「合否に関わる重要なもの」とまでいわれるお受験写真。1枚のお受験写真に注ぐ親の想いとは? 今回、毎年数多くのお受験写真を撮影しているという写真館「フォトタカノスタジオ+」に、お受験家族の実態と学校側はお受験写真の何を見ているのかを聞いた。
お受験の家族写真は「仲睦まじい雰囲気」が大事
――個人写真のほかに、家族写真の提出が必要な小学校もあるそうですが、どのような点が重要視されるのでしょうか?
フォトタカノスタジオ+(以下、タカノ) 仲睦まじい雰囲気でしょうか。ご両親も緊張からこわばった表情になったり、姿勢が不自然になったりしやすいので、ときにはモニター画面を見せるなどして、柔らかい雰囲気になるようにアドバイスしています。また、大人と子どもでは体格差があるので、台を使ったり、お子様の立ち位置を調整したりして、写真に収まったときのバランスにも配慮しています。
ご家族によっては、ごきょうだいも一緒に撮影という場合があるんです。赤ちゃんであれば、お母様に抱っこされるのでよいのですが、3~4歳のごきょうだいがいると、大変なことも(笑)。お子様たちに気を取られるとご両親の姿勢が崩れてしまい、そちらを正している間にお子様たちの集中が切れて撮影が進まなくなることもあったりと、家族写真ならではの大変さもありますが、お子様に関しては我々にお任せいただけるよう、スタッフの数を増やして対応しています。
――気になったんですが、こういった願書の写真を修整してほしいと希望される方はいらっしゃるんですか?
タカノ そうですね、ご希望されることもあります。ただ、お受験写真は、自然が一番だと思うので基本はいたしません。学校側が見たいのはご家族の雰囲気でしょうし、面接で直接顔を合わせたときあまりに違うと不自然ですので。ただ、面接までには治る一時的な傷などがある場合は、そこだけ整えることはあります。
――お受験写真は、いくつもの写真館で撮影して一番いい写りを選ぶ家庭も多いと聞いたのですが、それは本当でしょうか?
タカノ はい、実際にいらっしゃいます。詳しくはわかりませんが、2~3軒ほど回られているようです。他店で撮られたものをお持ちになり、「うちの子らしくないから」と撮り直しを希望される方もいます。でも、こちらから見ると、「とてもいいお写真なのに」と思ってしまう場合もあります(笑)。その際、お子様に「自分の前回の出来が良くなかったから撮り直しに来た」と思わせてしまったらかわいそうなので、パターンを変えるなどして対応しています。ご両親にしてみれば、きちっとした雰囲気の中に、いつものお子様らしさを感じられる写真を求められるのでしょう。ちなみに後日談なのですが、先日、他店で撮影されたのちに、当店で写真を取り直して願書に採用してくださったお客様から、「希望校に合格したので、記念に焼き増しでお写真をお願いできますか?」とご連絡がありました。私たちも「どうだったかしら?」と気になっていたので、とてもうれしかったです。
――お受験に対するご家庭の熱意を感じますね。
タカノ 確かに、予約の段階で服装や髪形などを細かく尋ねられるなど、“後悔しないために、全てを完璧にしておきたい”という強い思いを感じる方もいらっしゃいます。ただ実際には、そういった熱意を表に出さないご家庭の方が多いんです。あくまでも、撮影時にこちらの感じる雰囲気ですが……そういったご家庭にとって、小学校受験をするのは、“当たり前のこと”なのかもしれません。ご両親を見ていても、お子様を注意するとき、“子どもにちゃんと伝わるように説明すること”を心がけていたり、子どものやる気を引き出すのが上手だったり。お受験をするのは当たり前といった感覚で、常日頃から意識して生活されているのではないか、と思うんです。お子様も、それが普通のことだと感じていらっしゃるのかもしれません。こういうご家庭は、早くに撮影や予約を済まされていることが多く、計画的にお受験と向き合っていることが窺えます。
――お受験写真は「合否に関わる重要なもの」といわれていますが、どのように感じますか?
タカノ 写真にはお子様やご家族の雰囲気が表れるので、とても重要性があると思います。それこそ、ペーパーやさまざまな技能と同じくらい重要なのではないでしょうか。特に小学校受験の場合は、学校側が試験だけではわからないお子様の気質などを読み取ったり、この先長いお付き合いとなるご家庭のムードを知ったりするために、写真を求めている面もあると思います。なので、できる限り、そのお子様らしさやご家族のいい雰囲気を写し出せるように心がけています。もし、試験での成績が同じくらいで、どちらかのお子様を選ばなくてはならないという時、“お写真”も1つの決め手になるのではないかと考えています。
――お受験を知らない人にとっては、「なぜそんなに力を入れて?」「スナップ写真でもいいんじゃない?」と不思議に思ってしまうかもしれません。
タカノ 影や表情など、写りに違いがあるということもありますが、「親以外の大人の指示を聞いて、きちんと撮影を終えた」という過程自体が、お子様の努力として、学校に伝わるのではないかと思います。「賢く見えて、にっこり微笑んでいる」という、お受験写真として100%の写りではなくても、お子様が一生懸命頑張っている様子が感じ取れれば、学校側の印象もいいのではないかと感じています。また、小学校受験は家族が一丸となって向き合うものなので、写真1枚といえど、お受験に対する親御さんの姿勢も表れるのではないでしょうか。
私たちは、どのご家庭にも絶対合格してほしいとの思いで撮影しています。ご両親から合格の連絡やお手紙をいただいたり、お子様が受験校の制服を着て入学記念の撮影に来られたりしたときは本当にうれしく思います。先日、入学記念の撮影時に「受験を頑張って、またここでお写真を撮ってもらえるのが、すごくうれしいです」と涙を流されたお子様がいらっしゃったんです。厳しい戦いを乗り越えてきたお子様の頑張りを感じ、胸が熱くなりました。
「フォトタカノスタジオ+」公式サイト

