テレビ朝日、突然の『土曜ワイド劇場』打ち切りは“下請けイジメ”!? 制作会社が連鎖倒産の恐れ

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『土曜ワイド劇場』テレビ朝日
 テレビ朝日が4月の番組改編で、歴史ある『土曜ワイド劇場』を打ち切って、情報番組『サタデーステーション』をスタートさせる。それに伴い、ドラマ制作を請け負っていた制作会社が経営危機に陥り、何社か倒産するのではないかといわれている。 『土曜ワイド』は1977年にスタート。『西村京太郎トラベルミステリー』や『家政婦は見た!』などの人気シリーズが生まれた。現在、水曜夜9時から放送されているテレ朝の人気ドラマシリーズ『相棒』も、当初は土曜ワイドの単発でスタートした作品。ドラマの制作はテレ朝と系列の朝日放送が分担して行っているが、実態は、下請けのドラマ制作会社に丸投げしている状況だ。  現在も継続しているシリーズは、テレ朝が高橋英樹主演の『西村京太郎トラベルミステリー』をはじめ27本。朝日放送は三浦友和主演の『はみだし弁護士・巽志郎』をはじめ14本。計41本もあった。それが、いきなり『土曜ワイド』枠ごと打ち切られるのだ。  シリーズをアテにしていたレギュラーの俳優や女優は、大きな収入源が絶たれる。さらに、これまでも制作費のコストダウンを強いられ、さんざん泣かされてきた制作会社が経営危機に陥るのは目に見えている。 『土曜ワイド』1本あたりの制作費は、当初は6,000~8,000万円だったが、最近は1本あたり3,000万円、高くて5,000万円だという。この制作費だと、ちょっとでも撮影の予定が狂えば、赤字になることもしばしば。出演者のギャラも遅配するほどの、自転車操業の制作会社が大半を占めているという。  制作会社関係者によると「『土曜ワイド』がなくなって、すでに何社かの倒産がウワサされています。そうした制作会社は今後、ネットオリジナルドラマなどの制作にも手を広げていかないと食い扶持を確保できませんが、いずれにせよ、圧迫されたコストの中、ギリギリの経営を強いられるのは間違いありません」と嘆く。 『サタデーステーション』の初ネタが、「土曜ワイド劇場の制作会社、倒産」になったら、シャレにならない。 (文=本多圭)

『E.T.』『スタンド・バイ・ミー』好きにはたまらない! Netflix無料お試し期間中に見るべき3作

 次から次へと新作が上陸してくる海外ドラマ。前回は、数あるドラマの中から何を見るか、迷った時のとっかかりとして最新ドラマを紹介したが、現在の海外ドラマ市場において外せないのが、配信サービスのドラマ群だ。日本にも複数のサービスが登場しているが、海外ドラマファン的にまずチェックしておきたいのは、Netflix、Amazon、Huluの3大配信サービス。どれか1つでも押さえておけば、海外ドラマライフはかなり充実するはずだ。  配信サービスのうれしいポイントは、どのサービスも、無料のお試し期間があること。そこで、無料お試し期間中にトライできるオススメのドラマを、サービス別にご紹介! 第1弾は、急速に配信市場を活気づけたNetflix編だ。  Netflixの海外ドラマ的ポイントは、とにかくオリジナルコンテンツが群を抜いて多いこと。以前紹介した『ハウス・オブ・カード』(参照記事1)や『ザ・クラウン』(参照記事2)といった賞レースに絡むような力作から、『The OA』のような珍品不思議系まで、そのジャンルは多岐にわたる。とにかく新作が多いのでどれをチョイスするか迷ってしまうところだが、マーケティングでユーザーの好みをドラマ制作に反映していくNetflixだけに、はやりのジャンルもしっかりと押さえている。『ウォーキング・デッド』の成功によって、エンタメ界ではすっかりゾンビ物の人気がメジャーになったが、そこで登場したのが、先月配信開始されたばかりの『サンタクラリータ・ダイエット』だ。
■『サンタクラリータ・ダイエット』  ドリュー・バリモアとティモシー・オリファントという映画界で活躍してきた2人が夫婦役となり、突然ゾンビになってしまった妻と、それに戸惑いながらも妻をフォローしていく夫の悲喜こもごもを痛烈にブラックな笑いで描くゾンビ・コメディだ。コメディだけあってゾンビ・アポカリプスもののような悲壮感は皆無で、終始一貫、とにかくあっけらかんとした雰囲気。ドリュー演じる妻シーラはゾンビになったといっても、人肉(しかもフレッシュな)を欲しがるようになった以外は生前通りのせいか、あっさりと状況を受け入れている。良くも悪くもおおらかとぶっ飛んだキャラクターは、ドリューのハマり役だ。一方、ティモシー演じる夫ジョエルは、どんどん悪化していく状況を家族愛で乗り越えようと奮闘するも、妻の尻拭いでかなりヤバい橋を渡るハメに。  そんな夫婦の一人娘アビーは、母親の変質を案外クールに受け入れる。ゾンビになって(食生活以外は)普通の日常を送るこの一家の様子は紛う方なきファミリー・ドラマだが、そこはゾンビ・ドラマ。ホラーのような怖さはないが、かなりグロ描写は多い。そもそもゾンビになる過程が、いろいろな意味で想像を絶するものだったりする。妻がゾンビになった一家の行く末は予想外の方向に進み、笑いながらも、その先の読めない展開にハマること必至だ。
■『ストレンジャー・シングス 未知の世界』  先の読めない意外性のあるドラマというのは、現在の海外ドラマでは特に重視されるポイントのひとつ。そうしたドラマの中でもオススメの秀作が『ストレンジャー・シングス 未知の世界』だ。インディアナ州の田舎町に住む12歳の少年ウィルが突如失踪したことから始まるミステリーを描く本作は、昨年ドラマ界でも話題になった注目の作品だ。物語はウィルの失踪と時を同じくして謎の少女が町に現れ、ウィルを捜していた友人のマイク、ダスティン、ルーカスは、ひょんなことから出会ったその少女を、こっそりかくまうことになる。少年たちはエルと呼ぶようになった少女と過ごすうち、彼女に不思議な力があることを知る。一方、ウィルの母ジョイスは必死にウィルを捜すうち、家の中に彼の存在を感じるようになるが……。  失踪したウィルの行方、エルの能力の真実、そして怪しい研究所など、ミステリーとして十分な魅力が詰まっている本作。だが、なんといってもこのドラマが傑作なのは、全編から立ち上る、そのジュブナイル感! マイクら少年たちとエルの、ウィルを捜す大冒険が、もう大人世代にはまぶしすぎる。ドラマは80年代が舞台ということで、『E.T.』や『スタンド・バイ・ミー』『グーニーズ』といった当時の名作映画へのオマージュが満載で、映画好きはもちろん、あの頃のピュアな気持ちを取り戻したい人にも全力でオススメできる1作だ。
■『トラベラーズ』 限られたお試し期間の中で、難しいことを考えずに、サクッとドラマを楽しみたいという人にピッタリなのが『トラベラーズ』だ。本作は滅亡の危機に瀕した未来から人類を救うため、現代にタイムトラベルした人々を描くSFエンタテインメント作品。タイムトラベルといっても生身の体で時間移動するわけではなく、未来の技術によって、もともと死ぬ予定の人の意識に入り込み、死を回避するというもの。その人物は未来のデータを元に死亡予定時刻を算出してランダムに選ばれているのだが、滅亡の危機に瀕した世界に残されているデータがそもそも完璧なものではないどころか、ソースがSNSだったりするトンデモ展開。そのため脳障害を持った人間に意識を移し、その変貌ぶりで周囲を驚かせたりと、いい具合にツッコミどころが配置されている。  タイムトラベルものの多くは過去を変えてはいけないというのがお約束だが、このドラマは過去を変えるためにあるので、それも問題なし。トラベラーズたちは結構な数、意識を飛ばしてやってきているようだが、中には現代の自由を謳歌しようとする者も。彼らに命令を下すのは、人工知能の司令官。ドラマは、物語が進むにつれ、それに危機感を抱く反対派の存在が浮上し、地球の危機を救うどころか、内部抗争へと発展。ストーリーは果たしてどこに向かうのか、続きが気になるのは間違いない。 ***  今回はオリジナル作品からチョイスしたが、実は日本初上陸のドラマも豊富なNetflix。以前紹介した『サバイバー 宿命の大統領』だけでなく、『ザ・シューター』や『ジ・アメリカンズ』など、Netflixでしか見られない独占配信のドラマも要注目だ。 ●まくた・ちひろ 映画・海外ドラマライター。『日経エンタテインメント!海外ドラマSpecial』『ゲーム・オブ・スローンズ パーフェクト・ガイド』(日経BP社)、『海外ドラマTVガイド WATCH』(東京ニュース通信社)、『映画秘宝EXドラマ秘宝vol.2~マニアのための特濃ドラマガイド』(洋泉社)等に寄稿。Twitterアカウントは@charumin

NHK新番組『ごごナマ』MCの船越英一郎が“冷戦中”の松居一代と「絶対に離婚できない」ワケ

NHK新番組『ごごナマ』MCの船越英一郎が冷戦中の松居一代と「絶対に離婚できない」ワケの画像1
『船越英一郎の京都案内 』(マガジンハウス)
 日本テレビ系『情報ライブ ミヤネ屋』、TBS系『ひるおび!』、フジテレビ系『バイキング』と民放各局が平日、ゴゴイチ(13時台)の情報番組でシノギを削る中、NHKが22年間続いた長寿番組『スタジオパークからこんにちは』を打ち切って、4月から新情報番組『ごごナマ』をスタートさせる。  同番組のMCを務めるのは、俳優の船越英一郎と女優の美保純。しかし、船越は長年、タレントの松居一代との離婚がウワサされているだけに、民放の各情報番組から“ごごナマ潰し”のターゲットになるのではと危惧されている。  船越は2001年、年上でバツイチの子連れだった松居と結婚。以降、松居の尻に敷かれているという、船越の恐妻家エピソードは枚挙にいとまがない。離婚のウワサもたびたび飛び交い、6年前に船越が自宅近くに約2億円のマンションを購入してからは、別居状態だといわれている。  これに対して、松居は別居を否定。船越も「購入したのは仕事部屋」としているが、船越が自宅に戻っている様子はない。15年に女優の川島なお美さんが亡くなった際、その昔、船越と交際していたというウワサがネット上で流れたが、松居は自身の新刊の出版記念会見で「結婚して3年目に、川島さんと主人である船越が(結婚前)人生のひと時を歩んでいたことを知りました」とウワサを認め、夫の不倫を暴露したことで、報道陣をあぜんとさせた。  川島さんの死後、2週間しかたっていないにもかかわらず、自著の宣伝に利用するような松居のやり方は批判を浴び、不倫をしていた船越よりも、本来は不倫被害者であるはずの松居のほうがバッシングを浴びるという、ねじれ現象が起きていた。この一件で、夫婦仲は完全に冷え切ったといわれている。  さらに1年前には、松居の連れ子の長男が自立したことで「離婚秒読み」といわれながらも、いまだに仮面夫婦状態が続いている。しかし、船越としては『ごごナマ』のMCを続ける間は、是が非でも離婚は避けたいだろう。というのも、船越は本業であるドラマの仕事が激減しているからだ。  かつては“2時間ドラマの帝王”と呼ばれた船越だが、業界全体で推し進められている制作費削減の一環で、日本テレビ、TBS、フジテレビが2時間ドラマから撤退。最後のとりでといわれたテレビ朝日の『土曜ワイド劇場』も、3月いっぱいで打ち切られることになった。  それだけに、ライバルである民放の情報番組の格好のネタになる自身の離婚は回避したいところ。離婚を受けて、ここぞとばかり民放各局のレポーターがNHKに大挙して押し寄せ、連日、船越夫妻のゴシップを報じるようなことがあれば、NHKも船越を見放しかねないだろう。かといって、夫婦関係の修復も難しそうだ。船越にとっては、胃が痛い問題を抱えての“船出”となりそうなのである。 (文=本多圭)

中国人ならソッコー裏切る!? 『聖闘士星矢』が描く「絆」の本質とは?

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『聖闘士星矢 冥王 ハーデス十二宮編 よみがえりし黄金聖闘士たちの神話 前編』(バンダイビジュアル)
 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。僕が親日家になったきっかけは、幼少時に日本のアニメに興味を持ったことです。現在、日本のアニメは世界中で評判を呼んでいます。こうしたアニメから垣間見える日本文化の神髄を、中国人目線で分析していきたいと思います。 ■中国でも大人気だった『聖闘士星矢』  車田正美原作の『聖闘士星矢』(集英社)は、「聖衣」(クロス)と呼ばれる甲冑をまとった少年たちが闘いを繰り広げる漫画です。日本では1986年からテレビアニメ版が放送されましたが、中国では放送権の問題や政府の検閲などが重なり、6年後の92年から放送開始しました。当時、中国のとあるテレビ局は毎週18時半に「630アニメ」という放送枠を設けており、その枠で放送されたアニメはたいてい国民的人気を博していました。そして『聖闘士星矢』もご多分に漏れず、中国中の子どもたちが夢中になったのです。  当時小学生だった僕もその中の一人で、食事時に夢中でテレビを見ていたので、母親にたびたび叱られました。クラスの男子で『聖闘士星矢』を見ていない者はみんなの輪に入れないほどで、さらに本来は男子向けの内容であるにもかかわらず、女子のファンも多くいました。僕が幼稚園児の頃はアメリカのディズニーアニメのファンだったのですが、『聖闘士星矢』のほうが、はるかに完成度が高かったこと、同じ東洋の国の作品であるためか、共感できる面が多く、一気に気持ちがなびきました。『聖闘士星矢』の影響から、僕と同世代の中国人は親日感情が強い傾向があります。 『聖闘士星矢』には、日本独自の文化や思想が感じられます。まず、ヒロインの城戸沙織は女神・アテナの化身という設定ですが、「神が現世に現れる」というアイデアは、「神の子孫」とされる天皇が存在する日本の作品だからこそ生まれたものだと、訪日後に気づきました。  作中では「小宇宙」(コスモ)と呼ばれる潜在的エネルギーが存在し、登場人物はこの力を使用して超人的な能力を発揮します。これは共産主義による無神論がはびこり、科学で説明できないものは認めない現在の中国出身の作家には思いつかない設定です。ただ、荒唐無稽なものかというとそんなことはなく、現実の人間は危機が訪れた際、限界以上の能力を発揮することがあります。この描写は『聖闘士星矢』と同じ「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載された『キン肉マン』でも「火事場のクソ力」と呼ばれて表現されています。  また、『聖闘士星矢』における一部登場人物は「第七感」(セブンセンシズ)と呼ばれる能力を持ち、あらかじめ危機を察知することが可能です。これも仮に中国の漫画編集部でこうした設定を提案したら、非現実的だとして却下されるでしょうが、「第六感」「女の勘」などと呼ばれる不安察知能力は現実に存在します。アニメ『ガンダム』シリーズにも「ニュータイプ能力」という第七感と類似した設定がありますね。 ■天皇が結ぶ日本の絆 『聖闘士星矢』の物語は複数の章に分かれているのですが、僕が一番好きなのは「黄金聖闘士十二宮編」です。この章では家族、仲間との「絆」がテーマになっていますが、個人主義的な考えが強い中国では、絆という概念は希薄です。そのため、中国人が組織を結成すると、たいてい裏切り者や二重スパイが発生します。民主化活動が中国全土に広まっていかないのは、そのためです。  しかし、日本の漫画やアニメ、ドラマや映画には、家族や仲間のために命を投げ出すシーンが頻繁に登場します。大半の中国人には理解できない傾向ですが、日本人が絆を大切にするのは、やはり天皇の存在が大きいと思います。拙著『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)にも記したのですが、当初、僕は、日本社会は天皇を頂点とするピラミッド型社会だと思っていました。しかし、実際の日本社会は球体のような構造で、中心に天皇が存在し、「引力」を発生させています。それにより、人々は見えない「糸」のようなもので結ばれているのです。日本社会が強い共同意識を持ち、犯罪発生率が低いのは、天皇がおられるためです。  来日後、『聖闘士星矢』日本語版の名シーンを鑑賞しましたが、日本の声優陣の演技力の高さに感心すると同時に、中国の声優の演技レベルが低かったことがわかり、思わず失笑してしまいました。中国では子ども向けと揶揄されるアニメですが、日本産アニメには、大人の鑑賞に堪える高度な作品が多く存在します。  こうした感じで、次回も日本産アニメを通して僕なりに日本文化を読み解いてみたいと思います。
中国人ならソッコー裏切る!? 『聖闘士星矢』が描く「絆」の本質とは?の画像2
●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)、『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

中国人ならソッコー裏切る!? 『聖闘士星矢』が描く「絆」の本質とは?

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『聖闘士星矢 冥王 ハーデス十二宮編 よみがえりし黄金聖闘士たちの神話 前編』(バンダイビジュアル)
 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。僕が親日家になったきっかけは、幼少時に日本のアニメに興味を持ったことです。現在、日本のアニメは世界中で評判を呼んでいます。こうしたアニメから垣間見える日本文化の神髄を、中国人目線で分析していきたいと思います。 ■中国でも大人気だった『聖闘士星矢』  車田正美原作の『聖闘士星矢』(集英社)は、「聖衣」(クロス)と呼ばれる甲冑をまとった少年たちが闘いを繰り広げる漫画です。日本では1986年からテレビアニメ版が放送されましたが、中国では放送権の問題や政府の検閲などが重なり、6年後の92年から放送開始しました。当時、中国のとあるテレビ局は毎週18時半に「630アニメ」という放送枠を設けており、その枠で放送されたアニメはたいてい国民的人気を博していました。そして『聖闘士星矢』もご多分に漏れず、中国中の子どもたちが夢中になったのです。  当時小学生だった僕もその中の一人で、食事時に夢中でテレビを見ていたので、母親にたびたび叱られました。クラスの男子で『聖闘士星矢』を見ていない者はみんなの輪に入れないほどで、さらに本来は男子向けの内容であるにもかかわらず、女子のファンも多くいました。僕が幼稚園児の頃はアメリカのディズニーアニメのファンだったのですが、『聖闘士星矢』のほうが、はるかに完成度が高かったこと、同じ東洋の国の作品であるためか、共感できる面が多く、一気に気持ちがなびきました。『聖闘士星矢』の影響から、僕と同世代の中国人は親日感情が強い傾向があります。 『聖闘士星矢』には、日本独自の文化や思想が感じられます。まず、ヒロインの城戸沙織は女神・アテナの化身という設定ですが、「神が現世に現れる」というアイデアは、「神の子孫」とされる天皇が存在する日本の作品だからこそ生まれたものだと、訪日後に気づきました。  作中では「小宇宙」(コスモ)と呼ばれる潜在的エネルギーが存在し、登場人物はこの力を使用して超人的な能力を発揮します。これは共産主義による無神論がはびこり、科学で説明できないものは認めない現在の中国出身の作家には思いつかない設定です。ただ、荒唐無稽なものかというとそんなことはなく、現実の人間は危機が訪れた際、限界以上の能力を発揮することがあります。この描写は『聖闘士星矢』と同じ「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載された『キン肉マン』でも「火事場のクソ力」と呼ばれて表現されています。  また、『聖闘士星矢』における一部登場人物は「第七感」(セブンセンシズ)と呼ばれる能力を持ち、あらかじめ危機を察知することが可能です。これも仮に中国の漫画編集部でこうした設定を提案したら、非現実的だとして却下されるでしょうが、「第六感」「女の勘」などと呼ばれる不安察知能力は現実に存在します。アニメ『ガンダム』シリーズにも「ニュータイプ能力」という第七感と類似した設定がありますね。 ■天皇が結ぶ日本の絆 『聖闘士星矢』の物語は複数の章に分かれているのですが、僕が一番好きなのは「黄金聖闘士十二宮編」です。この章では家族、仲間との「絆」がテーマになっていますが、個人主義的な考えが強い中国では、絆という概念は希薄です。そのため、中国人が組織を結成すると、たいてい裏切り者や二重スパイが発生します。民主化活動が中国全土に広まっていかないのは、そのためです。  しかし、日本の漫画やアニメ、ドラマや映画には、家族や仲間のために命を投げ出すシーンが頻繁に登場します。大半の中国人には理解できない傾向ですが、日本人が絆を大切にするのは、やはり天皇の存在が大きいと思います。拙著『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)にも記したのですが、当初、僕は、日本社会は天皇を頂点とするピラミッド型社会だと思っていました。しかし、実際の日本社会は球体のような構造で、中心に天皇が存在し、「引力」を発生させています。それにより、人々は見えない「糸」のようなもので結ばれているのです。日本社会が強い共同意識を持ち、犯罪発生率が低いのは、天皇がおられるためです。  来日後、『聖闘士星矢』日本語版の名シーンを鑑賞しましたが、日本の声優陣の演技力の高さに感心すると同時に、中国の声優の演技レベルが低かったことがわかり、思わず失笑してしまいました。中国では子ども向けと揶揄されるアニメですが、日本産アニメには、大人の鑑賞に堪える高度な作品が多く存在します。  こうした感じで、次回も日本産アニメを通して僕なりに日本文化を読み解いてみたいと思います。
中国人ならソッコー裏切る!? 『聖闘士星矢』が描く「絆」の本質とは?の画像2
●そん・こうぶん 中華人民共和国浙江省杭州市出身の31歳。中国の表現規制に反発するために執筆活動を続けるプロ漫画家。著書に、『中国のヤバい正体』『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)、『中国人による反中共論』(青林堂)、『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)がある。 <https://twitter.com/sun_koubun>

極楽とんぼ・加藤浩次と山本圭壱は“約束”を果たす! およそ7年ぶりの『吠え魂』が復活できたワケ

極楽とんぼ・加藤浩次と山本圭壱は約束を果たす! およそ7年ぶりの『吠え魂』が復活できたワケの画像1
TBSラジオ公式サイトより
 無名の若手芸人である僕、カカロニ菅谷が毎月、深夜ラジオの神回を紹介する「ラジオ神回列伝」も、早いもので7回目になります。  先日、『ラフターナイト』(TBSラジオ)に出場したのですが、オンエアを勝ち取ることができず……。そんな僕は、今月もただのラジオファンとして過ごしています。深夜ラジオリスナーには、レギュラー放送は終わったものの“終わってない番組”が2つあります。 『アンタッチャブルのシカゴマンゴ』(TBSラジオ)と『極楽とんぼの吠え魂』(TBSラジオ)です。どちらも、訳あって番組の放送最終回にはコンビの片方しかスタジオにおらず、いつか2人で本当の最終回をやるとリスナーに約束した番組です。  そのうちのひとつ。『極楽とんぼの吠え魂』(TBSラジオ)は2000年10月から06年7月まで放送していました。  その後、加藤浩次さんのみで07年4月から「JUNK2」枠(05年4月5日~08年9月25日。月曜から金曜の27時~28時)で『加藤浩次の吠え魂』(同)を放送開始。08年10月からは、極楽とんぼさんに代わりその枠を担当していた、おぎやはぎさんから、枠をお返ししたいとの進言があり、金曜JUNKに戻る形になりました。加藤さんとおぎやはぎさんは、旧知の仲であることは有名な話ですね。  しかし10年4月、放送中に山本さんが帰ってくるという願いは叶わず、いつか極楽とんぼの2人揃って最終回をするという“約束”を残して番組は終了しました。 そして、それからおよそ7年の月日が流れ、先月19日の日曜日深夜。『極楽とんぼの吠え魂』は、約束どおり2人揃って終わることができました。  過去にこのコラムで極楽とんぼさんの記事を書いた際、過去の山本さんの事件を許せない方々から批判的なコメントを複数いただきましたが、武闘派リスナー(番組リスナーの総称)の端くれとして、また、極楽とんぼさんの大ファンとして、いてもたってもいられなくなったのでペンを取らせていただきます。  ラジオでの極楽とんぼさんは、今では絶滅したのではないかと思えるくらいの“泥臭いコンビ“でした。いつも喧嘩をしていました。加藤さんは後に、『スッキリ!』(日本テレビ系)で朝の顔になるなんて想像できないくらい狂犬ぶり。山本さんは調子ノリで、往生際が悪く、誰よりも負け様の面白い人でした。  先の最終回でも、開始から30分ほど加藤さんが説教をし、山本さんは申し訳なさそうな遠慮がちな放送を経て、山本さんがついに怒りの反論をすると、加藤さんは「それだよ。そこでいってでしょ、俺に」と、その姿こそが極楽とんぼだとするリスナーの気持ちを代弁するような一言。そこから11年前の『極楽とんぼの吠え魂』放送当時にタイムスリップしたかのように、ふざけだした山本さん。  加藤さんが説教中に言った、渋谷のモヤイ像がなくなったという勘違い発言をリスナーから指摘されると、鬼の首を取ったように山本さんは責め立てます。「おまえ、当たり前じゃねぇからな! この状況! 当たり前じゃねぇからな!」と、加藤さんが『めちゃ×2イケてるッ! 極楽とんぼ復活SP』(フジテレビ系)で説教中に言った感動セリフをそっくりそのまま言う“お前がそこいじるなワード”で爆笑がスタジオを包みます。スタジオに響く、笑い声と2人のケンカは懐かしくもあり、むしろ仕事に格差がついた分、昔より面白いのではないかと思うほど。また番組後半では、レギュラー時代の名物ゲストであり、山本軍団の一員である「いてもたっても遠藤さん」(ココリコ遠藤章造)が飛び入りゲストで現れ、大いに番組を盛り上げていました。  そんな2人の復活にはレギュラー放送時のディレクターであり、現在はJUNK統括プロデューサーまで出世した宮嵜守史さんをはじめ、「また極楽とんぼを見たい」と、二人を応援するたくさんの方の協力があったのは間違いありません。  なぜこうまでして、みんなが復活させたがるのか。ゲストで出演した遠藤さんや、おぎやはぎさん。ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんなど口をそろえて言うのは“二人が面白いから”なんです。我々芸人にとっては、またテレビやラジオを作る人間にとっても、かもしれませんが、面白いは正義なんです。  昨年の『めちゃ×2イケてるッ! 極楽とんぼ復活SP』は大きな反響を呼び、そこから極楽とんぼさんは全国ツアーという形で活動を再開しましたが、めちゃイケスタッフの英断も「あの面白い極楽とんぼを見たい」からだと思うんです。  もちろん、山本さんを快く思わない人も世の中には沢山いると思うんですが、ラジオの向こうにいる「極楽とんぼが面白いから、また見たい、聴きたい」という人たちを笑わせる方向に進んでもいいのかなと芸人として、僕は思います。番組の最後に加藤さんが言った「次に進めます。僕ら」には、そういう意味があったのかもしれません。  極楽とんぼさんの“次”。また全国ツアーをやってくれるのか、それとも何か予想だにしないことが起こるのか、どちらにしても楽しみでなりません。 (文=菅谷直弘[カカロニ])

極楽とんぼ・加藤浩次と山本圭壱は“約束”を果たす! およそ7年ぶりの『吠え魂』が復活できたワケ

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TBSラジオ公式サイトより
 無名の若手芸人である僕、カカロニ菅谷が毎月、深夜ラジオの神回を紹介する「ラジオ神回列伝」も、早いもので7回目になります。  先日、『ラフターナイト』(TBSラジオ)に出場したのですが、オンエアを勝ち取ることができず……。そんな僕は、今月もただのラジオファンとして過ごしています。深夜ラジオリスナーには、レギュラー放送は終わったものの“終わってない番組”が2つあります。 『アンタッチャブルのシカゴマンゴ』(TBSラジオ)と『極楽とんぼの吠え魂』(TBSラジオ)です。どちらも、訳あって番組の放送最終回にはコンビの片方しかスタジオにおらず、いつか2人で本当の最終回をやるとリスナーに約束した番組です。  そのうちのひとつ。『極楽とんぼの吠え魂』(TBSラジオ)は2000年10月から06年7月まで放送していました。  その後、加藤浩次さんのみで07年4月から「JUNK2」枠(05年4月5日~08年9月25日。月曜から金曜の27時~28時)で『加藤浩次の吠え魂』(同)を放送開始。08年10月からは、極楽とんぼさんに代わりその枠を担当していた、おぎやはぎさんから、枠をお返ししたいとの進言があり、金曜JUNKに戻る形になりました。加藤さんとおぎやはぎさんは、旧知の仲であることは有名な話ですね。  しかし10年4月、放送中に山本さんが帰ってくるという願いは叶わず、いつか極楽とんぼの2人揃って最終回をするという“約束”を残して番組は終了しました。 そして、それからおよそ7年の月日が流れ、先月19日の日曜日深夜。『極楽とんぼの吠え魂』は、約束どおり2人揃って終わることができました。  過去にこのコラムで極楽とんぼさんの記事を書いた際、過去の山本さんの事件を許せない方々から批判的なコメントを複数いただきましたが、武闘派リスナー(番組リスナーの総称)の端くれとして、また、極楽とんぼさんの大ファンとして、いてもたってもいられなくなったのでペンを取らせていただきます。  ラジオでの極楽とんぼさんは、今では絶滅したのではないかと思えるくらいの“泥臭いコンビ“でした。いつも喧嘩をしていました。加藤さんは後に、『スッキリ!』(日本テレビ系)で朝の顔になるなんて想像できないくらい狂犬ぶり。山本さんは調子ノリで、往生際が悪く、誰よりも負け様の面白い人でした。  先の最終回でも、開始から30分ほど加藤さんが説教をし、山本さんは申し訳なさそうな遠慮がちな放送を経て、山本さんがついに怒りの反論をすると、加藤さんは「それだよ。そこでいってでしょ、俺に」と、その姿こそが極楽とんぼだとするリスナーの気持ちを代弁するような一言。そこから11年前の『極楽とんぼの吠え魂』放送当時にタイムスリップしたかのように、ふざけだした山本さん。  加藤さんが説教中に言った、渋谷のモヤイ像がなくなったという勘違い発言をリスナーから指摘されると、鬼の首を取ったように山本さんは責め立てます。「おまえ、当たり前じゃねぇからな! この状況! 当たり前じゃねぇからな!」と、加藤さんが『めちゃ×2イケてるッ! 極楽とんぼ復活SP』(フジテレビ系)で説教中に言った感動セリフをそっくりそのまま言う“お前がそこいじるなワード”で爆笑がスタジオを包みます。スタジオに響く、笑い声と2人のケンカは懐かしくもあり、むしろ仕事に格差がついた分、昔より面白いのではないかと思うほど。また番組後半では、レギュラー時代の名物ゲストであり、山本軍団の一員である「いてもたっても遠藤さん」(ココリコ遠藤章造)が飛び入りゲストで現れ、大いに番組を盛り上げていました。  そんな2人の復活にはレギュラー放送時のディレクターであり、現在はJUNK統括プロデューサーまで出世した宮嵜守史さんをはじめ、「また極楽とんぼを見たい」と、二人を応援するたくさんの方の協力があったのは間違いありません。  なぜこうまでして、みんなが復活させたがるのか。ゲストで出演した遠藤さんや、おぎやはぎさん。ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんなど口をそろえて言うのは“二人が面白いから”なんです。我々芸人にとっては、またテレビやラジオを作る人間にとっても、かもしれませんが、面白いは正義なんです。  昨年の『めちゃ×2イケてるッ! 極楽とんぼ復活SP』は大きな反響を呼び、そこから極楽とんぼさんは全国ツアーという形で活動を再開しましたが、めちゃイケスタッフの英断も「あの面白い極楽とんぼを見たい」からだと思うんです。  もちろん、山本さんを快く思わない人も世の中には沢山いると思うんですが、ラジオの向こうにいる「極楽とんぼが面白いから、また見たい、聴きたい」という人たちを笑わせる方向に進んでもいいのかなと芸人として、僕は思います。番組の最後に加藤さんが言った「次に進めます。僕ら」には、そういう意味があったのかもしれません。  極楽とんぼさんの“次”。また全国ツアーをやってくれるのか、それとも何か予想だにしないことが起こるのか、どちらにしても楽しみでなりません。 (文=菅谷直弘[カカロニ])

当時の実況音源で蘇る、三浦知良の「サッカー人生で最も“重い”ゴール」

当時の実況音源が蘇らせた、三浦知良の「サッカー人生の中で最も重いゴール」の画像1
『神様に選ばれた試合』テレビ朝日
 イチローと三浦知良。年齢の壁を超えて光り輝く2人のスーパースターを特集したスポーツ・ドキュメント『神様に選ばれた試合』(テレビ朝日系)が5日に放送された。  過去にも、「田中将大 日本最後の15球」(2013年)、「PL対横浜 甲子園延長17回の死闘」(1998年)、「ジョホールバルの歓喜」(97年)など、日本スポーツ史に燦然と輝く名場面を取り上げ、当事者たちの証言を元に「この試合」「この一球」を振り返ってきた良質なスポーツ・ドキュメンタリー。不定期とはいえ、にぎやかしタレントも一切出ない番組をプライムタイムで放送するところに、テレ朝がスポーツにかける並々ならぬ決意を感じる。  今回の『神様に選ばれた試合』で取り上げたのは、第2回WBCで日本を世界一に導く決勝打を放ったイチローの苦闘。そして、先日50歳を迎えたカズと、日本サッカーの歩んできた道。特にカズ自身が「最も重いゴールとカズダンス」と語った11年の震災復興支援チャリティーマッチでのゴールについてピックアップしていた。  とても良質な番組だっただけに、細かな演出で気になる点があった。「実況」の扱い方についてだ。  イチロー編において、第2回WBC決勝戦映像が流れる際の実況の声は、テレビ朝日・清水俊輔アナウンサー。テレビ朝日が中継する日本シリーズでマイクを握るのはもちろん、前回のWBCでもテレビ朝日担当試合ではすべて実況を担当。テレ朝スポーツのエースだ。だが、連覇のかかった09年WBC決勝戦の中継はTBS。つまり、今回の番組で流れた清水アナの実況は「アフレコ」ということになる。  TBSの映像(実況)を使わなかった理由はいくつもあるのだろう。単純に権利関係かもしれないし、TBSの中継ではスペシャル・コメンテーターに清原和博を起用していたため、編集上の問題で使えなかった、という可能性も高い。  自局で中継していない場合、あとから実況をかぶせるというスタイルはよくあることだ。しかし、結果を知っているアナウンサーの声に緊張感が宿らず、結果として場面に入り込めなくなってしまうケースが多々ある。  その点、清水アナのアフレコ実況は、適度な緊張感をにじませるものだった。さすがはテレ朝のエース。だが、違和感を覚えたのは「実況:韓国も守る!名勝負になりました」といった、実況を強調したテロップが何度か流れたこと。この実況は当然、試合のときにはなかったもの。目に余る実況テロップはなかったとはいえ、スポーツ・ドキュメンタリーとしては過剰演出になっていた、ともいえる。  一方、「当時の実況音源」にこだわっていたのが三浦知良編だった。「ドーハの悲劇」「ジョホールバルの歓喜」「震災復興支援チャリティーマッチ」の3試合に焦点を絞ってカズが歩んできた道を振り返ったわけだが、それぞれの試合で流れていた実況は、ラジオのニッポン放送が実際に中継した音源(ドーハとジョホールバルは師岡正雄アナ、震災復興マッチは煙山光紀アナ)だった。  93年の「ドーハの悲劇」を中継したのはテレビ東京。地方出身だった筆者の地域でテレビ東京は映らず、ラジオにくぎ付けにならざるを得なかった。そんな私にとって、あの試合の思い出は師岡アナの声で記憶されている。そんなスポーツファン、サッカーファンは少なくないはずだ。  かつてのヒット曲を聴くと当時の思い出が脳裏に甦る……という経験は多くの人があるだろう。同じことが、スポーツファンにとって実況アナウンサーの声で起きることがある。だからこそ、こういった振り返りのスポーツ・ドキュメントでは「当時の実況音源」を大切にしてほしいのだ。サッカー編でできたのだから、野球編でだって方法はあったはずだ。  震災復興支援チャリティーマッチの実況を担当したニッポン放送の煙山アナウンサーに以前、あの試合における実況の意味を聞いたことがある。 「『復興支援チャリティーマッチ』って、テレビで見た人とラジオで聴いた人とではまったく違う印象なんですよ。テレビはたぶん、ああいう試合だし、一部では開催自体に批判もあったから、ちょっとかしこまってやったんです。でも、ラジオのほうは僕がもう入場時から半泣きになっていて、試合中も泣きそうになりながらしゃべっていて。ピッチレベルの音もサポーターの声もしっかり響いて、ものすごく盛り上がった試合でした。そんなふうに、同じものを伝えても違うものになる……そこが、ラジオのひとつの腕の見せどころなんじゃないかと思います」  今回の『神様に選ばれた試合』では、そのラジオの魅力と映像の持つ説得力とが見事にかけ算となり、カズの偉大さをより際出たせていたと思う。  それだけに、番組最後で「なぜ?」と思うことがもう1点あった。エンドクレジットの「協力」にニッポン放送の名がなかったことだ。いや、私が気にすることではないのかもしれないが、もっと「実況の著作権」について大切にしてほしい。スポーツ紙を出すときに紙名と日付を出すように、実況についてもどこかでクレジットを出してもいいはずだ。 (文=オグマナオト) ■『熱血!スポーツ野郎』過去記事はこちらから

タイ語学校の学生からステップアップで現地社長に! ゴルフ三昧で優雅に暮らす女性【日本を捨てる女性たち】

 近年、東南アジアに移住し、現地で仕事や生きがいを求める日本人女性が急増している。アジアで活躍し、日本にいるときよりも、はるかに生き生きと暮らす女性たちを紹介していくシリーズ。

○第3回
のりこさん(42)タイ・バンコク在住
会社経営

■「この気楽な国ならやっていけるかもしれない」

 バンコク都心部、スクンビット通り。日本人をはじめ外国人がたくさん住む高級住宅街の一角に、のりこさんの住むコンドミニアムがある。一流ホテルのようなフロントから上階に上がれば、そこにはのりこさんがバンコク生活で築き上げてきた「城」がある。

 広大なリビング、システムキッチン、キングサイズのベッドが鎮座する寝室、おしゃれな調度品……ベランダからはバンコク中心部の摩天楼が見晴らせる。タイに移り住んだ日本人女性でも、ステップアップを重ねて豊かな暮らしを手に入れた、彼女は成功者といえる。

「タイに来たのは1999年。もう18年目になります」というから、在タイ日本人社会の中でも古株のほうだ。

「海外に対する憧れは子どもの頃からあったし、英語を勉強するのは好きでした。海外に行きたい、と思ってもいましたが、アジアは考えてなかったな」

 短大時代はオーストラリアに旅行に行ったり、アメリカでホームステイも経験したが、大きな転機は父親のタイ赴任だった。

「駐在員としてタイに暮らす父を訪ねる機会が増えたんです。初めてのタイは、今と違ってどこも汚いし、雑然としていて、こんなの私の求めてた海外じゃない! って思っていました。でも、タイののんびりした、あくせくとしなくてもいい空気に、次第に居心地の良さを感じるようにもなってきて……」

 その頃、短大を卒業して、日本のホテルで働いていたが、人間関係に悩まされていた。温和な性格からか、誰かの文句や愚痴の聞き役になることが多く、ストレスをためこむ毎日。とうとう体を壊した。

 少し休もう。そう思って、父のいるタイに4カ月ほど長期滞在をすることにした。

「父の食事を作って、ぷらぷらするうちに、この国にちゃんと住んでみようか、この気楽な国ならやっていけるかもしれない、と思うようになっていったんです。そう決めてすぐ日本に帰り、また働き始めて移住のためのお金をため、タイ語学校に通って……タイに戻ってきたのは25歳のとき」

 まずはバンコクの語学学校で、半年以上タイ語を学んだ。学校つながりで長年付き合える友人を得ることが多いというが、のりこさんも同様だった。

「いまでも仲のいい日本人の友達は、同じタイ語学校の仲間なんです」

■人の紹介で条件のいい会社に転職

 そして言葉がわかるようになり、暮らしに慣れる頃に、仕事の話が舞い込んでくるのも、タイの日本人社会なのだ。

「そろそろお金がなくなってきて、やばい、あと2カ月しか暮らせない……と焦ったのですが、そんなときに人づてで小さな会社を紹介されたんです。ペット用品を扱う商社で、タイ人の中で日本人は私ひとりだけ。タイで生産したペットシーツや猫缶を、日本に輸出する仕事でした」

 そこで1年ほど働いた後に、条件のいい会社に転職。やはり人の紹介だった。

「タイでも、日系の人材会社に登録する方法もありますが、人の縁でつながっていくことのほうが多いかもしれません」

 次の会社は、タイにいくつかある日系コールセンターだった。すぐに働きぶりが認められて、現場ではなく会社全体を見渡す管理職を任されるようになる。

「この頃から、タイに進出してくる日系企業がどんどん増えてきました。それに合わせて在住日本人向けのサービス業が一気に広がりました。例えば病院でも、電化製品の修理でも、日本語でサービスが受けられるようになってきたんです」

 日本食でもう食べられないものはない、というまでに普及。

「ふつうの豆腐はタイでもたくさん種類がありますが、私が好きだったのは『男前豆腐』。たまに日本に一時帰国するときの楽しみだったんですが、これも今ではフジスーパー(バンコクに4店舗展開する日系スーパー)で売ってる(笑)。日本よりちょっと高いけど」

 タイののんびりさと、日本のサービス。バンコクはいつの間にか、日本人にとって「いいとこどり」の街になっていた。

「一般のタイ・ローカルな暮らしではないですよね。でもこれほど日本人が暮らしやすい、ラクな街はないと思います」

■プライベートをしっかり確保できるから、ゴルフ三昧

 すっかり仕事とタイ生活になじんだのりこさんに、大きな出来事が訪れる。会社が香港に拠点を移すことになったのだ。社長も香港へと移る。では誰がタイの会社を管轄するのか。バンコクの社長はどうするのか。のりこさんに白羽の矢が立てられた。

「初めは断りました。無理だと思って。でも何度か説得されて、そこまで言われたら……とがんばってみる気になったんです」

 語学学校の学生から始まって、現地採用の社員となり、ついには現地社長にまで登りつめたのだ。あやしげな路地裏のアパート生活から、スクンビットの高級コンドミニアムへ。こんなステップアップも、タイの日本人社会の中では決して珍しくはないのである。

「でも会社全体を管理するようになって、やっぱり悩みは人間関係かな。社員同士の不満やトラブルが寄せられて、それを解決していくことは骨が折れます。日本でのホテル時代と、本質的には変わっていないのかも」

 ストレス解消は、お酒とゴルフだ。

「仕事は仕事。プライベートをしっかり確保できるのはタイのいいところです」

 タイには純日本風の居酒屋はたくさんある。また「ゴルフ天国」とも言われている。

「タイでは一人ひとりにキャディがついて、つきっきりで世話をしてくれます。本当に至れり尽くせり。週末はコースに出て、平日も打ちっぱなしによく行ってます」

 この先どうするのか。まだ考えてはいない。

「いつかは日本に帰りたいな、と思います。でも帰っても年齢的に仕事があるかどうか。それにタイで暮らしていると、日本と違って、結婚だとかいろいろプレッシャーをかけられることもないので、居心地がいいんです。この気楽な雰囲気の国にいると、気がついたら3年くらいすぐにたっちゃって、そこだけが困りものですね」

 タイの中の日本人社会。それは拡大を続ける一方だ。のりこさんの後に続く若い女性も、次々にやってくる。

「タイにはチャンスはたくさんあると思います。でもこの数年、ちょっと認識の甘い子が増えているようにも感じますよね。誰でも簡単に仕事が見つかるわけじゃない。日本での社会人経験がなければタイでもいい仕事には就けないでしょう。そんなに簡単なものではないと思います」

 タイのような弛緩した社会では、在住の日本人たちもどこか「ゆるく」見える。しかし誰もが、異国で生きるため、誰に言わずとも苦労をしているのだ。
(室橋裕和)

みのもんた“限界”認める? TBS『人生劇変!』惨敗で、進む「引退準備」

みのもんた限界認める? TBS『人生激変!』惨敗で、進む「引退準備」の画像1
 最近、すっかり老け込んだといわれるみのもんたが、引退の準備をしているという。 「1月からスタートした、TBS系の新番組『結婚したら人生劇変!○○の妻たち』の低視聴率に限界を感じたようで、引退して、鎌倉にアナウンス養成学校を設立し、校長に就任する準備を進めているのでは? というウワサが流れてます」(TBS情報番組関係者)  かつてはレギュラー番組8本を抱え、“テレビ界の帝王”として君臨したみのだが、4年前、当時日本テレビの社員だった次男が起こした“窃盗事件”の責任を取って、TBSの朝の情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』を降板。レギュラー番組も次々に消え、現在、地上派レギュラーは、日本テレビの『秘密のケンミンSHOW』と『結婚したら人生劇変!』の2本。あとは、ラジオ番組の『みのもんたのニッポンdiscover again』(文化放送)のみだ。 『朝ズバッ!』を降板した際、TBS上層部との間で「いずれ復帰させる」という密約があったという情報が流れたが、それとは別に、みのがTBSの幹部を何度も食事に接待するなど、レギュラー番組獲得に向けた営業活動を続けていたのは確かだ。  営業の成果があったのか、TBSは昨年、みのの司会で9月と10月の2回にわたってパイロット版が放送された『結婚したら人生劇変!』を、今年1月から新番組としてスタートさせた。TBSサイドはその裏で「とりあえず、ワンクール。10%以上の視聴率を取ったら、4月以降も継続する」との条件を出していたという。 『結婚したら人生劇変!』の初回視聴率は6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったが、2回目は10.3%と10%台をクリア。しかし、3回目は5.3%まで下落し、その後も10%を超えるような回復は見られていない。TBSの「4月の番組改編は最小限で」という方針もあり、3月末での終了は免れたが、6月いっぱいでの打ち切りの調整に入ったとの情報が流れている。  一方、文化放送のレギュラー番組も、スポンサーの関係で年内終了がささやかれている。そのために気力がなくなったのか、最近のみのは、すっかり老け込んでしまったように見える。夜の銀座遊びはいまだに健在らしいが、銀座のクラブ関係者も「お気に入りのホステスと同伴出勤する姿からも、以前のようなギラギラした表情は消えて、一気に老け込んだ。単なる好々爺に見えますよ」と話す。  みのも、もう72歳。勇退のタイミングが迫っているのかもしれない。潔く引退して、第2の人生を歩みだすのか、去就に注目したい。 (文=本多圭)