6月14日放送の『きのう何食べた?』(テレビ東京系)第10話。
ある日、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)宛てに、生活保護を受けている父・賢一(内田文吾)の扶養照会の書類が届いた。ケンジが物心つく頃はほかに女をつくって出ていき、たまに金をせびりに顔を見せていた父。ケンジが中3になってからは、なぜかそれもなくなった。
ケンジが勤める美容院で、店長の三宅祐(マキタスポーツ)の妻・玲子(奥貫薫)がエステルームを始めることになった。ある日、祐の浮気相手の妹島(延増静美)が来店。玲子は妹島と笑顔で会話している。
帰宅したケンジに、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)が小日向大策(山本耕史)との飲み会を持ちかけてきた。翌日、美容院でケンジは玲子から「大事な人に絶対に浮気なんかされちゃダメよ。許すなんてそう簡単にできることじゃないんだから」と助言された。
その日、ケンジはシロさんに「用事ができたから小日向(山本耕史)との食事会に行けなくなった」と伝える。「じゃあ、俺と小日向さんで飲むよ」と返答するシロさんに、ケンジは「シロさんも行くのやめて。2人っきりになっちゃうからダメ」と主張。「2人きりになったところで何も起こらない」と言うシロさんに、ケンジは「恋はたいてい“まさか”から始まる」と不安を爆発させた。「嫌いになったでしょ、俺のこと!? 心が狭いってわかってる。嫉妬深いって最低だもんね!?」と泣くケンジに、シロさんは「嫌ったりしないよ!」と言葉をかけた。そして、飲み会には行けなくなったと小日向に連絡をした。
週末、店が改装工事のケンジは珍しく休みだ。休日が重なったことにテンションが上がるシロさんは、張り切ってクレープを作り始めた。思わぬ最高の休日に「ありがとね」と言うケンジに、シロさんは「『ごめん』って謝り倒されるより『ありがとう』って言ってもらえたほうがずっとうれしい。だから、もう謝んなくていい」と言葉を掛けた。改めて、ケンジはシロさんに「ありがとう」とお礼を言った。
シロさんに不安を爆発させたケンジ。それは、ケンジの過去とトラウマが影響している。自分たちを裏切って家を出ていった父親。どんなに深い仲でも、関係が終わることはある。そんな記憶が蘇ったところで、さらに玲子から「浮気されたらダメ」と忠告された。ケンジのトラウマが不安に変化し、浮気経験のある自身の過去も追い打ちをかけた。
「絶対、2人っきりで会わないで……!」(ケンジ)
原作ではサラッとコメディ調に描かれた場面だ。でも、内野はあえて激しく演じた。違和感はない。血が通ったし、シロさんへの思いが強く伝わってきた。まばたきなし、カメラ回しっぱなし。唇を震わせ、内にあるものを全開にしたケンジ。ケンジ役が内野で良かったと、今回改めて思った。
対するシロさん。始めは笑顔であきれ気味だった。でも、ケンジの本気を察し、笑顔を引っ込めた。様子の違うケンジに掛けた「なあ……どうした?」の言い方がすごく良い。パートナーの変化に気付いた彼が発した声のトーンは温かい。続く「嫌ったりしないよ!」の声は、まるで本気である。
シロさんもケンジも、一緒にいることを当たり前と思っていないのだ。法に守られていないからこそ、別れないための努力がゲイカップルは必要と訴えた8話。2人が絆を再確認した9話。そして、今回の10話。見事につながっている。
「どんなに関係の深い人でも、許せない人と続けていくのはしんどいよ……」(ケンジ)
ケンジの気持ちを尊重し、シロさんはその場で小日向に断りの電話を入れた。直後の「これでいいか?」の言い方も良かった。怒っているのではなく、声のトーンで安心させようとしている。
「もう、いいから。餃子作るぞ? 手洗ってこい」(シロさん)
「嫌われるかも……」と不安に苛まれていたケンジを日常に戻そうとするシロさんの言葉。食事は2人にとって何よりも大切な時間だ。
クレープで思いを伝えたシロさん
週末。嫉妬が爆発したケンジに、シロさんはクレープをふるまった。体重管理には厳しい彼なのに、明らかに太りそうなブランチである。ケンジは態度で、シロさんは料理で、相手に思いを伝えているということ。
三谷まみのポスターを発見したケンジ。詰め寄られたシロさんはバレバレの言い訳をしている。2人のこのやり取りは、もはやプレイだろう。ケンジの涙で沸点に達し、シロさんとケンジのイチャチャに着地した10話だった。
(文=寺西ジャジューカ)

