雑誌やテレビのダイエット特集でよく見かける「適度な運動を心がけましょう」というメッセージ。「運動」を伴わないとやせないのはわかるけど、そもそも「適度」ってどのくらい動けばいいの? という疑問を抱いたことのある人も多いのでは。そこで、肥満対策という観点から「適度な運動」をするメリットと、その度合いについて、トレーニングの専門家にお話を伺いました。
■ジムに通う必要なし!
「『適度な運動』を習慣化することで、さまざまなメリットが得られます。そのひとつが筋力アップです。例えば、運動を始める前までは階段を上るだけでも息が上がっていた人でも、筋肉がつくことで疲れにくくなり、睡眠の質も向上します。もちろん、肥満対策にも有効。当然だろうと思うかもしれませんが、実際にできている人はあまりいないですね」
そう話すのは、女性専用パーソナルトレーニングジム・NAVIS代表の津村知江さん。それでは「適度な運動」とは、どのくらい動けばいいのでしょうか?
「大前提として『適度な運動量』は個人によって異なります。実際に体づくりをするときには、体脂肪率18〜22%が維持できるくらいの運動量を目安にすると、調整がしやすくなると思います」
女性の適正体脂肪率は18〜22%とされており、この体脂肪率よりも高ければ肥満となり、逆に低すぎても女性ホルモンのバランスが乱れて婦人科系のトラブルにつながるといわれています。
「また、運動というと、ジムに行ったり、毎日走ったりなどキツいものを想像しがちですが、特別なことをする必要はありません。週2回、30分間のウォーキングを生活に取り入れるだけでも『適度な運動』といえます」
それでも、ただ歩くだけではダメで、しっかりとフォームを意識したウォーキングを心掛けないといけないそう。
「ウォーキングをする際は、かかとから踏み込むのが基本で、そのときにお尻に力が入るように意識して大股で早歩きをするのがコツ。少し息が上がる程度の速度が望ましいですね。勘違いしがちなのは、ウォーキングにかける時間です。続けて30分間以上歩かないと、代謝を上げて脂肪を分解することはできません。例えば、駅から自宅まで15分かかる人の場合15分×2=トータルで30分歩いたとしても、脂肪は分解されないので、注意してください」
また、家の中で行う「スクワット」が適度な運動としておすすめ、と津村さん。
「スクワットによって鍛えられるのは、お尻から太もも裏にあるハムストリングスという筋肉。ハムストリングスは、下半身の強化につながる大きな筋肉のため、重点的に鍛えれば筋肉量が増えるので、太りにくい体になります。テレビを見ながらでもできるので、隙間時間を利用すると、より継続しやすいかと思います。スクワットは5回×3セットを週に2〜3回ほど行うとよいですよ」
自宅や近所でこのような「適度な運動」を行えば、必ずしもジムに通う必要はないそうです。さらに津村さんは、肥満予防には「食生活」にも注意する必要があると述べています。
「適度な運動をしても、食事をしっかり摂らなければ筋肉は作られません。特に女性に多いのが、痩せたいあまり食事で糖質を制限してしまうこと。糖質は体を動かすためのエネルギーになります。しかし、糖質の摂取量が少ない人が運動をすると、筋肉を分解してエネルギーに替えてしまうため、むしろ筋肉が減ってしまい、太りやすい体になってしまう可能性があるのです」
また、過剰な糖質制限や塩分制限は貧血につながるリスクもあるそう。津村さんは「健康的な引き締まった体を得るためにも、バランスのとれた食事と休息をとることは大事なので睡眠を意識してほしい」と言います。そして、「適度」でも、それがしっかりとした「運動」であれば、美しい体形づくりも期待できるそう。
「食事制限でムリに痩せた人の体形と、運動で作られた筋肉によって引き締まった体形とでは『体のラインの美しさ』がまったく違います。肥満対策だけでなく美容の観点からも、適度な運動を習慣化して筋肉を作るメリットは大きいですね」
言葉以上に奥が深い「適度な運動」。楽しく工夫してムリのない範囲で続けていきましょう。
(真島加代/清談社)
津村知江(つむら・のりえ)
女性専用パーソナルトレーニングジム・NAVIS代表。2017年ミスワールドジャパンファイナリストに選ばれるなど、モデルとしても活躍中。トレーニングが苦手だった自身の過去を生かし、お客様に寄りそった指導を心掛ける。
・NAVIS公式サイト