【五所純子/ドラッグ・フェミニズム】ラッパー・なかむらみなみが抱く麻薬で壊れた母の肖像(後編)

――覚醒剤、コカイン、大麻、向精神薬……クスリに溺れる女たちを嗤うのはたやすい。だが、彼女らの声に耳を澄ませば、セックスやジェンダーをめぐる社会の歪みが見えてくる。これは、文筆家・五所純子による“女とドラッグ”のルポであり、まったく新しい女性論である。

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辻堂の美しいビーチで砂混じりの冷たい潮風を受けながらはしゃぐ、なかむらみなみ。(写真/草野庸子)

「私は薬に嫉妬してたのかもしれないです。母は依存するもののために生きるようになって、私や弟をかえりみなくなりました。もうお母さんは私たちを育てるのをやめたのかなって」

 どこかで信じてた。あなたは私を守っているのだと。私13歳、あなた33歳。冬の寒い日、あなたは私と弟を連れて飲み会に出かけた。主催者は羽振りがよく、会の終わりにタクシー券をドライバーにばらまき、女性たちを帰した。私たちの乗ったタクシーは運転が荒くて、吐き気を催した私は「窓開けていいですか」と言った。冷たくあしらったドライバーにあなたは怒った。「娘が気分悪いって言ってんだろ。ちゃんとやれ」。降りる頃には、もうあなたは錯乱状態だった。「料金は先にいただいてます」と言うドライバーに、「まだ払ってねぇだろ。ナメてんのか」と後部座席からドライバーを蹴り上げた。車外に飛んでいった眼鏡を弟が追いかけ、暴れるあなたの体を私が押さえ、ドライバーは通報していた。あなたは私のために怒っているのだと思っていた。でも、あなたの怒りと私はさほど関係ないのかもしれない。そう気づいたのはいつだっただろう。

「母を連行するパトカーが川沿いに走っていくのを見送りました。事件はすぐ示談になったので母は帰ってきたけど、祖父母が回復を願って母を施設に入れました。親戚たちは厄介払いできたと内心喜んだかもしれません。

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母が施設に入れられてから、辻堂神社の奉納太鼓を叩くようになった。(写真/草野庸子)

 私と弟は親戚たちと暮らしはじめました。弟はよくそこに行っていたので可愛がられましたけど、私は“ずっと典子といた娘”ということで印象が悪かったみたいです。がらっと生活が変わりました。1日の時間割が決められて、それが守れなかった翌日の朝食はかならず変な味がしました。親戚のひとりが私のごはんに洗剤を入れてたんです。その親戚は認知症で言動がおかしくなっていたんですけど、当時は誰もそれに気づいてなくて、逆に私が精神病だと疑われて、入院させられたことが数回あります。誰にも信じてもらえないのはつらかったし、統合失調症とか躁鬱病とか言われると、ほんとに病んでいく気がしましたよ」

 それでも私は強かった。子どもが想像するよりも、世界にはたくさんの親がいる。まだアパート暮らしだった頃、家から遠のくあなたに代わるように、大人たちがかわるがわる家に入ってきた。ここはあなたの地元、縁もゆかりもありすぎる狭い土地。町内の人たちは壊れゆくあなたに気づいていた。放置された幼い私たちを案じていた。食事をくれる人、話し相手になってくれる人、安全を確認していく人、みんなが少しずつ私たちを育ててくれた。

 最初に気づいてくれたのは、あなたと同じ走り屋だったサオリ。さすがに元レディースはドスが利いていて、叱られるときは怖かった。はじめてのブラジャーも、はじめての月経も、私はサオリにだけ打ち明けた。あなたにはもう私の体のことを知られたくなかった。サオリは自分が薬を食ってたクチだから、あなたを見捨てられなかったんだろうね。知ってる? サオリは死んだよ。私がくやしいのは、サオリの死を知らされなかったこと。「ごめんね。あたしたち典子と縁切ってたから、みなみを葬儀に呼ぶわけにいかなかったんだ」って、元レディースの人たちに言われた。あなたは付き合いで薬をはじめたのかもしれない。薬を続けるために必要になった付き合いもあったと思う。でも、薬のせいで切れてた付き合いもあった。依存症って人間関係が極端になるんだと思うよ。

親戚に厄介払いされてホームレスになった

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小学生時代、母の噂を聞いた親たちが、みなみとの付き合いを子どもに禁じた。(写真/草野庸子)

「私が生きてこれたのは夢を見つけたからです。それは町のおかげ。とくに神社。8歳のとき、同級生について行くと、太鼓の音が聞こえてきた。辻堂神社の奉納太鼓を子どもに教える教室でした。私たちはいつも神様に見守られているから、神様に失礼がないように暮らさなきゃいけない。奉納太鼓は一年一度のお祭りで神様をここにお呼びするためのもので、お囃子を奏でて、甚句を歌って、御神輿を担いで、神様に捧げる。それが感謝の示しでもあるんだ。そう神社で教わって、毎日のめり込むように太鼓を叩きました。祭りの最終日だけは喧嘩囃子といって、鳴らし方や歌い方や踊り方の決まりが外されて、自分の思うように最大限の力を尽くして表現します。私はそれが楽しくて嬉しくてしょうがなくて、死ぬまで力いっぱい表現しようと思いました。私を見てほしい。私を認めてほしい。そう願う相手が、お母さんから神様に移ったんでしょうね。私の依存は神様かも、ですね」

 神社を中心とした地回りの人たちは厳格だ。その厳しさが新鮮だった。話しかけられたら返事をするということも、靴を脱いだら揃えるということも、私は知らなかった。もしかしたら私は野蛮人のように映っていたのかもしれない。言葉遣いや礼儀作法を一から教わった。小学校でも同じことを言われたはずなのに、私は聞く気になれなかった。学校は尊敬できなかったから。林間学校のとき、保険証を持ってこいと言われて、私はちゃんと持っていったのに、担任は「こんなの見たことありません」と言った。私の保険証はひとり親家庭用のピンク色で、みんなの白いやつと違ったからだろう。学校は無知だった。私を、私とあなたを、理解しようとしなかった。やがて同級生も私と喋らなくなった。あなたの噂を聞いた親たちが、私との付き合いを子どもに禁じたそうだ。あなたは怒っていた。いつも怒っていた。怒っている人は傷ついている。

「神社があったから、家の生活を我慢できてました。でも19歳のとき、尼寺に入るか、家を出るか、どちらか選べと親戚から迫られました。どこから探してきたのか、和歌山の尼寺に行けって。母の昔の交友関係のトラブルに私が巻き込まれたりしたので、私のことも厄介払いしようとしたのかも。友達の家を転々として、流れ着いたのが町田の公園にあったホームレスのコミュニティでした。若い人もいたし、音楽やってる人が多くて、居心地がよかった。その人たちが組んだイベントで私は弾き語りをして、それを見ていたkamuiさんに声をかけられたのがTENG GANG STARRの始まりでした。kamuiさんは私にラップをやるように勧めて、パソコンとかスピーカーを持ってきてくれました。

 たまに神社のついでに家に寄って、お祖父ちゃんにだけ会ってました。お祖父ちゃんはずっと味方でいてくれて、『がんばるんだよ』って、こっそり手のひらに一万円札を握らせてくれたり。今は一応、家に戻ってますけど、帰ったり帰らなかったりです。

 お父さんの家には中学のときに、法事で行ったことがあります。表札を見たら一也の隣に美保とあって、父が再婚したのを知りました。もう2つ名前が並んでて、子どももいるんだってわかりました。私より少し年下で、私そっくりで超かわいかったですよ。『お父さんのところに来るか』って言われたけど、行けなかったですね。『典子はたぶん早死にするよ。お前はあいつに頼らないで、自分の好きなことをやれよ』と父は言って、無責任な人だなって思いました」

依存症回復支援施設から母が娘に宛てた手紙

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最近、施設から届いた母の手紙には、夢が書かれていた。(写真/草野庸子)

 あなたから手紙が届いていることは知っていた。施設に入ったあなたは面会も電話も禁じられて、でも手紙だって、施設のチェックを通さなければいけない。はじめて届いたのは入所から5年たった頃だった。あなたが書いた文字はミミズがのたうつようで判読できなかった。たぶん薬をやめれてなかったんだろうね。あなたの文字は情けなくもあったし、あなたらしく奮ってもいたし、そんなふうに感じる自分を私は笑い飛ばしたかった。文字が読めるようになってくると、会いたい、会いたい、会いたい、そればかり書かれていた。でも私はあなたの刺激剤でしかない。あなたは私に会うと叫んだり暴れたりしてしまうから、会いに行けない。手紙の書き方は難しかった。あなたを煽っても抑えてもいけなくて、とにかく前向きなことを書いてみたけど、施設の治療方針に合わなかったみたいで手紙は戻ってきた。私は書くのをやめた。

 私が20歳になったとき、「成人おめでとう。いっしょにお酒が飲みたかったです」とあなたは書いてきた。勝手だなって。一緒に飲めるものなら飲みたいに決まってる。けど、あなたと私のつながりは、もうお酒じゃなくていいんじゃないかな。

「一度、家族会でお母さんに会いました。母は薬をやめて100キロ以上に太ってました。家族会は、ある程度回復してきた入所者の方たちと、その家族が集まります。家族がひとりひとり自分の話をするんですけど、ほとんどが入所者の親で、子どもは私だけだったので浮いてました。『依存してる人は、家族よりも依存しているものを優先しています。私はそれでいいと思ってます。なぜなら、私は自分がいちばん好きで、自分の夢をもっていて、そんな自分を表現して生きていくと決めたからです。お母さんにもそうしてほしいと思っています。私はお母さんを応援するので、お母さんも私を応援してください』。私がスピーチするとみんな黙りこんで、私はますます浮いちゃって。それきり家族会には行ってません。どれくらい伝わったかわかんないけど、手紙で書けなかったことをお母さんの前で言えてよかったです」

 お前らがいなかったらウチはみんなみたいに遊べてたのに。あなたはいつも言ってた。その言葉は小さな私をとことん傷つけた。でも、今はちょっとわかる。私、子どもに太鼓教えるだけでも手こずってるのに、毎日毎日泣いてすがりつかれたら、振り払いたくもなると思う。それに私、拾った石を売ってしのいだりしたんだけど、ろくな食費にもならなくて、こんなんじゃ子ども食べさせられないなって。あなたは私たちのために身を削って働いて、疲れたんだよね。

 あなたはいずれ帰ってくる。この家に、この町に、帰ってくる。町の人があなたを受け入れるのか、正直わかんない。私だってあなたと暮らせるか、わかんない。そのことを考えると、いつももやもやする。でも、私が蝶番になるしかないんだと思ってる。今度は私があなたの親になるのだろう。自信ないけどね。

「この前、母から手紙がきました。それが見ちがえるくらい立派な手紙なんですよ。字まちがってますけどね。夢がありました。読みます」

 23才のお誕生日おめでとう。元気にしてますか? ウチは美波にすごくすごく合いたいです。美波がどんな大人になったのか。髪の毛はまだ長いのかな? 彼氏はいるのかな? とかいろいろ考えています。ラップもやってるみたいだね。おばあちゃんから聞きました。楽しいですか? 一度聞いてみたいな。忙しいと思うけど、こっちに合いに来てくれるとうれしいです。ウチはダイエットして12キロやせました。まだまだ目標体重には届かないけどがんばってます。ここを出たらウチはトラックの運転手になりたいと思ってます。そして大型免許をとって、ダンプの運ちゃんになるのがウチの夢です。美波は夢がありますか? おたがい夢に向かってがんばりましょう。お手紙のお返し待ってます。また手紙書きます。またね。

(つづく)

※なかむらみなみさんを除き、人物の名称はすべて仮名です。

(写真/草野庸子)

五所純子(ごしょ・じゅんこ)
1979年生まれ。文筆家。映画や文芸を中心に執筆。著書に『スカトロジー・フルーツ』(天然文庫)、共著に『1990年代論』(河出書房新社)、『心が疲れたときに観る映画』(立東舎)がある。

以前の連載記事は下記のリンクから読むことができます
【第一回】ダンサー・君島かれんの野良知性
【第二回】ゴミ収集員【真弓】の物語(前編)
【第三回】ゴミ収集員【真弓】の物語(後編)
【第四回】【向精神薬】をパステルに包む彼女
【第五回】【解離症】の中で得た金と薬と3人の神
【第六回】【ラッパー・なかむらみなみ】麻薬で壊れた母の肖像(前編)

Travis Japan・中村の“憎めないクズ感”、美 少年は「金指くん怖い、怖い」と戦慄【Jr.チャンネル週報】

 ジャニーズ事務所が動画配信サイト・YouTubeに開設した「ジャニーズJr.チャンネル」。現在、Snow Man(水曜)Travis Japan(木曜)SixTONES(金曜)東京B少年(土曜)HiHi Jets(日曜)がオリジナル動画を投稿中だが、その出来ばえは実にさまざま。そこで、「しょせんジャニオタ向け」と切り捨てるにはもったいない動画と、「ジャニオタでもしんどい」動画をジャニーズウォッチャー・中村チズ子が解説&ツッコミ! 今回は、4月18日~24日公開の動画をチェックします!

「お金がない」Travis Japan・中村の“なぜか憎めないクズ感”

 18日に配信されたのは「Travis Japan【徹底調査】七五三掛龍也の頭の中ぶっちゃけます!」。撮影はロケバスの車内で行われており、平日夕方の情報番組『イブ6プラス』(とちぎテレビ)の不定期火曜レギュラーに決まった七五三掛メインの企画となっている。まず、七五三掛はメンバーに番組の概要を伝えたのだが、ここで個人的に注目してしまったのは中村海人の反応だ。5人が七五三掛の方を向いて話に耳を傾ける最中、窓際に座る中村だけが外の景色を眺めている。

 次に本人が「七五三掛トリセツクイズ」について説明。これは、出される質問に七五三掛が答えそうな解答を書き、意見が七五三掛と同じ、または気に入ったら正解というルールで、「ちなみにご褒美と罰ゲームがあって」(七五三掛)の言葉には、「うん」と相槌を打つ中村。クイズに関心はあるようだが、窓の隙間をイジるなど、イマイチ集中していない様子が見受けられた。一方、七五三掛はクイズを始める前に「みんなならわかるだろうなっていう。特にシズ(吉澤閑也)とか。だって俺のこと『大好き』って言っておいて、これでわからなかったら、もうヤバいよね。(川島)如恵留はもう10年以上の付き合いだから、絶対にわかる」「松倉(海斗)は全然わからない」と予想。

 第1問は「メンバーからのプレゼントで正直困ったモノは?」で、宮近海斗が「シメになりきって書いてみて」と、松倉に無茶振り。「七五三掛です。許しテロンテロン」と、萌え袖&アヒル口で甘えたところ、“松松コンビ”の相方・松田元太が瞬時に「可愛い~!」と、興奮の余り震えた。実はこの1問目で、冒頭から注意散漫な中村の“ゲスい一面”が明らかに。七五三掛の答えは「うみんちゅ(中村)からのヨレヨレシャツ」で正解者は皆無だったが、当の中村は「俺そんなんあげたの? 全然覚えてない」と、正直にポロリ。七五三掛は「覚えてないんだ!」と驚きつつ、「誕生日プレゼントって、なんかちゃんと包んであるじゃん。なのに、包まないでめっちゃ汚いヨレヨレのシャツを(くれた)」と、暴露した。

 続けて、「俺はその前に海人の誕生日で、自撮り棒をあげたの。俺の予想だけど、それが気に食わないで、俺に……」と“仕返し説”を疑う七五三掛。しかし、中村は「それちゃんと使ってたのよ。でも、壊れちゃったんだよね、途中で」「シメの誕生日の日になって、お金がないから。たぶん、お兄ちゃんのシャツをあげたんだと思う。ハハッ!」と、まるで他人事のように笑い飛ばした。普通ならドン引きのエピソードだが、ここまで開き直られると、ついつい、こちらも笑えてしまう。こうした中村の“なぜか憎めないクズ感”は天性のものなのだろう。そして、筆者は七五三掛よりも一番の被害者である可能性が高い中村のお兄ちゃんに同情してしまった。

 2問目の「実はヤメてほしいと思っているメンバーの言葉や言動は?」というお題では、松田が吉澤の「閑也」を間違えて「閉他(とじた)」と書き、メンバーの名前すら覚えていないおバカさを発揮。川島は「松倉海斗から収録中にNGワードを連発される」と記入し、「車内で撮ってたりする時に(競合他社の)商品名をめちゃめちゃ連発するとか」と七五三掛の不満を想像すると、一同が「あぁ~」と共感。少し前に松倉は“やらかした”そうで、七五三掛は「プロ意識ないよ」と、バッサリ斬り捨てた。実際の愚痴は「マツクがご飯をドタキャン」で、例えば「サムギョプサル、シメと食べたいわ」「いつでも誘ってよ」と言っておきながら、「今日行く?」と聞くと、松倉は「気分じゃない」と断るとのこと。

 身に覚えがないのか、松倉は「自分から『行こう』って言ってた?」「マジで?」と、七五三掛と向き合いながら本気モードで反省。七五三掛も「言葉に責任持って!」と、先ほどの「プロ意識ない」発言に続いて松倉に辛らつな一言を投げかけた。さらに、「最近ちょっと心配になるメンバーは?」の質問パートで、得点稼ぎのためか、「俺、シメのことす~きだよ」(中村)「ホント? もう一回『好き』って言って」(七五三掛)「好きだよ」(中村)「もう一回言ってよ」(七五三掛)「好きだよ」(中村)と、告白。これに松田が「シメ、俺も好き。愛してる!」と便乗し、なんと“10ポイント”をゲット。相次ぐラブコール合戦に、宮近は「何見せられてるの!?」と、ツッコんでいた。

 それでもメンバーからの“愛”を欲しがる七五三掛は「正解いきます。すじや(閑也)です。いつも雑誌とかで“好きなJr.”とかっていう名前を『七五三掛龍也』って書いてたの。この間雑誌見たら、それが『松倉海斗』に変わってた。どういうこと!? って。浮気だよ」「ビジネス(求愛)だと思った」と、嫉妬心をのぞかせる。吉澤は愛情の裏返しだと弁解し、「本当はシメが大好き!」とストレートに伝えた(本当に、一体何を見せられているのか……)。七五三掛の独断と偏見で、優勝者は宮近、ワーストは中村&松倉に決定。優勝者とビリは七五三掛とプライベートで強制お食事会に行き、お会計はビリが全額負担するという。再生回数はいつもよりハイペースで伸び、26日時点で26万台だった。

 19日の動画は、昨年7月公開の寝起きドッキリ沖縄編の第2弾となる「SixTONES【寝起きドッキリPART2】衝撃の結末…in奈良」。ロケは朝の5時、ジェシー&森本慎太郎の最年少コンビのツーショットでスタート。SixTONESは『映画 少年たち』のキャンペーンで奈良県に滞在しており、今回は「ホテル日航奈良」の協力を得て企画が実現したという。“ガチの不意打ちドッキリ”とあって、「大丈夫かな? 裸の人とかいないよね?」(森本)「でも俺が寝てて、動いたらやっぱ、見えちゃうよ」「でもいいんじゃない? それはそれで」(ジェシー)と、デリケートな部分が映り込む危険性も口にした。

 最初のターゲットは、京本大我。合鍵を使ってこっそり入室したはずが、どうやらわずかな物音で起きてしまったのか、カメラが本人の姿を捉える前に「へ!?」と、声が聞こえた。ベッドに座る京本は2人の突入に動揺しながら、「死んだと思った!!」「いや、あの……殺されるんだ、と思って。マジで、夢一瞬ドーンって中断して……」と、人影に驚いて身構えたそう(危険察知能力がスゴい)。寝顔を撮影できなかったため、ジェシーと森本はプチドッキリをお見舞い。ペットボトルの反対側にゴキブリのおもちゃを貼り付けて渡したものの、京本の反応は薄く、「今日ダメだ……」と自ら反省。ビリビリマジックペンもさほど動じず、「今日ダメだね。全部もう裏目に出てる」と落ち込む京本だった。

 2人目は高地優吾で、京本も一緒に部屋を訪問。バレずに近寄って「高地おはよう!」と叩き起こし、ジェシーが「チョコ食べて」と、水が飛び出すチョコレートのおもちゃを差し出した。言われるがままチョコをかじった高地は即座に水を吐き出して起床。ナイスリアクションにジェシーや森本が大笑いしていると、「普通に夢見てたわ……」(高地)とポツリ。「スケッチブックにゴキブリのおもちゃ」の仕掛けも「うわぁ~!」と叫び、ビリビリペンでは「あっ……」と、ややセクシーな声になる高地。「マジで悔しいんだけど」と怒りを露わにしたが、今度は松村北斗の番と知り、すぐさま立ち直った。

 高地は「俺もこれ被りたい」と、ジェシーが持つピンクオレンジヘアの不気味なピエロの被り物をねだり、しかしジャージ姿の京本を見て「ジャージの方がリアリティ出るから、(ピエロの被り物は)大我の方がいいんじゃない?」と提案。京本は数分前まで「殺される」と怯えていたはずが、京本は「こういうのやってみたかったんだよな」と、ノリノリでピエロに変身した。確かに拳銃(おもちゃ)を所持する“京本版ピエロ”は不審者そのもので、これこそ目に入ったら身の危険を感じる出で立ち。さぞや混乱するだろうと期待して見ていたのだが、なんと松村はドアガードをかけており、寝起きドッキリが敢行できず……。企画的には空気の読めない行動をとった松村だが、セキュリティ対策万全・ガードの堅さは、キャラクター的に“らしさ”満点。事前告知なしのドッキリだからこそ生まれた奇跡だろう。

 この展開に不安を覚えた高地は、最後の田中樹の部屋へ向かう前に「どうする? 樹、部屋いなかったら」と懸念を口に。気を取り直して無事に潜入すると、ピエロ・京本は布団が盛り上がっていることを確認し、バズーカクラッカーを持ってスタンバイ。まずは寝顔をチェックしようと布団をめくったが、枕などで人の形を作った状態で、田中の姿はなし。事態が飲み込めない一同が「え?」(京本)「やっぱほら!」(高地)「あいつやった?」(京本)とオタオタしていると、田中本人が後ろのカーテンから登場し、まさかの“逆クラッカー”を発動させた。

 「テメェさぁ……」(高地)「マジで楽しみにしてたのに! ふざけんなよ!」(京本)「やったな!」(ジェシー)と、まんまと引っかかったメンバーはブチ切れ。実は田中、前回のドッキリの恨みを晴らすべく早起きしていたそうで、「6時に俺の部屋来るのかなぁって、俺ずっと思ってたんだよ」とのこと。「俺いなかった時、どう思ったの?」と聞くと、「ちょっと樹、悪いことしたんだと思った」(京本)「俺も思った」(高地)「替え玉作ってどっか行ったっていう、昭和のアイドルみたいなことしてるのかと思った」(京本)「俺もうお蔵入りかと思った」(高地)と正直に告白。

 例えば連れ去られた、何か事件に巻き込まれた……といった心配ではなく、真っ先に替え玉を疑うあたりが面白い。田中なら“地方で遊びそう”と、メンバーも思っているのだろうか(確かに女性と密会していてもおかしくないチャラ男感)。結局、松村については「逆に何もしないでオンエアーで知るっていうのはどう?」(高地)と起こさずに終了。今回の動画で最後まで出番はなく、松村がドッキリを知る模様は後日配信予定だとか。

 さまざまな見どころがあるだけに、コメント欄は「みんながドッキリで騒いでる間、北斗がスヤスヤ寝てるかと思うと可愛い」「樹がいないことで年相応の顔になっちゃうジェシーと、すぐ察するきょもゆごの年長感がしんどい」「一番盛大にドッキリされたのは北斗というオチ」「高地の『樹いなかったらどうする?』『やっぱほら!』がリアルすぎて……。樹、過去にやらかしたことあるのかな」と、盛り上がっている。再生回数は公開後1週間で56万台。

 20日は「美 少年【5倍シリーズ第2弾】UNO5セットで遊ぶと…」(再生回数は26日時点で17万台)。2月配信分でトランプ5セット使ったババ抜きを楽しんだが、今回はカードゲーム「UNO」5セット(手札35枚)で挑戦している。公式ルールはドロー2などの記号カードは1枚ずつの使用だというが、ここは美 少年ルールで進行。開始早々、金指一世がドロー2を8枚出すと、岩崎大昇が「金指、『めっちゃ(UNO)やる』って言ってたじゃん」と、以前聞いた本人の言葉を思い出したよう。周囲は「強いわ、これ」(那須雄登)「プロだから」(藤井直樹)と、グループ最年少・金指の腕前に震え上がっていたのだが……。

 以降は怒涛のドロー2&ドロー4合戦へ。38枚まで溜まり、該当のカードを持っていなかった那須が引き受けることに。かねてよりゲーム企画に弱い那須は「単細胞すぎるわ、俺!」と目を丸くしていた。対照的に、いつもこうした場面で頭が切れる浮所飛貴が「ちょっと那須に整理の時間をあげるからリバース」と、上から目線でコメント。隣の那須が悔しそうに唇を噛みしめていると、今度は佐藤も浮所のリバースに便乗した(3分17秒頃、佐藤の満面の笑みが可愛い)。なおもリバースでイチャつく仲良しな浮所&佐藤。順番が回ってきた金指は先の展開を予測しているようで、「もう次のことまで考えてる。ヤバい!」(岩崎)「怖い、怖い」(佐藤)「金指くんって怖いんだね」(藤井)と、UNOによって意外な一面を知った様子のメンバーたち。

 金指はスキップ3枚で自分のターンに持っていき、手札を減らす作戦を実行。再びのドロー2リレーは、浮所が26枚も回収するハメになり、先ほど舐められた那須をはじめ、UNOに燃える佐藤、金指も大喜びした。その後、前のババ抜きも劣勢だったはずが逆転1位を遂げた岩崎が今回もトップで通過。通常のルールは上がる前に「UNO」と宣言しなければならないが、佐藤は「UNO言ってない!」とイチャモンをつけ、岩崎が「だって俺2枚(同時出し)だもん」と、応戦した。実は直前に金指が色を選べるカードを場に置き、「赤」と指定。これで岩崎が赤のカード2枚を出せただけに、浮所は「金指~!」と叫んで怒りをぶつけた。

 藤井は「一番じゃないとヤダ!」(6分15秒頃)とご機嫌斜めになり、手持ちが残り1枚の時点で顔芸を連発。藤井ファンにとってはリピート必須のポイントだろう。7分4秒頃には、優位かと思われた藤井よりも先に那須が上がり、「ほら~! 俺、ゲーム強くなったでしょ。ゲーム強くなったでしょ、俺。褒めて~」と、1人で大ハシャギ。しかし、「褒めて~」のリクエストは誰も応じずに静まり返っており、筆者はついつい吹き出して笑ってしまった(おそらくHiHi Jetsなら誰かが褒めてあげる場面)。最終的に佐藤、藤井、浮所が続々と抜け、策士とみられた金指が敗北。浮所が「あれ? 一番強い人~?」と皮肉を言うと、金指はガクガクと震えて無念がった。

 結局、1位で抜けた岩崎をアシストするなど散々だった金指。「もう一回、UNOやり直します。家で」の一言には、浮所が「もう一回やる? じゃあ、今から。もう一回やろう」と乗っかり、罰ゲームもなくエンディングを迎えた。もし那須が負けていれば、確実に一発ギャグをやらされたことだろう。まだまだ末っ子に甘いお兄ちゃんたちの優しさを感じるオチになった。

 21日に更新されたのは「HiHi Jets【どっちが正解】童謡の2番歌詞or橋本の歌詞…あなたにわかる?」。2月配信の作間龍斗メイン企画「【脳内解剖】 偉人or作間 どっちの名言?」の第2弾で、橋本涼が有名な童謡の歌詞を考え、実際のものとの2択クイズを行っている。普段から弁が立つ猪狩蒼弥は、前回の動画で出題に対して「語呂が悪い」「内容が薄い」などと容赦ないダメ出しを繰り返したが、今回もなかなかの“猪狩節”が炸裂している。冒頭は橋本の「今回はですね……。はい、みんな元気?」というぎこちない仕切りでスタート。「童謡の2番みんな知ってる? 意外と……」と話を振ったところ、見かねた猪狩は「さっきからずっと日本語めちゃくちゃ!」と、指摘した。

 いつもおバカな言動が目立つ橋本は「日本語って難しい」と、爽やかな笑顔で納得。橋本に代わって高橋優斗が「整理してもいいですか、これ。作ちゃんがこないだやった企画の(続編)ってことですか?」と説明を引き取り、作間が「あぁ~、あの名言。名人のやつだ!」と、理解した。しかし、ここで作間の隣に座る猪狩は小さな声でサラッと「偉人のね」と教え、間違いをフォロー。きちんと過去のテーマを覚えているあたり、個人的に好印象を抱いた。また橋本が、「童謡はですね、結構たまにですけどトンチンカンな答えがあるじゃないですか」と述べた際は、すぐに猪狩が「『ある日森の中くまさんに出会った』でしょ?」と、童謡「森のくまさん」の歌詞を例に挙げ、頭の回転の速さを見せつける。

 第1問は「線路は続くよどこまでも」で、「線路はうたうよ いつまでも」(A)と「線路であそんじゃ あぶないよ」(B)の2種類から選択。これは4人ともAが本来の歌詞だと言い当てた。2問目は「アルプス一万尺」の4番の歌詞が対象で、「お花畑で昼寝をすれば 蝶々が飛んできてキスをする」(A)「お花畑で昼寝をすれば 蜂に刺されてケガをする」(B)の2つ。井上瑞稀は「童謡っぽくない? Aの方が。ファンタジー感。Bちょっとリアルじゃない?」と比較し、作間は「はしもっちゃんのチャラさから(Aの)キスきてそうな気もするんだよね」と予想。意外に突拍子もない童謡の歌詞と、天然キャラの橋本の発想はマッチしており、高橋は「絶妙なんだよな」と、感心した。

 本来の歌詞は全員一致でAだったが、猪狩は「いやでも、これはホントわかんなかった。スゴいよ」と、橋本の表現を高く評価。褒められた途端、本人は「俺が出した問題で悩んでる姿見るの、結構気持ちいい」と、ドヤ顔になっていた。3問目の「大きな古時計」では、「壊れてしまった古時計 もう動かない」(A)「なんでも知ってる古時計 おじいさんの時計」(B)に対して、猪狩が「Bだと思う。Aは語呂が悪い!」と、バッサリ。やはり本物の歌詞はBで、4人が3ポイント目を獲得した。次の「シャボン玉」は「シャボン玉消えた 飛ばずに消えた 生まれてすぐに こわれて消えた」(A)「シャボン玉飛んだ 遠くに飛んだ 生まれてずっと 綺麗に飛んだ」(B)の2択。

 4人の意見が割れ、「シャボン玉はきっと壊れるのが定めなんじゃないの?」(高橋)「俺もAだと思う。(Bの)『生まれてずっと』って、もう意味が全然わかんない。『生まれてすぐに』はわかる」(猪狩)と2人がAを推し、井上&作間はBをチョイス。猪狩の想像通り正しくはA、橋本考案の歌詞はBの方で、高橋とともに猪狩は4ポイントとなった。最終問題の「一年生になったら」は井上以外が当たり、猪狩&高橋は全問クリアで終了。橋本は「俺思ったんだよね。作ちゃんの次に(この企画を)やってみて。ガリさんが強い!」と、猪狩の日本語力や的確な判断にすっかりお手上げ状態。こうしたHiHi Jetsの“お互いの活躍を認め合う姿勢”は素晴らしいと、あらためて感じる1本だった。

 HiHi Jetsは23日にパフォーマンス動画の「『情熱ジャンボリー』(JOHNNYS' Experience in TOKYO DOME CITY HALL)」が配信され、再生回数は通常回が16万台、2本目は21万台(26日時点)となっている。

 24日の動画は、Snow Man・阿部亮平が先生となるクイズ&お勉強企画「Snow Man 【転校生来た!】阿部ちゃん先生に新メンバー登場!その学力は!?」(再生回数は26日時点で29万台)。過去回は阿部以外の5人が生徒だったが、1月に新加入した向井康二、目黒蓮、高校一年生のラウールが仲間入り。まずはオリジナルメンバーの6人でスタートし、オラついた口調で「この企画が一番好きなんだよ!」と、訴える宮舘涼太。かたや、オドオドした表情の渡辺翔太は、開催中の『滝沢歌舞伎ZERO』で演じている銀之助になりきっていた(気弱な表情に胸キュン)。

 一方、阿部が岩本照の制服のパツパツ加減をイジると、宮舘は「はじけりゃYea!」と嵐のデビュー曲「A・RA・SHI」の歌詞を持ち出し、以降は「素直にGood!」(岩本)「だからちょいと重いのはBoo!」(渡辺)「That's all right!」(宮舘)と、妙な連携プレーを見せる3人。阿部が「もういいよ!」とストップをかけ、「大事なことがあるんだ。今日は転校生が来てるんだ」と、新メンバーを呼び込んだ。自己紹介タイムで、トップバッターの目黒は「好きな教科は体育。嫌いな教科は体育以外。よろしく!」と、イキった顔つきで宣言。さほどおかしなことは言っていないものの、この時点で「なんか“アホの子”っぽい……」と感じたのは、筆者だけではないはず。

 学ランの下にパーカーを着たスタイルがよく似合う向井は、「好きな教科は家庭科です。嫌いな科目は算数です」と無難にコメント。残るラウールは教室に入ってきた時から「人」の字を手のひらに書いて飲み込み、緊張した様子を見せていたのだが、向井は「じゃあ、最後にリーダー!」と振り、突然の“リーダー設定”にザワつく一同。意外にもラウールは「オイ!」とドスの利いた声を出し、自己紹介にもかかわらず「紹介してやるよ!」と、一言。あらためて、「ベネズエラから来日したラウールです。うーん、好きな教科は茶道。嫌いな教科は日本語!」と独特なセンスを発揮し、岩本は「おい、曲者ばっかじゃねーかよ!」と、衝撃を受けていた。

 社会の1問目は「新しい元号を漢字で書きなさい」とのお題で、渡辺のみが「令和」ではなく「冷和」と解答。筆者は阿部の「1人、冷えてる人いない!?」というズバリな指摘がツボにハマってしまった。続いて、2問目は「タイの国の形を描きなさい」。「ある動物の頭の形にソックリ」といったヒントも提供され、特に母親がタイ出身の向井に期待がかかった。キリンを描いた宮舘は4本足まで再現していたため、ラウールは思わず「え、国の形ってこと忘れてます?」と、ナイスツッコミ。加入当時の京都ロケに比べ、だいぶリラックスして会話に入ることができるようになったのだろう。ところが、賢いと思われたラウールはヒントを無視して「歯みたいな感じ」のイラストを見せ、現場が混乱。

 渡辺に至っては「タイ=魚の鯛」という珍回答で、本命の向井は「タイはそんなに長細くないの」と、ほぼ円形の物体を記した。実際は下に長細く伸びた「ゾウの頭に似た形」。向井は長細い地域について「最近できましたね」と言い張り、笑いを誘った。2時間目の国語は「走れメロス」(太宰治の短編小説)の冒頭部分「メロスは○○した」を埋める問題。阿部が「げ」と一文字目を口走ってしまい、宮舘とラウールは漢字で正解の「激怒」、深澤辰哉がひらがなで「げきど」と書くも、目黒は「激度」と、小・中学生でもわかるレベルの文字を間違えていた(今春に大学を卒業したはずなのに……)。個人的には渡辺の「メロスは元気で(した)」に惹かれ、「鯛」に続く天才的なインスピレーションが最高だった。

 ラストはなぞなぞで、料理の「さしすせそ」を知っていなければわからないお題。料理が得意な宮舘は真っ先にひらめき、一気にラウール、岩本、向井、佐久間大介もピンポン。渡辺とともに最後まで残った目黒は昔の書き方「せうゆ(しょうゆ)」を把握していなかったが、途中で「わかった!」と机を叩いて自分の手を痛めるおマヌケな場面も。正解にたどり着いたとはいえ、エンディングで目黒は「『せうゆ』ってなんですか? 醤油なの?」と発言しており、阿部が「昔の人の書き方だと、『せ』を『しょ』って読んでたの」と、補足。早々にギブアップしていた渡辺は「まぁ、今を生きてるからな。俺たち。ちょっと問題に難ありだな」と、ケチをつける始末だった。今後のSnow Manは、やや頼りない年上メンバーをラウールがほどよくサポートしてくれることを願いたい。
(中村チズ子)

田原俊彦がジャニーズ圧力の真実を告白! メリー喜多川も改心!? テレビ局はもう「忖度」する必要がない

 SMAP解散後のジャニーズ事務所離脱組(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾)の処遇をはじめ、「ジャニーズ事務所からの圧力」「ジャニーズ事務所を恐れるメディアの忖度」がここ数年注目されてきた。そんな中、芸能界の歪んだ構造の犠牲者のひとりである田原俊彦が「ジャニーズタブー」について口を開き、話題となっている。

 田原俊彦は「抱きしめてTONIGHT」(1988年)、「哀愁でいと」(1980年)、「ハッとして!Good」(1980年)などヒット曲を連発。近藤真彦と並んで1980年代のジャニーズ事務所を支えたトップスターのひとりだった。しかし、田原俊彦の輝かしいキャリアはジャニーズ事務所独立とともに暗礁に乗り上げることになる。

 1991年、田原はダブルティ・プロジェクトという個人事務所を設立。1994年にはジャニーズ事務所からの独立を果たす。しかし、その独立がジャニーズ事務所との折り合いをつけぬまま強行した一方的なものであるとメディアからバッシングの対象となったのだ。

 また同年には、長女誕生を報告する記者会見のなかでの<何事も隠密にやりたかったけど、僕ぐらいビッグになってしまうとそうはいきません>という、いわゆる「ビッグ発言」が猛バッシングを受け、完全に「干される」状態となってしまう。

 近年ではメディアに露出する機会も増えてきたものの、田原がジャニーズ事務所独立を契機として、地上波テレビをはじめとしたメディアから一斉に締め出されたのは明らかだった。

田原俊彦「忖度したのはテレビ局のほう」
 「週刊文春」(文藝春秋)2019年5月2日・9日号のロングインタビューを受けた田原は、1990年代初頭の事務所独立について<本当によくやったよね(笑)。今の若いジャニーズの子なんてびっくりするんじゃない? 三十代前半で結婚して独立するとかさ。タレント生命を絶たれるようなもんじゃない!>と笑う。

 では、独立を機に受けた古巣からの圧力とはいかなるものだったのか。田原は「週刊文春」でこのように語っている。

<明石家さんまさんにも、『吉本の人間が吉本を出て行ったら干されるで』と言われました。実際、ジャニーズを卒業した人間で成功例を出したらまずいわけ。どこの組織だって出て行った人間を邪魔はしないにしても、応援はできない>

 ただ、田原自身はジャニーズ事務所から直接に圧力をかけられたことはないとも証言している。

<その後(引用者注:事務所独立後)は、僕を使おうとするプロデューサーもいなかった。ただ、忖度したのはテレビ局のほうなんですよ。ちゃんと言っておきたいのは、ジャニーズ事務所が直接僕に何かしたわけではありません。でも、見えない圧力はあったと思う。現に、後輩との共演は今までありませんから>

 ジャニーズ事務所の圧力の掛け方として巷間言われているのは、自らの意に沿わないメディアに対し、「所属タレントの引き上げ」や「出演拒否」といったかたちで脅しを与えることだ。本人に直接圧力を与えるというかたちで行われるものではない。

 有名な例がDA PUMPと『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に対して行ったものだろう。

 新進のダンス&ボーカルグループとして飛ぶ鳥落とす勢いだったDA PUMPを問題視したジャニーズ事務所は「タレント引き上げ」というかたちで音楽番組に対して圧力をかける。

 1997年11月14日放送回の『ミュージックステーション』がそうだった。この回の放送でDA PUMPはKinki Kidsと共演する予定だったのだが、放送当日にKinki Kidsの姿はなかった。これは、DA PUMPの勢いに脅威を感じたジャニーズ事務所による“恫喝”のボイコットであると言われている。

 これ以降、DA PUMPは21年もの長きにわたって『ミュージックステーション』に出演することができなかった。DA PUMPだけではない。w-inds.、LeadといったDA PUMPと同じ事務所(ライジングプロダクション)のグループも『ミュージックステーション』に出演できていない。

 こういったことは、SMAPが国民的アイドルとして絶対的な地位を築き、ジャニーズ事務所がテレビ局をも凌駕するような力を得てどんどん激しくなっていき、それがいまでも続いているといえる。

 SMAPの育ての親である飯島三智氏もこういった手法を使ってSMAPメンバーのスキャンダルをメディアが扱わないように仕向けていたわけで、現在の状況は、ある意味かつて自分のしていたことが巡り巡ってきた因果ともいえるのかもしれない。

メリー喜多川が田原俊彦に宛てた手紙に書かれていたこと
 ただ、インターネット、SNSが発達し、「芸能界の裏」といったものが筒抜けになりつつあるいま、ジャニーズ事務所のこういったやり方は多くの人が知るところとなり始めている。

 今後、ジャニーズ事務所がSMAP解散騒動のときのような強権を発動するようなことがあれば、これまでの比ではないバッシングにさらされるだろう。

 それはメリー喜多川氏もわかってはいるようだ。円満に着地した嵐の活動休止までの流れはその変化を象徴するものである。

 また、「週刊文春」のインタビューによればこんなこともあったらしい。

 今年3月、田原のもとにメリー氏から手紙が届いたそうなのだが、そこには芸能生活四十周年を迎えた田原に対する祝福の言葉と、ジャニーズ時代の写真に対する使用許可を伝える内容が綴られていたのだという。

 こういった状況がある以上、ジャニーズ事務所はもうこれまでのような圧力をかけてくることはないだろう。

 テレビ局はもう「忖度」をする必要はないのではないか。

「当選権利は対象?」「サイン会は?」「ディズニーランドは?」チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!

 6月に施行され、東京オリンピックのチケットも関係する「チケット転売規制法」。弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士から前回(記事はこちらから)「そもそもこの法律は消費者保護が目的ではない」という意外な事実を伺った。引き続き今回は、チケット転売規制法の詳細について見ていきたい。

 

ポイント①双方向でなく「一方通行」の興行が対象

――チケット転売規制法の対象となるのは、どのような興行なのでしょうか。

山岸純弁護士(以下、山岸) 「この法律において「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせること」とあります。

 よって、飛行機、新幹線といった交通チケットは対象外です。ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンといったレジャー施設の入場券も「見せる、聴かせる」でなく体験させるタイプのものなので対象外です。

――握手会やサイン会のチケットは含まれないとみていいのでしょうか。

山岸 アイドルと握手をしたり、サインをするのは芸能を「見せる、聴かせる」ではないので、対象外でしょうね。見せるだけ、聴かせるだけといった「一方通行感」がポイントです。

 

ポイント②反復する意思があるとアウト!

――法律を見ると、業(ぎょう)として興行主やその委託を受けた販売業者の事前の同意を得ないで、販売価格を超える金額で(チケットを)有償譲渡すれば、売り手、書い手ともに罰せられる。とありますね。「業」って、なんなんでしょう?

山岸 法律上の業とは「ある動作を反復継続する意思があるか、実際にそれをやっているか」ということです。車で人を轢いてしまう罪を、今は自動車運転致死傷罪と言いますが、以前は業務上過失致傷罪と言っていました。この業務上という言葉も「業」と同じです。車の運転は「繰り返し」するものですよね。別に営利目的でなくても、何回も繰り返そうとしている行動であれば「業」にあたります。

――なぜ無職の人が車で人を轢いたときに「業務上過失致傷罪」になるのか不思議だったのですが、「仕事中」でなく「繰り返す行為」という意味なんですね。

山岸 はい。法律上の業は「何度も繰り返す」という意味です。ただ、営利目的であればそのこと自体で既に「業」にはなりますね。営利目的ならば「何回も繰り返す」ことが想定されますから。

――つまり、何回も転売を繰り返す職業としてのダフ屋は、当然チケット転売規制法において「業」となり、アウトなんですね。ダフ屋は定額より高い金額でチケットを売ったらアウトだし、ダフ屋から定額より高い金額で購入した人もアウトだと。

山岸 はい。しかし「今回一回だけ、どうしても金欠なので、チケットを1万円で売りました」という場合は「業」にはあたりません。

 ポイントは「繰り返し」です。定価からどれだけの金額を上乗せしたかは全く関係ありません。500円のチケットを510円で売ったとして、それを繰り返し行えば「業」ですし、個人が一回きりで5,000円のチケットを10万円で売っても、それは業には当たりません。

――そうなると、チケット転売規制法ができても「一回きり」で高額転売をする人は規制の対象にならないということですね。歯がゆい気もしますが……。

山岸 前回(記事はこちらから)でお話した通り、チケット転売規制法が保護する対象は「高額チケットで苦しむ個人」でなく「興行主」です。個人の一度きりの転売を規制するのではなく、それよりも数が多いであろう「業」として転売を続ける業者を規制の対象としているのです。

――チケット転売規制法における対象のチケットは、
「興行主やその委託を受けた販売業者が、販売時に
A:同意のない有償譲渡を禁止し、
B:入場資格者又は購入者の氏名・連絡先を確認した上で、
ABが券面などに表示されている興業であり、かつ興行の日時・場所のほか、入場資格者又は座席が指定されているもの」とあります。

 近年は転売防止のため、指定席でも座席が当日にならないと判明しないチケットもありますが、こういったチケットも規制の対象でしょうか?

山岸 はい。上記ABの条件に該当していれば、座席が当日にならないとわからないチケットも規制の対象です。

 

 

ポイント④「チケット」ではなく「当選権利」は規制の対象?

――チケットそのものではなく「あなたはこのコンサートに当選しました。 いつまでに●●円を振り込み、その際に今回の整理番号を入力してください」というような「当選権利」が当たるケースもあります。振込票番号を入力し、代金を支払った後チケットが発券される形になります。こういったチケットになる前の当選権利は、チケット転売規制法の対象になるのでしょうか。

山岸 当選権利は対象外ですね。この法律が規制する対象は「チケット(電子チケットの場合も含む)」です。 「当選権利」は「チケット」ではないからです。

――似たようなものにも思えるのですが、なぜでしょう?

山岸 処罰がある法律は「類推解釈」してはいけない法律の原則があります。チケット転売規制法では、9条で「(違反した場合)一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。 よってこの法律では「チケットでは」と特定されているため、当選権利までの類推はできないのです。

――ほかに、チケット予約を本人に代わって代行するサービスもありますが、ではこちらもチケット転売規制法の対象ではないですよね。

山岸 はい。チケットを取ることを本人に代わってやっているだけであり、今回の法律の対象外です。

 

ポイント⑤チケットに抱き合わせて販売はセーフ?

――チケットに支払手数料や送料等を抱き合わせるのは問題ないでしょうか。

山岸 この法律における不正転売の定義はもともとのチケットの販売価格を超えて売ることになります。ただ、支払手数料や送料は付随する話なので、問題ないでしょう。

――では、チケットにグッズ等を抱き合わせるのはどうでしょうか。

山岸 100円のブロマイドをつけて、チケットが5,000円の場合、5,100円で売るのは問題ありません。ただ、5万円で販売したら、アウトでしょうね。

* * *

 チケット転売規制法が施行されても「業として」ではない、一回きりの個人の転売は今まで通り問題ないのだ。では、チケット転売専用サイトやメルカリ、twitterといった、個人間の売買時によく使われる「ウェブサービス」は罪に問われないのだろうか? 引き続き山岸弁護士に伺う。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

「日能研」ならぬ「父能研」の功罪! 東大父の家庭学習が、息子の中学受験をかき乱す!?

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 中学受験で難しいことの一つに親自身の「メンタルコントロール」がある。気分がジェットコースター並みに上がったり、下がったりを繰り返すからだ。それには、このような原因がある。

1.通塾先が大手ならば、毎週のように子どもの成績を見せられて一喜一憂する
2.受験には期限(受験日)があるので焦る
3.試験で目標値をクリアできる自信がなくなる
4.成績が上がらないことで、やる気が低下した子どもを見てイライラする
5.やる気がないのに、こんなに勉強させることが正しいのかを迷い出す
6.生活の全てが受験に結びつく暮らしに嫌気が差す

 中学受験に挑戦することが我が子の未来にとって“正しい”選択だと信じて進んだ道ではあるが、その長い道中、多くの親は獣道を辿っているような錯覚を覚えることだろう。そこで、子どもの苦労を分かち合おうと机を共に並べる親も出てくるし、苦手科目を補習しようと子どもの家庭教師を買って出る親もいる。

 自ら子どもの家庭教師に名乗りをあげた茂さん(仮名)という父親がいた。茂さんは大手食品メーカーに勤める管理職、自身は公立名門高校からの最高学府出身者。一人息子である岳君(仮名)にも期待を寄せていた。4年生で大手塾の門を叩いた時の岳君は優秀な成績で、茂さんは大いに満足したそうだ。

 しかし、5年生の夏休み明けあたりから、成績が徐々に落ちていく。岳君は、当時所属していた最上位クラスからは当然陥落し、塾仲間に“仲間認定”されなくなったと泣いていたそうだ。
塾では、5年生以上になると、これまでとは打って変わって、本気モードで頑張るようになる子が出てくるので、相対的に順位を下げてしまう子どもが生まれやすいのだ。

 そんな中、この状況に心を痛めた茂さんが「これではいかん!」と奮起し、「自分が教える!」と張り切り出したのだ。以来、茂さんは早々に仕事を切り上げ、徹底的に岳君の勉強に付き合おうとした。これを業界用語で、大手中学受験塾「日能研」にかけて、「父能研」と呼ぶのであるが、岳君のスケジュールはこうなった。

起床→直後に計算問題と漢字の書き取り→朝食→登校→帰宅→塾の宿題プリントを解く→塾(夕食はお弁当)→帰宅→茂さんと共に午後11時まで学習

 茂さんは「1を聞いて10を知る」タイプだったらしく、今までの学業人生では負けたことがないと自負するほど優秀なのだが、岳君はどちらかと言えば、のんびり屋で父親のスピードにはなかなか付いてはいけなかったそうだ。ゆえに、茂さんの決めた「午後10時から算数の問2を解く」といったスケジュール通りに動けない。やっと机の前に座ったかと思っても、今度は茂さんが言うように問題を解けないのだ。茂さんはだんだんとイライラし、

「違う! 何度言ったら、わかるんだ!?」
「パパが言うように解け!」

と声を荒げることも多くなったそうだ。

 中学受験は、方程式といった“数学的解法”では解かないことがほとんどなので、親が「安近短」のを教えてしまうと、塾の講義内容とドンドン乖離が生まれ、子どもがますます混乱しかねないというのは有名な話なのである。

 岳君は親の期待に応えられない自分に対し、ますます自信を失い、クラスも全体の真ん中あたりまで落ちていった。

 そんな時だった。心配した塾の先生が茂さんを呼び出して、こう言ったそうだ。「お父さん、このままでは岳君は勉強嫌いになってしまいますし、完全に自信を失ってしまいます。どうですか? 少し、お子さんを俯瞰で見ていただけませんか?」と。そして中学受験における問題の解き方、そのメリットなどを具体的に示してくれたという。

 その塾の先生いわく、男性はロジックがわかると納得し、安心して塾に任せてくれる面があるそうで、全ての学習が塾で完結するように、岳君に自習室学習を勧め、岳君がいつでも“中学受験のプロ”に質問できる体制を作ったという。一方、反省した茂さんは「パパが悪かった」と岳君に謝り、以降、成績に関して口を挟むことをやめようと決意したそうだ。

 もともと、ゆっくりではあるものの、コツコツ型である岳君には、威圧感のない環境での学習は逆に楽しかったようで、徐々にペースを掴むようになってきたそうだ。成績も段々と上がり出し、6年の秋には見事に最上位クラスに返り咲いたという。

 茂さんは、当時、塾の先生から言われたことを、今でも覚えているという。

「先生にはガツンと『一生、勉強ですよね? 中学受験で親がやっちゃいけないことは、子どもを“勉強嫌い”にしてしまうことなんですよ。息子さんには息子さんのペースがあります』と言われましたね」

 そして、照れ笑いを浮かべながら「一生、勉強って、私自身が教えられました。未熟なのは親の私の方でした」と、話していた。

 今、岳君は難関中学に入り、生物部で頑張っている。将来はサラリーマンではなく、研究職に就きたいそうだ。茂さんは「それでいいと思います。息子の人生は息子のものなので。自分のペースでやってくれたら、それでいい」と感じているという。

 中学受験は、11歳もしくは12歳の「子ども」が受ける受験である。ここに「親子の受験」と呼ばれる中学受験の落とし穴がある。子どもたちの時間軸は、大人とはまったく違う。大人になると1年は早いが、子どもの1年は実にゆっくりと流れているのだ。そうした背景から、大人が経験則によって、「今、これをやって、こうして、こうやらないといけない」という“計画”を立てる、つまり「残り何日」という計算でスケジュールを作ると、子どもが付いていけなくなる。1週間先も遠く感じられる子どもに、半年後、ましてや1年後の未来を想像しながら行動しなさいというのは、なかなか酷な話。子どもは、それができるほどの歴史を積み重ねてはいないのだ。

 その道理がわからないと、親はドンドンと焦って来て、その焦りが何かも理解できない子どもを追い詰めていく危険性がある。もし、成績が思うように伸びていかない、子どもにやる気がみられないという場合は、家庭で余計なプレッシャーを与えすぎていないか、子どものペースを尊重しているかなどを、親が振り返ってみることをお勧めしたい。

 中学受験は親が子に伴走しながら、合格を目指していくものではあるが、伴走者が子どもよりも遙か先を走っていては、伴に走ることにはならない。受験も含めた子育ては難しいもの。しかし、親が「親と子は別人格」「子どもには子どものペースと道がある」と自覚している受験は、その親子にとって「いい受験になっているなぁ」というのが、筆者の実感だ。
(鳥居りんこ)

「日能研」ならぬ「父能研」の功罪! 東大父の家庭学習が、息子の中学受験をかき乱す!?

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 中学受験で難しいことの一つに親自身の「メンタルコントロール」がある。気分がジェットコースター並みに上がったり、下がったりを繰り返すからだ。それには、このような原因がある。

1.通塾先が大手ならば、毎週のように子どもの成績を見せられて一喜一憂する
2.受験には期限(受験日)があるので焦る
3.試験で目標値をクリアできる自信がなくなる
4.成績が上がらないことで、やる気が低下した子どもを見てイライラする
5.やる気がないのに、こんなに勉強させることが正しいのかを迷い出す
6.生活の全てが受験に結びつく暮らしに嫌気が差す

 中学受験に挑戦することが我が子の未来にとって“正しい”選択だと信じて進んだ道ではあるが、その長い道中、多くの親は獣道を辿っているような錯覚を覚えることだろう。そこで、子どもの苦労を分かち合おうと机を共に並べる親も出てくるし、苦手科目を補習しようと子どもの家庭教師を買って出る親もいる。

 自ら子どもの家庭教師に名乗りをあげた茂さん(仮名)という父親がいた。茂さんは大手食品メーカーに勤める管理職、自身は公立名門高校からの最高学府出身者。一人息子である岳君(仮名)にも期待を寄せていた。4年生で大手塾の門を叩いた時の岳君は優秀な成績で、茂さんは大いに満足したそうだ。

 しかし、5年生の夏休み明けあたりから、成績が徐々に落ちていく。岳君は、当時所属していた最上位クラスからは当然陥落し、塾仲間に“仲間認定”されなくなったと泣いていたそうだ。
塾では、5年生以上になると、これまでとは打って変わって、本気モードで頑張るようになる子が出てくるので、相対的に順位を下げてしまう子どもが生まれやすいのだ。

 そんな中、この状況に心を痛めた茂さんが「これではいかん!」と奮起し、「自分が教える!」と張り切り出したのだ。以来、茂さんは早々に仕事を切り上げ、徹底的に岳君の勉強に付き合おうとした。これを業界用語で、大手中学受験塾「日能研」にかけて、「父能研」と呼ぶのであるが、岳君のスケジュールはこうなった。

起床→直後に計算問題と漢字の書き取り→朝食→登校→帰宅→塾の宿題プリントを解く→塾(夕食はお弁当)→帰宅→茂さんと共に午後11時まで学習

 茂さんは「1を聞いて10を知る」タイプだったらしく、今までの学業人生では負けたことがないと自負するほど優秀なのだが、岳君はどちらかと言えば、のんびり屋で父親のスピードにはなかなか付いてはいけなかったそうだ。ゆえに、茂さんの決めた「午後10時から算数の問2を解く」といったスケジュール通りに動けない。やっと机の前に座ったかと思っても、今度は茂さんが言うように問題を解けないのだ。茂さんはだんだんとイライラし、

「違う! 何度言ったら、わかるんだ!?」
「パパが言うように解け!」

と声を荒げることも多くなったそうだ。

 中学受験は、方程式といった“数学的解法”では解かないことがほとんどなので、親が「安近短」のを教えてしまうと、塾の講義内容とドンドン乖離が生まれ、子どもがますます混乱しかねないというのは有名な話なのである。

 岳君は親の期待に応えられない自分に対し、ますます自信を失い、クラスも全体の真ん中あたりまで落ちていった。

 そんな時だった。心配した塾の先生が茂さんを呼び出して、こう言ったそうだ。「お父さん、このままでは岳君は勉強嫌いになってしまいますし、完全に自信を失ってしまいます。どうですか? 少し、お子さんを俯瞰で見ていただけませんか?」と。そして中学受験における問題の解き方、そのメリットなどを具体的に示してくれたという。

 その塾の先生いわく、男性はロジックがわかると納得し、安心して塾に任せてくれる面があるそうで、全ての学習が塾で完結するように、岳君に自習室学習を勧め、岳君がいつでも“中学受験のプロ”に質問できる体制を作ったという。一方、反省した茂さんは「パパが悪かった」と岳君に謝り、以降、成績に関して口を挟むことをやめようと決意したそうだ。

 もともと、ゆっくりではあるものの、コツコツ型である岳君には、威圧感のない環境での学習は逆に楽しかったようで、徐々にペースを掴むようになってきたそうだ。成績も段々と上がり出し、6年の秋には見事に最上位クラスに返り咲いたという。

 茂さんは、当時、塾の先生から言われたことを、今でも覚えているという。

「先生にはガツンと『一生、勉強ですよね? 中学受験で親がやっちゃいけないことは、子どもを“勉強嫌い”にしてしまうことなんですよ。息子さんには息子さんのペースがあります』と言われましたね」

 そして、照れ笑いを浮かべながら「一生、勉強って、私自身が教えられました。未熟なのは親の私の方でした」と、話していた。

 今、岳君は難関中学に入り、生物部で頑張っている。将来はサラリーマンではなく、研究職に就きたいそうだ。茂さんは「それでいいと思います。息子の人生は息子のものなので。自分のペースでやってくれたら、それでいい」と感じているという。

 中学受験は、11歳もしくは12歳の「子ども」が受ける受験である。ここに「親子の受験」と呼ばれる中学受験の落とし穴がある。子どもたちの時間軸は、大人とはまったく違う。大人になると1年は早いが、子どもの1年は実にゆっくりと流れているのだ。そうした背景から、大人が経験則によって、「今、これをやって、こうして、こうやらないといけない」という“計画”を立てる、つまり「残り何日」という計算でスケジュールを作ると、子どもが付いていけなくなる。1週間先も遠く感じられる子どもに、半年後、ましてや1年後の未来を想像しながら行動しなさいというのは、なかなか酷な話。子どもは、それができるほどの歴史を積み重ねてはいないのだ。

 その道理がわからないと、親はドンドンと焦って来て、その焦りが何かも理解できない子どもを追い詰めていく危険性がある。もし、成績が思うように伸びていかない、子どもにやる気がみられないという場合は、家庭で余計なプレッシャーを与えすぎていないか、子どものペースを尊重しているかなどを、親が振り返ってみることをお勧めしたい。

 中学受験は親が子に伴走しながら、合格を目指していくものではあるが、伴走者が子どもよりも遙か先を走っていては、伴に走ることにはならない。受験も含めた子育ては難しいもの。しかし、親が「親と子は別人格」「子どもには子どものペースと道がある」と自覚している受験は、その親子にとって「いい受験になっているなぁ」というのが、筆者の実感だ。
(鳥居りんこ)

【月経困難症マンガ】ピル服用で不正出血が止まらない!? 【第21回~第30回まとめ読み】

「生理痛なんて、みんな一緒!」

1カ月ごとにやってくる、尋常じゃない腹痛・寒気・吐き気……。
周囲の言葉を信じて10数年も耐え続けた「生理痛」、医者にかかってみたらビョーキと診断されちゃった!?

30歳から治療を開始した「月経困難症」との向き合い方をつづる、日常闘病コミックエッセイ。

まさかの地獄!

声に出さないで~!

エロマンガみたいなセリフ

またイチからやり直し

漢方はまずい?

(つづく)

――「私の生理、病名がつきました。」は、毎週日・月・火の週3回更新になります。お楽しみに!

 

<著者プロフィール>

まお

月経困難症。体験した事や思った事を4コマ漫画にしています。自分の体、大切な人の体を考える事や、行動する事のきっかけになればうれしいです。ポジティブに生きてるオタク。



<バックナンバーはこちら>

第1回~第10回まとめ読み……私の生理、ビョーキでした!?
第11回~第20回まとめ読み……ピル服用、7カ月の間に起きたこと

【第31回】「中容量ピル」にいよいよ挑戦!
【第32回】”血栓”は他人事じゃない!?
【第33回】生理痛に無理解な職場
【第34回】「中容量ピル」に変えて3日後
【第35回】足のむくみって……痛いんだ!
【第36回】不正出血がなくなった!
【第37回】職場のストレスが体に出た!
【第38回】「生理」を知らない男性
【第39回】生理を「知る機会」
【第40回】「ブラック企業」と生理
【第41回】ブラック企業、心の支えだったのは
【第42回】月経困難症から、結婚へ
【第43回】医者の「紹介状」ってどんなもの?
【第44回】「とりあえず」の通院先、どう選ぶ?
【第45回】産婦人科の隣にラブホテル!?
【第46回】卵巣に「のう腫」がある!?
【第47回】卵巣のう腫は良性?悪性?
【第48回】中容量ピル、長期服用はNG?
【第49回】婦人科の悩みは人それぞれ
【第50回】コンビニで短期バイト!
【第51回】新しい職場で大寝坊!
【第52回】30代で更年期障害!?
【第53回】ピル由来と思しき「新たな症状」
【第54回】3度めの「低容量ピル」
【第55回】「不正出血」が起きたワケ
【第56回】ピルを飲むと太るって本当?
【第57回】「ピル太り」実録レポート!
【第58回】ピル太りに効いたダイエット方法
【第59回】自己管理できない人、じゃない!

【月経困難症マンガ】ピル服用で不正出血が止まらない!? 【第21回~第30回まとめ読み】

「生理痛なんて、みんな一緒!」

1カ月ごとにやってくる、尋常じゃない腹痛・寒気・吐き気……。
周囲の言葉を信じて10数年も耐え続けた「生理痛」、医者にかかってみたらビョーキと診断されちゃった!?

30歳から治療を開始した「月経困難症」との向き合い方をつづる、日常闘病コミックエッセイ。

まさかの地獄!

声に出さないで~!

エロマンガみたいなセリフ

またイチからやり直し

漢方はまずい?

(つづく)

――「私の生理、病名がつきました。」は、毎週日・月・火の週3回更新になります。お楽しみに!

 

<著者プロフィール>

まお

月経困難症。体験した事や思った事を4コマ漫画にしています。自分の体、大切な人の体を考える事や、行動する事のきっかけになればうれしいです。ポジティブに生きてるオタク。



<バックナンバーはこちら>

第1回~第10回まとめ読み……私の生理、ビョーキでした!?
第11回~第20回まとめ読み……ピル服用、7カ月の間に起きたこと

【第31回】「中容量ピル」にいよいよ挑戦!
【第32回】”血栓”は他人事じゃない!?
【第33回】生理痛に無理解な職場
【第34回】「中容量ピル」に変えて3日後
【第35回】足のむくみって……痛いんだ!
【第36回】不正出血がなくなった!
【第37回】職場のストレスが体に出た!
【第38回】「生理」を知らない男性
【第39回】生理を「知る機会」
【第40回】「ブラック企業」と生理
【第41回】ブラック企業、心の支えだったのは
【第42回】月経困難症から、結婚へ
【第43回】医者の「紹介状」ってどんなもの?
【第44回】「とりあえず」の通院先、どう選ぶ?
【第45回】産婦人科の隣にラブホテル!?
【第46回】卵巣に「のう腫」がある!?
【第47回】卵巣のう腫は良性?悪性?
【第48回】中容量ピル、長期服用はNG?
【第49回】婦人科の悩みは人それぞれ
【第50回】コンビニで短期バイト!
【第51回】新しい職場で大寝坊!
【第52回】30代で更年期障害!?
【第53回】ピル由来と思しき「新たな症状」
【第54回】3度めの「低容量ピル」
【第55回】「不正出血」が起きたワケ
【第56回】ピルを飲むと太るって本当?
【第57回】「ピル太り」実録レポート!
【第58回】ピル太りに効いたダイエット方法
【第59回】自己管理できない人、じゃない!

『あなたの番です』現段階で犯人候補No.1!? 田中圭の“怪しさ”を徹底検証!

 4月21日放送の『あなたの番です』(日本テレビ系)第2話。正直、初回は微妙な印象だったが、第2話で急に面白くなった感がある。

第2話あらすじ

 管理人の床島比呂志(竹中直人)がマンションから転落死した。手塚翔太(田中圭)は、ショックを受けて沈む妻の菜奈(原田知世)を気遣う。そこへ住民会の会長・榎本早苗(木村多江)が訪ねてきた。菜奈と早苗の会話から、翔太は床島が何者かに殺されたのではないかと考え始める。ゲームのことを翔太に知られたくない菜奈は、翔太が床島の死の真相を推理し始めないか気が気ではなかった。

 そんな中、臨時の住民会が開かれた。菜奈はそこで藤井淳史(片桐仁)から「”交換殺人なら警察にバレない”とか言いだしたあんたのせいだ」と責められた。また、シンイー(金澤美穂)は、掲示板に貼ってあったメモ紙をこの会に持参。「管理人さん」と書かれたその紙を見た一同は「やはり床島はあのゲームで殺されたのでは!?」と動揺した。

 ある日、菜奈と翔太はシンイーが勤務するブータン料理店を訪れ、店で偶然会った藤井と久住譲(袴田吉彦)と同席した。そこで藤井は、学生時代からの友人でタレント医師の山際祐太郎(森岡豊)に対する嫉妬や嫌悪をあけすけに語った。藤井があのゲームで書いた“殺したい相手”は山際だったのだ。

 そんなとき、テレビの速報が流れ、4人は山際が遺体で発見されたことを知る。その後、藤井の元には「あなたの番です」と書かれた脅迫文が送られてくるように。山際を“殺してもらった”藤井が、引いた紙に書かれた人物を“殺す番”であることを意味する脅迫文である。

 そしてある日、藤井が帰宅すると、つけた覚えのない乾燥機が動いていることに気付く。恐る恐る中を覗くと、そこには山際の生首があった。

 このドラマは、全員が「こいつが犯人では?」と思わせる素振りをする。つまり、マンションの住民全員があやしい。よって、現時点で犯人を推測するのは不可能だ。しかも、マンション外の人物も殺人のターゲットになっているので、複雑すぎてお手上げ状態である。

 とはいえ、暫定ながら本命的な存在はいる。田中圭演じる翔太だ。このドラマは2クールあると発表されており、序盤で実行犯を断定できるとは考えにくい。あくまで今ある材料のみを参考に、なぜ翔太があやしいかを確認していきたい。

(1)第1話で管理人の床島が殺された(自殺、もしくは事故死の可能性もあり)。菜奈は住民会で「人を殺しても、知り合いじゃなければバレづらい」と発言している。会に出席した住民は床島と面識がある。翔太は出席しておらず、床島と面識がない。だから、翔太だけは交換殺人実行犯の条件に当てはまる。

(2)床島が逆さまに吊るされている姿を手塚夫妻は目撃している。そのことを2人は警察へ話さず、この件は自殺として一応は決着した。どうして2人は話さなかったのだろう?

(3)翔太は自室で鍵を発見した。そして「管理人さんのかな? 渡してくるよ」と返しに行った。しかし、結局この鍵は返せずじまいだ。たぶん、彼はまだ持っている。このマスターキーを使い、翔太が藤井の部屋へ侵入した可能性がある。

(4)第2話の菜奈との会話で、翔太は「バレる気遣いはウソだよ。でも、バレない気遣いは優しさ。そういう優しさが3つたまると愛になる」と発言した。30回も告白したほど翔太は菜奈にぞっこんだ。菜奈は床島を敬遠していたし、藤井は住民会で菜奈を責めた。菜奈を嫌な気持ちにさせる者を菜奈に悟られないように翔太は殺害していくのではないか? そして、とぼける。「バレないように気を遣って!」とは、翔太の言葉だ。

……と、検証してみたものの、この時点で犯人が特定できてしまうというのも考えにくい。素直すぎてミステリーとしてつまらない。もっと、真相は入り組んでいるはずだ。あくまで、これは現時点での予想である。

 ただ、何にせよ、翔太が気になる存在なのは確か。どうとでも受け取り可能な言動を、特に翔太は重ねているのだ。

 人が死んだというのに、翔太はのん気に犯人当てに興じた。平然と推理を始め、いきなり「真犯人は301号室の尾野さん(尾野幹葉/奈緒)です!」と断言。人に勧めたミステリー小説の結末をいきなり明かす悪癖が翔太にはあるらしい。もしかしたら、この件もいきなり真相を口にしてしまっているのかもしれない。しかもこのとき、彼はブルにダーツを命中させた。的を射た=正解という暗喩か? あんなシーンを無意味にわざわざ挟み込むとも思えないのだが……。

 ほかの住民に関しても気になることは多い。というか、すべての出来事が伏線に思えてくる。

・菜奈

3万円のコーヒーメーカーを相談もなしに購入した菜奈に、自分の収入に合わせたものを欲しがってほしいとし、「“5800円のコーヒーメーカーが欲しかった”って言って! つまり、俺にバレないように気を遣ってください!」と要求した翔太。そのとき、菜奈は「翔太君にウソついてるみたいで罪悪感あるよ」と返答した。でも、住民会で何があったか秘密にしていることについては罪悪感を覚えないのか?

・久住

ブータン料理店の帰り道、菜奈と会話した久住は山際の死亡について「また住民の誰かに殺されたとか……?」と口走った。「また」と言っているが、床島の死は自殺という認識になっているはずだ。

・美里

第1話で赤池美里(峯村リエ)は「一度聞いたことはちゃんと覚えられるんです」と口にした。しかし、第2話では姑の幸子(大方斐紗子)が暗唱した中原中也の詩は答えられず「国語は中学生以下なのね」といびられた。でも、一度習ったことなら忘れないはずだ。ということは、美里は知らないふりをしている? それはなんのために?

……と、あらゆる場面を検証していても切りがない。だって、このドラマはミスリードの連続なのだから。しかも、それが2クール続く。こうなったら、もう神経戦だ。繰り返すがこのドラマ、低調な初回と打って変わって面白くなってきた。

(文=寺西ジャジューカ)