嵐がプライベートジェットでアジア4カ国を回るプロモーションツアー『JET STORM』を、11月10・11日に行った。各国で現地のファンに歓迎される5人の姿は、同3日に開設されたばかりの嵐公式SNSで見ることができ、国内にいてもその盛り上がりが感じられた。
2020年には北京でのコンサートも予定しており、これを機に“海外遠征”を考えているファンも少なくないようだが、ネット上には「行ってみたいけど、わかんないことだらけで心配」「英語しゃべれないし無理!」「国内ならいいけど、海外は気軽に行けない」など、消極的な声が見受けられる。しかし本当に、海外遠征は「気軽に行けない」のだろうか? “推し・担当”のために何度も海外へ行っているというK-POPファン、サッカーファンに、予算や“旅行”との違い、海外のチケット事情などを聞いた。
【座談会出席者】
カナコさん……アラフォー、既婚。K-POPアイドルにハマり、韓国に数えきれないほどの渡航歴アリ。2009年頃、洋楽好きな友達の勧めでK-POPを聴くようになり、その後、現在の推しが韓国でデビュー。13年頃に「この子しかいないっ!」と開眼してから、頻繁に遠征するようになった。なお、“推し”の名前は非公開。
しんいちさん……1974年生まれの45歳、既婚。サッカー日本代表や、Jリーグチーム・FC東京のサポーターとして海外に遠征。95年に「アンブロ・カップ」という国際親善大会のため、“聖地”と呼ばれるイギリスのウェンブリー・スタジアムに行ったのが初めての海外遠征。アニメやゲームも好きで、海外で行われる「アニメコンベンション」に参加することもある。
「行けばよかった!」の後悔が“遠征オタク”の道へ
――いきなりですが、カナコさんは今日これから「韓国へ旅立つ」とか……?
カナコさん そうなんです(笑)。今回の遠征は、韓国軍がやっているミュージカルを観劇するためで……。
――軍!? いきなりすごい単語が出てきましたね。韓国軍が舞台制作をしているってことですか?
カナコさん そうです。今、韓国軍は「韓国最大の芸能事務所」っていわれていまして。K-POPブームで大人気だったアイドルが、ちょうど今、兵役の年齢を迎えているんです。広報のために舞台制作や芸能活動のようなこともしていて、オーディションで選ばれた兵士が舞台などに出演しています。特に今回のミュージカルは、出演者に結構有名なK-POPアイドルの名前がたくさん並んでいて、チケットがすぐ完売してしまったんです。
しんいちさん へえ~……全然知らない世界ですね……。
――しんいちさんがサッカー観戦を始めたのはいつでしたか?
しんいちさん 1993年のワールドカップ予選、国立競技場で行われた、日本対UAE戦ですね。Jリーグが発足した年ということもあり、サッカー自体がすごく盛り上がっていた頃でした。それまでは、全然サッカーを見たことがなかったんですけど、試合の面白さはもちろん、スタジアムでの応援のスタイルを知ったら、すごく楽しくて。そこからハマってしまいました。
最初のうちは、海外までサッカー観戦に行くなんて、考えもしませんでした(笑)。でも、そのあと俗に言う「ドーハの悲劇」というやつがあって。僕は日本のスポーツバーで仲間たちと中継を観ていたんですけど、日本が試合に負けたときに、「ああ、行けばよかった!」って後悔したんですよ。勝つにしても負けるにしても、「その場にいたかった!」って思ったことが、海外遠征のきっかけですね。
「入国理由」をキッチリ言えないと、大変なことに!?
――お二人とも、かなりの回数渡航されていると思うのですが、トラブルに巻き込まれてしまったことはありますか?
しんいちさん トラブル……。まあ、何かあったら今ここにいませんからね(笑)。
カナコさん 確かに(笑)。私もほとんどないですけど、やっぱり荷物検査で“ペンライト”が引っかかると嫌ですよね。「これ何?」って聞かれたりするの、恥ずかしいんですよ(笑)! あとは、頻繁に韓国へ行っているので、入出国の理由を怪しまれます。一度、帰国したときに「こんなにしょっちゅう韓国に行って、何してるんだ? 仕事じゃないよね?」って質問されたことがありますね。そのときは、相手の言い方もなんかムカついたので、正直に「韓国のアイドルにハマってるんです!」って、開き直りましたけど。
しんいちさん それ、僕もあります。これはサッカーとは関係ないんですけど、アトランタで開催された「アニメコンベンション」に行ったとき、入国時に「何をしに来たんだ?」って聞かれたので、「『アニメコンベンション』のために来た」って言ったら、「はあ!? 何言ってるんだ?」って反応されて。「アトランタに来たら、普通はコカ・コーラかCNNか、マーティン・ルーサー・キングの墓へ行くに決まってんだろうが!」って(笑)。不法就労を疑われる場合もあるから、入国理由は明確にしておいたほうがいいですね。実際に行く予定はなくても、主要な観光地ぐらいは押さえておいたほうがいいかも。
――海外遠征でハードルになることって、なんだと思いますか?
カナコさん 問題は“お金と時間”ですよね、あと“体力”。これをそろえることが、最低限の条件ですかね?
しんいちさん そりゃ、アマゾンの奥地へ行くとなれば話は別でしょうけど、都市部ならパスポートとお金、スマートフォンさえ持っていたら、なんとかなりますよね。今は航空券やホテルの手配も、すべてインターネットでできますし、そういった点でも気軽に海外へ行けるようになったと思います。
カナコさん 遠征する人って、もともと“旅行”に対するハードルが低いような気もします。なので、結構すぐに「あ、海外でもなんとかなるわ」って気づくのではないでしょうか(笑)。
――体力が必要ということになると、「だいたいこのくらいの年齢が海外遠征オタクの限界」と考えたりしますか?
しんいちさん 明確な年齢は考えてないですね。体力とお金が続く限りは、海外までFC東京を追いかけると思います。「行かなくてはならないのなら、必ず行く」という気持ちなので。
カナコさん 私も年齢のことはあまり考えないんですが、さすがに若いときに比べると、体力に“陰り”が見え始めてます(笑)。周囲に迷惑をかけずに、見苦しくない感じで続けていければいいな、と思ってますね。若い人ばかりのイベントは、さすがにちょっと遠慮しようかな……という感じですが。
「海外まで行く必要あるのか」という声には……
――ちなみに、お二人がこれまでに行った遠征の中で、一番お金を使ったのはどんな現場ですか?
しんいちさん 僕はやっぱり、最初に行ったイギリスです。2週間近く行っていたこともあり、30~40万くらいかかりましたね。まだ20歳そこそこの頃だったので、かなり頑張ってためました。でも、今考えたら結構安く済んでると思います。主な目的はサッカー観戦だから、スタジアムへ行って、ごはんを食べて帰ってくるだけなので、そんなにお金使わなかったのかな(笑)。このときもそうですが、基本的に遠征へ行ってもお土産は買わないんです。
カナコさん 私はサイン会のために、同じCDを何枚も買ったときですね。グループにもよりますが、そのときは韓国への旅費込みで30~50万くらい使ったかな。ちなみに、私もお土産は買わないですね。韓国によく行く友達が多いので、必要ないんですよ。「虚礼廃止しよう」ってことで、みんなで一斉にやめました。
――趣味に使う金額としては結構高額だと思うのですが、ご家族や職場の人からツッコまれたりしませんか?
しんいちさん それこそお土産を買う羽目になるので、僕は家族にも職場にも何も言わずに遠征へ行ってます(笑)。
カナコさん 私は家族にも職場の人にも恵まれていて、夫と一緒にソウルのコンサートに行ったこともあります。オタクなことを周囲に隠さないほうが、協力してもらいやすいですし、楽だと思いますよ。
しんいちさん 正直、周りが海外遠征するオタクばっかりなので、何かツッコまれること自体がないかも。もし「海外まで行く必要ある?」とか言われても、それはその人の価値観なので「僕は行くけどね~」で終わりです(笑)。
カナコさん K-POPファンからしたら、せっかく海外の人を好きになったのに、その人を取り巻く環境や文化を直接体験しに行きたいと思わないほうが不思議。もちろん、事情があって海外遠征に行けない友人もいますけど、K-POPファンで海外遠征に否定的な人が少ないからか、仲間内で「あの人変だよね」みたいな空気になることもないですよ。
――「わざわざ海外まで行ってよかった!」と感じるのは、どんなときですか?
カナコさん K-POPアイドルは日本での活躍も増えてますけど、日本のイベントと韓国のイベントは、やっぱり性質が違いますね。グループにもよりますが、日本のイベントは、あくまでも“日本のファン向け”。コンサートはもちろん、サイン会とかハイタッチ会みたいなイベントは日本にもありますが、韓国でやるイベントはもっと密というか……充実度が違います。韓国のサイン会だと推しと話せる時間も長いですし、プレゼントが手渡しできたりと距離が近いんです。
あと、韓国内でのイベントに日本人がいると、やっぱり「わざわざ来てくれてありがとう」って言ってくれるんです。熱心に追っかけていると、「今日、あなたのことを見てましたよ」って推しに言ってもらえることもあります。そういうのはうれしいですよね、やっぱり。
しんいちさん 僕の場合、食事が楽しみですね。サッカー観戦に行くときって“弾丸ツアー”になる場合もあって、普通の旅より全然時間がないし、あんまり観光もできないんです。でも、遠征で来ている仲間と合流して、「一緒にごはん食べよう~!」ってなるのは、すごく楽しい。
――海外なのに、「行けば誰かいる」っていうのは驚きます。
しんいちさん でも、そうやって周りがみんな行ってるから、海外遠征へのハードルが下がっているっていうのもあるのかな。僕なんか、ほかの人に比べたら全然行ってないほうですよ。「AFCチャンピオンズリーグ」で全試合行っている友達とか、ザラにいます。“上には上がいる”ってやつです(笑)。いろんな意味で、世界は広いですよね。
※後編へ続く