです。過去、その過程でトラブルになった相手を取り囲み、暴力団組織の実名を出しながらナイフで脅して逮捕されたこともあります」(同)

 なんとも厄介な人間が絡んできたように見える本件、問題の漫画誌は販売中止にはなったが、それは発売から約3週間が経過しての措置で、皮肉にも今回の話題で売れ行きがよく実質ネット上などでは流通しており、一部モンゴル人たちの怒りが収まってはいないのは確かだ。そのため、この騒動はモンゴル語にも翻訳されて、モンゴル国民の知るところにもなっている。

「モンゴル帝国の創設者、政治家のチンギス・ハンはリーダーであるだけでなく、世界的に有名な歴史上の人物として、アメリカの『ワシントン・ポスト』紙でも『過去1000年で最も重要な人物』のひとりに選ばれている。2005年には建国800年を記念し、チンギスハンが長年の戦いの末、モンゴル統一を成し遂げたことも祝われ、街には彼の名前が溢れかえった。国会議事堂前には巨大な銅像があり、国際空港はチンギス・ハン空港に改名された。そんな偉大な人物を日本では、漫画誌で侮辱し世界中に広めたのである」(モンゴルのニュースサイトより翻訳)

 記事には、モンゴルの超有名人である元横綱の朝青龍が問題の漫画を発見し、広く伝えたことも記されている。問題になったのは吉野あすみ作『やりすぎ!!!イタズラくん』内で、「チンギス・ハン」を「チンチン」と書き換え、肖像画の額に男性器に見える落書きを書き足したものが載せられた。これは同誌で「イタズラクガキコンテスト開催」として、「偉人さんの絵にイタズラ描き!そのおもしろさを競うコンテストだ!」と一般公募していた流れのもので、ほかに足利義満の肖像画に涙やおしゃぶり、「おっぱいのみてえ」のセリフを書き足した「作例」を載せ、チンギス・ハンの肖像画もお題として掲載した。

 いくら子ども向けの漫画誌とはいえ、あまりに低俗すぎる企画ではあり、後に作者の吉野氏は「モンゴル国の歴史と文化について不見識だった」と謝罪したが、抗議の声には「チンギス・ハンが英雄だからダメなのではなく、過去に実在した人物を侮辱するネタ自体が間違っている。自分の先祖がそんなことをされて喜ぶ人はいない」というものもある。

 このほか、在日モンゴル大使館やモンゴル人団体などが抗議しているものは正当な申し入れだが、小学館関係者が恐れるのは先に述べた「危ない筋」の動きだ。

 何しろこの人物については、ほかでもトラブルの過去が次々と聞かれ、揉めた相手に「刺客を送る」と言うのは初めての話ではないというのだ。

「当人はモンゴルと深い関係にあるようには見えず、これまでの抗議はおそらく元横綱やモンゴル人たちに恩を売って、なんらかのメリットにしようという魂胆があるのでは」(前出関係者)

 そうであれば本気で「ヒットマン」を送り込むというわけではなさそうだが、小学館にとってはモンゴル関連団体の抗議以上に厄介な話。馬鹿げた企画が招いた点では自業自得ともいえるのだが……。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

「ネトラン」の頃とは時代が違うんだよ! 「漫画村プロ」は“断末魔のひと稼ぎ”なのか

 こんなドロボー、見たことない。海賊版サイト「漫画村」が、新たな「サービス」という名の万引き商売を計画し、マンガ家たちの怒りの炎に油を注いでいる。

 新たに告知された「漫画村プロ」だ。4月から5月にかけてリリースすると告知しているそれは、月額500円の有料版。

 すべての広告を除去し、アダルト作品の非表示選択、ZIP形式での画像ダウンロードなどの機能を提供するとしている。

 この告知の中で「漫画村」は、「漫画家さんが無料で広告してくれた」として、この2カ月間に利用者は1.8倍に増加。「ユーザーが増えて維持費がアップした」としている。この新たな万引き商売の告知は、極めて挑発的な文章で、煽りに煽りを重ねている状況だ。

 だが「漫画村プロ」のリリース告知は、いよいよ「漫画村」が追い詰められている状況を示すものとの見方が強い。おそらくは、摘発の可能性も高まった中で「漫画村プロ」を通じて、クレジットカード情報やメールアドレスなどを収集。それを転売することで、最後のひと稼ぎを目指しているのではないかとみられている。

 まさに「盗っ人猛々しい」の言葉そのままのような所業。でも、この間、典型的な海賊版サイトとして「漫画村」の名前が幾度も取り上げられたことが広告となってしまったのも事実である。

 現に、Googleなどで「漫画村」を検索すればトップに表示される。対して、それがいかに問題なのかを解説するサイトなどは、もっと後のほうにしか表示されない。

 プロバイダなどを通じて、特定のサイトへのアクセスを遮断すること。あるいは、違法にアップロードされたデータをダウンロードそのものに処罰を加えることは、言論/表現の自由の視点からは、避けたいものだ。

 ゆえに、有効な手段は「漫画村」の利用が商店からモノを盗むのと同等の行為であるということを、より多くの人に理解させることだろう。

 どうしても、デジタルデータというものの価値は低く見られ、容易に海賊版サイトは利用されてしまいがちだ。かつて、インターネットでは、そうした行為が「ハッカーかなんかみたいでカッコイイ」という風潮もあった。でも、もうそんな時代ではないことが、わからぬ人はいないだろう。「ネトラン」の頃とは時代が違うんだよ。
(文=昼間 たかし)

「ネトラン」の頃とは時代が違うんだよ! 「漫画村プロ」は“断末魔のひと稼ぎ”なのか

 こんなドロボー、見たことない。海賊版サイト「漫画村」が、新たな「サービス」という名の万引き商売を計画し、マンガ家たちの怒りの炎に油を注いでいる。

 新たに告知された「漫画村プロ」だ。4月から5月にかけてリリースすると告知しているそれは、月額500円の有料版。

 すべての広告を除去し、アダルト作品の非表示選択、ZIP形式での画像ダウンロードなどの機能を提供するとしている。

 この告知の中で「漫画村」は、「漫画家さんが無料で広告してくれた」として、この2カ月間に利用者は1.8倍に増加。「ユーザーが増えて維持費がアップした」としている。この新たな万引き商売の告知は、極めて挑発的な文章で、煽りに煽りを重ねている状況だ。

 だが「漫画村プロ」のリリース告知は、いよいよ「漫画村」が追い詰められている状況を示すものとの見方が強い。おそらくは、摘発の可能性も高まった中で「漫画村プロ」を通じて、クレジットカード情報やメールアドレスなどを収集。それを転売することで、最後のひと稼ぎを目指しているのではないかとみられている。

 まさに「盗っ人猛々しい」の言葉そのままのような所業。でも、この間、典型的な海賊版サイトとして「漫画村」の名前が幾度も取り上げられたことが広告となってしまったのも事実である。

 現に、Googleなどで「漫画村」を検索すればトップに表示される。対して、それがいかに問題なのかを解説するサイトなどは、もっと後のほうにしか表示されない。

 プロバイダなどを通じて、特定のサイトへのアクセスを遮断すること。あるいは、違法にアップロードされたデータをダウンロードそのものに処罰を加えることは、言論/表現の自由の視点からは、避けたいものだ。

 ゆえに、有効な手段は「漫画村」の利用が商店からモノを盗むのと同等の行為であるということを、より多くの人に理解させることだろう。

 どうしても、デジタルデータというものの価値は低く見られ、容易に海賊版サイトは利用されてしまいがちだ。かつて、インターネットでは、そうした行為が「ハッカーかなんかみたいでカッコイイ」という風潮もあった。でも、もうそんな時代ではないことが、わからぬ人はいないだろう。「ネトラン」の頃とは時代が違うんだよ。
(文=昼間 たかし)

芳文社「まんがタイムファミリー」「ジャンボ」の休刊は、売れてないからじゃない! その真相とは……

「さすがに“まんがタイム”レーベルの雑誌は飽和状態になっていましたし、昨年から再編は予定されていたようです」

 そう話すのは、マンガ業界に詳しい編集者だ。四コママンガ雑誌の雄である芳文社が、突如「まんがタイムファミリー」と「まんがタイムジャンボ」の休刊を発表し、話題になっている。「まんがタイムファミリー」は1983年に、「ジャンボ」は95年に創刊された雑誌。どちらも、芳文社が刊行する「まんがタイム」の名を冠した四コマ誌の中でも、歴史のある雑誌である。

 芳文社は「まんがタイム」とは別に萌え系四コマが主体の「まんがタイムきらら」レーベルの雑誌も多数刊行。以前は「まんがタイム」が従来のいわゆる大人向け四コマ、「まんがタイムきらら」は萌え系四コマと住み分けがあった。しかし、近年ではアニメ化もされた『レーカン!』が「まんがタイムジャンボ」の連載作だったりと、住み分けは曖昧になっていた。

 そうした中で2誌が休刊に至った背景には、昨年来の人手不足に伴う再編があるのではないかと、ウワサされている。

 昨年10月には「まんがタイムきらら」レーベルで多数のアニメ化作品も掲載されていた「まんがタイムきららミラク」が、突然休刊を発表。この理由とされたのが人手不足と、増えすぎた雑誌の統廃合である。

「四コママンガに限っていえば、芳文社はいまだに同業他社の追随を許してはいません。ただ、マンガ雑誌そのものを“なんとなく買う”という人々が減少している中で、『刊行点数を増やして儲ける』とはいかなくなっています。雑誌の統廃合は、結果的に掲載作品のレベルアップにもつながると考えているのではないでしょうか」(冒頭の編集者)

 萌え系四コマが目立つ芳文社だが、植田まさしの『おとぼけ部長代理』が掲載される「まんがタイム」や、実験作も多数掲載される青年誌「週刊漫画TIMES」なども、いまだ手堅く部数を維持している。

 今回の2誌の休刊は「雑誌が売れない」といわれる風潮とは、まったく無縁のようだ。
(文=四コマ取材班)