オンナの花形職業として羨望を集める存在ゆえか、何かと穿った見方をされがちな女子アナ。そんな彼女たちをウォッチし続けるライター・仁科友里が、年の終わりに今年の女子アナトピックに考察を繰り広げます。
「一分一秒でも長くテレビに映ること」を芸能人の“成功”と仮定した場合、その辺のタレントなんかメじゃないくらいの“成功”を収められるのが、女子アナではないだろうか。特番シーズンともなると、人気アナウンサーは出ずっぱりで、自らの顔を売っていく。テレビ局という大企業の安定を甘受しながら、有名人になれるのが強みだが、安定すると変化を求めるのが人情というもの。
ということで、今回のテーマは「女子アナと独立」。今年独立したあの女子アナの仕事ぶりを考察するとともに、今後独立するであろう女子アナを勝手に予想してみた。
有働アナ、フリー転身後も抜けないNHKグセ
この人だけはNHKを辞めないと思っていた。今年フリーに転身した、有働由美子アナである。上層部からの覚えがめでたく、視聴者人気もあり、女性役員間違いなしの呼び声も高く、役員就任の暁には「オンナの幸せを犠牲にした甲斐があった」といった具合の自虐的なコメントをすると思っていたので、何かに急き立てられるようなNHK退社には、何かあったのでは……と勘ぐってしまう。
「ジャーナリストになりたい」宣言どおり、フリー一発目の仕事として『news zero』(日本テレビ系)のメインキャスターを選んだが、視聴率は今のところかんばしくない。思うに、制作陣が『あさイチ』(NHK)のノリを持ち込んで「ニュースを明るくしよう」と思っているのかもしれないが、結果的に「ニュースが薄く」なっているように感じる。
また、有働アナのNHKグセが2つ出ている。1つめは、言葉遣いの悪さだ。『ボクらの時代』(フジテレビ系)で、女優・石田ゆり子らと鼎談した時もそうだったが、有働アナ、「ヤベェ」と言った具合に、アナウンサーらしからぬ物言いをすることが時々ある。NHKであれば「NHKらしくない」「親しみやすい」と言ってもらえたかもしれないが、民放でかつ視聴率が悪い番組に出ている場合、叩かやれやすいのだから自重する必要がある。視聴率で全てが決まる民放では、数字によって、やっていいこと悪いことが変わるのだろう。
2つめは、自分語り。テレビに出る人にとっては、全国津々浦々に顔が流れるNHKは、ギャラは安くても、民放より“上”という概念が存在するようだ。そんな影響力のある放送局で、若い頃から注目されてきた弊害だろうか、有働アナ、ニューヨーク・ヤンキースGM付特別アドバイザー・松井秀喜氏との対談で、自分語りを披露してしまう。ネット上での評判も悪かったようだ。恐らくこれらは“NHKボケ”というか“民放慣れ”していないからだと思われるので、徐々に悪癖は抜けて、視聴率は上向くのではないだろうか。ダメだったら、所属事務所の先輩、マツコ・デラックスを頼るべし。
私は、水卜麻美アナ(日本テレビ)、桑子真帆アナ(NHK)、宇垣美里アナ(TBS)を独立予備軍としてみている。
まず、オリコン主催「好きな女子アナウンサーランキング」で、5年連続第1位を獲得し、殿堂入りした水卜アナ。日テレにとっては視聴率を取ることができる、ありがたい女子アナだろうが、その一方で、この人にスポットが当たり続けると、下が育たないという側面もある。十分日テレには貢献しただろうから、ここらでフリーになる方が、お互いのタメになる気がする。
次に、 桑子アナ。テレビは、出演者の顔形を映すが、時折内面の上昇志向的ギラつきを映し出すこともあるのではないか。そう考えた時、私が勝手にギラつきを感じるのが桑子アナであり、ゆえに離婚したと聞いた時も、「だろうなぁ」であった。上昇志向が悪いということではなく、これだけ野心があったら、家庭の地味な幸せに満足できないだろうと意味である。
そう思っているところに、ニュースサイト「日刊ゲンダイ」が、桑子アナのフリー転身を報じた。『ニュースウォッチ9』のキャスター、2年連続『NHK紅白歌合戦』の司会を務めるなど、名実ともにNHKのカオとなりつつある桑子アナ。同記事では「先輩の有働アナが独立して苦労をしているのを見て、早いほうがいいと思った」「『ブラタモリ』で共演したタモリが、桑子をわが子のようにかわいがっており、桑子に頼まれたら、タモリが自らの所属事務所を紹介しないわけにいかない」と報じている。
まぁ、でも、入社5年でTBSを退職してフリーとなった田中みな実が、『ボクらの時代』で「フリーになると身の程を知る」と言っていた通り、若ければいいというものでもないだろう。また、「共演者にかわいがられた」という考え方も注意が必要である。年長者が、自分にメリットのある大きな組織の一員をかわいがるのはある意味当たり前だからだ。加えて「事務所を紹介してくれること」と、「永遠に仕事を斡旋してくれること」は別問題である。NHKのアナウンサーは、「民放に行ったら地味」と言われる宿命を持つが、そこを打破するためにも、もうちょっとお茶の間に顔を売って、実績を積んだ方がよいのではないか。
3人目は、宇垣アナ。「顔がいいというのは、足が速いと一緒なので、別に遠慮しない」……ミス同志社を経て、TBSに入社した宇垣アナのこの発言を聞いて、背中がゾクゾクした。宇垣アナの先輩に当たるタレント・小島慶子も、かつてほとんど同じことを言っていたからである。TBSに脈々と流れる、“ズケズケ物を言う美人に弱い”という特徴は、もう社風と言っていいのかもしれない。
さて、宇垣アナ、もうアナウンサーという仕事やTBSに興味はなく、次(独立してタレントになる)を見据えているような気がしてならない。マイメロ理論や、闇キャラ、コスプレ披露などで好評だが、タレントとなってそれ一本でやっていけるかとなると、ちょっと弱い。小島慶子パイセンは「第36回ギャラクシー賞DJパーソナリティー賞」を受賞したり、『小島慶子キラ☆キラ』(TBSラジオ)で聴取率首位を獲得するなど、“わかりやすい成果”を出してからフリーに転身している。何か成果を出すか、とんでもない熱愛スキャンダルを起こすかくらいしないと、単なる“元女子アナ”で終わってしまうかも。
フリー転身は誰にとっても大博打だが、わざわざカネを払う側(テレビ局)の立場になって考えてみると、無難にタイトルホルダーや実績のある人に頼みたいというのが本音ではないか。水卜アナの食いしん坊キャラ、宇垣アナの闇キャラなど、アナウンサーにまでキャラが求められる時代ではあるが、その一方で、キャラに食傷気味な視聴者もいるはずだ。そんな今こそ、“アナウンサーとして”何を成し遂げたかは、独立後のキーとなるのではないだろうか。
なんてエラそうに言っていますが、来年もみなさんを応援しているので、体と男に気を付けて頑張ってください。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの」