真相はどっちだ? 「漫画村」の消滅で正規版の売上は増加したのか、していないのか……

 国家レベルの大騒動となった、海賊版サイト「漫画村」が消滅して2カ月余り。類似サイトが立ち上がったいう情報が幾度も流されるが、そのどれもが継続はしていないようだ。ネット上では、批判に対して煽りを繰り返していた運営側も、さすがに身の危険を感じたのか。

 そして今、この悪質なサイトの消滅により、正規の商品の売上が増えたのかどうかが注目されている。

 すでに幾人かのマンガ家からは「漫画村」の消滅後、電子版の売上が増えたことが報告されている。

「あの漫画違法転載サイト潰れてから、僕も電子版の売り上げが一気に増えていた」

「5月に出た明細みて驚愕…!「本当に印税が4~5倍になってる!」無料じゃなくても読んでくれた人いるんだ!」

 などの報告が、マンガ家からも寄せられている。ところが、こうした報告に異論を唱えるのが、マンガ家の佐藤秀峰氏。佐藤氏は、こうした売上報告に対して、否定的な発言を寄せている。

「漫画村が閲覧できなくなったのは4月上旬。一般論だけど5月に4月分の売り上げ明細は出ない。4月分の売り上げが確定するのは6月末~7月。5月に出るのは、1月か2月分じゃないかなぁ? 海賊サイトが盛り上がってた頃の。」

 つまり「漫画村」が閉鎖されてからの売上は、まだ立っていないのではないかと佐藤氏は指摘しているのである。

 これをきっかけに「漫画村」の閉鎖により、売上は向上したのか否か、その真偽が問われる事態が生まれている。中には、売上が増えたことを報告する漫画家に対して「お前のマンガは<漫画村>にあったのか」と、今となっては確認しようもないことを追求し始める人も。

 そこで、いくつかの電子版を配信するサイトの経理処理事情を運営企業に尋ねてみたが「4月分の明細は、まだ通知されていない」というところも多数。ただ、中にはそうでないところもあるという。ただ、どこもそろってこんな指摘を。

「<漫画村>の閉鎖が4月17日。となると、閉鎖の効果が出たかどうかがはっきりわかるのは5月分の売上からではないかと思うのですが……」

 果たして「漫画村」が消滅したことで、正規版を買う人は増えたのか。その実態がわかるには、もう数カ月必要なようだ。
(文=是枝了以)

バラエティーの「サッカー選手枠」ポスト武田修宏は槙野智章か? W杯で活躍すれば、タレント価値も倍増!

 2018FIFAワールドカップ ロシア大会が盛り上がる中、エンタメ業界では次世代の“サッカー選手タレント”に注目が集まっている。

「元サッカー選手でバラエティー番組に多数出演していたタレントというと、元日本代表FWの武田修宏がいます。2年ほど前までは、天然キャラと独身キャラで引っ張りだこでしたが、ここ最近はちょっとした不祥事もあって、だいぶ仕事が減っています」(テレビ局関係者)

 武田は昨年、インサイダー取引の疑いで証券取引等監視委員会に事情聴取されていたことを「週刊新潮」(新潮社)に報じられた。

「合コンで同席していた友人から未公開情報を得て、株取引をしていたようです。特に法に触れることはありませんでしたが、報道の影響もあってか、メディア露出は激減しました」(週刊誌記者)

 いわば、いまエンタメ界では武田の席が空いているわけだが、今回のワールドカップを経て、その“武田席”をめぐるバトルが繰り広げられそうだという。前出テレビ局関係者はこう話す。

「現在、サッカータレントとしてブレークしているのは元なでしこジャパンの丸山桂里奈。丸山は武田と同じホリプロの所属で、ホリプロは完全に“推し”を武田から丸山へとシフトさせた形です。そして、バラエティーにも出る元日本代表選手ということでは前園真聖あたりも人気です。しかし、前園が所属するサニーサイドアップはそこまで“バラエティー売り”に積極的ではなく、出演番組は限定的です」

 つまり、バラエティーにおける女子サッカー選手枠は丸山が押さえているが、男子サッカー選手枠は空きのままということ。そこで注目されているのは、現役の日本代表選手だ。

「ワールドカップ後のテレビ展開が予想されるのは、浦和レッドダイヤモンズの槙野智章。今回のワールドカップにも出場しているということでバリューも高いし、ホリプロとマネジメント契約を交わしているのでフットワークも比較的軽い。武田と同じく天然系のキャラで、イジるポイントはかなり多い。ホリプロとしては、適度にワールドカップで活躍して目立ってもらって、タレント価値を上げたいところでしょうね」(同)

 そして、今回のワールドカップ後の引退もウワサされている本田圭佑だが、こちらのタレント展開は少々難しそうだ。

「タレント業よりも自分の事業のほうに力を入れているので、バラエティータレントになるという可能性は残念ながらかなり低い。そもそもバラエティーのスタッフは、そう簡単にはイジらせてもらえない本田に対して、オファーをしようとは全く思ってないみたいですけどね」(同)

 ひとまず、ワールドカップ終了後は、槙野智章のバラエティー番組における活躍が期待できそうだ。

貢がせて自殺に追い込む……中国で「悪徳ナンパセミナー」が大流行! 

 英語でナンパ師のことを「PUA(Pick Up Artist)」と表現するが、いま中国ではPUAのノウハウを悪用して、女性から金品をだまし取る、卑劣な犯罪が急増している。さらに、こうした手口を教える“セミナー”まであるというのだから驚きだ。

「中国百家号」(6月15日付)によると、中国各地でPUAセミナーが開催されるようになったのは2008年ごろ。最初は、受講生である富裕層が女性を口説くためのテクニックを学ぶという、至ってシンプルなものだった。ところが、11年ごろからスマホの普及と共に、ネット上でPUAセミナーが急増し、中には恋愛テクニックを使って女性から金品をだまし取る方法を教える悪徳セミナーも出現。その結果、金銭をだまし取られた女性たちが自殺に追い込まれる事件が発生するなど、社会問題となりつつあるというのだ。

 中国事情に詳しいライターの吉井透氏は、こう解説する。

「こうしたナンパセミナーは、人気講座になると3~8万元(約50~130万円)もの受講料が必要になります。ここで教えているのは、『5段階感情掌握テクニック』と呼ばれるもの。まず、優しい男性を演じて女性に近づき、純愛を語り、体の関係を結びます。その後、相手の女性を叱りつけたり怒ったりして精神的に追い詰める。そして女性に『自分は捨てられてしまう』という絶望感を植え付けるのです。仕上げは、正常な判断ができなくなってしまった女性から、金目のものを吸い上げるという手口です。中には、用済みになった女性を自殺へと追い込む方法まで公開しているセミナーもあり、ゲーム感覚で楽しんでいる」

 当然、犯罪行為であることは明らかだ。警察当局もすでに捜査を進めており、5月にはネット上でセミナーを行っていた悪徳グループの関係者が逮捕された。このグループの事件では、金銭をだまし取られた女性被害者が20人以上いるという。

 日本でも4月に、ナンパ塾の関係者が準強制性交等の容疑で逮捕されるという事件が発生したが、ナンパ講座の名目を掲げて性犯罪や詐欺事件を助長する、こうした組織の撲滅が急がれるところだ。

(取材・文=青山大樹)

貢がせて自殺に追い込む……中国で「悪徳ナンパセミナー」が大流行! 

 英語でナンパ師のことを「PUA(Pick Up Artist)」と表現するが、いま中国ではPUAのノウハウを悪用して、女性から金品をだまし取る、卑劣な犯罪が急増している。さらに、こうした手口を教える“セミナー”まであるというのだから驚きだ。

「中国百家号」(6月15日付)によると、中国各地でPUAセミナーが開催されるようになったのは2008年ごろ。最初は、受講生である富裕層が女性を口説くためのテクニックを学ぶという、至ってシンプルなものだった。ところが、11年ごろからスマホの普及と共に、ネット上でPUAセミナーが急増し、中には恋愛テクニックを使って女性から金品をだまし取る方法を教える悪徳セミナーも出現。その結果、金銭をだまし取られた女性たちが自殺に追い込まれる事件が発生するなど、社会問題となりつつあるというのだ。

 中国事情に詳しいライターの吉井透氏は、こう解説する。

「こうしたナンパセミナーは、人気講座になると3~8万元(約50~130万円)もの受講料が必要になります。ここで教えているのは、『5段階感情掌握テクニック』と呼ばれるもの。まず、優しい男性を演じて女性に近づき、純愛を語り、体の関係を結びます。その後、相手の女性を叱りつけたり怒ったりして精神的に追い詰める。そして女性に『自分は捨てられてしまう』という絶望感を植え付けるのです。仕上げは、正常な判断ができなくなってしまった女性から、金目のものを吸い上げるという手口です。中には、用済みになった女性を自殺へと追い込む方法まで公開しているセミナーもあり、ゲーム感覚で楽しんでいる」

 当然、犯罪行為であることは明らかだ。警察当局もすでに捜査を進めており、5月にはネット上でセミナーを行っていた悪徳グループの関係者が逮捕された。このグループの事件では、金銭をだまし取られた女性被害者が20人以上いるという。

 日本でも4月に、ナンパ塾の関係者が準強制性交等の容疑で逮捕されるという事件が発生したが、ナンパ講座の名目を掲げて性犯罪や詐欺事件を助長する、こうした組織の撲滅が急がれるところだ。

(取材・文=青山大樹)

加護亜依、“雪解け”ハロプロ公演出演はレギュラー化へ? 「加護の力も借りたい」事務所の苦境とは

 モーニング娘。の元人気メンバーの加護亜依が、8月にハロー!プロジェクトの20周年記念コンサート『Hello!Project 2018 SUMMER』の一部公演に出演することが発表された。

 加護は自身の公式Twitterで「ゲスト出演のオファーを頂きライブに出演させて頂く事になりました!」と報告。ライブでは数曲の歌唱を披露する予定だといい「ハロプロのステージに立つのが今からとても楽しみです」とつづっている。

 2000年にモー娘。の4期生としてグループに加入後は、同期である辻希美とともに人気を不動のものとした。しかし、2度の喫煙が週刊誌に報じられ事務所をクビに。その後はジャズシンガーとして活動した一方で、プライベートでは俳優との不倫騒動、初婚の夫だった飲食店経営の社長からのDV騒動など話題に事欠かなかった。

 芸能関係者は今回の出演に関して「一時はモー娘。メンバーとの共演は絶対にNGなど、前事務所との関係は最悪だっただけに、今回の“オファー”は、かなり関係が改善された結果ではないか」と話す。

 その一方で、「それぞれが独り立ちできた初期メンバーとは違い、今はハロプロもかなり苦労していると聞く。お騒がせタレントだった加護の力も借りたいということになったのだろう」(同)とも明かす。モー娘。OGの出演や、彼女たちをメインにしたコンサートが開かれたことはこれまでもあるが、今後は「そこにレギュラーで入る可能性もあるのでは」(同)とみる。

 アイドル時代からすでに10年以上が経過しているが“人気者”の看板はまだ色あせていないようだ。

加護亜依、“雪解け”ハロプロ公演出演はレギュラー化へ? 「加護の力も借りたい」事務所の苦境とは

 モーニング娘。の元人気メンバーの加護亜依が、8月にハロー!プロジェクトの20周年記念コンサート『Hello!Project 2018 SUMMER』の一部公演に出演することが発表された。

 加護は自身の公式Twitterで「ゲスト出演のオファーを頂きライブに出演させて頂く事になりました!」と報告。ライブでは数曲の歌唱を披露する予定だといい「ハロプロのステージに立つのが今からとても楽しみです」とつづっている。

 2000年にモー娘。の4期生としてグループに加入後は、同期である辻希美とともに人気を不動のものとした。しかし、2度の喫煙が週刊誌に報じられ事務所をクビに。その後はジャズシンガーとして活動した一方で、プライベートでは俳優との不倫騒動、初婚の夫だった飲食店経営の社長からのDV騒動など話題に事欠かなかった。

 芸能関係者は今回の出演に関して「一時はモー娘。メンバーとの共演は絶対にNGなど、前事務所との関係は最悪だっただけに、今回の“オファー”は、かなり関係が改善された結果ではないか」と話す。

 その一方で、「それぞれが独り立ちできた初期メンバーとは違い、今はハロプロもかなり苦労していると聞く。お騒がせタレントだった加護の力も借りたいということになったのだろう」(同)とも明かす。モー娘。OGの出演や、彼女たちをメインにしたコンサートが開かれたことはこれまでもあるが、今後は「そこにレギュラーで入る可能性もあるのでは」(同)とみる。

 アイドル時代からすでに10年以上が経過しているが“人気者”の看板はまだ色あせていないようだ。

モデル・新川優愛が“着やせテク”披露! 矛盾にまみれた「non・no」着回し特集の妙

 今月の「non・no」(集英社)は、専属モデル・本田翼の卒業号ということで、もちろんカバーガールは彼女です。在籍した約8年間で23回も表紙を飾ったという本田は、名実ともに「non・no」の看板モデル。デビュー当初はロングだった髪を「non・no」の企画でばっさり切り、ショートボブにイメチェンしてから、注目されて人気が急上昇したのは有名な話です。また近年では女優業も順調で多忙を極めていたため、「non・no」の1号分の登場ページを、ドラマ撮影の合間に強行スケジュールで撮り終えたという伝説があり、編集部内では「本田翼・4時間撮影」という名で語り継がれているそう……。そんな思い出エピソードたっぷりの卒業インタビューは語りたいことがありすぎたのか、文字が小さい&見開きにぎゅうぎゅう! 読むのにも一苦労でしたが、若者向け雑誌だから可能な文字サイズなんでしょうね。それでは早速、中身を見ていきましょう~!

<トピックス>
◎くいしんぼう優愛の薄着の夏も(ハート) 毎日スタイルUP着回し20days
◎シンプル&簡単! #「彼女感」なまとめ髪
◎#BAEな水着とれたてNEWS in Saipan

新手の“食べても太らないマウンティング”?

 まず初めに見ていくのは「くいしんぼう優愛の薄着の夏も(ハート) 毎日スタイルUP着回し20days」です。こちらの企画、「大好評におこたえして第2弾!!」とのことですが、前回同様、スタイル抜群の専属モデル・新川優愛が“着やせテク”を披露するという矛盾が発生……。そして今回もツッコミどころ満載のくいしん坊キャラが炸裂して、着回しコーディネートがまったく頭に入ってきません!

「授業の後の回転寿司。今日も30皿完食、ごちそうさまでした(ハート) からの、ケーキ食べに行こうかな♪」「学校歩いてたら声かけられた。『ミスコン出ませんか?』え? ミスコン……みすこん……みそこんにゃく?」「たまにはオシャレもしなくちゃねってことでお買い物。のはずが、なんで私ってばたこ焼きを手に持ってるの!?」

 って! こっちが聞きたいわー!! 途中、イケメンシェフに恋に落ちるというラブ展開もあるのですが、彼のお店でも食欲は止まらず、「とりあえずステーキ!」からの「追加でオムライスとビーフシチュー」を注文する優愛。最終的には、シェフから「優愛ちゃんみたいにたくさん食べる妹が欲しいな」と、告白する前に振られていました。そりゃそうだ(そして傷心の優愛は「焼肉食べ放題」に行って帰る)! いや、しかし、この企画は一体……? 新手の“食べても太らないマウンティング”なんでしょうか。でも、まあ、頭空っぽで楽しめる読み物として面白いので、第3弾にも期待しています!

 続いて見ていくのは「シンプル&簡単! #『彼女感』なまとめ髪」です。「簡単!」という触れ込みでも、後れ毛のバランスや毛束を捻る一工夫など、実際にやってみると難しいアレンジばかりなのはお約束。髪の先まで計算し尽くされた「頑張りすぎないゆるり感」や「ちょっとの色っぽ」など、あざとさにあふれたテクニック満載です。

 ところで、今月の「non・no」は「女子力コーデ&メイクの極み」を大テーマに掲げており、こちらもその中の企画の1つ。これまでにも「女子力」や「彼女感」というワードはたびたび「non・no」に登場しましたが、いまいち実態が伴わないというか、例えば“肩出しのオフショルダーを着て彼をドキドキさせ”たり、“オムライスを食べて可愛い私を演出”したりと、どこか非現実的というか、少女漫画の世界でしか通用しないテクニックばかりが紹介されていたんです。そんな誌面を読んでいると、女友達と恋バナで盛り上がる“恋に恋している女子大生”の姿が浮かんでくるのでした。

 しかし今回の「#彼女感」は、ひと味違います。「彼部屋でゲーム」「おうちで一緒にまったりする」「彼の車の助手席に座る」「一緒に旅行の計画を立てる」「彼と近所へ買い物に行く」などなど、なんだかシチュエーションがいちいち具体的で生々しい! 恋愛に関しては奥手なイメージだったノンノ女子の意外な一面に、なんだか娘を持つ父親のような気持ちで軽くショックを受けてしまいました。まあ、表には出さないだけで、やることはやってるってことですよね。そういえば前号の恋愛企画においても、学生時代の彼氏とそのままゴールインするために堅実な恋愛を育んでいましたし。ノンノ女子のあざとさって、こういうところなんだよなー!

ノンノ女子も開放的になる水着特集!

 最後に見ていくのは「#BAEな水着とれたてNEWS in Saipan」です。「#BAE」って何だよ!?と一瞬思いましたが、何てことはない、“SNS映え”の“映え”です。今の子たちって、“インスタ映え”って言葉はもう使ってないんですよね。みんな“映え”って省略して使っているのを知っていましたか? 筆者は最近知りましたよ……。

 こちらの水着特集では「可愛く#BAEる」「色っぽく#BAEる」というテーマの元、フリル、フルーツ柄、モノトーンビキニと、はやりの“盛れる水着”が紹介されています。また、水着に合う小物使いやビーチでの写真の撮り方など「#BAEテク」も充実! そしてここでも、真面目で保守的なイメージだったノンノ女子たちがサイパンの海でハジけにハジけまくっていました。もちろんホテルも「#BAEホテル」の代名詞・ハイアットリージェンシー。勝手に、ノンノ女子は、こういうチャラチャラしたノリにはあんまり興味がないんだと思っててすみません。夏だもん、海外だもん。そりゃあ、いつも全方位に気を使い優等生で振舞っている学校から離れて、ちょっとくらいハメ外したいよね! ノンノ女子の新たな一面を見た気分でした。
(橘まり子)

脚本の“粗さ”を“胸キュン”でねじ伏せた『花のち晴れ』、キンプリ・平野紫耀の魅力が爆発中!?

 King & Prince・平野紫耀くんと杉咲花ちゃんのビミョ~な距離感がとってももどかしい火曜ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)。第9話の視聴率は、8.6%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)となりました。8話で2.1ポイントもアップしましたが、今回は1.0ポイントダウン。そんなにうまくはいきませんね……。

 ただ、今夜放送の10話では、松田翔太演じる「F4」の西門総二郎が登場するそうなので、これまた盛り上がりを見せること間違いなしでしょう。と、その前に、平野くん演じる晴の魅力が爆発した9話のあらすじを振り返っていきたいと思います。

*前回までのレビューはこちらから

■桃乃園はヤンデレ養成所なのか?

 前回ラスト(参照記事)で死んだ魚のような目で音(杉咲花)を抱きしめた天馬(中川大志)。大事な食事会に遅れた音に激怒し、6話ぶり(詳しくはレビューへ)にヤンデレ化か!?︎ と視聴者をゾワゾワさせましたが、ただ音がやってくるのか不安でいっぱいなだけだったようです。ブラック天馬が現れなくて、ひとまず安心です。

 ある夜、音は帰り道で何者かに顔にスプレーをかけられ目が開けられなくなったところを、天馬同様目に光のない近衛(嘉島陸)ら桃乃園の生徒会メンバーに助けられました。犯人は英徳の校門に落書きされたときと同じ、「英徳に未来はない」という言葉を残して去っていっただけに、病院に駆けつけた天馬は、メグリン(飯豊まりえ)の誕生パーティーで起きた爆発事件とも何か関係があるはずだと、晴(平野)に報告するように言いますが、晴はメグリンと付き合いたてホヤホヤ、おまけに、晴の彼女になってルンルンのメグリンに余計な心配をかけまいと、なかなか言い出せません……。

 目の調子も良くなった音は、晴が「ミシュランの三ツ星も霞む」と言い切った音の野菜炒めを食べたいという天馬のリクエストに応えて、剣道の練習をしている天馬に差し入れをしに桃乃園へとやってきました。すると、学園内でガラの悪そうな男と何やら話している近衛を発見。会話の内容と、近衛が男にお金を渡した様子から、メグリンの誕生パーティーでケーキを爆発させたのも、音を襲ったのも、すべて近衛の指示だったことが判明しました。

 しかし、いくら音が問い詰めても天馬くんを崇拝する近衛は「馳さんを悲しませるな」と、ひるむ様子はなく、天馬本人に近衛が犯人だと告げても、「桃乃園への転入を急かしたために音さんに嫌われ、こんな嘘をつかれた」と、天馬をたらし込みます。案の上、「僕の大切な仲間がそんなことするとは思えない」と音を疑う天馬にショックを受けた音は、「天馬君は信じてくれないんだね」と、その場を立ち去るのでした。

 

■いい子すぎるメグリン

 その頃、カリスマモデルである彼女の撮影現場をサプライズ訪問した晴に、メグリンは大喜び。カメラマン(喜矢武豊)に2ショットを撮影してもらったり、カフェでお茶したり、2人はデートを楽しみますが、偶然にもそこに音が通りかかります。いつもと様子が違う音を晴が気にかけていることに気付いたメグリンは、「行って!」と晴の背中を押し、紺野さん(木南晴夏)の家へ。「賭けに負けました」と、紺野さんと一緒にたこ焼きを焼いていた愛莉(今田美桜)に事情を説明するのでした。

メグリン、なんていじらしいんでしょうか(涙)。落ち込む彼女に、「愛莉のず〜っと欲しかったものパッと手に入れといて、グジグジすんじゃないわよ」と、叱咤がとびます。あまのじゃくな愛莉なりの励ましと、それに涙するメグリンめちゃくちゃエモい。「けなげすぎて泣けてくる~」と若者たちにシビれる紺野パイセンの姿は、まるで私たち視聴者のようです。そしてなんやかんやいいながら、メグリンと愛莉もいい友達になれそうな予感……。

 

■5000万円を貢ぐ男vs男らしい言葉をかける男

 さてさて、メグリンを残して音を探しに飛び出した晴は、公園のベンチに佇む音の姿を発見。音を家まで送ってくれるそうです。その途中、音に謝りに行こうとしていた天馬と近衛にバッタリ(音が晴と2人でいるところに近衛が引き会わせたのですが……)。音が泣いている理由を知った晴は、

「バカかてめぇは!」

「合ってようが外れてようが、好きな女の言ってること信じなくてどうすんだよ!」

 と、天馬につかみかかってブチ切れ。音は思わず「どうして神楽木がわたしの欲しい言葉全部くれるの?」とジーンときちゃいます。天馬くんは英徳に在学できるようにと、5,000万円もの大金をサラッと払ってくれましたが、音が欲しかったのは、お金ではなく、そういう男らしい言葉だったのかもしれません。そう思わないと、あまりに天馬くんがあまりにも不憫です。

 しかも晴はそれだけでなく、「一人にして」と言われあっさり引き返した天馬とは対照的に、「泣いてる女を一人になんてできるかよ」と、これまた無自覚で男前発言をしながら音のそばを離れませんでした。そんな晴は別れ際、音にお礼を言われてたまらず「1分だけ」と、後ろからギュッと音を抱きしめます。そして、そんなところにタイミング悪く戻ってきた天馬くん。完全なる修羅場です。焦る音が抵抗しても、「やめない」と、晴は離れようとはせず、音を抱きしめたまま、

「とられるぞ。お前がちゃんと江戸川をつかまえとかないとな」

「余裕ぶっこいてスカしてないで、こいつを一番に考えろよ」

 と宣戦布告。「じゃあな」と去っていきます。天馬くんは、「近衛も僕にとって大切な仲間だから」と、犯人は必ず見つけ出すと音に約束し、手をつなぎながら2人は晴と別の方向へ歩き出すのでした。

 いやあ~ズルいです、晴。ちょっぴりおバカでアホなところは変わりませんが、この9話において、ヘタレ要素は1ミリも感じないくらい男らしかったし、音と2人のシーンは胸キュンの連続でした。ネットの評判なんかを見ても、晴の株がグングン上がっているようですよ。天馬くん派の方には申し訳ないですが、今回ばっかりは仕方ないです。はい。

■巌パパの目的は?

 その日の夜、晴の部屋を訪ねてきた天馬。音をめぐって、男同士のバトル勃発です。

天馬「あんなふざけたまねは許さない。もう音に近づくな。お前には西留さんがいるだろ」

晴「俺は俺のしたことに責任を持つ。ちゃんとけじめをつける。俺は江戸川を諦めない」

 ド正論をぶつける天馬に対して、堂々と開き直ってみせる晴。取っ組み合いのケンカを始める2人を止めたのは、意外にも晴の父・巌(滝藤賢一)でした。それだけでなく、「10点満点でいえば5点、いや2点程度の存在だと息子に分からせてやってほしい」と、柔道・剣道・弓道の3種目で晴と勝負することを提案するんです。天馬が勝てば二度と音には近づかせないよう英徳を辞めさせ留学をさせる、晴が勝てば自由にさせるという条件付きで。3種目すべてで全国チャンピオンの天馬にとっては楽勝すぎる戦いですが、晴はその条件をのみ、ハンデなしで天馬との勝負を受けることに決めます。

「完璧な息子しかいらない」と、晴に散々口酸っぱく言い聞かせてきた巌パパ。「また子どもにひどいこと言って負け戦をさせて!」とか、「子ども同士のケンカに口を挟むな!」とか今までなら思いもしますが、今回はそうじゃなかったんですよね。思い返すと、晴が寝込んだとき執事の小林さん(志賀廣太郎)に任せればいいのに、必ず様子を見に部屋に現れたし、わざと厳しい試練を与えながらも、心のどこかで晴のことを心配していたのではないでしょうか? わざわざ我が子の惨めな姿を晒したいわけはないだろうし、巌パパの父性を信じたいところです。

 

■視聴者のモヤモヤを“胸キュン”でねじ伏せる

 正直、いきなり自分の仲間を犯人と疑われて戸惑う天馬くんに、考えたり話し合う時間も与えず、「なんで信じてくれないの」と喚く音はちょっとヒステリックに感じたし、近衛が「馳さんからの愛情を過信している」と言いたくなるのもわかります(やり方は間違えているけど)。 

 もちろん、彼女がいながら、やっぱり音が好きだと言い放った晴にも「メグリンはどうした?」とツッこまずにはいられなかったし、他にもモヤッとするところはたくさんありますが、まぁ、原作はマンガだし、ファンタジーに近い青春ラブストーリーなわけで、設定や脚本にマジレスするのも野暮な気がします。

 それに、今回は“晴がヘタレの仮面を脱ぎ捨て男を見せる”という大事な見せ場もあったし、7・8話でのオリジナル展開で溜まった視聴者の不満を、今波にノッている人気アイドル・平野くんが晴というフィルターを通し世の女子たちをときめかせることで吹き飛ばしてくれたので、それでいいんだと思います。脚本家の力技にまんまとねじ伏せられた感はありますが。グチグチ言いましたが、私も今話の晴にはグッときたので、もう細かいことは気にしないことにします。イケメンっていいな!

 さてさて、冒頭にも書いたように、10話にはアノ西門さんが登場し、打倒天馬を目指す晴の稽古をしてくれるそうです。晴と天馬、いったいどっちが勝利を、そして音を手に入れるのか、メグリンの幸せも願いつつ、テレビの前で見守りたいと思います。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

岩田剛典主演『崖っぷちホテル!』最終回は7.9%!“続編”への期待も?

 日曜ドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も17日放送の第10話で最終回。視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)に終わりました。初回10.6%から第2話で6.1%と急落。その後、第4話で7.0%に戻してからは、ずっと7%台をキープ。特に気に入った人も少なかったけど、離脱した人もあんまりいなかったようです。

 岩田剛典くんのアイドルスマイルが存分に振りまかれた同作。最終回を中心に振り返ってみます。

(前回までのレビューはこちらから)

■「なんか素敵」だけでいいのか。別にいいか。

 3カ月前、どいつもこいつも、まったくやる気のない老舗ホテル「グランデ・インヴルサ」に突然やってきた“ホテル界の革命児”宇海くん(岩田)。従業員たちに無理難題を押し付けつつ、その思慮の深さと、徹底した「お客様ファースト」によって意識改革をもたらし、ホテルは大逆転に成功。そしていよいよ、インヴルサと宇海との、お別れのときが訪れました。

 宇海はこの日、とある地方のホテル「スイーブル」の従業員たちを、インヴルサに招待していました。その数、11人。インヴルサの従業員数と同じです。

 彼らは、まるで3カ月前、宇海がインヴルサを訪れる以前の従業員たちと瓜二つです。料理よりギャンブルにしか興味がないシェフ、無関心な客室係、備品をくすねる清掃係……その姿を見て、インヴルサの清掃係・裕子ちゃん(川栄李奈)は、宇海がインヴルサを辞めてスイーブルに行くつもりなのではないかと予感します。ちなみにこのドラマの裕子ちゃんは「いつも予感が当たる」という設定なので、この時点で宇海がインヴルサを辞めることは確定です。

 宇海は、慰留しようとする支配人の佐那ちゃん(戸田恵梨香)に、辞める理由を述べます。

「怖くなってしまったんです、この場所にいるのが」

 いわく、宇海は子どものころに一度ここを訪れてからというもの、インヴルサで働くのが夢だったそうです。そして夢を叶えた今、「どんなことにワクワクしていけばいいのかわからない」「夢が現実になってしまった怖さ」「だから私は、この場所を夢のままにしたい」のだそうです。

 正直、ちょっと何言ってるのかわからないんですが、基本ニコニコだった岩ちゃんが真剣な表情で語る姿は、いかにも最終回っぽいです。

 その後、送別会が開かれますが、宇海はなかなか顔を出しません。これに、宇海がもう次の職場に旅立ってしまったと勘違いした従業員たちが、順繰りに宇海への感謝のスピーチを行います。みんな泣いてます。宇海もドア越しに泣いてます。そのスピーチの内容は特に展開があるわけではなく、単なるセリフによるダイジェストでしかないので、まったく面白くありませんし感動もしませんが、とにかく基本ニコニコだった岩ちゃんがポロポロと涙を流す姿は、いかにも最終回っぽいです。

 そして、ひとしきりスピーチを味わってから顔を出した宇海は、なぜここでワクワクできないと思ったかを、全員に告げます。

「私はホテルマンです。お客様が第一です。なのに私、みなさんのことが、お客様より、大好きになっちゃったんです」

 えーと、マジで何言ってるかわからない。ここで言うセリフが宇海という人物の総決算なのに、雰囲気しかない。要するに、面白くない。「なんか素敵」という印象しか残らない。

 でも、このドラマの「なんか素敵」なだけの感じは、そんなに嫌じゃなかったんですよねえ。

■良心的であろうとした姿勢がよかった

『崖っぷちホテル!』は、最初から最後まで上品で楽しく、良心的なドラマであろうとしていたと感じます。

 特に、第1話で明確に物語の目標を提示してから、インヴルサの従業員たちの意識改革が完遂する第6話までは、やりたいことができている感じがしました。岩ちゃんのためのアイドルドラマであるにもかかわらず、脇役たちに丁寧にエピソードを振りながら、少しずつホテルがよくなっていく。それにしたがって、従業員たちの宇海に対する評価も変化し、結果、宇海の好感度も上がっていく。とりわけディテールが優れているわけでも、展開にダイナミズムがあるわけでもないけど、安定して楽しめる作品になっていました。

 その反面、全員が一人前のホテルマンに成長してからの7~9話は蛇足感がありました。このドラマは「誰かが成長する」ことを感動の主軸に置いてきたので、立派な人しかいなくなったインヴルサにドラマは起こり得なくなっていたのです。最終回でみんなが語ったダイジェストが、すべて6話までに起こった出来事だったことからも、7~9話の空っぽさがよくわかります。

 最終回となった第10話は「岩ちゃんが泣く」というシーンを撮るためだけの作業みたいな脚本になっていましたが、そもそもの「アイドル岩ちゃん初主演ドラマ」という企画主旨を考えれば、許容範囲かなと感じました。

 好みを言ってしまえば、7~9話はそれまでのユルさから一歩進んで、大切な思い出の客室が不始末で燃えちゃったりとか、従業員の中でも信頼の厚かった人がやむにやまれぬ理由から悪事に手を染めていて悲しい別れが訪れたりとか、「みんなが一つになったと思ったのに!」みたいな、もうちょいシビアで刺激的なお話があってもよかったかなと思いますが、それはまあ、また別の話で。ニコニコだけど正装したら吐いちゃうという宇海くんが「ついにタキシードを着る」「マジでガチなお話をする」「泣いちゃう」というそれぞれの山場についても、もうちょい独自のエピソードを練って盛り上げられたんじゃないの? と思うけど、それもまあ、別の話ですね。

 ちなみに、宇海の転職先であるホテル・スイーブル、フランス語の「suivre」は、英語なら「To be continued」的な意味でしょうか。「宇海の夢は続いていく」と「続編に期待してね」のダブルミーニングで、なんか素敵なエンディングでした。続編があるならホラーがいいなあ。数年後、朽ち果てたインヴルサを訪れた宇海の目の前に、佐那ちゃんの○○が……! それを目の当たりにした宇海、なぜかニコニコ……! みたいな。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

映画評論家・町山智浩が“最前線の映画”を語る! 「淀川長治さんのような映画人生は難しい」後編

 映画評論家の町山智浩氏に新作洋画を語ってもらうインタビューの後編。町山氏の著書『「最前線の映画」を読む』(インターナショナル新書)の中でも白眉といえる遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』(16)にまつわるエピソード、ハリウッドの「♯Me Too」運動、さらには多忙を極める町山氏のこれからについても聞いてみた。

──『沈黙-サイレンス-』は若い司祭ロドリゴと棄教した元司祭フェレイラをめぐる歴史ドラマですが、360年前の2人の関係にスコセッシ監督とその師エリア・カザン監督の関係が投影されているという町山さんの指摘にはハッとさせられました。

町山 スコセッシは赤狩りの際にハリウッドで裏切り者扱いされたエリア・カザンの名誉を回復させようと、ずっと頑張ってきた人です。『沈黙』の脚本も、最初はエリア・カザンの息子に脚本を書かせようとしたんです。でも、残念なことにカザンの息子の書いた脚本はいいものには仕上がらなかった。

──よかれと思って、カザンの息子に仕事を振ったら、逆に大変なことに?

町山 結局、『沈黙』の脚本は別の人が書いて、スコセッシ自身がかなり手を加えることで完成したんですが、カザンの息子からスコセッシは訴えらえてしまいました。裁判にスコセッシは勝ったんですが、カザンのためを思ってやったことが逆の結果を招いてしまったというね。非常に残念なエピソードなんですが、そのことでスコセッシがカザンのことをずっと想っていたことが分かったんです。

──『沈黙』の主人公のように、スコセッシも葛藤を抱えていたわけですか。

町山 そういうことですね。もともと『沈黙』はクリスチャンだった遠藤周作が、イエズス会から破門されたままだったロドリゴの名誉を回復させようと小説にしたものでした。でも遠藤周作が書いた『沈黙』を当時のカトリック教会は認めず、禁書処分にしてしまった。逆効果になってしまったんです。それが今回、スコセッシが映画化し、ヴァチカンで上映され、ようやくロドリゴの名誉が360年ぶりに回復したわけです。僕も長崎で殉教者たちを悼む碑はいろいろと見たのですが、信仰を棄てて生き延びた人たちを慰めるものは何もなく、ずっと背教者のままなんです。だからスコセッシは歴史的に見ても、大変なことをやり遂げたんです。

──すごい! 宗教や法律が救えなかった人を映画が救ったんですね。

町山 日本もそうですが、米国も含め、世界はどの国もダメ人間には厳しいじゃないですか。映画だけですよ、ダメな人間に優しいのは。映画は多くのダメな人たちを救ってきた。だから、僕は映画が好きなんだと思うんです。僕は『ゴジラ』(54)が大好きで、もう何百回も観ていますが、何万人もの人を殺したであろう怪獣ゴジラに対して、志村喬だけはゴジラを殺すことに反対するんです。ゴジラを救おうとする志村喬の想いに加担できるのは、映画だけでしょう。これがTVドラマだと、すごく叩かれると思います。大量殺戮者であるゴジラに同情するなんて、とんでもないと。映画だけですよ、犯罪者に共感をこめて描くことが許されるのは。

──映画の主人公が品行方正な人間ばかりだったら、息が詰まります。我々の行き場所はどこにもなくなってしまう。

町山 そうですよ、どこにも逃げ場所がなくなってしまう。それでも最近は映画も叩かれるようになってきています。「ヤクザ映画なんて許せない」とか言い出す人がいる。『ラ・ラ・ランド』(16)の叩かれ方もひどかった。主人公の女の子エマ・ストーンはジャズ奏者のライアン・ゴズリングを捨てて、金持ちと結婚するんですが、「あの女はビッチだ!」と叩かれている。何を言ってんだよと(苦笑)。

──ビッチな女こそ、映画の中では輝きを放つのに!

町山 (笑)。最近はね、世間の道徳から外れていると、すぐにバッシングの対象になってしまう。困ったものですよ。

■大きく変わろうとしているハリウッド

──米国西海岸在住の町山さんに、最新のハリウッドの動向についてもお聞きできればと思います。「♯Me Too」運動で、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン、俳優のケヴィン・スペイシーらが告発されましたが、今後ハリウッドはどう変わると町山さんは見ていますか?

町山 ハリウッドはずっとセクハラ問題を隠蔽してきましたが、今後は無理です。日本ではあまり報道されていませんが、『ラッシュアワー』(98)などを監督したブレッド・ラトナーはセクハラで女優たちから訴えられ、永久追放になっています。『ユージュアル・サスペクツ』(95)の監督ブライアン・シンガーも恐らく、もう表には出てこられないでしょう。

──『X-MEN』シリーズはもう作られない?

町山 ブライアン・シンガーの手からは、完全に離れることになると思います。ディズニーのアニメ部門のトップであるジョン・ラセターでさえ、セクハラを治す研修を受けるという名目で半年間休業させられています。ラセターはワインスタインよりも大物です。ウディ・アレンも厳しいでしょう。グレタ・ガーウィックやティモシー・シャメラらが、「彼の作品に出たことを恥じている」と出演料を返したり、女性運動に寄付したりしています。ウディ・アレンの監督作は新作『A Rainy Day in NewYork』(18)が恐らく最後の作品になりそうです。

──ハリウッドは新しい時代への節目を迎えているようですね。

町山 リドリー・スコット監督を先日インタビューしたんですが、「芸術と人間性はまったく関係ないんだ」と話していました。昔からクズな人間がすごい芸術を生み出すことは多々あったと。でも、その作品に出ないことも、また自由なんだと。難しい問題です。もうひとつ、今回ハリウッドでいちばん問題になっているのは男女の賃金格差についてです。リドリー監督の『ゲティ家の身代金』(公開中)はミシェル・ウィリアムズ主演なんですが、脇役のマーク・ウォールバーグのほうが遥かに高いギャラをもらっていたため、このことが大問題になった。主演のミシェルのほうが拘束期間は長いし、物語の主人公なのに、ウォールバーグのほうが何百倍もの高額ギャラを受け取っているのはおかしいと。男優と女優とのギャラがあまりにも違いすぎ、その理由も明確に示されていないわけです。ウォールバーグは今回のギャラは「♯Me Too」運動に寄付せざるをえなくなった。これからは男優と女優のギャラの均等化が進んで、女性を主人公にした作品が多くなるでしょう。パティ・ジェンキンス監督の『ワンダーウーマン』(17)が大ヒットしたことで、それまでハリウッドではほぼ0%だった女性監督もかなり増えるはずです。ハリウッドが大きく変わることは間違いありません。

──最後の質問です。淀川長治さんのようなメジャーな映画伝道師の存在を求めている日本の映画ファンは少なくないと思います。町山さんは淀川さんの後継者になろうという考えはありますか?

町山 娘が大学に入ったので、これからは仕事をスローダウンしてもいいかなと思っているところなんですよ(笑)。スキューバダイビングもやりたいですし、ロシアやアフリカなど海外も回ってみたい。淀川さんは映画にすべてを捧げた人生を送った方。六本木のホテルで暮らし、テレビ朝日と映画試写室を回ってずっと映画を観続けるという生活。淀川さんのノートには、小さな字でびっしりと映画についてのメモが書かれていたそうです。淀川さんと同じような人生を歩むことは無理です。映画以外にも好きなことが多い僕は、そんな偉大な人にはなれません(笑)。

──ハリソン・フォードを取材した際、「君は映画を見過ぎだ」と町山さんは言われたと聞いていますが。

町山 いやいや、正確には「映画以外にもやるべきことがあるだろう」と言われたんです(笑)。人生は映画以外にもやるべきことがいっぱいあるんじゃないのかと。確かにハリソン・フォードは自家用飛行機を操縦して、人命救助などもしていますしね。映画スターのハリソン・フォードから、すごいこと言われちゃったなと(笑)。淀川さんにはなれませんが、面白い映画をいろいろと紹介していくつもりです。これから米国に戻って、また映画を観る生活を送ります。

(取材・文=長野辰次)

●町山智浩(まちやま・ともひろ)
1962年東京都生まれ。「宝島」「別冊宝島」などの編集を経て、95年に「映画秘宝」(洋泉社)を創刊。97年より米国に移住し、現在はカリフォルニア州バークレイ在住。「週刊文春」「月刊サイゾー」ほか連載多数。著書も『「最前線の映画」を読む』(インターナショナル新書)、『今のアメリカがわかる映画100本』(サイゾー社)ほか多数あり。

【特別番組】町山智浩スペシャルトーク「町山智浩が暴く『最前線の映画』の暗号」
6月下旬~7月中旬、BS10スターチャンネル「映画をもっと。」(毎日20時放送ほか)枠内、および7月1日(日)夕方5:40ほかインターバルにて無料放映。

【特集企画】町山智浩が暴く『最前線の映画』の暗号
7月3日(火)~16日(月)夜9時ほか、BS10スターチャンネルにて連日放送(全12作品)【※各映画の本編前と本編後に、町山氏による解説を合わせて放送します】

http://www.star-ch.jp/saizensen/

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