※本記事は『灘校物語』(小社刊)の出版を記念して、「まぐまぐ!」にて9月14日に配信された「和田秀樹の『テレビでもラジオでも言えないわたしの本音』」(https://www.mag2.com/m/0001686028.html)を加筆修正し、再掲載したものです。
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先週の「sakidori」(文化放送)で拙著『自分から勉強する子の育て方』(大和書房)について紹介した。もともとは「塾任せは子どもをつぶす」というタイトルで出したかったのだが、こんなタイトルにされてしまった本だ。これについては、2週間前のメルマガで言いたいことを書いているので、そちらを参照してほしいが、案の定、「それではテクニックじゃないか?考える力がつかない」という批判が、番組ツイッターにきた。
テクニックで何が悪いのだろう?
子どもというのは、それがテクニックであっても、いい点をとると勉強をやる気になるし、自己評価もあがる。逆だと勉強は嫌いになるし、自己評価も下がる。できない問題を考えても、できないことを思い知るだけで、考える力などつくはずがない。
こういう根性論がいまだに幅を利かせているから、子どもの多くは受験勉強にルサンチマンをもつ。そして小学校も中学校も大学も受験していないような総理大臣を支持するようになる。その間に学力で韓国や台湾や中国にさらに大負けして、20年もすれば三等国になりかねないのに。
朝日新聞もたまにはいいことを書くと思った記事、しかも、一面にあった(9月6日朝刊)。筑波大などの研究チームが、愛知県に住むもともと要介護認定を受けていない65歳以上の男女約2800人に協力してもらって、10年間の追跡調査を行った。結果的に、運転をやめた人は続けた人に比べて要介護になるリスクが2.09倍だったという。活動が減ってとのことだが、もともと私はそう思っていたが、ちゃんと統計を取る人がいて嬉しい。こういうまともな学者は医学部にはほとんどいない。動物実験ばかりやって、人間にも当てはまると信じるアホがなる仕事が大学医学部の教授というものだ。
私は高齢者から免許を取り上げるのは財務省の陰謀だと考えている。多少介護費用がかかっても、2~3年早く死んでくれれば年金財政が浮くからだ。
さて、上皇后が乳がんの手術を受けたというニュースが入ってきた。早期の乳がんで、がんだけ摘出して早くも退院し、外出もできているという。めでたしめでたしのような報道だが、私はこの歳のがん患者に手術をするのは反対だ。ましてや今年の6月に心不全の徴候がみつかり、息切れもあったというのだ。高齢者の場合、がんの進行も遅いし、がんだけをとる手術でも、それなりに体力を奪う。
痩せるサプリの健康被害をワイドショーが大々的に報じていた。主にネット広告を行っていたサプリらしい。本当に痩せる人がそれなりにいたそうだから、食品というより、かなり危険なものであったのは確かだ。ただ、このサプリ会社がテレビ広告を打っていなかったから叩いているように思えてならない。要するに、みかじめ料を払っていなかったということだ。
この薬の危険性のついでに、ネット広告の危険性も話題にしていた。本当に汚い。
そもそも痩せるほうが6年から8年早く死ぬのだから、痩せさせることそのものが健康被害である。それなのに、世界の潮流に反して痩せすぎタレントを使い続け、痩せることが美しいような勘違いをさせ、人々を早死にに追いやっている。
それだけでなく、若い(若くない人もいるらしいが、それでも平均寿命の半分くらいだ)女性を毎年100人くらい餓死同然の死に方にさせている。痩せ願望が拒食症につながるから、各国で痩せすぎモデルの追放をしているし、その使用者の処罰までしているのに、日本はテレビと芸能プロダクションがグルになって痩せすぎを使って喜んでいる。そんな奴らに命の大切さなど論じてほしくない。
安倍改造内閣で、予想通り、小泉進次郎が入閣した。
ヘマをやる心配がほとんどない環境大臣(本当は環境大臣にろくな人間がつかないから、異常気象が収まらないのだが)に就かせたということで、安倍氏か菅氏が気を使ったのだろう。
育休を取るらしいが、大臣が育休を取っても大丈夫な役所として環境省が見られているということだ。日本の環境問題のお先は暗い。
文部科学大臣の萩生田という男は、加計問題で、嘘つきと言われても仕方のないようなことをしているが、そういう人間を文科大臣にしたということは、もっとごり押しをしたいということだろう。明治大学商学部卒なのに、千葉の科学大学の客員教授に浪人中に就任できたというのは、文教族の強みなのだろうか? 早稲田実業高校(当時は付属ではなかったが、早稲田には行きやすかった)から明治に入った立派な経歴だ。
中国にも韓国にも台湾にも学力で負けているのに、このレベルの人間を文科大臣に据えるとは、危機感のなさにあきれてしまう。
国土交通大臣には、公明党の赤羽とかいう人間が選ばれた。
ここしばらくこのポストは公明党が牛耳っている。福祉とか平和を売りにしながら、厚生労働大臣や外務大臣などのポストは求めないようだ。私の見るところ、今の公明党は、かつて池田大作が批判した宗教貴族そのものだ。
実は民主党が政権に就く前に、大阪に飛行機で行こうとしたことがある。そうしないと講演会に間に合わなかったからだ。それなのに、機体の整備に時間がかかっているからと1時間も出発が遅れた。すると、顔が四角くて大きな男が、1時間後に秘書を連れて乗り込んできた。当時の公明党の冬柴という代議士だった。後で調べてみると国土交通大臣だった。この地位を悪用して、飛行機を止めるようなことを平気でやるのだ。
どういうわけか、その飛行機に辻元清美も乗り合わせていた。『朝生』か何かでご一緒したので、飛行機を出るとき一緒に怒った覚えがある。こんな私物化が許されるのか?
ところが、民主党が政権を取ると、鳩山内閣で国土交通副大臣になった。飛行機が好きに止められる地位に憧れたのだろうか?
辻元氏がどんな人間かはわからない。ただ、民主党が政権を取るまではきさくな人だったのに、政権を取ってからはかなり態度が大きくなったと、私の周りの人間の多くが言っているのは確かだ(私はその後、じかにお会いしたことがないので、軽々なことは言えないが)。
いずれにせよ、公明党は、この国土交通大臣というポストを重視している。
公明党や学会のおえらいさんのために、飛行機を私物化するためなのか、学会の人が経営する土木業者に仕事が回しやすくするためかわからない。
学会にもいろいろな人がいるし、お金を持っている人のほうが選挙の時に役立つので、そういうこともあるかもしれない。
ただ、私の60年近く生きてきた経験で言うと、公明党の議員(そんなに何度も会ったわけではないが)の態度は大きいが、創価学会の人たちはいい人が多い。礼儀も正しい。
そういういきさつもあって、学会系の雑誌や新聞の取材を何度も受けているので、ウィキペディアに私が創価学会員と書かれたことがある。
学会の一般会員は平和を愛し、弱者に優しく、腰も低い。そういう人を使って、偉そうな態度を取り、自分たちが飛行機を止めるような特権を振りかざす公明党の議員は許せない。
今回、れいわ新選組から沖縄の創価学会員が立候補したが、学会の人の多くは憲法改正に反対だし、集団的自衛権にも反対だ。
しかし、公明党の議員は自分たちの特権のために、平気でそういう大義名分を捨てる。
とくに池田大作氏が公明党に文句を言えない状態(脳のせいか、老化のせいかはわからないが)になってからは、それがひどいようだ。
今回、国土交通大臣に選ばれた赤羽氏について、ウィキペディアにこう記載されている。
日本の集団的自衛権の行使解禁には明確に反対していた。
2012年の第46回衆議院議員総選挙に際し、集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈を変更すべきか問われ、見直す必要はないと回答していた。
また、2014年の第47回衆議院議員総選挙に際し、集団的自衛権の行使に賛成か問われ、反対すると明確に主張していた。しかし、集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」案と「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」案が第189回国会に上程されると、一転して賛成票を投じた。
親愛なる創価学会の人たちも、一度、この宗教貴族たちにお灸を据えてやってくれればいいのにと真剣に思う。
ついでに、内閣改造で西村康稔なる私の灘校の後輩も大臣に選ばれた。どういうつてか、私が灘校の先輩ということで、自民党の機関誌で彼と対談をすることになったが、20分ほど遅刻してきて、まともなわびもないし、その後の態度もひどいものだった。
こんな一般人の心理学がわからない人間に、経済再生ができるとはとても思えない。
別の灘の後輩の鈴木寛なる男も、先輩に対する口の利き方がわからないようだった。文教行政をやるならもう少し日本語を覚えろと言いたいが、国会議員という地位につくと、先輩か後輩かより、国会議員か一般人かという区分けをするようだ。
彼らに限らず、頭を下げたことがない、頭を下げることが嫌いな奴が、当たり前に政治家になる時代になった。
小泉進次郎だって、菅氏とかには頭を下げるのだろうが、大衆には上から目線なのに、タレント性が強いので、人気はすごい。
前から言っているように日本は民主主義国などではなく、世襲のほうが偉い封建国家なので、威張るタイプの政治家のほうが、腰が低い人より票が入るのだろう。
大阪でも庶民派から、中国や韓国に頭を下げる必要のないというような偉そうな奴が、政治家でも文化人でも人気を得ている。
公務員にも威張り散らして、お前らが税金の無駄だと言い放っているが、それで彼らのモチベーションが上がるのだろうか? 私が子どもの頃は、大阪商人の血を継ぐ祖母から「頭を下げるのはタダ」と散々聞かされた。
そのほうが経済がうまくいくなら、気に入らない客でも頭を下げて、帰ってからアカンベーすればいいという本音も聞いた。今の日本の政治家にはそれができない。
大阪では、商人でなく、お上から仕事をもらう土建屋の息子が府知事から市長になった。
市長から府知事になった男も、頭を下げる必要のない弁護士先生だ。その親玉の橋下という人も弁護士先生。それを引き上げたたかじんとかいう歌手はええとこのボンボン。今の大阪文化人の代表も作家先生。
自分たちが頭を下げて商売繁盛というより、お上からばくちの権利を得て稼ごうとする魂胆がいやらしい。大阪も終わりに近い。
もっとも、日本のトップが、地元に年に一回しか帰らず、有権者にすらろくに頭を下げないで済むボンボンだ。アメリカのトップには、オバマとトランプという、政治信条がまったく違う人間にヘコヘコできる立派な方ではあるが。
和田秀樹(わだ・ひでき)
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学心理学科教授。和田秀樹こころと体のクリニック院長。「I&Cキッズスクール」理事長。一橋大学経済学部非常勤講師。製作・監督した『受験のシンデレラ』はモナコ国際映画祭で最優秀作品賞(グランプリ)を受賞し、『「わたし」の人生 我が命のタンゴ』もモナコで4部門受賞、『私は絶対許さない』でインドとニースの映画祭で受賞するなど、映画監督としても活躍している。
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“教育系YouTuber”として、政治や社会情勢、歴史などに関する解説動画を公開しているオリエンタルラジオ・中田敦彦。芸人のYouTubeチャンネルとしては、カジサックに次ぐ人気となっている。
視聴者が納得するようなら「ラスト」が用意されていればいいのだが……。