「引っ越しシーズン」といえば、新生活がスタートする春先を連想しがちだが、実はこれから“狙い目”な時期がやってくる。8~9月は転勤シーズンのため物件に空きが生まれ、10~12月中旬までは引っ越し業者が「閑散期」のため、費用が安く済むのだ。とはいえ、不動産サイトをのぞいても、素人目では“いい物件”の判断がつかない……。そこで、住居・防犯・風水のプロが「アラサー女性一人暮らし」に最適な部屋をジャッジ。“物件三銃士”が認める理想の住みかは見つかるのか――!?
部屋探しのコツとポイント! 物件三銃士から3つの助言
・「定期借家」は家賃が安い分“事故物件”のリスクもある
・最低2回、自分の目と足を使って「内見」するべし
・「神社仏閣」の近くにある物件は避けるのが無難

<賃貸物件の場所>
・都心部から電車で15分、最寄り駅から徒歩5分
・大通りに面した場所にあり
・近くに幼稚園、小さな神社あり
<賃貸物件の詳細情報>
敷金1カ月分/礼金なし、鉄筋コンクリート、8階建/3階(14戸)、角部屋、管理人巡回、防犯カメラあり、ペット不可、オートロックあり、テレビモニターつきインターフォンあり、宅配ボックスなし、ゴミ出し24時間OK、都市ガス、階段あり、エレベーターあり、定期借家(2年間)
物件サイトを見ていたら、ちょっと変わった間取りを発見。収納はやや小さいですが、洋室は広々としていて、水回りの配置もなかなか使いやすそうです。実はすでに内見には行っていて、ここに決めてもいいかなと思ったのですが、一つ気になる点が……。不動産屋さんから、「この物件の契約期間は2年間です」と言われ、その時初めて「定期借家」の物件だと知りました。これって、2年間住んだら絶対に引っ越さないといけない、ということですか? また、内見に行ったのは土曜日のお昼だったのですが、その際、上の階から足音がして、これもちょっと気がかりです。住んでから後悔しないためにも、内見時に気を付けた方がいいことを教えてください!
「定期借家」は大家に有利!? 暮らし方に要注意! 「住居のプロ」評価 ★★★★☆
まず「定期借家」というのは、一般的な「普通借家契約」と違って、「契約期間が満了すると契約が終了する賃貸物件」のことです。通常の契約では、借主(入居者)を保護する目的で、正当な理由がない限り貸主(大家さん)側から契約を終了することはできませんが、定期借家では、契約で定めた期間が満了になると、契約は原則終了となります(ただし、貸主の了解を得ることができれば再契約できる場合もあります)。つまり、どちらかというと「大家さん側に有利な物件」なのです。
定期借家には大家さん自身のさまざまな事情がありますが、一般的に多いのは、もともと大家さん自身が住んでいた分譲マンションの一室を「転勤等で一時的に家を空けることになったため、その期間だけ誰かに借りてほしい」という「分譲賃貸」のケース。ほかにも、「マンションの建て替えを検討しているので、期間を限定している」といった場合もあります。
分譲賃貸の場合なら、建物構造が頑丈で設備・仕様が充実している物件も多いので、住み心地としてはかなり良好でしょう。周辺相場よりも賃料が安かったり、敷金・礼金がかからない物件もありますから、“期限付き”という条件に納得できる方にはオススメです。
ただし、大家さんにとっての分譲賃貸は、「自分が暮らしていた大切な家」。住戸に対する思い入れが強く、「壁に穴を開けられた」「部屋がタバコ臭くなった」といった、原状回復をめぐるトラブルが起こることも少なくないため、暮らし方には注意が必要です。また「途中で解約できない」など、定期借家ならではの制約もありますので、契約の際は書面内容を熟読しましょう。
定期借家に限らずですが、内見の際には「その建物にどんな人たちが住んでいるのか?」について必ず事前確認を。敷地内に置かれている自転車・自動車の種類や、ゴミ置き場の様子を見れば、だいたい“その物件で暮らしている人たちの層・暮らしぶり”がわかりますから、チェックしてみると良いでしょう。
また、内見時にはメジャーを持参することをオススメします。実は引っ越し当日に意外と困るのが「カーテン」。特に女性の一人暮らしの場合は、防犯の意味でもカーテンは大切な存在ですから、内見時に窓のサイズを測り、引っ越し当日にジャストサイズなカーテンを設置できるよう、あらかじめ準備しておきましょう。
■「住居のプロ」福岡由美(ふくおか・ゆみ)
ライターエージェント、ヒューズ・エンタープライズ代表取締役。住宅ライター・住宅ローンアドバイザー・FP技能士・ ラジオ構成作家。大手生命保険会社で事務職に従事した後、 ラジオレポーターに転身し名古屋・ 東京の放送局で中継レポーターとして活躍。その後、 間取り好きが高じて住宅ライターとしての活動をスタート。 現在は東京・ 名古屋を拠点に全国で取材を行いながら住宅情報ウェブサイト等で コラム・レポートを執筆中。20年超の取材経験を生かし『女性のためのマンション購入セミナー』や『失敗しない家づくりセミナー』などの講師も務めている。
中日新聞「オピ・リーナ」ブログ『なごやのねたや福岡由美の名古屋ネタ帖』
この物件で最も気になるのが、「定期借家」という点です。定期借家は、契約期間が満了すると、基本的には更新できずに契約が終了となります。貸主と借主が合意すれば再契約できますが、必ずしも再契約できるとは限らないため、一つの物件に長く住みたい人にとっては、不向きな物件です。一方で、「長く暮らせない」という理由で借り手がつかないことも多いため、家賃が安く、入居審査が甘い傾向にあります。転勤などで短期間しか住まない人や、収入が少ないため入居審査がなかなか通らない人には、決して悪い条件ではありません。
ただし、防犯面から見ると、定期借家は住民の入れ替わりが激しいと考えられる上に、家賃が安く入居審査が甘いとなると、住民の質がよくない可能性があります。また、中にはいわゆる“事故物件”を貸し出す際に、事故直後だけ安い家賃にし、それ以降は高い家賃にするために、定期借家を用いるケースも。これらのリスクがあることを踏まえ、自分が住むのに不都合がないか、しっかりと考えてから決めてください。
内見では、内装や設備等はしっかり確認すると思いますが、防犯的には建物とその周辺も意識してほしいです。例えば、玄関の周辺に人が身を潜める場所や死角がないか、バルコニーの近くに足場になるような塀や建物はないか、窓が道路や近隣の建物から丸見えにならないかなど、部屋の外からもチェックしてください。また、廊下やエントランス、ポストやゴミ集積所などの建物周辺に物が置きっぱなしになっていたり、散らかっていたりするところは、管理が行き届いていなかったり、住民の質が悪い可能性が高いです。近隣トラブルに巻き込まれることもあるので、避けた方が安心です。
なお内見は、可能であれば、曜日や時間帯を変えて2回以上してほしいところです。平日と休日・朝と夜で、物件の雰囲気が大きく変わることがあります。物件だけでなく、その周辺も自分の足と目で確認するのをオススメします。物件情報に「最寄駅から徒歩5分」と書かれていたとしても、実際に歩いてみると、横断歩道や踏切があって10分近くかかる……なんてこともありますからね。
「内見時に足音がした」とのことですが、防音性が高いと言われる鉄筋コンクリートの物件でも、生活音をゼロにすることはできません。ただ、明らかに気になる大きさの音を感じたのであれば、生活していて不快になる可能性が高いので、選ばない方が安心かと思います。
■「防犯のプロ」河野真希(かわの・まき)
一人暮らしアドバイザー。自らの一人暮らし体験を元に取材や研究を重ね、2001年からWebを中心に各種メディアで暮らしに関する情報を発信。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な、自分らしい暮らしづくりを応援している。また、2016年4月より『料理教室つづくらす食堂』を主宰している。
定期借家の場合、普通の物件よりも早い循環で周りの環境が変わっていく可能性があります。通常、動きが出ることは、風水的に考えると「気を運ぶ」。つまり、「運気が循環する」ことにつながるので、“吉”となります。しかし、不動産に関しては、落ち着いて暮らすことがとても重要なポイントになるため、よほど引っ越しが好きな方でなければ、運気的によいとは言えないでしょう。
吉方位(編注:自分にとっての“いい運”を取り入れやすい方角のこと。一定の周期で変化する)を利用して定期的に引っ越しを行いたい場合には、普通借家契約よりも比較的賃料が安い定期借家契約を利用する手段もあります。しかし、契約が切れるタイミングで吉方位が回ってくるとも限りません。目的があればよいですが、理由なく賃料だけの問題で定期借家を選ぶことは、あまりオススメできません。
また、この物件は形がかなりいびつです。パッと見ただけでも、運勢に凹凸がある状態と言えます。特に、北から北西にかけて大きく欠けており、信頼関係、仕事関係において良くない状態になりそうです。北東エリアに集中している水回りも、自己中心的になりやすく、大きく厳しい変化を強いられる家相となっています。
ちなみに、この物件は「近くに小さな神社」があるとのことですが、神社仏閣は「偉人の霊が神として祀られる」場合と、「厳しい状態の土地を治めるために建立される場合」があります。前者であれば、祀られている主と住む人の家系との過去の関係性が悪いと、問題が起こりやすいです。逆に関係性が良い場合には、守りのパワーが働きます。後者の場合は、そもそも住むのに向かない土地であると言えます。この違いを見分けるのは難しいため、神社仏閣に近い物件を選ばないのが無難です。
最後に、内見時に確認するべき「風水的ポイント」は、以下の通りです。
・風通し、日当たりが良いか
“風水”というように、風の通りはとても重要です。また、日当たりも重要なチェックポイントとなります。目の前に大きな建物があって日が当たらない、プライバシーが守られないといった状況であれば、引っ越しは見送りましょう。
・騒音、においがないか
「この程度ならいいかな」と思っても、騒音やにおいは長く生活すると気になってくるものです。常に不快感を覚える状態だと、どんどんストレスがたまり、“陰の気”を増やしてしまいます。
■「風水のプロ」生田目浩美。(なまため・ひろみ)
1998年より風水師に師事し、風水・九星・祐気採り(吉方位判断)・吉日の選定・手相・姓名判断・家相学などを学ぶ。独立後、恋愛・仕事など、女子たちが持つ多くの悩みに寄り添い、楽しく前向きに生きるコツを伝授する。
物件三銃士の総合評価 7点/15点
次回は……ついに「理想の賃貸物件」を発見!? たった一つの懸念事項、三銃士のジャッジはいかに!