大の犬好きとして知られるイギリスの王室メンバーたち。イギリス王室が所有する美術品コレクション「ロイヤル・コレクション」には、歴代の王室メンバーたちに愛されたペットの貴重な写真がたくさんあるが、そのほとんどが犬だ。
エリザベス女王の高祖母に当たるヴィクトリア女王は、愛犬たちを自分の墓場に埋葬し、墓碑銘も刻んだほど溺愛していたが、エリザベス女王も30匹以上の犬を飼育してきた愛犬家。亡くなった犬たちは、サンドリンガム・ハウスに墓碑銘をつけて埋葬している。
イギリス王室のメンバーは多いが、猫派はエリザベス女王のいとこマイケル・オブ・ケント王子の妻、マリー=クリスティーヌ妃だけだと報じられるほど、犬好きばかりなのである。
今回はそんな英国のロイヤルペットたちをご紹介しよう。
キャンディ ~エリザベス女王の愛犬~
両親が犬好きで、子どもの頃から犬に囲まれて育ってきたエリザベス女王は大の犬派。18歳の誕生日にプレゼントされたウェルシュ・コーギー・ペンブローク(以下、コーギー)のスーザンは、フィリップ殿下との新婚旅行にも同行したほど。女王はスーザンがきっかけでコーギーの交配を始め、コーギーたちに専用の部屋や特注のベッドを与え、シェフが作った料理を食べさせ、クリスマスには一匹ずつプレゼントをあげるなど、溺愛してきた。
コーギーたちにはモンティ、スーザン、ホリーなど王室のペットとして伝統的な名前をつける一方、キャンディ、シュガー、フォクシー、ハニーなど庶民的な名前もつけ、話題になった。国民からも愛されたコーギーたちは、女王と共に国内外のさまざまな雑誌の表紙も飾ってきた。
ホリーとウィロウは、2012年のロンドンオリンピック開会式に、女王、ダニエル・クレイグと共にビデオ出演したことで一躍有名に。ホリーは16年、ウィロウはがんのため18年に安楽死させられ、スーザンの血を引くコーギーはいなくなった。そして、女王は愛するペットを残してこの世を去ることは避けたいとして、交配をやめると発表した。
女王は、マーガレット王女が飼っていたダックスフントとのピプキンと、女王のコーギーが交配したことにより誕生したドルギ犬もかわいがっていた。コロナ禍においては、ドルギ犬のバルカンとキャンディが女王の心の支えになっていたとされている。
バルカンは、昨年12月に死去。現在、女王のもとにいるのはキャンディだけとなっている。
首相官邸のねずみ捕獲長ラリーの出身シェルターとして知られる、バタシー・ドッグス・アンド・キャッツホームから12年に2匹のジャック・ラッセル・テリア犬を迎え入れ、ブルーベル、ベスと命名したカミラ夫人。
チャールズ皇太子も2匹をかわいがっており、15年にスコットランドのダンフリーズ・ハウスで開催されたドッグ・ショーに一家で出席。コンテストに参加したベスは賞を獲得し、大きな話題となった。
昨年4月の結婚15周年の記念日には、スコットランドのバークホールで、椅子に座り、それぞれが愛犬を抱っこするというレアな写真を公開。カミラ夫人が珍しくジーンズをはいていたことも話題になったが、チャールズ皇太子のぎこちない抱っこの仕方もおもしろいとネットを騒がせた。
チャールズ皇太子だが、公務で動物と触れ合う姿が「とてもうれしそうで、素で楽しんでいる」とたびたび話題になっており、動物好きとして知られている。
ルポ ~ケンブリッジ公爵家の愛犬~
ウィリアム王子とキャサリン妃が結婚式を挙げた11年のクリスマスに、キャサリン妃の両親からプレゼントされたコッカー・スパニエルのルポ。
2人が第一子出産前、名前選びに迷い、候補の名前を紙に書いて床にまき、ルポに選ばせたところ、「ジョージ」という紙を選んだ──など、ケンブリッジ公爵家には欠かせない存在となっていた。
命名した責任感からか、ルポはジョージ王子をお守りすることに熱心な忠犬で、王子もルポをとてもかわいがっていたと伝えられている。
残念ながら昨年11月にルポは他界。今年に入り、ルポが亡くなる数カ月前、キャサリン妃は、弟ジェームズ・ミドルトンが飼育しているルポの妹ルナが出産した子犬を迎え入れていたことが明かされた。ルポの甥っ子/姪っ子に当たる子犬の名前や姿はまだ公表されていないが、家族の一員として大切に育てられていることは間違いないとみられている。
16年5月、ハンプトン・コート宮殿に新設されたプレイグラウンド「マジック・ガーデン」を訪問した際、遊びに来ていた子どもたちに、「我が家の犬は元気よ。小さなハムスターも飼っているの」「シャーロット(王女)の大のお気に入りで、ヒゲで顔をくすぐられるのを楽しんでいるのよ」と伝えたキャサリン妃。
王室がペットとしてハムスターを飼うのは珍しく、また「マーヴィン」という素敵な名前も大きな話題に。イラストレーターがマーヴィンを擬人化したSNSアカウントを立ち上げ、グッズまで販売されるなど盛り上がった。
ハムスターの寿命は約2年と短いが、17年2月、サウス・ウェールズの青少年センターを訪問したキャサリン妃は、10代の子どもたちに「犬もハムスターも元気」だと話していた。
マーヴィンが今も生きているとは考えにくいが、キャサリン妃は幼い頃「ソルト&ペッパー」と名付けたモルモットを飼っていたこともあるため、新しく小さなペットを迎え入れている可能性もあるのではとささやかれている。
ドティ ~アン王女の愛犬~
イギリス原産のブル・テリアを愛し、繁殖していることで知られるアン王女。ブル・テリアは、のっぺりとした愛嬌のある顔をしており、忠誠心が強い犬種だが、闘犬気質があることでも知られている。
アン王女はたくさんのブル・テリアを飼ってきているが、闘犬気質が特に強かったドティという愛犬には苦労させられた。ドティは、02年、公園で2人の子どもたちを攻撃。王女は裁判所に出廷し、罰金500ポンド、損害賠償金250ポンド、公共の場では犬をリードにつなぎ、ドティに訓練を受けさせることを命じられ、王室メンバーで初の犯罪歴を持つことになった。
殺処分は逃れたドティだが、翌年、エリザベス女王が飼っているコーギーの1匹、ファロスとけんかになり、重傷を負わせてしまった。ファロスは王室の獣医の治療を受けたが、致命傷を負っており、安楽死させられたと伝えられている。女王は89年にも、母親であるエリザベス王妃クイーン・マザーの愛犬にドッジーの1匹を殺されたことがあり、さぞかし悲しんだだろうと話題になった。
メイドにも攻撃したため、動物心理学者の治療も受けたドティ。王室一のトラブルメーカーとして、歴史にその名を刻んだ。
ヨーク公アンドルー王子一家のノーフォーク・テリア。セーラ・ファーガソンとの娘たちである、ベアトリス王女とユージェニー王女がかわいがっていることでも知られる。
ジャックはユージェニー王女のお気に入りの愛犬だとされるが、彼女が長年交際し、18年10月にゴールインした夫の名前もジャックだと話題に。結婚披露宴でアンドルー王子がスピーチをした時、犬と婿の名前が同じだとネタにして、会場を沸かせたこともあった。
犬たちは18年、王女たちと共に英版「Vogue」に登場。撮影中にベアトリス王女のフリルにおもらしをしてしまったという逸話もある。
ちなみに、一家はオレンジというノーフォーク・テリアも飼っていたが、2019年にウィンザーグレート・パークで毒性のある植物を食べ、亡くなってしまった。
ガイ&プラ ~ヘンリー王子とメーガン・マークルの愛犬~
メーガンが15年、当時テレビドラマの撮影のため住んでいたカナダのトロントで開催された譲渡会で引き取ったビーグル犬のガイ。メーガンはラブラドール・シェパードのボガートという犬も飼っていたが、老犬だったため、長時間のフライトには耐えられないだろうと判断し、ガイだけを連れて王室に嫁入りした。
ガイは新しい環境にすぐになじんだようで、2人の結婚式の朝、エリザベス女王と一緒に車に乗っている姿がパパラッチされた時には、「すでにロイヤルの雰囲気が漂っている」と話題に。18年には『His Royal Dogness, Guy the Beagle: The Remarkable True Story of Meghan Markle’s Rescue Dog』という、ガイが主人公の絵本まで発売された。
犬好きなメーガンは18年8月にヘンリー王子と、黒色のラブラドール・レトリバーを迎え「プラ」と命名。ツワナ語で「雨」という意味で、2人が初めてバケーションをするなど特別な国であるボツワナ共和国で「恵み」とされているもの。特別な思いを込めて命名したことが話題になった。
昨年3月末に王族から離脱し、カナダ、アメリカへと住まいを移してからも2匹は一緒で、長男アーチーの良き遊び相手になっているようだ。
【番外編】ニンゲン ~愛子さまの愛猫~
日本の皇室でもペットが飼われている。現在、セブンという猫を飼われている愛子さまは、初等科4年生だった時に初めて飼われた猫に「ニンゲン」と名付けたと伝えられている。
独創的な名前の由来は、「人と人の間に入り込むから」や「人間らしいしぐさをするから」説があり、子どもならではのユニークな発想だと話題になった。猫は親子で東宮御所に迷い込み、親のほうを「ニンゲン」、子どものほうは「ミー」と呼び、かわいがっていたとのこと。「ミー」は、祖母である美智子さまにちなんでいるのではないかという大胆な説もある。
ニンゲンは、16年に亡くなり、その後、動物病院から「セブン」を譲渡してもらったとのこと。幸運の数字「ラッキーセブン」にちなんで命名されたと伝えられている。
映画版『キャッツ』のチャリティー試写会に出席し、愛猫の写真をトム・フーパー監督に見せたり、主演したフランチェスカ・ヘイワードと猫の話で盛り上がったと伝えられている愛子さま。「由莉(ゆり)」という犬も飼っており、ペットたちをとてもかわいがっていると伝えられている。