「コンクリート壁・角部屋・コンビニ徒歩3分」“好条件”に落とし穴が!?【アラサー女、理想の賃貸物件を探す】

 「引っ越しシーズン」といえば、新生活がスタートする春先を連想しがちだが、実はこれから“狙い目”な時期がやってくる。8~9月は転勤シーズンのため物件に空きが生まれ、10~12月中旬までは引っ越し業者が「閑散期」のため、費用が安く済むのだ。最適なタイミングで引っ越しをするには、まさに今から部屋を探すべき! とはいえ、不動産サイトをのぞいても、素人目では“いい物件”の判断がつかない……。そこで、住居・防犯・風水のプロが「アラサー女性ひとり暮らし」に最適な部屋をジャッジ。“物件三銃士”が認める理想の住みかは見つかるのか――!?

■今回のポイント:コンクリート壁は「おしゃれ」なだけ!? 間取り&セキュリティ面で確認するべきキホン

<物件の場所>

・2路線が通る駅から徒歩10分
・大通りから3本小道を挟んだ住宅街(夜は街灯があり、比較的明るい)
・徒歩3分の場所に24時間営業のコンビニあり

<詳細情報>

敷金/礼金なし、鉄筋コンクリート(コンクリート壁)、5階建/3階(10戸)、角部屋、管理人巡回、防犯カメラあり、ペット可、オートロックあり(テレビモニター付きインターフォンあり)、宅配ボックスあり、ゴミ出し24時間OK、都市ガス、階段・エレベーターあり

 「おしゃれ物件」の定番といえば、コンクリート打ちっぱなしの壁! 誰もが一度は憧れる物件ですが、「冬は寒く、夏は暑い」とも聞きます。それでも人気が高いってことは、これはウワサに過ぎないってこと? それとこの物件は、クローゼットが洋室から離れていて、生活動線に難がありそう。玄関・水回りの近くに収納があるのも気になるし……。セキュリティがしっかりしているので女性の一人暮らしに良さそうですが、物件三銃士のみなさんはどう思いますか!?

「住居のプロ」福岡由美氏の評価 ★★★★☆

 オートロック、宅配ボックス、24時間ゴミ出しOKというのは、イマドキの生活を送る上でハズせない条件です。駅からの距離も徒歩10分であれば許容範囲内ですし、全体的にバランスの良い物件だと思います。ただし、好みが分かれるのは、一番のセールスポイントである「コンクリート打ちっぱなし」のデザイン。確かに見た目がおしゃれで人気はありますが、築年数によっては、コンクリートから蒸発する水分で湿気に悩まされることも(新築に近ければ近いほど、湿気が高くなります)。

 木造と比較すると、コンクリート壁の場合は“熱伝導率”が高くなるため、外気の影響を受けて「夏はより暑く、冬はより寒い」という可能性が。もちろん、断熱構造やサッシ性能によって、ある程度改善されている物件もあるのですが、素人がそれを見分けるのは難しいので、「実際に暮らしてみないと、住み心地が想像できない」という怖さがありますね。

 なお、この物件は「ペット可」ですが、近年のペットブームを受けて、入居率を高めるために「ペット可物件」が増えつつあります。ペット可物件の良いところは、「ペットを飼えるマンションだ」ということを理解した上でほかの入居者が集まってくるため、ペット飼育に関する入居者同士のトラブルが起こりにくくなることです。逆に、「ペット不可」なのにこっそりペットを飼うというのは言語道断。入居者の中には動物アレルギーの方がいらっしゃる可能性もありますし、万一、規約違反でペットを飼っていたことが発覚した場合は「即日退去」を求められたり、「莫大なクリーニング費用」を請求されるなど、ペナルティを課せられることもあります。

 実は、筆者自身も“大家さん業”をしているのでよくわかるのですが、大家さんの心情としては、ペット可物件であっても「できればペットは飼ってほしくない」というのが本音。どうしても壁面やフローリングが傷みやすくなるため、退去時の原状回復費用がかさみますし、泣き声やニオイなどで近隣住戸からクレームが入るケースもあって、昔ながらの大家さんはいまだに「ペット不可」を徹底している人が多いです。賃貸物件でペットを飼う場合は、くれぐれも入居規約の厳守や、飼育マナーの徹底、ほかの入居者の方への配慮を忘れないようにしてくださいね。

■福岡由美(ふくおか・ゆみ)
ライターエージェント、ヒューズ・エンタープライズ代表取締役。住宅ライター・住宅ローンアドバイザー・FP技能士・ ラジオ構成作家。大手生命保険会社で事務職に従事した後、 ラジオレポーターに転身し名古屋・ 東京の放送局で中継レポーターとして活躍。その後、 間取り好きが高じて住宅ライターとしての活動をスタート。 現在は東京・ 名古屋を拠点に全国で取材を行いながら住宅情報ウェブサイト等で コラム・レポートを執筆中。20年超の取材経験を生かし『女性のためのマンション購入セミナー』や『失敗しない家づくりセミナー』などの講師も務めている。
中日新聞「オピ・リーナ」ブログ『なごやのねたや福岡由美の名古屋ネタ帳

 まず立地から見て、2路線利用できる駅ということは、比較的利用者が多く、人通りのある地域だと考えられます。夜遅くの帰宅となっても、徒歩10分以内かつ、物件近くまで大通りを通って帰宅できるのであれば、安心感もあります。さらに、「管理人巡回」「防犯カメラあり」「オートロック」「テレビモニター付きインターフォンあり」とセキュリティもしっかりとした物件で、この間取図と情報から見た範囲では、防犯面に大きな問題点は見つかりません。

 ただし、気をつけておきたいのは“角部屋”ということ。角部屋は、部屋の前を通る住民や、騒音問題が少ないといったメリットもありますが、通路の突き当たりになることが多いため、周囲の目に触れにくいというデメリットがあります。玄関の鍵を開けたところを狙って、部屋に押し込んで住民に暴行を加えるといった事件も起こっていますから、玄関周りに死角や人が潜めるような場所があるときは要注意です。

 また、5階建ての3階という物件なので、エレベーターを利用することが多いでしょう。わずかな時間でも、“密室”となるエレベーターの利用が、犯罪につながることもあります。エレベーターで先に待っている人がいたら、いったんエントランスでやり過ごすなど、見知らぬ人とは乗り合わせないように注意しましょう。あとから乗り込まれるなどして一緒になった場合は、ボタンがすぐに押せる位置に立ち、あえて自分の部屋とは違う階で降りるといった対策も覚えておいてください。非常用ボタンの位置と利用方法も確認しておくと安心です。

 近所にコンビニがあるのは、生活する上でとても便利です。夜でも人けがあるため、防犯的にもメリットが多いですが、自分が利用する際には注意が必要です。近くにあるとつい部屋着のようなラフな格好で出かけてしまいがちですが、そこで1人分のお弁当といった買い物をしていると、それだけで「近所に住む女性の一人暮らし」だと目をつけられてしまう可能性もあります。また、コンビニで起こる侵入強盗の発生が多いのは深夜の時間帯です。利用する場合は遅い時間を避け、身だしなみを整えることをおすすめします。

河野真希(かわの・まき)
一人暮らしアドバイザー。自らの一人暮らし体験を元に取材や研究を重ね、2001年からWebを中心に各種メディアで暮らしに関する情報を発信。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な、自分らしい暮らしづくりを応援している。また、2016年4月より『料理教室つづくらす食堂』を主宰している。

 クローゼットが生活スペース(洋室)ではなく、キッチンの奥にありますね。洋服を取り出すのに、毎回キッチンの奥まで行かなければならないのは、大きなストレスになりそうです。風水的に見ても、邪気(悪い気)は“湿気”を好むため、洋服などが保管されるクローゼットが、キッチン、トイレ、バスルームといった水回りに囲まれた場所にあるのは問題です。

 できればこうした物件は避けた方が無難ですが、どうしても選びたい場合は、改善策として、クローゼットの“除湿”を心がけてください。次の日に着ていく洋服は前夜のうちに決めてクローゼットから取り出し、洋室にかけて一晩置いておくのも良いでしょう。こうすると、寝ている間に自分の気が洋服にも入るため、運気の流れがスムーズになります。

 また本来であれば、水回りに家電を置くのも好ましくありません。家電は「火」のパワーがあり、水回りは文字通り「水」のパワーがあります。「水が火を消す」ことから、家電の故障を引き起こす場合があります。「水の気の方位」と言われる北に家電製品を置いた場合も、同じような象意が出ます。とはいえ、キッチンは電化製品を多く揃える場所でもあり、そうも言っていられません。対策としては、水気が残らないよう、小まめにキッチン周りの水滴を拭くと良いでしょう。

 適切な収納の位置としては、やはり洋室内がおすすめです。洋室に収納がない場合、タンスなどを置くことがあるかもしれませんが、その場合に注意することとして、入口の“対角線上”の場所に置くのは避けましょう。ここは“金運アップ”の場所なので、何も物を置かず、常に清潔な状態で保つのがベストです。

 そして、この物件一番の特徴である“コンクリートの壁”は、非常に部屋が冷えます。風水的に、冷えは「陰」を意味し、性別で見ると、女性は「陰」男性は「陽」に分類されます。「陰・陽」はバランスが大事なので、女性が部屋を選ぶときは、「陽」の要素をたくさん取り入れると、運気の良い状態が保てます。これを踏まえると、壁がコンクリートで冷えやすい「陰」の部屋は、女性が住むには向きません。

 さらにこの物件の場合、洋室の形が斜めに切られており、風水的にあまり良い形とは言えません。間取りに鋭角な部分ができるため、いつも刃物を向けられている状態、つまり、安心できない状況が生まれます。物件の形は“長方形”がベストです。欠けている部分がないため、どの運も網羅でき、運気が安定します。

■生田目浩美。(なまため・ひろみ)
1998年より風水師に師事し、風水・九星・祐気採り(吉方位判断)・吉日の選定・手相・姓名判断・家相学などを学ぶ。独立後、恋愛・仕事など、女子たちが持つ多くの悩みに寄り添い、楽しく前向きに生きるコツを伝授する。

物件三銃士の総合評価 10点/15点

次回は……「ロフト」って本当に必要? 「メゾネット物件」「敷金・礼金」のマメ知識

元KAT-TUN・田口淳之介「カップル裁判」のウラで……“猫”に助けを求めた42歳女の「大麻所持裁判」

 殺人、暴行、わいせつ、薬物、窃盗……毎日毎日、事件がセンセーショナルに報じられる中、大きな話題になるわけでもなく、犯した罪をひっそりと裁かれていく人たちがいます。彼らは一体、どうして罪を犯してしまったのか。これからの生活で、どうやって罪を償っていくのか。傍聴席に座り、静かに(時に荒々しく)語られる被告の言葉に耳を傾けると、“人生”という名のドラマが見えてきます――。

 東京には「東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎」が、千代田区・霞が関にあります。文字通り、高等裁判所(第二審)と地方裁判所(第一審)などが同じ建物の中にあり、7フロア164室で、平日の午前9時~午後5時に裁判が開かれています。刑事裁判なら、メディアで話題になった大事件から、万引きといったよくある事件まで種類はさまざま。さらに、事件の当事者が実際に“登場”するので、繰り広げられる裁判は非常に見応えがあります。

【#001号法廷】

罪状:大麻取締法違反
被告:A子(1977年生まれ)
逮捕に至る経緯:平成31年4月深夜、六本木Aビルの敷地内で職務質問したところ、財布の中にビニール袋に入った大麻を所持していたため逮捕。当人は「黒人にもらったからわからない」と供述。

 元KAT-TUN・田口淳之介&小嶺麗奈の“カップル裁判”がメディアを騒がせました。これと同じ「大麻取締法違反」なのに、報道されることもなく、同時期にひっそり開かれた裁判があったのです。A子は現在42歳で、これまでに大麻を吸引したのは2回。1回目は17歳の時で、2回目は数年前と、かなりのブランクがあります(あくまで自己申告なので、真相はわかりませんが)。そのうえ、今回は“所持”のみ。つまり「吸っていなかった」という、なんだかぼんやりとした事件……。

 それだけでなく、実は前科があるA子。酔っぱらってカラオケボックスのガラスを割り、逮捕された事があるそうですが、これって正直、謝罪と弁償で済みそうな案件。それなのに逮捕されるって、当時A子が相当厄介な状況を引き起こしていたことがうかがえます。当然ですが、シラフの法廷では、高めのかわいらしい声で「はいっ!」とハキハキ受け答えをしていますが、職質された時、よっぽどヤバい状態だったんでしょう。また泥酔していたのなら、大麻よりアルコール依存の方が心配になってしまいます。

 過去に精神疾患での病歴があることや、70歳は超えているであろう父親から、A子を減刑してもらうための「嘆願書」が出ていることが、弁護士の陳述から明らかに。「実刑にはならないだろうから、執行猶予が何年つくかな?」と、判決に向けての興味が高まります。最後、本人による反省の言葉が語られるのですが、それが何とも言えないものでした。

A子 飼ってる猫に子どもが生まれたので、(大麻には戻らず)そっちとの生活を優先します。

 う~ん、確かに猫には癒やされるけど、17歳から今まで続けてきたであろう大麻を断ち切れるほど、万能な動物ではないと思うぞ。猫側のプレッシャーを考えると、やはりきちんと治療を受けてほしいと思わざるを得ません。罪状が軽いせいか、裁判はサクサク進行し、1時間後に出た判決は「懲役6カ月、執行猶予3年」でした。このあと控訴する場合は、“判決正本”という「判決を言い渡した裁判所から交付される判決書の写し」が被告の住所に送達された翌日から起算して、2週間以内に手続きをすることになります。それをしないと、刑が確定します。

 ちなみに、今回の傍聴で驚いたことは、傍聴席が高校生で埋まっていたことでした。今回は比較的狭い531号法廷で裁判が行われましたが、全52席の半分以上が制服! かねてより、「変な教科書を読ませるよりも、マンガ『闇金ウシジマくん』(小学館)を学級文庫に常備すると同時に、裁判の傍聴をする方がよっぽど道徳教育になる!」という自説を唱えていたので、この光景を見て胸が熱くなりました。

 たった1時間で判決まで出たこの事案。コンパクトに裁判の流れがわかり、まるで教材の動画を見ているような、まさに“イマドキの若者向け”な法廷でした。この裁判をコーディネートをした引率の先生は、なかなかの傍聴マニアかもしれません。

<ぶらり東京地裁なび>

 裁判所の地下1階は“商店街”になっていて、郵便局や喫茶店、食堂だけでなく、「ファミリーマート」や「すき家」も入っています。で、食堂のメニューで気になっているのが、この「イベントセット」。問い合わせてみたところ、月2回だけ提供される“スペシャルメニュー”なんだとか。しかもランチなので、午前11時〜午後2時の間のみの販売。つまり、1カ月で6時間しか口にできない、激レアメニューと判明! 次来た時には、イベントセット食べられますように。
(オカヂマカオリ)

地域の夏祭りに疲弊するママ……「女は手伝って当たり前」の前時代的な空気に愚痴爆発!?

今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。


 梅雨が明け、いよいよ夏到来。子どもを持つ親は、幼稚園や小学校が夏休みに入り、家に子どもがいる状況だけに、いつも以上に体力を奪われ、疲弊してしまっているかもしれない。10月の増税を見据えて、遠出へのレジャーも控える傾向にある中、身近な催しとして盛んなのが、地域や父母会主催の夏祭り。単身世帯や、地域とのかかわりを持たない生活をしている者にとっては、どのようにその情報がやりとりされているのか疑問に思うかもしれない。今回は、ママ友のLINEグループチャットで情報交換されている夏祭りについて、取り上げたい。

 愛理さん(仮名)は、増税前に中古の戸建てを購入し、都内から関東のベッドタウンに引っ越した。2歳になる男児は、6月から転居先の保育園に転園した。

「すでにママ友グループが出来上がっている中に転園したので、知り合いもなかなかできず、情報が全然入ってきませんでした。この前、保育園に息子を迎えに行ったとき、子どもたちが みんな、浴衣に着替えていたんです。聞いてみたら、近所の公園で大規模な夏祭りがあるらしく、LINEのグループチャットで情報共有をして、仲の良いママたちのグループで出かけるようでした」

 愛理さんが以前住んでいた都心では、あまり地域行事が盛んではなかった。そのために、地域のイベントや夏祭りなどの情報も入ってこなかったという。「みんな夏祭りの情報をどこで知っているのかと疑問だったのですが、商店街などに貼ってある手作りポスターや、小学生の子どもがいる先輩ママなどから情報を得ているらしくって。ものすごくアナログですよね 」と語った。

「息子の同級生のママに『私もグループに加えてもらっていいですか?』と言って仲間に入れてもらいました。 チャットを見て知ったのですが、夏祭り情報の掲示や小学校で配布されたちらしを撮影した画像を、みんなで共有していたんですよ。なんだか二度手間に思えて、もっと簡単な方法でみんなに情報が行き渡る方法はないのかなって感じましたね……」

 幼稚園などで行われる夏祭りや盆踊りは、まだ入園前の子どもを持つ親たちが、園の雰囲気を観察しに行くものでもあるようだ。2歳になる女児を育児中の晴美さん(仮名)は、地域センターが主催するベビーマッサージやママ向けのヨガ教室で知り合ったママたちとのグループチャットで、幼稚園の夏祭り情報を共有しているという。

「妊娠を機に引っ越したために、地元のママ友がいなかったんです。初めての育児で不安が多くて、地域センターの未就学児が集まる時間に顔を出して、ママ友を作る努力をしました。その甲斐あって、幼稚園の夏祭りがいつあるのかとか、入学予定の小学校の盆踊りの情報とか入ってくるようになりましたね」

 地域で人気の幼稚園は、未就学児のママたちの園内見学も兼ねているため、来客数も多い。夏祭り自体が人気イベントとなっているそうだ。

「幼稚園の夏祭りなんて、全然期待していなかったのですが、地元の和菓子店のスイーツや、わたがし、焼きそばなどを売っているような地域ぐるみの盛大なものもあれば、一方で売店が出ていないこじんまりしたもの もあって。行ってみてよかったですね。でも、実際に自分が保護者の立場になると、暑い中、調理を行わなければならないとか、面倒だなって感じました……」

 子どもを持つ保護者にとって、夏祭りは、ただ祭りを楽しむだけではなく、運営側の人数や規模などもチェックするもののようだ。グループチャットでも、「どこどこの園の祭りはバザーがある」など、ネットでは見つけることができないようなリアルな話題で盛り上がるという。

「こういう情報って、去年はだいたい○日だったからという事前情報を元に、街の掲示板をチェックしたり、 ママ友に聞いてみたり。自分で探す能力がないとダメなんですよね」

 夏祭りや地域行事は、近隣との交流が深まるなどの利点もあるが、運営側に立つといいことばかりではないという。都心に住む優香さん(仮名)は、父母会主催の夏祭りで当番をしたときに抱いた不満を、グループチャットで吐きだしているという。

「夫の実家を2世帯にリフォームして、同居しています。保育園までは地域とのつながりも薄くてよかったのですが、小学校に入学すると、地域の父母会が運営する夏祭りのスタッフに私も駆り出されることになりました。というのも、義理の両親が地元で地域活動に参加しているのもあって、 手伝わなくてはいけない雰囲気なんですよ。ワーママでマンション住まいのママ友は『忙しいので無理です』の一言で、行事に参加しておらず、羨ましく感じますね」

 優香さんのグループチャットは、地元出身の夫と結婚して、姑が近所に住んでいたり、同居をしているママと少人数で作ったグループだという。

「『都心に一軒家を買えていいね 』ってママ友から言われたりもするのですが、賃貸で自由にできている方がいいなって思ったりもします。私がいる地域は下町なので、父母会主催の盆踊りや、夏祭り以外にも祭りがあって、準備が大変なんです。スタッフの飲み物なども準備されていない中、お客さんにかき氷を作ったり、軽食を配ったり。女性は手伝って当たり前という文化がまだ残っていたりするので、同じ境遇のママ友と『昨日はお疲れ様。やっと終わったね 』とねぎらい合っています」

 子どもを持つとどうしても地域とのかかわりは避けては通れない。しかし、情報の伝達方法から始まり、行事の運営方法などに不満を持つ保護者は少なくないようだ 。共働きが増えた現代、子どものいる家庭が、こうした 仕組みを検討する必要が出てきているように思った。
(池守りぜね)

ZARAが抱える2つの地雷――「日本ではユニクロに勝てない?」「パクリ問題連発」好調の裏側

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 先進国で服が売れにくくなっている状況下において、世界規模でみれば売上高トップを独走し、その成長率と高利益率で注目を集めるのが、主力ブランド「ZARA」を擁するインディテックス社です。全世界の売上高は3兆円を超えています。

 今回は、そんなZARAの我が国における状況――好調の裏側にある“懸念材料”までを見てみたいと思います。

 「各人がすでに大量の洋服を持っていて、新しい商品に手を伸ばさない」という背景から、洋服の販売不振、過剰在庫が取り沙汰される我が国のアパレル業界ですが、ZARAはそうした環境には左右されていないと言われています。さまざまなメディアで報じられている通り、その秘密は、「高速回転による多品種小ロット生産」だとされています。これは、多くの種類の商品を少量ずつ作って店頭に投入し、小刻みに新たな商品へ入れ替えていくスタイルです。

 ZARAとは違い、通常のアパレルブランドは「目玉」となる商品をたくさん作り置いて、徐々に売り減らすという手法を取ります。その理由は、

1.1枚当たりの生産コストが引き下げられ、粗利益額(商品の販売価格から仕入原価を差し引いた金額)が大きくなりやすいため
2.糸、生地の生産を考慮すると、少なくとも半年以上のリードタイム(発注あるいは製造開始から納品までの時間)が必要となるため
3.生地や副資材(ボタン、ファスナー、芯地など)の製造・仕入れコストが抑えられるため
4.サイズ切れや色柄切れなどの欠品による機会損失を防ぎやすいため

などが考えられます。

 この手法を極限まで突き詰めたブランドが、ユニクロだと言えます。通常、メディアでは「ファストファッション」と分類されがちなユニクロですが、実は企画から店頭投入まで1年以上かけている「スローファッション」なのです。1型当たりの生産数量は最低でも数十万~100万枚となり、売れ行き不振で生産調整を行っている我が国のほかのアパレルとは、一線を画す生産量を誇っています。

 一方、ZARAは多品種小ロット生産で知られています。これによって、売り場の新鮮さがいつも保たれるだけでなく、「値下がりまで待っていては売り切れる」という焦燥感から、消費者は定価で買うケースが増えます。この売り方こそ、「各人がすでに大量の洋服を持っている」という我が国をはじめとする先進諸国に適したシステムだとされているのです。通常、多品種小ロットを高速で投入し続けると、1枚当たりの製造コストがかさみ、商品価格は高くならざるを得ませんが、ZARAの場合、店舗数は全世界では2,000店を超えます。つまり1店舗に1型当たり10枚ずつを配送するとしても、総生産数量は2万枚となるので、商品価格を百貨店向けブランドの約半分に抑えることができるのです。

 ZARAはこの企画生産システムを導入することで、成功を収めてきたわけですが、ほかのアパレルがこれを導入することは容易ではありません。なぜなら、常に先を読む企画体制が必要となりますし、高速で次々と新型を生産する仕組みや、各店に商品を送付する物流システムが必要となるからです。このため、ZARAの優位は中期的には変わらないだろうと考えられています。

 とはいえ、世の中に完全無欠の企業は存在しません。ZARAにも、わずかばかりではあるものの、懸念材料はあります。まず、我が国市場に限っていえば、ZARAの総売上高は伸び悩み・停滞が見られるのです。ZARAジャパンは売上高を公開していないので、詳細はわかりませんが、小島ファッションマーケティング代表取締役・小島健輔さんは、独自の情報網から入手したという「数字」を、ニュースサイト「商業界オンライン」の2019年4月配信記事で公開しています。それによると、インディテックス系日本法人の売上高について、18年度は前年実績から76億円減少した約690億円と類推しており、19年に入ってから復調したとは聞かないため、よくても現状維持、悪ければさらに売上高は低下していると考えらえます。また国内の店舗数も18年からは増えていないばかりか、逆に減少傾向にあると指摘されています。

 代表的な事例でいえば、旗艦店の一つとされていた大阪・心斎橋店が、移転のため閉店しました。そしてその後、ドラッグストア「ココカラファイン」が入店したのです。インバウンド客で賑わう心斎橋筋商店街は現在、アパレル店がどんどんと減り、その跡地にドラッグストアが入店するということが続いて、「ドラッグストア商店街」へと急速に変貌しています。

 店舗というのは、家賃交渉や契約更新などのタイミングがあり、一概に「不調だから撤退した」とは言えない場合がありますが、アパレル店に比べてドラッグストアは売上高が全般的に高いため、家主がアパレル店を排除してドラッグストアに貸したがるということが増えています。ある有名アクセサリーブランドの元役員によると「ドラッグストアのトップ店舗の売上高は月額3億円もある」とのこと。年商にすると1店舗で40億円くらいあることになり、アパレル店の10倍ほどになります。詳細は明かされていませんが、恐らくZARAの心斎橋旗艦店も同様だったのではないかと考えられます。ドラッグストアの勢いには遠く及ばなかったということではないでしょうか。

 ZARAの商品は一般的に「ファッション性が高い」と言われ、店頭を見てもらえば一目でわかりますが、ユニクロに比べて「着こなしが難しそう」な商品が数多く並んでいます。そうなると、いくら「百貨店向けブランドよりも半額くらい安い」とはいえ、購買客数の上限はそう高くはならず、ユニクロのようにマス層には広がりません。田舎の老人までもが着用できるようなことには絶対にならないのです。現在、推定されている700億円内外というのが、我が国市場におけるZARAブランドの限界点ではないかと考えられます。ZARAを好むような「おしゃれな客層」をあらかた獲得し尽くしたのではないでしょうか。

 次の懸念材料は、「パクリ訴訟」による相次ぐ敗訴です。ZARAの商品企画は、有名ブランドのデザインを巧みに、良く言えばインスパイア、悪く言えばパクるところに特徴があります。これまで、業績の好調ぶりが騒がれる裏側で、数々の著名ブランドとの類似が指摘されてきたのです。

 ZARAは昨年11月、我が国のデザイナーブランド「ザ・リラクス」に、フード付きコートのデザインを完全コピーされたとして裁判を起こされ敗訴。東京地方裁判所から1041万7282円の支払いを命じられました。またイタリアのOTBグループからも、ブランド「Diesel(ディーゼル)」のジーンズ「Skinzee-SP」と「Marni(マルニ)」のサンダル「Fussbett」を模写されたとして、15年にミラノの裁判所に提訴され、3年後の18年7月に敗訴となっています。

 この2件以外でも、これまでZARAによる「デザインのパクリ疑惑」は、常にファッション業界人やネットユーザーから指摘され続けてきました。トレンド分析を速く正確に行うにあたって、ZARAはコレクションブランドや著名ブランドの商品動向に四六時中目を光らせており、「イケる」と判断した商品を、ほぼそのままコピーすることも、決して少なくはないのではないかと言われているのです。

 ファッション業界は、基本的に「パクりパクられ」の連鎖ですから仕方がない一面があるとは言え、ファッションブランドの知的所有権保護が強化される状況下では、今後、これまでの商品デザインの手法は通用しにくくなる可能性が高くなると考えられます。

 世界的には、ZARAの強さは今後しばらく続くとされています。また、我が国の市場でも急激に衰えることはないでしょうが、これらの懸念材料が影響し、今後のさらなる大幅拡大は期待できないと予想される状況にあるのは事実。日本では、一定規模を維持した「外国のオシャレブランド」として、現状維持が続くのではないでしょうか。
(南充浩)

中学受験、「突然かつ非情」な偏差値暴落――「どうせ私はバカだから」娘の言葉に涙した母

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 受験には普通、“定員”がある。つまりそれは、見知らぬ誰かとの“競争”を意味する。その“誰か”よりも高得点を獲得し、合格ラインよりも上に行かなければ勝利に至らないシステム。ゆえに、仲の良い友達同士だからといって、1点差で明暗が分かれてしまうことは多々あるものなのだ。

 小学6年生の9月あたりになると、「やってもやっても成績が上がらない」ということが起こってくる。勉強していないわけではなく、むしろ今まで以上に頑張っているのに、成績が下がっていく現象が発生するのだ。

 由梨ちゃん(仮名)もその一人であった。6年生の夏休みは、どこにも遊びに行かずに、それこそ朝から晩まで塾に缶詰め。必死に毎日のスケジュールをこなしてきた。

「こんなに頑張ったのだから、絶対に成績は上がっているはず!」

 由梨ちゃんも、母である舞子さん(仮名)もそう信じて疑わなかった。2人は夏休み明けの模試を楽しみにしていたのだ。

 そして9月の模試結果が出た。由梨ちゃんは「どうして……?」と言ったきり呆然とした。そこには、今まで目にしたこともないような低い偏差値が記されており、志望校合格予想欄は「再考」を促すコメントであふれていたからだ。

 そんな由梨ちゃんは、さらなるダメージを受ける。仲良しのメグミちゃん(仮名)が、由梨ちゃんの志望校に対して「合格確率80%」という結果を出したと、知ってしまったのだ。

「メグは夏休みに田舎に遊びにも行ってたし、志望校別クラスの『〇〇特訓』も取っていなかったのに、どうして……?」

 その後、由梨ちゃんは自室にバリケードを作り、舞子さんを部屋の中に入れようとしなくなったそうだ。当然、舞子さんはなだめようと試みる。しかし、由梨ちゃんはドアを開けようとする舞子さんに向かって、いろんなものを投げつけてきたそうだ。

「もう、私のことはほっといて!」
「どうせ、私はバカなんだから!」
「やってもやっても、バカだから、できないんだよ!」
「もう、こんなんじゃ、どこにも受かるわけないじゃん!」
「バカは死んだ方がいいんだよ!」

 ドアの奥から、愛娘の悲痛な叫びが聞こえてきたらしい。今までの由梨ちゃんの努力を知っているだけに、舞子さんのダメージも大きく、ドアの外側に座り込んで、泣いてしまったという。

「由梨にとって小学生最後の夏休みだったのに、結果として遊ぶこともさせず、ただただ叱咤激励してきた自分は母親失格ではないか? この道は間違っているのではないか?」そう思うと、舞子さんの目からは涙があふれ続けたそうだ。

 その時、同じく中学受験を経験している中3生の由梨ちゃんの兄・慎吾君(仮名)が帰宅し、自室に籠ってオイオイと泣いている妹と、そのドアの外でヨヨと泣き崩れている母親を目にする。

 事情を一瞬で察した慎吾君は、舞子さんに向かって「今は由梨をほっといてやれよ」と言い、由梨ちゃんの好物のドリアを作るように進言したという。

 そして、数時間後の真夜中、ベランダから由梨ちゃんの部屋の窓をノックして、

「由梨! 由梨! ジャコビニ流星群が見える!!」

と声を上げた。すると由梨ちゃんが窓を開け、ベランダに出てきたので、慎吾君は自分の双眼鏡を手渡したという。

「お兄ちゃん、見えないよ! 流星群、どこ?」

 慎吾君は「おかしいな、さっき、見えた気がしたんだけどな……。じゃ、もう見えないな、中に入ろう」と言いながら、背中越しに由梨ちゃんに、こう伝えたという。

「由梨、俺も小6の9月はどん底だった。心配すんな。でも、一度、底を見たら、もう上がるしかないから」

 そして、階下にいる舞子さんに向かって、「母さん、由梨がドリア食べるって!」と叫んだそうだ。最初は「言ってないし!」などと漏らした由梨ちゃんだが、慎吾君に笑いながら「腹減ってないの? じゃ、俺が食べちゃうよ」と言われると、気持ちが変わったらしく、「おなかすいた!」と、リビングまで降りて来たという。舞子さんは、由梨ちゃんが部屋から出てきたことがうれしく、思わず「お母さんもドリア、一緒に食べようっと」と乗っかると、同時に夫と慎吾君も「俺も食べる」と便乗。家族揃って、深夜の“ヘビー飯”になったという。

 舞子さんが当時のことを述懐して、こう言った。

「あの時は、慎吾に助けられました。やっぱり、受験を経験した子にしかできないアドバイスがあるんだなって……。私は親なのに、泣くだけで。もっとドーンと構えていないといけないですよね」

 6年秋はスランプに陥る子が多い。それは、全員が一斉に真剣モードに突入してくるので、1問のミスが偏差値を大きく下げてしまうからだ。しかし、本番は冬。コツコツと勉強を続けている子には、やがてスランプも遠ざかる。子どもがネガティブな思考に陥ったとき、親は「自分が何とかしなければ」と背負いがちだが、「誰に子どもを励ましてもらうべきか」を考えることも大切なのかもしれない。

 由梨ちゃんは、それから、おまじないのように、慎吾君から言われた「今が底」という言葉を口にして、また淡々と頑張り出したという。すると夏の成果が晩秋から出始め、当初、考えていた志望校よりもさらに上の「雲の上校」の受験を可能にしたのだ。

 結果、由梨ちゃんは現在、昨年9月の時点では受験も考えられなかった高偏差値校に通っている。時々は兄が忘れていったお弁当を持って。そう、由梨ちゃんは兄・慎吾君と同じ学び舎に通っているのだ。
(鳥居りんこ)

女性天皇の皇位継承問題……「結婚は許されない」伝統に逆らった女帝【日本のアウト皇室史】

 皇室が特別な存在であることを日本中が改めて再認識する機会となった、平成から令和への改元。最近では、女性・女系天皇論争の皇位継承者問題や秋篠宮家の長女・眞子さまの婚約者・小室圭を巡る一連の騒動などが注目されているものの、実は、こんなのは大した騒動ではなかった……? 「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な天皇家のエピソードを教えてもらいます!

女性天皇はわずかにいたが、“結婚”は許されない……

――天皇、皇后両陛下の長女・愛子さまへの皇位継承を望む声が聞こえてきますが、現在の皇室の制度では、女性が天皇になることは認められていませんよね。古代には女性天皇が何人かおられたようですが。

堀江宏樹(以下、堀江) 人数としては「8人」だけですが、その中の2人は生涯で2度、天皇に即位しているので、合計「十代」です。ただ、朝鮮では女王が歴代王朝を通じて累計3人、中国ではたった1人しか女帝はいないので、それに比べれば“多い”と言えます。

――どのような時に女性天皇が即位するのでしょうか?

堀江 簡単に言うと、ほかに適任の男性皇族がいない場合や、次期天皇が若すぎる場合などの“時間稼ぎ”です。天皇家のパワーの源は、いにしえから代々受け継がれた“血”と“伝統のカリスマ性”だと考えられます。だから、先代の天皇の血筋を色濃く受け継ぐ皇子、もしくは皇女が位を継承することはごく自然な流れなのです。

――ただ、男性天皇と異なり、女性天皇は結婚できないんですよね。

堀江 そう。特筆すべきは歴代の女性天皇の全員が、独身の状態で即位していること。中には結婚経験者もいますが、即位時には未亡人でした。それが大きなポイントになっていて、退位後も結婚や再婚をしていません。ちなみに日本だけでなく、朝鮮、中国の女帝についてもそういう感じですね。ただ、今回注目したいのは「女性天皇は結婚できなかった」という事実より、「女性天皇のパートナーとなる男性が、問題視されがちだった」という点です。

――女性天皇に夫がいたとしたら、その男性が女性天皇を操る“影の帝王”のようになる恐れがあるということでしょうか。

堀江 そうです。でも全ての女性天皇が、おとなしく「あなたは生涯独身!」という伝統を受け入れられたのかというと、そうでもなさそう。今回お話する、孝謙天皇/称徳天皇は明らかにそうではなかったと僕は考えています。

――“伝統”によって得たカリスマに逆らうとは、なかなかパワフルな女性天皇ですね。どのような方なのか気になります。

堀江 ちなみに、孝謙天皇は重祚(一度退位した天皇が再び即位すること)して称徳天皇とも呼ばれていますが、今回はわかりやすさを重視して、「孝謙さま」と統一しますね。彼女は聖武天皇と光明皇后の間に生まれた一人娘です。父親の聖武天皇は、奈良の大仏を最初に作らせた人と言えば想像しやすいのでは? また、母親の光明皇后は“有力者”である藤原氏の出身だったこともあり、聖武天皇の数いる妃(妻)たちの中でも権力や財力が飛び抜けていました。おまけに、容姿も美しかったといい、まるで光り輝く存在だったことから“光明”皇后と伝えられるようになったという説もあります。

――現在のように、天皇と結婚したら即・皇后になれるというわけではないと聞いたことがあります。

堀江 そうです。結婚した瞬間から、「オーディション」が始まるイメージ。多くの女性を出し抜き、皇子を生むことが皇后になるための条件ですが、光明皇后には実家・藤原氏のゴリ推しもありました。

――実家にそこまで応援されると、プレッシャーを感じて正直病みそうですが……。

堀江 「運もコネも実力のうち!」って割り切れる“鈍感力”こそ、天皇の後宮で生き抜くための必須条件だったのかもしれませんね。理由こそわかっていないものの、聖武天皇の母君は長年、重い心の病で面会謝絶状態が続いていたといいますが、天皇の妃としてプレッシャーの強い生活に疲れ果てた結果かもしれません。

――光明皇后はある意味、図太かったのかもしれませんね。

堀江 そう。しかも、聖武天皇とは夫婦仲もすごく良くて、今で言うダブルベッドで寝ていました。ちなみに、聖武天皇と光明皇后の“愛の暮らし”の遺品が、奈良の正倉院に保管されている正倉院御物(ぎょぶつ)です。奈良では、毎年秋の風物詩として「正倉院展」が開催されますが、今年は令和元年ということもあってか、東京でも正倉院展が開催されるんですよ。ぜひ行ってみてください。ダブルベッドは出品されるか知りませんが……(笑)

――ほかに男性皇族がいたのに、聖武天皇と光明皇后の一人娘が、“オトナの事情”で女性天皇になってしまったと聞いたことがあります。                     

堀江 有力な男性皇族たちが、ちょうど流行った疫病でバタバタと亡くなったと伝えられていますが、ホントは毒殺されたのかもしれません。いずれにせよライバルたちの病没によって、彼女は、史上初にして現時点では“唯一”の女性皇太子となりました。これが21歳の時で、まだ独身。そのまま帝王教育を受け、女帝として即位したことも異例です。

――運命に選ばれた、“特別”な女性とも言えそうですね。

堀江 良い意味でも、悪い意味でも、唯一無二の存在感を持つ女帝でしたが、同時にとても賢い人だったようです。ちょうど孝謙さまが即位する少し前、絶対に女帝の即位を認めなかった中国で、則天武后(武則天)という女帝が誕生しているんです。まぁーね、世界史の読み物の中では、スケベでビッチ、権力と欲の塊で悪女扱いされがちなのが則天武后なんですけど、「女性でも国のトップとして辣腕を振るうことができる!」と、証明した点では、孝謙さまにとって心の支えだったかもしれません。孝謙さまの時代は、元号が異例の漢字四文字なんですが、これは則天武后の中国の元号と同じ形式なので、影響を受けていたことを推測できます。

 次回は、そんな孝謙さまが入れ上げた“巨根”の僧侶との関係、国民から嫌われるに至った背景を深掘りします!

堀江宏樹(ほりえ・ひろき)
1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。2019年7月1日、新刊『愛と欲望の世界史』が発売。好評既刊に『本当は怖い世界史 戦慄篇』『本当は怖い日本史』(いずれも三笠書房・王様文庫)など。
Twitter/公式ブログ「橙通信

「双子の老女」による巧妙トリック!? 万引きGメンを混乱させた「女子トイレ」での一幕

 私たち保安員が一番恐れるのは、言うまでもなく誤認事故を起こすこと。私自身、過去に3度も経験しておりますが、解決するまでの間は、とても悔しく苦しい思いで過ごしたことを覚えています。誤認事故と言っても、過程を見れば、着手に至ったうえで中止されるケースが多く、巧妙な罠にはめられてしまうことも少なくありません。いわゆる「当たり屋」と呼ばれる人も存在しており、証拠隠滅の成功をいいことに居直り、浅はかな知識で人権侵害を訴えてくることもありました。そうした人ほど被害者面で喚き散らし、自ら警察を呼ぶなどして騒ぎを大きくしようとしますが、その演技性は見ていて伝わるもので、関わる全ての人を不快にさせます。今回は、私の関わった事故の中でも、一番印象深い事案についてお話していきたいと思います。

 当日の現場は、S県にあるディスカウントストアD。長年にわたって毎月コンスタントに入っている現場の一つで、土地柄なのか捕捉率は高く、1日に3件の捕捉があることも珍しくありません。比較的閑静な住宅街にありながら、競艇や競輪、オートレースなどの賭博施設までバスで行ける場所にあるため、賭け事に負けた人たちによる腹いせ的な万引きや、オケラ(一文無し)になった人たちによる「やけ酒狙い」の万引きが横行しているのです。帰宅する金まで失ってしまったのか、生きるために盗みを重ねるホームレスのような方に声をかける機会も多く、彼らが発する強烈な臭いにやられて、うまく呼吸ができずに気を失いかけたこともありました。どことなく汚らしい人ばかり来るお店ですが、馴染みの店なので不審者の選別は容易です。その一方、常習者に顔を覚えられている側面もあって、あまり居心地はよくありません。なるべく早く万引きする人を捕まえて、警察署に行って座らせてもらおうと、自分のアンテナを全開にした私は、少しでも顔を隠すべく、買ったばかりのマスクをつけて売場に入りました。

 昼のピークを迎えて混雑する店内を巡回していると、酒売場の通路で眼(がん)を振っている老女に目が止まりました。商品や値札を吟味することなく、そっぽを向きながら商品に手を伸ばす姿が気になったのです。ユニクロらしきグレーのスウェット上下を着込んだ彼女は70代前半くらいで、子ども用に見える派手な蛍光色のスニーカーが、その正体を不明にさせます。顔を見れば往年の大女優であられた菅井きんさんを意地悪にしたような感じで、左手首に下げられている使い古されたナイロンの手提げバッグが、彼女のやる気を証明しているように見えました。

(常習っぽいけど、初めて見る顔ね)

 それから、缶ビールや缶チューハイを数本ずつバッグに隠した彼女は、年齢にはそぐわない素早い動きで出入口脇にあるトイレに向かっていきます。同性であることに感謝しながら、少し間をおいてトイレに入ると、何も手にしていない状態の彼女がハンカチで手を拭っていました。2つある個室は使用中で、それとなく周囲を見回すも、先程お酒を隠したバッグは見当たらない状況です。

(どこに隠したのかしら?)

 トイレから出て、そのまま出口に向かった彼女は、店舗前の駐輪場に止めてある自転車に跨がりました。売場にいた時とは違って、周囲を警戒する様子も見せずに、平然と立ち去っていきます。
釈然としないまま、持ち込まれた商品を探すべく再度トイレに戻ると、いましがた見送ったばかりの彼女が、大きな紙袋を持って個室から出てきました。声を上げたくなる衝動をこらえて、我が目を疑いつつ改めて彼女の姿を確認すれば、蛍光色だったはずの靴がグレーのサンダルに変わっています。

(一体どういうことなのかしら?)

 声をかけようにも、目切れ(途中、目を離すこと)した状況であるし、犯罪供用物であるバッグも変わっているため、それは叶いません。出口に向かった彼女は、さっきと違う場所に停められた自転車に跨ると、先程と同じ方向に自転車を走らせました。何がどうなったのか、よくわからないまま彼女を見送ります。自分の見たものが信じられない。そんな違和感を抱えたまま、その人着(人の性別、年齢や服装、持ち物などを把握すること)を脳裏に焼き付けて、しっかりと“貯金”しました。

 数日後、以前に見送った老女が、前に見かけた時と同じ服装で店内に入ってくるのが見えました。今回も大きな紙袋を手にしていますが、重量感は感じられず、一見したところ何も入っていないようです。売場に立ち寄ることなく、トイレに直行していく彼女を遠目に見守っていると、正面口からナイロンバッグを手にした老女が入ってきました。彼女もまた、前に見かけた時と同じ服装をしています。一瞬、おばけでも見ているような気持ちになりましたが、先の出来事と照らし合わせてみると、ようやくに事態が飲み込めました。

(この人たち、双子なのね。これは、わからないわ……)

 実行役と思しきナイロンバッグのきんさんを監視下に置き、その行動を見守ると、今回は高価な牛肉や加工肉を始め、メロンやいちご、それに和菓子などを手慣れた様子でナイロンバッグの中に隠していきました。商品の隠匿を終えたナイロンバッグのきんさんは、案の定、トイレに向かって歩を進めています。追尾中、たまたま居合わせた副店長を捕まえて、事情を話しながら声掛けに立ち会ってもらうようお願いすると、少し嫌な顔をしながらも引き受けてくれました。トイレ内に入って、個室の扉をノックしたナイロンバッグのきんさんが、個室内に潜む紙袋のきんさんに、未精算の商品が詰まったナイロンバッグを手渡したところで声をかけます。

「お客様、そちらのバッグに入れた商品、ご精算いただけますか」

 すると、突然に個室の扉が閉まって施錠されると同時に、ナイロンバッグのきんさんが私たちを振り払うように早足で歩き始めました。副店長に警察への通報と個室の見張りを頼み、事務所への動向に応じるよう並走して説得を試みます。

「大丈夫だから、お話を聞かせてください。逃げると大事になりますよ」
「私は、関係ない。お金は、姉が払うと思う」

 店外に出たナイロンバッグのきんさんが自転車で走り出そうとするので、ハンドルを必死に抑えて制止していると、異変に気づいた矢崎滋さんに似た店長と数人の男性店員が駆けつけてくれました。揉み合いの中、ざっと事情を聞いて激昂したらしい店長は、オラついた巻き舌で何かを怒鳴り、自転車にしがみつくナイロンバッグのきんさんを自転車から引き剥がしにかかります。いとも簡単に引きずり降ろされたナイロンバッグのきんさんは、首根っこを掴まれた猫のような形でトイレまで連行されると、待機していた副店長にその身を預けられました。それからまもなく、ドンドンと激しくトイレの扉をたたき始めた店長が、個室内に籠城する老女に向けてドスの利いた声で怒鳴ります。

「開けろ、おら! 早く出てこい!」

 それでも扉が開く気配はありません。そこで業を煮やした店長は、若い店員にモップを持ってくるよう指示すると、残った人にお尻を押させて扉を登り始めました。左手でモップを受け取り、柄の部分を下に持つと、それをスライドさせて見事に鍵を開けてみせたのです。

「なによ、あんたたち! 女が用を足しているのに、ひどいじゃないのよ!」
開けられた扉の中では、紙袋を抱えた老女が、スウェットパンツをおろした状態で便器に座っていました。店長をはじめ、居合わせた男性全員が、すぐに俯いて目を背けた瞬間が、とてもおかしかったです。

 その後、臨場した警察官に用を済ませてから精算するつもりだったと釈明した双子の老姉妹は、覗きの被害を訴え出ることで反撃に転じました。しかし、同様の前科が明らかとなり、その言い訳は通用しません。お店側も、盗難の被害届を受理するよう警察に迫りますが、複雑な展開に扱いを嫌がった警察は、双方に厳重注意をすることで、この場を収めました。

「あんたもプロなんだから、店内で声をかけるなんてこと、もうしないでくれよな」

 バカにするように私を見下ろした初老警察官の目は、いまも脳裏に焼き付いています。

 その後も、懲りることなく来店を続けている双子の老姉妹は、隙あらばといった動きで店内を闊歩し、私たちやお店の人を翻弄し続けています。もう顔を覚えられてしまっているので、2人に対しては防止に勤しむほかなく、勤務時間外の行動については把握できません。もはやお手上げといった感じなので、機会を作ってウチのエースに登場してもらって、しっかり見てもらおうと思っています。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)

「双子の老女」による巧妙トリック!? 万引きGメンを混乱させた「女子トイレ」での一幕

 私たち保安員が一番恐れるのは、言うまでもなく誤認事故を起こすこと。私自身、過去に3度も経験しておりますが、解決するまでの間は、とても悔しく苦しい思いで過ごしたことを覚えています。誤認事故と言っても、過程を見れば、着手に至ったうえで中止されるケースが多く、巧妙な罠にはめられてしまうことも少なくありません。いわゆる「当たり屋」と呼ばれる人も存在しており、証拠隠滅の成功をいいことに居直り、浅はかな知識で人権侵害を訴えてくることもありました。そうした人ほど被害者面で喚き散らし、自ら警察を呼ぶなどして騒ぎを大きくしようとしますが、その演技性は見ていて伝わるもので、関わる全ての人を不快にさせます。今回は、私の関わった事故の中でも、一番印象深い事案についてお話していきたいと思います。

 当日の現場は、S県にあるディスカウントストアD。長年にわたって毎月コンスタントに入っている現場の一つで、土地柄なのか捕捉率は高く、1日に3件の捕捉があることも珍しくありません。比較的閑静な住宅街にありながら、競艇や競輪、オートレースなどの賭博施設までバスで行ける場所にあるため、賭け事に負けた人たちによる腹いせ的な万引きや、オケラ(一文無し)になった人たちによる「やけ酒狙い」の万引きが横行しているのです。帰宅する金まで失ってしまったのか、生きるために盗みを重ねるホームレスのような方に声をかける機会も多く、彼らが発する強烈な臭いにやられて、うまく呼吸ができずに気を失いかけたこともありました。どことなく汚らしい人ばかり来るお店ですが、馴染みの店なので不審者の選別は容易です。その一方、常習者に顔を覚えられている側面もあって、あまり居心地はよくありません。なるべく早く万引きする人を捕まえて、警察署に行って座らせてもらおうと、自分のアンテナを全開にした私は、少しでも顔を隠すべく、買ったばかりのマスクをつけて売場に入りました。

 昼のピークを迎えて混雑する店内を巡回していると、酒売場の通路で眼(がん)を振っている老女に目が止まりました。商品や値札を吟味することなく、そっぽを向きながら商品に手を伸ばす姿が気になったのです。ユニクロらしきグレーのスウェット上下を着込んだ彼女は70代前半くらいで、子ども用に見える派手な蛍光色のスニーカーが、その正体を不明にさせます。顔を見れば往年の大女優であられた菅井きんさんを意地悪にしたような感じで、左手首に下げられている使い古されたナイロンの手提げバッグが、彼女のやる気を証明しているように見えました。

(常習っぽいけど、初めて見る顔ね)

 それから、缶ビールや缶チューハイを数本ずつバッグに隠した彼女は、年齢にはそぐわない素早い動きで出入口脇にあるトイレに向かっていきます。同性であることに感謝しながら、少し間をおいてトイレに入ると、何も手にしていない状態の彼女がハンカチで手を拭っていました。2つある個室は使用中で、それとなく周囲を見回すも、先程お酒を隠したバッグは見当たらない状況です。

(どこに隠したのかしら?)

 トイレから出て、そのまま出口に向かった彼女は、店舗前の駐輪場に止めてある自転車に跨がりました。売場にいた時とは違って、周囲を警戒する様子も見せずに、平然と立ち去っていきます。
釈然としないまま、持ち込まれた商品を探すべく再度トイレに戻ると、いましがた見送ったばかりの彼女が、大きな紙袋を持って個室から出てきました。声を上げたくなる衝動をこらえて、我が目を疑いつつ改めて彼女の姿を確認すれば、蛍光色だったはずの靴がグレーのサンダルに変わっています。

(一体どういうことなのかしら?)

 声をかけようにも、目切れ(途中、目を離すこと)した状況であるし、犯罪供用物であるバッグも変わっているため、それは叶いません。出口に向かった彼女は、さっきと違う場所に停められた自転車に跨ると、先程と同じ方向に自転車を走らせました。何がどうなったのか、よくわからないまま彼女を見送ります。自分の見たものが信じられない。そんな違和感を抱えたまま、その人着(人の性別、年齢や服装、持ち物などを把握すること)を脳裏に焼き付けて、しっかりと“貯金”しました。

 数日後、以前に見送った老女が、前に見かけた時と同じ服装で店内に入ってくるのが見えました。今回も大きな紙袋を手にしていますが、重量感は感じられず、一見したところ何も入っていないようです。売場に立ち寄ることなく、トイレに直行していく彼女を遠目に見守っていると、正面口からナイロンバッグを手にした老女が入ってきました。彼女もまた、前に見かけた時と同じ服装をしています。一瞬、おばけでも見ているような気持ちになりましたが、先の出来事と照らし合わせてみると、ようやくに事態が飲み込めました。

(この人たち、双子なのね。これは、わからないわ……)

 実行役と思しきナイロンバッグのきんさんを監視下に置き、その行動を見守ると、今回は高価な牛肉や加工肉を始め、メロンやいちご、それに和菓子などを手慣れた様子でナイロンバッグの中に隠していきました。商品の隠匿を終えたナイロンバッグのきんさんは、案の定、トイレに向かって歩を進めています。追尾中、たまたま居合わせた副店長を捕まえて、事情を話しながら声掛けに立ち会ってもらうようお願いすると、少し嫌な顔をしながらも引き受けてくれました。トイレ内に入って、個室の扉をノックしたナイロンバッグのきんさんが、個室内に潜む紙袋のきんさんに、未精算の商品が詰まったナイロンバッグを手渡したところで声をかけます。

「お客様、そちらのバッグに入れた商品、ご精算いただけますか」

 すると、突然に個室の扉が閉まって施錠されると同時に、ナイロンバッグのきんさんが私たちを振り払うように早足で歩き始めました。副店長に警察への通報と個室の見張りを頼み、事務所への動向に応じるよう並走して説得を試みます。

「大丈夫だから、お話を聞かせてください。逃げると大事になりますよ」
「私は、関係ない。お金は、姉が払うと思う」

 店外に出たナイロンバッグのきんさんが自転車で走り出そうとするので、ハンドルを必死に抑えて制止していると、異変に気づいた矢崎滋さんに似た店長と数人の男性店員が駆けつけてくれました。揉み合いの中、ざっと事情を聞いて激昂したらしい店長は、オラついた巻き舌で何かを怒鳴り、自転車にしがみつくナイロンバッグのきんさんを自転車から引き剥がしにかかります。いとも簡単に引きずり降ろされたナイロンバッグのきんさんは、首根っこを掴まれた猫のような形でトイレまで連行されると、待機していた副店長にその身を預けられました。それからまもなく、ドンドンと激しくトイレの扉をたたき始めた店長が、個室内に籠城する老女に向けてドスの利いた声で怒鳴ります。

「開けろ、おら! 早く出てこい!」

 それでも扉が開く気配はありません。そこで業を煮やした店長は、若い店員にモップを持ってくるよう指示すると、残った人にお尻を押させて扉を登り始めました。左手でモップを受け取り、柄の部分を下に持つと、それをスライドさせて見事に鍵を開けてみせたのです。

「なによ、あんたたち! 女が用を足しているのに、ひどいじゃないのよ!」
開けられた扉の中では、紙袋を抱えた老女が、スウェットパンツをおろした状態で便器に座っていました。店長をはじめ、居合わせた男性全員が、すぐに俯いて目を背けた瞬間が、とてもおかしかったです。

 その後、臨場した警察官に用を済ませてから精算するつもりだったと釈明した双子の老姉妹は、覗きの被害を訴え出ることで反撃に転じました。しかし、同様の前科が明らかとなり、その言い訳は通用しません。お店側も、盗難の被害届を受理するよう警察に迫りますが、複雑な展開に扱いを嫌がった警察は、双方に厳重注意をすることで、この場を収めました。

「あんたもプロなんだから、店内で声をかけるなんてこと、もうしないでくれよな」

 バカにするように私を見下ろした初老警察官の目は、いまも脳裏に焼き付いています。

 その後も、懲りることなく来店を続けている双子の老姉妹は、隙あらばといった動きで店内を闊歩し、私たちやお店の人を翻弄し続けています。もう顔を覚えられてしまっているので、2人に対しては防止に勤しむほかなく、勤務時間外の行動については把握できません。もはやお手上げといった感じなので、機会を作ってウチのエースに登場してもらって、しっかり見てもらおうと思っています。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)

東北初の女性向け風俗、テクニシャンすぎて「延長希望」! 渡部篤郎似の舌使いに悶絶!!

 「女にも性欲」がある――そんな当たり前のことが広く知られるようになり、女性向けセルフプレジャーグッズや、イケメンAV男優が出演するアダルト動画などが、身近な存在になりつつある中、それでも「女性向け風俗」は男性向け風俗に比べ、まだまだ未知の領域かも? そんな中、Twitterやラジオ、インターネット番組で、自らの女性向け風俗の体験談を赤裸々に語っているのがお笑いコンビ・ハナイチゴの関谷友美さん。女性向け風俗の世界を関谷さんに案内してもらいます!

女子旅と見せかけて、夜は別行動! 仙台の夜は長い

 ハナイチゴ・関谷です。過去4回にわたり、素晴らしき女性向け風俗の世界をお伝えしてきましたが、そろそろスマホに手が伸びて検索しているのではないでしょうか? 意外とハードルが低いでしょ? 前回は「ソフトSMコース」でアナルデビューしたお話でしたが、今回は仙台で出会った母性本能をくすぐりまくる20歳の子犬系男子と、これまでのセラピスト史上で一番気持ちよかった男性の2人についてお話します。
 
 なぜ、仙台まで足を延ばしたのかというと、知人の女性向け風俗店社長さんから、「東北初の女性向け風俗店が仙台にできるよ!」という情報をゲットしたから。東北を訪れたのは、女子プロレスをやっていた時に遠征試合で行った岩手県以来なので、観光では初。実は今回、気が合う女友達と二人でやって来たのですが、友達は女性向け風俗にまったく興味がないため、昼間は一緒に仙台観光をして、夜は別行動することにしました。
 
 観光中でも友達が隣にいても、やることはいつもと一緒で、まずはお店のホームページでセラピストのチェック! 写真が載っていない時はくじを引くような気分でドキドキしますが、今回は写真が載っていたのでひと安心です。お店のナンバー1つまり東北1のセラピストは、チャラ男芸人として人気急上昇のお笑いコンビ・EXITの兼近大樹さん似で超イケメン。東北ナンバー1に気持ちよくしてもらいたかったのですが、大人気で予約がいっぱいだったので諦めてフリーにしました。今回のお店は初回割引がなく、通常料金の90分1万5,000円だったので、ラブホテルは3時間3,800円と比較的安い所を選んだものの、清潔でとても快適! 風俗全国ツアーをやっていると土地勘のない場所でホテルを選ぶことになるので、食べログのラブホテル版のような基本情報と口コミが掲載されているアプリを使いつつ、昼間のうちにホテル街を歩いて価格帯を調べるようにしています。

 ホテルに着いた時にはすでにべろんべろんの状態。こんなに飲むつもりじゃなかったのに、気の置けない女友達との旅行が楽しすぎハメを外しちゃいました。そんなこんなでフワ~とした気分で、セラピストを待ちます。予約時に「若い人で!」と年代だけ希望を伝えていたのですが、やって来たのはミュージシャンの米津玄師に似ている細い男性。学生のように初々しく、小っちゃくて細くてとにかく華奢。ツルツルとした色白な肌質は、男子フィギュアスケート・羽生結弦選手も彷彿とさせる感じ! ただ、正直、がっちり体形好きな私としては、「失敗したかも……」と思ってしまいました。

 そんな繊細な雰囲気を醸し出す米津くんでしたが、“すぐに”私が酔っていることに気が付き「大丈夫、お水飲む?」って聞いてくれるなど、すごく親切。最初はがっかりしましたが、恋人のような優しい米津くんにすっかり心を奪われちゃいました。マッサージの腕も良く、気が付くと爆睡。酔っ払いすぎて、体がダルい上に濡れにくくなっていたのですが、“性感マッサージ”に入った瞬間、自分のスイッチが一気に切り替わり、“バっ!”と目が覚めました。マッサージ中に寝た分、体力が回復です! 米津くんの性感マッサージはキスが多く、バリエーション豊富で、“レモン”のような甘酸っぱい軽めのキスからディープまで、口と体にたくさんしてくれました。キスをしている間も「きれいだね」と褒めてくれるのですが、子犬のようなかわいさ! テクニックというよりも、チワワのように愛らしく甘えてくる感じがたまらなかったです。

 そして、子犬のようなかわいさとは反対にアソコの“勃ち”はすごい! 米津くんの“マイク”はタオルで隠されていたものの、最初のマッサージからギンギンで、まるで伊達政宗の兜に付いている三日月の前立てのようにビーンって勃っていました(笑)。性感マッサージ終了後、お風呂の中でイチャイチャしたのですが、米津くんのご立派な“前立て”を眺めていたら、モンモンとした気持ちが抑えきれなくなり、思わずパックンチョ! 話を聞いたところまだ20歳なりたてということで、若い男の子にイタズラしているような気分になりまたも興奮。母性本能くすぐられっぱなしの90分でした。

「延長希望!」渡部篤郎似のハンパない舌使い

 米津くんと仙台観光に心を満たされ、友達に「もう少しここにいたい!」と提案した結果、もう一泊に延長することに。延泊が決まれば、もちろん風俗! 今回もフリーで予約し、「昨日は若い子を堪能したので30代にします」と希望を伝えました。それが、2日目も大当たりで、渡部篤郎似のセラピストの登場です。篤郎の舌使いは今までに経験したことないほどの快感。シルクのような滑らかな舌触りと、タコの吸盤のような力強い吸い付きの緩急にイカされ続け、初めて延長をお願いしました! 風俗に通い始めて、延べ15~20人くらいのセラピストの施術を経験しましたがダントツのテクニックでした。篤郎のシンボルは米津くん同様、終始ギンギンで、「もしかして仙台の男性は “勃ち”が良いのでは?」なんて考えてしまいましたね。 

 ちなみに篤郎の通常マッサージは本格的かつ、ものすごく上手。話を聞くと本業は“普通”のマッサージ師で、「エロいことと、女の人に気持ち良くなってもらうのがとにかく大好き」という理由から、副業で女性向け風俗を始めたといいます。確かに、篤郎のプロフィールには「マッサージが得意」という記載があったので、これからは写真だけではなく特技などプロフィール全体に目を向けていこうと思いました。

 値段に見合ったサービスを“確実”に受けたい方や、好みの男性と“疑似恋愛”したいというように目的がしっかりしている方は、断然「指名予約」をオススメしますが、私のようにある種のレジャーとして楽しむのであれば「フリー」で冒険してみるのもアリですよ。

ハナイチゴ・関谷友美 
太田プロダクション所属の芸人。コンプライアンス小松﨑とハナイチゴというコンビで活躍中。
Twitter/公式ブログ「サブマリンに憧れて

吉本興業騒動で口をつぐむオンナ芸人たち――いま再び山崎ケイの「ちょうどいいブス」を考える

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「普段、人から褒められていないのかな」相席スタート・山崎ケイ
『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系、7月13日) 

 吉本興業のブラック体質ぶりについて、有名無名含めた多くのオトコ芸人たちが抗議の声を上げている。しかし、オンナ芸人で正面切って会社の在り方に文句を言っているのが、友近とハリセンボン・近藤春菜の二人しかいないというのは、吉本興業の体質を表しているのかもしれない。吉本興業の顔はオトコ芸人であり、オンナは添え物。だから、オンナ芸人が口をつぐんだままでいるしかないと思うのは、考えすぎだろうか。

 吉本興業内の力関係において、「オトコ芸人>オンナ芸人」という暗黙の了解があるとすると、相席スタート・山崎ケイの「モテない美人よりモテるブス」を目指すためのメソッド「ちょうどいいブス」が、非常に理にかなったものに感じられる。『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「たいこ持ち芸人」の回で、たむらけんじが「芸を磨くより、先輩に可愛がられた方が早く売れる」と話していたことがあったが、「ちょうどいいブス」はオトコ芸人の懐に入るのにもってこいのキャラクターだと思うからだ。

 「ちょうどいいブス」とは「酔ったらいける(抱ける)女性」のことを指すそうだ。オトコ芸人から見れば、「ちょうどいいブス」を自称する女性は「いじってもOK」かつ「いじらしい」かつ「都合がいい」存在で、可愛いだろう。キャラとしても新しいので、バラエティー番組に出る際の武器にもなる。山崎のエッセイ『ちょうどいいブスのススメ』(主婦の友社)は重版がかかり、テレビドラマ化され、本人も大ブレーク……するはずだったが、ミソがついた。

 #MeToo運動以降、一般の女性たちもSNSでこれまで我慢してきたセクハラを語っていいと気づいた。ゆえに、自分からブスという侮蔑を受け入れ、「酔ったらいける」オンナになりたがる山崎と、それをドラマ化しようとしたテレビ局には、放送前から非難が殺到。ドラマはタイトル変更を余儀なくされた。 

 原作者である山崎も、もちろん叩かれた。山崎が過去、痴漢について「満員電車に乗って、無事に目的地に着いたら、そういう努力(注:痴漢をしない努力)をしてくれた男性がいたのかなって思ってみよう」とツイートした“前科”もあったことから、「痴漢をしないのは当たり前のこと」「なぜそこまでオトコにおもねるのか」という批判も噴出した。

 しかし、どんなキャラを標榜しようと山崎の自由だし、キャラを際立たせることが、飯のタネでもある。山崎のモテたい気持ちをそしる権利は誰にもないが、その一方で、山崎の言動を見ていると、こりゃ燃えるだろうなぁと思うことがある。山崎は「ちょうどいいブス」を他人にススメており、さらに“決めつけ”のニュアンスが漂う発言をすることがあるのだが、これが一歩間違うと炎上を呼んでしまう気がするのだ。

 『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)に、ニッチェ・近藤くみこが出演し、飲み会で現役医師芸人・しゅんしゅんクリニックP(以下、しゅんP)に「タイプだ」と口説かれたと暴露した(しゅんPは否定)。 

 この暴露に対し、山崎は「しゅんPはみんなにそういうことを言っている」「私も『今日の服、可愛いですね』って言われる」とし、「勘違いしちゃうくらい、(近藤は)あんまり普段、人から褒められてないのかな」と締めくくった。

 つまり山崎は、近藤が褒められ慣れていないがゆえ、しゅんPの社交辞令を真に受けて舞い上がって勘違いをしたと言っているわけだ。しかし、「しゅんPがほかのオンナ芸人を口説いているところを見た」のなら、「近藤の勘違い」である可能性は高くなってくるが、山崎はその飲み会に参加していないのだから、ちょっと決めつけが過ぎないだろうか。その根底には「おまえがモテるわけがない」というあざけり、もっと言うと“女嫌い”が潜んでいないだろうか。

 近藤は「口説かれたことは虚言ではない」と訴え、同じ飲み会に参加していたフォーリンラブ・バービーも「こんちゃんのことを、しゅんPがエロい目で見ていた」と証言している。バラエティーでの発言が全て真実である必要はないが、バービーの発言によって、山崎の“決めつけ”の可能性が強まった。

 女性として、芸人として、山崎がモテを追求するのはアリだ。ただし、芸人を含むほかの女性全般に関して「お前なんてモテない」的なニュアンスを含んだ表現をすると、オトコにおもねるだけでなく、オンナを踏み台にする“オンナの敵”とみなされる可能性は大いにある。そしてさらに世間のイメージは悪化するだろう。

 そうは言っても、いまだにバラエティー番組では、オンナ芸人同士がいがみ合う展開を求められるだけに、山崎がオンナ芸人をまったく落とさないで仕事をするのも、難しい部分はある。そんな中で、山崎が世間のイメージを回復させようとするなら、「私生活」で挽回するのはどうだろうか。山崎がプロ野球選手(二軍でも可)や俳優など、女性に人気の高い職種の男性と交際宣言をすれば、「ちょうどいいブス」の効果が証明されたことになり、一気にイメージは上がるのではないか。

 結局のところ、世の中は「勝てば官軍、負ければ賊軍」であり、何を言うかより、誰が言うかの方が大事な部分がある。私生活で、みんながあこがれる結果を残せれば、お笑いというカテゴリに留まらず、アラフォーの星になれる可能性は大。ケイちゃん、今が正念場なのでぜひ奮起されたし。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。