東京・渋谷区内の美容室「navile原宿」の男性スタッフが、ヘアサロンのスタッフ予約アプリ「minimo」で、女性客に顔写真を送らせ、顔のランクによって施術メニューを決めているとして、SNSで大炎上が巻き起こった。
このスタッフは、「正直に書きますが、このメニューで、施術可能になるには かなり審査レベルは高いです」と前置きをして、「sランク 全て無料」「Aランク カット、カラー全般、トリートメント」「Bランク カットカラートリートメント」「cランク カット、ワンカラー<モデル料金>1000円」「Dランク カットのみ」(原文ママ)と提示。
とあるTwitterユーザーが、この文面をスクショした画像とともに「美容師に顔ランクSからABCDまで付けられるの死なない??笑」とツイートすると、一気に拡散され、「ひどい店」「顔にランク付けるなんて気持ち悪い」などと批判が噴出したのだ。
これを受け、男性スタッフは「お客様を見た目で判断する様な対応をしてしまった」として、オーナーとともにTwitterで謝罪。しかし、クレームがやまなかったようで、オーナーは再び謝罪を行い、一部取材に対して、顔のランク付けは「一般客にではなく撮影モデルなどになる人」への行為だったと弁明したのだった。
「きれいになるため、可愛くなるため」に美容院を訪れる人も多い中、事前に美容師から顔をランク付けされるとあっては、不快感を抱かざるを得ないだろう。今回の件はかなり異例だが、美容院にて、仕上がり以外で“モヤッ”となったことがある人は、少なからずいるのではないだろうか。
その一つとして挙げられるのが、施術中に渡される雑誌だ。「結婚してないのに、主婦向け雑誌を渡された」「上の世代のファッション誌を持ってこられた」「週刊誌っておばさん認定?」などなど、ネット上には、美容院と雑誌をめぐる“モヤッ”と体験に枚挙にいとまがない。
果たして、「お客様に渡す雑誌」には何らかの基準があるのか? サイゾーウーマンでは過去、現役美容師に取材を行っていた。その真相を知ることで、少しでも美容院でモヤモヤする人が減るようにとの思いを込め、今回、同記事をあらためて掲載する。
(編集部)
(初出:2018年7月5日)
「週刊誌=おばさん認定」は本当か? 現役美容師が「お客様に渡す雑誌」の裏側を暴露
「先日から通ってる美容院が雑誌廃止してiPad Proでdマガジンを読ませてくれるようになったんだけど、美容師さん側も気遣わなくてよくなったし、お客さんも200誌以上の中から好きなものを読めるって喜んでるからdマガジンにしてよかった…って美容師さん言ってた」
先日Twitter上で、“美容院で渡される雑誌”に関するツイートが話題を集めた。ほとんどの美容院では、お客さんが施術中に暇をしないようにという配慮からか、ファッション誌やグルメ誌、週刊誌といった雑誌が渡される。自分とは趣味趣向の合わない雑誌、読者層が違う雑誌を渡されると、モヤッとしてしまうことも少なくないが、このツイート主によると、通っている美容院が雑誌を廃止して、200誌以上の最新号が読み放題のサービス「dマガジン」を導入、お客さん側が自分の好きな雑誌を選べるようになったという。事実、数年前から、「dマガジン」に移行しているサロンも少なくないだろう。
このツイートが話題になった背景には、多くの人が「美容院で渡された雑誌」に関して、腑に落ちない思いをした経験があるからなのではないだろうか。地方のサロンで美容師をしているAさんは「カウンセリングの際に、『普段読んでいる雑誌は何ですか?』と質問している美容院も多いですが、そうでなければ、お客様の服装や雰囲気、メイクから判断して、その系統のファッション雑誌を、美容師が選んで渡しています」とのこと。つまり、見た目によって「この人はこういう雑誌を読みそう」とジャッジされているというわけだ。
ネット上には「自分より上の世代向けのファッション誌を渡されてショック」「席に、ファッション誌ではなく週刊誌が置いてあったのを見たときは、『あぁ私もババアになったんだ』と痛感した」「独身なのに主婦向け雑誌を持ってこられてムカッとした」などのエピソードも散見されるが、今回、現役の美容師たちに、お客さんに対する雑誌選びの基準や工夫、そして普段は言えない“本音”を明かしてもらった。
前出のAさんいわく、「独身なのに主婦向けの雑誌を渡す、そのお客様より上の年代の雑誌を渡すといったことは、完全に美容師のミス」と指摘する。
「美容師が、雑誌のジャンル、読者層の年代を把握していない、またお客様のことを覚えていないために起きた失敗だと思います。新人だとたまにやってしまうかもしれませんが、実際にお客様からクレームを受けたというのは、ないかなぁ。そんなことしたら、お客様の前に先輩にど叱られるので、『先輩から説教されたことがある』という美容師はいるかも。あと、気をつけないといけないのは、お客様より下の世代の雑誌を渡してしまうこと。以前、40~50代、言い方は悪いですが“普通のおばさん”といった感じのお客様に、赤文字系のファッション誌を渡そうとした美容師がいて、『ちゃんと見て!』と。『若く見られてうれしい』と好意的に受け取ってくれる人もいるかもしれませんが、不快に思われる人もいますから、注意が必要です」
また、新規のお客さんの場合、見た目に加えて、会話の中で「独身か既婚か」「子持ちかキャリアウーマンか」などを聞き出し、それによってその人に合った雑誌を決めるというAさん。2回目以降のお客さんに関しては、朝礼で「お客様情報」の申し送りを行い、「その際には、結婚しているかどうか、といったことも伝えます。もしそのお客様が大好きな雑誌があれば、『絶対にそれを渡してください!』と共有する」そう。施術中、話を振られるがままにプライベートについての話をする人も多いだろうが、意外にも美容師はしっかりとその話を把握しているようだ。
「週刊誌を渡されたら、それで即『おばさん認定』というわけではないです。会話をしている中で、そのお客様がニュースで話題になっている芸能人の話をしたとか? 美容師が『このお客様はゴシップが好き』と思ったら、若い方でも週刊誌を渡す可能性はありますね。見た目だけでなく、会話からも判断していると思ってくれるとうれしいです。あと、私の場合、その人の年齢層に合ったファッション誌を3冊、あとグルメ誌やカルチャー誌などを1冊、計4冊持っていって、選んでもらうようにしています。そうすれば、嫌な思いはさせないかなって」
服装に気を使ってなさそうな30~40代に渡すのは……
都内で美容師をしているBさんも、Aさん同様に「見た目だけでなく、会話の内容も重要」と語るが、新規のお客さんに受付で待ってもらう際に渡す雑誌は、「完全に見た目だけで判断しています」という。
「ただ、うちの場合ですが、お客様と会話をする前に渡す雑誌に関しては、主婦向け雑誌を外すようにしています。失礼に当たるといけないからという配慮で、そういった点に関しては、どの店も気を使っているんじゃないでしょうか。『独身なのに主婦向け雑誌を渡された』という場合は、かなり落ち着いた雰囲気が出てたってことだと思いますけどね」
またBさんは「言い方は悪いですが……」とことわった上で、「私は30~40代で、服装に気を使ってなさそうなお客様には、無難に『東京ウォーカー』(KADOKAWA)とかの情報誌をベースに、そこにその方の年代のファッション誌を加えて持っていくことはあります」と本音を覗かせる。
「逆に『美容院=オシャレ』な場所と思って、背伸びしたファッションで来るお客様も多いんですが、それは避けた方がいいかも。一番好きなジャンル&等身大のファッションでご来店してもらった方が、雑誌だけじゃなくて、髪形やヘアケアの提案までまるで違ってきます。普段通りの格好で来てほしいなと思います」
ネット上には「この雑誌を渡されてショックだった!」というエピソードが数々飛び交っているが、「むしろ新人でもないのに、雑誌選びを間違える美容師はヤバい!」と語るのは、都内近郊のサロンに勤めるCさん。
「美容院ごとにそのお店の雰囲気というものがあります。幅広い雑誌を置いているところもあると思いますが、それなりにお店の雰囲気に合った雑誌を置いているのでは。お客様側も、最近は、美容院のホームページや美容師のSNSを見て、お店の雰囲気を知った上で来店する方が多いですから、それで雑誌を外すっていうのは、あまり起こらないと思うんですよね。なのに間違えるのは、美容師がどうかしてると思っちゃう(笑)」
話題になったツイートでは、dマガジンに移行したことで、「美容師さん側も気遣わなくてよくなった」とあったが、Cさんは「雑誌選びが面倒くさいなぁとは思わないですよ、少なくとも僕は」と語る。美容師は、お客さんの雰囲気を読み取ってヘアスタイルを提案していくというのも仕事の1つだけに、どんな雑誌が好まれるのかを見抜くのも美容師としての“目”が問われるのかもしれない。
来店する側からすると、「どの雑誌を渡されるか」「自分は他人にどう見えているのか」は気にしてしまうところだが、「それは違う」という雑誌だったとしても、美容師が間違えただけと軽く受け流した方がいいのかもしれない。