昨年度の総ライブ出演本数140本(!?)地下アイドル界でも異例の精力的なペースで活動を続ける2人組ユニット『なんちゃらアイドル』赤色担当・御茶海マミさん。まるで二次元から飛び出してきたようなキュートなルックスと、本来は引きこもり気質だというマニアックな一面とのギャップで、去年は『有吉ジャポン』(TBS系)に出演を果たすなど今、人気急上昇のアイドルのうちの一人である。彼女が日頃、ステージの上から眺めている景色とは?
“地下アイドル”という新たなアイドルの在り方が浸透しつつある昨今。活動を通して思うこと、リアルな地下事情についてお話していただきました!
気がついたら“地下”だった
アイドル活動を始めたのは大学生の頃。友達と遊びに行ったアートイベントで、たまたまビラを配りに来ていた当時のメンバーに声をかけたられたことがきっかけだった。それまでアイドルに興味を持ったことはなく、大学卒業後はみんなと同じように就職し、平穏な生活を送るものだと思っていたという。どこにでも居そうな普通の女の子、そんな彼女が他に類を見ないライブアイドルとして成長するまでに歩んできたシンデレラストーリーは決して平坦な道のりではなかった。
――まず、アイドルをやってみようと思った理由についてお聞きしたいです。
御茶海マミ 楽しそうだったから! 最初は暇潰しとか、辞めたくなったら辞めればいいしぐらいの本当に適当な気持ちで始めたんだよ。でも、実際にステージに立つようになってみたら、不思議ともう辞めたいって感覚には一切ならなかった。嫌なことがあっても、いつも『こいつら絶対に見返してやるからな!』って気持ちのほうが強かったんです。そうやって続けているうちに応援してくれる人が増えてきて、そのうちに自然と責任感みたいなものも生まれてきたから、活動5年目の今はもう中途半端な雰囲気ではなくなりましたね。
――そういう覚悟の決め方含め、ものすごいライブ本数をこなしているイメージもあるから、どちらかというとアイドルっていうよりもバンドっぽいスタイルですよね。
御茶海マミ そうなんです。アイドルイベントとかだとノルマあり・ライブ時間15分・チケット代3,000円っていう出演条件が多いんだけど、なんちゃらアイドルはバンドアイドルのスタイルをとっているので振付があるわけじゃないし、たった15分の3曲じゃどうしても自分たちの魅力を伝えきれないような気がしていて。今はチケット代2,500円以下・持ち時間25分以上・ノルマあり、ギャラ無しでもOK、面白そうであれば地方も行きます! みたいな感じで活動しています。そういうスタンスが性に合っているんだと思う。あんまりお金お金! ってなってないところが好き。
――でも、それってかなり過酷な条件ですよね。地下にこだわる理由みたいなものもあったりするんでしょうか?
御茶海マミ それ結構聞かれるんだけど正直、私自身は地下にこだわっているつもりはまったくなくて、偶然やってる場所が地下だったってだけなんですよね。なんちゃらアイドル自体アングライベントがきっかけで結成されたグループなので、初期の頃から服を脱いだり亀甲縛りをしてみたり、あんまりアイドルっぽくない過激なパフォーマンスを売りにしているんです。うちらも脱ぐことに対してそんなに抵抗感もないし、やっぱり変わったことをすると興味を持ってくれる人もいるので。野良犬精神で食いついてくぞ! っていう気持ちで活動しているので、武器になるものがあればどんどん使っていく所存ですよね。
――そういった過激なパフォーマンスをしていると勘違いされるような場面も多いんじゃないですか。同性として、それがいちばんつらいだろうなぁと。
御茶海マミ あー、「エッチ好きでしょ?」みたいな?「うん!」って答えてるよ(笑)。不躾にやーやー言ってくるような人よりも、私たちのことを大事に思ってくれているファンの人たちを大切にしたい。たまーにツイッターのDMで、バキバキのチ●コの写メとか送られてきたりするけど、黙ってブロックしてます(笑)。たぶん、向こうは反応が返ってくることにエクスタシーを感じていると思うから最初から相手にしない。
――ファンとの距離が近いぶん、正統派アイドルよりもそういうことに巻き込まれるリスクは大きいですよね。
御茶海マミ 正統派のほうが距離感をつかめなくなっちゃう人は多い気がする。やっぱりオタクの人たちってピュアだから。こんなに好き勝手やってても「マミちゃんにエッチな格好してほしくない」って言わるもん。最初からエッチな格好してるんだから慣れてほしいし、喜べ! と(笑)。そういう時はしんどい思いさせてごめんねって気持ちでつらくはなるよね。
――あー、こっちがね。逆に、活動するうえでの醍醐味というか、この瞬間のためにアイドルをやっているっていうのは何ですか?
御茶海マミ ステージから、楽しんでくれているお客さんたちの姿が見えた瞬間がいちばん。私たちと会場の盛り上がりが上手く一致した時に、そこで初めて良い空間を作り出せた実感を得ることができるというか。でもそれって、アガペーじゃないのよ。なんちゃらアイドルのライブを見て元気になったよって言ってもらえると、私たちも救われる。反応が返ってきてくれて嬉しいからやる、救われてくれると嬉しいから続けられるってところはありますね。アイドルって一方通行じゃないから楽しいんです。人前に出ることがすごく苦手だったけど、表に立ってみて本当に良かったって思うなぁ。

そんな彼女だが、いわゆる“地上系”のように「夢は武道館!」などわかりやすい目標を掲げないまま、アイドルという、いつかは終わりがくる活動を続けることに対して、最近では悩むことも増えてきたという。最終的に目指す場所を聞いてみると、意外にも裏方の仕事に興味があるのだそう。
――マミちゃん個人の目標もアイドルとして成功することにある?
御茶海マミ 最近、それがわかんなくなってきちゃったの。なんか、みんなで楽しめたらいいよねとは思うんだけど。例えばCDを何万枚売るとか、そういうことに対してはあまり積極的になれない。自分の実力が伴ってないからそう思えないのかな。でもね、今ついてきてくれている人たちの気持ちは信じているし、ファンの存在がプレッシャーになってるって話でもないんだよね。
――たぶん、応援している人たちはどんどん高みに登っていく姿を見たいじゃないですか。でも、自分のなかではそれが本当に実現できるかわからないから、思い切れないということなんでしょうか?
御茶海マミ 私、別に自分のルックスが良いと思ってアイドルになったわけじゃないから、表に立つようになって「可愛いね」って言ってもらえることが増えて、最初はへー! 私、意外と悪くないんだ! って、それだけで嬉しかったんだよね。この顔で興味を持ってくれる人がいるのであれば、できる限り何でも挑戦していきたいなって思ってた。でも“可愛い”なんてね、年取れば絶対に失われるものだから。今、自分にはこれがあるから大丈夫って思えることが“アイドルであること”しかなくて、そういう永遠のないものばかりに頼りすぎる精神状態はあまり良くないんじゃないかなって。地に足がついてない感じがして、すごく怖いんですよね。だから、その反動で最終的には裏方にまわりたいって思うのかも。
――裏方というのは?
御茶海マミ 地下アイドルでライターの姫乃たまさんの活動に憧れます。学生の時から文章を書くことが好きだったから、脚本を書いたりとかしてみたいなぁ。アイドルをしていると芸人さんやカメラマン、ディレクターとかいろんな職業の人たちに出会うことが多いので、今は表側からそういう人たちの生き方を見る時なのかもしれない。
――表舞台に立つようになったからこそ外の世界に触れて、いろんなものを見聞きするうちに、そのうえで思うのは表現をしていきたいなと。
御茶海マミ うん、形が変わってもそういうことは続けていきたい。昔から漫画を描いたり、バンドを組んだり表現活動はずーっとしてたし。ただ、もともとが内向的な性格なので今までそれを表に出してこなかった。表に現れるで“表現”なんだから、出さなかったらその時点で別物なんだよ。だから今は誰にも見せずに創作してきたものを、アイドルとしてステージの上からアウトプットしてる感覚はあるかな。

キャンプファイヤーみたいに燃え尽きたい!
“アイドル”という儚さゆえに華やかな世界に生き、常に自分のなかでの終わりと向き合いながら、“地下”独特のその終わりさえ見えないような、舗装されていない道を走り続けている彼女。何がここまでそうさせて、『なんちゃらアイドル』は今、どこへ向かおうとしているのか? 最後に、リアルな心情を吐露してくれた。
――普通に就職するんだろうなぁっていうところから、劇的に運命が変わっていくとしたら相当恐ろしいことだと思います。そこを簡単に乗り越えることができたのに、今になって恐怖を感じるっていうのは?
御茶海マミ 最初は何もわかってなかったから、まぁこれも人生かっていうところからのスタートでした。だからあんまり激流に巻き込まれたような感覚もなくて、流れるプールで浮いていたらそのまま流れてましたみたいな。でも、今はすごく怖い。流れるプールだと思ってたのに海だった!ってことに最近気づいたんですよ。
――そうやってやりたいことを模索している今、『なんちゃらアイドル』としての最終形態はどうあってほしいっていうのは考えたりしますか?
御茶海マミ やっぱりキャンプファイヤーみたいに燃え尽きたいよね。たぶん、その瞬間があるから私もオタクも夢中になれるんだと思う。燃え尽きる最後の最後まで、みんなの良い思い出になれたらいいですね。キャンプファイヤーって楽しいでしょ、マイムマイムとか踊ってね(笑)。
――そうだよね、それこそアイドルって感じがします。いつ大きな火になるのか、消えてしまうのかは誰にもわからない。
御茶海マミ そうそう。ある程度こういうことがしたいっていうのはあるし、今までその通りブレずにやってきた自信もあるんだけど、売れる売れないに関しては本当に未知数。今はもう“地下アイドル”って言葉があるぐらいだから、何を以て売れるとするのかもわかんないよね。めちゃくちゃCDを売ったり、おっきな箱でワンマンやれたら売れてるってことではあるんだろうけど、ツイッターのフォロワーが2,000人ぐらいのアイドルでもそういうことができちゃう子たちって結構多いんだよ。なんちゃらだって、ある日突然バッっと売れる可能性も無きにしも非ずというか。そういうヒリヒリした感じが楽しいんだよね。だから私、いつ辞めるんだろう? とは考えるけど、まだまだ辞めるつもりはありません!
(文=佐藤麻亜弥)
●御茶海マミ(みさみ・まみ)
https://twitter.com/samami27