「漫画村」は消滅しても……海賊版「同人誌」サイトの勢いは止まらない!

 海賊版サイト「漫画村」が閉鎖されてから、早くも2カ月あまりが経過した。海賊版サイト最大手の消滅により、売上が回復したというマンガ家もいるようだが、いまだ多くの海賊版サイトは変わりなく延命している。

 海賊版サイト「漫画村」に関しては、広告を出稿していた代理店が次々と撤退するなど、もはや運営しても利益が出ない状況が生まれている。この間「漫画村」の後継を称するようなサイトも生まれてはいるが、活動自体は低調だ。

 しかし、相も変わらず活発な活動を続けている海賊版サイトがある。18禁同人誌を扱う海賊版サイトがそれだ。

 試しにGoogleで「エロ同人」と検索してみると、どうだろう。「エロ同人無料」「無料エロ同人誌」などという検索結果が次々と表示されるのだ。

 これらのサイトでは18禁同人誌が毎日、次々と公開されている。いくつものサイトが乱立しているところを見ると、元となるデータをお互いにパクリ合っているようにも見える。

 18禁同人誌を中心とした海賊版サイトの最大手であった「ドロップブック」は昨年消滅。その後継とされた「ダウンロードブックス」もすでにアクセスできなくなっている。それでも、海賊版同人誌サイトの勢いはとどまるところを知らない。

 これらのサイトは、一様に「画像の著作権は権利者様に帰属致します」「著作権等の侵害を目的とするものではありません」「掲載されたものに問題がある場合は権利者御本人様が直接ご連絡下さい」などと、あたかも不正なく運営を行っているかのような装いをしている。

 これは、二次創作同人誌を権利者が訴えていないだけで、著作権的にはアウトなものという点を巧みに利用しているといえる。また、オリジナル作品であっても、作者個人が山のようにある海賊版同人誌サイトに、ひとつずつ抗議するのは大変な作業だ。

 そうした手を出しにくい状況があるからこそ、海賊版同人誌サイトの勢いは止めようがない。正規の同人誌ダウンロード販売サイトで発売されたものが、すぐにコピーされて違法にアップロードされる事態も当たり前。この状況に、今のところ打開策はない。
(文=是枝了以)

「漫画村」は消滅しても……海賊版「同人誌」サイトの勢いは止まらない!

 海賊版サイト「漫画村」が閉鎖されてから、早くも2カ月あまりが経過した。海賊版サイト最大手の消滅により、売上が回復したというマンガ家もいるようだが、いまだ多くの海賊版サイトは変わりなく延命している。

 海賊版サイト「漫画村」に関しては、広告を出稿していた代理店が次々と撤退するなど、もはや運営しても利益が出ない状況が生まれている。この間「漫画村」の後継を称するようなサイトも生まれてはいるが、活動自体は低調だ。

 しかし、相も変わらず活発な活動を続けている海賊版サイトがある。18禁同人誌を扱う海賊版サイトがそれだ。

 試しにGoogleで「エロ同人」と検索してみると、どうだろう。「エロ同人無料」「無料エロ同人誌」などという検索結果が次々と表示されるのだ。

 これらのサイトでは18禁同人誌が毎日、次々と公開されている。いくつものサイトが乱立しているところを見ると、元となるデータをお互いにパクリ合っているようにも見える。

 18禁同人誌を中心とした海賊版サイトの最大手であった「ドロップブック」は昨年消滅。その後継とされた「ダウンロードブックス」もすでにアクセスできなくなっている。それでも、海賊版同人誌サイトの勢いはとどまるところを知らない。

 これらのサイトは、一様に「画像の著作権は権利者様に帰属致します」「著作権等の侵害を目的とするものではありません」「掲載されたものに問題がある場合は権利者御本人様が直接ご連絡下さい」などと、あたかも不正なく運営を行っているかのような装いをしている。

 これは、二次創作同人誌を権利者が訴えていないだけで、著作権的にはアウトなものという点を巧みに利用しているといえる。また、オリジナル作品であっても、作者個人が山のようにある海賊版同人誌サイトに、ひとつずつ抗議するのは大変な作業だ。

 そうした手を出しにくい状況があるからこそ、海賊版同人誌サイトの勢いは止めようがない。正規の同人誌ダウンロード販売サイトで発売されたものが、すぐにコピーされて違法にアップロードされる事態も当たり前。この状況に、今のところ打開策はない。
(文=是枝了以)

本で読み解くW杯! 巨大放映権料に電通、八百長…“サッカーとカネ”を暴く推薦図書はコレだ!

――急激な高騰の続くサッカー界の年俸や移籍金。イニエスタのヴィッセル神戸加入のビッグニュースでも、32億円と報じられた年俸に驚いた人も多いだろう。ビジネス的にも世界的なビッグイベントであるW杯も開催される今、日本人にも身近な話題となりつつある“サッカーとカネ”にまつわる書籍群を紹介する。

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日々激変するサッカービジネスに、日本のクラブチームは対応できるのだろうか?

 昨年パリ・サンジェルマンFCに加入したネイマールの移籍金は約290億円。ヴィッセル神戸に移籍したイニエスタの年俸は約32億円――。小さな国家のGDPを軽く上回る金額を目にすると、サッカーがビジネスとしても巨大な存在であることがわかるだろう。W杯で盛り上がる最中、本稿では、そんな“サッカーとカネ”の裏側を描いた書籍を見ていこう。

 まずは、巨大なサッカービジネスの象徴である、ヨーロッパのビッグクラブについての書籍から。スポーツとしてのサッカーにとどまらず、多様な切り口のサッカーの記事・論説を掲載している「フットボール批評」編集長の村山伸氏は、自身の編集した近刊『億万長者サッカークラブ』【1】をまず挙げてくれた。

「アブラモヴィッチ(2003年にイングランドのチェルシーを買収したロシア人実業家)をはじめとした、ビッグクラブのオーナーが一体何者で、なぜサッカークラブに投資を行っているのかを描いた書籍です。大富豪の道楽と思っている人も多いかと思いますが、アブラモヴィッチを扱った章では、プーチンをはじめとした政治家の名前も登場しますし、不可解な死を遂げる人物も出てきます。アブラモヴィッチのチェルシー買収には、自らの存在を世界に知らしめることで、自分の身の安全を確保する狙いもあったんです」(村山氏)

 同書によると、アブラモヴィッチと訴訟合戦を繰り広げたエリツィン派の実業家は、ロンドンで死体となって発見。彼の周辺人物にも多くの死者が出ているという。そのような事実は、サッカーファンでも知らない人が大半のはずだ。

「また中国クラブによる(海外選手の)爆買いにも、サッカーファンである習近平国家主席が大きく関係しています。一方でメジャー・リーグサッカーのアメリカ人オーナーは、純粋にビジネスとして、サッカーに投資をしている。このようにオーナーの国や地域によって、クラブ経営の狙いが違うことがわかるのも本書の魅力だと思います。またビッグクラブを扱った最近の書籍では、『THE REAL MADRID WAY』【2】もおもしろい本でした。クラブ公認の本でありながら、財政面でのさまざまなデータも公開しており、レアルが借金まみれだった時代のことも書かれています」(同)

 一方で、巨大な資本がなくてもクラブ経営は可能で、チームが勝利を重ねれば上のカテゴリーのリーグへとステップアップできる……というのもサッカーの醍醐味だろう。そんな側面を描いた書籍として、サッカーについても多く執筆するコラムニストの小田嶋隆氏は『サッカーおくのほそ道』【3】を推薦する。

「J3やJFLといった下位カテゴリーのクラブを追いかけて、クラブ経営の裏側も丹念に取材している宇都宮徹壱氏ならではの書籍です。選手が自ら営業に出向いてお金を集めている話や、JFLのクラブが47歳の中山雅史を現役復帰させた背景なども描かれています」

 同書は、あえてJリーグ入りを目指さないHonda FCのような実業団クラブについても取材を敢行。「街のクラブがプロ化を目指す際の葛藤なども、リアルに描かれていた」と小田嶋氏。

「ひとつの街にひとつのサッカークラブがあり、7部や8部までリーグがあるサッカーが盛んな国々の状況に、日本も近づきつつある……と実感できる内容です。本書では、選手が街に出てお金を集めたり、チケットを売ったりする姿も描かれていますが、その様子は川淵三郎Jリーグ初代チェアマンが思い描いたJリーグの理想に近いものだと思います」(同)

 そんなJリーグも2015・2016年には「2ステージ制+ポストシーズン」を導入。ヨーロッパの四大リーグ等では見られない仕組みで、年間勝ち点1位のチーム=優勝ではなくなることから、「世界基準からかけ離れている」と非難の声が多く上がった。その導入の背景を描いた書籍として、フリーライターの清義明氏は『Jリーグ再建計画』【4】を挙げる。

「編者は2010~14年にJリーグチェアマンを務めた大東和美氏と、14年からチェアマンを務める村井満氏。2002年のワールドカップ前後をピークに、観客動員もメディア露出も下降線をたどっている中で、Jリーグが生き延びるための戦略を彼らが示しています」

 同書では2ステージ制+ポストシーズンについて「ベストな選択ではないのだが」と、Jリーグ側の素直な声も明かされている。一方で「野球のマネだ」と批判されがちだった同制度の導入について、「その批判は間違っている」と、清氏は続ける。

『サッカーで燃える国 野球で儲ける国』【5】に詳しく書かれていますが、ヨーロッパのサッカーとアメリカの野球は、互いにビジネスのアイデアを取り入れてきた歴史があります。そして過去へとさかのぼれば、サッカーの世界ではもともとカップ戦(トーナメント戦)しか行われておらず、リーグ戦の仕組みは野球から取り入れたものなんです」(同)

 野球におけるリーグ戦は、「年間にわたってコンスタントに試合を行うことで、スポーツをビジネスとして成り立たせる」という狙いのもと始まったものだそうだ。

「トーナメント戦の場合は、高校野球のように1回戦で負けたらもう試合は終わりですから、ビジネスにはしにくいですよね。それがリーグ戦になれば、一定の観客収入も確保できる。『年間にこれだけ試合を行います』という宣言をすることで、スポンサーも獲得しやすくなるわけです」(同)

 野球との比較で見えてくるものは多く、小田嶋氏も『高校野球の経済学』【6】という本を推薦してくれた。

「高校野球の強豪校は、部員以外からも部費の予算を取っており、それを元手にトレーニング施設などを整備しています。そして甲子園出場となれば、地元からも寄付が集まるんです。プロサッカーとは全然違いますが、おもしろい仕組みですよね」(小田嶋氏)

 なお近年は、野球のほうがJリーグの地域密着戦略を取り入れる……という逆転現象も起こっている。

「野球離れが深刻化する中で、仮想敵であったサッカーの組織体系やビジネスモデルを野球側が強く意識していることは『野球崩壊』【7】に描かれています。またプロ野球は、テレビ放映を前提とした広域マーケティングに偏りがちなビジネスも見直してきていますが、それもJリーグの影響でしょう」(前出・清氏)

巨額な放映権を支えるアジアの視聴者

 近年のJリーグとお金にまつわるトピックといえば、DAZNなどを運営するイギリスの動画配信大手パフォームグループと、10年間で総額2000億円という巨額の放映権契約を結んだことが挙げられる。

「その契約の背景を読み解くには、サッカーの本ではありませんが『デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか』【8】が参考になります。この本では、これまで国内で閉じていた市場が、デジタル化で世界に開かれることにより、どのような変化が起こるのかが描かれています。DAZNは放送局ではなく通信事業者のNTTドコモと組んでビジネスを行っていますし、放映権ビジネスの形はすでに変わってきています。今後はAmazonのような企業がこの分野に参入する可能性も考えられます」(前出・小田嶋氏)

 パフォームグループは、ブックメーカー(賭け屋)へのデータ提供も主要事業として行っている。そこで起こるのが八百長の問題で、『あなたの見ている多くの試合に台本が存在する』【9】では、その実態が描かれている。

「八百長がなぜ起きるのか、どのように行われるのか、誰がどの程度の利益を得るのか……といった背景が、豊富なデータを交えて解説されています。八百長とは縁がない印象のJリーグですが、海外のブックメーカーの賭けの対象になった試合で、オッズに異常な数値が出たときは、調査が入ることもあるようです」(前出・村山氏)

 放映権ビジネスも、ブックメーカーのビジネスも、グローバル化が進行しているわけだ。先に紹介した『Jリーグ再建計画』でも、Jリーグがアジアを意識したさまざまな戦略を用意していることが描かれている。

「Jリーグも日本のほかの産業と同じで、少子高齢化が避けられない国内市場だけでは先細りが続くことは目に見えている。そこでまず目を向けた先がアジアなわけです。東南アジアにJリーグを売り込むために、タイやベトナムの選手を獲得する試みは以前から行われてきましたが、最近はそれが花開きつつあります。サンフレッチェ広島のティーラシンや北海道コンサドーレ札幌のチャナティップ(共にタイ代表)など、チームの主力として活躍する選手も出てきました」(前出・清氏)

 そのアジア市場については、日本より先にヨーロッパが開拓をしてきた過去がある。

「ヨーロッパのビッグクラブの予算は、巨額な放映権料によって支えられていますが、その7割ほどはアジアからの収入です」(同)

 ヨーロッパのサッカーは、その巨大な放映権料や、外国人オーナーの資産も取り入れ、みるみる巨大化。それを原資に莫大な移籍金、巨額の年俸を用意することで世界中のトップ選手をかき集め、魅力的なリーグを作っていった。Jリーグも同じ道を進もうと努力しているわけだが、ひとつネックになることがある。それはJリーグが、海外資本によるクラブ経営を規制していることだ。

「その規制を突破したのが、UAE国営の会社がオーナーであるシティ・フットボール・グループ(マンチェスター・シティなどを所有)の傘下に入った横浜F・マリノスでした。そもそもスポーツビジネスで極端な外資規制をしているJリーグはもはや時代遅れです」(同)

 シティ・フットボール・グループは、横浜F・マリノスの主要株主だった日産とパートナー契約を締結。日本法人「シティ・フットボール・ジャパン」を設立し、同社がクラブ運営に参画する形を取ることで、Jリーグの外資規制を突破した。今後はほかのクラブでも同じような事例が増える可能性もありそうだ。

「そうやって怪しい金持ちが投資をできる脇の甘さがあるほうが、プロスポーツは栄えるんでしょうね。例えば日本のプロ野球についても、オーナー企業が球団のために使ったお金は宣伝費扱いにできる……という税制上の特例措置があることが、その発展を支えてきた面があります。プロ野球のオーナー企業にとって、保有する球団は、言い方は悪いですが、マネーロンダリングの装置でもあるんです」(前出・小田嶋氏)

 そして現在開催中のワールドカップにも、やはり巨大なお金が絡むビジネスとしての側面がある。そこに深く切り込んだのが『電通とFIFA』【10】だ。

「もともとヨーロッパの貴族や南米の業界人たちの裏金で動く組織だったFIFAに、70年代から電通が関わってきた歴史を描き、FIFA腐敗の全体像を電通の視点から捉え直そうとする労作です。出色なのは、後に巨額の不正経理事件で背任に問われたバブル紳士・高橋治則の実兄で、元電通専務の高橋治之氏の証言まで収録していること。彼が電通の一社員でありながら、何百億というお金を右に左に動かすような仕事をしてきたことも描かれており、読み物としても非常にスリリングな内容です」(同)

 そのワールドカップは2026年大会から出場国が32カ国→48カ国へと増加することが決定済み。2022年大会の出場国も増加の検討がされているが、背景にあるのはやはり巨額な放映権だ。

「上流階級のクラブ文化から始まったサッカーには、『選手は無給でも構わない』と考える潔癖な倫理主義の考えがあり、それがJリーグの地域密着構想などにもつながっています。その理想はヨーロッパのサッカーにもワールドカップにも残っていますが、ビジネスとしてのサッカーは日々激動している。その変化に対応できた国や組織だけが、サッカーをトップレベルのエンターテイメントとすることができるわけです」(前出・清氏)

 綺麗事や理想だけでは、ビジネスとしてのサッカーは成り立たない……というわけだ。

「それは選手の移籍についてもいえることです。一昔前のJリーグでは、タダ同然でヨーロッパのクラブに選手を引き抜かれることも多く、移籍をビジネスとして成り立たせることができていませんでした。その点については、スポーツライターの小澤一郎さんが『サッカー選手の正しい売り方』【11】で早くから問題提起をしていました」(前出・村山氏)

 理想を大事にしつつも、ビジネスはビジネスとして認識することが、サッカーに関わる組織には求められているわけだが、それは日本代表にもいえることだ。日本代表の強化試合は、スポンサーが特別協賛する大会の開催や、観客収入確保の目的で国内で行われることが多い。「本当に日本代表を強くしたいなら海外遠征を増やすべきだ」という意見はたびたび出ているが……。

「代表戦の収益は地域のサッカー協会の活動費にも充てられます。日本のサッカーを支えている地域のサッカー組織は本当にお金がなく、自分たちの持ち出しで活動をしているケースも多いんです。代表の強化を優先し、国内での試合を減らしてしまえば、そうやって地域に回るお金も減るわけですから、理想とビジネスの両輪をバランスを取って回していくことがやはり大切でしょう」(前出・清氏)

 サッカーファンというのは、ともすると熱い理想論に傾きがち。その熱い理想が、結果的に自国のサッカーの発展を阻害することになっているとしたら、それはあまりに不幸なことだ。サッカーを愛し、その発展を切に願うのであれば、やはりサッカーにもビジネスとしての側面がある……ということは認識しておくべきだろう。

(取材・文/古澤誠一郎)

book REVIEW

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【1】『億万長者サッカークラブ』
ジェームズ・モンタギュー/カンゼン/2018年
移籍金の高騰などを引き起こし、サッカー界を大きく変えた金満オーナーたちの正体に迫る1冊。


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【2】『THE REAL MADRID WAY』
スティーヴン・G・マンディス/東邦出版/2018年
過去15年間で、破産寸前の危機的状況から、トップクラブへと上り詰めたチームの成功哲学を描く。


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【3】『サッカーおくのほそ道』
宇都宮徹壱/カンゼン/2016年
Jを夢見るアマチュアクラブから、地域に密着した企業チームまで全国津々浦々のクラブを取材。百年構想の真実を描く渾身のルポルタージュで、写真家である著者による美麗なカラー写真も掲載する。


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【4】『Jリーグ再建計画』
大東和美、村井満/日本経済新聞出版社/2014年
編者は大東和美前チェアマン、村井満現チェアマンの2人。過去の歴史を洗い出しつつ、Jリーグが危機に直面している現状を明かし、未来を考察しながら日本サッカーの成長ビジョンを描く。


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【5】『サッカーで燃える国 野球で儲ける国』
ステファン・シマンスキー、アンドリュー・ジンバリスト/ダイヤモンド社/2006年
経済学者の著者がサッカー、野球という2つのスポーツの起源、発展、軌跡を振り返り、文化的・経済的に分析を試みる。


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【6】『高校野球の経済学』
中島隆信/東洋経済新報社/2016年
高校生が野球部に入ると年間いくらの費用が必要か。甲子園の外野席が無料なのはなぜなのか……。高校スポーツのひとつに過ぎない高校野球が100年も続いてきた背景を、経済学的思考法を用いて体系的に解読。


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【7】『野球崩壊』
広尾晃/イースト・プレス/2016年
プロ野球の観客動員増の裏で、競技人口の減少が止まらない。「子どもの好きなスポーツ」でも3位に下落した野球の再建への提言を、各界の識者や川淵三郎日本サッカー協会最高顧問らが語る。


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【8】『デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか』
ライアン・エイヴェント/東洋経済新報社/2017年
デジタル革命による自動化、グローバリゼーション、スキルの高い少数の人間による生産性向上から働き方、政治、社会構造を見通す意欲作。


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【9】『あなたの見ている多くの試合に台本が存在する』
デクラン・ヒル/カンゼン/2014年
W杯、オリンピック、セリエA、プレミア、ブンデスリーガ……。世界のサッカーで行われている八百長を、組織犯罪や国際問題を中心に調査報道を行うジャーナリストが明らかにする。


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【10】『電通とFIFA』
田崎健太/光文社新書/2016年
70年代半ばまでヨーロッパ中心だったサッカー界を大きく成長、そして腐敗させたFIFAのドンたち。その過程には電通も関わっていた……。巨大化するサッカーとカネの関係にメスを入れるノンフィクション。


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【11】『サッカー選手の正しい売り方』
小澤一郎/カンゼン/2012年
実に半数以上の日本人選手がゼロ円移籍で欧州のクラブに獲られていた2012年以前。欧州の移籍事情のスタンダードを解説しつつ、Jクラブが移籍ビジネスの勝者となる「戦略」と「交渉術」を解き明かした1冊。

松岡茉優と指原莉乃、熱狂的なモーニング娘。ファン同士だから起きた緊張感溢れる対面

 本日(6月17日)23時10分より放送される『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)は、「ハロー!プロジェクト20周年~なぜ長く愛されるの? 歴史と変化に迫る~」と題してハロー!プロジェクトを特集。そのトークコーナーに大森靖子、ヒャダインといったハロプロ好きを公言するミュージシャンと並んで出演するのが、女優の松岡茉優である。

 松岡茉優は熱狂的なモーニング娘。ファンとしても知られており、様々なメディアでモーニング娘。について語るたびに「オタク特有の早口」になる姿はおなじみだ。その縁で、フェイクドキュメンタリードラマ『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』(テレビ東京)の企画として、ハロー!プロジェクトのコンサートでモーニング娘。’16(当時)の一員に加わり、ステージでの共演を果たしたこともある。

 『関ジャム 完全燃SHOW』でどんな話が繰り出されるのか楽しみだが、つい先日、そんな松岡茉優と、同じく熱狂的なハロプロファンとして知られる指原莉乃の緊張感溢れるハロプロトークが話題となっていた。

 それはフジテレビで放送されたリリー・フランキーと指原莉乃の番組『真夜中』(6月3日深夜および同月10日深夜放送分)でのこと。この回では、映画『万引き家族』でリリーと共演した松岡茉優と安藤サクラがゲスト出演したのだが、同じ趣味を共有し合う者同士ノリノリかと思いきや、むしろその逆。リリーと指原だけで話すオープニングトークで指原は<モー娘。の話、ナシにしましょう今日>と話す。その思いは松岡も同じだったようで、松岡も<なるべく指原さんとはモー娘。の話をしたくない>と話していたと、リリーは明かす。

 そして、遂に二人は対面するのだが、初対面ではないのにも関わらず、お互いがお互いを牽制し合う緊張感漂う空気に。お互いモーニング娘。を好きになった時期や思い入れのある時期が違うこともあり(指原は5期、6期からで、松岡は9期から)、ファンとしての「流派」やスタンスの違いが読めないことから、その緊張感が生まれていたらしい。松岡はここでも<ナーバス感は私も漂っています>と微妙な心情を漏らす。

 オタク特有の面倒臭さが爆発し、テレビの画面ごしでも緊張感が伝わってくる放送となっていたのだが、リリーのお膳立てのもと対面して語るうちに、だんだんと緊張した空気はほどけていく。そして、松岡がモーニング娘。ファンになるきっかけとなった9期生の鞘師里保(2015年卒業)の話をしだした途端、二人の間にあった壁は一気に決壊するのだった。

 松岡が<私は一生鞘師単推し、単推しは鞘師って決めてるし、彼女と同じ時代に生まれてきてよかったって思うから><私が1995年に生まれたのはあの子の歌声を生で聴くため>と頭のネジが少し外れたことを言い出すも、指原はそこにツッコみを入れるどころか<本当にすごいですよね。私もマジで彼女に対してはそう思います>と完全同意。

 とはいえ、鞘師はもうモーニング娘。から卒業してしまっている。そこで、指原が松岡に現在のモーニング娘。で気になっているメンバーを聞くと、松岡は若干恥ずかしそうに<ライブ行って目で追っちゃうのは、まーちゃん(佐藤優樹)なんですよ>と告白。

 佐藤優樹は指原のお気に入りメンバーでもあり、その言葉を聞くやいなや指原は<きゃー、やっぱりそうですよね!>と絶叫。二人はますます早口になり、同席するリリーと安藤サクラを置いてけぼりにしながら、身を乗り出して語りだす。

 そして、これからのモーニング娘。の展望について、松岡が<14期に森戸(知沙希)が入って、『揃ったな』と思って。これからはモーニング(のメンバー)それぞれのスキルやパフォーマンスが上がっていって、鞘師一強の時代じゃなくて、モーニングひとりひとりのメンバーの個性が輝き始めていて、いま現状(他には)ないアイドル像になるはずだと思うんですよ>と熱く分析すると、指原はおしぼりで机を叩き目を見開きながら<メッッッッチャメチャわかります、マジで>と同意するのだった。

 最初の空気とのあまりの違いに、リリーは思わず<今日、モー娘。の話しないって言ってたのに、すげえ喋るじゃん>とツッコミを入れながらも、<よかった、よかった、仲良くなれてねぇ>と、まるで父親のような優しい声色で安堵の気持ちをつぶやく。

 最終的には、二人でLINEのIDを交換。『万引き家族』の宣伝のための出演だったのにも関わらず、映画の話はあまり出ずに番組は終わった。指原は<すいません。番宣なのに、結局こんな感じで>と謝るも、松岡は嬉しそうに<お友だちのできた日になった>と応じ、リリーも<それが一番ですよ>と番組を締めた。

 今回の『関ジャム 完全燃SHOW』に指原の出演はないが、また近いうちに、友だちとなった松岡指原コンビでの話を聞いてみたいものだ。

(倉野尾 実)

サルより反省できない!? 「日光さる軍団」の“泥沼”未払い訴訟が、ようやく和解も……

 猿回しで人気の「日光さる軍団」が、演出家から起こされていた報酬の未払い訴訟で「和解」していたことがわかった。

 東京地裁が昨年末に認めた和解決着では、被告となった軍団運営の株式会社おさるランドが、原告の演出家に対し、230万円の支払い義務があることを認めたもの。今年12月までに分割で200万円を支払った場合は、残り30万円の債務が免除される。

 日光さる軍団はかつて閉鎖された類似のテーマパークに代わって2015年4月、栃木県日光市に「日光さる軍団劇場」を新たにオープン。その際、この演出家に音響や大道具、ビデオ制作など多数のコーディネートを総括的に依頼したが、過去にもあった未払い分160万円を含む、約500万円の報酬を約束していた。しかし、それが支払われずに訴訟が提訴されていたものだった。

 軍団は他にも過去、似たような訴訟を起こされており、デザイナーの男性が約300万円の支払いがないとして、自身がデザインしたロゴやポスターなどの使用を差し止める仮処分の申し立てをしたこともあった。

「支払いがなくてデザイナーがお金に困っているのに、軍団の村崎太郎が夫婦でハワイ旅行に行っていたらしく、なお周囲を怒らせていた。結局、デザイナーが起こした訴訟では軍団側が一部の支払いをすることで和解したようでした」と事情を知る関係者。

 今回訴訟を起こした演出家は数々の映画や舞台のほか、高島忠夫のディナーショーや、市川猿之助の歌舞伎イベント、水野真紀や斉藤慶子が主演のサスペンスドラマなどを手掛けてきたベテランで、村崎氏とは1990年代に仕事をした際の未払いがあったため、それを清算する約束で仕事を引き受けたと主張。2015年、その報酬を決める席で、「率直に言います。成功報酬300(万円)ぐらいで考えています」と言い、未払い160万円についても「ちゃんとお払いしましょう、早めにね」と発言していたことが録音テープで提出された。しかし、その約束が守られず、軍団側は「過去の未払金について別会社の取引」とも反論していた。

 軍団の事業は過去、太郎倶楽部や次郎おさるランド、村崎興業などの会社が続々と作られて引き継がれており、確かに会社は変わっているのだが、演出家はこれらを村崎氏による同一の支払元と主張して法廷で争われた。

「驚いたのは、その法廷で、村崎さんが『2,000万円もの成功報酬を支払わないとマスコミに言うぞと脅された』なんて反論していたこと」と関係者。そんな事実があるなら、恐喝事件に発展しそうだが、軍団側は昨春、「過去160万円分の未払いを諦めるなら、80万円を支払う」という和解案を提示していたという。

「160万円の未払いを返済するというから受けた仕事なのに、その160万円より安い金額での和解案ですから、さすがに演出家は怒って突っぱねたんです」(同)

 さらに法廷では過去、劇場の支配人を務めたことがある村崎氏の兄が、弟ではなく原告側の主張に沿った陳述書を出す一幕もあった。結局、200万円の支払いをする和解で決着したが、子どもたちが大好きな猿回しエンターテインメントに似合わない紛争だった。

 関係者は「猿だって反省ポーズをするんですから、二度とこうしたトラブルを起こさないで運営していってもらいたい」と話している。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

サルより反省できない!? 「日光さる軍団」の“泥沼”未払い訴訟が、ようやく和解も……

 猿回しで人気の「日光さる軍団」が、演出家から起こされていた報酬の未払い訴訟で「和解」していたことがわかった。

 東京地裁が昨年末に認めた和解決着では、被告となった軍団運営の株式会社おさるランドが、原告の演出家に対し、230万円の支払い義務があることを認めたもの。今年12月までに分割で200万円を支払った場合は、残り30万円の債務が免除される。

 日光さる軍団はかつて閉鎖された類似のテーマパークに代わって2015年4月、栃木県日光市に「日光さる軍団劇場」を新たにオープン。その際、この演出家に音響や大道具、ビデオ制作など多数のコーディネートを総括的に依頼したが、過去にもあった未払い分160万円を含む、約500万円の報酬を約束していた。しかし、それが支払われずに訴訟が提訴されていたものだった。

 軍団は他にも過去、似たような訴訟を起こされており、デザイナーの男性が約300万円の支払いがないとして、自身がデザインしたロゴやポスターなどの使用を差し止める仮処分の申し立てをしたこともあった。

「支払いがなくてデザイナーがお金に困っているのに、軍団の村崎太郎が夫婦でハワイ旅行に行っていたらしく、なお周囲を怒らせていた。結局、デザイナーが起こした訴訟では軍団側が一部の支払いをすることで和解したようでした」と事情を知る関係者。

 今回訴訟を起こした演出家は数々の映画や舞台のほか、高島忠夫のディナーショーや、市川猿之助の歌舞伎イベント、水野真紀や斉藤慶子が主演のサスペンスドラマなどを手掛けてきたベテランで、村崎氏とは1990年代に仕事をした際の未払いがあったため、それを清算する約束で仕事を引き受けたと主張。2015年、その報酬を決める席で、「率直に言います。成功報酬300(万円)ぐらいで考えています」と言い、未払い160万円についても「ちゃんとお払いしましょう、早めにね」と発言していたことが録音テープで提出された。しかし、その約束が守られず、軍団側は「過去の未払金について別会社の取引」とも反論していた。

 軍団の事業は過去、太郎倶楽部や次郎おさるランド、村崎興業などの会社が続々と作られて引き継がれており、確かに会社は変わっているのだが、演出家はこれらを村崎氏による同一の支払元と主張して法廷で争われた。

「驚いたのは、その法廷で、村崎さんが『2,000万円もの成功報酬を支払わないとマスコミに言うぞと脅された』なんて反論していたこと」と関係者。そんな事実があるなら、恐喝事件に発展しそうだが、軍団側は昨春、「過去160万円分の未払いを諦めるなら、80万円を支払う」という和解案を提示していたという。

「160万円の未払いを返済するというから受けた仕事なのに、その160万円より安い金額での和解案ですから、さすがに演出家は怒って突っぱねたんです」(同)

 さらに法廷では過去、劇場の支配人を務めたことがある村崎氏の兄が、弟ではなく原告側の主張に沿った陳述書を出す一幕もあった。結局、200万円の支払いをする和解で決着したが、子どもたちが大好きな猿回しエンターテインメントに似合わない紛争だった。

 関係者は「猿だって反省ポーズをするんですから、二度とこうしたトラブルを起こさないで運営していってもらいたい」と話している。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

切迫する生活と死の気配が官能的な空気を作る、異色の恋愛小説『じっと手を見る』

■『じっと手を見る』(窪美澄、幻冬舎)

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 6月の雨の中、樹海近くの町の古びた一軒家でのひそやかな情事から始まる小説『じっと手を見る』(幻冬舎)。富士山を望む小さな町で、介護士として忙しく働く日奈を中心に、4人の男女の視点で、それぞれの恋や執着が巡る連作短編集だ。恋愛小説では避けられてしまうことの多い、老いや生活感が恋愛と深く絡まり合い、色濃く、官能的に仕上げられている。

 幼いころに両親を亡くし、学生時代に唯一の肉親だった祖父も失った日奈は、老朽化した家に一人で暮らし、「年寄り相手に大変な仕事して、休みになったらモール行って、ユニクロとか無印で服買って、なんたらフラペチーノとかばっかり飲んで」いる生活を淡々と続けている。元恋人で、なにかと世話を焼きに来る介護士仲間の海斗を横目に、職場で取材を受けたことをきっかけに知り合った、東京に住む「宮澤さん」と初めて恋に落ち、町を飛び出す――。

 日奈や海斗が住む小さな町にあるのは、さびれた商店街に、人がにぎやかに行き交う大型ショッピングモール。体もメンタルも削られる重労働を誠実にこなして、贅沢は望めないが、不自由なく生きていくことができる。それは、地方や郊外にありふれた光景だろう。

 「親父たちはまだ夢見られたよな、ぎりぎり。俺たちには、それすら許されない。失敗したら絶対に浮き上がれない」と語る海斗と、東京・港区の裕福な家庭に生まれ、似たような育ちの妻を持ち、何回でも失敗できる“余裕”を持っている宮澤は対照的な存在だ。人生の全てが丁重にお膳立てされ、生きている実感がぼんやりとしている宮澤は、若くて可愛いのにきつい仕事を選んで、黙々と地味な生活を続けられる日奈に、否応なく惹かれていく。しかし、彼が惹かれた日奈の生命力は、唯一の肉親を亡くしてさえも立ち止まることを許されない、穏やかだが切迫する生活の裏返しにある力でもある。それは、幸か不幸か、おそらく宮澤には一生得ることのできないものだ。

 一方で海斗は、日奈への思いを引きずったまま、やたら自分に絡んでくる胸の大きな同僚・畑中と体を重ね、関係を深めていく。介護する老人に平然と胸を触らせ、口の悪い物言いで職場の女性陣から嫌われがちな畑中だが、彼女主観の短編(「水曜の夜のサバラン」)を経たあとでは、彼女の寂しい生い立ちや、老いて弱っていく人々に冷たくできない不器用な一面が浮き彫りになってくる。

 どんな登場人物も、一つの身体の中に愚かなところと美しいところを抱えながら生きている。そして、どんな生き方をしていても、いずれは必ず死という1点で結ばれる。そんな当たり前だが厳しい世界観を自然に漂わせている本作だが、同時に恋愛が上手くいかない人、間違ってしまった人も柔らかく許容している。ふだん恋愛小説を苦手だと感じている人にも薦めたい一冊だ。

■『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック 女子刑務所での13ヵ月』(パイパー・カーマン、駒草出版)

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 オンラインストリーミングサービス「Netflix」の人気ドラマシリーズ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の原作である本書は、アメリカの裕福な家庭で育ち、名門女子大を卒業した女性・バイパー が、若い頃同性の恋人に頼まれて犯してしまった麻薬取引の罪で逮捕され、刑務所で過ごした体験を回想して大ヒットしたノンフィクション・エッセイだ。犯罪に手を染めた経緯から、10年後に起訴され、裁判・刑務所入ってから出所するまでの濃厚な日々を、真摯に、かつユーモアたっぷりに振り返っている。

 彼女が最も長く過ごした刑務所・ダンブリーは、基本的に軽犯罪を犯した女性が集められる施設だ。そのため警備は非常に緩く 、食堂での調理や施設の設備修理、刑務所を出入りする囚人の送迎(!)まで、囚人たち自身によって行われている。弁護士から「周りを信用するな」と言われ、当初は右も左もわからないまま、注意深く他人と距離を取っていたバイパーだが、自主的に囚人たちが整えた新人受け入れ態勢の下で優しく受け入れられ、次第に信頼できる人物を探し当て、これまで触れ合ってこなかったようなタイプの囚人とも深い人間関係を紡ぐようになる。

 一言で囚人といっても、そのバックグラウンドはさまざまだ。キッチンでおいしいパンを焼き、夜は静かに読書をするジャマイカ出身のナタリー、多くの女性の尊敬を集めるシスター、囚人を集めて定期的にヨガクラスを開くジャネット、男性から女性に性転換したトランスジェンダーの美女ヴァネッサ、そして、バイパーが逮捕されるきっかけを作った元恋人のノラ……まるで映画やドラマを見るように、個性的な女性たちが次々に登場する。

 本作は、不当な嫌がらせをしてくる看守、恒常的にウジのわいている不衛生なシャワールーム、現実には役に立たない社会復帰プログラムなど、刑務所生活の実態や問題点を浮き彫りにする実録ルポであり、自身の犯した罪と向き合う内省的なエッセイである。しかし一方で、誰かが誕生日を迎えればにぎやかに祝い、出所するときには手作りのカギ編みベストをプレゼントし惜しみながら別れ、土曜の夜にはキッチンでおいしいカレーやハンバーガーを作ってもらったりする、微笑ましい回想記でもある。

 女子校の寮生活を描いたかのようなエピソードを通して、バイパーは、全囚人がどうしようもない悪党というわけではなく、生まれ育った家庭環境などから犯罪を選択せざるを得なかっただけの不幸な女性が大勢いることを自然と伝えてくる。生まれたときから公平ではない世界を、どうとらえていくべきなのか、考えさせられるエッセイだ。

■『ババア★レッスン』(安彦麻理絵、光文社)

bbalesson

 『ババア★レッスン』は、そのインパクト大のタイトルの通り、48歳になる著者が「いいババア」になるための道筋を探り、目標となる先輩ババア像を模索する、ポジティブでパワフルな加齢にまつわるエッセイだ。「ババア」という言葉は、侮蔑語として使う場合があるため、言葉だけで不快感や抵抗を覚える人もいるかもしれないが、そんな人にこそ読んでほしい本でもある。

 ここで使われる“ババア”は揶揄ではない。著者は「ババア」という言葉に面白さや人間味を含めた、ポジティブな意味合いを込め、少しでも浸透することを狙っている。「40過ぎたらみなババア」というざっくりした定義の下、ババアの恋とセックス、ババアの趣味、ババアのダイエット、海外のババア事情などについてつづり、さらにはババア観を広げてくれる映画、本、海外のコメディ番組まで紹介する。

 「どんなふうに年を取りたいか」と問われた時の女性の回答の定番は、著者が言うように「縁側でひなたぼっこをしてる、可愛いおばあちゃん」だろう。さらに著者自身も憧れていたという「宇野千代」さんも定番の1人と言える。そんな定番以外のロールモデルを求める著者が「81歳の現役DJ」スミロック氏を材した章は、異様な熱気がこもっている。深夜1時にクラブイベントに参加する彼女のパワフルな活躍と言動に触れれば、 “わけのわからない”活力が湧いてくるだろう。

 加齢と気持ちの折り合いがつかない中年以降の女性はもちろん、まだ10~20代なのに、つい「ババア」を自称してしまう、年齢の鎖にガチガチに縛られた女性たちにも読んでみてほしいエッセイだ。
(保田夏子)

切迫する生活と死の気配が官能的な空気を作る、異色の恋愛小説『じっと手を見る』

■『じっと手を見る』(窪美澄、幻冬舎)

jittotewomiru

 6月の雨の中、樹海近くの町の古びた一軒家でのひそやかな情事から始まる小説『じっと手を見る』(幻冬舎)。富士山を望む小さな町で、介護士として忙しく働く日奈を中心に、4人の男女の視点で、それぞれの恋や執着が巡る連作短編集だ。恋愛小説では避けられてしまうことの多い、老いや生活感が恋愛と深く絡まり合い、色濃く、官能的に仕上げられている。

 幼いころに両親を亡くし、学生時代に唯一の肉親だった祖父も失った日奈は、老朽化した家に一人で暮らし、「年寄り相手に大変な仕事して、休みになったらモール行って、ユニクロとか無印で服買って、なんたらフラペチーノとかばっかり飲んで」いる生活を淡々と続けている。元恋人で、なにかと世話を焼きに来る介護士仲間の海斗を横目に、職場で取材を受けたことをきっかけに知り合った、東京に住む「宮澤さん」と初めて恋に落ち、町を飛び出す――。

 日奈や海斗が住む小さな町にあるのは、さびれた商店街に、人がにぎやかに行き交う大型ショッピングモール。体もメンタルも削られる重労働を誠実にこなして、贅沢は望めないが、不自由なく生きていくことができる。それは、地方や郊外にありふれた光景だろう。

 「親父たちはまだ夢見られたよな、ぎりぎり。俺たちには、それすら許されない。失敗したら絶対に浮き上がれない」と語る海斗と、東京・港区の裕福な家庭に生まれ、似たような育ちの妻を持ち、何回でも失敗できる“余裕”を持っている宮澤は対照的な存在だ。人生の全てが丁重にお膳立てされ、生きている実感がぼんやりとしている宮澤は、若くて可愛いのにきつい仕事を選んで、黙々と地味な生活を続けられる日奈に、否応なく惹かれていく。しかし、彼が惹かれた日奈の生命力は、唯一の肉親を亡くしてさえも立ち止まることを許されない、穏やかだが切迫する生活の裏返しにある力でもある。それは、幸か不幸か、おそらく宮澤には一生得ることのできないものだ。

 一方で海斗は、日奈への思いを引きずったまま、やたら自分に絡んでくる胸の大きな同僚・畑中と体を重ね、関係を深めていく。介護する老人に平然と胸を触らせ、口の悪い物言いで職場の女性陣から嫌われがちな畑中だが、彼女主観の短編(「水曜の夜のサバラン」)を経たあとでは、彼女の寂しい生い立ちや、老いて弱っていく人々に冷たくできない不器用な一面が浮き彫りになってくる。

 どんな登場人物も、一つの身体の中に愚かなところと美しいところを抱えながら生きている。そして、どんな生き方をしていても、いずれは必ず死という1点で結ばれる。そんな当たり前だが厳しい世界観を自然に漂わせている本作だが、同時に恋愛が上手くいかない人、間違ってしまった人も柔らかく許容している。ふだん恋愛小説を苦手だと感じている人にも薦めたい一冊だ。

■『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック 女子刑務所での13ヵ月』(パイパー・カーマン、駒草出版)

orangeisthenewblack

 オンラインストリーミングサービス「Netflix」の人気ドラマシリーズ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の原作である本書は、アメリカの裕福な家庭で育ち、名門女子大を卒業した女性・バイパー が、若い頃同性の恋人に頼まれて犯してしまった麻薬取引の罪で逮捕され、刑務所で過ごした体験を回想して大ヒットしたノンフィクション・エッセイだ。犯罪に手を染めた経緯から、10年後に起訴され、裁判・刑務所入ってから出所するまでの濃厚な日々を、真摯に、かつユーモアたっぷりに振り返っている。

 彼女が最も長く過ごした刑務所・ダンブリーは、基本的に軽犯罪を犯した女性が集められる施設だ。そのため警備は非常に緩く 、食堂での調理や施設の設備修理、刑務所を出入りする囚人の送迎(!)まで、囚人たち自身によって行われている。弁護士から「周りを信用するな」と言われ、当初は右も左もわからないまま、注意深く他人と距離を取っていたバイパーだが、自主的に囚人たちが整えた新人受け入れ態勢の下で優しく受け入れられ、次第に信頼できる人物を探し当て、これまで触れ合ってこなかったようなタイプの囚人とも深い人間関係を紡ぐようになる。

 一言で囚人といっても、そのバックグラウンドはさまざまだ。キッチンでおいしいパンを焼き、夜は静かに読書をするジャマイカ出身のナタリー、多くの女性の尊敬を集めるシスター、囚人を集めて定期的にヨガクラスを開くジャネット、男性から女性に性転換したトランスジェンダーの美女ヴァネッサ、そして、バイパーが逮捕されるきっかけを作った元恋人のノラ……まるで映画やドラマを見るように、個性的な女性たちが次々に登場する。

 本作は、不当な嫌がらせをしてくる看守、恒常的にウジのわいている不衛生なシャワールーム、現実には役に立たない社会復帰プログラムなど、刑務所生活の実態や問題点を浮き彫りにする実録ルポであり、自身の犯した罪と向き合う内省的なエッセイである。しかし一方で、誰かが誕生日を迎えればにぎやかに祝い、出所するときには手作りのカギ編みベストをプレゼントし惜しみながら別れ、土曜の夜にはキッチンでおいしいカレーやハンバーガーを作ってもらったりする、微笑ましい回想記でもある。

 女子校の寮生活を描いたかのようなエピソードを通して、バイパーは、全囚人がどうしようもない悪党というわけではなく、生まれ育った家庭環境などから犯罪を選択せざるを得なかっただけの不幸な女性が大勢いることを自然と伝えてくる。生まれたときから公平ではない世界を、どうとらえていくべきなのか、考えさせられるエッセイだ。

■『ババア★レッスン』(安彦麻理絵、光文社)

bbalesson

 『ババア★レッスン』は、そのインパクト大のタイトルの通り、48歳になる著者が「いいババア」になるための道筋を探り、目標となる先輩ババア像を模索する、ポジティブでパワフルな加齢にまつわるエッセイだ。「ババア」という言葉は、侮蔑語として使う場合があるため、言葉だけで不快感や抵抗を覚える人もいるかもしれないが、そんな人にこそ読んでほしい本でもある。

 ここで使われる“ババア”は揶揄ではない。著者は「ババア」という言葉に面白さや人間味を含めた、ポジティブな意味合いを込め、少しでも浸透することを狙っている。「40過ぎたらみなババア」というざっくりした定義の下、ババアの恋とセックス、ババアの趣味、ババアのダイエット、海外のババア事情などについてつづり、さらにはババア観を広げてくれる映画、本、海外のコメディ番組まで紹介する。

 「どんなふうに年を取りたいか」と問われた時の女性の回答の定番は、著者が言うように「縁側でひなたぼっこをしてる、可愛いおばあちゃん」だろう。さらに著者自身も憧れていたという「宇野千代」さんも定番の1人と言える。そんな定番以外のロールモデルを求める著者が「81歳の現役DJ」スミロック氏を材した章は、異様な熱気がこもっている。深夜1時にクラブイベントに参加する彼女のパワフルな活躍と言動に触れれば、 “わけのわからない”活力が湧いてくるだろう。

 加齢と気持ちの折り合いがつかない中年以降の女性はもちろん、まだ10~20代なのに、つい「ババア」を自称してしまう、年齢の鎖にガチガチに縛られた女性たちにも読んでみてほしいエッセイだ。
(保田夏子)

「いちいち大袈裟でギャグ」『ブラックペアン』内野聖陽の決め台詞に視聴者困惑

 6月17日夜10時から第9話が放送される、嵐・二宮和也主演の『ブラックペアン』(TBS系)。視聴率は初回13.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)、第2話12.4%、第3話12.1%、第4話13.1%、第5話13.4%、第6話13.0%、第7話13.0%、第8話16.6%と好調を維持している。

 同ドラマは、天才的な手技を持つが、出世に興味のない東城大学医学部付属病院の外科医・渡海征司郎(二宮)が主人公。嫉妬渦巻く大学病院という巨大な組織に真っ向から立ち向かい、最新医療機器の導入をめぐるさまざまな不正や目論見を暴いていく。

 第8話では、国産の手術支援ロボット・カエサルの治験が最終段階に入り、外科学会理事会でお披露目をすることに。すると、これまで治験の症例を集めてきた東城大を差し置いて、帝華大主導でお披露目の手術をしたいと言い出す西崎教授(市川猿之助)。そこで佐伯教授(内野聖陽)は、西崎が執刀医となることを条件に、東城大と帝華大の合同チームを誕生させた。

 東城大からは渡海、高階(小泉孝太郎)、世良(竹内涼真)の3名が参加する予定だったが、手術当日になって西崎教授がチームメンバーを変更し、帝華大の医者のみで行うことに。しかし、急遽組まれたチームのために連携がうまくとれず、患者を危機的な状況に陥れてしまう。渡海たちが手術をサポートしようと駆けつけると、そこへ佐伯教授が登場。結局、佐伯教授が自身の腕前で手術を成功させ、外科学会理事会での評価を上げたのだった。

「佐伯教授の活躍を見た東城大の医局員たちは大盛り上がりし、部下の黒崎(橋本さとし)はお披露目会の会場で、『これが東城大だ! これこそが東城大が誇る佐伯教授のオペです!』と歓喜の雄叫びを上げました。佐伯教授も手術の終わりに『これが私だ。ブラックペアンだ』とドヤ顔で言っていましたが、視聴者はポカーン状態に。『なんだこの内輪ノリ……』『謎の盛り上がり』『感動の押し売り感半端ない』『いちいち大袈裟でギャグになってる』『唐突なタイトル回収で失笑した』『ブラックペアンだ(ドヤ)じゃねえよ』といった声が上がっていました」(芸能ライター)

 第9話では、突如倒れてしまった佐伯教授の検査が行われ、心臓部に疾患があることが発覚。ところが、このオペを執刀できるのは、東城大では渡海しかいなかった。佐伯教授との確執がある渡海だが、「佐伯教授を助けたあとに“真の目的”を達成する」と世良に宣言し、手術を請け負うことに。

 一方、佐伯教授は渡海の執刀を拒み、カエサルでの手術を提案する。しかし、これまで蓄積されてきたカエサルのデータは西崎教授に持ち去られたため、黒崎たち東城大のスタッフたちは暗中模索の日々を送ることになってしまうのだった。 

「第9話の予告映像では手術室で黒崎が、『教授を助けて下さ~い!』と絶叫しているシーンが。ギャグのように大げさになっていく演出に、視聴者からは『黒崎先生がセカチュー(『世界の中心で、愛をさけぶ』)していて爆笑』『シリアスなのかふざけてるのかわからん』と戸惑う声が上がっています」(同)

 果たして佐伯教授はどうなってしまうのか。最終回は目が離せない。

 

「いちいち大袈裟でギャグ」『ブラックペアン』内野聖陽の決め台詞に視聴者困惑

 6月17日夜10時から第9話が放送される、嵐・二宮和也主演の『ブラックペアン』(TBS系)。視聴率は初回13.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)、第2話12.4%、第3話12.1%、第4話13.1%、第5話13.4%、第6話13.0%、第7話13.0%、第8話16.6%と好調を維持している。

 同ドラマは、天才的な手技を持つが、出世に興味のない東城大学医学部付属病院の外科医・渡海征司郎(二宮)が主人公。嫉妬渦巻く大学病院という巨大な組織に真っ向から立ち向かい、最新医療機器の導入をめぐるさまざまな不正や目論見を暴いていく。

 第8話では、国産の手術支援ロボット・カエサルの治験が最終段階に入り、外科学会理事会でお披露目をすることに。すると、これまで治験の症例を集めてきた東城大を差し置いて、帝華大主導でお披露目の手術をしたいと言い出す西崎教授(市川猿之助)。そこで佐伯教授(内野聖陽)は、西崎が執刀医となることを条件に、東城大と帝華大の合同チームを誕生させた。

 東城大からは渡海、高階(小泉孝太郎)、世良(竹内涼真)の3名が参加する予定だったが、手術当日になって西崎教授がチームメンバーを変更し、帝華大の医者のみで行うことに。しかし、急遽組まれたチームのために連携がうまくとれず、患者を危機的な状況に陥れてしまう。渡海たちが手術をサポートしようと駆けつけると、そこへ佐伯教授が登場。結局、佐伯教授が自身の腕前で手術を成功させ、外科学会理事会での評価を上げたのだった。

「佐伯教授の活躍を見た東城大の医局員たちは大盛り上がりし、部下の黒崎(橋本さとし)はお披露目会の会場で、『これが東城大だ! これこそが東城大が誇る佐伯教授のオペです!』と歓喜の雄叫びを上げました。佐伯教授も手術の終わりに『これが私だ。ブラックペアンだ』とドヤ顔で言っていましたが、視聴者はポカーン状態に。『なんだこの内輪ノリ……』『謎の盛り上がり』『感動の押し売り感半端ない』『いちいち大袈裟でギャグになってる』『唐突なタイトル回収で失笑した』『ブラックペアンだ(ドヤ)じゃねえよ』といった声が上がっていました」(芸能ライター)

 第9話では、突如倒れてしまった佐伯教授の検査が行われ、心臓部に疾患があることが発覚。ところが、このオペを執刀できるのは、東城大では渡海しかいなかった。佐伯教授との確執がある渡海だが、「佐伯教授を助けたあとに“真の目的”を達成する」と世良に宣言し、手術を請け負うことに。

 一方、佐伯教授は渡海の執刀を拒み、カエサルでの手術を提案する。しかし、これまで蓄積されてきたカエサルのデータは西崎教授に持ち去られたため、黒崎たち東城大のスタッフたちは暗中模索の日々を送ることになってしまうのだった。 

「第9話の予告映像では手術室で黒崎が、『教授を助けて下さ~い!』と絶叫しているシーンが。ギャグのように大げさになっていく演出に、視聴者からは『黒崎先生がセカチュー(『世界の中心で、愛をさけぶ』)していて爆笑』『シリアスなのかふざけてるのかわからん』と戸惑う声が上がっています」(同)

 果たして佐伯教授はどうなってしまうのか。最終回は目が離せない。