「テレビマンがいま一番キャスティングしたい芸人」「ポスト千鳥」……昨年、東京進出を果たしたかまいたちは、まさに本格的ブレイク前夜。飄々として正体をつかませない、なぜか与沢翼氏と仲が良い山内健司(本人いわく「『クアラルンプールの別荘、いつでも使っていいっていいよ』って言ってくれるけど、そもそもクアラルンプールに行くことがない」)、、そんな山内を母のような慈愛に満ちたまなざしで見つめる濱家隆一。「面白い人は何年かかったとしてもちゃんと売れる」という芸人の掟を地で行く2人が見つめる未来とは――?
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――15周年で初の全国ツアー、少し意外な感じがしました。もっと早くにやってらっしゃるかと。
濱家 そうですね、僕らNGKなんばグランド花月)での単独も、14年目で初めてやったんですよ。結構、そのへん慎重になってたというか、もうちょい早いうちにやってもよかったのかなとも思うんですけど。
山内 2016年の「キングオブコント」決勝に行くまでは単独やっても即完にはならなくて、それがあったんで……。全国ツアーは確実に即完できる状況になったらやろうかな、みたいなんあったんです。
――お2人とも慎重な性格ですか?
濱家 いや、入らへんのに売ってもなっていう(笑)。
――「キングオブコント」(16年3位、17年優勝)が大きな転機になったんですね。
濱家 そうですね。でかかったですね。ずっと面白いネタをやってるつもりではいたんですけど、それを「やっぱり面白い奴らやったんや」って世間にわからしてくれたんが、1回目の「キングオブコント」だったんやと思います。で、そっからネタで仕事の声かけてもらうことも多くなったり。
――私が初めてお2人のことをテレビで知ったのは、『ふくらむスクラム!!』(フジテレビ系)でした。めちゃくちゃ面白い人たちが出てきた!! って。
山内 あー、はいはいはい(笑)。
――あの『めちゃイケ』片岡飛鳥さん企画の番組。
濱家 あの時は……売れた思いましたけどね。決まった時は、もう「よし、確定」っていう。
山内 実際は、片岡さんを見る前に番組が終わりましたからね。
濱家 一度もお目にかからずに(笑)。
――この15年で「ちょっとキツいな」「もうやめたい」とかそういう気持ちになったことはありますか?
濱家 それはなかったですね。キツいっていうほど、飯食われへん時代も意外になかったんで。ただそれがない分、やっぱりこう同じルーティンで毎日仕事してるんで、ヒリつかへんっていうのはありました。それでもまあなんとなくネタは作り続けて、ちょっとずつやってきたつもりではあるんですけど。
――そして今「業界評価No.1」「ポスト千鳥」と。正直「キテるな」という自覚はなんとなく?
山内 なんとなくどころじゃないです。とんでもなくあります。
濱家 そんなんある?
山内 もう、ヤバいっす。
濱家 もう一回聞くけど、そんなんある?
山内 ヤバいっす、ヤバいっす。まずね、「いいね!」の数が全然違う!
濱家 インスタ基準にしてはるやん!
山内 「いいね!」が、前は1,000なかなか超えなかったんすけどね。今ヘタしたら4,000はいく。
濱家 恥ずかしいから言うな、4,000くらいで(笑)。
山内 いや、渡辺直美のインスタでも、ストーリー(動画機能)までは上げてもらえるようになったんですよ(笑)。
濱家 バリバリの後輩やがな。
山内 いや、最近ようやくストーリーには上げてもらえるようにはなった。しかし、まだ本編には登場してない。
濱家 かたくなにな(笑)。
山内 どうしても本編には載せてくれないんで、直美が。
濱家 まあ、直美ちゃんが認めてくれだしたっというね。
山内 ただ、絶対に載せないんですよね、本編には。
濱家 昨日も直美ちゃんと一緒の仕事やったんですけど、帰り際ギリギリまで「本編に載せろ。毎回ストーリー止まりだから、本編に載せろ」って、直美ちゃんに無理やり写真撮らせて。あんまり載せろ載せろしつこく言ってたら、今回はストーリーでも本編でもなく、ブログのほうに上げるという(笑)。
――そっちいった(笑)。
山内 あれ、どういうことなんかな……。インスタの流れが崩れるとでも?
濱家 やめろ(笑)。
山内 俺が載ったら、今までの投稿の何かが崩れるとでも?
濱家 積み上げてきたインスタフォロワーナンバーワンのイメージが崩れちゃうんやろ。
山内 とにかく、今の目標は渡辺直美のインスタ本編です。
――そこに載ったら、芸能界で成功したと……。
山内 大成功。直美のインスタ本編、大成功です。
濱家 そもそも「本編」って言うの、あれ?(笑)
――お2人が本格的に東京進出を果たしたのは、昨年4月ですよね。それもちょっと意外でした。
濱家 もうちょいで1年たちます。
――慣れましたか?
濱家 そうですね。でも慣れた言うても、家の周りと仕事場ぐらいしか行かないですけど。
山内 本当にそう。
濱家 来たばっかりの時は奥さんと東京タワー行ったり、浅草行ったり、あとGINZA SIX……
山内 結局、GINZA SIXまで。
濱家 最先端はGINZA SIX。
山内 GINZA SIXで十分や。
濱家 やっぱ東京は攻めてるなって思ったのが、GINZA SIXでバー行ったら、山椒のお酒しか置いてないんですよ。山椒のハイボールとか、山椒のマティーニとか。そんなお店大阪にはないですよ。
――窓口狭い(笑)。
山内 僕、見栄張ってもうたと思ったのが、GINZA SIXで……。
――絶対GINZA SIXなんですね(笑)。
山内 空き時間にスタバいったら、なんかリザーブ席っていうのがあって、「これなんですか?」って聞いたら、チャージ払って座れる席だと。ソファー席でね、30分3,000円くらいかかる。
濱家 高っ! うそ! えー!
山内 周り見たら、ママ友とかがお茶するような感じなんですけど、なんか聞いた手前いっとこうかなと。スターバックスラテ持って、飲みながら……え、今めちゃくちゃもったいなくない? って。
濱家 もったいない! スターバックスラテの6倍くらい!!
山内 めちゃくちゃもったいなかった……。
濱家 どれくらい滞在したん?
山内 30分きっちり。
濱家 余すことなく。
――(笑)。ちょうど同じ時期に、ダイアンさんも東京進出されてますよね。ダイアンさんは、だいぶそのことイジられてますが……。
濱家 それこそダイアンさんは、大阪を守ってきた、大阪のお笑いをずっと支えてきたと言ってもおかしくないぐらいの人たちで、僕らはそのちょっと後ろをついていってた感じ。僕らが恵まれているのって、そういう二番手感だと思うんですよ。
――二番手感。
濱家 「キングオブコント」で優勝した時も、にゃんこスターがブワー行って、僕らの話題はこう、シュンってなったじゃないですか?
――ああ……。
濱家 それ、すげぇありがたかったです、いま考えると。矢面に立たずに、こう目立たずにこう、ペース崩さずに入られた。
――そっか。一番手のつらさは確かにありますよね。
山内 バーンってフィーチャーされたらその分、バーンって落ちる可能性も高いんで。
濱家 めっちゃビビりなんですよ、僕ら。
山内 でもね、僕ら大阪のレギュラー8本あったのを7本やめて東京に出てきたんです。ちなみに、ダイアンさんは6本あって……。
濱家 4本残し(笑)。
山内 2本だけやめた。思い切りの良さでは僕らですよ!
――それだけあった大阪の番組にけじめをつけて東京に来るって、やっぱり相当な覚悟ですよね。ご家族もいらっしゃるし。
濱家 そうですね。結婚したてでしたし。でも、そこまで深刻にはなってなかったな。
山内 僕らが大阪ん時についてくれてて、ほんまこいつすごいなと思ってたマネジャーが、東京で出世してたんですよ。そんで、僕らもそろそろ東京行きたいってなった時に、そのマネジャーが東京でついてくれると。全然知らないマネジャーだったらやっぱり不安だったと思うんですけど、一番よくわかってくれてる人がついてくれたってのもでかいです。
――いま、千鳥さんがすごくブレイクされて、お2人が「ネクスト千鳥」的な感じで見られていることについては、どうでしょうか。プレッシャーは感じますか?
濱家 そんなええこと言ってもろうてるんですか?
――はい、ソースは日刊サイゾーです。
濱家 マジっすか(笑)。まあ、山内の目標が「寸分違わぬ千鳥」になることだから。それはありがたいです(笑)。
山内 『アメトーーク!』(テレビ朝日系)終わりにノブさんとごはん行ったんですよ。そんで今の仕事内容とかしゃべってたら「2年前のおれらと寸分違わぬ動きしてるから」って言われて。だから今「寸分違わぬ千鳥ライン」を行けてるわけです。
濱家 まあロケ番組多めに呼んでもらったり、劇場も大阪の方入れてもらったりとか。あと『アメトーーク!』に頻繁に呼んでもらったり、『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)にもポツポツ呼んでもらったり。それがちょうど2年前の千鳥さんと同じ状況らしくて。
――加地倫三さん(『アメトーーク!』総合演出)がものすごくお気に入り、という情報もあるんです。
濱家 へー、それどこの情報かな?
――日刊サイゾーです。
山内 サイゾーか……。
濱家 お前が言うな(笑)。
――ロケもできる、もちろん漫才も、コントも、トークもとなると、逆にこう、何が自分たちの強みなのか。いろいろなことができてしまうがゆえの悩みがあるのではと思うのですが……。
濱家 それはあんま思ってはないんですけど。
山内 ギャラ、ギャラ、ギャラ、ギャラと能力が合うてない!
濱家 4回言うた(笑)。
山内 もっと渡さんかい! って思いますね。
濱家 すごい印象が悪い!
山内 この感じ、サイゾーさんぽいでしょ?
――はい、太字に。「もっと渡さんかい」のところを。
山内 悪そうな顔して言っていたと。
濱家 いやいや本当にね、なんとかちょっとでも次呼んでもらおう、次も呼んだろって思ってもらえるようにってだけですね。
――ちょうど2年前くらいに、日刊サイゾーで千鳥さんのインタビューさせていただいたんです。
濱家 やっぱ寸分違わぬ!!
――そうなんですよ。で、その時に大悟さんが「もっとライトな、司会みたいな仕事がやりたいのに、全力で笑わせいみたいなやつを毎日毎日やらないといけない」「爪痕を残せ、ばかり求められてしんどい」っておっしゃってたんですよ。
濱家 まさにそれですね。
山内 寸分違わってない!
濱家 昨日の仕事も、渡された台本の1行目が「かまいたちさんにやってほしいこと。とにかく面白を入れてもらいたい」
――(笑)。
濱家 台本持って「ぶるぶるぶるぶる」って(笑)。
山内 いま僕ら一巡目で呼んでもらってるのもあるんで、まずはそこで普通と違う感じでウケて爪痕残さないと。でも、それが続いたら今度は、これはあの(博多)大吉先生がおっしゃってたんですけど「”ただそこにいるだけでいい”っていう時期がやってくるから」って。だから、それまでは……。
濱家 振り回すしかない。
山内 そう、振り回して、ハマらんかったらはまらんかったで、呼ばれなくなればいいだけだと。
――今日お話しされていてもそうですが、かまいたちさんって、そんなにグイグイという感じじゃない……。
濱家 いや、行ってるけど(編集で)切られてるんじゃないですか(笑)?
――クールなイメージあります。
濱家 僕に関しては、大阪じゃあんまりイジられるってことなかったんですけど、最近では東京の猛者たちにイジってもらうことがちょっとずつでてきて、僕もう最近パニックしかしてない(笑)。
山内 この間の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で、若手芸人20名のリアルアンケートっていうのやったんですよ。それで「うらやましい芸人」をみんな3人ずつ書く。基本、全員最低一票は入ってるんですけど、パンサーの尾形さんはゼロ票、あとトム・ブラウンのみちお君ゼロ票とか、まあそのへんってわかるじゃないですか。で、最後もう一人ゼロ票、「かまいたち、濱家隆一!」ってなった時に、ドーン! って。
濱家 パニックや、こっちは。
山内 収録の後に加地さんとしゃべってて、「あのドーン! の感じ、なんか見たことあるなって記憶たどっていったら、あれ品川さんの“おしゃべりクソ野郎”だ」って。
――伝説の!
山内 「有吉さんがあれ言った時に『みんな思ってるけど言えなかったことを初めて言ったぞ』感があった」って。「あれ、久しぶりに見たんだよね」って加地さん言ってて。
濱家 それなのに本人はパニックになって、こっち走れば全員が面白くしてくれるのに、きびすを返して逆方向に行くという(笑)。
山内 ひどかったな、あれ。
――大阪と東京で全然イジられ方が違う。
濱家 イジられ方っていうか、確かに今まで誰にも言われへんかったな、でも大阪でもたぶん同じように思われてたんやろなと(笑)。そこの免疫がついてないから、頑張っていかんと、という。
山内 有吉さんもザキヤマさんもフジモンさんも、イジられイメージの人をイジるのにもう飽きてはるんですよ。だからまだイジられてない、イジりがいのあるターゲットを探してる。そこに現れた、ダイヤの原石が……。
濱家 ここさえ、ここさえ、うまいこと一巡返せたら……(苦悶)。
山内 あのモンスターたちに捕まると、恐ろしいっす。
――毎日が戦い、毎番組が戦いなんですね……。
濱家(苦悶)
――苦悶の先に見据えている目標や未来の姿は?
濱家 僕は軸として1年に1回単独ライブ、あとは面白い方たちと一緒にバラエティ番組に出られればそれで。
山内 僕は昔見てて面白かった番組を復活させたい。『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)的な、泥臭い、ただ見てるだけで笑える系の。まあコンプラもあるんでしょうけど、テレビつけて見てまうの、そっち系が多いんで。そういう番組をネットじゃなくてテレビでやってみたいです。
濱家 AbemaTVのね、フジモンさんのやつ(『フジモンが芸能界から干される前にやりたい10のこと』)とか、めっちゃ面白かったよな。
山内 今のテレビがやりづらいとかはないんですけど、もうちょっとルールが広がれば、そこもできるのにな、とは思う。
――いま一番ライバルだなと思う芸人さんはいますか?
濱家 ライバルかぁ。
山内 まあ千鳥さん、ですね。目標であり、ああいうふうになっていつか追い越したい存在です。
濱家 まあ、もちろんグイグイ自分らで行って自分らで席取らないとやっていかれへん世界やと思うんですけど、まあでも、なんか、こんなこと言うのもあれですけど、山内よりこう、おもろいなって思う人あんまりいないというか。だから大丈夫なんだろうな、と思いますね。
――素晴らしいですね……。
濱家 ここ、ここも太字、太字で書いておいてください(笑)。
山内 ダイアンさんとか和牛とか、よく同じに言われますけど、ちょっとジャンルが違うかなぁとは思ってる。僕らを使ってくれるテレビの人はだいたい変な人多いんで、その人らとゆくゆく変な番組をしていけたらいいかなと思いますね。
――かまいたちさんは、ハマるとすごく中毒性が高いんですけど、毒が効いてくるのに少し時間がかかるタイプなのかなって。お2人の「慎重だ」というお話を聞いて、ますますそう感じました。
濱家 猶予はあと2年あるみたいなんで……。
山内 千鳥さんへの。
濱家 まあ、もう40代ですけど。
山内 そっすね。
濱家 その第一歩としての全国ツアーにはしたいかなと。去年は「M-1」だけに照準合わせて漫才オンリーのライブやったんですけど、今回はコントもやります。大阪と東京でしかやったことなかったんで、全国の方に生で僕ららしさというか、見に来ていただけたらうれしいなと思いますね。
山内 オール新ネタですし。
――すごい!!
濱家 でも、なんかほかの人に聞いたら、初全国やる時は「あ、これこれ」「おなじみの」みたいなネタ入れたほうがいいって……。
山内 じゃあ、入れると思います(笑)。
――全国ツアー楽しみにしてます! あと渡辺直美さんのインスタも……
山内 出てやりますよ、本編のほうにね!!
(取材・文=西澤千央)
◆かまいたち 初全国ツアー
『コンビ結成15周年いたち』〜素直・謙虚・感謝〜
・4月26日(金)東京 ルミネtheよしもと 19:00開場/19:30開演/21:30頃終演
※2次抽選販売 受付期間:4/6(土)11:00~4/11(木)11:00
・5月3日(金)名古屋 東文化小劇場 18:00開場/18:30開演/20:30頃終演
・5月31日(金)福岡 イムズホール 18:30開場/19:00開演/21:00頃終演
・7月20日(土)札幌 教育文化ホール 16:30開場/17:00開演/19:00頃終演
・8月22日(木)大阪 なんばグランド花月 18:30開場/19:00開演/21:00頃終演
※5月18日(土)より抽選販売開始
チケット 前売り4000円 当日4500円
<http://yoshimoto.funity.jp/2019/02/25/kamaitachitour15/>