今年1月、インスタグラムのユーザーの半数にあたる5億人が、インスタグラムのストーリー機能を毎日利用していると報じられた。インスタがここまで勢いを伸ばした要因のひとつは、大勢のセレブが「気軽にファンと交流できる場」として利用しているから。ひと昔前は雑誌の表紙などでお披露目していた、挙式の様子や赤ん坊の姿など“とっておきの写真”を投稿して私生活をチラ見せしたり、ファンからの気の利いたコメントに「いいね!」を押して喜ばせたりするため、セレブ目当てでインスタを始めた人が増えたのだ。
セレブは、新曲や新作映画/ドラマなど仕事の発表や宣伝をしたり、スポンサーの商品写真を投稿することで数十万ドル単位のお小遣い稼ぎをしたりと、インスタグラムをフル活用。「インスタで稼いだお金で、200万ドル(約2億1,000万円)の邸宅を購入できた」と告白するベラ・ソーンのように、本業以上の収入を得ているセレブたちも少なくないのだ。
フォロワー数だけでなく、「いいね!」の数、コメント数は、セレブにとって人気のバロメーター。この数字が多いほど、スポンサーが彼らに支払う額も高額になるとみられている。一般インスタグラマーたちも同様に、「いいね!」の数が多いインスタグラマーほど金持ちになるというシステムのようだ。しかし、セレブのようにもともと大勢のファンがいるわけではないインスタグラマーや一般ユーザーの中には、「いいね!」の数を気にして心を病み、人気者でありたいがために「いいね!」の数を水増しするなどの不正行為に手を染める者が存在しており、“悪魔のような機能”だとも見られていた。
それらの問題を考慮したのか、インスタは今年の春から数カ国で「いいね!」の数を非表示にする試験を行い始めた。投稿した本人は「いいね!」の数(動画の場合は閲覧数)を確認できるが、他ユーザーからは見えない。成果を得られたと感じたのか、インスタの最高経営責任者アダム・モッセーリ氏は現地時間11月8日、アメリカでも翌週から一部ユーザーの「いいね!」の数を非表示にすると発表。その理由を、「若いユーザーたちが不安になったり、『いいね!』の数を競うようなことをせずに、インスタを楽しんでほしい」とし、理解を求めた。
しかし、これに対して、フォロワー数1億700万人を誇るラッパーのニッキー・ミナージュが先陣を切って反発。「いいね!」機能を削るならインスタには投稿しないと宣言したのだ。
インスタ側の発表を受け、ニッキーはインスタ・ライブで、「インスタは『いいね!』機能をなくそうとしている。『いいね!』の数だけ広告料を得ている人たちが、これ以上インスタで稼げなくするためよ。広告料をあなた(アカウント主)ではなく、インスタ側に支払うように仕向けるためよ」と、いきなり持論を展開。「つまり、『我々(インスタ)の監視下で、インスタグラマーたちに金稼ぎなどさせない。我々に何も支払わずに稼がせない』ってことなのよ」「レコードレーベルやストリーミング・サービスのやり方と一緒なのよ。大金を稼ぐのは奴らなのよ。まぁ、でもあんたらはそんなことどうでもいいんでしょうよ。ラッパーはみんな金持ちだって思ってるから!」と、ついでに音楽業界の闇も暴露した。
ニッキーは「でも、インスタはすでに大金を稼ぎ出しているじゃない?」というファンのコメントに対して、「あんた、金持ちが一日中何やってるか知ってる? あの手この手を使って、もっとたくさん金を稼ごうと動いてるのよ。奴らはね、小銭を稼いでチープなお菓子を買って満足してる私たちとは違うのよ。金持ちは、もっと金持ちになる手段を常に考えてるの。どんなに金を持っていても満足しないの。私たちは金持ちになったら満足するけど、奴らはしない。それが問題なのよ!」と叫んだ。
「『いいね!』の機能をなくすのは、自尊心のためって言うけど、誰の自尊心のためなのかしらね。汚い金もうけするために、“自尊心”なんて言葉を利用してほしくないわね」と声を荒らげ、「落ち着いて……」というファンのコメントにも、「うるさい! アタシに指図しないでくれる?」とかみついていた。
インスタ側が説明するように、SNSでの評価に依存する人は多く、その人たちの精神状態のためにいずれ「いいね!」機能をなくすことは、一見素晴らしく思える。しかし、「いいね!」の数で広告料を稼いでいるインスタグラマーたちにとって、この機能がなくなることは死活問題。ニッキーが主張するような陰謀説も説得力がある。
ニッキーはTwitterでも「今週が終わったら、もうインスタには投稿しない。なぜなら、『いいね!』の機能をなくすからよ」と宣言。インスタ・ライブで主張した陰謀説をTwitterでも繰り広げていた。
ネット上では、このニッキーの発言に、多くの人が「そうだったのか!」と納得。「やっぱり!」「さすがニッキーは頭いいわ」と感心する声も多数上がり、「自分もインスタグラムやめる!」など、お祭り騒ぎとなっている。
ちなみに、ニッキーのライバルで、感情のままに行動/発言するカーディ・Bは、「いいね!」機能をなくすことについて、「個人的にはコメントに『いいね!』をつける機能と、コメントに返信できる機能がついてから、インスタはえげつなくなったと思う」と話す動画をインスタに投稿。「自分の投稿にコメントがつかないような人たちが、影響力のある人のコメント欄へ炎上狙いのコメントをつけることによって、大量の『いいね!』や返信をもらい、満足するような傾向になった」「機能を削るなら、投稿への『いいね!』じゃなくて、コメント欄の『いいね!』と返信の機能を削ったほうがいい」と主張し、この投稿にも共感するたくさんのコメントがついている。
たしかにインスタ側は、どのユーザーの「いいね!」を非表示にしたかは発表しておらず、ユーザーを選ぶ基準も明かしていない。そのため、ニッキーの陰謀説を支持する声は日に日に高まっている。
インスタ全体でフォロワー数15位のニッキーの唱える陰謀説は、はたして本当なのか? ニッキーの呼びかけで、アクティブユーザーが減り、インスタグラムに「いいね!」機能を外すことをあきらめさせることはできるのだろうか?