「子どもの貯金はダメ」「最低な夫」ギャンブル好きを明かしドン引きされた芸能人3人

 男性歌謡グループ「純烈」のリーダー・酒井一圭が、10月20日深夜放送の『博多華丸のもらい酒みなと旅2』(テレビ東京系)に出演。20代の頃、ギャンブルが原因で借金を抱えていたことを告白し、物議を醸している。

「酒井はギャンブルの中でもとりわけ競馬が好きだといい、軍資金のための借金が400万円まで膨れ上がったそうです。2001~02年に放送されていた『百獣戦隊ガオレンジャー』(テレビ朝日系)にガオブラック役で出演していた酒井ですが、『「ガオレンジャー」に受かっていなかったら、自己破産していたっていう感じで、借りれるだけ借りて』と当時を振り返りました。また、借金完済後に“過払い金”を請求し、『100何万円か戻ってきた』と明かしています」(芸能ライター)

 19年1月9日、ニュースサイト「文春オンライン」は、同グループの友井雄亮が過去に交際していた女性AにDVをしていたこと、その後同棲した女性Bの貯金3000万円を使い込み、そのうち半分以上を競馬に使っていたことを報じた。翌10日に友井は同グループを脱退したが、この一件を思い浮かべたネットユーザーからは「このグループはクズばかりなんだね」といったコメントも。そのほかには「借金してまでギャンブルやるヤツはクズ」「子ども向け番組のヒーローが借金まみれって、教育に悪い」といった厳しい意見も飛び交った。

「お笑いコンビ・平成ノブシコブシの徳井健太もギャンブル好きを明かし、視聴者から批判が続出したことがあります。16年5月12日放送の『ヨソで言わんとい亭』(テレビ東京系)に出演した徳井は、“ズレすぎた金銭感覚”を持っているといい、『ギャンブルがとにかくやめられないんですよ』と告白。普段は妻がお金を管理しているためギャンブルに興じていないとのことですが、妻と子どもが実家に帰省した際、子どもの貯金から100万円を持ち出し、競馬場に行ったことを明かしました」(同)

 そのほかにも、妻の貯金から300万円使ったことや、歯列矯正の費用と妻にウソをついて得たお金をギャンブルにつぎ込んだというエピソードを披露。この行動に、ネット上からは「子どもの貯金は絶対にダメだろ!!」「妻の気持ち踏みにじるなんて最低な夫」「こういう人は家庭を持ってはいけない気がする……」と呆れる声が寄せられた。

「お笑いトリオ・パンサーの尾形貴弘は、14年12月26日放送の『バナナマンとブラックマヨネーズのにんげんだもの』(TBS系)の中でギャンブル好きを公表し、大ブーイングを浴びました。尾形は若手時代、交際相手の財布から盗んだお金や、無断でバッグを売ったお金でギャンブルをしていたといい、たとえギャンブルに勝ってもお金を返すことはなかったそう。反対に、恋人をパチンコなどに連れて行き、恋人が儲かった場合でも尾形の懐へ、負けた場合は恋人が損をするという、とんでもないルールを作り、教え込んだといいます」(同)

 尾形の言動に、ネットユーザーからは「こんなクソ男とよく付き合うね」「恋人が同じことをしたら本当に腹が立つ! っていうか犯罪じゃないの!?」「清々しいくらいにクズだな……」と非難の言葉が噴出した。

 芸能人に限らずだが、家族や恋人など身近な人間に迷惑をかけるほどギャンブルに興じることはやめた方がいいだろう。
(立花はるか)

FIFAでは大活躍も……中田英寿がJFAと距離を置く理由とは?

  元日本代表MF中田英寿氏が10月31日、公式インスタグラムを開設。「スイス・チューリッヒで行われた国際サッカー評議会(IFAB)の会議に出席」というコメントと共に、3枚の画像がアップされた。

 現役引退後も何かと話題に上ることが多い中田氏だが、それは日本だけの話ではない。たとえば、今年のバロンドール(仏サッカー専門誌「フランス・フットボール」が創設したヨーロッパの年間最優秀選手に贈られる賞)候補に韓国のソン・フンミンが選出されているが、同誌は韓国サッカー界のレジェンド、パク・チソンではなく「中田を思い出す」という見出しの記事を掲載。というのも、中田氏はバロンドールの対象が欧州出身選手以外にも広がってから初めてリストに名を連ねた選手だからだ。

 2017年にはアジア代表としてIFABの諮問委員に任命され、FIFAからは「バロンドール授賞式」や「ベストイレブン表彰式」のプレゼンターとしても招集されるなど、すっかり“日本の顔”となっている中田氏だが、なぜか日本サッカー協会(JFA)関連で名前が挙がることはない。いったいなぜなのだろうか? サッカー関係者に訊いた。

「まず前提として、村井満氏が14年にチェアマン就任後、Jリーグがベンチャー企業のように柔軟になってきているのとは対照的に、JFAは膠着し、お役所化しています。15年にFIFAから組織の不透明さを指摘され、やっと会長選挙を取り入れたくらいですから。そんな中、中田氏は08年6月に有名選手を集めてサッカー親善マッチ『+1 FOOTBALL MATCH』を主催。日産スタジアムに6万人以上を集めるビッグイベントとなりましたが、これが『チャリティーという表看板とは裏腹に、かなりの収益を上げた』としてJFAの逆鱗に触れた。この件がきっかけで、JFAは中田氏と距離を置くようになりました」

 10年3月には、当時日本代表監督だったザッケローニ氏と中田氏の対談がTBSの企画で実現したが、その際、JFAハウス(日本サッカー協会ビル)が使わせてもらえなかったり、22年サッカーW杯招致のアンバサダーに名前が挙がるも、JFA側がNGを出したと伝えられたこともあった。

 また、中田氏が対談番組などに出演すると、共演者から「協会(JFA)と仲が悪いから」などとイジられる姿もよく見かける。

「中田氏サイドはJFAとの確執について何も口にしませんが、『現役時代の知人に著名な監督が多くいるので、(JFAが)言ってくれれば交渉するのに』とこぼすなど、やきもきしている様子。ただ、JFAと関わらなくても活動の場はいくらでもあるわけですから、わざわざ自分から関係修復に動くつもりもないのでは?」(同)

 日本のサッカー発展のために存在しているはずのJFAが、職員のプライドのために、中田氏の存在を無視する――。なんとも日本のお役所らしい組織である。

(文=TV Journal編集部)

叶姉妹、ハロウィンのコスプレをやめた理由に称賛の声「その心遣いが素晴らしい!」

 叶姉妹が2019年のハロウィンでコスプレ写真を披露しなかった理由を明かし、反響を集めている。

 叶姉妹の美香は10月30日にブログを更新し、これまでSNSを通じて披露してきた数々のコスプレ写真を披露。花魁姿や、マレフィセント、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のキャラクターなど写真は多岐に渡っていたが、「さて、実はハロウィンの日にファビュラスな姉と私は私の大好きな趣味のコスプレアートで、それぞれ念入り用意をしておりました」と、このハロウィンのためにコスプレの準備をしてきたことを明かした。

 美香さんは用意していたコスプレについて、「姉はハーレクイン、私はジョーカー(なぜにジョーカー??とは思っておりましたが)と、違うパターンの、ファビュラスな姉のベルサイユのバラのオスカル、私はジョジョの奇妙な冒険のセッコ(なぜにィ~??ハロウィンらしいですがなぜロザリーではなく…と思っておりましたが)」と明かしつつも、「大自然の容赦ない大災害の被害に遭われて心身ともに不安な時間が今も続いていらっしゃる方々のお気持ちを感じますと、衣装やメイクなどの問題ではなく私達のテンションとしてそのような気持ちになれず…」と、相次ぐ天災を考慮し、自粛することにしたと告白。

「また、違う機会にご紹介いたしますね」とコスプレ披露は延期にするとしていた。

 この投稿にネットからは、「さすが叶姉妹!ファビラス!」「人としてあたり前の気持ちをちゃんと表明するんだね。好感持てます」「その心遣いが素晴らしい!」「今までもコスプレいっぱいやってるから、ハロウィンも張り切って準備してたんだろうけどこういう配慮ができるのは良いね」といった称賛の声が集まっている。

 コスプレを披露する芸能人が多い中、叶姉妹の配慮に多くの人は共感を覚えたようだった。

「口同士でガッツリ」「虫歯がうつる」子どもとのキス写真を公開し物議を醸した芸能人3人

 10月8日、タレント・安田美沙子がインスタグラムに投稿した写真に、ネットユーザーから批判が寄せられている。

「2014年にデザイナー・下鳥直之氏と結婚し、17年に第1子である長男を出産した安田ですが、妊娠中の16年12月に夫の不倫が発覚。しかし、『今回ばかりは許したいと思います』と離婚はせず、現在は家庭円満ぶりが伝わる写真をインスタグラムで更新しています」(芸能ライター)

 そんな安田は8日、「最近、やっとママに似て来たと言われるように。。。う、嬉しい パパにそっくりだから」とつづり、「小さい彼氏」「大好きすぎる」というハッシュタグとともに息子と唇同士でキスをする寸前のショットを披露した。息子を「彼氏」と称したキス写真にネットユーザーからは、「子どもの唇にチューする親、気持ち悪い」「息子=小さな彼氏っていう感覚の人が理解できない」「ヘルペスや虫歯菌がうつらないか心配」と辛らつなコメントが上がった。

「子どもとのキス写真を披露し、同様の指摘を受けた芸能人は安田だけではありません。その一人が、現在、芸能活動を休止しているモデル・道端アンジェリカです」(同)

 10月3日、飲食店経営の夫が知人男性から35万円を脅し取った疑いで逮捕され、23日までに自身も夫と共謀したという疑いで書類送検された道端。25日、東京地検は道端と夫を不起訴処分にしたが、所属事務所は道端の今後について「当面は子育てに専念」「自らを見つめ直す時間に充てさせたい」として活動休止を発表した。
 
「道端は18年7月14日に第1子男児の出産を発表。彼女のインスタグラムには、時折息子が登場しており、今年7月16日には『My sweet baby』とコメントを添えて、抱きかかえた息子にキスをしている写真を公開しています。しかし、軽いキスではなく、口同士が深くくっついていたことから、ネットユーザーは『恋人とするようなキスで引く』『思った以上にガッツリキスでびっくりした』『ほっぺなら微笑ましいけど……』とドン引きの様子でした」(同)

 18年11月18日、元モーニング娘。・後藤真希も自身のブログに息子とのキス写真を投稿し、非難を浴びた。「それはあかーん」と題したブログの中で、口同士でキスをしている写真とともに、「かみちぎられるかと思った程強力なパワー」で息子から唇を吸われたことを報告している。

「この後藤のブログに、ネットユーザーからは『乳歯は虫歯になりやすいのに、うつったらどうするの?』『ブログのネタにされて、子どもがかわいそう』『ネット上の写真は一生残るし、子どもの将来を考えたら投稿しない方がいいのでは?』と、いろいろな意見が上がっていました」(同)

 我が子を愛する気持ちからの行動とはいえ、子どもの健康を考えると、口同士のキスは控えた方がいいのかもしれない。
(立花はるか)

EXILE×高橋ヒロシのキメラ映画が爆誕!『HiGH&LOW THE WORST』に見るヤンキーマンガの到達点(前編)

 現在公開中の『HiGH&LOW THE WORST』について、ヤンキーマンガや映画を長年見続けてきたライター・藤谷千明氏と、アクション映画やバイオレス映画に造詣の深いライター・加藤ヨシキ氏が4度目の集結を果たし、放談を繰り広げる。(以下、映画『HiGH&LOW THE WORST』のネタバレを含みます)

編集部 前作『FINAL MISSION』公開時の座談会の際、「これが最後の祭だ!」なんて宣しましたが、新作公開ということで再びお集まりいただきました。

藤谷 あれからもう2年……。

加藤 お久しぶりですね。

編集部 ハイローが終わらない限り、この座談会も終わりません。ということで、もうかなりレビューや批評が世に出ているので、ここではネタバレ全開の無礼講でいきたいと思います。特に、原作の『クローズ』をはじめヤンキーものの系譜に詳しいおふたりなので、その点から今作を語っていければ。

藤谷 ハイローと高橋ヒロシ作品とのコラボって、よく考えたらすごいことですよ。初めて鬼邪高校を見たとき、「なんだこのクローズの二次創作は」って思いませんでした? 私は思った。

加藤 そりゃ思いましたよ。

藤谷 LDHと高橋ヒロシ先生はかなり前から交流があったし、高橋先生のマンガを愛好しているメンバーも多いんですよ。昔、「月刊EXILE」でマンガ特集があって、メンバーの好きなマンガをあげるページで、HIROさんを筆頭にみんな『クローズ』や『WORST』を紹介していました。だからEXILE的な男らしさと高橋ヒロシ作品の男らしさってわりと共通点は多いというか、むしろHIROさんの思う“男らしさ”のルーツの中に高橋ヒロシ先生の作品がある。

加藤 『エグザムライ戦国』も高橋ヒロシ先生がキャラクター原案でしたよね。

藤谷 でもそれにしても鬼邪高は、当初「あんな無邪気な二次創作をやっていいのか」という驚きがありました。それが本当に本家とコラボするとは。こんなこと、前例がないのでは。

加藤 そうですね。まさかこのコラボを本当にやるとは思わなかったですよ。ハリウッドでいうと、『トワイライト』の同人小説を、キャラを少し変えて映画にまでしてしまった『フィフティ・シェイズ』というアクロバティックなシリーズがあります。そんなことって日本ではあんまり起きないですよね。怒られることはあっても実現はしない。そこの驚きがまずありました。

藤谷 さすがラブ、ドリーム、ハピネス。しかもそれがめちゃめちゃおもしろい映画になっているという奇跡ですよ。

加藤 そう、僕がすごくびっくりしたのは「成功している」ってところです。『THE WORST』には、『ハイロー』にしかないものもあるし『クローズ』にしかないものもあって、それぞれがうまいこと混ざって補い合っている。たとえば、轟や小田島みたいなキャラクターは高橋先生のマンガには絶対出てこない。これはハイロー側の持ち味です。対して、物語中で描かれる絆であったり主人公の楓士雄のキャラだったりは高橋ヒロシ先生の要素。特に、最後のタイマンで楓士雄が佐智雄に負けちゃうところはすごく高橋ヒロシ感があるな、と思います。「主人公が負ける」って、ハイローからはあんまり出てこない発想だと思うんですよ。ハイローの世界で高橋ヒロシ先生的な主人公が高橋ヒロシ先生的に負けて、そこにハイロー的なキャラである轟が手を差し伸べて2人で立ち上がる。コラボとして象徴的で完璧なシーンだと思いました。

編集部 『ザム』のときに行なった最初のこの対談でも、「決着がつかない」問題は話しましたね。

藤谷 「LDH同士だと決着がつかないバトルが多い」という話ですね(キリンジは負けていますが……)。今回も相手は志尊淳君ですが、LDHの次世代を担うTHE RAMPAGEのボーカルが負けるところを描くっていう意味でも面白さがある。

加藤 あそこで負けて、楓士雄のキャラが立ったと思いました。

藤谷 あれがないと、単に「ひとたらしでケンカが強い人」に留まりますからね。楓士雄のキャラクターは、『クローズ』の主人公の坊屋春道、『WORST』の主人公・月島花がベースにあるんだろうなと思います。特に月島花の影響は大きそう。楓士雄は轟を「ドロッキー」って呼んだり、上田佐智雄を「サッチー」と呼んだりと、変なあだ名をつけたりするじゃないですか。そういうところも月島花を思い起こさせます。それと、みんながピリピリしている場所でも口をムニッとさせて「ん?」みたいな表情でほわーんとしているところは、月島花っぽい。川村壱馬くんが完全に月島花をインストールしている。

加藤 立ち姿やビジュアルは映画『クローズZERO』の滝谷源治で、中身が月島花なんですよね。

藤谷 高橋ヒロシ作品のキメラだからこそ、人間味がなさすぎるというのはあるかなと思いました。「誰からも好かれる」というキャラクターとして描かれるものの、好かれる理由はドラマでも映画でもそこまで書き込まれていない。単に「めちゃめちゃいいやつ」ということしか触れられていない。村山ちゃんが轟に「あいつはお前にないものを持ってるかもしれないぜ」って言っていたけど、その“持っているもの”の背景はそんなに見えてこないんですよ。

加藤 そこは僕も問題に感じました。鬼邪高校の面々が楓士雄を祭り上げてリーダーに据えて納得している理由は「昔からの知り合いだから」に集約されてしまう。つまり「顔が広いから」になっちゃうんですよ。「顔が広いからリーダーです、轟はそれに及びません」っていう扱いをされると、顔が広けりゃ最高の男なのか? って話になるじゃないですか。じゃあカラテカ入江が最高の男なのか? って話になっちゃうじゃないですか。でも、さっきも言った通り、最後の最後で負けることで、彼の魅力が出たと思います。あそこで負けたことで「この子はこうやって負けたことを素直に受け止められる子なんだ。だからこれから先、鬼邪高校の人と殴り合って本当の意味での頭になっていくのかな……続編に期待!」みたいになる。ただ、この1本だけだと、まだ鬼邪高校の頭と言っていいのかどうなのかとは思いますね。

藤谷 それって原作の『WORST』の問題でもあるんですよね。月島花の主人公補正はすごいですから。周囲の人たちが「あいつは鈴蘭を背負う男だ」って言うから、すごい人なんだな、って読者が思う。それは当時の高橋先生のモチベーションの問題でもあると思うんですけど……。『クローズ』である程度、男の子の青春を描ききったわけじゃないですか。そのあとに『QP』で「青春が終わった後はどうする?」というのを描いた。ちゃんと手に職をつけて大人になろうとする石田小鳥と、ずっと子どもでいたいからヤクザの世界に入っていく我妻涼、という対比があった。『WORST』も一応、鈴蘭にいてもロクな未来がないから鈴蘭という場所を変えなきゃいけない、変えてくれるのが花かもしれない……みたいなテーマがあったんですけど、そこをちゃんと描ききらないまま33巻までいってしまった。とにかくキャラクターが多くて、良くも悪くもそれを見て楽しむものになっちゃったんですよね。

加藤 どんどんいろんな組織が出てきて登場人物が増えて、「なんかすげぇな」って人は出てくるけど、じゃあ話が進んでるかというと実はそうでもない……という問題はありました。

藤谷 連載中に映画『クローズZERO』がヒットして、さらに人気が出たからシリーズは続けないといけなくて、そして異様にスピンオフが増える……という。

加藤 本当に異様に増えましたね。ちょっと話が逸れるんですが、今「週刊少年チャンピオン」で連載中の『WORST外伝 グリコ』は若干ハイローの影響を受けてるんじゃないかっていうくらい話がぶっとんでいて面白いです。福岡を舞台に花木九里虎の中学時代を描いてるんですけど、本当にすごくて、要塞みたいな学校が出てくるんですよ。

藤谷 完全にハイローだ。

加藤 口が裂けてるヤツなんかも出てきます。しかもヤンデレで、自分の憧れの先輩が九里虎に夢中だから「あの九里虎っていうヤツを消してやろう」って考える。それまで普通に博多弁でしゃべってたのが、そこだけ「九里虎くん、君を消さないとね」みたいになる。そういう過剰さは、ハイローと接近したことによる良い作用なのかなと思いました。

藤谷 『WORST』の中でも『クローズZERO』の芹沢多摩雄や滝谷源治の存在に言及したりしてますからね。コラボやスピンオフに対する高橋先生のそういう寛大さが『THE WORST』を生んだのかもしれません。

加藤 普通このコラボは許さないですよね。だって手塚治虫のところにディズニーが『ライオンキング』持ってきて「すみません、これと『ジャングル大帝』をコラボさせてください!」って言ったらキレるじゃないですか、多分。手塚先生も帽子を叩きつけますよ。ベレー帽パーン! ってすると思う。

編集部 劇場特典の冊子「WORST 816」の高橋先生へのインタビューによると、「鬼邪高校の設定に違和感があり、そんな世界に鳳仙を出すわけにはいかないと思っていた。でもHIROさんが『鬼邪高を叩きのめしてください』と言ったので燃えた」ということらしいです。

藤谷 でもそれは『クローズZERO』のときもそんな感じだったから……「実写化は絶対にしないと考えていたが、旧知のやべきょうすけさんの真摯な説得により実現」みたいなこと言ってたから……。今回はハイロー脚本陣が高橋先生の作業場に出向いて、一緒に泊まり込みで脚本をつくったそうですし、体育会的なコミュニケーションが行われたに違いない(断言)。

編集部 プロジェクトが発表される前から高橋さんのインスタにTHE RAMPAGEの子たちがよく登場してました。

加藤 おそらく何度も飲みを重ねて、腹を割って話せるようになったところでいい感じにまとまったんでしょうね。

藤谷 LDH側はみなさん『クローズ』大好きでインストールされてるでしょうし。『THE WORST』に関してオロチ兄弟の2人(小森隼・中務裕太)にインタビューしたんですけど、「GENERATIONSのメンバー同士で『WORST』を共有で買って読んでいた」というめっちゃいい話がありました。「俺の『WORST』、今どこにあるんだっけ?」「龍友の家じゃない?」みたいな感じで。中学生感! 小森くんは特に好きらしくて、好きなキャラクターを聞いたら「ゼットンとブルで悩みますね……」と真剣に考えてました。(アプリ「ぴあ」10月7日掲載「『HiGH&LOW THE WORST』小森隼・中務裕太「大人が存在しない“青春”の世界を楽しんでほしい」)

編集部 俳優枠じゃない小森さんと中務さんの2人がすごく良かったのは、LDHオタク的には収穫でした。ほかの人より体格が良いところも、『クローズ』世界の住人という感じがしてよかったです。

藤谷 「もっとEXILEになったほうがいい」じゃないですけど【https://www.premiumcyzo.com/modules/member/2017/09/post_7810/】、「もっと『クローズ』になったほうがいい」ということで日サロに通ったり体重を増やしたりしたみたいですね。それと、久保(茂明)監督ももちろん高橋ヒロシ作品が大好きじゃないですか。高橋先生の絵は集団の佇まいが美しいから、すごく参考にしているという話をインタビューでされていて。実際、映画の随所に制作陣のこだわりがあふれてますよね。鈴蘭高校の壁の落書きや、『クローズZERO』に出てくるGPSのステッカーだとか。

加藤 原作の雰囲気の再現度はめちゃくちゃ高い。下手したら『クローズZERO』よりも高いかもしれません。あれも再現度は高かったですが、同時に三池崇史さんという偉大な監督の作品という文脈があるので。『THE WORST』は、たとえば『クローズ』のトリビュートに『浦安鉄筋家族』の浜岡賢次先生が寄稿した作品の中で、『浦安』のキャラクターたちが「今からみんなでクローズ歩きしようぜ!」って言って見開きで『クローズ』っぽい歩き方をするコマがあるんですよ。

藤谷 (爆笑)

加藤 そういう「クローズ歩き」「クローズ立ち」も、『THE WORST』は完璧に再現してます。

編集部 久保監督はEXILEのMVで一列に並んでゆっくり歩いてくる「EXILE歩き」をつくった人ですが、「クローズ歩き」はその大元なのかもしれませんね。

藤谷 原作がらみで私がすごくいいと思ったのが、誠司の「きゅうり演説」ですね。あそこで「彼らはグレてるわけでもひねくれているわけでもない」的なことを言うじゃないですか。あれは『クローズ』1巻の坊屋春道のオマージュなんですよ。そして高橋ヒロシ作品におけるポリシーでもある。それを優等生に言わせる書き換えがおもしろい。しかも「真っ直ぐなきゅうりになってみせる」って啖呵を切る。それも間違ってないんだ、っていうのがいいですよね。ヤンキーものにありがちな「優等生のほうが実は悪いヤツ」理論から距離を置いてる。

加藤 そこから脱したのは多様性があっていいですよね。セリフの使い方もいいですし。うまいことサンプリングしたな、と。

藤谷 日テレが『ごくせん』から脱却したな! って思いました。まだ原作を読んでいない人も多いと思うんですけど、『クローズ』『WORST』を読んでから観ると、めっちゃ奥行きが出るはずです。

加藤 そう、奥行きが出るんです! そういえば、僕は『THE WORST』を見終わったときに、これはコラボであると同時にサンプリングだと感じたんです。それで、これに似た形って過去に何かあったかな? と考えたときに、1995年のビルボードアワードを思い出しました。クーリオというラッパーが出した「ギャングスタズ・パラダイス」が受賞したんですが、この曲はスティービー・ワンダーの「パスタイム・パラダイス」をサンプリングしていて、授賞式ではスティービー・ワンダーが登場してバースを歌ったんですよ。この一連の流れと似ているな、と。元ネタの「パスタイム・パラダイス」は哲学的な歌詞なんですが、「ギャングスタズ・パラダイス」は曲名通り、荒れた生活をストレートに歌ってるんです。もとは社会意識の高い歌を、あの過ちは消えない、生まれた場所も誇れない人たちの歌に書き換えるという、サンプリングのおもしろさがある。さらにそこに本人が来て歌うことでより文脈が複雑になる。

藤谷 サンプリングというのはたしかにありますね。

加藤 やっぱりLDHという会社はヒップホップ・マインド、ミュージシャン・マインドみたいなものが強いんだな、と。『THE WORST』にはヒップホップ感がある。ある意味、常識に縛られていたらこんなコラボ企画は動かさないですからね。

藤谷 秋田書店から始まって、各方面に話をつけないといけないですしね。大人の力の見せどころですよ。(後編に続く)

まだまだ続くハイロー放言!後編は明日公開です!

『HiGH&LOW THE WORST』
監督:久保茂昭/脚本:高橋ヒロシ、平沼紀久、ほか/出演;川村壱馬、吉野北人、山田裕貴 ほか

2015年のテレビドラマから始まった『HiGH&LOW』シリーズ、その劇場版第6弾。全国から札付きの悪が集まるという鬼邪高校内で起こる派閥争い、さらには鳳仙学園との熾烈なケンカを描いた青春群像アクション。人気マンガ『クローズ』シリーズとのコラボとして、脚本にはマンガ家・高橋ヒロシも参加している。

加藤よしき
ライター。1986年生まれ。「Real sound」などで執筆。『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』(洋泉社)に寄稿。
ブログ:http://blog.livedoor.jp/heretostay/
twitterID:@daitotetsugen

藤谷千明
ヴィジュアル系とヤンキーマンガとギャル雑誌が好きなフリーライター。1981年生まれ。執筆媒体「サイゾー」「Real sound」「ウレぴあ」ほか。共著に『すべての道はV系へ通ず。』(シンコーミュージック)がある。
twitterID:@fjtn_c

EXILE×高橋ヒロシのキメラ映画が爆誕!『HiGH&LOW THE WORST』に見るヤンキーマンガの到達点(前編)

 現在公開中の『HiGH&LOW THE WORST』について、ヤンキーマンガや映画を長年見続けてきたライター・藤谷千明氏と、アクション映画やバイオレス映画に造詣の深いライター・加藤ヨシキ氏が4度目の集結を果たし、放談を繰り広げる。(以下、映画『HiGH&LOW THE WORST』のネタバレを含みます)

編集部 前作『FINAL MISSION』公開時の座談会の際、「これが最後の祭だ!」なんて宣しましたが、新作公開ということで再びお集まりいただきました。

藤谷 あれからもう2年……。

加藤 お久しぶりですね。

編集部 ハイローが終わらない限り、この座談会も終わりません。ということで、もうかなりレビューや批評が世に出ているので、ここではネタバレ全開の無礼講でいきたいと思います。特に、原作の『クローズ』をはじめヤンキーものの系譜に詳しいおふたりなので、その点から今作を語っていければ。

藤谷 ハイローと高橋ヒロシ作品とのコラボって、よく考えたらすごいことですよ。初めて鬼邪高校を見たとき、「なんだこのクローズの二次創作は」って思いませんでした? 私は思った。

加藤 そりゃ思いましたよ。

藤谷 LDHと高橋ヒロシ先生はかなり前から交流があったし、高橋先生のマンガを愛好しているメンバーも多いんですよ。昔、「月刊EXILE」でマンガ特集があって、メンバーの好きなマンガをあげるページで、HIROさんを筆頭にみんな『クローズ』や『WORST』を紹介していました。だからEXILE的な男らしさと高橋ヒロシ作品の男らしさってわりと共通点は多いというか、むしろHIROさんの思う“男らしさ”のルーツの中に高橋ヒロシ先生の作品がある。

加藤 『エグザムライ戦国』も高橋ヒロシ先生がキャラクター原案でしたよね。

藤谷 でもそれにしても鬼邪高は、当初「あんな無邪気な二次創作をやっていいのか」という驚きがありました。それが本当に本家とコラボするとは。こんなこと、前例がないのでは。

加藤 そうですね。まさかこのコラボを本当にやるとは思わなかったですよ。ハリウッドでいうと、『トワイライト』の同人小説を、キャラを少し変えて映画にまでしてしまった『フィフティ・シェイズ』というアクロバティックなシリーズがあります。そんなことって日本ではあんまり起きないですよね。怒られることはあっても実現はしない。そこの驚きがまずありました。

藤谷 さすがラブ、ドリーム、ハピネス。しかもそれがめちゃめちゃおもしろい映画になっているという奇跡ですよ。

加藤 そう、僕がすごくびっくりしたのは「成功している」ってところです。『THE WORST』には、『ハイロー』にしかないものもあるし『クローズ』にしかないものもあって、それぞれがうまいこと混ざって補い合っている。たとえば、轟や小田島みたいなキャラクターは高橋先生のマンガには絶対出てこない。これはハイロー側の持ち味です。対して、物語中で描かれる絆であったり主人公の楓士雄のキャラだったりは高橋ヒロシ先生の要素。特に、最後のタイマンで楓士雄が佐智雄に負けちゃうところはすごく高橋ヒロシ感があるな、と思います。「主人公が負ける」って、ハイローからはあんまり出てこない発想だと思うんですよ。ハイローの世界で高橋ヒロシ先生的な主人公が高橋ヒロシ先生的に負けて、そこにハイロー的なキャラである轟が手を差し伸べて2人で立ち上がる。コラボとして象徴的で完璧なシーンだと思いました。

編集部 『ザム』のときに行なった最初のこの対談でも、「決着がつかない」問題は話しましたね。

藤谷 「LDH同士だと決着がつかないバトルが多い」という話ですね(キリンジは負けていますが……)。今回も相手は志尊淳君ですが、LDHの次世代を担うTHE RAMPAGEのボーカルが負けるところを描くっていう意味でも面白さがある。

加藤 あそこで負けて、楓士雄のキャラが立ったと思いました。

藤谷 あれがないと、単に「ひとたらしでケンカが強い人」に留まりますからね。楓士雄のキャラクターは、『クローズ』の主人公の坊屋春道、『WORST』の主人公・月島花がベースにあるんだろうなと思います。特に月島花の影響は大きそう。楓士雄は轟を「ドロッキー」って呼んだり、上田佐智雄を「サッチー」と呼んだりと、変なあだ名をつけたりするじゃないですか。そういうところも月島花を思い起こさせます。それと、みんながピリピリしている場所でも口をムニッとさせて「ん?」みたいな表情でほわーんとしているところは、月島花っぽい。川村壱馬くんが完全に月島花をインストールしている。

加藤 立ち姿やビジュアルは映画『クローズZERO』の滝谷源治で、中身が月島花なんですよね。

藤谷 高橋ヒロシ作品のキメラだからこそ、人間味がなさすぎるというのはあるかなと思いました。「誰からも好かれる」というキャラクターとして描かれるものの、好かれる理由はドラマでも映画でもそこまで書き込まれていない。単に「めちゃめちゃいいやつ」ということしか触れられていない。村山ちゃんが轟に「あいつはお前にないものを持ってるかもしれないぜ」って言っていたけど、その“持っているもの”の背景はそんなに見えてこないんですよ。

加藤 そこは僕も問題に感じました。鬼邪高校の面々が楓士雄を祭り上げてリーダーに据えて納得している理由は「昔からの知り合いだから」に集約されてしまう。つまり「顔が広いから」になっちゃうんですよ。「顔が広いからリーダーです、轟はそれに及びません」っていう扱いをされると、顔が広けりゃ最高の男なのか? って話になるじゃないですか。じゃあカラテカ入江が最高の男なのか? って話になっちゃうじゃないですか。でも、さっきも言った通り、最後の最後で負けることで、彼の魅力が出たと思います。あそこで負けたことで「この子はこうやって負けたことを素直に受け止められる子なんだ。だからこれから先、鬼邪高校の人と殴り合って本当の意味での頭になっていくのかな……続編に期待!」みたいになる。ただ、この1本だけだと、まだ鬼邪高校の頭と言っていいのかどうなのかとは思いますね。

藤谷 それって原作の『WORST』の問題でもあるんですよね。月島花の主人公補正はすごいですから。周囲の人たちが「あいつは鈴蘭を背負う男だ」って言うから、すごい人なんだな、って読者が思う。それは当時の高橋先生のモチベーションの問題でもあると思うんですけど……。『クローズ』である程度、男の子の青春を描ききったわけじゃないですか。そのあとに『QP』で「青春が終わった後はどうする?」というのを描いた。ちゃんと手に職をつけて大人になろうとする石田小鳥と、ずっと子どもでいたいからヤクザの世界に入っていく我妻涼、という対比があった。『WORST』も一応、鈴蘭にいてもロクな未来がないから鈴蘭という場所を変えなきゃいけない、変えてくれるのが花かもしれない……みたいなテーマがあったんですけど、そこをちゃんと描ききらないまま33巻までいってしまった。とにかくキャラクターが多くて、良くも悪くもそれを見て楽しむものになっちゃったんですよね。

加藤 どんどんいろんな組織が出てきて登場人物が増えて、「なんかすげぇな」って人は出てくるけど、じゃあ話が進んでるかというと実はそうでもない……という問題はありました。

藤谷 連載中に映画『クローズZERO』がヒットして、さらに人気が出たからシリーズは続けないといけなくて、そして異様にスピンオフが増える……という。

加藤 本当に異様に増えましたね。ちょっと話が逸れるんですが、今「週刊少年チャンピオン」で連載中の『WORST外伝 グリコ』は若干ハイローの影響を受けてるんじゃないかっていうくらい話がぶっとんでいて面白いです。福岡を舞台に花木九里虎の中学時代を描いてるんですけど、本当にすごくて、要塞みたいな学校が出てくるんですよ。

藤谷 完全にハイローだ。

加藤 口が裂けてるヤツなんかも出てきます。しかもヤンデレで、自分の憧れの先輩が九里虎に夢中だから「あの九里虎っていうヤツを消してやろう」って考える。それまで普通に博多弁でしゃべってたのが、そこだけ「九里虎くん、君を消さないとね」みたいになる。そういう過剰さは、ハイローと接近したことによる良い作用なのかなと思いました。

藤谷 『WORST』の中でも『クローズZERO』の芹沢多摩雄や滝谷源治の存在に言及したりしてますからね。コラボやスピンオフに対する高橋先生のそういう寛大さが『THE WORST』を生んだのかもしれません。

加藤 普通このコラボは許さないですよね。だって手塚治虫のところにディズニーが『ライオンキング』持ってきて「すみません、これと『ジャングル大帝』をコラボさせてください!」って言ったらキレるじゃないですか、多分。手塚先生も帽子を叩きつけますよ。ベレー帽パーン! ってすると思う。

編集部 劇場特典の冊子「WORST 816」の高橋先生へのインタビューによると、「鬼邪高校の設定に違和感があり、そんな世界に鳳仙を出すわけにはいかないと思っていた。でもHIROさんが『鬼邪高を叩きのめしてください』と言ったので燃えた」ということらしいです。

藤谷 でもそれは『クローズZERO』のときもそんな感じだったから……「実写化は絶対にしないと考えていたが、旧知のやべきょうすけさんの真摯な説得により実現」みたいなこと言ってたから……。今回はハイロー脚本陣が高橋先生の作業場に出向いて、一緒に泊まり込みで脚本をつくったそうですし、体育会的なコミュニケーションが行われたに違いない(断言)。

編集部 プロジェクトが発表される前から高橋さんのインスタにTHE RAMPAGEの子たちがよく登場してました。

加藤 おそらく何度も飲みを重ねて、腹を割って話せるようになったところでいい感じにまとまったんでしょうね。

藤谷 LDH側はみなさん『クローズ』大好きでインストールされてるでしょうし。『THE WORST』に関してオロチ兄弟の2人(小森隼・中務裕太)にインタビューしたんですけど、「GENERATIONSのメンバー同士で『WORST』を共有で買って読んでいた」というめっちゃいい話がありました。「俺の『WORST』、今どこにあるんだっけ?」「龍友の家じゃない?」みたいな感じで。中学生感! 小森くんは特に好きらしくて、好きなキャラクターを聞いたら「ゼットンとブルで悩みますね……」と真剣に考えてました。(アプリ「ぴあ」10月7日掲載「『HiGH&LOW THE WORST』小森隼・中務裕太「大人が存在しない“青春”の世界を楽しんでほしい」)

編集部 俳優枠じゃない小森さんと中務さんの2人がすごく良かったのは、LDHオタク的には収穫でした。ほかの人より体格が良いところも、『クローズ』世界の住人という感じがしてよかったです。

藤谷 「もっとEXILEになったほうがいい」じゃないですけど【https://www.premiumcyzo.com/modules/member/2017/09/post_7810/】、「もっと『クローズ』になったほうがいい」ということで日サロに通ったり体重を増やしたりしたみたいですね。それと、久保(茂明)監督ももちろん高橋ヒロシ作品が大好きじゃないですか。高橋先生の絵は集団の佇まいが美しいから、すごく参考にしているという話をインタビューでされていて。実際、映画の随所に制作陣のこだわりがあふれてますよね。鈴蘭高校の壁の落書きや、『クローズZERO』に出てくるGPSのステッカーだとか。

加藤 原作の雰囲気の再現度はめちゃくちゃ高い。下手したら『クローズZERO』よりも高いかもしれません。あれも再現度は高かったですが、同時に三池崇史さんという偉大な監督の作品という文脈があるので。『THE WORST』は、たとえば『クローズ』のトリビュートに『浦安鉄筋家族』の浜岡賢次先生が寄稿した作品の中で、『浦安』のキャラクターたちが「今からみんなでクローズ歩きしようぜ!」って言って見開きで『クローズ』っぽい歩き方をするコマがあるんですよ。

藤谷 (爆笑)

加藤 そういう「クローズ歩き」「クローズ立ち」も、『THE WORST』は完璧に再現してます。

編集部 久保監督はEXILEのMVで一列に並んでゆっくり歩いてくる「EXILE歩き」をつくった人ですが、「クローズ歩き」はその大元なのかもしれませんね。

藤谷 原作がらみで私がすごくいいと思ったのが、誠司の「きゅうり演説」ですね。あそこで「彼らはグレてるわけでもひねくれているわけでもない」的なことを言うじゃないですか。あれは『クローズ』1巻の坊屋春道のオマージュなんですよ。そして高橋ヒロシ作品におけるポリシーでもある。それを優等生に言わせる書き換えがおもしろい。しかも「真っ直ぐなきゅうりになってみせる」って啖呵を切る。それも間違ってないんだ、っていうのがいいですよね。ヤンキーものにありがちな「優等生のほうが実は悪いヤツ」理論から距離を置いてる。

加藤 そこから脱したのは多様性があっていいですよね。セリフの使い方もいいですし。うまいことサンプリングしたな、と。

藤谷 日テレが『ごくせん』から脱却したな! って思いました。まだ原作を読んでいない人も多いと思うんですけど、『クローズ』『WORST』を読んでから観ると、めっちゃ奥行きが出るはずです。

加藤 そう、奥行きが出るんです! そういえば、僕は『THE WORST』を見終わったときに、これはコラボであると同時にサンプリングだと感じたんです。それで、これに似た形って過去に何かあったかな? と考えたときに、1995年のビルボードアワードを思い出しました。クーリオというラッパーが出した「ギャングスタズ・パラダイス」が受賞したんですが、この曲はスティービー・ワンダーの「パスタイム・パラダイス」をサンプリングしていて、授賞式ではスティービー・ワンダーが登場してバースを歌ったんですよ。この一連の流れと似ているな、と。元ネタの「パスタイム・パラダイス」は哲学的な歌詞なんですが、「ギャングスタズ・パラダイス」は曲名通り、荒れた生活をストレートに歌ってるんです。もとは社会意識の高い歌を、あの過ちは消えない、生まれた場所も誇れない人たちの歌に書き換えるという、サンプリングのおもしろさがある。さらにそこに本人が来て歌うことでより文脈が複雑になる。

藤谷 サンプリングというのはたしかにありますね。

加藤 やっぱりLDHという会社はヒップホップ・マインド、ミュージシャン・マインドみたいなものが強いんだな、と。『THE WORST』にはヒップホップ感がある。ある意味、常識に縛られていたらこんなコラボ企画は動かさないですからね。

藤谷 秋田書店から始まって、各方面に話をつけないといけないですしね。大人の力の見せどころですよ。(後編に続く)

まだまだ続くハイロー放言!後編は明日公開です!

『HiGH&LOW THE WORST』
監督:久保茂昭/脚本:高橋ヒロシ、平沼紀久、ほか/出演;川村壱馬、吉野北人、山田裕貴 ほか

2015年のテレビドラマから始まった『HiGH&LOW』シリーズ、その劇場版第6弾。全国から札付きの悪が集まるという鬼邪高校内で起こる派閥争い、さらには鳳仙学園との熾烈なケンカを描いた青春群像アクション。人気マンガ『クローズ』シリーズとのコラボとして、脚本にはマンガ家・高橋ヒロシも参加している。

加藤よしき
ライター。1986年生まれ。「Real sound」などで執筆。『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』(洋泉社)に寄稿。
ブログ:http://blog.livedoor.jp/heretostay/
twitterID:@daitotetsugen

藤谷千明
ヴィジュアル系とヤンキーマンガとギャル雑誌が好きなフリーライター。1981年生まれ。執筆媒体「サイゾー」「Real sound」「ウレぴあ」ほか。共著に『すべての道はV系へ通ず。』(シンコーミュージック)がある。
twitterID:@fjtn_c

ジャニーズWEST、関西Jr.の“闇期”暴露――「関ジャニ∞に怒られる」「衣装置くとこない」

 10月31日放送のラジオ番組『ジャニーズWEST 桐山照史・中間淳太のレコメン!』(文化放送)に、関西ジャニーズJr.出身で、現在はジャニーズ所属の俳優として活動する浜中文一がゲスト出演。下積み時代、ともに仕事をしていたジャニーズWEST・桐山&中間と、“関西Jr.ならでは”の苦労話や、珍事件をぶっちゃけた。

 一時期は関西Jr.のメンバーで結成されたVeteran(ベテラン)や、滝沢秀明がプロデュースしたユニット・舞闘冠にも所属していた浜中。2017年秋頃に関西Jr.を卒業し、以降は舞台などを中心に俳優業に勤しんでいる。また、今年1月期の深田恭子主演ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)に出演したことでも注目を集めた。

 『レコメン』パーソナリティの桐山、中間との共演は久しぶりだそうで、この日はリスナーが送ってきたお便りを紹介しつつ、懐かしいエピソードの数々に言及。あるリスナーから「2007年、夏の(大阪)松竹座公演で、文ちゃんがやっていたギャングというキャラを覚えてますか? 文ちゃんが頭にピンクのヘアバンドをして、タンクトップを着て、『武器は歯ブラシ』と言ってました。あの時は会場で爆笑させてもらいました」と具体的な思い出が届くと、

浜中「やってたな。何やってんねやろな」
桐山「俺らも意味わからないこといっぱいやってたよね」
浜中「関西Jr.の“闇期”よ」
桐山「あれだけやってて、今考えたら普通に、俯瞰で見たら『何やってんねや(という状況だったが)』誰も怒る人がおらんかった。見に来てない、誰も。ジャニーさん(ジャニー喜多川前社長)もけぇへんし、当時サンチェさん(有名な振付師)とかも全然けぇへんかったから、『なんでもええやん』みたいな」

 と、事務所の関係者も観劇に来なかったため、関西の現場は“無法地帯”だったと振り返った。また、12年放送の『ザ少年倶楽部 in 大阪』(NHK BSプレミアム)にて、少年隊の楽曲「まいったネ今夜」で披露したタップダンスが「カッコよすぎた」というリスナーの声も。中間は覚えていたものの、桐山と浜中は記憶にないようで、「タップダンスなんかやったっけ?」と漏らす浜中。「タップシューズ履いてました?」と意味深に尋ねたところ、中間は、

「タップシューズは……(笑)。ジャニーズはね、スニーカーでも音鳴るんすよ。今はちゃんとやってますけど。当時はね、タップシューズを買う金がなかったの。何人かしかなかったの」

と、暴露。彼らがいた時期は、スニーカーでステップを踏みながらタップダンスの音を流して誤魔化していたのか、桐山は「よくよく考えたらさ、タップってめちゃめちゃムズいやん。どれだけうちら、ダンス経験めちゃくちゃ長くても、タップはできへんかったのにさ、今のJr.の子らって、スゴいよね。ホンマに打ってるやん。スゲーなと思って。俺らは歩けば鳴ってんけどな~」と打ち明けた。さらには、

中間「昔はな、ナイキのスニーカー」
桐山「しかも悪いのがさ、カメラアップにしてんもんな」
浜中「そうやねん。足元アップにすんなよ!」
桐山「しっかり普通のスニーカーやねん」
中間「事情があんねん、こっちには」

 と、愚痴が止まらない3人。とはいえ、桐山はあらためて「今はちゃいますよ!」と、あくまで現在のJr.はきちんとレッスンを積んだ上で本当にタップダンスを見せていると、補足していた。ほかには、関ジャニ∞メンバーのレギュラーバラエティ『ほんじゃに!』(関西テレビ、03年4月~07年4月放送)などでの過酷な環境を回顧。

桐山「30分番組のラスト5分かに、曲をやるのよね。でもそれが、2カ月分ぐらいまとめて撮るから。もう、(曲やダンスを)覚えるのがまず大変やし。衣装も、もうどれ着てええかわかれへんし」
浜中「早(着)替えせなあかんけど、衣装置くとこ全然ない、みたいな」
中間「ホンマにスゴかったな、あの時代」
浜中「着替えるの遅かったら怒られるし。エイトに」
中間「むちゃくちゃやで。世が世なら“パワハラ”やで。世が世なら(中略)今やいい思い出やけどな」

 こうして辛酸を舐めてきた若い頃を経て、今はそれぞれ活動の場を広げている浜中、桐山&中間。浜中は、11月~12月にかけて東京、大阪、福岡で上演されるミュージカル『50Shades!~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』で主演を務めるほか、12月にもJr.内ユニット・宇宙Sixの松本幸大とのW主演ミュージカル『ELF The Musical』(東京・大阪)が控えるなど、大忙しだ。当時の反骨精神があったからこそ、現在の活躍につながっているのかもしれない。

吉本興業芸人にカネ絡みの不祥事が続いた要因か? 「先輩が後輩におごる不文律」の弊害

 ブレイクして人気芸人となれば、武勇伝としてネタにできるが……。

 10月29日放送の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)にて、南海キャンディーズ・山里亮太が、「一生頭が上がらない」と先輩として千鳥・大悟を挙げたことが話題を呼んでいる。

 番組では「後輩にちゃんと慕われてる? 相思相愛ウラ取りグランプリ」を開催。芸人に対して「可愛がっている後輩芸人」10名をランキング形式で選出してもらい、その後、実際に後輩も自分のことを慕っているかどうか検証するという企画だった。

「大悟が可愛がっている芸人に選んだのが山里で、調査の結果、両者とも相思相愛。山里によると、若手時代の大悟は、後輩が賞を獲ったりオーディションに受かったりすると、『お前ら運ええな。たまたま金が入ったから』と言って、回らないお寿司屋に連れて行ってくれたといいます。しかし、当時の大悟は今ほど売 れていなかったため、裏では借金をしてまで後輩の面倒を見ていたそうです」(テレビ誌記者)

 吉本においては、先輩芸人が後輩芸人におごるという不文律がある。

「ダウンタウン・松本人志は芸歴30年で後輩たちへのおごり代が1億円を超えていると言い、『生まれ変わったら僕の後輩になりたい』と語っています。また、千原ジュニアは約20人の『ジュニア軍団』の面倒をみるために、年間3,000万円近くおごっているとのこと。品川庄司・品川祐は27歳時に150万円の借金をして後輩にごちそうしていたとも。逆にサバンナ・高橋茂雄は今まで先輩に合計3,000万円くらいおごってもらっていると明かしていました」(芸能記者)

 ともあれ、吉本芸人が闇営業や脱税に走ったのは、こうした暗黙ルールも遠因にあるとの指摘もある。

「吉本の先輩後輩は年齢ではなく芸歴で決まる。つまり、売れていない先輩芸人が超売れっ子の後輩におごらなければいけない場面もあるわけです。そのため、多くの芸人が金の工面に頭を悩ませていて、吉本の劇場の楽屋は怪しいバイトや投資の情報交換の場となっており、数年前には仮想通貨につぎ込んだあげく貯金を全て失った芸人もいたほどです」(前出・芸能記者)

 太田プロ所属の有吉弘行は、以前「後輩が連れてきた後輩にはおごらない」と番組で話していたが、時代錯誤とも言える吉本ルールの弊害が表面化してきているのかもしれない。

日テレはジャニーズと「新しい地図」の両取りを実現する?

今年8月に、ジャニーズ事務所を辞めて新しい地図として活動する香取慎吾さんが『スッキリ』(日本テレビ系)に出演、同じく稲垣吾郎さんもVTR出演し、話題となりました。日テレはジャニーズ事務所との蜜月が他局以上に濃厚だといわれていますが、なぜ実現できたのでしょうか?

 その裏情報を探るとともに、日テレが1時間枠で30分×2本という新たな挑戦をして好評を得ている新ドラマ『俺の話は長い』についてもアツが紹介していきます!

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 皆さん、ごきげんよう。アツこと秘密のアツコちゃんです!

 先週、堂本剛くんの主演ドラマ『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)について書いたけど、このドラマのチーフプロデューサーに名を連ねていたお一人が現在、日本テレビの代表取締役社長である小杉善信氏。

 アツが小杉さんに出会った時はドラマ班にいらして『金田一少年~ 』の他『 家なき子』や『星の金貨』、堂本光一くん主演の『銀狼怪奇ファイル』、三谷幸喜さん脚本で浜田雅功さんが主演を張った『竜馬におまかせ!』、香取慎吾くん主演で話題をさらった『透明人間』、松岡昌宏くん、井ノ原快彦くん、小原裕貴くんで人気を博した『サイコメトラーEIJI』や長瀬智也くんと岡田准一くんが共演した『D✕D』、KinKi Kids2人の主演作『僕らの勇気  未満都市』や、松兄ィと生田斗真くんが出演した1998年の『LOVE&PEACE』等……ジャニーズドラマをいっぱい制作してきた方なのね。

 ジャニーズとの強いパイプを作った第一人者で20年以上も前から「敏腕プロデューサー」と呼ばれていたんだけど、ペーペーのアツたちにも気さくに話しかけてくださったりして、噂とは違って(!?) とても優しいお人柄で記者たちにもすごーく人気があったのよ。どんどん偉くなられたけど、今でもいつお会いしても「おー、元気だった?」なんて声をかけてくださるしね。

 かつての名物会長・氏家齊一郎氏も末端の新米記者にまで「何か不都合なことはないかな?」なんて聞いてくださったりしていたからちょっと似たタイプなのかもしれないけど、カリスマ性があって各界との深く強固なつながりで、世界をどんどん広げていくというかね。

 それでね、小杉社長はドラマだけじゃなくてバラエティーやスポーツ、情報番組全般など全てに精通していて顔も広いから……日テレの事情通によると、新しい地図の3人の復活にも一枚噛んでいるらしいの。

「ジャニーズとの蜜月状態は健在だけど、日テレが新しい地図を番組に出演させたのも小杉さんたちの息がかかっているかららしい。小杉さんのことだから、また視聴者をあっと驚かせるような企画を考えているんだと思う。ただ何事もトップ会談で決まることが多いから現場スタッフは直前になって知るらしくてね。いつもバタバタするそうだよ」

 ほら、以前の記事でも紹介したじゃない? <慎吾のテレビ出演は嬉しいの一言に尽きる。だけど今までどの局よりも早く徹底した“SMAP切り”及び“新しい地図切り”をしてきた日テレが『どーぞどーぞ』とばかり、手のひら返しで素早く動き出した辺りがめちゃくちゃきな臭いし、何だか釈然としない>って。

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 でも、小杉さんの息がかかっているとしたら納得。ちょっと意味合いは違うけど、今年は即位の礼に合わせ恩赦が実施されたぐらいだし、来年は東京2020オリンピック競技大会及び東京2020パラリンピック競技大会だってあるし、国際パラリンピック委員会の特別親善大使を務める稲垣吾郎くん、草彅剛くん、慎吾くんが地上波復帰をしたって、もうどっからも(っていうかジャニーズ事務所からも)文句は出ないんじゃないかしら?

 彼らのテレビ復帰を待ちわびている人はいっぱいいるんだもの。願いも込めてだけど、人一倍世論に敏感な小杉社長がその意を汲まないとは到底、思えないのよね。信じてるわ~!

 

『俺の話は長い』が異色ドラマなわけ

『俺の話は長い』Twitterより
 ……と、汐留でランチをしながらあーだこーだ"いつメン"たちと話をしていたのだけど、急に思い出したかのように編集者のY先輩が「そう言えば生田斗真くん主演の土曜ドラマ『俺の話は長い』は見てる?」と言い出したので、後編はこの面白すぎるドラマの話題を!

 アツが「見てる~。斗真くんが上手くて正直、全然期待してなかったんだけど引き込まれちゃった」と言ったら、我が意を得たりとばかりY先輩は誇らしげに語り始めたの。

 「だよね、斗真の日テレ連ドラ出演は『LOVE&PEACE』以来の約20年ぶりで、今回が日テレ連ドラ初主演作。斗真ファンにとっては待ってましたの作品。しかも1時間ドラマなのに"30分✕2話"という新しい形をとっていて、それがジャストサイズで見やすいの。だから斗真くんファンだけじゃなくいろんな人に見て貰えるはずの新感覚ドラマなのよね。

 視聴率は今のところはかなり厳しいけれど、視聴者の評判は上々。何より生田斗真の演技が自然で上手いし、姉役の小池栄子との掛け合いもテンポがよくて最高に面白いから見ていて飽きない。あまり話題になってなくて本当に残念よ。アツ、櫨山裕子プロデューサーと仲がいいんでしょ。何か聞いてないの?」とまたいきなり矛先がこちらに。やっぱりきたよ~。

 櫨Pはこのドラマで“テンポ感”を重視したみたいなの。今の世の中、テレビはみんな"ながら見"でしょ。興味があちこちに向いている忙しい現代人をテレビの前に1時間も座らせることはなかなか難しいと分かった上で、ちょうどいいサイズを探していた様子。それが1時間枠で30分を2本勝負って感じになったんじゃないかな。『金田一少年の事件簿』も手がけた大ベテランの櫨Pだし、まだまだいろいろと仕込んでくると思うわ。……とアツが答えたところでようやく解放。ホッとひと息よ。はぁ、急に振らないで。

 でもね、『俺の話は長い』は本当に面白いの。斗真くんが演じる岸辺満は31歳で独身、実家暮らしの無職男。早朝に原田美枝子さん演じる母親にコーヒーを入れる他はやることなし。朝になってから寝るようなグータラな生活をしながらも屁理屈を言わせたら日本一というダメ男。そんな満の元に小池栄子さん演じる姉・綾子がやってきたの。

 姉の綾子は家のリフォーム中だけ実家暮らしを、と安田顕さん演じる夫と清原果耶ちゃん演じる娘(満にとっては姪っ子)を連れて転がり込んできて、ニートの弟と大バトルがぼっ発するというホームコメディー。キャリアウーマンの姉と職なし弟の喧嘩は両者、口が達者なだけにクスッと笑えるし、でもたまにちょっと共感したり、屁理屈をこねまくる満の哀愁を感じて愛らしく思えてきちゃったりして「負けるな、頑張れ~」と、いつしか応援している自分にビックリよ。まさに斗真マジックね。

 

だらしない男を「愛おしいダメ男」にする生田斗真の演技
 20年前、『LOVE&PEACE』で生田スタジオに来ていた斗真くんはまだ実家暮らしで、15歳ぐらいだったかな。松兄ィと「生田スタジオに生田斗真がいるよー」なんて言いながらよくからかっていたっけ。生田スタジオの屋上に遊びに行ったきり迷子になっちゃって大捜索したり、マネージャーさんもいないジャニーズJr.だったから、カメラマンの車で実家まで送って行ったりね。

 その頃は松兄ィの真似をしてやんちゃな言動を取ったりして、その度にスタッフから怒られたりしていて。そりゃじっとしていられない騒ぎたい年頃だったし、まだ演技がどうのって段階でもなかったから仕方ないけど。その後すぐに松兄ィと劇団☆新感線の舞台『スサノオ~神の剣の物語』に出演して、舞台稽古を見に行ったら「緊張するー、覚えることがいっぱいだよー」なんて泣き言を言っていて心配したわ。

 でも舞台は大成功してそこからはどんどん演技者としての活動が増えていった斗真くん。Four Topsとして君臨していた頃は「歌って踊れるアイドルとしてのCDデビュー」を夢見ていて、コンサートでもキラキラ輝いていたけど、紆余曲折あって役者の道へ。ハッキリ言って15歳の頃は斗真くんがこんなにいい役者になるなんて思ってもみなかったから、彼が見えない所でどれだけの努力を続けてきたのか、考えるだけで胸が熱くなっちゃうわ。

 この20年、舞台や映画出演の際に折に触れインタビューをしてきたけれど、「あ~、この人は本当に役者になったんだな」と肌で感じたのは映画『人間失格』の時だったかしら。ちょっとした悲壮感を漂わせていて"役者オーラ"が滲み出ていて感動したのを覚えているわ。松兄ィにもすぐ報告しちゃったぐらい。

 そんな斗真くんが満を持して日テレの連ドラに初主演。ファンの皆さん、『私たちの待ち時間は長い 』って感じだったわよね~。とはいえ、このテレビ離れが激しい昨今、秘策はあってもどうなることかと心配していたの。だけど蓋を開けてみたら斗真くんの達者な演技にグイグイ引き込まれちゃったし、美枝子さんや栄子ちゃん、そして櫨P作品には欠かせない顕さんが長いセリフのやりとりで魅せてくださって完璧なのよ。

 あのカッコイイ生田斗真をここまでのダメ男にした本人とスタッフに脱帽よ。ボサボサ頭でヨレヨレのジャージ姿、ヘナチョコな脱力系の後ろ姿といい、どこをとっても満そのもの。現実にいそうなクズ男なんだもの。どうやって満を作り上げのか本人に聞いてみると「えっ、地だから。作ってないよ。俺のオフなんてこんなもんよ、もっとボサボサだもん」って、そんなバカなぁ。

 丁々発止の長ゼリフのやりとりも本当に息ピッタリだけど「みんなで稽古してますよ。長いから大変なんだけどセリフを覚えたかどうか、お互い探りあって。テンポが大事なんだけど何も言わなくてももう合ってきてる。すごいチームワークだなと我ながら感心する」んだとか。31歳なのに優しいお母さんや天敵のお姉さん相手にお小遣いをせびり、不登校だった姪っ子のお世話を5000円で引き受けようとしたり、そのセコさも笑えるところ。

 斗真くんは「ダメ男なんですけど、彼なりの人生のルールみたいなものがある。見えにくいし分かりにくいけど家族に対する愛情はちゃんと持っている男です」とキッパリ。うんうん、伝わってくるよ。不器用さもね。愛おしいダメ男を演じるってホントはめちゃくちゃ難しいもの。それをいとも平然とリラックスして演じる斗真くんには頭が下がるわ。

 脚本家の金子茂樹さんとは何度かタッグを組んでいるけれど「ひねくれ度合いが増していて面白いとしか言いようがない。他人の家のリアルでくだらない大喧嘩を楽しんで貰えたら。気楽に見ていただける作品だと思います」とPR。満独自の"こだわりの言い訳"三昧は一見の価値ありよ。斗真くんの役者としての確固たる力量と自信、精神的な余裕が伺える作品になっていて断然オススメ。飽きずに見られる30分ものだし、スピード感があるからあっという間だしね。毎度のことながら『アツの話も長い』けど、週末の土曜夜10時、寝る前に斗真くんの長い長い言い訳をぜひ一度聞いて&見てあげて欲しいです!