森三中・黒沢の“エピソードトーク”がホラーと紙一重! 「中1まで朝食を知らなかった」という告白は星新一ばりだ

 笑福亭鶴瓶は、大阪~東京間の新幹線の中でネタになりそうな面白い人を絶えず探しているらしい。『鶴瓶上岡パペポTV』(日本テレビ系)や『きらきらアフロ』(テレビ東京系)でエピソードトークし続けてきた彼が己に課した、芸人としての努力だ。

 とはいえ、“鶴瓶話”の中で特に面白いのは、学生時代や下積み時代のエピソードだったりする。

「探そう」と思い発見したものより、日々の生活や環境で身に付いたネタの方が強いのは、当然か。

 

■「朝ごはんなんて食べてるの!?」と、同級生を軽蔑した黒沢

 

 激レアな体験をした人の実体験話を聞くバラエティ『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)。毎週、さまざまな一般人を「激レアさん」と称して紹介する同番組に、森三中の黒沢かずこが出演した。ゲストとしてではない。「激レアさん」としてである。

 今回、彼女が披露した激レア体験は「朝ごはんを中1まで知らずに育った」だ。いきなり、意味がわからない。だからこそ、激レアなのだろうけど。

 まず、彼女が育った環境を確認したい。黒沢家は茨城県で食堂喫茶を営んでいる。お店でモーニングを出しているような家庭が、実の娘に朝ごはんを出していなかった事実が衝撃だ。

 では、朝に黒沢家はどうしていたのか? 両親はコーヒー1杯、黒沢はスポロン(グリコが発売する幼児向け飲料)1本で済ましていたという。幼き日の黒沢は、お昼の給食と晩ごはんの1日2食で大丈夫だった。

 中学に進み、朝練ありのソフトボール部へ入部した黒沢。この頃も、まだ彼女は朝食という概念を知らなかった。当然、お腹は空く。給食までガマンするのは辛い。しかし、思春期の女の子特有の“乙女マインド”により、周囲に「お腹空いた」なんて言えなかった。

「給食までガマンしてたんで、4時間目くらいには机をグッと動かしながら、お腹の鳴る音をごまかしてました」(黒沢)

 しかし、ガマンにも限度がある。ついに、同級生のちーちゃんに彼女は打ち明けた。

黒沢 ねえ、ちーちゃん。お腹空かない?

ちーちゃん 朝ごはん食べてきたから空かないよ!

黒沢 アサ……ゴ……ハン?

 中学1年になり、初めて「朝ごはん」という言葉を黒沢は耳にした。戸惑いは隠せない。そして彼女、朝にごはんを食べてきたちーちゃんに対し「いやしい人間」「情けない人間」「なんて欲深い人間!」と、軽蔑の感情を抱いてしまう。

「食べ物=性っていうイメージが強いんです。言うなれば、私からしたら性欲むき出しなわけですよ。それで、普通に1時間目から授業を受けてるわけじゃないですか。『朝ごはん食べてきてるのに、必死~!』って(笑)」(黒沢)

“朝食とる派”を見下す黒沢であったが、朝ごはんの概念を知らない黒沢の方がマイノリティなのは当然。ある日、クラスメイトから「朝ごはん、食べてきてないの?」とツッコまれ、クラスじゅうが朝ごはんを知らない黒沢にざわついた。彼女の中で価値観の逆転現象が起こった瞬間だ。

「『朝ごはんなんて食べてるの!?』って、最初は私の方が上に立った人間だったのに、急にざわざわして1人になったような感じで、あの時はすごく怖かったです」(黒沢)

 帰宅後、黒沢は母親に直談判する。

黒沢 お母さん、“朝ごはん”っていうのが食べたい!

お母さん バレた(笑)?

 

■「お笑いとホラーは紙一重」を具体化した思春期を過ごした黒沢

 

 楳図かずおは「追いかけられるとホラーで、それを傍から見ているとギャグになり得る」という表現で、お笑いとホラーは紙一重だと論じた。

 創作やフィクションではなく、現実世界における「お笑いとホラーは紙一重」を、今回の黒沢のエピソードトークは具体化している。実の子に「朝ごはん」という存在そのものを教えず、中学入学までその状態のまま育てることに成功した黒沢家。星新一のショートショートのような話だが、あくまでこれは現実のエピソードなのだ。

 リアルに体験した、体験せざるを得なかった境遇だからこそ恐ろしい。ネタ探しの末ではなく、ナチュラルに出来上がってしまったエピソードトーク。なんたる破壊力か。

 やはり、異常な人間こそネタの宝庫なのだ。
(文=寺西ジャジューカ)

森三中・黒沢の“エピソードトーク”がホラーと紙一重! 「中1まで朝食を知らなかった」という告白は星新一ばりだ

 笑福亭鶴瓶は、大阪~東京間の新幹線の中でネタになりそうな面白い人を絶えず探しているらしい。『鶴瓶上岡パペポTV』(日本テレビ系)や『きらきらアフロ』(テレビ東京系)でエピソードトークし続けてきた彼が己に課した、芸人としての努力だ。

 とはいえ、“鶴瓶話”の中で特に面白いのは、学生時代や下積み時代のエピソードだったりする。

「探そう」と思い発見したものより、日々の生活や環境で身に付いたネタの方が強いのは、当然か。

 

■「朝ごはんなんて食べてるの!?」と、同級生を軽蔑した黒沢

 

 激レアな体験をした人の実体験話を聞くバラエティ『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)。毎週、さまざまな一般人を「激レアさん」と称して紹介する同番組に、森三中の黒沢かずこが出演した。ゲストとしてではない。「激レアさん」としてである。

 今回、彼女が披露した激レア体験は「朝ごはんを中1まで知らずに育った」だ。いきなり、意味がわからない。だからこそ、激レアなのだろうけど。

 まず、彼女が育った環境を確認したい。黒沢家は茨城県で食堂喫茶を営んでいる。お店でモーニングを出しているような家庭が、実の娘に朝ごはんを出していなかった事実が衝撃だ。

 では、朝に黒沢家はどうしていたのか? 両親はコーヒー1杯、黒沢はスポロン(グリコが発売する幼児向け飲料)1本で済ましていたという。幼き日の黒沢は、お昼の給食と晩ごはんの1日2食で大丈夫だった。

 中学に進み、朝練ありのソフトボール部へ入部した黒沢。この頃も、まだ彼女は朝食という概念を知らなかった。当然、お腹は空く。給食までガマンするのは辛い。しかし、思春期の女の子特有の“乙女マインド”により、周囲に「お腹空いた」なんて言えなかった。

「給食までガマンしてたんで、4時間目くらいには机をグッと動かしながら、お腹の鳴る音をごまかしてました」(黒沢)

 しかし、ガマンにも限度がある。ついに、同級生のちーちゃんに彼女は打ち明けた。

黒沢 ねえ、ちーちゃん。お腹空かない?

ちーちゃん 朝ごはん食べてきたから空かないよ!

黒沢 アサ……ゴ……ハン?

 中学1年になり、初めて「朝ごはん」という言葉を黒沢は耳にした。戸惑いは隠せない。そして彼女、朝にごはんを食べてきたちーちゃんに対し「いやしい人間」「情けない人間」「なんて欲深い人間!」と、軽蔑の感情を抱いてしまう。

「食べ物=性っていうイメージが強いんです。言うなれば、私からしたら性欲むき出しなわけですよ。それで、普通に1時間目から授業を受けてるわけじゃないですか。『朝ごはん食べてきてるのに、必死~!』って(笑)」(黒沢)

“朝食とる派”を見下す黒沢であったが、朝ごはんの概念を知らない黒沢の方がマイノリティなのは当然。ある日、クラスメイトから「朝ごはん、食べてきてないの?」とツッコまれ、クラスじゅうが朝ごはんを知らない黒沢にざわついた。彼女の中で価値観の逆転現象が起こった瞬間だ。

「『朝ごはんなんて食べてるの!?』って、最初は私の方が上に立った人間だったのに、急にざわざわして1人になったような感じで、あの時はすごく怖かったです」(黒沢)

 帰宅後、黒沢は母親に直談判する。

黒沢 お母さん、“朝ごはん”っていうのが食べたい!

お母さん バレた(笑)?

 

■「お笑いとホラーは紙一重」を具体化した思春期を過ごした黒沢

 

 楳図かずおは「追いかけられるとホラーで、それを傍から見ているとギャグになり得る」という表現で、お笑いとホラーは紙一重だと論じた。

 創作やフィクションではなく、現実世界における「お笑いとホラーは紙一重」を、今回の黒沢のエピソードトークは具体化している。実の子に「朝ごはん」という存在そのものを教えず、中学入学までその状態のまま育てることに成功した黒沢家。星新一のショートショートのような話だが、あくまでこれは現実のエピソードなのだ。

 リアルに体験した、体験せざるを得なかった境遇だからこそ恐ろしい。ネタ探しの末ではなく、ナチュラルに出来上がってしまったエピソードトーク。なんたる破壊力か。

 やはり、異常な人間こそネタの宝庫なのだ。
(文=寺西ジャジューカ)

【インタビュー】借金600万円のネクストブレーク芸人・空気階段の“クズっぷり”

 結成6年目のコント師、空気階段。2015年に結成4年目で『キングオブコント』準決勝に進出し、16年、17年とTBSラジオ『マイナビ Laughter Night』チャンピオン大会で2連覇、冠ラジオ『空気階段の踊り場』も持ち、これからの活躍が期待されている。同時に、ボケの鈴木もぐらの「借金600万」というセンセーショナルな肩書きも、メディアで時折取り上げられる、若手屈指の期待株だ。初めてのルミネtheよしもとでの単独ライブを控える2人に、そのクズっぷりを聞いてきた。

――まず、空気階段のことを知らない読者も多いと思うので、自己紹介をしていただけますか?

鈴木もぐら 僕が鈴木もぐらと申しまして、1987年5月13日生まれ、今年で31歳になります。千葉県旭市出身で、非常に申し上げにくいんですが借金の額が600万円です。

水川かたまり 僕が水川かたまりで、1990年7月22日生まれの27歳です。なぜか吉本の公式プロフィールでは1999年生まれになっています。なので公式では18歳です。直してほしいと何度かマネージャーに頼んでいるんですが、そのままです。なぜかはわかりません。岡山県岡山市出身、慶應義塾大学中退です。借金はありません。

――丁寧にありがとうございます。いま自分で言われた通り、もぐらさんの借金額がなかなかたいへんなことになっていて、貧乏すぎる上にギャンブル狂いのクズキャラというところで、ときどきテレビに出られていますよね。最近だと、年末の『人生逆転バトル カイジ』(TBS)に、「もぐら生活から目指せ一生外出券」というキャッチコピーで出演されていました。残念ながら1回戦の鉄骨渡りで敗退されましたが。

もぐら 初めてテレビに出させていただいたのも、『内村とザワつく夜』(TBS/13年6月出演)の貧乏企画でした。

――聞くところによると、大学の学費もギャンブルで勝ったお金で払ったとか。

もぐら そうですね。ギャンブルでお金を貯めて学費を支払いました。でも在学中に法律の改正があって、スロットの規制が入ったんですね。それでまったく勝てなくなってしまい、お金が払えなくて大阪芸術大学を1回生で除籍になりました。その後は大阪でホテヘルの受付をやってたんですが、そこが潰れまして。マットヘルスなんですけどね。どうしようかと思ったら、そこの社長が「お前は心配するな、もう話はつけてあるから、ここの住所に行ってこい」と言われるがままに行った先が、今度はデリヘルの受付で、そこで3年くらい働きました。

かたまり NSC(吉本の養成所)の入学金も、そのデリヘルの社長に払ってもらってるんですよ。

もぐら もともと大阪芸大で落語研究会に入ってまして、芸人になりたかったんです。でも、何しろ入学金の40万円が貯まらない。当時から借金もあったので、NSCのローンも通らないだろうと思いまして。

かたまり NSCってローン組めるんだ。知らなかった。

もぐら 組めるんだよ。その時点でデリヘルの給料も“前々借り”くらいまでいってたんで、いったん返済をストップさせていただいて、お金を貯めさせてもらいました。それで無事40万円確保して東京に行くときに「借金は後から払ってくれればいい」と言っていただいて、今も待っていただいております。

――芸人になるための負債をまだ返してないんですね。一方かたまりさんは、慶應義塾大学を中退してNSCに入学した、と。

かたまり 大学がほんとにつまらなくて、3カ月くらい通って辞めました。それから1年半はゲームやったりラジオ聴いたりして引きこもって、20歳のときにNSCに入りました。両親は「好きなことやれ」って感じだったので、特に反対はされず、NSCの入学金も払ってくれましたね。父も大阪芸大中退で、僕が生まれるまで働いてなくて借金600万円くらいあったらしい人だし、母も高校中退なので。

――大阪芸大中退で借金600万円って、お父さん、ほぼもぐらさんじゃないですか。

もぐら 中退の血筋ってことですね。ちなみにお父さんは松崎しげるさんくらい黒くて、全然似てないです。

かたまり そこまで黒くないけどね。

――空気階段は、NSCの在学中に結成されたんですか?

かたまり 在学中は別のコンビで、卒業間際でどっちも解散したんです。当時はしゃべったこともありませんでした。卒業後はピン芸人でやろうと思ってたんですけど、知らない番号から頻繁に電話がかかってくるようになって。ずっと無視してたら1週間後に「鈴木です、ちょっとお話したいことがあるんですけど」って留守電が入ってました。それで板橋本町のベローチェで会って、「コンビ組みましょう」と。「俺とお前が組んだら絶対化学反応が起きるから」って言われて、こっちもアツくなって「そうか、化学反応が起きるのか」と思って組んだら、2週間くらいで一切ネタに関与しなくなりましたね。

もぐら 僕らの頃は漫才をやりたい人が多くて、コントの人は少なかったんです。あと、同期としゃべってなさそうだったんで、声かけました。僕も全然NSCで人としゃべれなかったんで。

かたまり もぐらの当時の相方とはけっこうしゃべってたんですけど、たしかにほとんど同期とは会話してなかったですね。でももぐらとコンビを組んだ当初は、借金があることも知らされてなくて、だまされた形ですよ。2~3カ月してから「借金が400万あるんだ」って言い出した。

もぐら いや、その頃は300万くらいだったんじゃないかなぁ。

――300でも400でも変わらない気がしますが。

もぐら 借金は、100万超えたら早いんですよ。競艇場のオッサンに「お前なぁ、300万超えたらひとりじゃ返せねぇんだぞ」って説教されたことがあります。

――返済計画はあるんですか?

もぐら ここまでくると、もう一発当てて返すしかないですよね。

――『キングオブコント』で優勝するとか?

もぐら いや、キングオブコントの賞金じゃ足りないですから。そうなるとやっぱり競馬とかですね。

――TBSラジオのネタ番組『マイナビ Laughter Nigh』のチャンピオン大会でも2年連続で優勝して、そこでも賞金はもらってますよね。

もぐら 2016年の優勝賞金は、全部競馬でスりました。

――クズみがすごい……。もぐらさん自身は、クズ呼ばわりされることはどう思ってるんですか?

もぐら そりゃもう、嫌は嫌ですよ。クズって、強い2文字ですから。嫌ですけど、周りからそう見られてしまうのはまぁ……いや、納得いってない部分はありますけど。

――水川さんは、クズだということに自分で納得がいっていないもぐらさんをどう思ってるんですか?

かたまり クズだと思ってますよ。ただ、クズはクズでも、もうちょっと身のこなしをうまいことやってほしい。年末年始に、僕らのラジオ『空気階段の踊り場』に元巨匠の岡野陽一さんがゲストで来てくれたんですよ。岡野さんもクズ扱いされてるけど、岡野さんは人に怒りを抱かせないようにするのが絶妙にうまいんです。自分がへりくだって相手の怒りをしずめるポイントとか。でもこいつは堂々としてて、真っ向から対立しようとしてくるんで、そこに腹が立つ時はあります。僕がいま同期とルームシェアしてるんですけど、もぐらはその同期にポケットWi-Fiを借りてるんですよ。それを毎月4,000円支払う約束なのに、4万円も滞納してて。だから貸してる同期も金がなくて、こないだ晩御飯に「歌舞伎揚」食ってたんです。「なんで『歌舞伎揚』食ってんの?」って聞いたら、「おめーの相方のせいだよ!」って怒られました。それをもぐらに伝えたら、「でもあいつはあいつで、なんでも人のせいにしちゃうところがあるよな」とか言い出して。わかんないですよ、どういう神経してるのか。

もぐら 「10:0」でどっちかが悪いことって、世の中にあんまりないんですよね。僕も自分が正しいとは言ってないんですよ。「10:0」じゃなくて、「1:9」もしくは「2:8」くらいで、そういう部分もあるよね、と。

かたまり いや、「1:9」でお前が「1」のときに、お前は「10」の感じで返してくるから。岡野さんは表面上は謝罪の意思を見せるじゃん。そういうところが違うんだよ。

――コンビでケンカするのは、ネタがどうこうじゃなくて生活面の問題なんですね。

かたまり そうですね、遅刻も多いし。もぐらはケータイを持ってないので、もぐらの彼女に「明日は群馬で営業でして、10時出発予定と本人から聞いておりますので、9時半に起こして10時に家を出させるようにお願いします」とかメールしてるんですよ。

――先生と保護者みたいなやりとり……。今後売れるためにも、そのあたりは心配ですね。

かたまり 何かやらかして逮捕されるんじゃないかっていう心配もあります。

もぐら さすがに警察に捕まることはないですよ。ただ、今度のルミネtheよしもとでの単独ライブを満員にしないと、よしもとの本社の地下に強制労働施設があるらしいので、そこに捕まる可能性はあります。

――何をさせられるんですか?

もぐら 花を植えたりとか……。

(取材・文=斎藤岬)

●空気階段(くうきかいだん)
水川かたまり(1990年生まれ、岡山県出身)と鈴木もぐら(1987年生まれ、千葉県出身)のコンビ。2011年結成。『ラフターナイト』(TBSラジオ)第2回・第3回グランドチャンピオン。TBSラジオにて毎週金曜24:30から『空気階段の踊り場』パーソナリティをつとめている。

■ライブ情報
空気階段単独ライブ「strip」
日時:3月9日(金)19:00開場 19:30開演
会場:ルミネtheよしもと
料金:前売2500円、当日3000円
チケットよしもと、チケットぴあほかにて発売中

【インタビュー】借金600万円のネクストブレーク芸人・空気階段の“クズっぷり”

 結成6年目のコント師、空気階段。2015年に結成4年目で『キングオブコント』準決勝に進出し、16年、17年とTBSラジオ『マイナビ Laughter Night』チャンピオン大会で2連覇、冠ラジオ『空気階段の踊り場』も持ち、これからの活躍が期待されている。同時に、ボケの鈴木もぐらの「借金600万」というセンセーショナルな肩書きも、メディアで時折取り上げられる、若手屈指の期待株だ。初めてのルミネtheよしもとでの単独ライブを控える2人に、そのクズっぷりを聞いてきた。

――まず、空気階段のことを知らない読者も多いと思うので、自己紹介をしていただけますか?

鈴木もぐら 僕が鈴木もぐらと申しまして、1987年5月13日生まれ、今年で31歳になります。千葉県旭市出身で、非常に申し上げにくいんですが借金の額が600万円です。

水川かたまり 僕が水川かたまりで、1990年7月22日生まれの27歳です。なぜか吉本の公式プロフィールでは1999年生まれになっています。なので公式では18歳です。直してほしいと何度かマネージャーに頼んでいるんですが、そのままです。なぜかはわかりません。岡山県岡山市出身、慶應義塾大学中退です。借金はありません。

――丁寧にありがとうございます。いま自分で言われた通り、もぐらさんの借金額がなかなかたいへんなことになっていて、貧乏すぎる上にギャンブル狂いのクズキャラというところで、ときどきテレビに出られていますよね。最近だと、年末の『人生逆転バトル カイジ』(TBS)に、「もぐら生活から目指せ一生外出券」というキャッチコピーで出演されていました。残念ながら1回戦の鉄骨渡りで敗退されましたが。

もぐら 初めてテレビに出させていただいたのも、『内村とザワつく夜』(TBS/13年6月出演)の貧乏企画でした。

――聞くところによると、大学の学費もギャンブルで勝ったお金で払ったとか。

もぐら そうですね。ギャンブルでお金を貯めて学費を支払いました。でも在学中に法律の改正があって、スロットの規制が入ったんですね。それでまったく勝てなくなってしまい、お金が払えなくて大阪芸術大学を1回生で除籍になりました。その後は大阪でホテヘルの受付をやってたんですが、そこが潰れまして。マットヘルスなんですけどね。どうしようかと思ったら、そこの社長が「お前は心配するな、もう話はつけてあるから、ここの住所に行ってこい」と言われるがままに行った先が、今度はデリヘルの受付で、そこで3年くらい働きました。

かたまり NSC(吉本の養成所)の入学金も、そのデリヘルの社長に払ってもらってるんですよ。

もぐら もともと大阪芸大で落語研究会に入ってまして、芸人になりたかったんです。でも、何しろ入学金の40万円が貯まらない。当時から借金もあったので、NSCのローンも通らないだろうと思いまして。

かたまり NSCってローン組めるんだ。知らなかった。

もぐら 組めるんだよ。その時点でデリヘルの給料も“前々借り”くらいまでいってたんで、いったん返済をストップさせていただいて、お金を貯めさせてもらいました。それで無事40万円確保して東京に行くときに「借金は後から払ってくれればいい」と言っていただいて、今も待っていただいております。

――芸人になるための負債をまだ返してないんですね。一方かたまりさんは、慶應義塾大学を中退してNSCに入学した、と。

かたまり 大学がほんとにつまらなくて、3カ月くらい通って辞めました。それから1年半はゲームやったりラジオ聴いたりして引きこもって、20歳のときにNSCに入りました。両親は「好きなことやれ」って感じだったので、特に反対はされず、NSCの入学金も払ってくれましたね。父も大阪芸大中退で、僕が生まれるまで働いてなくて借金600万円くらいあったらしい人だし、母も高校中退なので。

――大阪芸大中退で借金600万円って、お父さん、ほぼもぐらさんじゃないですか。

もぐら 中退の血筋ってことですね。ちなみにお父さんは松崎しげるさんくらい黒くて、全然似てないです。

かたまり そこまで黒くないけどね。

――空気階段は、NSCの在学中に結成されたんですか?

かたまり 在学中は別のコンビで、卒業間際でどっちも解散したんです。当時はしゃべったこともありませんでした。卒業後はピン芸人でやろうと思ってたんですけど、知らない番号から頻繁に電話がかかってくるようになって。ずっと無視してたら1週間後に「鈴木です、ちょっとお話したいことがあるんですけど」って留守電が入ってました。それで板橋本町のベローチェで会って、「コンビ組みましょう」と。「俺とお前が組んだら絶対化学反応が起きるから」って言われて、こっちもアツくなって「そうか、化学反応が起きるのか」と思って組んだら、2週間くらいで一切ネタに関与しなくなりましたね。

もぐら 僕らの頃は漫才をやりたい人が多くて、コントの人は少なかったんです。あと、同期としゃべってなさそうだったんで、声かけました。僕も全然NSCで人としゃべれなかったんで。

かたまり もぐらの当時の相方とはけっこうしゃべってたんですけど、たしかにほとんど同期とは会話してなかったですね。でももぐらとコンビを組んだ当初は、借金があることも知らされてなくて、だまされた形ですよ。2~3カ月してから「借金が400万あるんだ」って言い出した。

もぐら いや、その頃は300万くらいだったんじゃないかなぁ。

――300でも400でも変わらない気がしますが。

もぐら 借金は、100万超えたら早いんですよ。競艇場のオッサンに「お前なぁ、300万超えたらひとりじゃ返せねぇんだぞ」って説教されたことがあります。

――返済計画はあるんですか?

もぐら ここまでくると、もう一発当てて返すしかないですよね。

――『キングオブコント』で優勝するとか?

もぐら いや、キングオブコントの賞金じゃ足りないですから。そうなるとやっぱり競馬とかですね。

――TBSラジオのネタ番組『マイナビ Laughter Nigh』のチャンピオン大会でも2年連続で優勝して、そこでも賞金はもらってますよね。

もぐら 2016年の優勝賞金は、全部競馬でスりました。

――クズみがすごい……。もぐらさん自身は、クズ呼ばわりされることはどう思ってるんですか?

もぐら そりゃもう、嫌は嫌ですよ。クズって、強い2文字ですから。嫌ですけど、周りからそう見られてしまうのはまぁ……いや、納得いってない部分はありますけど。

――水川さんは、クズだということに自分で納得がいっていないもぐらさんをどう思ってるんですか?

かたまり クズだと思ってますよ。ただ、クズはクズでも、もうちょっと身のこなしをうまいことやってほしい。年末年始に、僕らのラジオ『空気階段の踊り場』に元巨匠の岡野陽一さんがゲストで来てくれたんですよ。岡野さんもクズ扱いされてるけど、岡野さんは人に怒りを抱かせないようにするのが絶妙にうまいんです。自分がへりくだって相手の怒りをしずめるポイントとか。でもこいつは堂々としてて、真っ向から対立しようとしてくるんで、そこに腹が立つ時はあります。僕がいま同期とルームシェアしてるんですけど、もぐらはその同期にポケットWi-Fiを借りてるんですよ。それを毎月4,000円支払う約束なのに、4万円も滞納してて。だから貸してる同期も金がなくて、こないだ晩御飯に「歌舞伎揚」食ってたんです。「なんで『歌舞伎揚』食ってんの?」って聞いたら、「おめーの相方のせいだよ!」って怒られました。それをもぐらに伝えたら、「でもあいつはあいつで、なんでも人のせいにしちゃうところがあるよな」とか言い出して。わかんないですよ、どういう神経してるのか。

もぐら 「10:0」でどっちかが悪いことって、世の中にあんまりないんですよね。僕も自分が正しいとは言ってないんですよ。「10:0」じゃなくて、「1:9」もしくは「2:8」くらいで、そういう部分もあるよね、と。

かたまり いや、「1:9」でお前が「1」のときに、お前は「10」の感じで返してくるから。岡野さんは表面上は謝罪の意思を見せるじゃん。そういうところが違うんだよ。

――コンビでケンカするのは、ネタがどうこうじゃなくて生活面の問題なんですね。

かたまり そうですね、遅刻も多いし。もぐらはケータイを持ってないので、もぐらの彼女に「明日は群馬で営業でして、10時出発予定と本人から聞いておりますので、9時半に起こして10時に家を出させるようにお願いします」とかメールしてるんですよ。

――先生と保護者みたいなやりとり……。今後売れるためにも、そのあたりは心配ですね。

かたまり 何かやらかして逮捕されるんじゃないかっていう心配もあります。

もぐら さすがに警察に捕まることはないですよ。ただ、今度のルミネtheよしもとでの単独ライブを満員にしないと、よしもとの本社の地下に強制労働施設があるらしいので、そこに捕まる可能性はあります。

――何をさせられるんですか?

もぐら 花を植えたりとか……。

(取材・文=斎藤岬)

●空気階段(くうきかいだん)
水川かたまり(1990年生まれ、岡山県出身)と鈴木もぐら(1987年生まれ、千葉県出身)のコンビ。2011年結成。『ラフターナイト』(TBSラジオ)第2回・第3回グランドチャンピオン。TBSラジオにて毎週金曜24:30から『空気階段の踊り場』パーソナリティをつとめている。

■ライブ情報
空気階段単独ライブ「strip」
日時:3月9日(金)19:00開場 19:30開演
会場:ルミネtheよしもと
料金:前売2500円、当日3000円
チケットよしもと、チケットぴあほかにて発売中

『M-1』準優勝コンビ・和牛の憂鬱……「ネタが評価されている」弊害も?

 優勝したコンビよりも、準優勝のコンビのほうが売れる──。近年、お笑い賞レースではそんなジンクスがあるが、昨年12月の『M-1グランプリ2017』については、優勝したとろサーモンも準優勝の和牛も、ともに順調といえそうだ。

「とろサーモンについては、平場のフリートークももともとうまいので、トーク系のバラエティー番組のスタッフも安心してブッキングしています。一方の和牛ですが、トークのほうはまだまだといった印象。それよりも、視聴者からの“ネタが見たい”という声が多いんです。だから、トーク系のバラエティー番組でも、ひな壇でブッキングするのではなく、特別ゲストみたいな感じでネタだけを披露してもらうというパターンがありますね」(バラエティー番組関係者)

 2月11日に放送された『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)では、ゲストの北村匠海が好きなお笑いコンビとして和牛が登場。北村と3人で和牛のネタを披露したが、和牛の2人はひな壇に座ることなく、フリートークもほとんどなかった。

「現状では“和牛はネタ”というイメージが強く、制作サイドもネタを期待してブッキングしています。本人たちもネタに対するこだわりが強く、ネタを期待されて番組に呼ばれるのはうれしいと感じているようですね」(同)

 しかし、ネタの評価が高い芸人は、トーク系バラエティー番組には呼びにくくなるというジレンマもある。バラエティー番組を手がける放送作家はこう話す。

「芸人さんがバラエティー番組に出る時は、基本的に“イジられてナンボ”ということになるんですが、“ネタが評価されている”というイメージで出てくると、途端にイジりにくくなる。たとえば、話題のミュージシャンが出てきて1曲披露するなんていうパターンがありますが、それと同じような感じになってしまうんです。漫才師にとってネタを評価されることは歓迎されるべきなんですが、テレビで活躍する芸人になるには足かせになってしまうケースもあるということです」

 むしろ和牛はこれからが勝負ということとなりそうだが、いわゆる“東京の平場”で和牛が活躍できる可能性はあるのだろうか。

「ボケの水田信二は元料理人というキャリアがあり、すでに関西では“料理芸人”としての立場を確立しつつあります。また、水田が先輩後輩問わず異常に神経質な性格を披露していることもあり、エピソードには事欠きません。一方で、ツッコミの川西賢志郎もトーク技術については折り紙付きですし、関西の若手の中では今、ミキ・亜生とともに女性人気が爆発している。本人たちは今年年末の『M-1』優勝こそが第一目標でしょうが、その前に全国的なブレークを迎える可能性も、決して小さくないと思いますよ」(関西在住のお笑い専門誌ライター)

 賞レースでは結果を出しても、バラエティー番組ではまったく見かけない芸人は少なくない。和牛の明日はどっちだ!?

『ゴッドタン』が発明した「腐り芸人」の本質は“熱さ”にあり! ノブコブ徳井が芸人の腐りを次々に氷解させる

『ゴッドタン』(テレビ東京系)が「腐り芸人」なるカテゴリーを発明した。ハライチの岩井勇気、インパルスの板倉俊之、平成ノブシコブシの徳井健太が、そこに属する。

 昨年9月放送の同番組で放たれた「腐り芸人」たちの発言は革命だった。

 食レポでカメラが来るまで食べるのを待ち、カメラが向いたら「青葉が効いてて……」と無難なコメントを発する芸人を「ヤッてんなあ」と軽蔑した板倉。「ゴールデンは30点くらいの笑いがちょうどいい」「モデルなんか、足にクリーム塗ってるだけの職業」と、偏った持論を展開した岩井。

 斜に構えた態度からは、熱が感じられない。もはや、「売れよう」という意欲が失われたようにさえ思える。

 いや、どうやら誤解だったらしい。『ゴッドタン』は2月3日と11日の2週にわたり「腐り芸人」をフィーチャーしているのだが、その時の彼らが熱かった。火付け役は、徳井だ。

 

■セラピスト・徳井、インパルス板倉の図星を突いて“腐り”を氷解させる

 

 今、板倉は大変な状況だ。相方の堤下敦は2度の交通事故で謹慎中。巻き込まれた形の板倉は、仕事の激減がささやかれている。ふてくされた態度に拍車がかかるのも無理はないだろう。板倉は、今回も腐った発言を連発した。

「ワイプで抜かれようと必死で、机が揺れるほど頷いている奴はヤッている」

「大御所の昔のギャグに、世代的に知らないはずのグラドルが爆笑しているのを見るとヤッてるなと思う」

 心の闇は増幅中だが、そんな板倉に徳井は指摘した。

「板倉さんは本当は『売れたい』って言いたいんだと思うけど、いろいろなものが邪魔して言えないだけ。恥ずかしいですよね、『売れたい』って言うのが? でも、そこで諦めちゃダメなんですよ。うちの相方は、それでも『売れたい』って言ってましたから。そういう人しか売れないから、板倉さんには言ってほしい!」(徳井)

 図星を突かれた板倉は、徳井の肩に手を置き「なんでもっと早めにその話してくれなかったの?」とポツリ。熱い徳井のセラピーを受け、何かが氷解したようだ。

 

■女芸人ならではの悲哀ゆえ「腐り芸人」予備軍になったAマッソ加納

 

 今回は「腐り芸人セラピー」と題し、腐りかけの若手が招集された。ウエストランドの井口浩之、Aマッソ・加納、鬼越トマホークが“腐り芸人予備軍”たちである。

 この中で、加納は「女芸人はボケが求められていない」「女芸人はデブとブスしか求められてない」という不満を告白した。例として出されたのは、ゆりやんレトリィバァ。加納いわく、ゆりやんは「デブで可愛いキャラで笑いやすくしてますよ」と印象付けた上で、笑いやすい空気にしているとのこと。しかし、デブでもブスでもない加納はそれができない。女芸人だからこその不満が募り、結果、彼女は腐りかけてしまった。

 ここから、番組は熱い展開へ突き進んでいく。不満を抱く加納に、先輩芸人から次々とアドバイスが授けられたのだ。

 おぎやはぎの矢作兼は「男の芸人も普通の見た目で売れるのは難しい」と助言。事実、コンビ2人ともメガネをかける“Wメガネ”は、それまでなかったおぎやはぎならではのカラーである。

 劇団ひとりは、体験談を踏まえアドバイスを与えた。

「ニュートラルに売れたいっていうのは、最初はどの芸人も思うこと。でも、俺で言ったら“泣き芸”とか何か一個をお土産に持っていき、それを入り口に隙間で『こういうコメントができます』と自分の価値を上げていく。最初、呼ぶ側は誰を呼んでるかわからないんだから」

 事実、“泣き芸”でお呼びが掛かっていた頃のひとりは、指にからしを塗り、映ってないタイミングで目にからしを突っ込み涙を流していたという。

 しかし、加納は「普通に売れたい」と譲らない様子。ここで、徳井が口を開いた。

「加納さんは大喜利好きなんでしょ? 人生って大喜利じゃん。加納さんの顔写真があって『この子が言った衝撃の一言とは?』を常に求められてるわけ。みんな、自分の顔が言ってウケることを常に選んでいくのよ」

 太っている芸人は「太ってる人が言ってウケること」を選んでいる。チュートリアルの徳井義実は「これだけモテました」という“イケメン大喜利”をやっている。そういうことだ。

「加納さんは加納さんなりの大喜利を見つければいい!」

 

■熱いからこそ、みんな腐ってしまった

 

 しかし、加納は女芸人ならではの苦しみを抱えている。ついには、踏み込んだ内容で悩みを吐露した。

「女芸人って、『どこのチャンス取ってんねん?』みたいな。『違う種目に行くのはちゃうって』みたいな。芸人の中で試行錯誤してるのに」

 誰とは言わないが、そういう道を選んでブレークした女芸人を思い浮かべることは容易だ。

 再び、徳井のスイッチが入る。

「ラッキーじゃん。今までそういう先輩がいない中、自分たちができるかもしれないんだよ!? それを最初にやったら、もう無敵だからね。AマッソがMCをやる女性芸人の最初になればいい」

 もはや、徳井と加納のマンツーマンの様相になった。

加納 でも、テレビの歴史めっちゃ長いのに……。

徳井 (遮って)長くない、長くない! まだ、60~70年しかやってないんだよ? 人間が生まれて300万年経って、たった70年しかやってないことなんて、いくらでもひっくり返せるでしょ!?

加納 誰かやれへんかったのかなあ?

徳井 だから、君たちがやるんだよ!

「腐り芸人」の本質がわかった。みんな、普通以上に熱い。理想が高い。理想が高いゆえ、ままならない芸能界のシステムに憤り、熱さがその思いを焦がしている。そして、腐っていくのだ。

「腐り」と「熱さ」は表裏一体。必死だからこそ腐る。セラピスト・徳井のおかげで、それがよくわかった。

 ちなみに、徳井は「芸人を辞めたらお笑いナタリーとかに入りますよ!」と断言している。芸人・徳井の姿はまだまだ見続けたいが、確かに徳井の書くコラムも読んでみたい。
(文=寺西ジャジューカ)

『ゴッドタン』が発明した「腐り芸人」の本質は“熱さ”にあり! ノブコブ徳井が芸人の腐りを次々に氷解させる

『ゴッドタン』(テレビ東京系)が「腐り芸人」なるカテゴリーを発明した。ハライチの岩井勇気、インパルスの板倉俊之、平成ノブシコブシの徳井健太が、そこに属する。

 昨年9月放送の同番組で放たれた「腐り芸人」たちの発言は革命だった。

 食レポでカメラが来るまで食べるのを待ち、カメラが向いたら「青葉が効いてて……」と無難なコメントを発する芸人を「ヤッてんなあ」と軽蔑した板倉。「ゴールデンは30点くらいの笑いがちょうどいい」「モデルなんか、足にクリーム塗ってるだけの職業」と、偏った持論を展開した岩井。

 斜に構えた態度からは、熱が感じられない。もはや、「売れよう」という意欲が失われたようにさえ思える。

 いや、どうやら誤解だったらしい。『ゴッドタン』は2月3日と11日の2週にわたり「腐り芸人」をフィーチャーしているのだが、その時の彼らが熱かった。火付け役は、徳井だ。

 

■セラピスト・徳井、インパルス板倉の図星を突いて“腐り”を氷解させる

 

 今、板倉は大変な状況だ。相方の堤下敦は2度の交通事故で謹慎中。巻き込まれた形の板倉は、仕事の激減がささやかれている。ふてくされた態度に拍車がかかるのも無理はないだろう。板倉は、今回も腐った発言を連発した。

「ワイプで抜かれようと必死で、机が揺れるほど頷いている奴はヤッている」

「大御所の昔のギャグに、世代的に知らないはずのグラドルが爆笑しているのを見るとヤッてるなと思う」

 心の闇は増幅中だが、そんな板倉に徳井は指摘した。

「板倉さんは本当は『売れたい』って言いたいんだと思うけど、いろいろなものが邪魔して言えないだけ。恥ずかしいですよね、『売れたい』って言うのが? でも、そこで諦めちゃダメなんですよ。うちの相方は、それでも『売れたい』って言ってましたから。そういう人しか売れないから、板倉さんには言ってほしい!」(徳井)

 図星を突かれた板倉は、徳井の肩に手を置き「なんでもっと早めにその話してくれなかったの?」とポツリ。熱い徳井のセラピーを受け、何かが氷解したようだ。

 

■女芸人ならではの悲哀ゆえ「腐り芸人」予備軍になったAマッソ加納

 

 今回は「腐り芸人セラピー」と題し、腐りかけの若手が招集された。ウエストランドの井口浩之、Aマッソ・加納、鬼越トマホークが“腐り芸人予備軍”たちである。

 この中で、加納は「女芸人はボケが求められていない」「女芸人はデブとブスしか求められてない」という不満を告白した。例として出されたのは、ゆりやんレトリィバァ。加納いわく、ゆりやんは「デブで可愛いキャラで笑いやすくしてますよ」と印象付けた上で、笑いやすい空気にしているとのこと。しかし、デブでもブスでもない加納はそれができない。女芸人だからこその不満が募り、結果、彼女は腐りかけてしまった。

 ここから、番組は熱い展開へ突き進んでいく。不満を抱く加納に、先輩芸人から次々とアドバイスが授けられたのだ。

 おぎやはぎの矢作兼は「男の芸人も普通の見た目で売れるのは難しい」と助言。事実、コンビ2人ともメガネをかける“Wメガネ”は、それまでなかったおぎやはぎならではのカラーである。

 劇団ひとりは、体験談を踏まえアドバイスを与えた。

「ニュートラルに売れたいっていうのは、最初はどの芸人も思うこと。でも、俺で言ったら“泣き芸”とか何か一個をお土産に持っていき、それを入り口に隙間で『こういうコメントができます』と自分の価値を上げていく。最初、呼ぶ側は誰を呼んでるかわからないんだから」

 事実、“泣き芸”でお呼びが掛かっていた頃のひとりは、指にからしを塗り、映ってないタイミングで目にからしを突っ込み涙を流していたという。

 しかし、加納は「普通に売れたい」と譲らない様子。ここで、徳井が口を開いた。

「加納さんは大喜利好きなんでしょ? 人生って大喜利じゃん。加納さんの顔写真があって『この子が言った衝撃の一言とは?』を常に求められてるわけ。みんな、自分の顔が言ってウケることを常に選んでいくのよ」

 太っている芸人は「太ってる人が言ってウケること」を選んでいる。チュートリアルの徳井義実は「これだけモテました」という“イケメン大喜利”をやっている。そういうことだ。

「加納さんは加納さんなりの大喜利を見つければいい!」

 

■熱いからこそ、みんな腐ってしまった

 

 しかし、加納は女芸人ならではの苦しみを抱えている。ついには、踏み込んだ内容で悩みを吐露した。

「女芸人って、『どこのチャンス取ってんねん?』みたいな。『違う種目に行くのはちゃうって』みたいな。芸人の中で試行錯誤してるのに」

 誰とは言わないが、そういう道を選んでブレークした女芸人を思い浮かべることは容易だ。

 再び、徳井のスイッチが入る。

「ラッキーじゃん。今までそういう先輩がいない中、自分たちができるかもしれないんだよ!? それを最初にやったら、もう無敵だからね。AマッソがMCをやる女性芸人の最初になればいい」

 もはや、徳井と加納のマンツーマンの様相になった。

加納 でも、テレビの歴史めっちゃ長いのに……。

徳井 (遮って)長くない、長くない! まだ、60~70年しかやってないんだよ? 人間が生まれて300万年経って、たった70年しかやってないことなんて、いくらでもひっくり返せるでしょ!?

加納 誰かやれへんかったのかなあ?

徳井 だから、君たちがやるんだよ!

「腐り芸人」の本質がわかった。みんな、普通以上に熱い。理想が高い。理想が高いゆえ、ままならない芸能界のシステムに憤り、熱さがその思いを焦がしている。そして、腐っていくのだ。

「腐り」と「熱さ」は表裏一体。必死だからこそ腐る。セラピスト・徳井のおかげで、それがよくわかった。

 ちなみに、徳井は「芸人を辞めたらお笑いナタリーとかに入りますよ!」と断言している。芸人・徳井の姿はまだまだ見続けたいが、確かに徳井の書くコラムも読んでみたい。
(文=寺西ジャジューカ)

R-1決勝進出者決定も「霜降り明星のゴリ押しすごすぎ」「飛び道具ないから盛り上がらない」と、ネガティブ反応続々

 ピン芸人日本一を決定する『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ系)の準決勝が2月12日に開催され、3月6日夜7時から同局で放送される決勝戦に進出する10名が決定した。

 決勝に進出したのは、カニササレアヤコ、河邑ミク、霜降り明星・粗品、濱田祐太郎、おいでやす小田、おぐ、ルシファー吉岡、チョコレートプラネット長田、紺野ぶるま、ゆりやんレトリィバァの10名。さらに、当日に行われる復活ステージで選ばれた2名を加え、12名で決勝が争われる。

 普段OLをしているカニササレアヤコや、盲目の漫談家・濱田祐太郎、昨年12月に『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝したゆりやんレトリィバァなど、個性的なピン芸人がそろった今回のR-1決勝戦。実際に準決勝の“ウケ”はどうだったのか、現場で熱戦を見ていた週刊誌記者はこう話す。

「観客も緊張していたのか、会場の空気は重めでしたが、しっかり現場でウケていたメンツが決勝に進出したといった印象。ただ、河邑ミクのレンタル彼女のネタが、剛力彩芽主演ドラマ『レンタルの恋』(2017年1~3月放送、TBS系)の設定に似ていたのが気になりましたね。まあ、パクリというよりは“よくある設定”という感じなんですが、審査員は、このドラマの存在を知らなかったのでしょうか……」

 そして、お笑い関係者が注目しているのは、霜降り明星・粗品だという。

「吉本が次世代のスターに育てるべく、猛烈プッシュをかけているコンビが霜降り明星。今回のR-1の準決勝には、ツッコミの『粗品』だけでなく、ボケの『せいや』も進出していて、事前の予想では“コンビ2人とも決勝進出”という声もありました。結果的には粗品だけが決勝進出となりましたが、復活ステージでせいやが勝ち上がってくる可能性は結構高いと思います。吉本としても、そういうドラマチックなストーリーがあったほうが、今後のゴリ押しがしやすいでしょうしね」(同)

 しかし、そもそも今年の『R-1ぐらんぷり』は注目度が今ひとつだ。

「R-1というと、ブルゾンちえみとか、とにかく明るい安村とか、その時に旬な芸人が決勝に上がることが多いんですが、今大会にはそういった注目芸人がおらず、さらにはハリウッドザコシショウやアキラ100%などのような飛び道具系芸人もいない。全体の印象がとにかく地味で、盛り上がりは期待できないと思います。だから、霜降り明星・粗品が優勝したところで、あんまり話題にならないような気もするんですよね……。吉本的には“ゴリ押し損”になるかもしれないですね……」(同)

 果たして、今年の『R-1ぐらんぷり』からスターが生まれるのだろうか? それとも、吉本が無理やりスターを作り出すのだろうか……?

オードリー・若林正恭の“熱い姿”が見られる唯一の番組が、今シーズンもやっぱり熱かった件

 今年に入ってから、コンビそろって話題を提供し続けているのがオードリーの2人、若林正恭と春日俊彰だ。新春早々、女優・南沢奈央との熱愛が発覚し、メディアをにぎわせたり番組でいじられたりしている若林。一方の春日は、東大受験の話題がこれまたスポーツ紙をにぎわせている。

 特に若林は、これまでの「人見知りキャラ」「女の子苦手芸人」「草食系」とのギャップも相まって、いいネタというか、カモにされている印象すらある。いずれにせよ、コンビのどちらにもニュースバリューがある、という時点で、今のオードリーの安定ぶりがうかがえる。

 そんなオードリーの魅力がもっとも味わえる番組は何か、というと、筆者が一番推したいのが、彼らのレギュラー番組のなかでも認知度が低いであろう、金曜深夜放送のオードリーの『NFL倶楽部』(日本テレビ系)だ。

 アメリカ4大スポーツのひとつ、プロ・アメリカンフットボール(NFL)の試合結果と魅力を伝えてくれるこの番組。オードリーがレギュラーになったのが2010年シーズンだから、もう7シーズン目に突入したことになる。振り返れば、オードリーがM-1で準優勝し、その勢いのままテレビに出まくって一気にスターダムにのし上がったのが2008~09年の出来事。まだ人気者になったばかりの頃から、芸能界で盤石な地位を築いた今でも、オードリーの2人がライフワークとして熱を入れ続けているのがこの番組ではないかと思っている。

 世間的には、暑苦しくて空回りしている春日と、それを冷静に処理する若林、という構図で認知されているオードリー。だが、この番組ではむしろ逆。春日は変わらず空回りしがちなのだが、若林の熱が過剰になるあまり、春日以上に空回りすることも。「人見知り」で「草食系」な若林なんて、この番組には存在しない。とにかく若林が熱すぎるのだ。

 今月2日深夜、アメリカプロスポーツ最大の祭典・スーパーボウル直前の放送でも、番組終盤に突然、「俺はねぇ、ずっと我慢してきたんですけど……ブレイディが好きだぁ!」と叫んだ若林。ブレイディとは、これまで若林が番組において“アンチ”を公言してきたNFL屈指のスーパースター(なぜなら、地位も名誉も手にしていて、奥さんも美人だから)。そのブレイディを「すごい」と評することはあっても、「好き」と語ったことは、これまでなかったはず。実際、4日に行われた今年のスーパーボウルでは、そのブレイディの一投が勝敗を決する最後のプレーとなり、9日深夜に放送された『NFL倶楽部』では、そのプレーを振り返りながら、「最後の0秒まで(勝敗の行方が)わからないのは、ブレイディだから。それを俺らは何度も見てきているからね」と、しみじみとコメントした若林。前の週の熱い叫びがあるからこそ、より印象的なひと言になっていた。

 また、番組では毎週、「若林の熱視線」というコーナーでNFLのプレーをマニアック解説。この番組におけるオードリーの役割は本来「MC」のはずなのだが、進行はアナウンサーに任せ、しっかりと解説業までこなしてみせている。先月には、この「若林の熱視線」を書籍化した『オードリーのNFL倶楽部』(文藝春秋)が発売。すぐに増刷が決まったというから驚かされる。

 オードリーが好きな人であっても、「NFLには興味ないから」とか「深夜だから」「(NFLシーズンだけに放送される)不定期番組だから」と見ていない人が多いのではないかと思われるこの『NFL倶楽部』。だが、オードリーファンにこそ見てほしい。というのも、この番組で見せる2人の関係性こそが、「オードリーの原点」だからだ。

 学生時代、ともに同じ高校のアメフト部でプレーしていた2人。若林は、関東代表にも選ばれる選手だった春日を見て、「いつか、こいつとコンビを組もう」と思ったといわれている。その後、実際にコンビを組み、結成当初にやっていたネタのひとつがアメフトのショートコント。それどころか、春日の決めゼリフである「トゥース!」も、もともとはアメフトで集合の合図として使われる掛け声だ。この『NFL倶楽部』では番組冒頭の合図として使用され、若林もしっかり声を張っている。

 芸能人が、あるスポーツの魅力について語ることは許せても、解説までしてしまうと「ちょっと待てよ」と思うことも珍しくない。だが、アメフトとNFLに関しては、オードリーの2人の7シーズンにわたる継続的な取り組み、そして「若林の熱視線」の信頼性もあって、不思議と嫌な感じがしない。今季の放送も残りあと数週間。試合自体はもう終わっているので、あとはオードリーのスーパーボウル珍道中がメインになるはず。むしろここからオードリー色がさらに濃くなると思うので、ぜひ一度、熱すぎる若林に熱視線を送ってもらいたい。
(文=オグマナオト)

オードリー・若林正恭の“熱い姿”が見られる唯一の番組が、今シーズンもやっぱり熱かった件

 今年に入ってから、コンビそろって話題を提供し続けているのがオードリーの2人、若林正恭と春日俊彰だ。新春早々、女優・南沢奈央との熱愛が発覚し、メディアをにぎわせたり番組でいじられたりしている若林。一方の春日は、東大受験の話題がこれまたスポーツ紙をにぎわせている。

 特に若林は、これまでの「人見知りキャラ」「女の子苦手芸人」「草食系」とのギャップも相まって、いいネタというか、カモにされている印象すらある。いずれにせよ、コンビのどちらにもニュースバリューがある、という時点で、今のオードリーの安定ぶりがうかがえる。

 そんなオードリーの魅力がもっとも味わえる番組は何か、というと、筆者が一番推したいのが、彼らのレギュラー番組のなかでも認知度が低いであろう、金曜深夜放送のオードリーの『NFL倶楽部』(日本テレビ系)だ。

 アメリカ4大スポーツのひとつ、プロ・アメリカンフットボール(NFL)の試合結果と魅力を伝えてくれるこの番組。オードリーがレギュラーになったのが2010年シーズンだから、もう7シーズン目に突入したことになる。振り返れば、オードリーがM-1で準優勝し、その勢いのままテレビに出まくって一気にスターダムにのし上がったのが2008~09年の出来事。まだ人気者になったばかりの頃から、芸能界で盤石な地位を築いた今でも、オードリーの2人がライフワークとして熱を入れ続けているのがこの番組ではないかと思っている。

 世間的には、暑苦しくて空回りしている春日と、それを冷静に処理する若林、という構図で認知されているオードリー。だが、この番組ではむしろ逆。春日は変わらず空回りしがちなのだが、若林の熱が過剰になるあまり、春日以上に空回りすることも。「人見知り」で「草食系」な若林なんて、この番組には存在しない。とにかく若林が熱すぎるのだ。

 今月2日深夜、アメリカプロスポーツ最大の祭典・スーパーボウル直前の放送でも、番組終盤に突然、「俺はねぇ、ずっと我慢してきたんですけど……ブレイディが好きだぁ!」と叫んだ若林。ブレイディとは、これまで若林が番組において“アンチ”を公言してきたNFL屈指のスーパースター(なぜなら、地位も名誉も手にしていて、奥さんも美人だから)。そのブレイディを「すごい」と評することはあっても、「好き」と語ったことは、これまでなかったはず。実際、4日に行われた今年のスーパーボウルでは、そのブレイディの一投が勝敗を決する最後のプレーとなり、9日深夜に放送された『NFL倶楽部』では、そのプレーを振り返りながら、「最後の0秒まで(勝敗の行方が)わからないのは、ブレイディだから。それを俺らは何度も見てきているからね」と、しみじみとコメントした若林。前の週の熱い叫びがあるからこそ、より印象的なひと言になっていた。

 また、番組では毎週、「若林の熱視線」というコーナーでNFLのプレーをマニアック解説。この番組におけるオードリーの役割は本来「MC」のはずなのだが、進行はアナウンサーに任せ、しっかりと解説業までこなしてみせている。先月には、この「若林の熱視線」を書籍化した『オードリーのNFL倶楽部』(文藝春秋)が発売。すぐに増刷が決まったというから驚かされる。

 オードリーが好きな人であっても、「NFLには興味ないから」とか「深夜だから」「(NFLシーズンだけに放送される)不定期番組だから」と見ていない人が多いのではないかと思われるこの『NFL倶楽部』。だが、オードリーファンにこそ見てほしい。というのも、この番組で見せる2人の関係性こそが、「オードリーの原点」だからだ。

 学生時代、ともに同じ高校のアメフト部でプレーしていた2人。若林は、関東代表にも選ばれる選手だった春日を見て、「いつか、こいつとコンビを組もう」と思ったといわれている。その後、実際にコンビを組み、結成当初にやっていたネタのひとつがアメフトのショートコント。それどころか、春日の決めゼリフである「トゥース!」も、もともとはアメフトで集合の合図として使われる掛け声だ。この『NFL倶楽部』では番組冒頭の合図として使用され、若林もしっかり声を張っている。

 芸能人が、あるスポーツの魅力について語ることは許せても、解説までしてしまうと「ちょっと待てよ」と思うことも珍しくない。だが、アメフトとNFLに関しては、オードリーの2人の7シーズンにわたる継続的な取り組み、そして「若林の熱視線」の信頼性もあって、不思議と嫌な感じがしない。今季の放送も残りあと数週間。試合自体はもう終わっているので、あとはオードリーのスーパーボウル珍道中がメインになるはず。むしろここからオードリー色がさらに濃くなると思うので、ぜひ一度、熱すぎる若林に熱視線を送ってもらいたい。
(文=オグマナオト)