なぜアイドルはナチ衣装を着てはいけないのか? ヒトラー政権末期に現われた『ちいさな独裁者』

 映画を量産することで有名なベテラン監督が、以前こんなことを語った。「キャリアのない俳優でも、丸坊主にして軍服を着るとそれっぽくなるものなんです」と。役に合ったファッションをまとうことで、俳優は内面も役へと近づいていく。衣装の果たす役割はとても大きい。それがナチスドイツの軍服なら、なおさらだろう。中でも洗練されたデザインのナチスドイツ将校の軍服は、誰が着てもかっこよく映った。第二次世界大戦末期のドイツを舞台にした映画『ちいさな独裁者』(原題『Der Hauptmann』)は、ナチス将校の軍服をめぐる実話をベースにした興味深いドラマとなっている。

 本作の主人公となるのは、実在の人物ヴィリー・ヘロルト。1925年に屋根ふき職人の息子として生まれ、煙突清掃員の見習いとして働いていた。1943年にドイツ国防軍へと徴兵され、イタリアを転戦した後、ドイツ本国の防衛線に配属。1945年4月、連合軍とソ連軍の攻勢によりドイツの敗戦は濃厚となり、ヘロルトは戦場を離脱し、脱走兵となる。物語はここからスタートする。

 命からがらに戦場から逃げ出したヘロルト(マックス・フーバッヒャー)。極度の飢えと寒さに苦しみながら無人の荒野をさまよった末に、路上に放置されていた軍用車を見つける。車内にはナチス将校の軍服が残されていた。寒さを凌ぐため、将校の軍服をまとうヘロルト。馬子にも衣装で、丈が少し長いことを除けば、なかなか似合っていた。そんなとき、上等兵だと名乗るフライターク(ミラン・ペシェル)が現われ、ヘロルトを本当の将校だと勘違い。「部隊からはぐれてしまいました。同行させてください」と申し出る。今さら自分は脱走兵だとは言い出せないヘロルトは空軍大尉だと偽称し、架空の任務をでっち上げる。

 ヘロルトの将校ぶりがあまりに堂々としていたため、行く先々の人たちは簡単に騙されてしまう。ドイツ軍は規律を失い、すっかり弱体化していた。田舎町で略奪行為を働いていたならず者の兵士キピンスキー(フレデリック・ラウ)たちも従え、次第に勢力を増していく自称“ヘロルト親衛隊”だった。

 やがてヘロルト親衛隊は、脱走したドイツ兵たちで溢れ返った収容所に到着。ヘロルトは「ヒトラー総裁から特命を受けた」と大嘘をつき、まだ裁判を終えていない脱走兵たちをいっせいに処刑する。一晩で90人もの同胞を血祭りにした。収容所の警備隊長たちは、ヘロルトの見事な決断力を賞讃する。最初は自分の正体がバレないかとビクビクしていたヘロルトだが、わずか数日間で無秩序状態となっていた戦場の大英雄=大量殺戮者へと変貌を遂げるのだった。

 なぜ19歳の若者が将校のふりをしていたことを誰も見破れなかったのか。いや、ヘロルトは偽者だとバレていた。ヘロルトの片腕となるキピンスキーは、ヘロルトの将校服がサイズ違いなことに気づいていた。だが、彼はそのことを黙っていた。ヘロルトを将校に祭り上げておいたほうが、彼の権威のもとで好き放題に振る舞うことができると踏んだからだ。そんな計算高いキピンスキーらに支えられ、ヘロルトはますます暴君化していくことになる。

 高度にシステム化された未来社会の恐怖を描いたハリウッドSF大作『ダイバージェントNEO』(15)などで知られるロベルト・シュヴェンケ監督は、母国ドイツに戻り、本作を撮り上げた。宣伝のために2018年に来日したロベルト監督は、ヘロルトをストローマン(わら人形)に例え、興味深いコメントを残している。

「この映画は第二次世界大戦末期に起きた実話ですが、映画の中で描かれている権力構造はどの時代にも通じるものです。人間は権力を集め、利益のために人を操る方法を知っています。例えば、中絶に反対すれば、中絶反対派の支持を得ることができる。銃の所有に賛成すれば、銃規制反対派の票が集まる。自分がその考えを本当に支持しているのかどうかは関係ありません。それが政治家というものです。そして彼らが実際に権力を手に入れると、物事は急激に変化するのです。国民は自分たちに都合のいい“ストローマン”を代表に選んだつもりですが、実はストローマンが“支配者”なんです。彼らは一度権力の座に就くと、その地位を維持しようと努めます。また現代では、権力を得るために全体主義国家を築く必要性すらありません。トーク番組の司会者ショーン・ハニティーのように影響力のある発言者がいれば、宣伝省も必要ないのです」

 いつでも取り替えられるストローマン(わら人形)を代表に選んだつもりが、非力のはずのストローマンは権力の座に就くと自発的に動き出し、無慈悲な独裁者へと変身していく。売れない絵描きだったアドルフ・ヒトラーも、ドイツ労働者党(後のナチ党)に入党するまでは一介のストローマンだった。やがて過激な演説ぶりが評価され、ナチスドイツ総統にまで登り詰めた。中身が空っぽなわら人形を独裁者へと変えてしまう、権力システムの恐ろしさをロベルト監督は本作の中で描いてみせている。

 人気絶頂期にあるアイドルグループ「欅坂46」だが、2016年のハロウィンステージに使用した衣装がナチスドイツを想起させるとユダヤ系人権団体から抗議を受けたことは記憶に新しい。ヒトラー政権下で宣伝大臣を務めたヨーゼフ・ゲッベルスはナチスドイツの制服にこだわり、ドイツの人気ブランド「ヒューゴ・ボス」の創設者に軍服を大量生産させた。ナチスのファッションにはある種の格調の高さとフェティシュさが漂い、今も多くの人を惹き付ける。ナチ風ファッションをまとった本人も、その姿を前にした大衆も陶酔させてしまう危険な力がある。アイドルはなぜナチ風衣装を身にまとってはいけないのか。その疑問に対する答えが、映画『ちいさな独裁者』にはある。
(文=長野辰次)

『ちいさな独裁者』
監督・脚本/ロベルト・シュヴェンケ
出演/マックス・フーバッヒャー、ミラン・ペシェル、フレデリック・ラウ、ベルント・ヘルシャー、ワルデマー・コブス、アレクサンダー・フェーリング、ブリッタ・ハンメルシュタイン
配給/シンカ、アルバトロス・フィルム、STAR CHANNEL MOVIES 2月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
(c)2017-FILMGALERIE 451,Alfama Films,Opus Film
http://dokusaisha-movie.jp

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神田沙也加の自撮り画像に「原型留めていない」とネット騒然! 無職の夫に仕事も激減でメンタル心配!?

 1月24日、自身のInstagramにて自身のすっぴん画像を披露した歌手で女優の神田沙也加。神田は「コンタクトのみのすっぴんでお目汚しをごめんなさい」といった自虐コメントをつけながらも、色白の美肌、大きな眼でその美形ぶりを発揮。ファンからは「すっぴんと思えないほどかわいいです」「よきよき!! いい感じだ」「かわええええ!!」と絶賛の声が上がっている。

 しかし、ネットでは「今のカメラって普通にとっても肌とかキレイになるからねえ……」「SNOWを使ってるよね。あのアプリすっぴんでもすっごくキレイに写るよ」とあまりの美肌ぶりにツッコミが殺到。また、「原型なさすぎて誰かわからん」「目どした」「これがすっぴんだとしたら、目の下のなめくじは注入系の整形ですよね」「ゴマキかと思った」と目や顔の雰囲気に違和感を覚える声も続出していた。

「たしかに、あのすっぴん写真はいつものメイク姿より盛れていた、と業界でも評判です。24日以降に撮影された写真には違和感を感じないので、あのすっぴん写真はアプリの加工が入ったのでは、ともっぱらです」と話すのはテレビ局関係者。

 また、 すっぴんショットではミルクティー色のボブカット、大きな丸襟にニットと32歳とは思えぬ幼くかわいらしいファッションや髪型を披露していた神田。そのセンスについて「だんだんイタイ人になってきたね……」「病んでると思う」「またメンヘラっぽくなってきた」といった声も上がっている。

「沙也加さんは昔からゴスロリ系のファッションが好きで、一時は専門誌でモデルをしていたこともあるくらいです。夫である俳優の村田充さんも痩身、ロン毛とビジュアル系のボーカルのようなルックスだと言われ、結婚当時はバンギャとボーカルのような夫婦だと話題になっていましたから、そういう意味では彼女のセンスはまったくブレていませんよ」(同)

 神田といえば2017年4月、俳優の村田充と結婚したものの、村田が同年9月に「休養と次なる夢への準備期間」として活動休止を発表しているが……。

「夫の村田さんはもちろん、沙也加さん自体も2014年のディズニー映画『アナと雪の女王』で王女・アナ役の日本語吹替えの当たり役以降は、あまり大きな活躍はしていません。夫のこともありますし、写真の加工があまりにすごいとファンが沙也加さんの精神状態を心配してしまう、というのはあるかも……」(芸能事務所勤務)

 美しいのは結構だが、加工はほどほどでお願いしたい!?

ジャニー喜多川製作総指揮で、東西ジャニーズJr.が豪華共演! 映画『少年たち』鑑賞券をプレゼント

 初演から約50年がたった今もなお受け継がれる、ジャニーズの伝説的ミュージカル作品『少年たち』がついに映画化され、3月29日より全国公開となります。メインの出演者は、多数の人気ジャニーズJr.、デビュー組からは、関ジャニ∞・横山裕とA.B.C-Z・戸塚祥太も参加しています。そして、製作総指揮は、もちろんジャニーズ事務所の社長・ジャニー喜多川氏です。そんな本作は、一体どのような内容となっているのでしょうか。早速あらすじをご紹介いたします!

 それぞれの事情で少年刑務所に収監されて集まった少年たち。心に深い傷を抱えた彼らは、争うことでしか自分を鎮めることができず、赤房、青房、黒房の各チームに別れ、ケンカを繰り返す日々を過ごしていた。そんなある日、刑務所に1人の少年が収監された。身寄りがない彼は、「今まで誰にも心を開かず生きてきた」と語るが、ここで出会った仲間たちと友情を育んでいく。しかし、冷酷な看守長が赴任してきたことがきっかけで、ある事件が起きてしまい……。

 本作は、若さゆえに生まれる少年たちの悩みや葛藤を描いた、ジャニー社長イズムが詰め込まれた物語となっており、ジャニーズファンであれば魂が揺さぶられること必至。特に、注目すべきポイントは、SixTONES、Snow Man、なにわ男子、関西ジャニーズJr.のメンバーらによる迫力満点のダンスシーンです。映画のために作られたオリジナル楽曲に合わせて踊る彼らの姿に、思わず魅了されてしまうはず! ジャニーズファンの方もそうでない方も、劇場のスクリーンで歴史あるミュージカル作品を堪能してみてはいかがでしょうか。

 今回は、映画『少年たち』の鑑賞券を3名の方にプレゼント。「何があっても見に行く」と、すでに公開を心待ちにしているファンの方はもちろん、「ジャニーさんが総指揮を務める映画ってちょっと気になるかも……」という方も、皆さま奮ってご応募くださいね。お待ちしております!

※2月18日正午〆

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工藤静香は木村拓哉と両親の仲を引き裂いた? 絶縁状態は「嫁のせい」か

 2020年いっぱいで活動休止する嵐だが、2021年以降に結婚するだろうと予想されているのが二宮和也だ。その二宮と2014年から交際しているという伊藤綾子に対して、二宮の両親が難色を示しており、それが原因で親子関係が悪化していると、「FLASH」(光文社)が報じている。

 真偽のほどは定かでないが、人気絶頂期に周囲の反対を押し切って愛を貫き結婚した木村拓哉も、妻・工藤静香が原因で両親と絶縁状態だとかねてより囁かれてきた。

 木村拓哉夫婦と両親の関係については、「木村が工藤の前に交際していた女性と母親は仲が良かったが工藤とは馬が合わない」「工藤と結婚してから木村拓哉が実家に帰省することはなくなった」など“不仲”や“絶縁状態”といった報道がたびたびされてきたのだ。

 また、2018年3月には「週刊新潮」(新潮社)が、木村拓哉の母親と菅田将暉の母親が対談をしたイベントのレポートを掲載している。木村の母親は「言の葉」というスピリチアュル系の団体の語り手として全国で公演を行っているそうだが、この日は息子の妻である工藤静香について以下のように言及したという。

<もう実際に(息子は)家庭を持っておりますので、私も姑、そして静香さんっていう方がおります>
<好きだとか嫌いだとか、そういうことではなく、受け入れるということがおかげさまでできました。まあ平たく言えば、本当は「まったくウチの(嫁)は」と言いたくなるんですけれども、でもそれを言ってしまえば全て否定になりますし……>

 しかし息子の妻の愚痴を言いたくなることは、誰でもあるだろう。“絶縁”と言うよりも、ありふれた嫁と姑の関係ではなかろうか。

 また工藤と木村は、工藤の両親が住む家と同じ敷地内の邸宅に住んでおり、一時は木村が「マスオさん状態」とも言われた。だが少なくとも木村は、妻の両親を大事にする良い夫なのではないだろうか。

 木村と母親との関係がどのようなものかは不明だが、何もかも「妻・工藤静香の責任」にこじつけるのは行き過ぎだろう。

『イノセンス 冤罪弁護士』意外な結末に、視聴者から「山本耕史への謝罪」が続出?

 2月9日夜10時から第4話が放送される、坂口健太郎主演ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)。視聴率は第1話8.3%、第2話8.7%、第3話9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と上昇中だ。同作は“冤罪”を題材にしたヒューマンリーガルエンタテインメントで、若き弁護士・黒川拓(坂口)が弱き人々を救おうと奔走する姿を描く。

 第3話で拓と同僚弁護士・楓(川口春奈)は、医療ミスで患者を死なせたとして逮捕された執刀医・雲仙(平岳大)を弁護することに。雲仙は人工心肺機が急に停止したと主張するが、病院側の報告書には出した覚えのない指示がでっち上げられていた。病院で聞き取りを行っても、スタッフは口裏を合わせたように真実を語ろうとしない。雲仙と同期の医師・磐梯(山本耕史)も、どこか拓たちを牽制しているようだ。

 雲仙の推測がきっかけとなり、偽の報告書作成や口裏合わせなどの指示を認めた磐梯。彼はスタッフ不足解消など病院の改革を目指しており、雲仙を犠牲にする代償として、改善案実行の約束を上層部から取りつけていたのだ。そんな磐梯に拓は、「必ずトップに立って病院を改革してほしい」という雲仙からのメッセージを託す。

 拓は手術当日に病院内のテレビが急に消えたと知り、科学者の恭一郎(藤木直人)とともに検証実験を実施。裁判で落雷による電気製品への影響を訴え、病院の避雷器も壊れていると証拠写真を提出した。その上で雲仙の無罪を主張するも、因果関係が明らかになったわけではないと「懲役1年・執行猶予3年」の判決を言い渡されてしまう。

 雲仙の思いを汲んだ磐梯は、上層部の不正を暴く改革を断行。釈放された雲仙は、新天地へ向かう決意をする。一方、敗北を喫して、自室に閉じこもり苛立ちを募らせていく拓。その背後では彼の携帯が、最高検察庁次長検事・黒川真(草刈正雄)からの着信を報せていた。

「今回はゲスト出演として俳優・山本耕史が出演しましたが、放送前から山本が黒幕だと予想する声が続出しました。確かに雲仙を犠牲にしたものの、本当の悪は保身に走った上層部。磐梯は、病院の改善に取り組む善人であったため、視聴者からは『磐梯先生が犯人と思ってたら良い人だった』『山本耕史の演技力にやられた』『山本さん疑ってごめんなさい』といった声が相い次いでいます」(芸能ライター)

 第4話で拓が弁護するのは、同僚を殺害した容疑で逮捕されたキャリアウーマン・小笠原奈美(ともさかりえ)。彼女は容疑を全面否認しており、職場の聞き込みでも奈美と被害者の関係は良好だったという証言が集まる。拓と楓は殺害現場の海岸へと向かったが、真冬の海に拓がいきなり突入してしまう。

「次回は拓と父親の真が顔を合わせることになり、楓も巻き込んでの食事会が展開。真と拓は絶縁状態にあるため、晩餐シーンに注目する声が多く、『新旧イケメン対決めっちゃ楽しみ』『黒川家の食卓が修羅場と化すのか気になる!』と期待が高まっています」(同)

 真は食事の席でどんな言葉を投げかけるのか、次回も目が離せない。

33歳シングルが「渋谷ストリーム」に突撃! “クリエイティブなメンズ”に出会えるのか?

 冬は人恋しくなる季節。気づけば33歳シングルの私、桜が咲くまでに彼氏はムリでも素敵な人と出会いたい! できればなるべくスペックが高くて、友達に自慢できる人で! ということで、オシャレでイケてる高収入メンズを求めて最近できたばっかりの「渋谷ストリーム」に、現役デザイナーのモテ子ちゃんと行ってみることにしました。

■オシャレで落ち着いた“ネオ渋谷マン”に出会える!?

 なぜ「渋谷ストリーム」を選んだかというと、コチラのコンセプトが「クリエイティブワーカーの聖地」らしいのです! いまあちこちで工事が進んでいる渋谷再開発プロジェクトの先陣を切ってオープンした「渋谷ストリーム」は、事務所・店舗・ホテル・ホールなどの施設と商業施設が詰まっている最新スポット。場所は渋谷駅の南側にあり、代官山や恵比寿エリアも近いので、オシャレな人たちが集っているというウワサ。

 正直いって、渋谷にいる男って何だかよくわからない仕事をしていて、とりあえずクラブ行ってナンパしてお持ち帰りしたがるようなギラギラしたイメージしかない。でも、もしかしたら渋谷ストリームだったら、ちゃんと働いていてオシャレで落ち着いた“ネオ渋谷マン”に出会えるかもしれない!

 しかし、渋谷ストリームの入り口にいたのは、観光客っぽいオバサマばかり……。こ、これマジでクリエイティブなメンズなんているのか……? と不安になりつつも、施設内の飲食店をチェックしてみる。

 1階から4階まで練り歩いてみるとカフェから、寿司、和食、バル、バーなど魅力的な店が多い。「何食べよう〜」とウキウキしてくるが、今回の目的はあくまで出会い。気を取り直してメンズウォッチをしてみると、コンセプト通りのクリエイティブなメンズは残念なことにほとんどいない……。普通の企業で働いてそうなサラリーマンばかりで、年齢層も結構高め。カップル客もほとんど姿がなく、デート感も合コン感もない、落ちついた雰囲気になってしまっていた。

 とはいえ、せっかく来たので、多少店内が暗くサラリーマン率が一番低かった店に入ってみた。カウンター席に通されると、後ろの席にギリでクリエイティブかなぁ〜という雰囲気の男性3人組が。声かけてくれないかな、とナンパに期待してみるも男性同士でしっぽり飲んでいる感じ。店内にわずかにいたカップル客もけっこうな年の差で、不倫なのかと疑ってしまった。

 メニューは豊富でオシャレなのだが、レモンサワーが580円もするうえに量が少ない。これがクリエイティブパーソン向けの価格なのか……? 他の店もとにかく美味しそうな店はたくさんあるのだが、全体的に価格が高く、しかも無駄に照明が明るめなので、ナンパされそうな雰囲気は皆無。まぁ、私の顔面レベルだと、明るめ場所だと声をかけられないだけなのかもしれないが…(爆)。

 一緒に行った友人も「こんな明るくてテーブル席ばっかりの店でナンパなんてしたら、店員につまみ出されそうじゃない? 私が男なら絶対できない!」 と断言。た、確かに……。

 正直クリエイティブなメンズとの出会いを求めてここに行っても、おいしいご飯と多少インスタ映えするスポットしかございません……。ナンパ待ちなんて考えず、彼氏や友人とちょっとオシャレして行くのがおすすめ。「場所的にオシャレな人がたくさんいそうで、何を着て行ったらいいかわからない……」なんて方も心配ご無用。私服がダサいと四方八方から指摘された経験のある私もそんなに浮きませんでした。渋谷の一等地の割にハードルはそう高くないッス。

 渋谷ストリームを後にして、まだまだ飲み足りない私たちは近場のメガジョッキ380円の居酒屋に向かう。今日の反省会をしながら乾杯して、ふと横を見るとめっちゃクリエイティブなメンズ2人組が……! 普通のサラリーマンなら絶対できないであろう襟足長めのツーブロックに、ラフだけど高そうなジャケットをTシャツの上にサラっと羽織っている。なんでこんな普通の居酒屋に……と期待していたら、「仕事帰り?」 と神の声が! 待ってました! といわんばかりに満面の笑みで会釈をし、一緒に飲むことに。

 お兄さん方はIT系のお偉いさんで渋谷勤務。ナンパにも慣れている様子だが、いわゆる声かけ系の横丁やSNSの映えするようなスポットには飽きているらしい。もう出向いてナンパする時期は終わったそうな。そんな場所にわざわざ行かなくても、すぐ飲める子が見つかるアプリなどをうまく使って女の子を呼び、普通の居酒屋で飲むことが多いそうだ。ちゃっかり何杯かご馳走になり、結構盛り上がったトコロで、「みんなで写真撮りましょう〜!!」 とお誘いするも「迂闊に写真撮るとSNSとか勝手に載せられたりしちゃうから、全部断ってるんだ」とのこと。おしゃれでイケてるクリエイティブメンズは、メディアリテラシーが高い!

 クリエイティブをうたっているスポットには誰もいないし、穴場で見つかったところで、こなれすぎてて出会いにはならない。彼らには一応LINEを聞かれるも「次また新しい子連れてきてよ!」と言われてしまった。完全に女をチャーターする係にされた模様。どこに行ったら、ほんまもんのクリエイティブメンズと恋仲になれるんでしょうか……。
(吉沢さりぃ)

都合のいい時だけ「反対運動」で遊ぶんだな……違法ダウンロードでマンガ・小説も刑事罰への道程

 海賊版サイト対策として打ち出された、著作権者に無断で公開された漫画や小説など「静止画」のダウンロードを違法化し刑事罰を科す法改正案の動きが波紋を呼んでいる。

 報道によれば文化庁が提出した著作権法改正案では、著作権者に無断で公開されたマンガや小説なども映像や音楽と同じく違法とし、2年以下の懲役か200万円以下の罰金などの刑事罰を科すのが適当であるとしている。さらに、対象となるのは、海賊版サイトだけでなく個人のブログやSNSなどに取り込まれたものなど、極めて幅が広いのである。

 この文化庁の方針を受けて、多くの人が危機感を抱いている。2012年の著作権法改正の時に危惧された問題が、より強力な形で降りかかってきているからだ。

 海賊版への対抗策として著作権法が改正されて、違法配信と知りながらインターネットのサイトから音楽や動画をダウンロードした場合に、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科せられるようになったのは2012年のこと。この時に対象にされたのは、音楽や映像に限られた。

 当時はそれでも、法改正への危機感は強かった。インターネットを使っている人々の中で、YouTubeやニコニコ動画を通じて、違法にアップロードされているであろう音楽や映像を楽しんでいない人などいない状況はすでに生まれていたからだ。つまり「国民全員を容疑者」の誕生である。

 今回のマンガや小説などへの適用拡大は「国民全員を容疑者」の範囲拡大にほかならない。

 ただ、そうした法改正がなされたとして、いきなり心当たりのある人の自宅に警察が踏み込んでくるような状況は想定しがたい。実際に、2012年の法改正以降に、そんな目に遭った人はいない。それでも問題なのは、法律によって、いつでもそういう目に遭う可能性が強化されていることだ。

 実に「国民全員を容疑者」にする法律は、それでも由々しき問題を解決する目的という「美名」に隠れたりして次々と出来上がっている。

 例えば、児童ポルノ法。この法律、マンガ・アニメ・CGが対象外になったことで、過去の話になっているが、所持の禁止が明記されたことで、いつでも警察に踏み込まれる可能性が生まれたことは否定できない。

 今回の著作権法改正の問題が出てきて、それに反対する声を上げている面々を見ると「児童ポルノ法」の問題の時に、マンガが対象外になっただけで喜んでいる人もちらほら。同様に、問題だらけの法律である特定秘密保護法や共謀罪創設の時には、権力側のオタク趣味な議員に尻尾を振っていた面々もいっぱい。

 都合のよい時だけ反対の声を上げて、木を見て森を見ずだね、これは。
(文=昼間たかし)

【マンガ】「子どもの前で酒を飲む母親」「昼からお酒」は許せない? 【22回】

「酒に強くも弱くもないわたしは、よくお酒に飲まれる」――。

20代から酒に飲まれつづけた漫画家・緑丘まこが酒と出会いと黒歴史を綴る、飲んだくれコミックエッセイ。土曜のひとり飲みのおともにどうぞ。

第22回:「昼からお酒」は許せない?

――「30代独女、それでもお酒がやめられない」次回の更新は2月9日(土)になります。お楽しみに!

緑丘まこ(みどりおか・まこ)
兵庫県育ちの30代独女。漫画とゲームとお酒をこよなく愛する。
センベロ居酒屋やレトロなレストランを発掘するのが休日の楽しみ。
お酒は最高の友達。

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【バックナンバーはこちらから】
(第1回はこちら:酒飲みの聖地・赤羽に、女ひとりでやってきたのだ)
(第2回はこちら:赤羽のユミコさんに見た「酔っぱらいの法則」)
(第3回はこちら:渋谷のコインロッカーに挟まれた三十路の夜)
(第4回はこちら:安ワインが招いた“三日酔い”と血染めバスタブのゆくえ)
(第5回はこちら:新幹線でエンドレス泥酔の旅)
(第6回はこちら:手みやげ片手に密着警察24時)
(第7回はこちら:”魅惑のタダ酒”で酩酊した結果)
(第8回はこちら:目覚めたら美女とキス!?)
(第9回はこちら:忘れられない”初体験”)
(第10回はこちら:初めての夏、”アイツ”は突然やってきた)
(第11回はこちら:親友ケイコが”ヤル気”になった夜)
(第12回はこちら:支離滅裂な思考と「逆ナン」の夜)
(第13回はこちら:上野でせんべろ昼飲みツアー)
(第14回はこちら:泥酔した翌朝に知る「自分」のヤバイ行動)
(第15回はこちら:新幹線で朝酒、トロッコ列車で昼酒!)
(第16回はこちら:熊と地ビールと尿意)
(第17回はこちら:バングラデシュのマイクさん)
(第18回はこちら:「使えない」と言われるマイクさん)
(第19回はこちら:マイクさんが見せた”凄い特技”)
(第20回はこちら:ケイコの泥酔事件簿)
(第21回はこちら:続・ケイコの泥酔事件簿)

『滝沢歌舞伎ZERO』で振り付けを担当するA.B.C-Z五関晃一が、「舞台に立つより緊張する」と言うワケ

 A.B.C-Zがパーソナリティを務めるラジオ『A.B.C-Z Go! Go! 5』(FM NACK5)。2月2日の放送は、河合郁人・五関晃一・塚田僚一の3人が出演した。

 五関は近年、A.B.C-Zの楽曲だけでなく、ジャニーズ事務所の先輩や後輩の楽曲、コンサートなどでも振り付けを手がけている。その五関が振り付けを担当している舞台『滝沢歌舞伎ZERO』が、2月3日京都四條南座にて開幕。オープニングトークではこの公演について……

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セレブ家庭で虐待は起こらない? 南青山児相建設計画、元児童福祉司が語る「反対派」の盲点

 昨年末、東京都港区が南青山に、児童相談所(以下、児相)を含む複合施設「港区子ども家庭総合支援センター(仮称)」を建設予定であることに対し、一部の住民が猛反発する住民説明会の様子が、連日テレビで取り上げられ話題となった。

 反対派から挙がった声は、主に「青山のブランドイメージを損なう」というもので、そのほかには「児童相談所の子どもが、南青山に住む幸せな家族を見たとき、自分の家族とのギャップに苦しむのではないか」など、保護される子どもの家庭と南青山という一等地に住む家庭との格差を懸念するものもあった。世間では「選民思想丸出し」「あまりにも心が狭い」「逆に南青山の価値を下げている」といった批判が飛び交うことになったが、こうした反対派の背景には、「児童虐待は貧困家庭で起こるもの」「セレブ家庭と児童虐待は無関係」といった意識があるのではないだろうか。

 事実、児童虐待と貧困は密接につながっていると感じさせるニュースは後を絶たないが、本当に“裕福な家庭で児童虐待は起こらない”と言い切れるのか。今回、江戸川大学こどもコミュニケーション学科特任教授で、児相にて児童心理司、児童福祉司を務めた経歴も持つ金井雅子先生にこの疑問についてお聞きするとともに、南青山児相建設問題で浮き彫りになった「世間の児相に対する勘違い」や、虐待件数増加の背景などについても語っていただいた。

児相を“知らない”ことが問題

――まず、今回の南青山児相建設問題をどのように受け止めましたか。

金井雅子先生(以下、金井) 反対住民の「貧困家庭の子どもがセレブ家庭を見るのはかわいそう」といった声を耳にしたとき、やはり児相について“知らない”ことが住民の不安を大きくしているのだろうと感じました。一時保護している子どもは、その子の身の安全を図るために、保護されている場所を秘匿するのが今の流れです。そのため、むやみに出歩くなど人目に触れるようなことはしないんです。そのようなことが周知されていなかったため、反対派から見当違いな発言が相次いだのでしょう。

――なぜ正しい情報が伝わっていなかったのでしょうか?

金井 南青山のある港区では、子ども家庭支援センターがそれほど機能していなかったのかもしれませんね。日ごろから地域と深く関わっている区では、住民の理解度も高く、「ぜひ作ってほしい」との声も聞かれるくらいですから、恐らくそのような下地がなかったのだと思います。また、本来は説明会で丁寧なやりとりを行えば、住民の不安の多くを取り除けるはずなのですが、今回はそれが不十分だったのではないでしょうか。さらに、都内の一等地である「南青山」という地域性から、マスコミだけでなく世間もこの問題に注目し、問題が大きくなっていったのではないかと思います。

――これまでも似たような問題はあったのでしょうか。

金井 そうなんです。現在、江東区枝川にある江東児相は、墨田区にあった児相が移転したものなのですが、当初、墨田区内での移転が計画されていました。しかし、建設候補地近隣の商店街などから猛反発があったため、今の場所へ落ち着いたという経緯があります。児相は、子どもたちにとって必要なものとわかってはいるものの、「自分の住む地域には作ってほしくない」と思われてしまう建物なのかな、という気がしますね。とはいえ、今回南青山で話題になったことから、世間の児相への関心も高まったようなので、ある意味では良かったと捉えています。

――2016年に児童福祉法が改正され、東京23区でも児相を設置できるようになりました。その背景には、やはり虐待対応件数が年々増加していることも関係しているのでしょうか。

金井 統計で虐待対応件数が年々増加の一途を辿っているからといって、単に“虐待する親が増えている”というわけではないんですよ。ここ30年ほどで虐待がクローズアップされるようになって、いわゆる「泣き声通告」が増え、以前は見過ごされていた虐待が顕在化したことで統計上の数字が上がるという、いわば数字マジックの側面もあるのです。また、これまでは経過を見ていたケースでも、不安要素が少しでもあれば一時保護や施設入所につなぐなど、児相や子ども家庭支援センター、警察などの対応も変わってきています。

 なお、それは虐待の種類にもいえることです。虐待は、身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性的虐待の4つに分けられ、以前は身体的虐待とネグレクトが圧倒的に多かったのですが、2003年の虐待防止法の改正で「DVの目撃」が心理的虐待にカウントされるようになってからは、心理的虐待が一気に増えました。

――統計上の数字が絶対ではないんですね。

金井 虐待は、例えば「身体的虐待だけ」「ネグレクトだけ」といった形ではなく、「身体的虐待とネグレクトが同時に」というように、複合して起こることが多いのですが、統計上は「主に身体的虐待」もしくは「主にネグレクト」という、どちらかの形でカウントされます。また、例えば暴行による虐待でも、父親からなら「主に身体的虐待」となるのに対し、母親の恋人からであれば、母親が恋人の暴力を見過ごしたとして「主にネグレクト」と分類されるんですよ。「泣き声通告」にしても、ご近所トラブルによる嫌がらせや、親権争いで有利になりたい父親が妻を貶めるために、“嘘の通告”をすることもあるので、数字ではなく、内情にきちんと目を向けることが大切です。

――世間では「貧困家庭に虐待が多い」という認識も強いのですが、実際に統計データなどは出ているのでしょうか。

金井 もともと児相が、虐待を虐待として統計を取り出したのが1990年からなんです。それまで虐待は、家庭の経済的問題を背景とする「養護問題」に分類されていたので、そうした背景から、家庭の経済状況と虐待が密接に関連づけられるようになったのでしょう。しかし、実は、経済問題と虐待に関するエビデンスや論文はそれほど多くないので、実際のところは何とも言えないのが現状なんです。虐待はさまざまな要因が重なって起きるものであり、貧困か裕福かの二元論で語れるものではないと思います。裕福な家庭でも、「この子のせいで自分のキャリアを犠牲にした」と感じて子どもに愛情を持てないとか、子育て能力が低かったり、うつ病などできちんと養育できないという親御さんはいますからね。

 ただ、虐待は、その程度によって「軽度・中度・重度」に分けられるのですが、貧困家庭では、経済的な問題から親が気持ちにゆとりを持てず、虐待が重症化しやすい傾向はあると思います。ニュースで取り上げられるのも、そのようなケースが多いので、イコールで見られやすいのでしょう。

――逆に、裕福な家庭の虐待はあまり表面化しないですよね。

金井 経済的なゆとりがあるぶん虐待が重度化するリスクが低いというのもありますが、社会的地位や権力のある男性が家庭内DVを働く、そしてそれを子どもが目撃する……という話を聞くことはよくあります。そういった人たちは、体裁を気にしてバレないようにうまく取り繕いますし、周囲も「まさか」と思っているので、介入や通告がされにくく、表面化しづらいという面も大きいです。妻がケガで受診したり、夫から逃げ出したりして初めて明るみになるケースも少なくないんですよ。

――表面化しづらいと、虐待のダメージも深刻化しやすいのでは。

金井 DVを目の当たりにした子どもは不安定になりやすく、家庭内暴力に走ったり、不登校になったり、わざと親を困らせたりといった形で症状を出してくることも多いです。以前、母親と密着状態になった幼児が、母親の気を引きつけたい一心で、首を吊るマネをしたこともありました。また、女の子の場合では、鬱になった母親の代わりとして、母親の“母親役”を担ってしまう“偽成熟”になるなど、両親の離婚後に問題が出てくることも多々あります。心理的虐待(DVの目撃)は、両親の離婚や一時保護をすれば解決すると思われがちですが、後々まで子どもに大きな影響を与えるので、早期に発見して、軽度のうちにケアしなければなりません。

――裕福な家庭は、両親がエリートな場合も多く、子どもへの過度な期待が、虐待につながるのでは……と想像してしまうのですが。

金井 名門校に入れたいとか、親の仕事を継がせたいとか、親の希望から勉強などを強要するケースはあるでしょう。それによって「できないから叩く」「ごはんをあげない」などとエスカレートしていっても、親は子どものためだと思っているので、虐待している認識がないのも特徴です。また、子ども自身が自分の夢だと思い込んでしまって、「やらなきゃいけない」「叩かれるのは自分が悪いから」などと受け止めていることも多いです。

 以前、一見、経済的な問題を抱えているようには見えない、仲のいい普通のご家庭の父親が、「娘を海外の有名スポーツチームに入れる」という夢を持ち、毎日過度な練習を娘にさせていたというケースがありました。そのスポーツチームは、男性しか入れないので、現実問題として実現不可能な夢なのですが、それでも娘さんに練習を強要していたのです。練習はエスカレートしていき、できないとゴハンを食べさせなかったり、暴力をふるったりしていたらしく、娘さんの異変に気付いた学校からの通告で一時保護したのですが、よくよく話を聞いてみると、父親は自分の実家で家庭内暴力を働いて親にお金を支援させていたこともわかりました。これもまた、経済的要因よりも、成熟しきらないまま親になったことで、このような虐待が起こってしまったのだと思います。

――やはり父親に虐待との認識はなかったのでしょうか。

金井 なかったですね。娘さんもそのような環境で育ったために、「私はこのスポーツが好きだからもっと練習したい、家にいたい」と言っていて、「そのチームに入らなくても、このスポーツを続けることはできるよ」と、まずは呪縛から解かないと、なかなか一時保護もできないほどでした。この家族に限らず、このようなケースでは、虐待だとわかってもらえないことには次のステップへ進めないので、一時保護をして親子分離することが、親の言う通りにしなくても良い事を子どもに気づかせると共に「大変なことをしていたんだ」と親にも気づいてもらえるきっかけになることも多いです。

――やはり虐待は経済状況に関係なく、どこの家庭でも起こりうるということですね。

金井 虐待でもっとも多いのは、実の母親によるものなんです。主な要因は育児不安やストレスの蓄積ですが、育児能力が不十分で養育できないとか、精神疾患や産後鬱でネグレクトしてしまうケースも多いです。また、望まない妊娠だったり、保護者自身のパーソナリティに問題があったりして、我が子に愛情が持てず、そこの葛藤から「愛情が持てないのは、この子が悪いからだ」と子どもに責任を転嫁して虐待に至ることもあります。そのほかにも、すごく手のかかる子どもで親がうまく関われなかったり、夫が育児を手伝ってくれなかったり、ステップファミリーや内縁の夫がいるなど家庭環境が複雑だったりすることから、虐待に発展することもあります。つまり、虐待のリスク要因はさまざまなので、誰しも、自分がそうなる可能性があるということです。虐待する親は特別な人間だと思われがちですが、誰にでも起こりうることです。多くの人が「自分の問題」として受け止めてくれたらと思います。

――大きな質問ですが、虐待のない社会にするためにはどうしたらいいのでしょうか?

金井 臨床をやってきた身としてまず思うのは、虐待の連鎖を断ち切ることです。そのためには、虐待を受けている子どもを早くその環境から救い出し、安定した環境でケアを行い、いつか結婚して子どもを持ったときに、きちんと育てられるようしていかなければなりません。また、子どもが育つ環境として、親が暴力をふるったり罵ったりするシーンを見るのはダメージが大きいので、DVをしている親の治療や教育も大切です。予防として、中学高校くらいの教育の中でも、適切な異性との関わり方などをもっと取り上げて、男女共に学ぶべきではないかと感じています。

――一方で、私たちが日常的にできることはあるでしょうか?

金井 虐待を受けている子どもが出すSOSに気づいてあげることです。そのためにも、「よその家のこと」にせず、気になる親子がいたら声をかけるとか、お節介をしていってほしいと思います。最近はそういった風潮も出てきていますが、もっと必要かなと感じるので。

 誰にだって虐待しそうになる瞬間はあるはずなので、それ自体を責める必要はありません。それより、どうやったら解決できるかなど、周りのサポートによるところが大きい問題を、みんなで考えていかなければならないと思います。例えば赤ちゃんが何をしても泣きやまなくて困っているとき、「大人だってなんとなく泣きたくなる時があるし、赤ちゃんも同じだよ」って声をかけてもらえたら、安心するじゃないですか。そういうサポートがなく虐待に至るケースが少なくないので、「頼れる人がいないのかな」「サポートが必要そうだな」と感じたら、積極的に声かけをしていってほしいですね。
(取材・文=千葉こころ)

金井雅子(かない・まさこ)
江戸川大学こどもコミュニケーション学科特任教授。心理職で入都後、主に児童相談所等で児童心理司、児童福祉司として児童福祉の第一線で勤務。