「Domani」(小学館)は前号から隔月刊になるにあたり、ワーキングママ向けファッション誌に大リニューアルしました。少し前まで婚活企画もあった同誌ですが、バリキャリ独身、DINKS読者のことは、すっぱり切り捨ててしまったようです。
新キャッチコピーは「脱ママ! 脱モテ! 脱真面目!」。ですが、その中身はワーキングマザーを本当に応援したいのか、それとも笑いものにしたいのか、測りかねるものになっています。世間のワーママ像をゆるがしかねない新「Domani」、4・5月号の中身を早速見ていきましょう!
<トピックス>
◎“かっこいいオカン”になろう!
◎イケ★ママ的かっこいい白って!?
◎実録!? 東京23区・働く母の生態ファイル「港区の女」
表紙に「おかあさんずっといきてね」
新「Domani」の最も気になるところ、それは表紙。リニューアル第1号だった前号では、特集名「ママと呼ばないで」を大々的にアピールし、その背後には「えっ!?お子さんいらっしゃるんですか?」「今さらモテても迷惑なだけ」「“ママに見えない”が最高のほめ言葉」「“〇〇ちゃんのママ”、本日休業中」……等々の言葉がつらつらと並んでいました。「子持ちに見えること=良くないこと」というイメージを刷り込みされているようで、ぞわぞわしてきます。
表紙モデルも、上品なイメージだった小泉里子から新人の望月芹名に交代。ご丁寧に、表紙で「私、こう見えてママで編集者で表紙モデルです」と自己紹介されていました。「これくらい肩書掛け持ちでなくちゃ、『Domani』を読む資格ないのよ!」と言われているようで、これにも怖気づいてしまいました。
そして、今号の特集は「かっこいいオカンになろう!」。前号ではママと呼ばれたくないと言っていた割に、オカンは良い様子。表紙には、子どもの手書きふう文字で「おかあさんずっといきてね」「ママのおしごとかこいい」「ままのかっこいいところはびーるのんでるとこです」などの賛辞が並びます。本来、微笑ましい内容なのですが、表紙モデルの挑戦的な眼差しと合わさると、どこかホラーに見えるから不思議です。
中身にも、子どもに聞いた「ママのかっこいいと思うところはどこですか?」というアンケートの結果がずらり。「あまぐりのかわをママがガンっとわったこと」「こえがおおきい」「(プラレールの)せんろをつくってくれるところ」など、かわいらしい答えが続きますが、驚いたのは編集部による以下のまとめです。
「なるほど、結果、わかったこと、それは、子どもたちにとって、仕事に、家事に、毎日忙しいママたちのかっこいいと思うところ=カンペキじゃなくたって、ときに凹んだり、泣いたり、怒ったりしながらも、頑張っている…そんなママが大好きって、ことなんですね」
読点の多すぎるポエム文で、ママ側の願望がたっぷり入った解釈をしています。
前号と今号を並べて読むと「ワーママは他人から子持ち扱いされたくないのに、他人には“私は子どもに愛されてるママ”アピールしたい」「ママである自分を受け入れられないけど子どもには愛されたい」という厄介な存在であるように見えてきます。ワーママのイメージを「Domani」が下げているようにしか見えないのですが、これでいいんでしょうか!?
次はファッションの企画「イケ★ママ的かっこいい白って!?」。ここで、前号の企画タイトルを見て見ましょう。「2019年、イケ★ママは”黒”しか着ない!?」。イケ★ママ的には、もう2019年は終わってしまったようです。
前号では黒について「プライス分の価値がある一生お付き合いしていきたいお高め名品は、やっぱり黒で買うことがワーママにはベストアンサー」「汚れが目立たないからママには嬉しい」と言っていたのに、今号では「汚れたら洗えばよし。なんなら漂白できてラッキー」「抱っこする機会が減ってきた4歳児以上ママは白トップス解禁!」「ベビーカーに乗せることが多い3歳児以下ママは白ボトムOK」など、白を薦めています。
働いているお母さんが大勢いる今、わざわざ「ワーママだから〇〇」「ワーママでも○○」と括ることこそが時代遅れでダサいのだということに気付いてほしいものです。
薄すぎる慶應幼稚舎の希望理由
注目の連載読み物「実録!? 東京23区・働く母の生態ファイル」。前号の千代田区ママ編に続き、今度は港区ママ編です。
港区在住のママに取材したと注釈がありますが、その中身は「港区ワーママの落ち着く場所はニューオータニかホテルオークラ」「子どもの送迎車はベンツのゲレンデ、アルファード、レクサス、ポルシェのカイエン、マセラティが多い」など、港区への先入観と偏見と妄想で書かれたものにも見えてきます。
港区ママには、子どもを私立幼稚園に入れるか、それともインターナショナルスクールに入れるかが大きな問題だそうで、慶應の幼稚舎を希望するママは「幼稚舎友達との絆は、年を取っても強くて素敵です。それが一番の宝物ではないかしら?」と回答。それだけですか? どこの幼稚園・保育園に入っても子ども同士は絆を築くだろうよ。
また「下駄箱には小さなUGGのブーツ、コートかけには子ども用モンクレールのダウンがずらりと並ぶ」「幼少クラスになると、お昼寝用のエルメスの毛布がずらり」「工作に使う箱を持って来るようにと言ったら、見事にオレンジの箱(エルメス)ばっかり」と、笑えない芸人のネタのような“港区幼稚園あるある”も。
さらに、子どもの誕生日会は「一大プロジェクト」だそうで、会場は会員制社交クラブ「東京アメリカンクラブ」か、マンション住人専用ゲストルーム、もしくはハワイのコンドミニアムが多いとのこと。どこまで本当なのだろうか……。
いつか板橋区、足立区などを取り上げてくれることを楽しみに待ちたいですが、果たしてそれまで新「Domani」は存続できるのか心配です。
(島本有紀子)