「ar」(主婦と生活社)12月号は、「漏れフェロモン、盛る色気を仕込むよ」と題した「SEXY特集号」。「盛る」は、「もる」と読むのか「さかる」と読むのか。フリガナがないので不明ですが、どちらにせよ平成最後の12月号にふさわしい「ar」らしさ漏れ漏れのタイトルとなっています。表紙にも「秘めたるSEXYでHOTな冬!」という文字がデカデカと。レジに持っていくのは恥ずかしいですが、期待は高まります。早速、中身を見ていきましょう!
<トピックス>
◎隅から隅までご覧ください! 生エリカのす(ハート)べ(ハート)て
◎エモピン、一択!!! ピンク様、最強説(ハート)
◎甘酸っぱいキミ。
森絵梨佳に魅力を感じない者、人にあらず
巻頭の特集は、「生エリカのす(ハート)べ(ハート)て」。同誌のメイクページに欠かせないモデル・森絵梨佳にスポットを当てた企画です。そこには森への盲目的な愛があふれていました。
前提として、彼女には「少女のようなみずみずしさとシックな色気を併せ持ち、見る人すべてを魅了しまくる底なしの魅力」があるそうです。「見る人すべてを魅了しまくる底なしの魅力」――。森に魅力を感じない者、人にあらず! と言われているような圧倒的賛辞。「ここまで言うと逆に嘘っぽく聞こえちゃうかな?」というような迷いが一切感じられません。新興宗教の広報誌かのようです。
次のページにも、ar関係者からの賞賛の声が続きます。
「美しすぎる希少動物」(編集長)、「昔のスタアのように一枚の写真で夢を抱かせることができる、稀有な存在」(ライター)、「追いかけても追いかけても、絶対追いつかない人」(編集部員)、「都会のカメレオン」(ヘアメイク)、「名字は森ちゃんだけど、もはやアマゾンのジャングル」(カメラマン)……。この言語センスよ! さすが「ar」関係者様方!! と惚れ惚れします。
さらに「みーんな憧れるベイビー絵梨佳をじーっとながめるページ」「もぎたて絵梨佳に見とれまくるページ」「完熟絵梨佳のしなやかポージングにうっとりの巻」「The森絵梨佳の肌」「The森絵梨佳のBODY SEXY SEXY BODY」と、教祖・森絵梨佳様をあがめるページが続きます。一問一答によれば、森様の好きであられる天気は「曇りのち晴れ」、時間は「午後二時」、寝る体勢は「うつぶせからの仰向け」、口癖は「そっかー」だそうです。ここまで読んでも「そっかー」としか思えない自分は、人間ではないのかもしれません。
メイクアップアーティスト・イガリシノブがプロデュースするメイク企画、今号はピンク推しの「エモピン、一択!!! ピンク様、最強説(ハート)」です。「エモピン」とは初めて聞く言葉ですが、「エモいピンク」の略だそう。エモピンを「ちょっと離れてから戻っても裏切らなくて、いつだって待っててくれる。(中略)母性があって、女の子を包み込んでくれる存在」と擬人化し、「そう、ピンクは永遠かつ最強だ。まさに、“ピンク様”と呼ぶにふさわしいくらいに!!」とハイテンションにまとめています。先ほどの森様に続いて、今度はピンク様のおでましです。
誌面を読む限り、このエモピンメイク、とっても難易度が高そうです。例えば「キレイめエモピン」メイクは、「キレイめなピンク~ってあからさまにアピらずに、ピンクをピンクとして表現していない」メイクだそうで、「別のカラーを立たせながら“ピンクを塗っている人”に見せるというワザ」を駆使するそう。高度すぎて何を言っているのかよくわかりません。
また、エモいピンクの肌=「エモスキン」とは、「とにかく“グジョついてる”(笑)。何もかもがあふれ出てる~って感じなの。どメスの肌、みたいなね」だとか。どメスなグジョつき肌を作る方法はというと、「ツヤ感が大事だけど、ファンデーションがツヤツヤなわけじゃないの。内側にのばしたパープルの透明感と目元のピンクの輝きも重要な要素。そんでもって、ただグジョついてちゃダメだから、横顔はサラッとマットに整えて清潔感は必須だよ」。やっぱりよくわかりませんが、読んでいるだけで頭の中がグジョグジョなピンク様に染まって、なんだか、いろんなことがどうでもよくなってきました。これぞピンク様の御利益でしょうか。ありがたや。
続いては、若手俳優のグラビア企画「甘酸っぱいキミ。」。志尊淳、佐藤寛太、岡田健史、ゆうたろう(石原裕次郎のモノマネ芸人ではない方)、荒木飛羽、岩井拳士朗の6人が登場します。コンセプトは「思うだけで胸がキュンとしたり、トキめいたり、切なくなったり……。そんな、まるで甘酸っぱいレモンパイのような6人の男の子」で、それぞれがレモンパイを手にした写真になっています。
しかし、ただ1人、岩井のみ「フルーツが苦手」という理由でレモンパイを免除され、ジェラート(フレーバーは不明)を持つという特別待遇を受けていました。いくらフルーツが苦手だからって手に持って写真を撮られるくらいはできるでしょうよ、テレビの食べ歩きロケじゃないんだから、と思ってしまいますが、「ar」編集部の柔軟な対応力には頭が下がります。
岩井以外は、レモンパイを食べた感想も話しています。「思ったよりレモン」(志尊)、「レモンの風味でさっぱりしててすごくおいしい」(佐藤)、「甘くておいしい」(荒木)など、とっても素直な言葉が並びます。エモピン企画のエモ語シャワーでグジョついた頭が、すーっと浄化されていくのを感じました。
「SEXY特集号」らしさは中身からはさほど感じない今号でしたが、トータルでバランスの取れた誌面作り、あっぱれです!
(島本有紀子)