なぜ「ジャンプ」は変わったのか? フリー化された解釈に見る「ジャンプ」腐女子化の理由

【サイゾーpremium】より 12月無料購読キャンペーン開催! 「『ジャンプ』は腐女子に媚びだしてから終わった」──。マンガ好きなら、こうした論調を耳にする向きも多いだろう。だが、これは果たして正しいのだろうか? 消費社会論と腐女子の消費傾向から、「ジャンプ」作品の変遷を探ってみたい。 「『黒子のバスケ』イベントを中止せよ」  2012年10月、「週刊少年ジャンプ」(以下「ジャンプ」)で連載されている人気マンガ『黒子のバスケ』の作者と、作者の出身校含む関係各所へ脅迫状が送付される事件が発生した。この騒動の中で頻繁に登場するキーワードがある。それが”腐女子”だ。犯人は文書で「パロディ作品をやめろ」「腐女子ども覚えておけ」などと述べ、時期近くしてフジテレビが登場人物に想いを馳せる「仮想カレシに夢中な女子たち」という扇情的な報道をしたことも相まって、ネットで炎上した──。  そもそも近年、業界最大部数を誇る「ジャンプ」が腐女子に媚びてきたという批判を耳にする。”腐女子”という属性については、もはやここで説明するまでもないだろうが、なぜ「ジャンプ」がそうした謗りを受けることになったのだろうか? 本稿では、腐女子の消費傾向から、「ジャンプ」が腐女子に受け入れられるようになった経緯をひもといてみたい。まずは本題に入る前に、80年代以降の日本における消費社会論と腐女子の消費傾向を照らし合わせながら、彼女たちが「ジャンプ」を支持するに至る経緯を見ていこう。  日本では80年代、社会学者ボードリヤールが『消費社会の神話と構造』(原著1970年)で展開した消費社会論がもてはやされていた。これによれば「消費」とは、欲求のままモノを享受することではなく、何かを区別し意味付けする行為として社会構造に組み込まれたものとされる。同時期の日本ではバブルを享受し、高度消費社会に突入したのだが、人々は記号的な消費行動──例えばコム・デ・ギャルソンの服という”記号”を買う──を通じて、社会における自分の立場を確立した時代だったのだ。社会学者のP・ブルデューはこうした記号を用いた”人とは異なる”という区別を「卓越化」と呼んだが、それぞれの世代では記号的消費行動を通じた卓越化ゲームが営まれていた。例えばサブカルチャーの世界でも、83年に中森明夫が「おたく」と命名したのは、性愛の世界でのゲームを降りて、当時流行していたガンダムやマクロスなどのアニメの世界でうんちく競争という名の「卓越化」にいそしむ人々のことだった。  だが90年代以降になると、「このブランドを着ればカッコイイ」「このマンガを読むとオタク」といった記号消費をベタに信奉する振る舞い自体が陳腐化する。そもそも”人と違う”と区別するのが「卓越化」である。皆が記号消費を当たり前に行うようになれば、”あえて記号消費を拒む”ことで「卓越化」を図る振舞いが出てくるのは当然だ。それはバブル文化に対する反動ともいえるだろう。こうしてひとつの記号的価値をベタに頼る「卓越化」よりも、そこから距離を取って戯れるような「自分内的なモード切り替え」(=マイブーム)が散見されるようになった。  そんな90年代には、少女マンガでは『カードキャプターさくら』(講談社)、『ママレード・ボーイ』(集英社)が人気を博し、とりわけ『美少女戦士セーラームーン』の老若男女を巻き込んだ一大ブームを覚えている人も多いだろう。中でも、『セーラームーン』と『さくら』のヒットはすさまじく、いわゆる”大きなお友だち”と呼ばれる成人男性ファンをも獲得。そこでは、あくまで既存の女性読者のみならず、大人から子どもまでが〈マイブーム/非マイブーム〉という自分の基準にのっとり消費した格好だ。  こうして、80年代のロリコンブームなどの影響で”低俗”な文化の一端と見なされていた同人誌文化も、マイブーム的消費の対象になっていった。従来は「おたく」だけの娯楽だと思われていたコミックマーケットだが、「おたく」を自認しない女子も『スラムダンク』(集英社)がマイブームだから、といったノリでコミケに参加するようになったのだ。  コミケは今年で開催35年。90年代には一般参加者が10万人を突破し、2000年以降は参加者40万人以上を突破、今年の「夏コミ」(コミケ82)では参加サークル3万5000、実に一般参加者は約56万人に激増した。また、08年の出展サークルは男性29%、女性71%、コミックマーケット準備会は「世の中の認識と異なり、女性参加者が多い」と発表。コミケで扱われる作品は二次創作が圧倒的に多く、この中で腐女子を中心とした女性参加者は75年頃から、男性同士の恋愛を描いた二次創作物である「やおい」作品を発表、消費していた。  さて、こうした流れの中、コミケ参加者の急増、そして同人誌市場が拡大した90年代末になると、『セーラームーン』の戦闘美少女モノの流れをくみつつも、新しい少女マンガの幕開けを告げる作品が登場した。それが種村有菜による『神風怪盗ジャンヌ』だ。『ジャンヌ』は98年から00年まで小中学生向けの少女マンガ誌「りぼん」で連載された作品である。
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少女マンガらしからぬBLシーンが描かれた『紳
士同盟†』の1コマ。
 その後も種村は『満月を探して』(集英社)、『紳士同盟†』などのヒット作を飛ばす。ジャンヌダルクの生まれ変わり、日下部まろんが怪盗ジャンヌとして活躍する『ジャンヌ』。延命する代わりに声を失わなければならないという選択を迫られた難病の少女、満月が歌手になる夢を叶える『満月』、元ヤン少女が初恋の相手である資産家の息子との恋を成就させていく『紳士同盟』。過剰なマニエリスム、異世界ファンタジー、学園生活のドタバタギャグとラブコメ、複雑な家庭事情、セックスを彷彿させる描写、性倒錯や同性愛など、種村作品は「恋愛もの」「バトルもの」「ファンタジー」だけにとどまらず、「エロ」「BL」「百合」など二次創作を誘発させる要素を多くちりばめていた。  例えば『ジャンヌ』ではヒロイン怪盗ジャンヌとヒーロー怪盗シンドバッドの「エロ」描写、またシンドバッドと彼にお供する黒天使アクセスのBL的関係や、ジャンヌとお供の準天使フィンの百合関係も同人化されることがあり、『紳士同盟』でその傾向は過激化する。御曹司の影武者、東宮高成と彼を愛するゲイの辻宮真栗の「公式BL」カップル、また真栗を好きな女装男子まおらと真栗の「BL」関係。さらにヒロインの乙宮灰音と彼女を愛する天宮潮の百合関係なども描かれている。  こうした要素の過剰さには、作者の種村自身が『セーラームーン』の同人誌や『ガンダムSEED』のBL同人誌を制作した経験があることも無関係ではないだろう。二次創作は原作の読み手の想像力を通じ、能動的に新しい解釈を生み出す営みだが、多様な解釈余地がある作品ほど同人カルチャーとの親和性が高い。「多様な解釈のうちのひとつを、物語として提示する」同人作家の一面を持つ種村作品が、解釈余地の広い作品となったこともうなずける。このように、種村作品は、「あなたは違うかもしれないが、私はこう読んでいる」と言える余地が大きいのが特徴だが、『ジャンヌ』が生まれた00年以降、こうした多様な解釈の余地を持つ作品は多く生まれた。その特性をここでは〈解釈コードフリー〉と定義したい。実は、腐女子に媚びているとされる現在の「ジャンプ」作品は、一様に〈解釈コードフリー〉を兼ね備えているのだ。 ■腐女子は「ジャンプ」になぜ興味を持つのか?  ではなぜ、「ジャンプ」作品は〈解釈コードフリー〉を兼ね備えたのだろうか? それは「ジャンプ」がアンケート至上主義に基づいていたため、前述した消費社会の動向と足並みを揃えた「時代と寝る少年マンガ誌」であったからだ。 「ジャンプ」作品がこの傾向を強めたことで、腐女子を含む女性読者を受け入れる土壌が醸成されたわけだが、ほかにも少女マンガ誌のピンポイントマーケティングに外れた女性読者の支持を得たことも女性読者獲得につながった。 「ジャンプ」に流れることとなる女性読者が生まれた背景には、00年以降「りぼん・ちゃお・なかよし」の三大雑誌の発行部数が激減したことで方向転換を余儀なくされた各誌が、その対象年齢を比較的幼年層向けに限定したことが挙げられる。 『美少女戦士セーラームーン』『カードキャプターさくら』『ママレード・ボーイ』など、90年代の大ヒット作品の連載が終了。その頃から、合理的なターゲティング戦略として、三大雑誌の作品はより幼年向けへとシフトした。  かつては三大雑誌が”恋に恋するお年頃”といった年齢を問わないテーマ性でブームを巻き起こした「乙女ちっく」ものや、『ちびまる子ちゃん』に見られるような世代を問わず楽しめる「日常コメディ」など、中学生含む少女層全般をカバーしていた。しかし、63年に創刊された学園恋愛ものが中心の「別冊マーガレット」(集英社)は例外として、90年代後半以降、矢沢あいでおなじみの「cookie」(集英社/99年~)、エロ要素の強い「デザート」(講談社/96年~)や「ベツコミ」(小学館/06年~、ただし誌名変更しリニューアル)など、中高生向け、ハイティーン向け、成人向けと「次に読むべき雑誌」が出揃った。だが、三大雑誌を卒業した少女が皆ストレートに「次に読むべき雑誌」へ向かったわけではない。  その一因として、学園ラブコメやリアルな男女の恋愛模様に共感できない少女もいたことが挙げられる。ドジでフツウの女の子が”恋に恋する”という「乙女ちっく」モチーフならともかく、これらの雑誌は容姿端麗な女子がイケメンキャラと結ばれる様を描く。”こんな恋愛、今の自分とは無縁だ”と思う女子もいて当然だ。それに引き換え、リアルな私を介入させずにすむ「少年マンガ」のカップリングは無害なものとして受け入れられる。とりわけ「ジャンプ」作品では男女間の恋愛がそこまで描かれないために、好きなキャラクターに「疑似恋愛」もしやすい。「ジャンプ」に掲載されるラブコメ作品も、主人公の男子目線で描かれているので、生々しさがない。  前述の通り消費スタイルの変遷に適応することとなる「ジャンプ」だが、94年にマンガ誌過去最高発行部数の653万部を誇るも、『ドラゴンボール』が連載終了した95年、『スラムダンク』が連載終了した96年を経て、急速に発行部数を落とした。雑誌不況もあって、以降、03年頃から現在まで300万部弱で推移する。とはいえ「週刊少年マガジン」が143万部、「週刊少年サンデー」が52万部(※12年4~6月)であることをみれば、圧倒的部数であることには変わりない。  その半面、冒頭で指摘したように「腐女子に媚び出してから『ジャンプ』は終わった」と言う声を耳にすることも事実だ。例えば、女性受けの良い繊細なタッチでイケメンばかりが登場する『家庭教師ヒットマンREBORN!』や、イケメンでかつギャップのある「真選組」キャラが掛け合う『銀魂』(04年~)などが、そう指摘されがちだ。しかし、「無駄にイケメンキャラを登場させる」という理由だけでは腐女子人気は説明できないだろう。「女性ファン」ウケを狙っていたとしても、それが「腐女子に媚びている」ことに直結するわけではない。確かに『ONE PIECE』(97年~)、『HUNTER×HUNTER』(98年~)、『NARUTO』(99年~)など90年代末からの「ジャンプ」作品については、00年代に入ってすさまじい量のBL同人誌が作られた。中でも『テニスの王子様』(99年~)は同人誌界隈でも驚異的なブームを巻き起こし、その後も『BLEACH』(01年~)、『DEATH NOTE』、テニプリブームを彷彿させる『黒子のバスケ』(09年~)などは現在でも同人界隈で人気を博している。また、今年に入っても『ハイキュー!!』(12年~)は、スポ根マンガとして男性人気を獲得しつつ、同人ショップですでに専用コーナーが設けられるなど腐女子の注目度も高い。だが、こうした人気作品には多様な要素が盛り込まれており、「腐女子に媚びている」というよりは、多様な要素のひとつを「腐女子が勝手に読み替えている」というのが実情だろう。この特性こそが〈解釈コードフリー〉なのだ。  さまざまな層が自由に解釈できる〈解釈コードフリー〉の作品は、その解釈余地の広さ故に腐女子の想像力も掻き立てる。と同時に、間口の広さから男女や世代問わず多くのファンを獲得することができるのだ。近年の「ジャンプ」が〈解釈コードフリー〉な作品を求めたということは、『保健室の死神』の藍本松や『D・Gray-man』の星野桂といった同人経験作家を起用したことも、あながち無関係ではないだろう。 ■あらゆるコンテンツに見られる解釈の自由化
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コンサートでのコントから始まり、
映画化もされたエイトレンジャー。
「ジャンプ」以外にも、00年代以降に女性にヒットした作品は、マンガ消費の〈解釈コードフリー〉化を色濃く反映している。元々児童向けだったサッカーゲーム『イナズマイレブン』や『忍たま乱太郎』は、00年代後半から女性にブームとなった。『イナイレ』の場合は、骨太なストーリーとシナリオの完成度の高さから大人も楽しめる作品となっており、「サッカー」だけでなく「バトル」「学園もの」「パラレルワールドもの」など、好きなように解釈できる余地が広い。男性向けか女性向けかだけでなく、対象世代の垣根も超えた〈解釈コードフリー〉な消費傾向があるのだ。  解釈の余地が広い作品群は、原作で描かれていない背景を想像しやすい。そのことを意識して、原作側もその”余地”を積極的に利用する傾向が見られる。具体的には”公式二次創作”の数々だ。例えば『ジョジョの奇妙な冒険』の公式ノベライズは、乙一、西尾維新、舞城王太郎らライトノベル出身者を起用し『ジョジョ』の物語世界を拡張させることに成功した。  もちろん、こうした〈解釈コードフリー〉を兼ね備え、女性向け同人誌ジャンルで盛り上がりを見せるのはマンガだけではない。ジャニーズの人気ユニット関ジャニ∞も同様の消費傾向が散見できる。  今年公開された映画「エイトレンジャー」では、メンバーが戦隊モノを演じたことは記憶に新しいだろう。これは元をたどれば、05年からメンバー自身が始めたコンサート限定の挿入コントで、”公式二次創作”と言ってもいい。ほかにも、丸山と安田の漫才コンビ「山田」、大倉と錦戸の関ジャニ内ユニット曲「torn」などでは時に「BL」を想起させる演出もあり、二次創作を誘発しているとも取れるだろう。普段とは違う一面がほの見えるため、ファンが妄想、つまり能動的にかかわれる仕掛けだ。この傾向を持った女性アイドルには、メンバー同士のカップリングを楽しむAKB48が挙げられる。    ここまで見てきたように、「腐女子に媚びた」というだけで同人誌の人気ジャンルになるとは言い切れない。ジャンルが細分化し、ハイブリッド化した今、かつてのように作り手が「こう読むべし」と解釈コードを提示する作品スタイルはすでに廃れてしまった。そこでは、BL同人誌でいうところの「同性愛コード」、少女マンガ誌における「共感コード」、男性向けの「ラブコメコード」などに留まらず、自分が受け入れやすいように解釈コードを再構成するような読み手の能動性と想像力がマンガ消費を一層楽しくさせてくれるだろう。つまるところ、さまざまな人が好きなように解釈し、意味を与えることができる作品が受容されやすくなる。原作の世界観をズラし、新たな解釈を見つける能動的営みは、腐女子だけでなく今や誰もが多くの事象に対して行っていることだ。  腐女子のマンガ消費に見られる消費動向は、腐女子に限らず00年代以降の消費「全般」を語る上で極めて重要なものといえるのかもしれない。 大尾侑子(おおび・ゆうこ) 1989年生まれ。上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、東京大学大学院学際情報学府修士課程在籍。専攻は両大戦間期宗教論、現代社会意識論。 今なら無料で読める!サイゾーpremiumでは他にも少年ジャンプ関連記事が満載です。】『ワンピース』がついに落ち目に!? 書店員が明かす”ヒット作”の実情と出版社との関係『ワンピース』頼りで後がない!? 増刊を乱発する「ジャンプ」はもう、死んでいる!?増刊ラッシュでなんと10誌も!! マンガ界最強の「ジャンプ」ブランド辛口批評「ジャンプ」「マガジン」「サンデー」......エロは読み切り・短期集中連載!? ここがエロいよ、メジャー少年マンガ誌
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未解決六本木クラブ襲撃事件の舞台裏 警察は真実を隠蔽するかもしれない!?

【サイゾーpremium】より
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『不良録 関東連合元リーダーの告
白』
(双葉社)
 9月2日に起きた六本木のクラブ「フラワー」(現「スタジオゲート」)での実業家襲撃事件。被害に遭ったのは、渋谷や杉並で複数の飲食店を営んでいた藤本亮介さんだった。深夜、フラワーに来店していた藤本さんは、目出し帽をかぶり、金属バットや鉄パイプを持った9人組とみられる集団に襲われ、「顔が原形をとどめないほど激しく殴られ、即死の状態」(捜査筋)だったという。この襲撃の模様は、多くの来店客にも目撃され、その後、警察は防犯カメラに映った犯人グループの画像を公表したが、事件から2カ月以上たった本稿執筆時も逮捕されていない。それどころか、犯人や事件の背後関係をめぐり、「さまざまな説」が錯綜している状態なのだ。 「事件を担当しているのは、殺人や強盗などの凶悪事件を担当する警視庁捜査一課。ここに組織犯罪対策部が加わっていましたが、さらに、事件関係者が海外に逃亡したという情報が出るや、国外捜査に長けた公安関係者も捜査に合流した。これらの組織には、それぞれ異なる担当記者や懇意にしているジャーナリストがついているため、話の出どころによって、内容にずれが生じているのかもしれません」(週刊誌記者)  まず大きく報じられたのが、人違い説だ。犯人は、不良グループ「関東連合」や在日中国人たちからなる「怒羅権」関係者たちで、以前から彼らとトラブルを抱え、抗争を繰り返してきた暴力団関係者Aと顔や体格が似ていた藤本さんが、間違って殺されてしまったというものだ。こうした情報は大手全国紙でも扱われたため、高い信ぴょう性があるものと考えられたが、一方でその直後にはこんな話も出てきた。 「藤本さんはAと親しかったことから、見せしめのためにやられたんだ。藤本さんは今回の事件の前にも、彼らに襲われて足を大けがしている。それでも懲りずに、このAとつながりを持ち続けていたので襲われた」(大手新聞紙記者)  さらに公安筋からは、藤本さんがあるシノギに手を出していたことが、事件を誘発したとの話も出てきた。 「藤本さんは、合法ドラッグの売買にかかわっていたというんです。しかし、このシノギには、広域暴力団傘下K組が関与していた。K組は、藤本さんが自分たちのシマを荒らしていると判断し、再三警告を発してきたのに、彼は言うことを聞かなかった。そこで、不良グループを使って、藤本さんを襲ったんです。殺すつもりまではなかったようですが、実行犯の中にいた中国人が加減を知らず、ボコボコにしてしまったんでしょう」(公安筋)  各種メディアの報道内容を見ていても、やはり事件の背後関係はバラついている。しかし、直接事件にかかわった犯人グループが、関東連合と怒羅権の、OBを含む関係者たちであることはほぼ一致しているようだ。警察関係者はこう語る。 「事件に関与したのは、20名以上。襲撃現場にいたのは9名とみられているが、フラワーの店外にも関東連合関係者が複数おり、事件後は散らばるように逃げている。二十数名のうち、複数がアメリカやフィリピンなどの海外に出ており、藤本さんに直接手を下した中国人なども本国に帰ってしまったので、捕まえるのは容易ではない。なんとか2月までには、できるだけ多くの犯人を立件したいと動いているところだ」  そんな中、本誌は捜査の中枢を知る関係者に話を聞くことができた。この関係者によると、前述のような事件の背後に関する報道のずれは、なんと捜査当局によって意図的に生み出されているという。 ■人違い説はミスリード!?警察が行う”司法取引” 「当局は、すでに事件の全容をほぼつかんでいます。藤本さんが合法ドラッグのシノギをめぐって暴力団と衝突し、その暴力団の指示で不良グループが犯行に及んだ。これが真相と確信している。ただし、これらをすべて表に出すかは、当局も決めかねています。というのは、全容がわかったといっても、実行犯を逮捕できなければ、警察のメンツは潰れます。しかし、海外逃亡組もおり、現在の居場所など、実行犯を全員捕まえるための情報が今のところ少ない。そのために、事件を教唆したとされるK組関係者とある種の”司法取引”をして、彼らから実行犯についての情報を集めているのです」  この関係者の話をまとめると、警察は実行犯の逮捕を最優先にして、その背後にいるK組関係者の責任は、重要情報をもらう代わりに最小限に食い止めるということ。そして、あくまで「殺す必要がなかったところを、実行犯たちが暴走して、殺してしまった」または「不良や暴力団関係者の喧嘩がこじれたもので、背後にK組の組織的関与はなかった」というストーリーに落とし込もうというのだ。 「『人違い』や『本当のターゲットの巻き添えを食った』という話は、当局が時間稼ぎのために持ちだした話です。『本当のターゲットが別にいるかも』ということにして事件を複雑に見せれば、捜査にそれなりの時間がかかっても、上層部や世間から批判を受けにくく、立件までに時間がかかったとしても、納得してもらえると思っているんです」(同)  手が込んでいるのか、子どもじみた戦略なのかよくわからないが、警察というのは単純にいえば「岡っ引き」のようなもので、犯人逮捕が使命。逮捕後の犯罪立証は検察に任せておけばいいという思考が働くものだという。 「とにかく、実行犯を逮捕する。そのためには、危ない橋を渡るのもいとわないのが警察です」(同)  実は、事件発生後間もなく、暴力団専門の組対四課が捜査から外されている。報道では「犯行の手口から暴力団の関与は薄いと判断して、四課を外した」といわれたが、実際には「暴力団とつながりが深い四課を入れると、暴力団側に捜査情報が流れるリスクが高くなる。また、ほかの部署に比べて、四課はメディアとのつながりも深い。そのために早々に外した」(前出の関係者)というのだ。確かに、四課を外したのに、その上部組織ともいえる組対総務課という部署が現在も前線で捜査をしているのだから、つじつまが合わない。実際には、前述のような、暴力団側を巻き込んだ、犯人逮捕に向けた”寝技”を使うために、特殊な組織構成で捜査に当たっているようだ。 「四課を外した理由はもうひとつあります。警察は最近、暴対法などでは取り締まれない関東連合や怒羅権といった不良グループの影響力の増幅ぶりを目の敵にしていた。そこに起こったこの事件ですから、徹底的に彼らを”社会悪”として追及していきたいんです。そのために、不良グループを対象としている組対特別捜査隊も投入している。つまり、事件の背後にある四課マターの暴力団事件は無視してでも、不良グループの摘発・壊滅につなげたいんです」(同)  犯人逮捕の日はそう遠くないかもしれないが、事件の真相が明らかにされる日は、永遠に来ないかもしれない。 (文/編集部) ■六本木クラブ襲撃事件 9月2日未明、東京都港区にあるクラブ「フラワー」に、9人組と見られる集団が押し入り、店の客だった飲食店経営の藤本亮介さんに金属バットや鉄パイプなどで暴行を加えた。藤本さんは死亡し、犯人グループは車で多摩方面に逃走したとされるも、いまだ逮捕に至っていない。 藤本さん襲撃の犯行時間1分 ■警察が犯人逮捕に向け別件逮捕乱発!  この事件に関連し、元関東連合リーダーの石元太一(画像は同氏著作『不良録』)が9月8日、組対特別捜査隊に詐欺容疑で逮捕されている(後に別容疑で再逮捕)。「石元が犯人とつながっているとみた警察による”別件逮捕”で、取り調べでは襲撃事件について聞かれたようです」(週刊誌記者)。さらに、10月1日には「フラワー」の経営者らも、風営法違反容疑で逮捕している。「犯人グループが普段は施錠されている裏口からスムーズに店内に入ったことを不自然とみた警察は、店側の関与も疑っているんです」(同)。その後、「フラワー店員が、藤本氏の来店を外部の人間に伝えた」という報道も出ている。 【「サイゾーpremium」では関東連合も六本木も警察もまとめてぶった斬ります!!】逮捕前夜の関東連合・元リーダー石元太一が語る”メディアと芸能界と俺たち”あなたの知らない六本木が見えてくる!? 東○ウォーカーじゃ教えてくれない六本木【裏】マップ関東連合壊滅に着手した警察 あの有名人の"闇"も炙り出す!?止まらない警察官たちの暴走!新聞が報じない"桜タブー"を暴く年収ナント1000万円!? 松下電器の役員にも就任する警察OBと企業の不健全な関係
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「『マンガ 金正日入門』発禁」はウソ! エロか、親日表現か…韓国マンガのタブー事情

【サイゾーpremium】より ――今夏より、いささかの緊張状態を過ごしてきた日韓両国。韓国における反日感情は根強い。韓国内のマンガにおいて、日本はどのように描かれてきたのか?多様性を増す韓国マンガの現場で、日本がどう受け止められているのか探求した。
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(絵/師岡とおる)
 今夏、8月10日に李明博大統領が竹島に上陸したことを発端に、史上最悪とまでいわれる緊張状態に陥った日韓関係。かねてより韓国内では、もろもろの歴史的経緯を鑑み、反日感情が強いと言われてきた。だが、文化レベルになれば話は別。韓国内で日本のマンガの人気は高い。マンガ好きが高じて、日本に留学してきた韓国人女子はこう言う。 「韓国で人気があるのは『NARUTO』や『ONE PIECE』、『名探偵コナン』などの少年マンガや、一部の少女マンガです。マンガの人気ランキングサイトなどを見ても、上位20位をほとんど日本のマンガが占めていることもあります。韓国内で”マンガ好き”といわれる層は、だいたい日本のマンガを読んでいるのではないでしょうか」  マンガオタクだという韓国人男性も、これに同意する。 「ファンの間でアツく語られるような作品は、だいたい日本のマンガだと思います。そもそも韓国では、マンガはアイドルと同じく子どもの趣味と見なされている。数年前までは街中に貸本マンガ屋があって、マンガはそこで借りて読むものだったのですが、そこにいて違和感がないのは高校生くらいまで。最近はパソコンでダウンロードして読む人も増えているので、少し状況は変わってきていますが……」  韓国のマンガコラムニストで、出版企画社を経営する宣政佑氏は、「社会全体としてはいまだにその傾向が強いです」と首肯した上で、時代による変遷を語ってくれた。 「韓国内でも90年代、一時的にオタク文化に照準が当たって、『マンガ・アニメを見る大人がいる』ことに、大衆が”驚く”ということがありました。00年代に入るとマンガ・アニメ文化の流行が過ぎてしまって、そうした雰囲気は感じられなくなりましたが、個人主義の空気も社会に拡がっているので、大人がマンガやアニメを見ていても、かつてより珍しがられる雰囲気はないと思います」  とはいえ日本では、「マンガは子どもが読むもの」という認識は、今や雲散霧消している。日本と韓国では、マンガを取り巻く事情がかなり異なっているようだ。 「韓国では今、ネットで読むマンガが人気です。2大ポータルサイトであるDaumとNAVERに連載されるものがよく読まれ、話題になります」(前出・マンガ好き韓国人女子)  ネット大国・韓国では、マンガの主戦場もウェブに移行している。ウェブマンガはWEB+CARTOONの造語で、「ウェブトゥーン」と総称される。日本ではウェブ連載で好評を博した作品が単行本化されてヒットすることがあるが、韓国でのウェブトゥーンの扱われ方は、少し違っている。 「韓国でも当初は個人がブログ等で発表し、単行本にして売るという形も存在しました。しかし00年代中盤頃から徐々に、NAVERやDaumといった大手ポータルサイトが、ウェブトゥーンの連載場所になり、雰囲気が変わってきます。個人サイトなどで発表するのはアマチュア作家で、プロのウェブトゥーン作家になると、ポータルサイトからの依頼で原稿料をもらって週1~2回ペースで連載するようになった。韓国でもマンガ雑誌の縮小は激しく、SFにギャグ、スポーツ、恋愛と、幅広いジャンルを描くのはウェブトゥーンの役割になっている感じはあります。単行本化する場合は出版社から出しますが、サイトのほうは作品を下ろしませんから、さほど売り上げは期待できない。だから、日本では”ヒット”というと単行本の売り上げが基準になりますが、韓国では必ずしもそうではないわけです。ウェブトゥーンに関しては、売り上げという概念はあまり意味がありませんから」(前出・宣氏) ■エロには厳しいが政治的には厳しくない?
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金正日死亡後の半島を描いた『STEEL RAIN』。今
は日本でも、ウェブ上で無料で読める。
 ことほどさように韓国マンガ界の成り立ちは、日本のそれとは大きく違う。では、内容の面はどうだろうか? 韓国のマンガにおいて、タブーとなるのはどういった表現なのか。  まず、法的に最も厳しくチェックされるのは性表現と暴力表現だ。先述の通り「マンガは子どもの読むもの」という認識が根強いため、子どもが目にすることを基準にした規制が行われる。 「97年に成立した青少年保護法の中には、『青少年への有害環境』の規制義務が規定されています。マンガを含む出版物、映画、放送番組などすべての分野に対して一定の審議が行われますが、これは日本に比べれば厳しいといえます。もっとも、世界的に見て日本が緩すぎるということもありますが」(前出・宣氏)  日本では少年マンガでもバトルものが主流なだけに、暴力表現が多い。『ドラゴンボール』は90年代に韓国でも人気を博したが、暴力描写の多さと、日本文化への反感も相まって販売反対運動が起こった、と当時日本国内で報じられている。  一方、モチーフ自体が社会背景に照らしてタブーとなりそうな事柄もある。例えば北朝鮮問題。両国は今も「休戦中」であり、10年の延坪島砲撃事件のようなことが起きれば、関係は緊張する。そうした”微妙”なネタをマンガにすることは、タブーではないのだろうか。事実、98年に発行された『マンガ 金正日入門』は、韓国内で発禁処分を受けたと話題になった。 「確かに同作の日本版は、『韓国で発売禁止』と大きくうたわれていました。しかし本全体を読むとわかるのですが、実際は、当時韓国に流れていた北朝鮮との和解ムードで出版社が及び腰になり、一度は書店に並んだものを自主回収した、という話なのです。当時も今も、北朝鮮を批判する書籍はほかにもたくさん流通している。むしろ今でも戦争が終っていない『敵国』である北朝鮮を、事実に反して擁護するような出版物のほうが危険です」(同)  実際、80年代当時においては、北朝鮮を賛美するような内容の本はタブーであった。 「当時は『韓国政府が隠しているだけで北朝鮮は素晴らしい国だし、皆豊かに暮らしている。だから北朝鮮に行こう』といった内容の作品は、国家保安法による取り締まりの対象になりました。その後90年代には、融和政策を進めていく中で、北朝鮮を批判する内容に対して気を使う雰囲気ができた時期がありました。『マンガ 金正日入門』の原著が出た頃は、ちょうどそのタイミングにぶつかったため、出版社のほうが過剰反応したのではないかと思います」(同)  現在、小学館のウェブサイト「クラブサンデー」に掲載されている韓国マンガ『STEEL RAIN』という作品がある。これは11年5月からDaumで連載されたウェブトゥーンだが、内容は、金正日総書記死亡後に北朝鮮内部でクーデターが発生し、朝鮮半島が混乱に陥る、というもの。実際に金正日が亡くなったのは11年12月なので、生前から連載されていたことになる。同総書記には長らく健康不安が囁かれていたこともあり、かなり不謹慎感があるが……。 「特に何も起きてないですね。近年、北朝鮮を描いたマンガが問題になったことはないと思います」(同)  そしてもうひとつ気になるのが、韓国マンガにおける日本の描かれ方だ。例えば、反日感情が高まる中では、親日的な作品が読者から非難を受けるようなことはあるのか? 「日本をマンガの中でどう描こうと、基本的にはタブーはそこにはないです。そもそも、あまり流行るネタではありません」(同)  本稿の取材にあたって調べてみたところ、商業作品においてはそうしたものは確かに少なかった。80年に出版された『弓』では、日本帝政時代の朝鮮半島を舞台に、母国を裏切って日本側に近づいた同胞へ復讐を遂げる主人公が義賊的に描かれている。舞台設定ゆえに反日的とも受け取れるかもしれないが、どちらかというと、強いものに加担してしまう人の弱さや愚かさを描いた作品だ。そして『弓』の作者・李賢世による『南伐』(94年/日本未発売)では、日本の侵略を受けた韓国が日本を降伏させ、竹島の領有権が韓国にあることを世界に知らしめる……という今まさに旬な話題を扱っている。同作は人気を呼び、08年には実写映画化の話まであったほどだ。ちなみに作者の李は05年、「名誉独島警備隊長」に任命され、サイバー空間で独島を守る任務を任されている。  とはいえ、これら以外に目立った人気作はなく、かつて『嫌韓流』へのアンサーとして『嫌日流』が出版されたが、韓国内でも全然売れなかったという。国家間の問題とマンガは別物とばかりに、日本との距離感も適切に構えるのが通常のようだ。そして創作者の側の動きも、かつてのように日本のマンガ界を目指す方向ではなくなってきている。 「例えば90年代からマンガを描いている作家たちは日本進出に積極的ですが、今の若い世代は、日本マンガもあくまで面白さのひとつとしてしか認識していない。今主流になっているウェブトゥーンは日本マンガの流れとは大きくかけ離れていますから、そこからマンガを描き始めた人たちは、日本進出を目指す感じでもないのです」(前出・宣氏)  政治の緊張が文化に与える影響は少なくないが、サブカルチャーが国のあり方に左右されるのも馬鹿馬鹿しい話ではある。韓国マンガが独自進化を遂げ、まったく異なるスタイルのマンガと影響を受けあうようになることが、日本にとっても良きことであるのは間違いないだろう。 (取材・文/七星 光) 【「サイゾーpremium」では他にも韓国をえぐる記事が満載です。】ナマモノタブーはなし!? K-POPアイドル同人も! 韓国腐女子事情慰安婦問題でも大統領の保身のためでもない! 竹島問題が加熱した本当の理由韓国”ネトウヨ・ネトサヨ”の真の脅威朴槿恵の大統領就任で反日運動が激化!?
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殺された街、牛、心…福島警戒区域内で積み上がり続ける”屍”

【サイゾーpremium】より
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(写真/針谷 勉)
 福島第一原発から半径20キロ圏内は警戒区域に指定され、同区域内への立ち入りは法律で厳しく制限されている。原発事故前、同区域では牛約3500頭、豚約3万頭、鶏約44万羽が飼育されていたが、事故後は、鶏は全羽、牛や豚はその過半数が餓死した。生き残った家畜は、国の指示で殺処分が今も実施されている。  そんな中、自身の被ばくを顧みずに事故後も警戒区域に残り、牛の世話を続けている農家がいる。吉沢正巳(58歳)。吉沢の牧場から福島第一原発までは約14キロ、牧場から排気筒や復旧作業中のクレーン群が見える。 「ド~ン、ド~ンと2回、花火を打ち上げるような音がした」  2011年3月14日の3号機建屋の爆発音と立ち上る噴煙を目の当たりにした吉沢。だが、逃げ出さなかった。 「数日もすると、近所の牛舎では、痩せ細った牛が水や餌を求めて悲鳴を上げ、その隣では牛の死骸を豚が食べている。まさに地獄のような光景だった」  それから約1年8カ月たった今、吉沢の牧場では約400頭の牛が毎時約3マイクロシーベルトの環境下で飼育されている。被ばくした牛は、当然売り物にはならない。 「被ばく牛を原発事故の生き証人として、俺は牛と運命を共にする」  国は警戒区域内での牛の飼養どころか、餌の搬入さえ認めていない。牛は栄養失調に陥り、弱い個体から次々と死んでゆく。これまで約100頭が死んだ。写真は、牧場内にあるその”墓場”だ。昼間はカラスが、夜になると野良化した犬が、その死肉をむさぼりにやってくる。 「深い絶望の先には、きっと希望がある」――牛飼い吉沢の闘いは始まったばかりだ。 (針谷勉) 『警戒区域』 原発事故後、福島第一原発から半径20キロ圏内を警戒区域として設定。市町村長の許可がない立ち入りは禁止され、違反すると10万円以下の罰金又は拘留となる。
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■衝撃写真と物語!緊急出版 『原発一揆 警戒区域で闘い続ける~ベコ屋~の記録』 警戒区域内に取り残された牛たちの命を守るため、被ばく覚悟で牧場の維持を決意した吉沢正巳氏。彼が国や東電と闘いながら、絶望の淵で「希望の牧場」を生み出すまでの記録をまとめたフォトルポルタージュ『原発一揆』が、小社から発行された。本書には「原発事故の真実」が収められているが、ここに掲載した写真もその”一幕”だ。 著者/針谷勉 発行/サイゾー 価格/1365円 【「サイゾーpremium」では他にも『原発』を多角度からぶった斬る記事が満載です。】事故処理の下請けはヤクザだけじゃない!! 原発お膝元のイビツな利権構造新左翼がオルグしている!? 大手マスコミでタブー視される首相官邸前反原発デモの現場アウトローが語る原発労働の実態 久田将義×鈴木智彦「東電はヤクザを黙認している」
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「のうのうと生きてちゃいけない」“リストカッター”鳥居みゆきが生きる意味を得たマンガ

【サイゾーpremium】より ――サブカル系のマンガ読みとしても知られ、”リストカット”経験を持つ芸人・鳥居みゆき。今年7月に発売された小説『余った傘はありません』(幻冬舎)でも自らの死生観をぶつけているという彼女は、小さい頃から「35歳で死ぬ」と公言しているという。そんな彼女に、リストカット体験を踏まえて、生きる意味を与えてくれたマンガについて聞いてみた。
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(写真/オノツトム A/M)
──鳥居さんは、好きなマンガ家さんっているんですか? 鳥居みゆき(以下、鳥居) 丸尾末広先生が大好き! 9月にやった単独ライブのチラシも、丸尾先生に描いてもらったの。で、今度発売する丸尾先生の画集にもコメント書かせてもらったんだ! いいでしょ! ──うれしそうですね……。丸尾先生にハマったきっかけは? 鳥居 小さい頃に、古本屋で、見世物小屋を舞台にした『少女椿』(青林工藝舎)を立ち読みして衝撃を受けて。それからしばらく見世物小屋の人につきまとって、「見せ物じゃねーよ!」って怒られてたくらい。それ以来、ずーっとファン。でもね、当時は、お小遣いを全部甘いパンに使ってて、そればっかり食べて太ってたから「白豚」って呼ばれてたの。 ──えっと……? 鳥居 だから、丸尾先生のほかの本がなかなか買えなかったの。 ──ああ、なるほど。 鳥居 白豚って呼ばれるのは構わないけど、でも丸尾先生の本は欲しいなって悩んでて。結局パンを我慢して丸尾先生の本を買うようになったの。それで痩せたし。ちょっとスリムになったのは丸尾先生のおかげ。 ──丸尾ダイエットですか(笑)。 鳥居 そう。あとね、つげ義春先生の『夜が掴む』『外のふくらみ』(共にちくま文庫)も好き。みゆきも夜が怖くて、「同じ感覚の人がいたんだ」って思った。夜眠れなかったんだけど、これを読んで部屋の窓にガムテープで目張りして、夜とか外が入ってこないようにしたら安心できるようになった。 ──それからは、夜眠れるようになったんですね。 鳥居 ううん。眠れない。 ──え? 安心できるって……。 鳥居 安心しても眠れるかどうかは別。だって、昼に寝てるもん。 ──……。ところで、本題に入りますけど、”死の描写”に惹かれたマンガ作品ってありますか? 鳥居 丸尾先生の作品のように、死んだ時が一番美しくなるように描いてたり、性と食のとらえ方が真逆で、人も殺していいっていう、藤子・F・不二雄先生の『気楽に殺ろうよ』とか、死を大げさにせずに、身近にあるものとして描くものが好き。 ──自分の死を意識することは? 鳥居 いつも。指にささくれができても「死にてぇ」って思うもん。 ──聞いたところによると、リストカットの経験もあるとか……。 鳥居 うん。でも、ある時「リストカットはダセぇな」って気づいて。その痕を消そうと思って、リゲインのふたの下のクルクルってなってるとこで、傷の反対側を切って皮膚をくるんって剥がせば傷が消えるんじゃねぇかって考えて、やってみたの。 ──成功……してないですよね?リストカットより怖いですよ。 鳥居 もう血がドバドバ出て。おかげで「痛い、痛いぃー! はっ! 私、生きてる!」って思えたんだ。 ──リゲインの用法違いますよ。 鳥居 でも、リゲイン飲んだから「よし、やるぞ!」って勢いがついたし。まぁ、リストカットの痕は自然に消えて、リゲインの傷だけ残っちゃったんだけどね。あはは。 ──壮絶ですね……。生きることを考えたマンガ作品とかはあります? 鳥居 しりあがり寿先生の『ジャカランダ』で、それを考えた。この作品の中では、死は重要視されていなくて、人を平気で殴り殺しちゃったりするの。で、その世界ではある”木”をご神木のようにみんなでありがたがってるんだけど、その木が成長して人を殺すようになって、初めて人々が死を恐れるっていう内容で。これを読んで、「のうのうと生きてちゃいけないな」って感じたよ。逆に、『方舟』(太田出版)を読んだ時は「生きててもしょうがねーじゃん!」って考えさせられたりもしたんだけど……しりあがり先生のメッセージは押しつけがましくなくて、かえって受け入れやすい。そこがかっこいいって思うの。 ──本当に「死にたいな」と思い詰めた時は、そういったマンガに救われたりも? 鳥居 ううん。そういう時は『美味しんぼ』で栗田ゆう子がアワビのしゃぶしゃぶを食べてるシーンを読んで、「エッロいなー」って思ったり、『名探偵コナン』(小学館)とか適当に読んで、あまり深く考えないようにしてる。 ──そこは、あまり重くない本を選ぶんですね。ちなみに、鳥居さんが人にマンガを勧めるなら? 鳥居 うーん。しりあがり先生を勧めたら「ちょっと怖いよ」とか、丸尾先生を勧めたら「絵はキレイなんだけどね……」って言われたりしてイラッとするから、最近は弘兼憲史先生の作品を勧めてる。 ──これまた幅広い。 鳥居 この間も『黄昏流星群』(小学館)を読んでたら、おじさんがテレビをぼーっと見てて、小島(よしお)らしき芸人が「おっぱっぴー!」とかやってたら消されるっていうシーンがあって。すぐに小島に電話して「おい! お前、すべってるぞ!」って言ってやったわ。 ──小島さん……(笑)。 鳥居みゆき(とりい・みゆき) 1981年、秋田県生まれ。高校卒業後、お笑い養成所「松みのるお笑い塾」に入る。現在はサンミュージックプロダクション所属のピン芸人。『PON!』(日本テレビ)にレギュラー出演するほか、バラエティに限らず、映画やドラマ、小説などでも活躍中。近著に、『余った傘はありません』(幻冬舎)。 【「サイゾーpremium」では他にも自殺をとりまく事象に迫る記事が満載!】『よいこの黙示録』『ぢるぢる日記』etc. マンガ家たちはなぜ自殺したのか? 最期の作品に隠された”遺言”自殺大国の実相と社会的包摂の必要性“劣悪”精神医療と製薬会社の思惑が自殺者量産!?
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“役に立たない”監視カメラをそれでも警察が推進したいワケ

【サイゾーpremium】より 法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の”意図”──。 今月のニュース「監視カメラ」 1995年の地下鉄サリン事件をきっかけとする「体感治安の悪化」を背景に、2000年代以降、日本では監視カメラが爆発的に普及した。社団法人日本防犯設備協会の調査報告書では、映像監視装置(監視カメラ)の国内市場規模は、99年から03年の4年間で2.04倍に急成長している(表を参照)。
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監視カメラの国内市場規模は、99年~03年までの4年間で2倍以上に膨れ上がった。(出典:日本防犯設備協会「防犯設備機器に関する統計調査」)
 ビジネスマンに人気のテレビ番組『ガイアの夜明け』(テレビ東京)で去る8月、「真夏の防犯カメラ密着24時~ここまで来ていた ニッポンの技術~」と題し、監視カメラの特集を組んでいました。監視カメラの性能向上を喧伝し、その普及を伝える内容でしたが、では本当に監視カメラは「防犯カメラ」たり得るのでしょうか? 今回は、この問題に迫ってみたいと思います。  現在監視カメラは、国内に300万台以上設置されているといわれ、顔認証システムの進歩など、確かにその性能は年々飛躍的に向上しています。2003年の長崎男児誘拐殺人事件では、発生からわずか8日で加害少年が補導されましたが、その決め手となったのは、犯行現場近くの商店街に設置された監視カメラの映像でした。また、05年のロンドン同時爆破テロ事件でも、地下鉄の駅改札に設置された監視カメラが、実行犯4名の姿をはっきりととらえており、犯人グループの特定に役立ちました。  このように、犯罪の捜査において、監視カメラは確かに有用です。しかし、お気づきでしょうが、どちらの事件においても、犯行を未然に防ぐという点ではまったく役に立っていません。カメラに監視されていれば検挙を恐れて犯行を思いとどまるはず、という主張もありますが、その理屈は、「理性を残して実行される」ごく限られた種類の犯罪にしか通用しません。大部分の「犯罪を犯すことを決心している」犯罪者がその考えを実行するまさにその時、それを止めることはカメラにはできないのです。  実際、監視カメラの防犯効果を調査するため警視庁は、02年に新宿・歌舞伎町に50台の監視カメラを設置し、また、ロンドンではさらに大掛かりな実験が行われましたが、どちらの実験でも、酔っ払いから財布を抜きとるタイプの窃盗など、特定の犯罪以外では抑止効果は認められない、という結果が報告されています。にもかかわらず、なぜ監視カメラはこれほど普及したのでしょうか?  新聞報道を調べてみると、日本では、95年の地下鉄サリン事件をきっかけとして、「体感治安」という言葉が氾濫するようになり、また、00年初頭には、刑法犯の認知件数(=警察の把握した事件数)が急増し、国民の犯罪不安が一気に高まりました。そうした状況を受けて警察は、「安全・安心まちづくり」という新たな方針を打ち出し、積極的に地域へ入っていくようになりました。実は、この「地域へ入る」というのは、警察にとって長年の大きな課題でした。  というのも警察は戦前まで、自治会長などの地元の「有力者」と関係を築くことによって、地域住民のおおよその動向を把握していました。ところが戦後、郊外化・団地化による地域コミュニティの衰退により、警察は、地域住民の状況をつかむため、団地や住宅街などの各家庭を個別に訪問する必要に迫られました。しかしそうした行動は、プライバシーを理由に住民に煙たがられる傾向にあり、また、核家族化や単身赴任の増加などによって昼間は完全に留守になる家が急増し、住民と接触すること自体難しくなっていたのです。  では、そもそも警察は、なぜ多大な労力を費やしてまで地域へ入りたがったのか? それは、警察と地域コミュニティのつながりや地域住民同士の結びつきというものが、犯罪の捜査と抑止に役立つことを、警察は経験則として熟知していたからです。  ここは肝心な点なので、詳しく説明します。移動手段の限られていた時代においては特に顕著でしたが、実は現代においても犯罪の多くは、地元のワル、すなわち特定の要注意人物によって行われます。とかくメディアでは凶悪犯罪ばかりがクローズアップされるので、「犯罪とは外部のプロによって計画的に行われるもの」あるいは「得体のしれない異常者によって突発的に引き起こされるもの」と考えられがちですが、大多数の犯罪は、コミュニティ内の”隣人”によって行われているのが実情なのです。  つまり警察は、地域コミュニティとつながりを持ち、普段からそうした各地域のワルの動向さえ押さえておけば、何か事件が起こったとき、効率的に捜査を進められるわけです。たとえ一発で犯人に当たらなくても、彼らの人脈をたどっていけば、最終的に犯人に行き着く可能性が非常に高くなる。  一方、犯罪の抑止という点でも、地域コミュニティは重要な役割を果たします。例えば、ある者がこれからどこかへ盗みに入ろうとして、あるいは幼児にいたずらしようとして家を出たとします。ちょっと想像していただきたいのですが、そのとき、隣家のオバさんに、「どちらまで?」と声をかけられたら、犯罪を起こす気持ちを持続できるでしょうか? 冒頭に挙げた長崎の事件も、もし加害少年の知り合いが、4歳の子どもを連れて商店街を歩いている彼と出会い、「その子どうしたの?」と声をかけることができれば、犯行を防げたかもしれないのです。  もちろん地域コミュニティの衰退は歴史の必然であり、以前の状態へ戻すことが可能なのか、そもそも現代の日本人がそこへ戻りたがっているのか、という点については議論の余地はあります。ただ、こと犯罪の捜査と抑止においては、地域コミュニティの再生が、監視カメラの導入などとは比べものにならないほど有益であるのは間違いないことなのです。  だからこそ警察は、「地域へ入る」ことを切望していた。そして先述の体感治安の悪化によって、戦後長く続いた警察に対する地域住民の拒絶反応は、「警察官が見回ってくれれば安心」というところまで変化し、警察の介入を歓迎する風潮が広まっていました。警察側と住民側の思惑が合致したわけです。  そうした中、警察が地域にかかわるチャンスとして転がり込んだのが、体感治安の悪化を背景とする監視カメラ導入機運の高まりでした。監視カメラが、商店街や公園など街のいたるところに導入されていった背後には、警察が設置の際のアドバイザーとして関与し、積極的に推進した側面があったのです。  警察側としては、監視カメラの導入を口実として地域に関与することで、住民との協力関係を再構築できるという直接的な利点だけでなく、地域活動が活発化し、住民同士が知り合うことによって犯罪を抑止できる確率が高まるという間接的なメリットをも享受できます。もちろん、捜査情報を絞る上でも極めて有用です。いわば監視カメラの普及は、警察にとっていいことずくめだったわけです。  ここで興味深いのは、犯罪の捜査や抑止という実質的な面において警察が、実は監視カメラを重要視していないという点です。冒頭で述べた犯罪の抑止効果については言うに及ばず、捜査に関しても、撮影された大量の映像を多大な時間と労力をかけて「誰が見るのか」という問題があるからです。監視カメラが捜査に役立った印象が強い、去る6月のオウム真理教元幹部・高橋克也容疑者の逮捕においてさえも、実はそのきっかけや逮捕そのものは、菊地直子容疑者の逮捕であったり市民からの通報であったりしたことは、極めて象徴的でしょう。  しかしながら警察には、「監視カメラの効果は低い」と地域住民に真実を告げる気は毛頭ありません。アドバイザーとして期待され、警察OBも関与できる「安全・安心まちづくり」の盛り上がりに自ら水を差す気はないからです。性能のいい監視カメラはかなり高価であり、それを導入するためには、地域住民は相当話し合う必要があります。その中で警察と住民との、ないし住民同士の人間関係が生まれればしめたもの、というのが警察の本音なのです。  このように監視カメラは、地域コミュニティの衰退による犯罪不安の高まりを受け、警察の主導によって普及したものの、実は住民の期待とは裏腹に「犯罪の抑止」という実質面ではあまり役に立たず、むしろ地域コミュニティ復活のための道具として機能しつつあるという、なんとも皮肉な運命をたどっているわけですね。 河合幹雄(かわい・みきお) 1960年生まれ。桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)。京都大学大学院法学研究科博士課程修了。社会学の理論を柱に、比較法学的な実証研究、理論的考察を行う。著書『安全神話崩壊のパラドックス』(岩波書店、04年)では、「治安悪化」が誤りであることを指摘して話題となった。その他、『終身刑の死角』(洋泉社新書y、09年)など、多数の著書がある。 【「サイゾーpremium」では他にも強力な識者陣が連載中!】【宇野常寛×成馬零一】「『リッチマン、プアウーマン』──フジ月9が見出した、新しい恋愛ドラマの形」【萱野稔人】中国反日デモは中国政府に対する反体制運動となりうる 反日デモが示す中国社会の危うさ【神保哲生×宮台真司】人間だけが抱くことができる「希望」と「絶望」
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DMMからカリビアンコムまで――なんで無修正がタダで見放題!? エロ動画サイト”ビジネスモデル”

【サイゾーpremium】より
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『セックスメディア30年史』(ちく
ま新書)
──「DMM」など課金制のまっとうなサイトから、「FC2」や「アダルト動画ブックマーク」、はては「XVIDEOS」などなど無修正のアダルト動画までがタダ見できてしまう知る人ぞ知るサイトまで、アダルト動画サイトの運営者はいったい誰で、どのようなビジネスモデルのもとに展開されているのか徹底調査!!  これまで本特集では主に、有名IT企業やそれにまつわるさまざまなゴシップを追ってきた。しかし、ふだん我々、特に男性読者諸氏が最も目にしているIT系のコンテンツといえば、エロ絡み、要はアダルト動画ではなかろうか?  確かにひとたびネットで検索をかければ、AKB48と提携している「DMM・com」のような大手サイトで配信されているAVメーカー公認の有名AV女優のエロ動画から、広告だらけの怪しげなサイトに上がっている無名女優のモザイク無しの動画まで、ありとあらゆるエロ動画に簡単にアクセスすることができる。しかし、こうしたサイトの運営者は、いったい何を目的にサイトを運営し、どのようにして収益を上げているのか? そこには、ネット世界特有の闇が潜んでいるのではないのか?  そこで本企画では、ネット上に無数に存在するアダルト動画サイトの実像に迫り、そのビジネスモデルごとにいくつかのパターンに分けて分析してみたい。その代表例については次ページの表をご覧いただくとして、まずは、過去にアダルト動画サイトのインフラ設計をしていた経験も持つというエンジニアA氏の言葉をひきたい。 「例えば、YouTubeの動画配信などで今では当たり前に用いられているフラッシュビデオの技術。あれを最も早くきちんとした形で導入したのって、アダルト動画サイトだと思います。アクセスが集中しても絶対に落ちないよう最新のアプリケーションをいち早く導入することなどにも見て取れるように、エロ系サイトへの最新技術の導入って、実はすさまじく早いんですよね」  名の知られた法人が運営する有名サイトなどと違って「アダルトサイトは、最悪ダウンしたとしても社会的な影響力は少ない」(A氏)ことが、こうした進取の気性に拍車をかけているという。では、こうしたサイトを実際に運営しているのは、いったい何者なのか?  まずは、ネットでアダルト動画を物色する際、おそらく最も多く目にするであろう「無料パクリ系動画サイト」について。一見、サイト上に多くのアダルト動画がアップされているように見えるが、そうした動画をクリックしてみると実際には、後述する「FC2動画」「XVIDEOS」などに存在するさまざまなアダルト動画に勝手にリンクを貼っているだけ……つまり、動画を自ら配信しているわけではないタイプだ。 「こうしたサイトの多くは、リンクやバナー広告によるアフィリエイトが基本的な収益源ですね。つまり、ユーザーがページ内のリンクをクリックしたり、そのリンク先の会員制有料サイトで実際に動画を見たり商品を買ったりした場合に、運営者にその”報酬”が支払われる。集客力の高いアダルト動画でPVを稼ぎ、そのうちの何割かがリンク先でお金を落としてくれればその分儲かる、というわけです」(A氏)  では、その運営者は? 「個人が副業でやっているケースもありますが、この手のサイトは、ページ下部に入っているバナー広告のリンク先である出会い系サイトと一体化しているケースも多いんですよ。私が仕事を受けていた会社も、実はそうした出会い系サイト運営事業者でした」(同)  A氏によれば、そうした事業者にとってアダルト動画サイトは、それ単独で収益を上げるためのものではなく、あくまでも客寄せにすぎない。アダルト動画に吸い寄せられてくるユーザーのうちの数パーセントでもリンク先の出会い系サイトに入会してくれれば、十分元は取れるというのだ。 「基本はリンクを貼る技術があればいいから、個人でもできる。運営コストもレンタルサーバ代くらい。だからこそ、我々のような個人のプログラマーや、”オモテ”の仕事だけでは食べていけないIT企業に、実際のサイト運営がアウトソーシングされてくるわけです。むしろ、ひとりで30~50くらいのサイトを管理してる人もざらにいます。そうしたサイトは、どれかひとつを更新すればすべてのデータが更新されるようプログラムされていて、しかも相互リンクでアクセスを流し合っている」(同)  実際、A氏のように下請けとしてではなく、会社員として働く傍らアフィリエイト目的で個人でアダルト動画サイトを運営しているというB氏も、このように語る。 「現在、サイト開設4年目ですでに1000本近くの他動画サイトへのリンクがあり、週2回ほど更新して、毎月の収入は20万円強。メインは『カリビアンコム』など有料動画サイトのアフィリエイトです。ある程度のPVを稼げるようになってからは、某風俗情報サイト運営者の方からメールで依頼が来て、月3万円でバナー広告を頂くようにもなりました。それに対して運営コストは、レンタルサーバ代が月4200円、ドメイン更新料が年間約800円程度。安いものですよ」  では、前出A氏のような技術者や中小IT企業に動画サイトの運営を依頼してくる出会い系サイト業者の実態は結局…… 「私は、アルバイト情報誌に載っていた『簡単なサイト管理業務』という募集を見て応募したのですが、本当に普通の企業、都内にオフィスに持っていて、IT企業然とした社名を持つ普通の企業なんですよ。うさんくさい業務を行っているからこそ、ボロが出ないように、この業界には珍しく事前に契約書を交わしてくれたり、むしろちゃんとしすぎているという印象さえ持ちましたね」(A氏)  アダルトメディアにも明るい評論家の荻上チキ氏も、このように語る。 「有名リンクサイトの『動画ファイルナビゲーター』の関係者に取材をしたことがあるのですが、本人たちも『自分たち以外はヤクザがやっているのでは』なんて思っていたらしいです。でも、相互リンクした別のアダルト動画サイト運営者と実際に会ってみたら、普通の人で安心したと語っていました。この種のサイトは、『素人がなんとなく始めたら成長しちゃった』というケースも多いんです」 ■「西新宿」「代々木」が無修正仕事の”隠語”
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「初裏」の文字が踊る、カリビアンコムの作品
紹介ページ。「サーバが海外にあるから」という
エクスキューズのもと、こうしたサイトは実にき
ちんとした課金システムを持っている。
 逆に、素人ではとてもではないが運営できないと思われるのが、「カリビアンコム」に代表される「有料・無修正系動画サイト」。国内既存AVがアップされているのではなく、まったく独自の新規撮り下ろしオリジナル動画を定額で配信しているサイトだ。  サイトの見た目もビジネスモデルも「メーカー公認系動画サイト」とほとんど同じだが、問題は配信されるコンテンツが「無修正」だということ。日本国内で正規に購入・レンタルしたアダルトDVDしか見たことのない者が、きちんと日本語表記されたこのサイトで、モザイクなしの無修正動画が普通に配信されているのを見れば、確実に面食らうことだろう。しかも、そこにアップされているのは、モザイクありの作品でも活躍している、現役人気AV女優だったりするのだ……。  日本では違法なはずの無修正ポルノを、なぜ堂々と配信できるのか? それに対するお決まりの返答が「運営会社もサーバも、海外にあるから」。日本の刑法は国内の行為にしか適用されないから……というわけだが、これに対して前出の荻上チキ氏はこのように語る。 「明らかに日本人向けに運営しているわけですから、摘発逃れをずっと続けられるかといえば、微妙なところでしょう。実際、海外サイトの日本版であっても、国内アダルト業界の関係者が現場の制作作業などになんらかの形で関与しているのは確実ですし。これまで日本のアダルト業界は、警察からの天下りを受け入れたり、官憲サイドといろいろな”手打ち”を行ってきました。アダルトサイト業界は、業界としては未成熟で不安定、今後はどうなるかはわかりません。ただ、賢いサイトは、着々と準備を進めていますね」  国内関係者の関与に関して、マニアック情報で知られたが09年1月に惜しまれつつ廃刊したAV情報誌「オレンジ通信」(東京三世社)の元編集長・石井始氏はこう語る。 「カリビアンコムを含むいくつかの無修正サイトのコンテンツは、ロサンゼルスにある『ドリームルーム・プロダクション』という会社が一括して管理しています。おそらくこの会社に出資している何者かがいる。国内有名パチンコ業者のひとつが絡んでいるという話もありますね」  では、こうしたオリジナル動画を実際に制作しているのは、”オモテ”のAV制作に携わっている人たちなのだろうか? 「ええ。一般のAV作品を撮っている制作会社やスタッフが、普通に携わっていますね。たまにAVプロダクションの関係者が『今日は西新宿で女優の面接』とか『代々木に行けば仕事がある』って言うんです。この『西新宿』『代々木』というのは隠語で、どちらも無修正系の制作会社がある場所を指しているらしい」(石井氏)  毎月約20本の撮り下ろし作品を新規に配信しているカリビアンコム。ギャラの高そうな女優も多く起用しており、動画の制作費だけでも1本平均50~60万円、中には100万円以上かける作品もあるという。一方の会員費は、月額49・5ドル~で、今の為替レート(1ドル=約80円)だと日本円で4000円程度。現在までの累計会員数は公称300万人。いったい、どれほどのカネが動いているのやら……。 ■ビジネスモデルがナゾな完全無料見放題サイト
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動画サイト運営のバランスシートはコレだ!!
1日100万PVともいわれる「動画ファイルナビゲーター」程度のサイトを例に例えた。アダルト動画サイト
関係者によれば、サイトのPV数によっては、これを越える収入をはじき出すことは実にたやすいことだという……。
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写真左上から時計回りに、DMM、カリビアンコム、
FC2、トリプルエックスの、各アフィリエイトシ
ステム紹介ページ。他サイトにアフィリエイトと
いうエサを振りまいて、集客力の底上げを図って
いるわけだ。
 カリビアンコムなどと同様、どう見ても日本のサイトなのに、無修正動画を配信している有名サイトがある。YouTubeのようにユーザーがアップする方式で、修正・無修正を問わず、多くのアダルト動画が視聴できる「FC2動画」だ。  運営企業であるFC2は、ライブドアやアメーバを抑え国内トップの訪問者数を誇る「FC2ブログ」をはじめ、各種ウェブサービスを展開する有名企業。他方で、ある日本人の兄弟が運営しているといわれながら本社はラスベガスにあったりと、謎の多い会社でもある。FC2と付き合いのある広告代理店社員C氏は、その実態についてこう話す。 「大阪に、『FC2の日本代理店』を名乗る『株式会社ホームページシステム』なる会社があって、そこが実質的に業務を行ってます。日本人スタッフと、電話やメールで普通にやり取りしてますよ」  実は今回、取材班も同社に取材依頼をしたのだが、非常に堅い文面で丁重にお断りされてしまった。このFC2動画は基本的に無料のサイトなのだが、ではその収益構造はどうなっているのか? 「この手の動画共有系のサイトは、極端にいえばサーバ管理費だけで運営できるんですよ」(C氏)  FC2はサーバそのもののレンタルも業務として行っている企業だから、サーバ管理はお手のもの。「場所は用意するから、あとは好きにしてね」と放置しておけば、アフィリエイト目当てのユーザーが勝手にコンテンツをアップしてくれる。それがアダルトコンテンツならば集客力は抜群。人が集まれば広告も入る。つまり、ビジネスモデルのひとつが広告収入だというのは見えてくる。  またFC2動画はユーザーを有料会員登録へと誘導しており、有料会員になれば、より多くの動画を無制限にサクサク見ることができる。広告とユーザー課金の両輪で賢く稼いでいる。それがFC2動画ということのようだ。  最後に、ここ数年で急激に伸びているのが、ユーザーがアップした無修正動画が無料で見放題の、海外発の「動画共有系アダルトサイト」。月間44億PVという驚異的なアクセス数を誇り、先ごろ日本語版も開設された「XVIDEOS」は、その代表格だ。こうしたサイトは、課金もなければ広告も数えるほどで、どうやって儲けているのかまったくのナゾ。膨大な数の動画が日々アップされている点を考えるだけでも、そのデータ容量と転送量の管理にかなりのコストがかかるのは容易に想像できる。 「例えば『メガアップロード』【編註:12年1月、著作権侵害の疑いでFBIの捜査が入り、閉鎖されたファイル共有サイト。違法音楽ファイルからアダルト動画まで、ありとあらゆるものがアップされており、運営企業の所在地は香港となっていた】は、東南アジアで現地スタッフを大量に雇い、メンテナンスやサイト構築作業をさせていました。日本でも海外にサーバを持つエロサイトは多いですが、サーバ代も人件費も安く、著作権などに関する法律も未整備な国外を活用するというのは、日本以外の国のアダルトサイトでもやられています。こうした手法を、XVIDEOSも使っているのかもしれない」(荻上氏)  エロ動画サイトのユニクロ化、といったところだろうか。この種のサイトの収益構造については、XVIDEOSの日本窓口の代表者なる人物とも面識があるという前出C氏の、こんな説もある。 「聞いた話では、XVIDEOSはあくまでも動画を『収集』するためのサイトで、集まった動画をどこかに流し、なんらかの利益を得ているとか」  ただ、仮にそうだとして、先述した有象無象のパクリ系動画サイトによって無断でリンクを貼られている状況で、そうしたビジネスが成立するのか、やはりナゾだ。しかし、放っておいてもユーザーが勝手にアップしてくれる膨大な量の動画を利用して、我々の想像を超えた、何か別の裏ビジネスが展開されているのかも。やはり、アダルト動画サイトの闇は深い、ということか……。 (文/須藤 輝) 【「サイゾーpremium」では他にもエロ動画サイト探究記事が満載!】国内メーカー公認系からナゾの見放題系まで!! アダルト動画サイト5大ジャンル"性権"を握るDMM.R18──ITと射精産業の健全すぎる愉しいカンケイ小誌ゲイライターが公開剃毛で挑戦!「CAM4」で震災復興支援金を稼げるか?
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命令ならばレイプまがいも権威への従属が招く暴挙

【サイゾーpremium】より 雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。
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『コンプライアンス』 ある日、田舎のファストフード店に警察を名乗る男から一本の電話が入った。警官は、女性店員に窃盗の疑いがかかっていると言い、上司に身体検査を命じる。しかし、この電話はアメリカで10年にもわたって起こっていた「身体検査電話事件」のものだった……。 監督/クレイグ・ゾベル 出演/アン・ダウド、ドリーマ・ウォーカーほか(日本での公開は未定) 「警察官のスコットです」  2004年4月、人口1万2000人の田舎町、ケンタッキー州ワシントン・マウンテンのマクドナルドに警察から電話がかかってきた。 「お宅の店員に財布を盗まれたという人がいるんですけどね」  副店長のドナ・ジーン・サマーズ(51歳・女性)は聞き返した。 「どんな店員ですか?」 「レジにいた、若い女性の……」 「ルイーズですか?」 「そうそう、そのルイーズが、カウンターに置かれた財布を盗んだと」  そんな馬鹿な、とサマーズは思った。ルイーズはまだ18歳になったばかりの女子高生。時給600円で真面目に働いてきた女の子なのに。 「警察に協力してくれ。君が私の代わりに、彼女を身体検査するんだ」 『コンプライアンス(法令順守)』は、アメリカで実際に起こった、この「身体検査電話事件」を再現した映画だ。 「私、知りません」と否定するルイーズを、サマーズは裏の倉庫に連れて行き、ドアを閉めた。ルイーズの制服を脱がし、服の中を調べたが何もない。 「下着はどうした?」警官スコットが電話の向こうで尋ねる。「協力しないと、あなたもルイーズと共犯と見なして逮捕されますよ」  サマーズはルイーズの下着を脱がせ、代わりに店のエプロンを着せた。 「お巡りさん、ルイーズはどこにもお金を隠してません」 「いや。女性には隠せるところがあるだろう。そこを探せ」  この身体検査の一部始終は店内の監視カメラに記録されており、映画『コンプライアンス』は、店名、個人名などを変更しただけで、この事件を忠実に再現している。  警官と称する電話による身体検査事件は、95年から全米各地のファストフード店で起こっていた。  ルイーズは泣き始めた。サマーズはスコットに「これ以上できません。お店も忙しいし」と命令を拒否し始めた。するとスコットは「あなたは結婚してますか?」と言い出した。「いえ、でも、来月結婚する予定です」 「では、その婚約者を呼びなさい」  今度は、サマーズに呼び出された婚約者ウォルター・ニックスがルイーズの検査をすることになった。「彼女はドラッグをやっているかもしれない」と、スコットは言う。「息を嗅ぐため、彼女にキスしろ」彼は言われた通りにした。次にスコットは、ルイーズにニックスのパンツを脱がせてアヌスに指を入れるよう命じた。「従わないなら、ニックスに殴らせるぞ」と脅されて、彼女は従った。  この事件で驚くのは、警官と称する電話に命じられた人々が、泣き叫ぶ女の子に対し、簡単にレイプまがいの行為をしてしまうことだ。04年5月、ファストフード店のコックは電話で指示されるまま、16歳のウェイトレスにオーラル・セックスを強要した。  その理由を説明してくれるのは「ミルグラム実験」だろう。61年、イエール大学の心理学者スタンリー・ミルグラム教授は、ある実験の手伝いを募集した。問題に誤答した被験者に罰として電気ショックを与える仕事だ。回答者が間違えると15ボルトずつ電圧を上げていく。電気が流される度に回答者は悲鳴を上げたが、これは演技で、本当に実験されていたのは「拷問者」だった。驚くべきことに、被験者40人中25人が最大の電圧まで上げた。「これは実験だ」「君に責任はない」と言われると、人はどこまでも残酷になれる。  ユダヤ人を大量に拷問虐殺したナチの士官や兵士たちも、冷酷な怪物ではなく、凡庸な小市民ばかりだった。権威がお墨付きを与えると、人は自分の秘めたる欲望を解放してしまう。戦争や独裁政権下の暴虐の原因はそこにある。それを確かめるため、ミルグラム博士はこの実験を行った。犯人は、この実験を知っていたと推測されている。  次にスコットは、店の掃除夫を呼ばせた。しかし、彼は命令を拒否した。「これは間違っている。彼女に服を着せてやれ」ルイーズは2時間以上の恥辱から解放された。  電話主探しが始まった。いたずら電話はプリペイドカードでかけられていて、追跡は不可能だった。しかし、カードの販売店が判明。警察が店に張り込み、04年6月、ついに犯人を逮捕した。デヴィッド・R・スチュワート。警官志望の看守だった。  ルイーズは、サマーズとニックスを性的暴行で訴えた。彼らは「警官に命令されたと思ったから罪はない」と主張している。コンプライアンス(従順)という無責任。あなたは自分の意志で拒否できるか? まちやま・ともひろ サンフランシスコ郊外在住。『〈映画の見方〉がわかる本』(洋泉社)など著書多数。TOKYO MXテレビ(金曜日23時半~)にて、『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』が放送中。 【「サイゾーpremium」では他にも強力な識者陣が連載中!】【法社会学者・河合幹雄】“役に立たない”監視カメラをそれでも警察が推進したいワケ【宇野常寛】「平家にあらずんば人にあらず」【高須基仁】原発問題に底が抜けている感覚を覚えるこの状況に団塊の世代はなぜ立ち上がらないのだ!?
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なでしこの快進撃や、香川・長友の海外躍進の裏側で……金と利権にまみれた日本サッカー協会の内紛

【サイゾーpremium】より
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『日本は、サッカーの国になれたか。
電通の格闘。』
(朝日新聞出版)
 香川真司、長友佑都が海外ビッグクラブへ移籍、さらに女子サッカーのW杯優勝などで、ますます高まる日本のサッカー人気。それに呼応して金を求める有象無象も群がってきているようだ。特に日本サッカー協会が持つ権力・利権は莫大なものに膨れ上がっているが、そうした裏面は、ほとんど報道されない。今回は、日本サッカー協会に対する批評やサッカー誌記者座談会、かつて日本代表監督を務めたフィリップ・トルシエ監督へのインタビューなどから、昨今のブームの裏にある日本サッカーの現状を読み解く──。 「1992年当初、JFA(日本サッカー協会)の事務所は渋谷にある岸記念体育館の一室を間借りしており、職員は15人。年間の収入は約40億円で、総資産は14億円ほどでした。それから20年を経た今、職員は200人を超え、年間収入は165億円、総資産は20年前の10倍以上と、JFAは大きく成長しました」(『JFA公式サイトコラムより』)  こう語ったのはJFAの会長職をこの6月に退任した小倉純二氏だ。JFAの中でも国際派といわれた小倉氏はFIFA(国際サッカー連盟)の理事を務めるなど、サッカーの普及に努めてきた。彼の功績は結果として、アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本男子代表(ザックジャパン)は2014年W杯ブラジル大会予選で快進撃を続けており、女子代表(なでしこジャパン)もロンドン五輪で銀メダルの快挙を成し遂げた。大仁(だいに)邦彌新会長の新体制になっても、小倉氏は名誉会長として、影響力を発揮すると見られている。 「10年、小倉会長就任直後にザック体制がスタート。ザック体制の5人のイタリア人スタッフに各2名以上の通訳をつけるなど、全面的にバックアップして、支えています。このおかげか、国内の親善試合は毎度満員御礼。満員になると、チケット収入だけで協会には約2億円、またテレビ放映権料は基本的に1試合1億円が協会に入ってくる。運営費用は、5000万円~1億円ですから、親善試合1試合ごとに2億円程度の利益が上がるのです」(スポーツジャーナリスト)  協会の収益も右肩上がり。W杯南アフリカ大会が行われる直前(10年3月期)には142億円(経常利益は9000万円)だった年間収入は、155億円(11年3月期 経常利益は9億円)、165億円(12年3月期 経常利益は14億円)と毎年10億円ずつ増やしている。 「協会の収益の二大柱は、日本代表のスポンサー収入である事業関連収益(12年3月期・47億円)と親善試合の収入などの代表関連事業収益(12年3月期・42億円)です。オフィシャルスポンサーのキリン、オフィシャルサプライヤーのアディダス、サポーティングカンパニーのクレディセゾン、ソニーマーケティング、日本航空、ファミリーマート、三井住友海上、アウディといった数々の企業と、合計して年間数十億円のスポンサー契約を結んでいます。こうしたスポンサー集めには小倉前会長とべったりの広告代理店・電通が動き、利益を上げる構図です」(同)  もちろん、こうした収入も日本サッカーの未来に寄与する支出に回されるのであれば、問題はない。だが、JFAの金の流れには疑問の声が多い。 「10年、日本プロサッカー選手会(JPFA)は協会に対し、代表選手の待遇見直しを要望しました。なにしろ、海外では当たり前の出場給が日本代表には存在せず、日当1万円と対戦相手によって変動する勝利給のみ、国際試合で負傷した場合の選手への補償もないなど待遇が悪い。この見直しを訴えましたが、協会は『相応な報酬を支払っている』として一切聞き入れなかった。しかし、協会には72億7884万円にも上る特定資産があります。企業でいう留保金です。毎年の全収入の50%以上は日本代表の関連収入であるにもかかわらず日本代表へは還元せず、内部にため込んでいます」(同) ■快進撃に隠された、カネのなる木をめぐるドタバタ劇  こうした中、日本サッカー協会の内部は会長をめぐってドタバタ劇が続いている。  世界的には4年に一度のW杯に合わせて、サッカー協会の会長は交代するのが原則とされている。このため、2期4年というのが会長人事の原則。ところが、日本ではここにきて、08年7月~10年7月/犬飼基昭会長、10年7月~12年7月/小倉純二会長、と1期2年で会長が代わるドタバタ劇を繰り返してきた。その裏には、川淵三郎最高顧問の存在が大きいという。 「もともとは川淵が会長時代に地位に固執して、02年から3期6年会長に居座ったことが発端です。川淵氏は、その次の会長職にも自身の影響力を行使しようと、国際派の小倉純二副会長が有力視されるなか、常務理事の犬飼基昭氏を推薦委員会で後継指名。ところが、W杯南ア大会で岡田武史監督の下、日本代表がベスト16に進んだにもかかわらず、犬飼氏の手法が協会内で強引だと問題視されると、一期で切り捨てた。会長を務めた人間はその後名誉会長を務めるのが通例でしたが、犬飼氏には名誉会長に就かせなかったほどでした。犬飼氏の後任には、本来なら定年を迎えて就任できない小倉氏を、FIFAの理事を務めている場合は就任できるという日本協会の規約を利用して会長に据えたのです」(スポーツ紙記者)  そこで就任したのが現会長の大仁邦彌氏だ。 「『機を見るに敏。でも仕事はできない』というのが業界評。本人も就任記者会見で『私は第2(ダイニ)会長です。ほかに第1会長がいるのでは……』と笑えないジョークを飛ばしたほどですから(苦笑)。98年7月には強化委員会の委員長として岡田監督の後任にトルシエ監督を招聘した担当者でしたが、トルシエの言動が協会から問題視されるとすぐさま距離を置くようになった。また、かつては慶應義塾大学、三菱サッカー部(三菱重工所属)で先輩だった犬飼会長にベッタリでしたが、就任前の会長人事の際に、川淵派の反発で犬飼氏に会長再任の可能性がなくなるや、同派に寝返り、不信任を突きつけたのです」(同)  今回の人事は、川淵氏が次期会長候補として念頭に置いている田嶋幸三副会長へのつなぎとしての就任と見られているという。  こうした協会は12年4月、財団法人から公益財団法人に移行した。公益財団法人となると、協会の事業は「サッカー普及活動」という公益目的である限り、非課税になる。社会的に優遇を受けることになるのだ。これまでは役員の報酬なども非公開だったが、徹底した情報公開が求められるだろう。  10年8月以来、快進撃を続けるザックジャパンの陰に隠れているが、次の会長選はW杯ブラジル大会直前の14年3月だ。そのときには協会内の内紛劇も日本代表同様に熱く、話題になっているかもしれない。グレーゾーンが多く、しかもますますその利権が拡大しつつある日本サッカー協会を、ジャーナリストや関係者、そしてフィリップ・トルシエ元日本代表監督の論から、現状を読み取っていこう。 (文/松井克明) 【「サイゾーpremium」では他にも日本サッカー協会の裏側に迫った記事が満載!】作家・佐山一郎がJFAへの「違和感」を批評! JFAハウスにいまだ漂う「二大革命」の逆説協会に抹殺されたジャーナリストも――「圧力」と「赤字」まみれのサッカー関係者匿名座談会「投資やビジョン、育成に批判の余地はない」あのトルシエが日本サッカーをホメ殺し!?
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弔問金総額約39億円!? 統一教会・文鮮明の超荘厳な葬儀に潜入!

【サイゾーpremium】より
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(写真/酒井 透)
 9月15日、亡くなった世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創始者・文鮮明の葬儀が、清心平和ワールドセンターで執り行われた。 『文鮮明 天地人真の父母天宙聖和式』と題された葬儀には、世界中から3万5000人が集結し、その死を嘆き、共に悼みを分かった。  今回、公式に撮影を許可されたカメラマンの酒井透氏は「教団内部には、タッチパネル式のタブレットやLG製の巨大な液晶テレビがそこら中にあるなど、かなり近代化している印象でした」と語る。  韓国本国では、日本のようにカルト教団という印象はなく、飲料メーカーを経営する財閥のひとつとしての認識が一般的だ。  だが、統一教会といえば、霊感商法などが問題となり、日本では今でもカルト教団として認知されている。教会の動向について取材を続けるジャーナリストの鈴木エイト氏は「09年に同教会の関連企業『新世』が霊感商法で摘発されて以来、表立った霊感商法はしないよう通達が出たようです。ただ、正体を隠した家系の講習会として、新たな形で献金を集めているようです」と現状を語る。  この近代化した施設が、事業が成長した結果なのか、それともお布施で成り立つのか……。偉大な創始者が亡くなり教団はどう変わっていくのだろうか? (編集部) 『文鮮明』 1920年生まれの韓国の宗教家。世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創立者。 9月3日に92歳で死去した。教会では「天地人真の父母様」と崇められている。 【サイゾーpremium限定写真はコチラから】 【「サイゾーpremium」では他にも宗教団体の裏側に迫った記事が満載!】信者5万人で500億の集金も可能!? ぶっ飛び巨大宗教建築をめぐるカネと思想と建設会社の腹の底教育改革は宗教から始まった? 歴史から見る宗教と教育の深~いカンケイ有名マンガ家が描いた隠れた名作・力作が勢ぞろい! この「宗教マンガ」を読め!
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