インスタグラムを見ていると、時折、尋常じゃないハイペースで海外に赴き、オシャレで映えまくった写真をアップしている女性に出くわすことがある。一体、いつ働いているの? 職業は何してるの? そして、そのド派手な旅のお金は、どこから出ているの……? 湧き上がる疑問と嫉妬を抑えるのに筆者は大変なわけだが、実はその中には、「プロトラベラー」として旅行をなりわいにして生きる女性たちが存在するという。「職業・プロトラベラー」とは、いったい何者なのか? 実際に話を聞いてみた。
■ミッションは「旅行に誘うこと」
今回、話を伺ったのは、リアリティー番組『テラスハウス AROHA STATE』(フジテレビ系)に出演していたことでも知られる羽石杏奈さん(23歳)。ハワイ生活で培ったコミュニケーション力と度胸を武器にプロトラベラーとして活動しているという。そもそもプロトラベラーとは、いったいどのような仕事なのだろうか?
「プロトラベラーは、世界中を旅しながら文章や写真を通してSNSで旅先の感動を表現し、海外に興味を持つようになったり、実際に行ってみようと思う女性を増やすことや、旅に誘い、彼女たちの人生を豊かにすることをミッションとしたお仕事です。海外の素敵な場所の写真や、地元のお店を発掘、発信することで、女性たちに『私もここに行きたい、こんな写真を撮ってみたい』と思ってもらうことが目標の1つですね」
現在7名いるプロトラベラー(R)(※プロトラベラー(R)はミツバチワークス株式会社の登録商標)の主戦場は個人のインスタグラムだが、クライアントの要求するテーマに沿った写真を撮影したり、商品のPRやイベント出演など、企業とのコラボ仕事も多い。例えば、旅行会社「ルックJTB」とのコラボでは、プロトラベラーの視点から見たフォトジェニックなシンガポール旅を提案。同社のパンフレットやウェブ、さらにトークショーなどのリアルイベントを総合的に組み合わせたプロモーション企画を実施し、若い女性にシンガポールの新たな魅力をアピールしたという。
また、写真だけでなくブログや、ミツバチワークスが運営する即時的なSNS「Me BTS」で、そのときの生の感情を発信することも、プロトラベラーには求められるそうだ。
「旅先では今日の朝食はコレ食べた、いくらだった、と小さい情報もできるだけ発信するようにしています。1日の更新頻度はバラバラですけど、一応目標とするのは1日にブログ1〜2記事、Me BTSは多いと5回程度。旅の間は、常にスマホが手放せません」
もちろんそれが仕事なので仕方ないわけだが、せっかくの旅行、スマホなんか置いて、目の前の景色をただ無心で楽しみたいという気持ちになることはないのだろうか?
「もともと発信することが好きなので、それが苦痛になったことはないですね。飽き性なので、更新の期間が空いちゃうとダメ。スマホですぐに発信することがクセになっている状態を、維持できるようにしてます」
そのため1カ月単位でのSNSの更新目標を設け、それをクリアできるように調整しているのだとか。ブログは1カ月60記事以上が目標だというから、その頻度はかなりのもの。また実際に海外を訪れる際は、1人旅がほとんどだというから驚きだ。
「クライアントからの案件で何人かの撮影クルーと行くとき以外は、基本的に1人旅です。1カ月の3分の2ぐらいは海外を1人で旅してますが、それも別に苦じゃないですね」
プロトラベラーとしての直近のスケジュールを尋ねると、3月3〜13日はハワイ、14〜15日は東京、16〜18日は沖縄、19〜23日はグアム、25日にいったん日本へ帰り、26日からポーランドへ向かうという。海外旅行が仕事だなんてうらやましいと安易に思っていたが、よほどアクティブで旅好きでないと、なかなかハードな職業なのかもしれない。それでも自身にとって、プロトラベラーは最高の職業だと羽石さんは語る。
「テラスハウスに住んでいたときに、お姉ちゃんにプロトラベラーのことを教えてもらって。それまで夢とか何もなかったんですけど、『それだ!』と思ってすぐに、プロトラベラーになりたいという熱い思いを長文で会社(プロトラベラーのスポンサーを務めるミツバチワークス)にメールしました。旅する場所や、こういう仕事がしたいっていう願いもできるだけ聞いてくれますし、最高の環境で最高の仕事をしていると思ってます」
毎日、満員電車に押し込められて通勤し、長期休みなんてかなわぬ夢である筆者からすれば、嫉妬の対象でしかない……! そんな思いを込めて「周囲から嫉妬されたり、イヤミを言われたりしないのか」と尋ねると、羽石さんは笑顔でこう語った。
「心の中では何を思われてるのかわからないですけど、実際には『うらやましい』としか言われないですね。でも、この仕事はそう思われることが大事だと思うし、これからも憧れを持たれる職業としてやっていければと思ってます」
もはや直視するのがまぶしいほど、その実態もキラキラしているプロトラベラー。気になるのは、収入だが……?
「月によって差はありますが、旅費は会社から出してもらい、その旅行にクライアントからのスポンサードをいただくっていう形なので、結局はどれだけ旅に出たかにもよります。すごく稼いでいるわけではないですが、最低でも都内で、普通に暮らせるぐらいの収入。最近は旅行回数が増えて、収入も上がってきています」
旅好き女子にとって願ってもない職業、プロトラベラー。すでにインスタ女子たちの間では、憧れの職業となりつつあり、最近行われたプロトラベラーのオーディションには、なんと4万5,000人以上の応募が殺到。ダンサーやピアニスト、なかには芸能人の姿もあったという。もちろん、もともとはカメラマンでもモデルでもなかった、素人の女性たちが大半。旅の素晴らしさを伝えることさえできれば、どんな女性でもプロトラベラーになれる可能性はあるわけだ。
素人だけど、旅に関してはプロ。芸能人でもなければ自分の知人でもない、プロトラベラーたちのその絶妙な距離感が、女性たちに支持されているのかもしれない。現在でも、随時募集中だというプロトラベラー。旅行好きの女性は、目指してみるのもアリかも?
(藤野ゆり/清談社)