みんな~、ヤッてるか!? ……なんて問いかけが、“コミュニケーションの一環”と見なされていた昭和・平成の時代。それら行為が大きく見直されつつある昨今だが、過剰に「正しさ」を追うあまり、個人間での性交渉さえも消極的になってはいまいか――。
そう危惧するのは、8月29日に新刊『しみけん式「超」SEXメソッド 本物とはつねにシンプルである』(笠倉出版社)を上梓した、カリスマAV男優のしみけん氏と、サイゾーウーマンでマンガ『ヤリマン引退!~マンを持して育児はじめました~』を連載していた漫画家ドルショック竹下氏。自他ともに認めるヤリチン&ヤリマンの二人が、それぞれの体験談をさらけ出しつつ、現代人の「出会いとセックス」を考察した!
出会い系アプリを主戦場に「ヤリマン復活」
ドルショック竹下(以下、ドル) サイゾーウーマンでマンガ『ヤリマン引退』を連載していますが、大学時代から仕事で、「こんな男とこんなセックスをした」という実録マンガを女性視点で描いていました。数年前に結婚して出産したので、一応『ヤリマン引退』ってことになったんですけど、半年前に離婚しまして……。それで、出会い系アプリを主戦場に、ヤリマンとして復活し始めています。
――出会う頻度はどれくらいですか?
ドル 令和になってからの2週間がラッシュで、新規で10本くらい入りましたね。
しみけん アプリのプロフィールはどんな写真にしていますか?
ドル 顔を少し隠した写真ですね。
しみけん 僕は以前、出会い系アプリの原稿を書くにあたって登録した際、法則性を見つけて、「プロフィール写真別ヤリマン度」を作ったんですよ。「こういうプロフィールの女性はヤリマン度が高い」っていうのを。
ドル わたしは実年齢の39歳で登録してから、以前、年齢をごまかして登録していたときよりも来るようになりました。自分のことを、「セックスする優しいおばさん」なんだってことを認めたほうがいいんです。写真はこういう感じです(しみけん氏に写真を見せる)。
しみけん いやいや、これは(大爆笑)。
ドル 完全にヤリマンですよね。
しみけん うん。いやあ、でもこれ、“本物”なんだ。“会える人”なんだね。
ドル 嘘っぽい? 業者っぽいってこと?
しみけん そう! 業者っぽい! でもプロフィールの書き方は“本物”ですね。プロフィールって、その人の心理状況を完全に反映しているものだから、わかりやすいんです。
ドル この写真を撮った経緯は……アプリで会ってラブホに行って、20分くらいでヤリ終わっちゃった人がいて。「あと2時間半も残っているのに、どうしよう……」と思っていたら、相手は早くイキすぎて気まずくなったのか、「俺、飲みに行くから帰るわ」って取り残されたとき、「やることがないからプロフィール画像でも撮るか、しょうがねえなあ」って思って撮った写真です。
しみけん そんなに哀愁がある写真なんだ(笑)。ドルさんの写真は業者っぽいけど、加工アプリを使って撮ってる写真の女性は、会えるけど揉める傾向にあります。逆に、加工せずにデフォルトのカメラだけで可愛く見せようと頑張って撮っている女性は、会えるし揉めない。あと、2人組の写真を設定していて、たいてい見切れている方やカメラから離れた位置にいる方が、そのプロフィールの主だったりします。
ドル それ、ずるくないですか!? 男性でもありますよね。一緒に写っている人もいい迷惑。他の人は顔を隠せばいいのに、巻き添えにしているんですよね。
しみけん ドルさんが出会う年齢層は?
ドル 20代前半から30代が多いですね。
しみけん もっと上限を取っ払うと、面白いことがあると思います。例えば僕が気になってるのは、T男さん(67歳)。プロフィール写真を、奥さんの遺影の前で撮っているんです。
ドル お、重い! でも気になる! わたしが見た中で気になったのが、集中治療室でチューブだらけになっている写真に、プロフィール文は空欄。メッセージ送っても返ってくるのかなと。何がしたい人なんだろうと思いました。
しみけん それは「大丈夫ですか?」と言われたい、“ツッコミ待ち”の人ですね。
ドル あと、どう見ても50代なのに「30歳です」と書いている人には、「おまえ、30歳をなんだと思っているんだ!」ってなりますね。出会い系アプリを見ていると、顔が良くてもプロフィールや写真の撮り方ひとつで、「これはないな」と思っちゃう部分がすごくある。
しみけん 僕的に好感度がブチ上がるのは、免許証の写真を設定している人かなあ(笑)。
ドル わかる!
しみけん この子は素直で隠し事なく、がっぷり四つで来ているな、と感じますね。
――ダメなプロフィール写真はどんなものですか?
ドル さっき話した、友達と一緒に写っていて、どれが本人だかわからないのは論外ですね。
「目的」と聞きたいことを簡潔に
しみけん 自分以外の魅力で人を引きつけようとしている写真もダメ。シャンパンタワーや、高級車の前で撮った写真とか。
ドル あと、どこだよっていうリゾートとか。しかも自分は写っていなくて、リゾートだけ。ほかにも、札がついているうまい肉の写真とか。
しみけん 札付きのうまい肉の写真で、プロフィール文が「おいしいものが好きです」だけだと、嫌味になりますよね。でも、プロフィール文をこうするとどうでしょう。「僕は牛の生産者に興味を持っていて、このプロフィール写真も、僕が面倒を見た『花子』という牛の肉です」と、こだわりを見せてみると、まったく印象が違いません?
ドル ほんの一工夫なんですね。
しみけん 「人の興味を引くプロフィールの書き方」というのを僕のnoteに書いたのですが、それを真似する人が増えて、似たようなプロフィールが多くなっちゃった(笑)。
ドル わたしは、自分の素性や状況を、正直に飾らずに書いているなあと思う人のプロフィールが、魅力的だと思います。「彼女と別れたばかりです」くらいだと興味を引かれないけど、彼女と別れてから今現在どういう心理状態でいるのかを、自分の言葉で書いてくれるだけで、状況もわかるし、わかるからこそ、こちらは最初から思いやりを持って接することができるから。そういう状況を受け入れられる人がコンタクトを取ってくるわけだから、自分のことは正直に書いたほうがいいですね。
しみけん あと、目的は書いた方がいいです。自分はなぜ出会い系アプリをやっていて、相手に何を求めているのかを。マッチング後のメールのやりとりも、目的や聞きたいことを簡潔に書いた方がいい。「今どこですか」「家です」「どこか行きませんか?」「どこですか?」「どこがいいですか?」とか、そんな不毛なやりとりは時間のムダ。「今僕は新宿にいて、19時から予定が空くんですけど、3時間だけでも焼肉いかがでしょうか?」だけで十分です。
ドル 具体的に言ってくれたほうが、こちらも応じやすいですよね。空いていれば行くし。
しみけん 最低限のラリーで成立するのに、「どうします?」とか、どうしようもないやりとりを続けると、アホだと思われて切られてしまいます。
――そうしたやりとりを経て、ドルショックさんが出会い系アプリで実際に出会った男性たちのセックスは、どうでしたか?
ドル わたしがアプリでヤル目的は、若い男性に「おばさんとヤルのはいいぞ」というのを伝道することなんですが、20代前半の男性とヤっていて気づいたのが、“前戯がほぼない人”がいない、ということ。昔、年配男女ばかり来るカップル喫茶に取材に行ったときに70代とヤったんですが、まったく前戯をしないんですよ。挿入すると女性が勝手に動くと思っていたりするのか、いきなり膣に指をドーン! と突っ込んでくるおじいちゃんもいました。そういう意味では、若い男性はAVで基礎知識として「セックスって前戯があるんだよ」ということを知っているから、前戯を当たり前のようにしているのではないかと思いました。前戯のクオリティや質、それに、見せるセックスと実際のセックスの違いに関しては、まだカバーしきれていないけれど。少なくともAVは、日本人のセックス教育を微妙に底上げしたと思います。
しみけん ハードコアポルノの合法化が1969年で、AVが誕生したのが1981年。60、70代は知るよしもないんです。それに、戦後の人たちは男尊女卑が根深いですから、もてなしの精神がないとできない前戯を、男性優位に考える60、70代の人ができないのもわかるけども……。ということは、事前にもてなしの精神を測るための質問があったら、面白いですよね。
令和の時代は「クンニ同意書」
ドル もてなしの精神……あっ! わたしの友人に、「クンニ同意書」をとる人がいますよ。部屋に呼んでセックスをする前に、「私は絶対にクンニをします」という誓約書を書かないと寝室に入れないと。それはひとつのやり方ではあるなと思います。
しみけん セックス同意書がPDFでダウンロードできるサイトがありますよね。「こんなものが必要なのか」など議論を呼びました。
ドル 「必要なのか」と断じてしまうのはよくないですよね。世の中にはそれが必要な人はいるし、そういう人が使えばいいものです。密室によく知らない異性と2人でいること自体、「怖い」と思う人のほうが当然多いですしね。
しみけん 同意書をとるにしても、言い方が2種類あるかと思います。相手にプレッシャーを与える言い方と、相手に希望を与える言い方が。クンニ同意書の場合、「わたしはクンニが大好きで、クンニをすると本当にイキやすくなるんです」という言い方ならいいけど、「わたし、クンニしない人とはセックスしないんで」という上からの言い方だと、印象がまったく違います。サイゾーウーマンさんでいろんなクンニ同意書をPDF化、どうですか? 男性向けに、「乳首舐めてほしい同意書」とかも一緒に作ればウケると思う!
ドル やってほしいプレイや好きなプレイは、あらかじめ言ってくれたほうがいいですよね。男性だって、「乳首を舐められてもまったく感じないけど、舐めてくれるから仕方なく受け入れている」と言っている人がいて、だったらあらかじめ言えばよくない? と思います。
しみけん 男性は、断られたり否定的な意見をされ慣れていないんですよね。
若い男の子は「否定に弱く」「失礼になる」?
ドル そうですね。プレッシャーや否定の言葉にすごく弱い。ひとつでも言うと、本当にすぐいなくなります。出会い系アプリで会う若い男性にそういう人が多くて、セックスがイマイチでもどう指摘していいかわかりません。上から言うといじけて聞いてくれないし、育てるような気持ちで接しようと思いつつ、2~3回会うのも難しい子が多い。1回目で刺激だけで満足しちゃって、「次の女にいこう」となっちゃうんですよね。しみけんさんが今回の著作で「2回目、3回目のほうがセックスは気持ち良い」と書いていますし、わたしも激しく同意しますけど。
しみけん そこまで至らないんですね。
ドル それに、何度も会えても、1回セックスをして“許してもらえた”と思うからか、どんどん失礼になっていくんですよ。最初は「ホテル代出します」と言っていたのが、徐々に割り勘になり、最終的に「あ……じゃあわたしが全部出すね……?」みたいになっていく。わたしはおばさんだし払うことはまったくいやではないけれど、一度払うとどんどん「甘えていいんだ」と失礼になるから、うまく育てられないもどかしさがあります。
しみけん すぐ甘えるし、それに失敗への免疫もないから、大変ですよね。グーグルに入社するとまず言われるのが、「早く失敗してください」という言葉だそうです。小さな失敗のトライ&エラーなら人間は立ち上がれるけど、失敗を恐れて逃げ続けた人に、大きな失敗が降りかかると、そりゃあ立ち上がれなくなりますよ。それと同じで、セックス含めた男女関係のコミュニケーションのすべては、失敗の耐性をつけていったほうがいいです。
ドル 失敗して当たり前だし、最初は知らなくて当たり前ですしね。こういうおばさんを利用してどんどん失敗してほしいという気持ちはあるんです。だから指摘するんだけど、言うとすごいヘコんじゃう。
――どういったことを指摘するんですか?
ドル クンニしてほしいなと思ったとき、「下も舐めてほしい……なあ……」くらいのテンションで言うと、「下はちょっと……」ってなっちゃって、じゃあこっちがフェラチオをしているのはなんなの? って思うじゃないですか。だから、「じゃあわたしもフェラチオしないわ」ということを“そういう意味だぞ”と暗に含ませて言うと、「ああ、じゃあもう挿れる」ってなっちゃって。いやいや、おまえさあー! って。
しみけん そこに、こちらが納得する理由がひとつでもあればいいんだけどね。「以前、クンニをしていたらマン汁が急に目の中に入って結膜炎になって失明しまして。これ、義眼なんです。でも僕、フェラチオされるのがすごく好きなんです」と言ってくれたら、「たしかにそれはトラウマになるよね。じゃああなたはクンニしなくていいけど、わたしはフェラチオするね」となるよね。相手が納得する説明ができるかどうか、ですね。
ドル わたしレベルでも、「これは言わないほうがいいかな」と常に逡巡しているので、言えない女性はたくさんいると思います。
しみけん 言うときは、最初に「あなたのこういうところはいいんだけど」と人格を肯定しておいて、「もっとこうしてほしい」という言い方をしないと、人って育たないのかも。
ドル 子育てのようなことを、セックスでもしなきゃいけないんですね。しみけんさんが著作や動画で啓蒙していますが、そういうのを見て勉強することが、世の中に浸透すればいいですよね。
しみけん そうそう、この前、とあるAV女優さんのデビュー作で相手役をしましたが、清楚な顔をしてフェラチオがめちゃくちゃうまいんです。「君ィ! すごいねー!」と言ったら、「高校生のとき、しみけんさんの講座動画を見て勉強しました」と言っていて、俺が3年前に投げたブーメランが返ってきましたよ。
ドル 人って3年で育つんですねえ。
しみけん もともと好奇心と探究心が強いから、ちゃんと成長するんでしょうね。
(後編に続く・9月12日公開予定)