「漫画村」本当の問題はこれから……ブロッキングをめぐり、内閣府の検討会がついに始まった!

「漫画村」はなくなったのに、まだ続けていたの? 大騒動を巻き起こした上に4月に消滅した海賊版サイト「漫画村」が巻き起こしたブロッキング騒動は、まだ続いていた。

 ブロッキングとは、特定のウェブサイトへのユーザーのアクセスを遮断すること。海賊版サイト「漫画村」をめぐっては、これを行うべきとの意見が、権利を侵害されている出版社側からも出されて、議論の的となった。

 一見すれば、悪質なサイトを遮断するのだから正当な行為に見える。ただ、ブロッキングというのは、実はとんでもない行為だ。要は、ブロッキングの対象となっているサイトにアクセスしようとして、初めてインターネット・プロバイダが遮断を行う。どういうことかといえば、ユーザーがインターネットを用いて行っている通信を覗き見られているのだ。

「通信の秘密」というのは、日本国憲法というより近代以降、守られることが前提となっている権利の一つ。ゆえにブロッキングしたほうが効率がよいから、やってしまおう!! というワケには本来いかないのだ。

 ところが、海賊版サイト「漫画村」の問題をめぐっては、ブロッキングがもっとも有効な手段であるとして、これを容認する声が浮上。ついに、法整備が議論されるまでになったのである。しかし、問題の発端である海賊版サイト「漫画村」は4月に消滅。その後、議論は沈静化しているように見えた。

 ところが、法整備の準備はまだ続いていた。6月22日、内閣府では海賊版サイト遮断をテーマに初めての検討会を開いたのである。

 この会合では、慶応大の村井純教授と中村伊知哉教授が共同座長として、出版社や通信事業者が出席。憲法への抵触などの懸念を検討して結論を出すとしている。

「あくまで、検討会ではありますが、全体的な雰囲気としては法制化への問題を払底するのが目的のように感じます。要は、結論ありきの議論のようにも思えました」

 そう話すのは、会議に出席した関係者の一人だ。

 海賊版サイト「漫画村」をめぐっては、4月に政府の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議が、児童ポルノを扱っているサイトではブロッキングが実施されている現状を挙げて、同様の措置が適当だとされた。しかし、法的根拠を明確にする措置が必要とされ、この検討会が新設された経緯がある。

「悪質なサイトだからといって、ブロッキングを是認しては、際限なく対象が広がっていく懸念があります。でも、このまま法整備は進んでいくのではないか」(傍聴者)

 やがては、あらゆるエロサイトや「有害情報」も対象にされてしまうという可能性もあるというのに。意外にこの問題は注目されていない。
(文=特別取材班)

あの一流の犯罪プロ集団が帰ってくる!! 映画『オーシャンズ8』鑑賞券プレゼント

 サイ女読者の皆さま、映画『オーシャンズ』シリーズをご存じでしょうか? 本作は、ジョージ・クルーニーやブラッド・ピットなどといった“豪華俳優陣”が出演していた大人気作品ですが、今年の8月10日、新たなキャストを迎えて撮影されたシリーズ最新作が公開となります! サンドラ・ブロックにケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイなど、オール女性キャストで描かれるという映画『オーシャンズ8』。そんな本作は、一体どのような内容となっているのでしょうか。早速あらすじをご紹介いたします!

 5年8カ月の服役の末、刑務所から出所したデビー。出所時の面接の際に「二度と犯罪はしない」と誓ったはずだったが、世界最大のファッションの祭典“メットガラ”に登場する1億5000万ドルの宝石に目をつけた。そして、デビーはこの宝石を盗むため、天才ハッカーや凄腕のスリなどといった一流の犯罪プロである7人の女性に声をかけることに。世界最高難度のセキュリティをどう打ち破るのか!?

 本作は、シリーズ作の世界観を引き継ぐクライムエンターテインメントとなっております。さらに今回の映画では、キャストが一新したということもあり、今までの作品とは一味も二味も違った展開が期待できそう。“新生オーシャンズ”の個性豊かなメンバーたちが魅せる、最高にスリリングなド派手犯罪計画に釘付けになること間違いなし! ハラハラドキドキの映画『オーシャンズ8』を、ぜひ劇場で体感してみてはいかがでしょう。

 今回は、映画『オーシャンズ8』の鑑賞券を3名の方にプレゼントいたします。「『オーシャンズ』シリーズは欠かさず見てる!」という方はもちろん、「夏の暑さに負けないくらいの刺激がほしい!」という方も、皆さん奮ってご応募くださいね。お待ちしています!

※7月9日〆

ご応募はこちらから

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AVの次に問題化?――風俗嬢を追い込むブラックな労働環境

可視化しづらい風俗業界の実態

数年前、AV出演強要が社会問題化し、AV業界の労働環境は少しずつ是正されつつあるようだが、今度メスを入れるべきは性風俗業界かもしれない――。風俗店側に書かされた“借用書”によって、風俗嬢が追い詰められるケースがあるという。しかし、この業界の特徴として、悪質な店舗の実態は見えづらく、女性は声を上げづらいのだ。

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風俗嬢のために生活や法律の相談を受けている「風テラス」のホームページ

「タレント、モデルの仕事をしないか」とスカウトされて契約を結ぶと、無理やりAVに出演させられるという、いわゆる“AV出演強要問題”。2016年に社会問題化し、逮捕者が出るなど業界全体にメスが入った。そして、「AVの次は性風俗業界かもしれません」と語るのは、労働事件や性差別、性暴力問題に詳しい板倉由実弁護士である。風俗業界では雇用に際して契約書がほとんどなく、口約束が多い。そこで、不当な方法で女性を縛りつけ、働かせていることがあるという。実際に次のような案件があったと板倉氏は話す。

「デリヘルで働くある女性は、店から『月50(万円)は稼げる』『事務所での待機にも1日1万円が支払われる』と言われ、“寮”としてマンションの敷金・礼金を25万円ほど貸し付けられたといいます。『敷金・礼金は自分で支払う』と一度断っても、『月々の報酬から少しずつ返済していけばいいから』と借用書を書かされたそうです。そこで実際に働いてみると、客が付くまでの45日間、自宅に帰してもらえず事務所に連日待機させられ、当初言われていたその分の支払いはなし。1回だけ客の相手をし、支払われたのは手取り1万5000円。これでは到底生活できないと女性が辞めようとすると、『借金を返せ、借用書がある』『少額訴訟を起こす』とすごまれたとのこと。少額訴訟は基本的に1日で判決が出る訴額60万円以下の訴訟ですが、裁判と聞いた女性は怖くなり、私の事務所に相談に来たわけです。しかし、面倒を避けるために、店に言われるまま借金を返し、泣き寝入りする女性も少なくないようです」

 板倉氏は店側の訴訟に異議を申し立て、未払い給与の支払いに加えて、男性スタッフによるセクハラ、不当訴訟による損害賠償請求などを求める反訴を起こした。

しまむらが抱える“3つの地雷”! 「都心の人には相手にされない」という大問題の背景

 今回は「ファッションセンターしまむら」を見てみたいと思います。2009年頃、しまむらで洋服を買う女性が「しまらー」と呼ばれ、大いに盛り上がりましたが、現在では一段落した感じがします。会社全体の売上高は年々伸びているものの、儲けを示す営業利益の伸び率は鈍化し、既存店売上高も伸びていません。業績面から見ても、しまむら人気はピークアウトしていると言えるのではないでしょうか。

 さて、しまむらが支持された理由は、値段が安い割りに良いデザインの服があるという点で、さらにその商品の店ごとの枚数がそれほど多くないことから、ほかの人と服装が“かぶらない”という利点でした。この部分は、他人と服装が“かぶりまくる”ユニクロとは正反対だったと言えます。とはいえ、09年頃までしまむらは若いファッション好きの女性に支持されていませんでした。それ以前は、どちらかというと“安かろうダサかろう”な店で、節約好きな年配の主婦層御用達の店だったのです。それが一変して「しまらー」が生まれたのは、09年頃にファッション雑誌モデルの益若つばささんが愛用していると発言したためだと言われています。

 これに加え、08年に起きたリーマンショックによる不況で、それ以前よりもさらに低価格品が求められるようになったという要因から、人気はにわかに加熱したと言えます。しかし、その人気も長くは続かず、5年後の2014年には退潮しています。

 ではどうして、しまむらの勢いは止まってしまったのでしょうか。筆者は、「これまで、しまむらの強みとされていた部分が弱みに転換しているからだ」と見ているのですが、今回はそれをひもといていきたいと思います。

 しまむらの成長を支えた要素はいくつかあります。まず、それを見てみましょう。

 1.売り切れ御免方式の“バラエティ豊富な品揃え”でファン急増

 低価格衣料品を「売り切れ御免」で販売したことです。同じ低価格衣料品でもユニクロは大量生産することで1枚当たりのコストを下げて安い定価で販売していますが、しまむらはもともと、いろいろなメーカーの不良在庫を安く引き取ってきたから、バラエティ豊かな品揃えで安く販売することが可能でした。それが、掘り出し物を見つけたいしまらーの心をつかんだとも言えるのではないでしょうか。

 2.地方郊外に出店&チープな外観・内装でコスト削減

 低価格品の販売なので1枚当たりの利益額はそれほど大きくありませんから、とにかくローコストを追求すべく、土地代・家賃の安い地方郊外のロードサイドという立地に出店を続けてきました。また建物の外観・内装ともにチープともいえる簡素な作りで、いわゆる「ブランド」らしい装飾性は皆無です。こういったところにお金をかけない戦略なのでしょうが、翻れば、消費者にとっては「だからこそ安い」という利点が生まれました。

 3.小商圏獲得を目的とする多店舗展開で「身近さ」を感じさせる

 大手低価格ブランドは基本的に各社とも店舗数を多数抱えていますが、しまむらの店舗数はというと、ほかの低価格ブランドに比べて群を抜いています。しまむらは商圏(店舗に集客できる範囲)を5000人規模と小さめに設定しており、それゆえに店舗数を増やしてきました。しまむらグループ全体で見ればしまむらが1416店舗、アベイルが318店舗、バースデイが272店舗、シャンブルが98店舗、ディバロが16店舗(18年現在)となっています。ユニクロでも800店舗台なので、それに比べるとしまむらの1416店舗というのは圧倒的な数。消費者にとっては、どこにでもあるという身近さを感じさせるでしょう。

 それ以外にも、しまむら成長の要因はさまざまありますが、今回はこの3点についてどう弱みに転じたかを見てみましょう。

◎ユニクロ化で「しまむららしさ」がなくなる

 しまむらグループ全体の現在の売上高は5651億円(2018年2月期決算)あります。世界のアパレル小売企業ランキングは1位がZARAのインディテックス社、2位がH&M、3位がユニクロ、ジーユーのファーストリテイリング社、4位がGAPというのは有名ですが、しまむらグループは10位にランキングしています。ここまでの巨大企業となると、商品を揃えることに苦労します。せっかく揃えてもそれが各店に5枚ずつしか配布できないようでは困ります。もちろん、数量が多すぎれば売り切れ御免にならずに消費者からの人気が落ちますが、少なすぎてもあっという間に売り切れるため、欠品による機会損失が大きくなり、ある程度の枚数は必要なのです。しかし、1416店舗にまでなると在庫品の仕入れだけでは賄いきれなくなります。ですから、しまむらも近年はジワジワと自社企画製品を増やしていたのです。

 その施策が顕著だったのが、3年ほど前に大ヒットした保温ズボン「裏地あったかパンツ」。これは2015年に100万本以上が売れた大ヒット商品で、これによって決算も増収増益となりました。しかし、100万本も商品を揃えようとすると仕入れ品では当然不可能で、これは自社企画生産せざるを得ません。100万本となると相当に大掛かりな生産システムが必要になり、それはユニクロのやり方とほぼ同じになります。これまでの「仕入れ品による売り切れ御免」から「自社企画による大量生産」というビジネスモデルに切り替わりつつあるということで、通常、ビジネスモデルの変更には大きな危険が伴います。もちろん、しまむらもその例外ではありません。消費者にとっても「しまむららしさ」がなくなることは、魅力激減となるでしょう。

◎都心の消費者は、購買欲が湧かない!?

 店舗数が1416店となり、地方・郊外ではほぼ飽和点に達しようとしています。地方・郊外では、もう有望な出店先はほとんど見つけられなくなっています。残るは大都市都心となりますが、ここはユニクロをはじめとしてジーユー、ZARA、H&M、GAPなど強力なライバルがひしめき合っています。どれもそれなりに外観・内装・商品陳列と、工夫を凝らして「雰囲気作り」を行っており、ローコストを追及した、簡素なケレン味のない外観・内装・商品陳列で太刀打ちできるとは思えません。都心の消費者には、相手にされないのではないでしょうか。また大都市都心は家賃や土地代、人件費も地方・郊外に比べて高くなっていますから、お得意のローコスト戦略は通用しにくくなります。

◎インターネット通販が遅れてる&不便すぎる!

 インターネット通販が万能だとは思いませんが、ファッション業界において、重要な一部になりつつあることに異論はありません。しまむらは、ネット通販をこれから始めるという段階です。昨年秋にEC構想を発表しましたが、通常の宅配されるインターネット通販ではなく、希望商品を指定店舗に取り寄せるという、いわばインターネットを介してのお取り寄せサービスに過ぎず、最近、改めて通常のネット通販への参入を明らかにしました(自社ブランドをゾゾタウンに出店)。

 そもそも、店舗取り寄せでもあまり強みを発揮できないのではないでしょうか。ユニクロや無印良品も、ネット通販での店舗受け取りが可能ですが、両者は都心やターミナルにも店舗が多く、通勤・通学の途中で立ち寄れる利点があります。しかし、しまむらは地方・郊外の店がほとんどですから、休日に「わざわざ」出かけなくてはなりません。さらに、イオンモールなどの大型ショッピングセンター内に出店していれば、休日に食料品を買いだめする際に立ち寄ることが可能ですが、ローコスト戦略の影響で、そういうテナント出店ではなく、ロードサイドに路面店として出店している場合が多いため、やはり「わざわざ」立ち寄らねばなりません。こんな不便なお取り寄せサービスを好んで使う消費者は、ごく限られた一部でしょう。

 しまむらグループ=安売り専門店が巨大化したブランドだとすれば、いつまでもそのビジネスモデルのままでは成長が難しくなります。成長しなければ現在のような悩みにぶち当たることもなかったのでしょうが、さらなる成長を目指すのであれば、これまでのビジネスモデルを変える必要性が出てきます。その舵取りを誤ってしまうと、一気に衰勢となってしまう危険性も。巨大化した故の苦悩というのが、現在のしまむらの大きな地雷と言えるのではないでしょうか。
(南充浩)

性の話をするのに「資格」がいると感じるのはなぜ? 過剰な自己開示も傷つけられることもなく性を語る場に必要なルール

 前篇では、レズ風俗から見える女性の生きづらさについてお話しました。今回は5月の東京レインボーウィークに開催した「これからの『セックス』の話をしよう~いまを生きやすくするための語り場~ 現役レズ風俗キャスト×SEX and the LIVE!! #これセク」 を通じ、女性が性を語りやすくするにはどうしたらいいかを考えます。

 私は「SEX and the LIVE!!(以下SatL)」という女性アクティビスト4人が性について身近なトピックから語ることで、語りを巻き起こすプロジェクトを主宰しています。

▼参考
声を潜めて語るか、テンションを上げて下ネタとして語るか。社会の「性」についての語り方を変えたい私が始めたこと

 今回は都内のレズ風俗店で働いたあと、対話型レズ風俗店を起ち上げ店長兼キャストをつとめる橘みつさんとSatLのメンバーとでトークセッションを、さらに参加者を交えてグループトークを行いました。

 最初にSatLメンバーにレズ風俗のイメージを聞いたところ、以下のようなコメントがありました。

「私は同性愛者という自認ではないけれど、女の子とエッチなことをしたことがあり、レズ風俗ブームが来てるのは、女体のよさがわかる人が増えたんだなと」
「私は少し抵抗がある。異性のあいだでは解消できない、フェチとやプレイという生々しいイメージかも」(異性愛者のメンバー)
「女の子とエッチなことができるという男性向けの風俗と同じでイメージで、特別なことをするイメージはない」(性別に関係なく人を好きになるパンセクシュアルジェンダーで、性自認がどちらとも限定されないジェンダークイアのメンバー)

 私自身は前篇でもお話したとおり、自分のセクシャリティへの疑問からいつか行ってみたいと思っています。こうしてみると自身のセクシャリティやこれまでの経験がレズ風俗のイメージに関係しているのかもしれません。

AVと比較され傷つく女性たち
 レズ風俗キャストのみつさんは「90分2万円のセックスが、この人のしたかったことなんだろうか」と疑問を持ったそうです。お客さんは、男性とのセックスでAV女優と比較される、自分でもそうした女性たちと身体を比較してしまう、中でイけない、性経験がないなど、さまざまな悩みを抱えています。

「対話型レズ風俗」ではその悩みをじっくりと聞き、プレイに反映させながら、その体験を「持ち帰って考えてもらう」ことを目的にしているそうです。女性の身体を持って女性の身体に接しているレズ風俗キャストに自分の身体の悩みやコンプレックスを話すというのは、私も共感できます。しかし、「自分の身体は変なんじゃないか」と思ったり「AVと違う」といわれて傷ついたりするのは、個人の問題だけには収まりません。

 女性は同性の身体をじっくりと見る機会が少ないですし、女性も男性もセックスについてAVや娯楽コンテンツ以外から得られる情報が少ないのです。そしてけして安くはないレズ風俗にまで行かないと性の悩みを話せない現状があります。

「誰とヤッた」は話せるのに
 そうして話す場がないことが、深刻な性の悩みにつながっています。SatLメンバーのひとりは学生時代に妊娠中絶の経験があり、当時は性の悩みを友だちには話せなかったそうです。彼女は現在、性教育の講演を行っています。

 東京都足立区での性教育の授業を「不適切」とする都議質問が波紋を呼びました。彼女は性教育の学習指導要領を見直し、正しい知識を伝えるために中高生の実態に即した教育を求める署名運動を行っています。一連の活動のなかで、よく“純潔教育をしろオジサン”に怒られるそうですが、性に触れさせないようにすることで、かえって奔放になったり、深刻な問題を招いてしまうこともあります。

 DVや妊娠中絶など多くのダメ恋愛を経験した別のメンバーも高校時代は性の話を語れずにいました。それどころか、受精の仕組みは知っていてもセックスの意味を理解していなかったのだとか。地方の性規範が強い家庭で育ち、貞操観念が強いにもかかわらず、その後彼女はダメ男を渡り歩く“メンヘラビッチ”になったのです。

 家庭内でも性の話はタブー視されがちです。セックスの話はもちろん、「男性の家族に生理用品を見られてはいけない」など、性に関わることは隠さなければいけないという家庭は多いようです。「(家庭でも学校でも)生理なんです、も言えない」というメンバーの発言に共感が集まりました。生理の話をすると「はしたない」という空気があります。

「産婦人科に行ったりピルを飲んだりすることで、セックスをしたと思われて変な目で見られる」ということがよくあります。もちろん「産婦人科に行く=妊娠やセックスをしている」ではないと知られるべきですが、セックスをしていることで変な目で見られること自体が、本来はおかしな話なのです。

 私は性暴力に関わる活動をするなかで、性暴力のことをなかなか人に言えないことに問題を感じています。このトピックは身構えられがちですが、傷つきや悩みや社会問題としての性暴力についてはまだ話せます。しかし「セックスをどうしたら楽しめるか」などポジティブな話や、具体的な話はできない空気があります。

経験と知識がないと、話せない?
 登壇者はそれぞれ、安心して性の話ができず、性的に消費されてしまうことに問題意識があります。女性が性の話をしていると「じゃあ僕とセックスしましょう」「セックス教えてください」と知らない人からもいわれます。「ちゃかされない、搾取されない場が大事だ」とみつさんは言います。

 参加者から事前募集したトークテーマのなかに、性の話を語りにくい理由に「自分には性を語る資格がないと感じる」というものがありました。「経験がなければ」「知識がなければ」性について話してはいけないと感じるそうです。

 なぜそう感じる人がいるのでしょうか。ひとつには、性がタブー視されている現在、AV女優などのセックスワーカーや性教育関係者といった“性に関する仕事”に就いている人、あるいは高い問題意識がある人しか性の話を語ってない現実があります。

 また性に関わることはプライベートでデリケートな話も多く、「間違った知識をもとに語ったら聞いている相手を傷つけてしまう」という心配もあるでしょう。

 みつさんは風俗という仕事について話したとき、「そういう仕事しているんだ、私はやらないけど」と、ふわっとした嫌悪感を表されるのがツラいそうです。セックスワーカーへの偏見は、性の話題への偏見と地続きなのでしょう。

性の話だけが特別なわけじゃない
 みつさんは、多くの人は「性について話す=自分の経験範囲内のセックスの話」になってしまっていると話します。しかし自己開示をしなくてもセックスの話はできるはずです。

 また知識は必要だけれど、「なければ話してはいけない」だと、自分にはその資格がない、語るハードルが高いと感じてしまいます。「性の語り方だけの、特別なルールがあるわけではない」とメンバーは言います。人のプライバシーを守ることが大事だったり、知識がないことで傷つけてしまったりということは、日常生活でも起きます。傷つけたら謝り、間違えたら訂正し、わからなかったら聞いたり学んだり対話をしたりして考える、そして決めつけない、押し付けない……そうしたことが大切です。性の話は、生活の延長線上にあるのです。

 では、もっと気軽にセックスについて語れるようになるにはどうしたらいいのでしょうか。イベントでは次のような意見が出ました。

・セックスカルチャー、誰を好きになるか、身体のこと、ジェンダーのことなど性の話は幅広く、自分についてでも一般論でも、いろいろな語り方ができるはず
・語り方を見つけていくのが大事なのでは
・人間関係でも「この人にだったら話せる」「この話し方なら語れる」ものがあるはずで、信頼関係が大切
・知らない人だから話せるし、同じコミュニティや友だちだからこそ傷つくこともある

 性の傷つきを語る自助グループを運営しているメンバーは、「いいっぱなし・聞きっぱなし」というルールを設けていると言います。誰かから批判されるわけでなく受け止められることが、受容につながり自分と向き合うことになっているそうです。

 性についての話し方・受け取り方の練習が必要だということを共有し、イベント中実際に語りあうに際して、この場でのルールを共有しました。

 ・(相手の話を)とりあえず受け取る
 ・同意の確認
 ・ここでの話はここだけで
 ・過度に自分を貶めない

ルールがあると、安心して語れる
 以上のルールに基づき、「レズ風俗に行ってみたいか?」「どうやったら語りやすくなるか」などのテーマで、参加者と登壇者がグループに分かれてお話しました。

 参加者にはふだん性の話をなかなか話せない人と、話せるけれど引かれてしまうから思うように話せない人の両方がいました。「ルールがあることで、温泉のような安心できる場になった」「自分でもそういう場を作りたい」と感想を話してくれました。

 会を締めくくるにあたり、SatLメンバーからは次のような話がありました。

「話せっていわれても、話せなかったりする。人にはいろいろなタイミングがある。自分を責めすぎないでほしい。私は語れる場があったから自虐でやっちゃっているけれど、そうやって自分をキャラ化することで傷つきや苦しみから開放されているからできる。恐れず語ってほしいけれど、語れないことにも罪悪感を感じないでほしい」

最後に、レズ風俗ブームとは?
「私は物心ついたときから、語りづらさがなかった。語りづらい人がいると改めて気づきました。語りたいけど語れない人、そもそも語りたくない人がいて、無理に押しつけるわけにはいかない。その場作りが大事だと思った」

 語ることに抵抗のない人だからこそ、語れない人に押し付けずどちらも心地いい場所にする意識は大切だと感じます。

 レズ風俗のブームは、女性が性を語りたい、もっと罪悪感なくセックスに触れたいからこそ起きているのではないでしょうか。これからも安心して性を語れる場を作っていきたいですし、私たちだけではなく、ほかにも話したい人が少しずつ増え、安心して話せる仲間をつくって安心して性を語り、罪悪感を覚えることなく性に触れられて楽しめる文化ができてほしいと思っています。

リアルタイムで歴史の激変を体感できる!? 首脳会談を経て注目された「朝鮮の声放送」

 久しぶりに短波ラジオを取り出している人も多いのではなかろうか。米朝首脳会談を経て、雪解けムードか混乱か、ともあれ予断を許さない朝鮮半島の情勢。そんな中、北朝鮮の最新情報を手軽に知る手段が再び脚光を浴びている。

 北朝鮮は平壌から毎日放送されている国外向けラジオ放送・朝鮮の声放送がそれである。

 この日本語放送は、長らく続く北朝鮮からの一次情報を入手する手軽な手段。インターネット全盛の時代、対外向けラジオ放送の需要は減っているが、北朝鮮はいまだに2つのプログラムで毎日9回の放送を実施している。

 この放送は、北朝鮮の公式見解を対外向けに宣伝するための放送。そのため、長年韓国やアメリカに対する表現は過激だった。

 ニュース番組でも韓国は「南朝鮮傀儡」と呼び、アメリカは「アメリカ帝国・アメリカ帝国主義」という表現が当たり前に用いられてきた。

 そうした敵対的なムードもここに来て、大きく変化している。今回のシンガポールでの金正恩朝鮮労働党委員長とトランプ大統領の会談を経て、放送では敵対的な表現を避けるようになっているのだ。

 朝米(あくまで「米朝」ではない)首脳会談を報じるニュースでは、ついにアメリカを「アメリカ合衆国」と表現。昨年まで「国連安保理は、みすぼらしいアメリカの操り人形」だとか「アメリカ帝国主義一味」と呼称していた放送が、大きく姿を変えているのだ。

 会談を報じるニュースでは、アナウンサーが「朝鮮労働党委員長で朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官の労働党と国家、軍隊の最高指導者・金正恩元帥がアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領と~」と、史上初めての会談の顛末を読み上げたのである。

 この呼称の変化ひとつをとっても、対外的には雪解けムードを演出したい北朝鮮の姿勢が見え隠れしている。

 今や、北朝鮮の内情はさまざまな報道を通じて知ることができるようになったが、いまだその公式見解を、日本語でほぼリアルタイムで知ることのできる手段は、これだけ。その価値が、ここにきて改めて注目されているのである。

 あまり知られてはいないが、この放送局も最近ではホームページを開設。ニュース番組については音声で聞くことができるようになっている。テレビ・新聞などの報道とは違う形で朝鮮半島に関する情報を知りたい人には、最良の手段として、改めて知られていくことになるだろう。

 実は、インターネットの普及と共に日本語に限らなければ海外の放送を視聴するのは容易になっている。日本で観ることのできる海外ニュースといえばBBCのワールドニュースが知られている。

 ところが、最近ではこれ以外にもYouTubeのライブでニュースを流し続けている放送局は増加中だ。

 もちろん英語を主に各国語での放送なので、そのまま聞き取るのは困難。けれども、字幕は多めなのである程度、内容を理解することは可能だ。

 まったく関係のなさそうな国では朝鮮半島情勢はどのように報じられているのかなど、ワイドショーを観ているよりも多くの情報を得られることは間違いない。
(文=昼間たかし)

嵐・二宮&V6・井ノ原が14%超でトップ1・2、ディーンはワースト入り! 4月期ドラマ視聴率ランク

 V6・井ノ原快彦が主演を務める刑事ドラマ『特捜9』(テレビ朝日系)が16.0%で初回トップの視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した春ドラマ(午後8~10時台)。6月下旬までにそれぞれ最終回を迎え、平均視聴率ランキングでは嵐・二宮和也主演の『ブラックペアン』(TBS系)が1位に躍り出た。

 二宮が初めて外科医を演じた『ブラックペアン』は、海堂尊氏の小説『ブラックペアン 1988』(講談社)が原作のドラマ。初回は13.7%で、『特捜9』や、女優・波瑠と鈴木京香がコンビを組む『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系、初回14.7%)に負け、3位のスタートを切った。しかし、以降は1ケタに落ちることなく12~16%台を推移し、最終回は自己最高の18.6%で終了。ドラマ中盤頃には、フリーアナウンサー・加藤綾子が演じる治験コーディネーターに関する描き方に問題があるとして、日本臨床薬理学会から抗議を受けてしまったものの、無事に最終話まで完走した。全10話の平均は14.2%。

 第2位は、故・渡瀬恒彦が主演を務めた『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)の新シリーズ『特捜9』。新班長に寺尾聰が参加した今作は、2話で15.4%、3話も14.5%と相変わらずの人気を見せつけ、全10話平均14.0%でフィニッシュ。若手刑事役の山田裕貴、ジャニーズJr.内ユニット・Travis Japanの宮近海斗が新人鑑識課員・佐久間朗役で出演しており、今回は若い世代の視聴者も取り込めたようだ。

 第3位は、初回ランクで2位につけていた『未解決の女 警視庁文書捜査官』。“最強の凸凹女刑事バディ”(波瑠&鈴木)が文字や文章を手がかりに事件を解決していく物語で、初回こそ14.7%をマークするも、2話からしばらくは11~12%台に転落。全8話の平均は12.9%だった。また、ドラマ内で相互コラボレーションを実施した内藤剛志主演の『警視庁・捜査一課長season3 ~ヒラから成り上がった最強の刑事!~』(同)の平均は僅差の全10話12.8%で4位にランクイン。

 続いて、惜しくも低視聴率を出してしまった下位3作品をご紹介。ワースト3位は、上川隆也が優雅な奥様・伊集院百合子(八千草薫)に仕える “パーフェクトな執事”を好演した『執事 西園寺の名推理』(テレビ東京系)で、全8話の平均は7.0%だった。数字だけ見れば“大コケ”に思えるが、金曜午後8時台は、16年の伊原剛志主演『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』が平均3.3%(全6話)で終わるなど、低視聴率の枠。今作は大物キャストが登板した甲斐があり、大健闘と言えるだろう。7月期は小泉孝太郎主演の人気作『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~THIRD SEASON』が始まるため、こちらも数字面で期待が持てそうだ。

 ワースト2位は、初回から5.1%と大爆死した『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)。ディーン・フジオカ演じる主人公が“復讐の鬼”と化し、自らを陥れた男たちに制裁を下していくストーリーで、高橋克典、新井浩文、関ジャニ∞・大倉忠義、山本美月らも出演した。初回は、一部視聴者が「見るに堪えない」と嘆いたほど壮絶な拷問シーンがあったにもかかわらず、2話で5.7%、3話は7.1%にまで上昇。怒涛の展開が話題になるも2ケタには届かず、全9話の平均は6.2%という結果となった。

 そして、今期の最下位は江口洋介主演の『ヘッドハンター』(テレビ東京系)。全8話の平均は3.5%だった。これは、4月から始まったビジネスドラマ枠「ドラマBiz」の第1弾で、初回は4.5%でスタート。新設枠とあって、視聴者に馴染みがなかったことが要因か、2.6%(6話)と2.8%(7話)で2%台まで低迷した回も。7月からは同枠で仲村トオルや椎名桔平、大谷亮平ら、実力派キャストが集った『ラストチャンス 再生請負人』が控えている。

 夏ドラマは、綾瀬はるか主演の『義母と娘のブルース』(TBS系)や石原さとみ主演『高嶺の花』(日本テレビ系)をはじめ、『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系、吉岡里帆主演)『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系、波瑠主演)『チア☆ダン』(TBS系、土屋太鳳主演)など、人気女優の主演作が登場。ジャニーズタレント主演作では少年隊・東山紀之の『刑事7人』(テレビ朝日系)と、未成年女性との飲酒問題が騒ぎになったNEWS・加藤シゲアキ主演の『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系)も、注目を集めている。どの作品が好成績を残すのか、目が離せない戦いとなりそうだ。

【2018年春ドラマ(午後8~10時台、民放5局)平均視聴率一覧】

1位『ブラックペアン』(TBS系・日曜午後9時)全10話/14.2%
2位『特捜9』(テレビ朝日系・水曜午後9時)全10話/14.0%
3位『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系・木曜午後9時)全8話/12.9%
4位『警視庁・捜査一課長season3 ~ヒラから成り上がった最強の刑事!~』(テレビ朝日系・木曜午後8時)全10話/12.8%
5位『正義のセ』(日本テレビ系・水曜午後10時)全10話/9.8%
6位『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系・月曜午後9時)全10話/8.9%
7位『あなたには帰る家がある』(TBS系・金曜午後10時)全11話/8.4%
8位『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系・火曜午後10時)全11話/8.3%
9位『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系・土曜午後10時)全10話/8.2%
10位『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系・火曜午後9時)全10話/7.7%
11位『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系・日曜午後10時30分)全10話/7.5%
12位『執事 西園寺の名推理』(テレビ東京系・金曜午後8時)全8話/7.0%
13位『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系・木曜午後10時)全9話/6.2%
14位『ヘッドハンター』(テレビ東京系・月曜午後10時)全8話/3.5%

※平均視聴率は単純平均視聴率(全話合計÷放送回数)。小数点第2位以下を四捨五入。

 

「吉原遊廓はすごい!」は作られた“幻想”? 江戸時代~現代をめぐる風俗文化のウラ側

 “吉原”――そう聞くと、きっと思い浮かべるのは、風俗、花魁、遊郭、といった言葉たちではないでしょうか? 江戸時代の代表的な遊郭としてはもちろん、吉原は今でも東京都台東区に存在し、日本一のソープランド街として知られています。江戸時代の吉原は、今もなおさまざまなカルチャーで題材にされ続けていますが、その誕生からちょうど400年を迎えた今年、江戸の性風俗を研究した著作を多数執筆している作家・永井義男氏が風俗史家・下川耿史氏と共著で『吉原と日本人のセックス四〇〇年史』(辰巳出版)を刊行。

 そこで、永井氏のほか、アラフォー現役風俗嬢の曼荼羅氏、『風俗嬢という生き方』(光文社)などの著者・中塩智恵子氏にお集まりいただき、三者の目線から吉原を存分に語り合ってもらいました。

<出席者>
永井義男(ながい・よしお)
1949年生まれ。『算学奇人伝』(祥伝社文庫)で第6回開高健賞を受賞。時代小説家として100作以上の著作を持ち、最近では江戸の性風俗を研究した著作を多数刊行している。著書に『吉原と日本人のセックス四〇〇年史』(同)、『本当はブラックな江戸時代』(辰巳出版)、『江戸の売春』(河出書房新社)など。

曼荼羅(まんだら)
デリヘルで風俗デビューし、出稼ぎ&吉原ソープを掛け持ちした後、現在は素人童貞などSEXに自信のない悩める男性のためにプライベートレッスンをしているアラフォー風俗嬢。

中塩智恵子(なかしお・ちえこ)
1974年生まれ。宮城県石巻市出身。アダルト系出版社を経てフリーランスのライターに。現在は主に週刊誌で執筆。政治家、文化人、芸能人、風俗嬢、ウリセンボーイ等と幅広い取材活動を行う。近著に『男娼』(光文社)、『風俗嬢という生き方』(同)

 今もなお残る“吉原ブランド”の背景とは

――『吉原と日本人のセックス四〇〇年史』を読んで、曼荼羅さん、中塩さんはどう思われましたか?

曼荼羅 同じ風俗嬢として、遊廓で働く女性に対しての共感がかなりありました。もちろん、知らないこともたくさんありましたね。江戸時代からずっと続いてきて、今もなお生きていることもたくさんあって、大昔なのに遠くない感じがしました。

永井義男(以下、永井) ありがとうございます。日本人の、男の中の吉原の文化はまだ続いていると思います。

曼荼羅 確かに、今でも「吉原は別格だ!」という感じは続いていると実感することが多いんですが、そもそもなんでそんなに“別格感”があったんでしょうか? 独特のブランディングというか、ほかの風俗とは違う何かを感じます。

永井 僕はね、吉原って富士山に似ていると思うんですよ。富士山ってきれいだとは思うんですけど、日本中に、似ている山って結構あるんですよね。でも、日本人は物心ついた時から絵や写真、文章なんかでも「富士山はきれいだ」というある種の刷り込みをされているでしょう? その上で富士山を見るから、余計きれいに見えるんですね。

曼荼羅 確かにそうですね。吉原も同じなんですか?

永井 そう。吉原も同じで、遊廓自体は全国にあったんですが、吉原の場合は文化も含めて、物心ついた時から「吉原はすごいんだ」「吉原の遊女は天女のようなんだ」って聞かされて育つんです。だから、皆江戸に行ったら、とにかく吉原に行きたいと考えたり、花魁道中を見て感動したりするんですね。もちろん吉原はすごかったと思いますが、あまりにも吉原だけが突出しているというのは、むしろ文化になってしまっているからなんです。

中塩智恵子(以下、中塩) そうやって“吉原”というブランドが作られていったんですね。

永井 当時から吉原はいろいろな戯作(小説)や浮世絵の題材になり、そうした作品で有名になって、有名だからまた作品になって……という具合で、どんどん“遊廓=吉原”というイメージが固まっていったようですね。

曼荼羅 いまだに全国から「あの吉原だ!」という感じでお客さんが来ますからね。ブランド力は伊達じゃないです。

永井 外国人も日本の文化として吉原を知っている人が多いですから、お客さんとしても結構いるんじゃないでしょうか?

曼荼羅 いますね! 外国人もそうですけど、童貞の方なんかも「一度は吉原に」と意を決してお小遣いをためてくる方が多いです。

永井 今も昔も、変わってないですね。

曼荼羅 今も昔も、男の方は「一度は吉原に行くぞ!」と夢と希望を持っているわけですよね。吉原で働いている女性側も、同じ感覚が少しあるなって感じました。

中塩 女性側も希望や野心を持って、働く場所を吉原に決めるものなのでしょうか?

曼荼羅 「せっかくこの仕事をするなら吉原に行こう」って、覚悟を決めてくる女性は結構いますね。地方から、月に10日くらい出稼ぎに来てるシングルマザーの方の中には、子どものために腹を決めている感じの女性もいました。一方で、昼の仕事をする代わりに、時間の融通が利く早番でソープに出て、朝の7時くらいから夕方の16時くらいまで働くというシングルマザーの方も。子どもが帰ってくる時間に帰るんです。

永井 江戸時代は、今よりもっと女性の職業が少なかった。だから、いわゆるシングルマザーで子どもを育てるというのは、まず不可能でした。江戸時代は死別や離縁をしてもすぐ再婚することが多かったのですが、なぜかというと、結局1人では生きていけないからなんですね。女性は旦那さんがいないと経済的に生きていけない、男性は奥さんがいないと子どもを一人で育てられない。だから、恋愛うんぬんより先にすぐ再婚でした。

曼荼羅 恋愛より先にすぐ結婚だったんですね。

永井 そうです。恋愛より愛情より、先に生活の安定が大事でした。よく、「武士の妻は貞淑で、夫が死んでも操を守り通す」なんていいますけど、亭主が死ぬとすぐ再婚していましたね。それは身分の高い武士を除いて、庶民も武士も同じでした。

曼荼羅 それと、吉原で働く女性の“プライドの高さ”も多分、江戸時代から変わっていないんじゃないかなって思うんですが、どうでしょうか? 私は吉原以外の場所でもいくつか働いたことがあるのですが、ほかと比べて、吉原独特のプライドの高さを感じました。

永井 江戸時代から、プライドは持っていたと思いますよ。昔は“張り見世(はりみせ)”といって、道に面した店先に遊女が居並び、格子の内側から自分の姿を見せて客を待つ場所があったんですが、これは吉原独特で、ほかの岡場所(吉原以外の、非公認の私娼街)は何もないところに座らされていました。だから、格子の内側に座って、男たちから「美人だな~」なんて言われるのは、やはり“誇り”であり、格が違うことの象徴だったんです。その分、プライドも高くなるでしょうね。

曼荼羅 その名残がいまだにあるって、本当にすごいです。

永井 それも文化として続いているんですね。

 江戸時代にも風俗情報誌、送迎、指名制度が?

中塩 今はかなり減りましたが、少し前まで風俗情報誌はたくさん出回っていました。江戸時代にも“吉原細見(よしわらさいけん)”という風俗情報誌があった、と書いてあって驚きでした。

永井 店名、場所、遊女の名前……そういう情報が全部載っているものがありましたね。

中塩 いわゆる名鑑ですね! これ、作っていた方は吉原で働いていたんでしょうか?

永井 最初に作ったのは、歌麿や写楽を売り出したことでも知られる蔦屋重三郎(現在のTSUTAYAとは無関係)。彼のアイディアで出したら大ヒットしたそうです。ただ、当時は著作権や版権などない時代ですから、売れたらほかも“わー!”と一斉に作るんですね。だから、いろいろな版元から出ています。掲載されている情報はほぼ同じですがね。

曼荼羅 有料だったんでしょうか?

永井 値段はよくわからないのですが、有料でした。吉原に行く人はもちろん、お土産として買った人も多いと思います。吉原は高くて遊べなかったけど、“吉原細見”くらいなら買えるので、お土産として持って帰ったんですね。東京は空襲だの震災だので結構焼けてしまいましたが、地方の旧家なんかの蔵を探すと、まだ出てくるんです。

曼荼羅 ご先祖さん、吉原に遊びに行っていたってバレちゃいますね(笑)。

中塩 そうですね(笑)。風俗情報誌があったなら、例えば今でいうお客様の“送迎”みたいなのはあったんでしょうか? 吉原は最寄駅から遠いこともあって送迎車が出ていますよね。

永井 車での送迎、というのはもちろんありませんが、船宿はなじみの客になると、サービスで「お送りします」って提灯をもってお店まで送り届ける、というのはあったようですよ。あくまで“おもてなし”という意味での送迎ですね。

曼荼羅 今でいう、“指名制度”みたいなのもあったんでしょうか?

永井 はい。吉原は“永久指名制度”だったそうです。その子と決めたら、その店ではその子だけ。それがルールだったみたいです。

曼荼羅 それいいですね! 同じ店の中で何人も指名してしまうと、女の子の間でそのお客さんが有名になってしまったり、トラブルになってしまったりしますからね。

永井 今は皆さん仕事が終われば家に帰れるでしょうけど、吉原の女性は職住同一ですから、朝から晩まで一緒にいなきゃならない。だから、働いている女性が客のことでもめないように、その辺の配慮はしっかりしていたみたいですね。

(後編につづく)

【マンガ】おごられ酒は断れない! ”魅惑のタダ酒”で酩酊した結果【お酒がやめられない】

「酒に強くも弱くもないわたしは、よくお酒に飲まれる」――。

20代から酒に飲まれつづけた漫画家・緑丘まこが酒と出会いと黒歴史を綴る、飲んだくれコミックエッセイ。土曜のひとり飲みのおともにどうぞ。

(第1回はこちら:酒飲みの聖地・赤羽に、女ひとりでやってきたのだ)
(第2回はこちら:赤羽のユミコさんに見た「酔っぱらいの法則」)
(第3回はこちら:渋谷のコインロッカーに挟まれた三十路の夜)
(第4回はこちら:安ワインが招いた“三日酔い”と血染めバスタブのゆくえ)
(第5回はこちら:涙酒だよおっかさん! 新幹線でエンドレス泥酔の旅)
(第6回はこちら:飲んで飲まれて大号泣! 手みやげ片手に密着警察24時)

第7回:おごられ酒は断れない!

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(隔週土曜日・次回は7月14日更新予定)

緑丘まこ(みどりおか・まこ)
兵庫県育ちの30代独女。漫画とゲームとお酒をこよなく愛する。
センベロ居酒屋やレトロなレストランを発掘するのが休日の楽しみ。
お酒は最高の友達。

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