羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます
<今回の有名人>
「キャバクラとクラブのVIPルーム行って」オードリー・若林正恭
『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送、4月28日)
芸能人の仕事を、1分1秒でも長くテレビに映って、顔と名前を売る職業だと仮定した場合、プライベートをネタにすることもアリだろう。そういったネタの一つとして、芸人が番組で交際中の女性にプロポーズをすることがある。長時間テレビに映る上に、感動的なプロポーズができる。好感度も上がることを見越しての決断だろうが、実はこの公開プロポーズ、芸人側にリスクのある行為ではないだろうか。
オードリー・春日俊彰が4月18日放送の『ニンゲン観察バラエティ モニタリング3時間スペシャル』(TBS系)で、交際歴10年以上の一般人女性にプロポーズをした。春日といえば、ブレークした後も、家賃3万9,000円のアパート住まいを続け、清涼飲料水は買わず、貯金に励んでいることを公言しているが、ケチなのは芸風ではなく真実らしい。春日の日ごろの金銭感覚は、女性いわく、「特急料金を払う意味がわからないから、鈍行で行く」「ホワイトデーのお返しをくれないので、バレンタインのチョコを送るのをやめた」といった具合で、徹底した“しぶちん”を貫いている。
愛情表現をすることも少なく、番組いわく“奥手”な春日が、ひそかに猛特訓して、ゆずの「栄光の架け橋」をピアノ演奏し、手紙を読む形でサプライズのプロポーズを決行した。交際が5年を過ぎ、女性の方から「結婚はどう考えているの?」と聞かれることが増えても、春日は回答を避けていたようだ。その煮え切らない態度を振り返って、春日は「不安にさせて、悲しくさせて、つらい思いをさせてごめんなさい」「好きな人を一生幸せにする覚悟が生まれるまでに、10年もかかってしまいました」と、その理由を説明する。結婚から逃げていたのではなく、むしろ結婚を真剣に考えるからこそ、踏み切れなかったという理由は、特に若い女性に刺さるのではないかと思っていたが、果たしてそうだった。SNSでは「感動した」「プロポーズのために、指輪を買ってピアノも練習してくれるなんて」と、春日に好感を持ったという20代女性のコメントが見られた。
私の感想はというと、「こういうのがプロポーズの標準だと若い女性が思い込んでしまったら、大変だろうな」である。春日のプロポーズは、テレビで放送する、つまりは仕事だから、裏方も出演者も本気で感動を作り上げる。視聴者が胸を熱くするのは、春日の人柄というより、プロの技によってではないだろうか。公開プロポーズをしたタレントは、裏方の尽力もあって、「いい人なんだ」と好感度を上げることができるが、プロポーズ成功後は、一人でその好感度をキープしなければいけない(スタッフは助けてくれない)という新たなタスクを背負わなくてはならない。
春日は、早速しくじってしまう。「フライデー」(講談社)が、感動的なプロポーズを成功させた春日の“裏切り”を報じた。プロポーズする10日前、春日は飲み会の後、アパートに金髪の一般人女性を招き入れていたそうだ。同誌によると、この女性とは半年前から何度も密会していたという。
春日は浮気を認めた。4月28日放送の『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)では、相方の若林正恭に「頭イカれてんの?」「(ここ数年の春日は)キャバクラとクラブのVIPルーム行って、オレの一番嫌いな芸能人の染まり方(をしていた)」、また電話出演した婚約者には「気持ち悪い」となじられていた。SNSでも「失望した」「だまされた」というような内容のコメントが多数見られたのだ。公開プロポーズは、視聴者を感動させて好感度を上げた分、信頼を裏切るような行動を取ると、好感度が下がるばかりか、「嘘つき」の称号まで授かってしまうというリスクがあるのではないだろうか。
婚約者は、10年待ってやっとプロポーズされた後、すぐに浮気が発覚して、深く傷ついただろう。しかし、私に言わせるのなら、公開プロポーズでクビがしまったのは春日だから、婚約者は安心していいのではないか。
公開プロポーズしていなかったら、そもそも写真週刊誌の記事が出ることもなかったのかもしれないが、非公開のプロポーズの後に、浮気問題が発覚した場合、二人がケンカ別れしてしまう可能性もないとは言えないだろう。しかし、テレビでプロポーズした以上、ハッピーエンドにしないと番組に迷惑をかけるから、破談を避けたいのは春日の方であるはず。最近の風潮から考えて、結婚後に不倫をしたら芸人生命が終わりかねない面もあるのだ。
付け加えると、いくら人気芸能人とは言っても、春日と不倫したい女性もごくごく少数はではないだろうか。2016年放送の『ナカイの窓』(日本テレビ系)で、どきどきキャンプ・佐藤満春が、春日の相席居酒屋やキャバクラ通いを暴露していた。春日行きつけのキャバクラのキャストも、その番組に出演していたが、「割引チケットを必ず使う」「女の子にお酒を飲ませない」そうで、相変わらずケチらしい。その頃と今の遊び方が同じとは限らないものの、キャバ嬢たちは客にカネを使ってもらうのが仕事だから、お金を持っているのに使おうとしない春日は「がっがりな客」だろう。『モニタリング』で、婚約者は「(人気芸人なので)女優さんとも付き合えたかもしれないのに、(家賃の安いアパートに住むなど)変わらないところがいい」とも言っていたが、ここまでケチだと、女優の方から願い下げされるだろうし、一般人女性でも、春日のケチぶりについていける人は少数のように思う。
10年も結婚の話から逃げていたり、キャバクラに通うカネはあっても、交際相手にはカネを使わないというのは、正直、婚約者のことをナメていた部分があると私は思うが、公開プロポーズをした結果、春日は婚約者を裏切れないところまで、追いやられたのである。結婚願望のある30代の女性を10年も待たせるのは本当に酷なことだが、女性側もやはり春日と離れがたかったのだろう。10年も待たされた分、どうか楽しい結婚生活を送っていただきたいものだ。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。