誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。
「四柱推命」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「占いの帝王」と言われる程よく当たると評判で、スピリチュアルの世界ではポピュラーな占いです。今回は、その“まがい物”である「子宮推命」を紹介します。……そう、怪しいスピリチュアル界隈の代表格とも言える、あの「子宮委員長はる」がまた登場します。
「四柱推命」は古代中国を起源とし、中世以降に広く普及した歴史がありますが、「子宮推命」は假屋舞さんという女性が、最近考案したものです(この時点でもううさんくさいんですけど!?)。假屋さんご本人のブログは、2015年3月21日に最初の投稿がされており、「6年間、ガールズバー、キャバクラ、風俗で働き現在は雑貨屋の店長をしております」との自己紹介が。四柱推命との出会いは、「信頼している女性からの紹介だった」そうで、「元々占星術とかスピリチュアルなことが好きだった」「勢いで鑑定師を目指すことにした」とつづられています。その後、「相性鑑定の使い方」といったハウツー的な内容から、個人セッション(鑑定)の受け付けなどの更新が続き、すぐに「四柱推命鑑定士の舞」と名乗るようになります。
四柱推命と“子宮系女子”の出会い
15年12月27日の更新では、「子宮委員長はるちゃんを鑑定」したとの記述が登場。同年9月に『子宮委員長はるの子宮委員会』(KADOKAWA)が出版され、「子宮委員長はる」の名前が売れ始めた頃です。假屋さんは同記事の中で、「四柱推命の鑑定書=子宮の声」とめちゃくちゃなことを言い始め、「四柱推命式子宮メソッドにしようかな」「もっと四柱推命を知ってほしいし、潜在意識や子宮の声との繋がりを追求していきたい」と、今後の展望を語っています。ちなみに、現在「八木さや」と名前を変えている子宮委員長は、18年末に長崎県壱岐市へ移住していますが、それまで住んでいた都内の自宅は、現在、假屋さんが住んでいるそう。2人が単なる「教祖と信者」「占い師と客」の関係ではないことが、このことからわかるでしょう。
假屋さんのブログを読むに、「子宮推命」は彼女個人の思想や、研究に基づいて生まれたものではなく、子宮委員長が提唱した「子宮メソッド」の影響を強く受けているようです。「そんなもんがまかり通るのかよ!」と思いますが、16年4月15日に更新された假屋さんのブログには、「四柱推命の師匠」である鳥海伯萃氏に「子宮推命鑑定士でやっていく」ことを相談しに行き、その結果「子宮推命大絶賛、大賛成」されたと、喜びがつづられています。假屋さんはこれにより、「子宮推命」に“お墨付き”を得てしまったのです(おいおい師匠、なんてことしてくれたんだ……!)。
晴れて正式に(?)誕生した「子宮推命」ですが、假屋さんはそのノウハウを詰め込んだ教材一式を販売しています。お値段、なんと30万円(税別)。もう一度言いますが、「子宮推命」は子宮委員長の影響を強く受けた1人の女性が始めた、えたいの知れない占いです。それを学ぶ教材に30万円の価値があるのかどうか、冷静になって考えればわかるはずです。値段にも頭を抱えますが、もっと衝撃的なポイントは、假屋さんがこの教材を使って、新たな“子宮推命士”をどんどん生み出そうとしていることです。
最近更新された假屋さんのブログには、最後に必ずこの教材が宣伝されており、その中には「DVDを購入した方のみ、子宮推命講師と呼んでいます。講師の方々は鑑定だけでなくスクールを開講して子宮推命鑑定士を育てていくこともOKです」との記述があります。さらに、今年8月8日に更新された假屋さんのインスタグラムでは、「子宮推命講師の人たちには、知識が無くても自分が『こうだ!』と思う自由な発想と解釈の可能性を、私を通して見つけてもらえたらいいなあ」とコメント。要するに、教材を買って占いを学ぼうとしている人に、販売者自ら「適当に占っていいし、それを広めてもいいよ!」と告げているのです。
同じ投稿の中で、假屋さんは「子宮推命」について、「占いの統計データという知識をあてにせず、私自身が今『こうだ!』と思うことを勝手に星の解釈にしている占いです」と、自ら“デタラメ占い”だとぶっちゃけています。「自由な発想と解釈」「私自身が今『こうだ!』と思うこと」は、もはや鑑定でもなんでもないように思えます。これが“占い”だと認められるなら、そもそも高額な教材を購入して、ノウハウを知る必要もないのでは?
疑問ばかりが湧いてきますが、「子宮推命士」を名乗っている人は、ネット上にゴロゴロいます(假屋さんが運営する「子宮推命」のホームページから、「全国の子宮推命講師紹介」のページに飛んでみてください)。多くの人に浸透している(ように見せる)ことで、発案者自らデタラメを公言している占いに説得力が生まれ、「噓から出た実」状態にならないとも限りません。「四柱推命」を生業としている占い師の方や、真面目にスピリチュアルを探求している人は、「子宮推命」にもっと怒りを感じ、批判してもいいのではないでしょうか。
怪しいスピリチュアルに“特別な力”は必要ない
最近の假屋さんの動向をウォッチしていると、現在「ハワイ留学」を満喫中とのこと。「往復ファーストクラス」「1カ月半で300万円の宿泊費」など、景気の良いワードが目に付きます。そんなタイミングで、“新商品”とも言うべき「御社(おやしろ)鑑定」なるものを販売開始。メールでの鑑定が5万円、対面だと60分15万円(ともに税別)だそうです。なるほど、そりゃ高級ホテルにも泊まれるわけだ。
今年8月28日更新の假屋さんのブログによると、「御社鑑定」とは「会社の命式、開業届を出した日の命式と代表者の命式をビジネス視点で読み解いていく」ものだそう(編注:「命式」は四柱推命で使われる用語で、その人の性格や適性、運勢全体を判断する表のこと)。9月5日のブログでは、「会社や屋号」について、「ちゃんと意志を持った大きな生命体です。本当だよ」と明言。さらに、「運気が具現化された 会社や屋号という その存在はまるで 天と地を結ぶ龍」「会社や屋号は、どこまでも私を乗せて 大きく拡大繁栄のサポートをする 生き生きとした生命体です」と話が大きく膨らみ、あらぬ方向へ飛躍します(その龍、どっから出てきたの?)。
何を言っているかよくわかりませんが、とにかく“子宮系女子”が好みそうな、スピリチュアルなワードが盛りだくさんなことはわかります。以前、子宮委員長はるが、“信者”へ開業を勧める「自分ビジネス講座」なるものを始めた、という話題を取り上げました。その際、「自分自神(じぶんじしん)」というワードを使っていることにも触れましたが、假屋さんもまた、「天と地を結ぶ龍」は「容易く自分自神には 近付けさせない」と説いています。こうしたことから、假屋さんは「自分ビジネス講座」に触発されて開業届を出した、子宮委員長はるの信者をターゲットにしているのでしょう。いろんな意味で、“うまい商売”です。
今まで取り上げた“教祖様”と比較すれば、假屋さんはまだ広く世間に知られているとは言えないでしょう。しかし、彼女の登場で考えてほしいのは、ネット上にはびこる怪しいスピリチュアルや占いは、何の根拠も軸もない、“教祖様のオリジナル理論”から生まれたものばかりだということ。この業界は、特別なパワーや、未来を予知する能力は必要ありません。なぜなら、自分の嘘で人の心を操り、引き返せない所までお金を払わせても、罪悪感を一切感じない“動じない者”だけが勝つからです。
■黒猫ドラネコ
大分県生まれ、大阪を経て東京都内在住の36歳。職業、性別は非公表。身内が「子宮系女子」となって壊れた経験から、怪しいスピリチュアルや自己啓発セミナーなどの監視と注意喚起を開始。本当の趣味はスポーツ観戦、漫画・アニメ鑑賞。3食スイーツでもいい甘党。
Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)」