解散、脱退、不祥事など、このところジャニーズ事務所の崩壊を予感させる事象が相次いでいたが、そんな中、社長のジャニー喜多川氏が亡くなった。数多くのアイドルを育ててきたカリスマを失い、今後の“ジャニーズ帝国”はどうなるのか? ジャニー氏に負けない先見性と審美眼を持つ 作家の瓜田純士(39)が、ジャニタレの未来を占った。
――創業以来、半世紀以上にわたりジャニーズ事務所を支えてきたジャニーさんが亡くなりました。この報道を受け、何を思いましたか?
瓜田純士(以下、瓜田) ジャニーズには全然詳しくないですけど、連日やっているニュースを見て、すごい人だったんだなって。所属タレントからしたら、本当にいいおじいちゃんだったと思うんですよ。だって、誰も悪く言わないじゃないですか。言えないのかもしれないけど。でも、悪いところがあったら(事務所を)辞めていると思うし、言われた通り信じて残った奴らはたいてい、いいポストに就いているじゃないですか。
――ジャニーさんの印象は?
瓜田 よく知らないですけど、直感的に思うのは、内部にいるタレントたちにとっては怖い存在だったんじゃないでしょうか。怒らせたらクビが飛ぶし、番組やCDもオシャカになる。「ジャニーさんに嫌われたら最後」って認識が、全員の中にあったはず。そのジャニーさんが提唱したとされる「アイドルは結婚しちゃダメ」みたいな掟を、直じゃなくても会社の人間から聞かされたら、守るしかない。「ジャニーさんの目が黒いうちは」みたいな恐怖心が、みんなの中にあったんじゃないでしょうか。
――近影を見たら、優しそうなお顔ですけどね。
瓜田 ヤクザの親分だってそうですよ。外部の人からは「気の良さそうなおっちゃんだな」と見えることが多い。でも、いざ自分がその組織の中に入り、周りから「あの人は雲の上の存在だ」みたいなことをさんざん聞かされて、みんながペコペコ挨拶しているのを3カ月も見ていると、その気の良さそうなおっちゃんが、だんだん神様みたいに見えてきちゃうものなんですよ。
でもそんなヤクザの親分も、年老いて病気がちになると、月一の集まりでもただ奥に座っているだけのお飾りみたいになって、神通力も失われていく。ジャニーさんも、そうだったんじゃないかな。年を取り、弱気なおじいちゃんになるにつれ、「SMAP解散」「嵐も活動停止」などのほころびが見られるようになり、盤石なジャニーズ帝国ではなくなっていったのかもしれませんね。
とはいえ、死後に叩かれる極悪な経営者ではなく、多くの所属タレントに愛されていたのは事実だと思いますよ。本当に純粋な少年のような人で、タレントを大事にしていたんじゃないかなって気がします。
――行きすぎた“少年愛”のウワサもありましたが。
瓜田 闘病中のジャニーさんの元をたくさんの所属タレントたちが代わる代わる訪れて、ジャニーさんの好物をみんなで食べて、そのことで容体も一瞬回復したりしつつ、最後は幸せに看取 られたというニュースを見て、俺は確信しましたよ。本当に体調がヤバいときに、ただのビジネス上の付き合いでしかない人たちに病室に来られたら、しんどいじゃないですか。
家族しか無理ですよ。いや、家族でも会うのはしんどい。普通は側近に「もうすぐ元気になると伝えておいてくれ」と託して、面会を拒絶するぐらいの距離を保つと思う。それを病室まで呼んじゃうっていうことは、間違いなく肉親以上の感情があったということですよ。肉親以上の感情がなかったら、血もつながってない奴らが病室に来るのは無理ですよ。
――肉親以上の感情とは?
瓜田 愛や恋や性的なものだけでは説明できない「好きの感情」ってあると思うんですよ。息子以上にかけられる情熱というかね。もしかしたら、シルク・ドゥ・ソレイユの生みの親とかもそんな感情なのかも。関わるアーティストやスタッフのことを、心の底から愛している。そんな感じの、家族でも立ち入ることができない、あふれる愛があったんだと思う。
――シルク・ドゥ・ソレイユ、お好きなんですか?
瓜田 いや、見たことないので、勝手なイメージです(笑)。さらに勝手なイメージを膨らませるのであれば、何もない砂漠にカジノをつくったベンジャミン・シーゲルや、マコーレー・カルキンとの友情を育んだマイケル・ジャクソン、もしくは恵まれない子どもたちを養子にしているアンジェリーナ・ジョリーあたりの感情にも近いのかも。「この世界、この絆は、俺たち私たちがつくったんだ」というね。そこには部外者が立ち入れない愛のカタチがあると思う。
ちなみにうちの嫁は、こう言っていました。「ジャニーさんは男やけど、オカンの気持ちやったんちゃう?」と。言い得て妙だな、と思いました。
――ところで、ジャニーズ事務所のこれまでのビジネスを、視聴者としてどんな思いで見ていましたか?
瓜田 10歳やそこらから目を付けて売り出して、本来ならどんどん新陳代謝させなくちゃならないのに、なんで40オーバーのおっさんたちをアイドル然とさせているんだろう? それで経済が回っちゃっているから、やめるにやめられないのかな? と以前は否定的に見ていたんですよ。ところがここ数年、自分もこの年齢になってくると、見方が大きく変わってきましたね。
タッキーいるじゃないですか。滝沢秀明。彼がこないだね、(ジャニーさんの訃報を受けての会見で)ほうれい線を作ってしゃべっていたんですよ。あのタッキーがほうれい線って、そのショックがわかりますか? ありえないことなんですよ。でもね、そういう年齢になっても一生懸命前に出てきている姿に、俺は胸を打たれたんですよ。
元SMAPの中居(正広) くんもそうじゃないですか。白髪隠しなのかハゲ隠しなのか、ピンクだか金髪だかよくわかんない色に髪を染めて、ドライヤーで精いっぱいボリュームを出して、小麦色のタンニングローションみたいなのを顔に塗りたくってでも、ああやって前に出てくるというのは、すごいことだと思うんです。
――どういう意味ですごいのでしょう?
瓜田 お金と手間をかけているとはいえ、あの年齢であそこまでの若さを維持しているっていうのは、すごいことじゃないですか。もともと美少年として出てきたから劣化を取り沙汰されがちだけど、マッチ(近藤真彦)やヒガシ(東山紀之)やタッキーなんかは、新橋あたりの居酒屋で禿げ上がって腹出して呑んだくれている同世代のおっちゃんたちと比べたら、今でもまったく別次元のきれいな人たちなんですよ。
――言われてみれば僕も以前、ヒガシと同じ写真に偶然写り込んでしまったことがあるのですが、その写真を見て愕然としました。「ヒガシと俺、果たして同じ人間なのか……?」と。
瓜田 そうなんですよ。「あいつ最近、宮根(誠司)さんみたいになっちまって 」なんて新橋の居酒屋で悪口を言ったところで、向こうから松潤(松本潤)が歩いてきたら、あまりのきれいさに全員ひれ伏しますって。あ、俺は別ですよ。俺はオーラが別格なんで。俺と並んだら、そんな奴らのオーラもかき消えますけど、コシャ平民から見たら、ジャニーズのタレントたちは別次元に映ることでしょう。
――しかし、今回ジャニーさんが亡くなったことにより、所属タレントたちのジャニーズ離れが加速するのではないかと見る向きもあります。瓜田さんはそのへん、どう読みますか?
瓜田 事務所を離脱して、今まで言えなかった、やれなかった言動をし始めて「えへへ」と調子づく奴も出てくるでしょうけど、その一方で、マッチやヒガシやタッキーといった“保守派”の年長者がビシッと気合を入れて、「フラフラするなよ」という空気を出しつつ、ストイックに事務所の伝統を守っていくんじゃないでしょうか。
――そんなジャニーズに残るほうが幸せなのか。それともジャニーズの呪縛から解き放たれたほうが幸せなのか。
瓜田 解き放たれて好きに生きようとした結果が、ぶくぶくに太った今の野村義男じゃないですか。組織から外れて好き勝手やっている奴は、やっぱ自分に甘いんですよ。もちろん、よっちゃんのギターはすごいんだけど、「見られる立場」から降りると、見た目はああなっちゃうんですよ。こないだ、よっちゃんをテレビで見ましたが、テキ屋のおっちゃんかと思いましたよ(笑)。同じたのきんトリオでも、スマートなマッチと全然違うじゃないですか。
最近俺ね、キムタク(木村拓哉)のことも見直したんですよ。ずっとチビでダサいな思っていたけど、いまだに役者として第一線にいるし、顔も格好いいままだし、浮いた話のひとつもないじゃないですか。その心がけというか、徹底した自己管理は見事というほかない。俺は最近、自分もボディメイクを始めたせいもあって、自己管理をしっかりできる人らにしか共感できないんですよ。
タッキーもそう。先日の挨拶のときの姿勢や表情ひとつとっても、新橋のサラリーマンとは全然違うじゃないですか。ああいう意識の高さを、われわれも見習わないとダメ。世のお父ちゃん方の良き見本にもなるはずだから、ジャニーズのタレントたちには還暦を過ぎてもアイドルを続けてほしいですね。……って俺、ジャニーズなんか全然知らないとか言っておきながら、どんだけ熱くジャニーズのことを語っているんだ、っていう(笑)。
(取材・文=岡林敬太)
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