今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。

年末年始ともなると、会社勤めの人たちは忘年会や新年会で忙しくなるが、普段、育児に没頭しているママたちはどうなのだろうか。ファミレスや子連れ可のカフェなどで、ママたちがランチ会を開いているのはよく見かけるものの、やはり夜に開催される忘年会や新年会への参加は制限されることが少なくないようだ。しかし、そんな中でも、ママ同士で年末年始の夜間に集う機会を設ける人もいるという。
個室まで予約した忘年会にドタキャン! 立て替えに悲鳴
佳代子さん(仮名)は、都心部で夫と4歳になる息子と暮らしている。少子化が進んでいるため、近隣の小学校は、1学年1~2クラス編成。保育園での人間関係が、そのまま小学校にまで持ち上がるというウワサを聞き、ママ同士の交流を深めたいと思ったそうだ。
「家庭ごとに迎えの時間がバラバラなので、送迎時にほとんど顔を合わせたことのないママもいました。運動会などで、それまで交流のなかったママと個別にLINE交換を行い、グループチャットに招待したんです。ある程度、クラスのママさんが揃ったんで、『今年は、忘年会をやらない? 』と呼び掛けてみました」
結果的に、幹事を引き受けることになったという佳代子さん。しかし、そこで思わぬトラブルが起きたそうだ。
「今はLINEのイベント機能のおかげで、忘年会の出欠も簡単に取ることができ、すごく便利になったなぁって感心していたんです。ママ友同士の忘年会にあこがれていたので、張り切ってキッズルームがある居酒屋を予約しました。でも、当日の朝になって、チャットに通知マークが表示されており、おそるおそる見てみると、『下の子が急に熱を出したので欠席します』という連絡が2件も……。急病は仕方ないので、『店に連絡するから大丈夫』と返信しました。こういう時にきちんと連絡をくれるママは、個別に『もしもキャンセル料が発生したら払うね』と言ってくれて、ホッとしました。問題は、当日、何の連絡もなしにドタキャンしたママがいたことなんです……」
忙しくて連絡ができなかったのかもしれないが、その背景には、ドタキャンしたママと自分の関係が希薄であることも関係しているのでは、と佳代子さん。というのも、保護者同士の活動が活発な幼稚園とは違い、忙しいワーママを中心とした保育園では、特定のママ友以外とはほぼ交流がないまま、数年が過ぎてしまうこともあるようだ。
「ママ友の約束って、信頼関係で成り立っているのだなって、あらためて実感しましたね……。グループチャット上でのやりとりだけでは、ダメだったんだって。ドタキャンしたママの分は、私がいったん立て替えました。その後、トラブルにならないように、仲が良いママに相談し、みんなでドタキャンしたママに、『〇円かかったので、払ってもらえますか?』とお願いすることに。私一人だったら、泣き寝入りしていたと思うので、味方になってくれるママがいてよかったって思いました」
こうしたママ友同士の支払いトラブルは、ホームパーティーでも起きがちだという。関東近県にある幼稚園に、5歳になる娘を通わせている良子さん(仮名)は、あるママ友が原因で、ホームパーティーが苦手だという。
「娘同士の仲が良いママ友数名と、クリスマスパーティーをしたんです。下の子がいるママもいたので、最初は公民館やカラオケボックスなどを借りることを考えたのですが、グループチャットで相談したところ、ママ友のSさんが『お金がかかるのはもったいなから、よかったら家においでよ』と強めに申し出てきました」
忙しいママたちは、ホームパーティーに市販のピザや総菜などを持ち寄るケースが多いという。しかし、なかには「手料理を振る舞いたいがために、自宅に招くママもいる」と良子さんは語る。
「Sさんがまさにそのタイプ。彼女は料理に自信があり、よく手料理をSNSなどでアップしているんです。市販の菓子などは買わない主義で、ケーキやクッキーも手作りなのが自慢。もちろん、パーティーでも彼女が作った料理や、シフォンケーキが用意されていました」
ホームパーティーでは、「訪問先のルールに従わなければならない空気がある」とい良子さん。
「しつけに厳しいSさんは、子どもが小学校に上がるまでジュースを禁止にしていると言っていました。うちの娘が、喉が渇いたと言ってジュースを飲んでいたら、Sさんの娘も飲みたがったんですが、Sさんはそれを許さず、『うちはストイックなの』とピシャリ。なのに、自分はワインや発泡酒を飲んでいて……。すごく羨ましそうにするSさんの娘を見たら、『押しつけ型のしつけはよくないのでは……』と思いましたね」
良子さんたちは、訪問先に気を使って、手土産や飲み物を持参していった。しかし、パーティー終了後、グループチャットで、思いもよらぬ事態が発生したそうだ。
「内訳も知らされぬまま、『材料費1人1,500円でお願いします』というメッセージが届いて、なんだかモヤモヤしてしまいました。子ども同士の仲は良いですが、そこまで親しくない間柄で、手料理を振る舞われても、そこまでうれしくもなかったですし、なんだかなぁと思いますよ。しかも、後日SさんのSNSを見たら、意気揚々と当日の料理をアップしていて、『10年使っていた岩塩がやっと使い切れた』って書いていたんです。そんな古いものを使った料理を出すなんて非常識だなと感じ、ほかのママ友たちにもメッセージを送りました。『次は別の場所でやろう』って返信がきて、ホッとしましたね」
都下にある大型幼稚園に6歳になる息子を通わせ、家で2歳の娘を見ている真由子さん(仮名)。もともと引っ込み思案な性格で、人付き合いは苦手だというが、年に一度のママ友との忘年会は楽しみにしていたという。
「上の子と同じクラスのママたちと、毎年、子連れで忘年会を行っています。普段は遅い時間に出かけられないけれど、この日はパパも『ゆっくりしてきなよ』と言って、まだ2歳の下の子の面倒を見てくれるので、久しぶりにお酒が飲めるんです(笑)」
真由子さんのように、“ママ友との飲み会”であれば「遅くなってもよい」というルールの家庭もあるようだ。
「今年は、忘年会の終わり頃に、息子が『カラオケボックスに行きたい』と言い出したんです。よく聞いてみると、今まで仲が良いママとその子どもたちだけで、忘年会の後に二次会に行っていたらしく、息子は友達からその話を聞いたそうなんですよね……。私は下の子が家にいるので、遠慮されていたのかもしれないですが、どうやら私が招待されていないママさんのグループチャットもあるみたい。今まで仲が良いと思ってたママさんたちに急に距離を感じ、まるで仲間外れにされたような気分になりました。私も入っているグループチャットで、一言、『二次会に行きたい人』って聞いてくれたらいいのに」
LINEのおかげで、予定を立てやすくなり、子連れでの飲み会なども成立しやすくなった。しかし、意思疎通がおろそかになっている面も否めない。LINE上では普段以上に、相手を気づかうことで、ママ友関係も円滑に回せるのかもしれない。


